まず、本実施例に係る半導体記憶装置を詳述する前に、図1〜図10を参照して、半導体記憶装置の一例およびその課題を説明する。
図1は、半導体製造プロセスの微細化に伴うトランジスタ特性を説明するための図であり、nチャネル型MOS(nMOS)トランジスタのゲート電圧(ゲート−ソース間電圧)VG[V]に対するドレイン電流ID[A]を対数表示(log)で示している。
図1において、参照符号L1は、旧プロセスによるnMOSトランジスタの特性を示し、L2は、旧プロセスよりも微細化が進んだ新プロセスによるnMOSトランジスタの特性を示す。
特性L2と特性L1の比較から明らかなように、例えば、ゲート電圧VGが閾値電圧Vth以下になる領域において、新半導体製造プロセスによるドレイン電流ID12は、旧半導体製造プロセスによるドレイン電流ID11よりもはるかに大きいことが分かる。
すなわち、半導体製造プロセスの微細化が進むと、トランジスタのチャネル長が短くなるため、トランジスタのオフ電流の増加、すなわち、トランジスタのリーク電流の増加を来すことになる。
図2は、半導体記憶装置の一例の全体構成を示すブロック図であり、FeRAM(強誘電体メモリ:Ferroelectric Random Access Memory:FRAM(登録商標))の全体構成を示すものである。
ここで、FeRAMは、強誘電体のヒステリシスを利用して正および負の自発分極をデータ『1』および『0』に対応させた不揮発性半導体記憶装置である。なお、本明細書では、半導体記憶装置の例としてFeRAMを説明するが、後述する本実施例の適用は、FeRAMに限定されるものではない。
図2に示すように、FeRAM100は、メモリセルアレイ101,コマンド制御回路102,タイミング回路103,プレート線デコーダ104,ワード線デコーダ105,I/O制御回路106,コラム線デコーダ107およびビット線アンプ108を含む。
メモリセルアレイ101は、例えば、マトリクス状に配置された複数のメモリセルMCを含み、各メモリセルMCは、それぞれワード線WL,ビット線BLおよびプレート線PLに接続されている。なお、メモリセルMCは、例えば、1つのトランジスタおよび1つの容量を含む1T1C型強誘電体メモリセルである。
コマンド制御回路102は、例えば、チップイネーブル信号/CE,アウトプットイネーブル信号/OEおよびライトイネーブル信号/WEといったコマンドを受け取ってタイミング回路103およびI/O(入出力)制御回路106を制御する。
すなわち、チップイネーブル信号/CEおよびアウトプットイネーブル信号/OEを低レベル『L』にすることで、選択されたメモリセルMCからのデータ読み出し動作を行う。また、チップイネーブル信号/CEおよびライトイネーブル信号/WEを『L』から高レベル『H』にすることで、選択されたメモリセルMCへのデータ書き込み動作を行う。
タイミング回路103は、読み出しまたは書き込みコマンドに応答して、選択されたワード線WLおよびプレート線PLの電位を、立ち上げる(Charge:チャージ)或いは立ち下げる(Pre-charge:プリチャージ)タイミングを発生する。さらに、タイミング回路103は、ビット線アンプ108における回路の増幅タイミングも発生する。
参照符号A0〜A16は、外部から入力されるアドレス信号であり、このアドレス信号A0〜A16によりFeRAM100のメモリセルアレイ101における所定のメモリセルMCがアクセスされる。
ここで、アドレス信号A0〜A16は、プレート線デコーダ104およびワード線デコーダ105に入力されるロウアドレス信号A0〜A10、および、コラム線デコーダ(ビット線デコーダ)107に入力されるコラムアドレス信号A11〜A16に分割される。
プレート線デコーダ104およびワード線デコーダ105は、ロウアドレス信号A0〜A10によりプレート線PL#およびワード線WL#を選択制御し、コラム線デコーダ107は、コラムアドレス信号A11〜A16によりビット線BL#を選択制御する。
具体的に、図2の例では、ロウアドレス信号A0〜A10により、プレート線デコーダ104およびワード線デコーダ105を介して、1/2048本のプレート線PLおよびワード線WLを選択する。
さらに、コラムアドレス信号A11〜A16により、コラム線デコーダ107を介して、1/64個のビット線アンプ(108)を選択する。なお、図2の例では、メモリセルアレイ101は、217(128kbit)分のメモリセルMCを含み、その中の所定の1ビットのメモリセルの選択を行う。
ビット線アンプ108は、メモリセルMCに接続されているビット線BLの信号を増幅する回路である。また、参照符号DQは、メモリセルアレイ101から読み出されたデータ信号、および、メモリセルアレイ101に書き込むデータ信号を示す。
