JP6297247B2 - 保護シート、保護シートの製造方法及び偏光板 - Google Patents

保護シート、保護シートの製造方法及び偏光板 Download PDF

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Description

本発明は、保護シート及び偏光板に関する。
近年、液晶表示装置が、薄くて軽量でかつ消費電力が小さいのでCRTの代替として広く用いられている。具体的には、液晶表示装置は、電卓や時計等の小型品から、自動車用計器、PCモニタ及びテレビ等の大型品に至るまで広く用いられている。
液晶表示装置に組み込まれる液晶表示素子は、液晶セルと、液晶セルの両面に配置される一対の偏光板とを有する。この偏光板は、シート状の偏光子と、この偏光子の両面に配置される一対の保護シートとを含む。保護シートは、偏光子の構造を保護するためのシートであって、一般的には、複屈折率が小さく、透明性に優れたトリ・アセチル・セルロース(以下、「TAC」と記す。)により形成されている。
しかしながら、このTACは耐湿熱性が十分でなく、TACを偏光子保護フィルムとして用いた偏光板を高温または高湿下において使用すると、偏光度や色相等の偏光板の性能が低下するという欠点がある。またTACは斜め方向の入射光に対して位相差を生じる。かかる位相差は、近年、液晶ディスプレイの大型化が進むにしたがって、顕著に視野角特性に影響を及ぼすようになっている。そのため、TACの代替として耐熱性アクリル系樹脂を用いることが検討されている。
具体的には、主ポリマーとして耐熱性アクリル系樹脂を含むマトリックス相と、主ポリマーとしてアクリル系ゴムを含む分散相とを有する海島構造の保護シートが検討されている(例えば、特開2010−70646号公報参照)。また。上記マトリックス相に紫外線吸収剤を含ませることも検討されている(例えば、特開2010−70646号公報参照)。
このように特開2010−70646号公報では種々の事項が検討されているが、TACの代替として耐熱性アクリル系樹脂を用いる場合、保護シートの耐熱性、紫外線吸収能力及び可撓性を十分に高める必要がある。
特開2010−70646号公報
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、耐熱性、紫外線吸収能力及び可撓性が高い保護シート、及びその保護シートを有する偏光板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、
主ポリマーとして耐熱性アクリル系樹脂を含むマトリックス相と、主ポリマーとしてアクリル系ゴムを含む分散相とを有する海島構造の保護シートであって、
上記マトリックス相が紫外線吸収剤を含み、
この紫外線吸収剤として、フェノール性水酸基と炭素数4〜12の分岐状アルキル基又は炭素数4〜12の直鎖状アルコキシ基とを併有する化合物が用いられていることを特徴とする。
当該保護シートは、主ポリマーとして耐熱性アクリル系樹脂を含むマトリックス相と、主ポリマーとしてアクリル系ゴムを含む分散相とを有する海島構造の保護シートであるので、当該保護シートは耐熱性及び可撓性が高いという効果を奏する。また、上記マトリックス相が紫外線吸収剤を含んでいるので、当該保護シートは黄変し難いという効果を奏する。また、当該保護シートの紫外線吸収剤は、フェノール性水酸基と、炭素数4〜12の分岐状アルキル基又は炭素数4〜12の直鎖状アルコキシ基とを含んでいる。上記紫外線吸収剤のフェノール性水酸基は、極性が高いので、極性が高いエステル基を有する上記耐熱性アクリル樹脂に対して親和性が高い。上記紫外線吸収剤の分岐状アルキル基又は直鎖状アルコキシ基は、極性が低くかつ適度な長さの炭素鎖を含んでいるので、その炭素鎖と相互作用し易いアクリルゴムに対して親和性が高い。そのため、上記紫外線吸収剤は、耐熱性アクリル樹脂とアクリルゴムとの界面に存在し易くなる。したがって、当該保護シートのマトリックスにおいて、上記紫外線吸収剤は均一に分散している。その結果、当該保護シートは、優れた紫外線吸収能力を発揮することができる。
上記分散相が上記紫外線吸収剤を含むことが好ましい。上記分散相が上記紫外線吸収剤を含むことにより、当該保護シート中における上記紫外線吸収剤の分散均一性が向上する。そのため、シート状の偏光子の両面に当該保護シートを積層して偏光板を形成した場合、偏光子への紫外線の透過をさらに抑制することができる。
上記マトリックス相又は分散相中の紫外線吸収剤の含有量が0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.5質量%未満であると、当該保護シートが紫外線を十分に吸収できないおそれがあり、紫外線吸収剤の含有量が10質量%を超えると、当該保護シートの耐熱性が低下するおそれがある。しかしながら、紫外線吸収剤の含有量が0.5質量%以上10質量%以下であると、当該保護シートは紫外線を十分に吸収でき、かつ耐熱性が高い状態を維持することができる。
上記分散相の含有量が5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。上記含有量を5質量%以上にすると、当該保護シートの可撓性をより高くすることができる。上記含有量を40質量%以下にすると、当該保護シートの透明性を維持することができる。
