JP5354532B2 - ヤマブシタケ抽出物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ヤマブシタケ抽出物およびその製造方法に関する。より詳細には、2段階の熱水抽出により得られる、有効成分をより多く含有するヤマブシタケ抽出物に関する。
ヤマブシタケ(Hericium Erinaceum:山伏茸)は、ヒダナシタケ目サンゴハリタケ科に属するキノコであり、中国においては、その乾燥子実体を粉砕したものが漢方薬として処方されてきた。
ヤマブシタケは、一般に次のような薬効成分を有することが知られている:
(1)免疫力増強作用を有する水溶性多糖類のβ−D−グルカンを含有し、抗癌効果、感染予防効果などの効能を有する;
(2)神経成長因子(以下、NGFと記載する)の合成促進作用を有するフェノール類のヘリセノン(主として子実体に含まれる)やエリナシン(主として菌糸体に含まれる)を含有し、アルツハイマー症などの痴呆症を予防・改善する効能を有する;および
(3)活性酸素除去作用を有するスーパーオキサイドディスムターゼ(以下、SODと記載する)などの抗酸化酵素類を含有し、細胞の酸化を防止し老化を抑制する効能を有する。
このようなヤマブシタケの有効成分を日常的に効率よく摂取するための健康食品が種々検討されている。例えば、粉砕したヤマブシタケを小麦粉を主原料とする食品に添加した健康食品(特許文献1)、大豆とヤマブシタケとを混合して熟成させた味噌(特許文献2)などが挙げられる。しかし、NGF合成促進作用を有するエリナシン、ヘリシウムなどの体内吸収率が低く、生体利用性が十分とはいえない。
キノコの子実体や菌糸体からそれらの含有する有効成分を抽出するには、子実体を熱湯で煎じるのが一般的である。特に、ヤマブシタケの子実体の熱水抽出物には、抗腫瘍活性を有するβグルカンが含まれることが知られている。しかし、単に熱湯で煎じた場合には、得られる抽出液中の有効成分の抽出率は極めて低い。
そこで、ヤマブシタケなどのキノコの種々の有効成分をより多くかつより効率的に摂取するための方法として、ヤマブシタケを水または湯に浸漬して得られた浸漬液と、浸漬後の残渣とを同時に調理に供する方法(特許文献3)、ヤマブシタケ粉末をアルコール抽出および熱水抽出の2段階で抽出したものと、その抽出残渣とを混合する方法(特許文献4)がある。これらの方法は、抽出液と抽出残渣とを一緒に摂取させることにより、抽出された成分の体内吸収率を向上させることを目的としている。しかし、100℃以下の温水で抽出する通常の条件では、ヤマブシタケから抽出されるエリナシン、ヘリシウム、およびβグルカンの量は少なく、有効成分の低い収率が問題となる。
一方、プロテアーゼまたはセルラーゼなどの酵素で処理した後に有機溶剤または熱水で抽出する方法(特許文献5)、250℃〜300℃の温度で湿式加熱した後、溶媒で抽出する方法(特許文献6)などが報告されている。高温熱水を利用すると、有効成分の抽出率は上がるが、一部の生理活性物質が失活するという問題がある。
また、キノコは、キノコ特有の臭いと味(いわゆる臭味)を有するため、特許文献7では、キノコを150〜250℃で焙煎した後、水および/または有機溶媒で抽出することにより、キノコの有効成分を得ることが開示されている。この場合、臭味は低減されるが、有効成分の取得効率が低く、実用性に欠ける。
特開2000−166499号公報 特開2008−228605号公報 特開2004−121120号公報 特開2006−117541号公報 特開2002−262820号公報 特開2006−282580号公報 特開2001−69939号公報
本発明は、ヤマブシタケの有効成分の失活が少なく、かつ有効成分をより多く含む、ヤマブシタケ抽出物を提供することを目的とする。
本発明者らは、200℃以下の温度で熱水抽出することにより、ヤマブシタケまたはそれを原料とする発酵物や粉末から有効成分を分離し、残りの固体成分および液体の一部について、熱水と呼ばれる高圧(例えば、約20MPa)条件下および200℃以上かつ470℃以下の水を媒体として利用し、その誘電率・解離平衡定数などの水の物性を温度・圧力により制御し、有効成分を効率的に抽出するとともに、その一部を熱水で変性させて熱水抽出・変性物とすることで、有用な成分を作り出すことに成功した。
