JP6295448B2 - 消臭剤及び抗酸化剤 - Google Patents
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Description
項(1)
食用キノコを微生物を用いて発酵させることにより得られる発酵処理物を含有する消臭剤。
項(2)
前記食用キノコが、マッシュルーム、エノキタケ、ブナシメジ、シイタケ、ポルチーニ、エリンギ及びマイタケから選ばれる少なくとも1種である、項(1)に記載の消臭剤。
項(3)
前記微生物がGluconobacter属に属する微生物である、項(1)又は項(2)に記載の消臭剤。
項(4)
前記Gluconobacter属に属する微生物が、Gluconobacter wancherniae、Gluconobacter thailandicus、Gluconobacter frateurii、Gluconobacter cerinus及びGluconobacter oxydansから選ばれる少なくとも1種である、項(1)乃至項(3)のいずれか1項に記載の消臭剤。
項(5)
前記発酵処理物が、さらに加熱処理したものである、項(1)乃至項(4)のいずれか1項に記載の消臭剤。
項(6)
食用キノコを微生物を用いて発酵させることにより得られる発酵処理物を含有する抗酸化剤。
項(7)
前記食用キノコが、マッシュルーム、エノキタケ、ブナシメジ、シイタケ、ポルチーニ、エリンギ及びマイタケから選ばれる少なくとも1種である、項(6)に記載の抗酸化剤。
項(8)
前記微生物がGluconobacter属に属する微生物である、項(6)又は項(7)に記載の抗酸化剤。
項(9)
前記Gluconobacter属に属する微生物が、Gluconobacter wancherniae、Gluconobacter thailandicus、Gluconobacter frateurii、Gluconobacter cerinus及びGluconobacter oxydansから選ばれる少なくとも1種である、項(6)乃至項(8)のいずれか1項に記載の抗酸化剤。
項(10)
前記発酵処理物が、さらに加熱処理したものである、項(6)乃至項(9)のいずれか1項に記載の抗酸化剤。
本発明による消臭剤及び抗酸化剤は、天然物由来の安全なものであり、食品、飲料、飼料、化粧品、医薬品、医薬部外品等に用いることができる。
前記食用キノコは、野生種のものであってもよく、また、栽培・培養されたものであってもよい。また、前記食用キノコは、1種を単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。さらに、前記食用キノコは、乾燥物であっても非乾燥物であっても用いることができる。
食用キノコを抽出する方法は、特に限定されず、公知の手段を単独又は組み合わせて抽出することができる。抽出方法としては、例えば、常温抽出、加熱抽出、加圧抽出、撹拌抽出、超音波抽出等が挙げられる。
食用キノコは、そのままの形状で抽出してもよく、細切処理又は粉砕処理したものを用いてもよい。食用キノコを細切処理又は粉砕処理する方法は、特に限定されず、食材の加工に一般に用いられる方法を単独又は組み合わせて処理することができる。細切処理又は粉砕処理に用いる機器としては、例えば、切断、粉砕、摩擦、空気圧、水圧等を利用して加工する各種の裁断機、粉砕機等が挙げられる。
食用キノコの抽出物は、抽出後そのまま又は固液分離をして得られる液部を用いることができる。また、食用キノコの抽出物は、その濃縮物として用いることができる。さらに、食用キノコの抽出物は、適宜pH調整剤等の添加物を配合したものを用いることができる。また、食用キノコの抽出物は、各種酵素を用いて酵素処理したものを用いることができる。
該発酵において用いる微生物は、Gluconobacter属に属する微生物であることが好ましく、例えば、Gluconobacter wancherniae、Gluconobacter thailandicus、Gluconobacter frateurii、Gluconobacter cerinus、Gluconobacter oxydans、Gluconobacter albidus、Gluconobacter japonicus、Gluconobacter kondonii、Gluconobacter diacetonicus、Gluconobacter dioxyacetonicus、Gluconobacter gluconicus、Gluconobacter hansenii、Gluconobacter industrius、Gluconobacter