当該保護シートでは、平面方向のリタデーション値が0nm以上15nm以下、厚み方向のリタデーション値が−15nm以上0nm以下であることが好ましい。これにより、当該保護シートを透過した透過光に位相差が生じにくく、このため、例えば偏光板等のように偏光機能を有するシートの保護シートとして使用しても、この偏光機能を阻害しないという利点を有する。
上記耐熱性アクリル系樹脂が、主鎖に環構造を有することが好ましい。これにより、当該保護シートは耐熱性がより高いという効果を奏する。
当該保護シートは、片面又は両面にマット加工が施されていることが好ましい。これにより、マット加工が施された面を他の部材に接着剤等を介して貼着し易くなるという効果が発揮される。例えば、マット加工が施された面をシート状の偏光子の一方の面に水系接着剤により接着することで、当該保護シートを偏光子に強固に接着させて偏光板を製造することができる。
当該保護シートは、片面に積層されるハードコート層を備えることが好ましい。ハードコート層により、当該保護シートの耐擦傷性を高めることができる。また、このハードコート層がアクリル系塗料を塗工することで形成されていることが好ましい。これにより、当該保護シートの透明性を維持することができる。
なお当該発明は、シート状の偏光子と、この偏光子の両面に接着剤層を介して積層される一対の当該保護シートとを備える偏光板をも含む。
以上説明したように、本発明の保護シートは、耐熱性、紫外線吸収能力及び可撓性が高いという効果を奏する。
本発明の実施の形態の偏光板の断面図である。 本発明の実施の形態の液晶表示素子の断面図である。 本発明のその他の実施形態の偏光板の断面図である。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態の保護シート等について説明する。
本実施の形態の保護シートは、主ポリマーとして耐熱性アクリル系樹脂を含むマトリックス相と、主ポリマーとしてアクリル系ゴムを含む分散相とを有している。これにより、当該保護シートは耐熱性及び可撓性が高いという効果を奏する。
<マトリックス相>
上記マトリックス相は、主ポリマーとして、耐熱性アクリル系樹脂を含んでいる。この耐熱性アクリル系樹脂とは、アクリル酸及びメタクリル酸、並びにこれらの誘導体等のアクリル系単量体を単量体成分として含む重合体を意味する。この耐熱性アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステルより選ばれる1種又は複数種のアクリル系単量体を重合したものが挙げられる。この耐熱性アクリル系樹脂には、アクリル系単量体と他の単量体成分を共重合したものも含まれる。このような共重合の場合、他の単量体成分の含有率(共重合割合)は、耐熱性アクリル系樹脂を構成する全単量体成分に対して60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。
上記耐熱性アクリル系樹脂は、単量体成分としてメタクリル酸メチルを含む重合体であることが好ましい。耐熱性アクリル系樹脂がメタクリル酸メチルを単量体成分として含むことで、得られる耐熱性アクリル系樹脂の相溶性が向上する。メタクリル酸メチルを単量体成分として含む重合体としては、メタクリル酸メチルの単独重合体、メタクリル酸メチルと他の単量体との共重合体等を挙げることができる。メタクリル酸メチルと共重合可能な他の単量体としては、例えばメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸アルキルエステル類、α−ヒドロキシメチルアクリル酸アルキルエステル類;スチレン;o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等のアルキル置換スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレン等の芳香族ビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類;無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類等を挙げることができる。これら他の単量体としては、得られる保護シートの可撓性及び耐熱性を向上させる観点から、α−ヒドロキシメチルアクリル酸アルキルエステル類、スチレン、アルキル置換スチレン、α−アルキル置換スチレン、不飽和カルボン酸類が好ましく、α−ヒドロキシメチルアクリル酸アルキルエステル類、スチレン、α−アルキル置換スチレン、不飽和カルボン酸類がより好ましく、その中でも、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、スチレン、α−メチルスチレン、メタクリル酸がさらに好ましい。他の単量体として、α−ヒドロキシメチルアクリル酸アルキルエステル類を用いて、メタクリル酸メチルと共重合した場合、さらに、脱水反応を行うことにより、重合体主鎖を一部に含むラクトン環を形成するため、得られる耐熱性アクリル系樹脂の耐熱性が特に向上する。これらの単量体は、1種単独で又は複数種組み合わせて用いることができる。このようなメタクリル酸メチルと他の単量体との共重合体において、他の単量体成分の含有率は、メタクリル酸メチルに対し、50質量%以下であることが好ましい。