本発明は、エリナシン、ヘリシウム、およびβグルカンを主成分として含む、ヤマブシタケ抽出物を提供し、このヤマブシタケ抽出物は、
(a)ヤマブシタケおよびその発酵物またはそれらの粉砕物を200℃以下の温度の熱水で抽出して、熱水抽出物および熱水抽出残渣を得る、第一抽出工程、
(b)該熱水抽出残渣を高圧条件下にて200℃以上および470℃以下の温度の熱水で抽出して、熱水抽出・変性物を得る、第二抽出工程、および
(c)該熱水抽出物および該熱水抽出・変性物を合わせて、ヤマブシタケ抽出物を得る工程、
により得られる。
1つの実施態様では、上記高圧条件は、2〜40MPaである。
1つの実施態様では、上記工程(b)における熱水の温度は、250〜330℃である。
1つの実施態様では、上記工程(a)における熱水の温度は、100℃以上である。
本発明はまた、ヤマブシタケ抽出物の製造方法も提供し、該方法は、
(a)ヤマブシタケおよびその発酵物またはそれらの粉砕物を200℃以下の温度の熱水で抽出して、熱水抽出物および熱水抽出残渣を得る、第一抽出工程、
(b)該熱水抽出残渣を高圧条件下にて200℃以上および470℃以下の温度の熱水で抽出して、熱水抽出・変性物を得る、第二抽出工程、および
(c)該熱水抽出物および該熱水抽出・変性物を合わせて、ヤマブシタケ抽出物を得る工程、
を包含する。
上記方法の1つの実施態様では、上記ヤマブシタケ抽出物は、エリナシン、ヘリシウム、およびβグルカンを主成分として含む。
上記方法の1つの実施態様では、上記高圧条件は、2〜40MPaである。
上記方法の1つの実施態様では、上記工程(b)における熱水の温度は、250〜330℃である。
上記方法の1つの実施態様では、上記工程(a)における熱水の温度は、100℃以上である。
本発明によれば、従来の粉砕・温水抽出(100℃以下の水)に比べて、高圧条件下にて200℃以上および470℃以下の温度の熱水で抽出する第二抽出工程での水の分子運動エネルギーが大きいため、ヤマブシタケの有効成分を効率的に抽出できる。すなわち、200℃以下の熱水での第一抽出工程では抽出できなかった物質について、さらに第二抽出工程において高温の熱水で抽出し、その一部を意図的に変性させることにより、従来にない有効成分を含む熱水抽出・変性物をも得ることができる。
したがって、本発明によれば、200℃以下の熱水で有効成分を変性させることなく高収率で抽出された熱水抽出物と、熱水抽出・変性物とを合わせることにより、従来の粉砕のみによる処理に比べて、エリナシン、ヘリシウムなどの有効成分の失活が少なくかつ有効成分全体の収率を高めることができる。そのため、有効成分の体内への吸収率を高めることができる。
実施例1の第一抽出工程で得られた抽出物のHPLC分析によるクロマトグラムである。 実施例1の第二抽出工程で得られた抽出物のHPLC分析によるクロマトグラムである。
本発明のヤマブシタケ抽出物は、エリナシン、ヘリシウム、およびβグルカンを主成分として含み、
(a)ヤマブシタケおよびその発酵物またはそれらの粉砕物を200℃以下の温度の熱水で抽出して、熱水抽出物および熱水抽出残渣を得る、第一抽出工程、
(b)該熱水抽出残渣を高圧条件下にて200℃以上および470℃以下の温度の熱水で抽出して、熱水抽出・変性物を得る、第二抽出工程、および
(c)該熱水抽出物および該熱水抽出・変性物を合わせて、ヤマブシタケ抽出物を得る工程、
により得られる。
ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)は、ブナ、ナラ、カシなどの広葉樹の立木や倒木に発生し、日本、中国、ヨーロッパ、および北米に分布するヒダナシタケ目サンゴハリタケ科ヤマブシタケ属に属する木材腐朽菌である。その子実体は柄と傘の区別がなく直径5〜20cm程度の塊状を呈するとともに、ハリネズミのように外周に長さ1〜5cm位の無数の針状突起を有する。ヤマブシタケは、βグルカンを含むため、癌細胞の発育を抑えること、および癌を予防する効果を有していることが確認されている。また、エリナシン、ヘリシウムなどの神経成長因子(NGF)合成誘導促進物質も確認されており、脳の神経細胞を活性化することができ、アルツハイマー型痴呆症の改善にも有効であるとして注目されている。さらに、HeLa細胞増殖阻害物質や免疫機能調節成分が特定されている。