kanchanaburiensis、Gluconobacter melanogenus、Gluconobacter nephelii、Gluconobacter roseus、Gluconobacter rubiginosus、Gluconobacter sphaericus、Gluconobacter suboxydans、Gluconobacter uchimurae、Gluconobacter xylinus等が挙げられ、好ましくは、Gluconobacter wancherniae、Gluconobacter thailandicus、Gluconobacter frateurii、Gluconobacter cerinus又はGluconobacter oxydansである。また、該発酵において用いる微生物は、1種を単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。
なお、該発酵において用いる微生物については、独立行政法人製品評価技術基盤機構又は独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター等から入手することができる。
なお、該発酵において、微生物を用いた発酵は、好気条件下で行う。
なお、前記pH調整を行った場合、該発酵後に中和処理を行ってもよい。pHの調整及び中和処理は、pH調整剤として一般に食品に利用されているものを用いることができる。pH調整剤は、食品添加物として指定されたものであれば特に限定されない。pH調整剤としては、酸、アルカリ、及びそれらの塩等が用いられるが、例えば、塩酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明品のうち、加熱処理した発酵処理物は、未発酵の食用キノコと比較して、悪臭物質であるメチルメルカプタン消去能が顕著に増強されていて、消臭剤として極めて有用である。さらに、本発明のうち、加熱処理した発酵処理物は、未発酵の食用キノコと比較して、抗酸化活性の指標の一つであるDPPH(ジフェニルピクリルヒドラジル)ラジカル消去活性が顕著に増強されていて、抗酸化剤として極めて有用である。
マッシュルーム(生鮮)2000gに、水2000gを加えて、95℃で60分間抽出した後、40℃まで冷却した。次いで、不織布を用いて固液分離し、回収した液部をエバポレーターを用いて減圧濃縮することで、マッシュルーム抽出物800g(固形分:10.1%、pH6.8)(調製1)を得た。
調製1で得られたマッシュルーム抽出物50gに、Gluconobacter属に属する微生物であるGluconobacter cerinus NBRC3274(実施例1−1)又はGluconobacter wancherniae NBRC103581(実施例1−2)をそれぞれ1×104cfu/g程度となるように接種して、30℃で20時間振盪培養した後、80℃で10分間殺菌処理して、発酵処理物を得た。次いで、5000×Gで10分間遠心分離を行い、液部を回収することで、本発明品(実施例1−1及び実施例1−2)それぞれ45gを得た。
実施例1の本発明品及び調製1のマッシュルーム抽出物を検体として、メチルメルカプタン消去能及びDPPHラジカル消去活性を下記の方法で測定した。結果を表1に示す。
30mL容量のバイアル瓶に、各検体の100倍希釈液(希釈溶媒:200mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.0)5mL及び10ppmメチルメルカプタン水溶液150μLを封入し、30℃で10分間攪拌した後、ヘッドスペースガス500μLをガスクロマトグラフィー(GC)に供し、下記の条件でメチルメルカプタンのエリア面積を測定することで算出した。
機器:GC−9A(株式会社島津製作所製)
検出器:Flame Photometric Detector(FPD)、100℃
カラム:PPE−5rings Shimalite TPA60/80(信和化工株式会社製)
カラム温度:70℃
キャリアーガス:窒素(50mL/分)
注入量:500μL
インジェクタ温度:120℃
参考文献(篠原ら編、食品機能研究法、光琳、2000年、p.218)を参照し、以下の通り測定した。
80%エタノールにて適宜希釈した各検体50μLに、200mMの2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)緩衝液(200mM、pH6.0)50μL、20%エタノール50μL及び400μMの1、1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)エタノール溶液50μLの混合液を添加して混和し、さらに20分間静置した後、マイクロプレートリーダーを用いて520nmにおける吸光度を測定した。