上述したメタクリル酸メチルと共重合可能な他の単量体としては、アクリル酸アルキルエステル類が好ましい。他の単量体としてアクリル酸アルキルエステル類を用いることで、得られる耐熱性アクリル系樹脂の耐熱温度が向上し、また成形加工時の流動性が高くなる。このようなメタクリル酸メチルとアクリル酸アルキルエステル類との共重合体において、アクリル酸アルキルエステル類単量体成分の含有率は、耐熱性向上の観点から、全単量体成分に対して、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、0.2質量%以上14質量%以下がより好ましく、1質量%以上12質量%以下がさらに好ましい。
上記アクリル酸アルキルエステル類としては、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチルが、メタクリル酸メチルと少量共重合だけでも、上述の成形加工時の流動性の改良効果が顕著に得られるため好ましい。
上記耐熱性アクリル系樹脂としては、アイソタクチックポリメタクリル酸エステル又はシンジオタクチックポリメタクリル酸エステルを用いることもできる。また、耐熱性アクリル系樹脂は、市販品をそのまま用いてもよく、前駆体となる市販品から製造することもできる。
上記耐熱性アクリル系樹脂を製造する方法としては、従来公知の方法が採用でき、例えばキャスト重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、アニオン重合等の重合方法を採用することが可能である。懸濁剤や乳化剤を用いない塊状重合や溶液重合が好ましく、これにより微小異物の混入を減少させることができる。また、溶液重合の場合は、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒を用いることが可能である。また、塊状重合の場合には、加熱により生じる遊離ラジカルや電離性放射線照射により重合を開始させることができる。また、重合反応に使用される重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物などを用いることができる。
また、90℃以上の温度条件下において重合を行う場合、溶液重合が一般的に採用されるが、有機溶媒に可溶な重合開始剤のうち、10時間半減期温度が80℃以上のものを用いることが好ましい。このような重合開始剤としては、具体的には、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等が挙げられる。上記重合反応に対するこれらの重合開始剤の使用量としては、重合に用いられる全単量体100質量部に対し、0.005〜5質量部が好ましい。
重合反応においては、分子量調節剤を必要に応じて用いることができる。この分子量調節剤は、ラジカル重合において一般に用いられるものを採用可能である。具体的には、例えば、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル等のメルカプタン化合物を用いることができる。これらの分子量調節剤は、上記耐熱性アクリル系樹脂の分子量が所望の範囲となるような濃度範囲で添加することが好ましい。
なお、耐熱性アクリル系樹脂の製造方法としては、例えば特公昭63−1964号公報等に記載されている方法を用いることが可能である。また、耐熱性アクリル系樹脂としては、メタクリル酸アルキルエステル及び/又はアクリル酸アルキルエステルと、他の1種類以上の単量体とを共重合することにより、3元以上の共重合体とすることもできる。
上記3元以上の共重合体において、メタクリル酸アルキルエステル及び/又はアクリル酸アルキルエステルと共重合させる他の単量体成分としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン及びp−t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−置換アクリル酸、α−置換メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル及び(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル等の不飽和カルボン酸アルキルエステル類等を採用することが可能である。
マトリックス相を構成する樹脂としては、主ポリマーとしての耐熱性アクリル系樹脂以外に、耐熱性アクリル系樹脂でないアクリル系樹脂(以下、「アクリル系樹脂(a)」ともいう。)をさらに用いてもよい。この場合、マトリックス相において、耐熱性アクリル系樹脂とアクリル系樹脂(a)のそれぞれの含有量は、耐熱アクリル系樹脂に対するアクリル系樹脂(a)の質量比(アクリル系樹脂(a)/耐熱性アクリル系樹脂)が、0.1/99.9以上50/50以下であることが好ましい。アクリル系樹脂(a)と耐熱性アクリル系樹脂の質量比を調整することにより、得られる保護シートの光弾性係数やガラス転移温度(Tg)を調節することが可能である。上記質量比としては0.1/99.9以上40/60以下が好ましく、0.1/99.9以上35/65以下がさらに好ましい。