本発明においては、ヤマブシタケの子実体および菌糸体のいずれも用いることができる。本発明においては、子実体が好適に用いられる。ヤマブシタケは、天然のものも、人工栽培のものも使用し得る。例えば、人工栽培であれば、原木を利用したほだ木栽培でも生産可能であるが、現在の生産の主流として、広葉樹や針葉樹のおが屑に適宜栄養源を添加し、環境(温度・湿度・照度など)を制御した菌床栽培により安定してヤマブシタケを得ることができる。例えば、人工清浄栽培ヤマブシタケとして、βグルカンを1.0g/100g以上含有しているものが、より好適に用いられる。また、ヤマブシタケは、生の状態、あるいは室温下または加温下での風乾、減圧乾燥、凍結乾燥などによる乾燥物のいずれの形態であってもよい。
本発明においては、ヤマブシタケは発酵物であってもよい。本発明における発酵とは、麹による糖化反応をいう。さらに、乳酸発酵、クエン酸発酵、またはアルコール発酵を組み合せて行ってもよい。本発明で用いられる麹としては、市販されている清酒、焼酎、味噌、醤油などの醸造に用いられる通常の麹、紅麹、黒麹などが挙げられる。また、通常行われる方法により調製した麹を用いてもよい。発酵は、例えば、ヤマブシタケを適当な手段により細断し、必要に応じて適量の水を加えた後、麹を加えてよく混合し、15〜25℃で均一に発酵が進むように適宜撹拌しながら3〜20日間行い、澱粉を糖化させる。
ヤマブシタケまたはその発酵物は、必要に応じて、粉砕機などを用いた常温での機械的処理または−196℃での凍結粉砕機による凍結粉砕処理によって、0.01〜5mm程度の粒子に粉砕する。凍結粉砕は、例えば、液体窒素雰囲気下−196℃にて2分間粉砕し、300μm以下の微粒子にする。粉砕に供するヤマブシタケは、生および乾燥のいずれの状態でもよい。あるいは、粉砕後に乾燥してもよい。あるいは、粉砕されたヤマブシタケ粒子に水を加えて湿潤させた後、さらに超音波による破砕を行ってもよい。超音波破砕は、例えば、超音波で5〜10分間処理し、ヤマブシタケの組織を10μm以下の微粒子にする。
本発明においては、まず、第一抽出工程で、ヤマブシタケおよびその発酵物またはそれらの粉砕物を、200℃以下の温度の熱水で抽出して、熱水抽出物および熱水抽出残渣を得る。
ヤマブシタケおよびその発酵物またはそれらの粉砕物に対する熱水の量は、特に限定されない。例えば、生または発酵後の乾燥されていないヤマブシタケおよびその発酵物の場合は、ヤマブシタケの質量の1.5〜20倍量、好ましくは2〜10倍量の熱水が用いられる。例えば、乾燥されたヤマブシタケおよびその発酵物またはそれらの粉砕物の場合は、ヤマブシタケの質量の1〜50倍量、好ましくは2〜30倍量の熱水が用いられる。
また、抽出は、通常、耐熱性密閉型容器中で、必要に応じて撹拌しながら行われ得る。抽出の際の熱水の温度は、第一抽出工程では、200℃以下であればよく、通常は50℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上であり、さらに、好ましくは180℃以下、より好ましくは150℃以下である。抽出時間は、特に限定されず、通常10分〜48時間、好ましくは30分〜12時間であり得る。
上記の抽出処理を経て得た抽出液を、濾過または遠心分離によって熱水抽出物と熱水抽出残渣とに分離する。得られた熱水抽出物は、水を留去して一部濃縮または乾燥してもよい。
次いで、第二抽出工程で、熱水抽出残渣を高圧条件下にて200℃以上および470℃以下の温度の熱水で抽出して、熱水抽出・変性物を得る。熱水抽出・変性物は、第二抽出工程の条件下で抽出された熱水抽出物と、この条件下で変性しかつ抽出された熱水変性物とを含む。
熱水抽出残渣に対する熱水の量は、特に限定されない。通常、熱水抽出残渣の質量の1〜20倍量、好ましくは2〜10倍量の熱水が用いられる。