0〜200μMのα−トコフェロール(和光純薬工業株式会社製)について同様の操作を行うことで検量線を作成し、得られた検量線をもとに、各検体1gあたりのラジカル消去活性をα−トコフェロール相当量(濃度)として算出した。
調製1で得られたマッシュルーム抽出物50gを50%クエン酸水溶液を用いてpH5.5に調整し、Gluconobacter属に属する微生物であるGluconobacter cerinus NBRC3274(実施例2−1)、Gluconobacter Thailandicus NBRC3255(実施例2−2)、Gluconobacter oxydans NBRC3294(実施例2−3)、Gluconobacter frateurii NBRC3264(実施例2−4)又はGluconobacter wancherniae NBRC103581(実施例2−5)をそれぞれ1×104cfu/g程度となるように接種して、30℃で20時間振盪培養した後、80℃で10分間殺菌処理して、発酵処理物を得た。次いで、5000×Gで10分間遠心分離を行い、液部を回収して該発酵処理物を130℃で1時間加熱処理することで、本発明品(実施例2−1乃至実施例2−5)それぞれ40gを得た。
調製1で得られたマッシュルーム抽出物50gを130℃で1時間加熱処理することで、加熱処理マッシュルーム抽出物(比較例1)40gを得た。
実施例2の本発明品及び比較例1の加熱処理マッシュルーム抽出物を検体として、メチルメルカプタン消去能及びDPPHラジカル消去活性を評価試験1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
調製1で得られたマッシュルーム抽出物50gを17.5%塩酸水溶液を用いてpH4.8に調整し、Gluconobacter属に属する微生物であるGluconobacter wancherniae NBRC103581を5×104cfu/g程度となるように接種して、30℃で24時間振盪培養した後、80℃で10分間殺菌処理して、発酵処理物を得た。次いで、5000×Gで10分間遠心分離を行い、液部を回収して該発酵処理物を表3に示す温度及び時間(実施例3−1乃至実施例3−5)でそれぞれ加熱処理することで、本発明品(実施例3−1乃至実施例3−5)それぞれ40g得た。
実施例3の本発明品を検体として、メチルメルカプタン消去能及びDPPHラジカル消去活性を評価試験1と同様にして測定した。結果を表3に示す。
エノキタケ(乾燥物)120gに、水600gを加えて、90℃で10分間抽出した後、40℃まで冷却した。次いで、不織布を用いて固液分離し、液部を回収することで、エノキタケ抽出物420g(固形分:9.1%、pH6.5)(調製2)を得た。
調製2で得られたエノキタケ抽出物50gに、Gluconobacter属に属する微生物であるGluconobacter cerinus NBRC3274(実施例4−1)又はGluconobacter wancherniae NBRC103581(実施例4−2)をそれぞれ1×104cfu/g程度となるように接種して、30℃で20時間振盪培養した後、80℃で10分間殺菌処理して、発酵処理物を得た。次いで、該発酵処理物を130℃で1時間加熱処理した後、5000×Gで10分間遠心分離を行い、液部を回収することで、本発明品(実施例4−1及び実施例4−2)それぞれ40gを得た。
実施例4の本発明品及び調製2のエノキタケ抽出物を検体として、メチルメルカプタン消去能及びDPPHラジカル消去活性を評価試験1と同様にして測定した。結果を表4に示す。
ブナシメジ(乾燥物)160gに、水800gを加えて、90℃で10分間抽出した後、40℃まで冷却した。次いで、不織布を用いて固液分離し、液部を回収することで、ブナシメジ抽出物350g(固形分:10.1%、pH5.9)(調製3)を得た。
調製3で得られたブナシメジ抽出物50gに、Gluconobacter属に属する微生物であるGluconobacter cerinus NBRC3274(実施例5−1)又はGluconobacter wancherniae NBRC103581(実施例5−2)をそれぞれ1×104cfu/g程度となるように接種して、30℃で20時間振盪培養した後、80℃で10分間殺菌処理して、発酵処理物を得た。次いで、5000×Gで10分間遠心分離を行い、液部を回収することで、本発明品(実施例5−1及び実施例5−2)それぞれ45gを得た。