上記耐熱性アクリル系樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の重量平均分子量(Mw)は、1万以上40万以下であることが好ましく、4万以上30万以下であることがより好ましく、7万以上20万以下であることがさらに好ましい。上記耐熱性アクリル系樹脂のMwを上記範囲とすることで、得られる保護シートの強度が向上すると共に、保護シート成形の加工性及び流動性が向上する。また、分子量分布(Mw/Mn)は、1.8以上3.0以下が好ましく、1.8以上2.7以下がより好ましく、1.8以上2.5以下がさらに好ましい。
上記耐熱性アクリル系樹脂は、単量体成分の組成、分子量等が異なる2種以上の耐熱性アクリル系樹脂の混合物であってもよい。この場合、上記重量平均分子量は、その平均値を意味する。
上記耐熱性アクリル系樹脂のビカット軟化温度としては、105℃以上140℃以下であることが好ましく、110℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましい。また、耐熱性アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、110℃以上であることが好ましく、115℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましい。耐熱性アクリル系樹脂のメルトインデックス(ASTM D1238;I条件)としては、得られる保護シートの強度の観点から10g/10分以下が好ましく、6g/10分以下がより好ましく、3g/10分以下がさらに好ましい。
耐熱性アクリル系樹脂が、芳香族ビニル単量体を単量体成分として含まない耐熱性アクリル系樹脂(以下、「耐熱性アクリル系樹脂(1)」とも記す。)である場合、耐熱性アクリル系樹脂(1)におけるアクリル系単量体成分の含有率としては、耐熱性アクリル系樹脂(1)を構成する全単量体成分に対して、40質量%以上であることが好ましい。このアクリル系樹脂(1)としては、例えば、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルより選ばれる1種以上の単量体を重合したものを用いることができる。
上記アクリル系樹脂(1)の重量平均分子量は、5万以上20万以下であることが好ましく、7万以上15万以下がより好ましい。この重量平均分子量を上記範囲とすることで、得られる保護シートが強度に優れると共に、保護シート成形時の成形加工性及び流動性に優れる。
さらに、マトリックス相を構成する耐熱性アクリル系樹脂として、芳香族ビニル系単量体を単量体成分として含む耐熱性アクリル系樹脂と、上記芳香族ビニル系単量体を単量体成分として含まないアクリル系樹脂(1)とを併用する場合、さらに他のアクリル系樹脂を併用することも可能である。この場合、上記他のアクリル系樹脂の含有量は、マトリックス相を構成する全樹脂100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。上記耐熱性アクリル系樹脂(1)の含有量は、マトリックス相を構成する全樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下が好ましく、0.1質量部以上40質量部以下がより好ましく、0.1質量部以上35質量部以下が特に好ましい。さらに、上記耐熱性アクリル系樹脂の含有量は、マトリックス相を構成する全樹脂100質量部に対して、50質量部以上99.9質量部以下が好ましく、60質量部以上99.9質量部以下がより好ましく、65質量部以上99.9質量部以下がさらに好ましい。マトリックス相における耐熱性アクリル系樹脂の含有量を上記範囲とすることで、得られる保護シートの耐熱性を向上させることができる。また、主鎖に環構造を有する耐熱性アクリル系樹脂を用いることにより、当該保護シートの耐熱性を高くすることができる。
<分散相>
上記分散相は、主ポリマーとしてアクリル系ゴムを含んでいる。このアクリル系ゴムとは、アクリル酸及びメタクリル酸、並びにこれらの誘導体等のアクリル系単量体を単量体成分として含むゴムを意味する。アクリル系ゴムは、アクリル系単量体のみで構成されていてもよく、あるいはアクリル系単量体と他の単量体とで構成されていてもよい。アクリル系単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸アリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル等が挙げられる。他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジエチルスチレン、4−ブトキシスチレン、N,N−ジメチルアミノスチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのα,β−エチレン性不飽和ニトリル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル化合物;エチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物などが挙げられる。これらの他の単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