また、抽出は、通常、耐熱性密閉型容器(高圧容器ともいう)中で、必要に応じて撹拌しながら行われ得る。抽出の際の熱水の温度は、第二抽出工程では、200℃以上および470℃以下であり、好ましくは220〜400℃、より好ましくは250〜330℃である。抽出の際の圧力は、その温度での水の蒸気圧を利用することが好ましく、操作の安定性から40MPa以下であることが好ましく、より好ましくは2〜40MPa、さらに好ましくは2〜30MPaである。また、抽出時間は、特に限定されず、通常10分〜48時間、好ましくは30分〜12時間であり得る。
上記の第二抽出工程で得られた抽出液を、濾過または遠心分離によって熱水抽出・変性物を回収する。得られた熱水抽出・変性物は、水を留去して一部濃縮または乾燥してもよい。
次いで、上記の第一抽出工程で得た熱水抽出物と、第二抽出工程で得た熱水抽出・変性物とを混合することにより、本発明のヤマブシタケ抽出物が得られる。ヤマブシタケ抽出物は、必要に応じて、水を留去して一部濃縮または乾燥してもよい。
本発明のヤマブシタケ抽出物は、上記のようにエリナシン、ヘリシウム、およびβグルカンを主成分として含む。「主成分として含む」とは、これらの3成分を、合計で20質量%以上含むことをいう。これらの成分は、従来の製品化されたヤマブシタケ抽出物中には、通常15質量%以下含まれている。さらに、本発明のヤマブシタケ抽出物は、熱水変性物を含む。熱水変性物は、例えば、図2のHPLCクロマトグラムにおいて2番目のピークで示される物質であり、ヤマブシタケに本来含まれておらず、そして第一抽出工程や従来の100℃以下の温水での抽出による抽出物中に検出されない物質である。
本発明のヤマブシタケ抽出物は、熱水変性物を含んでいるため、βグルカンの効果がより良好に発揮される。
また、本発明のヤマブシタケ抽出物は、有機溶媒を用いずに水のみで抽出したものであり、賦形剤なども用いていないため、安全である。
本発明のヤマブシタケ抽出物は、食用に供するためのいずれの形態にも加工することができ、それにより、食品または食品用素材として供することができる。あるいは、得られたヤマブシタケ抽出物から、当業者が通常用いる精製法、例えば、向流分配法や液体クロマトグラフィーなどを用いて、所望の生理活性成分を含む画分を取得および精製することも可能である。
(実施例1)
アルカリを含まない蒸留水を熱水として用い、粉砕したヤマブシタケを熱水抽出した。まず、村田椎茸本舗より提供されたヤマブシタケ10gを、凍結粉砕装置(SPEX社製フリーザーミル6770型;6770 Freezer/Mill)にて、液体窒素雰囲気下−196℃にて、2分間凍結粉砕し、ヤマブシタケ粉砕微粒子を得た。微粒子の平均粒径は、約200μmであった。ヤマブシタケ粉砕微粒子を、真空乾燥機にて、24時間真空乾燥し、乾燥ヤマブシタケ粉末とした。第一抽出工程として、乾燥ヤマブシタケ粉末5gおよび蒸留水20gを耐熱性密閉型容器内に入れ、120℃にて90分間加熱した。加熱終了後、室温まで冷却し、抽出液と抽出残渣とを遠心分離した。抽出液(すなわち、抽出物)について、高速液体クロマトグラフィー;東ソー株式会社製HPLC200システム(カラム:東ソー株式会社製ODS−80Ts、カラム温度:40℃、検出器:UV(220nm)、溶離液:メタノール/水=1:1(v/v))により分析したところ、図1に示すような分析結果を得た。エリナシン、ヘリシウム、およびβグルカンを含有することがわかった。
次いで、第二抽出工程として、繊維質ならびにβグルカンを多く含む抽出残渣(すなわち、若干の水を含む残りの固体物質)約5gおよび蒸留水20gを耐熱性密閉型容器内に入れ、4MPaで250℃にて60分間加熱した。加熱終了後、室温まで冷却し、遠心分離により抽出液を得た。第二抽出工程で得られた抽出液について、上記と同様に高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、図2に示すような分析結果を得た。図2より、第二抽出工程での抽出液では、溶出しているβグルカン量が第一抽出工程よりも多いことがわかった。また、第二抽出工程での抽出液には第一抽出工程では、得られなかった多糖類が含まれていることを確認した。
第二抽出工程後、第一抽出工程および第二抽出工程のそれぞれの抽出液ならびに抽出残渣を、真空乾燥機により24時間乾燥し、ヤマブシタケ水熱2段階抽出粉末を得た。微粒子の平均粒径は、約200μmであった。