実施例5の本発明品及び調製3のブナシメジ抽出物を検体として、メチルメルカプタン消去能及びDPPHラジカル消去活性を評価試験1と同様にして測定した。結果を表5に示す。
調製3で得られたブナシメジ抽出物50gに、Gluconobacter属に属する微生物であるGluconobacter cerinus NBRC3274(実施例6−1)又はGluconobacter wancherniae NBRC103581(実施例6−2)をそれぞれ1×104cfu/g程度となるように接種して、30℃で20時間振盪培養することで、発酵処理物を得た。次いで、該発酵処理物を130℃で1時間加熱処理した後、5000×Gで10分間遠心分離を行い、液部を回収することで、本発明品の(実施例6−1及び実施例6−2)それぞれ40gを得た。
実施例6の本発明品及び調製3のブナシメジ抽出物を検体として、メチルメルカプタン消去能及びDPPHラジカル消去活性を評価試験1と同様にして測定した。結果を表6に示す。
シイタケ(乾燥物)120gに、水600gを加えて、90℃で10分間抽出した後、40℃まで冷却した。次いで、不織布を用いて固液分離し、液部を回収することで、シイタケ抽出物380g(固形分:7.1%、pH5.8)(調製4)を得た。
調製4で得られたシイタケ抽出物50gに、Gluconobacter属に属する微生物であるGluconobacter cerinus NBRC3274(実施例7−1)又はGluconobacter wancherniae NBRC103581(実施例7−2)をそれぞれ1×104cfu/g程度となるように接種して、30℃で20時間振盪培養することで、発酵処理物を得た。次いで、該発酵処理物を130℃で1時間加熱処理することで、本発明品(実施例7−1及び実施例7−2)それぞれ45gを得た。
実施例7の本発明品及び調製4のシイタケ抽出物を検体として、メチルメルカプタン消去能及びDPPHラジカル消去活性を評価試験1と同様にして測定した。結果を表7に示す。
Claims (8)
- 食用キノコ抽出物にGluconobacter属に属する微生物を10 2 〜10 10 cfu/gとなるように接種して、15〜40℃で、3時間〜72時間発酵させることにより得られる、未発酵の食用キノコと比較してメチルメルカプタン消去能が増強された発酵処理物を含有する消臭剤。
- 前記食用キノコが、マッシュルーム、エノキタケ、ブナシメジ、シイタケ、ポルチーニ、エリンギ及びマイタケから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の消臭剤。
- 前記Gluconobacter属に属する微生物が、Gluconobacter wancherniae、Gluconobacter thailandicus、Gluconobacter frateurii、Gluconobacter cerinus及びGluconobacter oxydansから選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は請求項2に記載の消臭剤。
- 前記発酵処理物が、さらに80〜130℃で加熱処理したものである、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の消臭剤。
- 食用キノコ抽出物にGluconobacter属に属する微生物を10 2 〜10 10 cfu/gとなるように接種して、15〜40℃で、3時間〜72時間発酵させることにより得られる、未発酵の食用キノコと比較してDPPH(ジフェニルピクリルヒドラジル)ラジカル消去活性が増強された発酵処理物を含有する抗酸化剤。
- 前記食用キノコが、マッシュルーム、エノキタケ、ブナシメジ、シイタケ、ポルチーニ、エリンギ又はマイタケから選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の抗酸化剤。
- 前記Gluconobacter属に属する微生物が、Gluconobacter wancherniae、Gluconobacter thailandicus、Gluconobacter frateurii、Gluconobacter cerinus及びGluconobacter oxydansから選ばれる少なくとも1種である、請求項5又は請求項6に記載の抗酸化剤。
- 前記発酵処理物が、さらに80〜130℃で加熱処理したものである、請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の抗酸化剤。
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