上記アクリル系ゴムは、架橋剤を用いて架橋されていてもよい。架橋剤としては、例えば、硫黄;2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキシジイソプロピルベンゼンなどの有機過酸化物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの有機硫黄化合物;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのオキシム化合物;ヘキサメチレンジアミンカーバメートなどのポリアミン等が挙げられる。架橋剤を用いる場合には、必要により、例えば、ジフェニルグアジニン、亜鉛ジメチルジチオカーバメート、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルスルフィドなどの加硫促進剤を用いてもよい。
上記分散相の平均粒子径は、1nm以上50nm未満であり、2nm以上50nm未満であることが好ましく、3nm以上50nm未満であることがさらに好ましい。分散相の平均粒子径が上記下限未満であると、保護シートの可撓性が低下するおそれがある。逆に、平均粒子径が上記上限を超えると、保護シートの透明性が劣化するおそれがある。
当該保護シートにおいて、上記分散相の含有量としては、上記保護シートに対して5質量%以上40質量%以下が好ましく、10質量%以上35質量%以下がより好ましく、20質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。分散相の含有量が上記下限未満であると、保護シートの可撓性が低下するおそれがある。逆に分散相の含有量が上記上限を超えると、保護シートの透明性が劣化するおそれがある。
この分散相としては、多層構造を有するものを採用可能である。この多層構造としては、例えばコア−シェル構造からなる二層構造や、中心硬質層と軟質層と最外硬質層とからなる三層構造や、軟質層と最外硬質層との間に中間硬質層をさらに有する四層構造等を採用することが可能である。
上記二層構造としては、例えばゴム状ポリマーからなるコア層と、アクリル樹脂系のガラス状ポリマーからなるシェル層とからなるコア−シェル構造とすることができる。なお、コア層に用いられるゴム状ポリマーとしては、常温でゴム状であれば特に限定されるものではなく、例えばブタジエンを主成分とするゴム状重合体(例えば、ブタジエン単独重合体、ブタジエン−芳香族ビニル共重合体等)や、アクリル酸アルキルエステルを主成分とするゴム状重合体(例えば、ブチルアクリレート−スチレン共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート−スチレン共重合体等)等を採用可能である。なお、ブタジエン−スチレン共重合体を採用することが好ましく、これにより強度や生産性や透明性を向上することができる。また、シェル層に用いられるガラス状ポリマーとしては、常温でガラス状のアクリル系ポリマーであれば特に限定されるものではなく、例えばメチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレート−メチルアクリレート共重合体等を用いることができる。
また、三層以上の多層構造を有する分散相としては、ゴム状ポリマーからなる軟質層と、ガラス状ポリマーからなる硬質層とが、三層以上積層して構成されるものが挙げられる。軟質層に用いられるゴム状ポリマー及び硬質層に用いられるガラス状ポリマーは、上記二層構造のゴム粒子で説明したものを用いることが可能である。
なお、本発明の効果を損しない限り、マトリックス相を構成する耐熱性アクリル系樹脂、及び分散相を構成するアクリル系ゴム以外にも、その他の重合体を混合することも可能である。なお、その他の重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂;及びフェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂などが挙げられる。その他の重合体は、単独又は複数種を混合することが可能である。なお、その他の重合体の含有量は、マトリックス相100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましい。
<紫外線吸収剤>
当該保護シートは、上記マトリックス相中に紫外線吸収剤を含んでいる。当該保護シートがマトリックス中に紫外線吸収剤を含むことで、当該保護シートは黄変し難いという効果を奏する。また、シート状の偏光子の両面に当該保護シートを積層して偏光板を形成した場合、偏光子への紫外線透過を抑制することができる。またこの紫外線吸収剤は、さらに上記分散相中に含まれていることが好ましい。紫外線吸収剤が分散層中にさらに含まれていることで、当該保護シート中における紫外線吸収剤の分散均一性が向上し、シート状の偏光子の両面に当該保護シートを積層して偏光板を形成した場合、偏光子への紫外線透過をさらに抑制することができる。