ヤマブシタケ水熱2段階抽出粉末を、酢酸エチル抽出し、抽出液を蒸留・乾燥し、残渣をメタノールに溶解し、上記と同様に高速液体クロマトグラフィーにより分析した。その結果、ヤマブシタケ水熱2段階抽出粉末1g中に、エリナシン0.2mg、ヘリシウム0.3mg、およびβグルカン0.2gが含まれることがわかった。なお、βグルカン分析には、ビージースターAキット(和光純薬工業株式会社製のβグルカン分析キット)を使用した。
(比較例1)
上記実施例1で用いたものと同じヤマブシタケ粉末5gおよび蒸留水20gを耐熱性密閉型容器内に入れ、80℃にて90分間加熱した。加熱終了後、室温まで冷却し、濾過により抽出液を得た。得られた抽出液を真空乾燥機により24時間乾燥し、ヤマブシタケ温水抽出粉末を得た。得られた温水抽出粉末について、酢酸エチル抽出し、抽出液を蒸留・乾燥し、残渣をメタノールに溶解し、上記と同様に高速液体クロマトグラフィーにより分析した。その結果、ヤマブシタケ温水抽出粉末1g中に、エリナシン0.1mg、ヘリシウム0.1mg、およびβグルカン0.01gが含まれることがわかった。なお、βグルカン分析には、ビージースターAキット(和光純薬工業株式会社製のβグルカン分析キット)を使用した。
比較例1の80℃の温水抽出物と比較して、実施例1の2段階抽出による抽出物は、全体として抽出された各成分の量が多かった。特に、水に可溶なβグルカンが多く検出された。また、第二抽出工程で得られた抽出液中には、熱水による変性物と思われるピークも見られた(図2)。
本発明によれば、従来の粉処理に比べて、エリナシン、ヘリシウムなどの有効成分の失活が少なくかつ有効成分全体の収率を高めたヤマブシタケ抽出物を得ることができ、有効成分の体内への吸収率を高めることができる。したがって、本発明のヤマブシタケ抽出物は、健康食品、化粧品、医薬品、食品材料などに利用される。本発明のヤマブシタケ抽出物の製造方法は、これらを製造するために有用である。

Claims (7)

  1. エリナシン、ヘリシウム、およびβグルカンを主成分として含む、ヤマブシタケ抽出物であって、
    (a)ヤマブシタケ、ヤマブシタケの発酵物、ヤマブシタケの粉砕物、およびヤマブシタケ発酵物の粉砕物からなる群より選択される少なくとも1種を200℃以下の温度の熱水で抽出して、熱水抽出物および熱水抽出残渣を得る、第一抽出工程、
    (b)該熱水抽出残渣を2〜40MPaの高圧条件下にて200℃以上および470℃以下の温度の熱水で抽出して、熱水抽出・変性物を得る、第二抽出工程、および
    (c)該熱水抽出物および該熱水抽出・変性物を合わせて、ヤマブシタケ抽出物を得る工程、
    により得られる、
    ヤマブシタケ抽出物。
  2. 前記工程(b)における熱水の温度が、250〜330℃である、請求項1に記載のヤマブシタケ抽出物。
  3. 前記工程(a)における熱水の温度が、100℃以上である、請求項1または2に記載のヤマブシタケ抽出物。
  4. (a)ヤマブシタケ、ヤマブシタケの発酵物、ヤマブシタケの粉砕物、およびヤマブシタケ発酵物の粉砕物からなる群より選択される少なくとも1種を200℃以下の温度の熱水で抽出して、熱水抽出物および熱水抽出残渣を得る、第一抽出工程、
    (b)該熱水抽出残渣を2〜40MPaの高圧条件下にて200℃以上および470℃以下の温度の熱水で抽出して、熱水抽出・変性物を得る、第二抽出工程、および
    (c)該熱水抽出物および該熱水抽出・変性物を合わせて、ヤマブシタケ抽出物を得る工程、
    を包含する、ヤマブシタケ抽出物の製造方法。
  5. 前記ヤマブシタケ抽出物が、エリナシン、ヘリシウム、およびβグルカンを主成分として含む、請求項に記載の方法。
  6. 前記工程(b)における熱水の温度が、250〜330℃である、請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記工程(a)における熱水の温度が、100℃以上である、請求項からのいずれかの項に記載の方法。
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