この紫外線吸収剤として、フェノール性水酸基と炭素数4〜12の分岐状アルキル基又は炭素数4〜12の直鎖状アルコキシ基とを併有する化合物が用いられている。上記紫外線吸収剤のフェノール性水酸基は、極性が高いので、極性が高いエステル基を有する上記耐熱性アクリル樹脂に対して親和性が高い。上記紫外線吸収剤の分岐状アルキル基又は直鎖状アルコキシ基は、極性が低くかつ適度な長さの炭素鎖を含んでいるので、その炭素鎖と相互作用し易いアクリルゴムに対して親和性が高い。そのため、上記紫外線吸収剤は、耐熱性アクリル樹脂とアクリルゴムとの界面に存在し易くなる。したがって、当該保護シートのマトリックスにおいて、上記紫外線吸収剤は均一に分散している。その結果、当該保護シートは、優れた紫外線吸収能力を発揮することができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物、及びトリアジン系化合物が、透明性が高く、しかも偏光板の劣化を防ぐ効果に優れているため好ましい。特に、着色がより少なく透明性の高いベンゾトリアゾール系化合物からなる紫外線吸収剤を採用することがさらに好ましい。
また、上記紫外線吸収剤としては、下記式(1)〜(5)のそれぞれで表される化合物から適宜選択することができる。
Figure 0006297247
式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数4〜12の分岐状アルキル基又は炭素数4〜12の直鎖状アルコキシ基である。但し、R1〜R4の全部が水素原子である場合はない。X1は水素原子又はハロゲン原子である。
Figure 0006297247
式(2)中、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数4〜12の分岐状アルキル基又は炭素数4〜12の直鎖状アルコキシ基である。但し、R5及びR6の両方が水素原子である場合はない。R7は、メチレン基又は炭素数2〜4のアルキレン基である。X2及びX3は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子である。
Figure 0006297247
式(3)中、R8〜R10は、水素原子、炭素数4〜12の分岐状アルキル基又は炭素数4〜12の直鎖状アルコキシ基である。但し、R8〜R10の全部が水素原子である場合はない。
Figure 0006297247
式(4)中、R11は、水素原子又はヒドロキシル基である。R12は、炭素数4〜12の分岐状アルキル基又は炭素数4〜12の直鎖状アルコキシ基である。
Figure 0006297247
式(5)中、R13〜R16は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数4〜12の分岐状アルキル基又は炭素数4〜12の直鎖状アルコキシ基である。但し、R13〜R16の全部が水素原子である場合はない。
より具体的には、上記紫外線吸収剤としては、下記式(1−1)〜(2−1)のそれぞれで表される化合物から適宜選択することができる。下記式(1−1)は上記式(1)の具体例であり、下記式(2−1)は上記式(2)の具体例であり、下記式(3−1)は上記式(3)の具体例であり、下記式(4−1)は上記式(4)の具体例であり、下記式(5−1)は上記式(5)の具体例である。
Figure 0006297247
Figure 0006297247
Figure 0006297247
Figure 0006297247
Figure 0006297247
なお、上記紫外線吸収剤は、その融点が、110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらに好ましい。紫外線吸収剤の融点が上記下限未満の場合、加工のために加熱溶融した際の揮発が少なく、押出し出口などの成形出口での紫外線吸収剤の析出及び凝集が生じにくく、さらにシート成形時の汚れが生じにくく、シートの透明性を阻害しない。
上記紫外線吸収剤の含有量としては、マトリックス相に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上9質量%以下がより好ましく、2質量%以上8質量%以下がさらに好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記下限未満であると、得られる保護シートが紫外線を十分に吸収できないおそれがある。また、紫外線吸収剤の含有量が上記上限を超えると、保護シートの耐熱性が低下するおそれがある。
<微粒子>
当該保護シートは、マトリックス相中に微粒子を含んでいる。この微粒子の材質としては、二酸化ケイ素が好ましく用いられるが、その他、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機材質や架橋高分子等の有機材質を用いることも可能である。なお、微粒子の材質として二酸化ケイ素を採用することが、保護シートのヘイズを小さくできるので好ましい。また、二酸化ケイ素の材質が有機物によって表面処理された微粒子を採用することが、保護シートのヘイズをより小さくする観点から好ましい。この表面処理に用いられる有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサン等を挙げることができる。市販品としては、例えば、商品名「サイロホービック」(富士シリシア化学社製)や、「アエロジル200V」(日本アエロジル社製)や、「アエロジルR972V」(日本アエロジル社製)が挙げられる。これらは単独で又は組み合わせて用いることができる。
上記微粒子は、その平均粒子径が0.005μm以上2μm以下であることが好ましく、0.05μm以上1μm以下がより好ましい。また、この微粒子は、保護シートの表面から突出するよう配設されており、この微粒子の最大突出高さが、0.01μm以上0.1μmであることが好ましく、0.02μm以上0.05μm以下がより好ましい。なお微粒子は、保護シート形成時にシートが延伸(微延伸)されることにより、上記のように微粒子が表面から突出して設けられている。
上記微粒子の含有量は、上記保護シートに対して、0.005質量%以上1質量%以下が好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上0.3質量%以下が特に好ましい。
なお、上記微粒子は、マトリックス相中のみならず、分散相中にも含有させてもよい。上記分散相中に含有させる微粒子としては、上述したマトリックス相中に含有させた微粒子と同様の材質、最大突出高さ及び配合量とすることが可能である。
<保護シート>
当該保護シートは、マトリックス相を形成する耐熱性アクリル系樹脂、及び分散相を形成するアクリル系ゴム等の混合物が、例えば、押出成形されて構成される。ここで、当該保護シートは、押出後微延伸されることによりシート成形されている。この延伸は一軸延伸であることが好ましい。また、この微延伸による延伸率は、1%以上5%以下である。その延伸率を実現するために、例えば、押出成形時に溶融材料が押し出される押出速度よりも、冷却され成形されたシートを引っ張る引張速度が0.3%大きい状態で押出成形する。このように、押出後微延伸することにより微粒子が保護シートの表面から突出した状態で配設されやすくなり、保護シートの易滑性を向上させることができる。また微延伸であるため、保護シートの透明性が維持可能である。
当該保護シートの厚みとしては、15μm以上400μm以下が好ましく、20μm以上300μm以下がより好ましく、40μm以上200μm以下がさらに好ましく、40μm以上150μm以下が特に好ましい。保護シートの厚みを上記範囲とすることで、保護シートに充分な靭性を与えることができ、かつ保護シートの巻回が容易に行える等、取り扱い性が向上する。
当該保護シートを用い偏光子と貼合して作製した偏光板の厚みとしては、150μm以上800μm以下が好ましく、180μm以上700μm以下がより好ましく、200μm以上600μm以下がさらに好ましい。偏光板の厚みを上記範囲とすることで、偏光板に充分な靭性を与えることができ、かつ偏光板の巻回が容易に行える等、取り扱い性が向上する。
当該保護シートにおいて、平面方向のリタデーション値(Re)が0nm以上15nm以下であることが好ましい。また、厚み方向のリタデーション値(Rth)が−15nm以上0nm以下であることが好ましい。ここで、上記平面方向のリタデーション値(Re)及び厚み方向のリタデーション値(Rth)はそれぞれ式(a)および(b)で定義される。
Re1=(nx1−ny1)×d[nm] (a)
Rth1={(nx1+ny1)/2−nz1}×d[nm] (b)
ここで、nx1は、保護シートの平面方向の主屈折率である。ny1は、nx1と直交する方向の屈折率である。nz1は、保護シートの厚み方向の主屈折率である。dは、保護シートの厚みである。
また、当該保護シートにおいて、波長380nmの光線の透過率が、60%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは8%以下であり、特に好ましくは5%以内である。上記波長380nmの光線の透過率が上記上限以下であるので、当該保護シートによって紫外線を的確に吸収することができる。なお、透過率とは、特定の波長の入射光が試料(保護シート)を通過する割合である。
さらに、当該保護シートにおいて、波長420nmの光線の透過率が、90%以上であることが好ましく、91%以上であることがより好ましい。また、当該保護シートにおいて、波長550nmの光線の透過率が、91%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましい。上記特定の波長の光線の透過率が上記下限値以上であることにより、可視光線を有効に透過することができ、液晶表示装置の光学系に用いられた場合にあっても表示のために光線を有効に利用することができる。
<偏光板>
当該保護シートは、偏光板保護シートとして用いることができる。図1は、本発明の実施の形態の偏光板の断面図である。図1に示すように、偏光板は、一対の保護シート1と、一対の保護シート1の間に介在する板状の偏光子2とを有する。上記保護シート1と偏光子2とは、例えば水性糊等の接着剤(図示省略)によって貼着される。例えば、一対の保護シート1それぞれは、偏光子2の両面に接着剤層を介して積層され、それにより、偏光板が形成される。
<液晶表示素子>
上記保護シート1を備えた偏光板は、液晶表示装置において用いることができる。図2は、本発明の実施の形態の液晶表示素子の断面図である。図2に示すように、液晶表示素子は、液晶パネル3と、液晶パネル3の両面のそれぞれに一枚ずつ配置される一対の偏光板とを有する。偏光板は、上述したように、一対の保護シート1と、一対の保護シート1の間に介在する偏光子2とが接着剤によりを介して積層された板である。液晶パネル3と、一対の偏光板のそれぞれとは、紫外線効果型接着剤等の接着剤4によって貼着される。
<その他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々設計変更可能であり、当該保護シートの片面又は両面にマット加工を施すことも可能である。これによりマット加工が施された面を他の部材に接着剤等を介して貼着し易くなるという効果が発揮される。図3の偏光板において、一対の保護シート1には、それぞれ片面にマット層5が形成されている。そして、この一対の保護シート1のマット層5の間に偏光子2が配設され、マット層5と偏光子2とが水系接着剤(図示省略)によって貼着されている。このマット層5はマット剤を用いて形成することができ、具体的にはマット剤を含む塗工液を保護シート1の片面に塗工してマット層5を形成することができる。なお、マット剤としては、有機または無機の微小粒子を用いることができ、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、アルミナ、酸性白土、クレー、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、酸化スズ、チタンホワイト、尿素粉末樹脂などを用いることができる。
また、図3に示すように、当該保護シートの片面にハードコート層6が積層された構成を採用することも可能である。図3の偏光板では、一対の保護シート1の一方において、その保護シート1の偏光子2と対向しない側の面にハードコート層6が積層されている。これにより、その保護シート1の耐擦傷性を高めることができる。また、上記ハードコート層6は、アクリル系塗料を塗工することで形成されている。これにより、ハードコート層6も透明性が確保され、保護シート1の透明性を維持することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
耐熱性アクリル系樹脂にアクリル系ゴム及び紫外線吸収剤を添加して、Tダイ装着押出機を用いて、スクリュー回転数、押出機のシリンダー内樹脂温度、Tダイの温度を調整しながら押出成形をすることにより複数種類の保護シートを得た。紫外線吸収剤として、BASFジャパン社製のTINUVIN360及びTINUVIN1577と、シプロ化成社製のSEESORB707及びSEESORB709を用いた。耐熱性アクリル系樹脂100質量部に対して、上記4種類の紫外線吸収剤のうちの1種類又は2種類を用いてその添加量を変えて、厚み40μmの保護シートを複数種類得た。得られた複数の保護シートのそれぞれについて、380nm、420nm及び550nmそれぞれの波長の光線の透過率Tt(%)を測定した。測定結果は、下記表1及び表2の通りであった。
Figure 0006297247
Figure 0006297247
上記表1及び表2からも明らかなように、各実施例の保護シートは、380nmの波長の光線の透過率が低く、420nm及び550nmの波長の光線の透過率が高く、このため可視光は透過しやすく紫外線吸収能力が高い。
本発明の偏光板は、液晶表示装置に組み込まれる液晶表示素子の部品として利用可能である。本発明の保護シートは、偏光板の部品として利用可能である。
1 保護シート
2 偏光子
3 液晶パネル
4 接着剤
5 マット層
6 ハードコート層

Claims (8)

  1. 主ポリマーとして単量体成分の組成及び重量平均分子量の異なる2種以上の耐熱性アクリル系樹脂の混合物を含むマトリックス相と、主ポリマーとしてアクリル系ゴムを含む分散相とを有する厚み40μm以上の海島構造の保護シートであって、
    上記マトリックス相及び上記分散相が紫外線吸収剤を含み、
    この紫外線吸収剤が、フェノール性水酸基と炭素数8の直鎖状アルコキシ基とを併有する下記式(4−1)で表されるベンゾフェノン系化合物を用いられており、
    上記紫外線吸収剤の含有量が、上記マトリックス相に対して2質量%以上8質量%以下であることを特徴とする保護シート。
    Figure 0006297247
  2. 記分散相中の紫外線吸収剤の含有量が2質量%以上8質量%以下である請求項1に記載の保護シート。
  3. 上記分散相の含有量が5質量%以上40質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の保護シート。
  4. 平面方向のリタデーション値が0nm以上15nm以下、厚み方向のリタデーション値が−15nm以上0nm以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の保護シート。
  5. 上記耐熱性アクリル系樹脂が、主鎖に環構造を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の保護シート。
  6. 片面又は両面にマット加工が施されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の保護シート。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の保護シートであって、片面に積層されるハードコート層を備える保護シートの製造方法において、
    このハードコート層がアクリル系塗料を塗工することで形成される保護シートの製造方法。
  8. シート状の偏光子と、
    この偏光子の両面に接着剤層を介して積層される請求項1から請求項6のいずれか1項
    に記載の一対の保護シートと
    を備える偏光板。
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