すなわち、I/O制御回路106は、コマンド制御回路102の出力信号に従って、外部から入力されたデータ(DQ)をメモリセルアレイ101における所定のメモリセルMCに書き込むか、或いは、所定のメモリセルから読み出されたデータ(DQ)を外部に出力するかの制御を行う。
図3は、図2に示す半導体記憶装置の一部を示す回路図であり、図2のFeRAMにおけるプレート線デコーダ104,ワード線デコーダ105およびメモリセルMCを示すものである。なお、図3において、トランジスタM0〜M3およびTRは、nMOSトランジスタとされているが、これに限定されるものではない。
図3に示すように、メモリセルMCは、トランジスタTRおよび強誘電キャパシタCを含むFeRAMセルとして形成されている。キャパシタCの一端は、プレート線PLに接続され、キャパシタCの他端は、トランジスタTRのソースに接続され、トランジスタTRのゲートは、ワード線WLに接続され、トランジスタTRのドレインは、ビット線BLに接続されている。
ここで、メモリセルMCに対するデータ『1』および『0』の書き込みは、例えば、強誘電体キャパシタCの両電極間に対して、+VDDまたは−VDDの電位差をかけて行う。
本明細書において、メモリセルMCに対してデータ『1』を書き込む場合、例えば、ビット線BLを電源電位(VDD)とし、プレート線PLを接地電位(GND:例えば、0V)とする。また、メモリセルMCに対してデータ『0』を書き込む場合、例えば、ビット線BLをGNDとし、プレート線PLをVDDとする。
なお、書き込み後のデータは、選択されたワード線WLが非選択(トランジスタTRがオフ)になっても保持され、不揮発性データになる。すなわち、強誘電キャパシタCに対する印加電圧を取り去って、残留分極によりデータ『1』および『0』が保持される。
プレート線デコーダ104は、アドレス信号(ロウアドレス)A0〜A10およびタイミング回路103からの制御信号PL-TIMを受け取るデコーダ回路PL-DEC、並びに、デコーダ回路PL-DECの出力に設けられた2段のインバータPL-I11,PL-I12を含む。デコーダ回路PL-DECの出力は、2段のインバータPL-I11,PL-I12を介して、プレート線PLのプレート信号としてメモリセルMCにおけるキャパシタCの一端に入力される。
ワード線デコーダ105は、それぞれアドレス信号とタイミング回路103からの制御信号を受け取る3つのデコーダ回路WL-DEC1,WL-DEC2,WL-DEC3を含む。デコーダ回路WL-DEC1は、アドレス信号A0および制御信号WL-TIM1を受け取り、デコーダ回路WL-DEC1の出力は、2段のインバータWL-I11,WL-I12を介してトランジスタM3のドレインに入力される。
トランジスタM3のゲートには、電源電圧VDDが印加され、トランジスタM3のソースは、トランジスタ(ワード線WLのトランスファゲートトランジスタ)M0のゲートに接続されている。ここで、トランジスタM0のゲート−ソース間(トランジスタM3のソースとプリワード線Pre-WLの間)には、寄生容量C1が存在する。なお、参照符号VTGは、トランジスタM0のゲート電圧を示している。
デコーダ回路WL-DEC1の出力は、インバータWL-I11で反転されてプルダウントランジスタM1のゲートにも入力される。なお、トランジスタM1のソースは、接地(GND)され、トランジスタM1のドレインは、ワード線WLに接続されている。
デコーダ回路WL-DEC2は、アドレス信号A1〜A7および制御信号WL-TIM2を受け取り、デコーダ回路WL-DEC2の出力は、2段のインバータWL-I21,WL-I22を介してトランジスタM2のドレインに入力される。トランジスタM2のゲートには、VDDが印加され、トランジスタM2のソースは、プリワード線Pre-WLに接続されている。
デコーダ回路WL-DEC3は、アドレス信号A8〜A10および制御信号WL-TIM3を受け取り、デコーダ回路WL-DEC3の出力は、2段のインバータWL-I31,WL-I32を介してキャパシタC0の一端に入力される。キャパシタC0の他端は、トランジスタM2のソースおよびトランジスタM0のソース、すなわち、プリワード線Pre-WLに接続されている。
ここで、デコーダ回路WL-DEC1,WL-DEC2およびWL-DEC3の出力は、それぞれ2段のインバータWL-I11,WL-I12、WL-I21,WL-I22およびWL-I31,WL-I32を介して、選択信号WL-SEL1,WL-SEL2およびWL-SEL3として出力される。
なお、図3では、1つのメモリセルMCに接続されたプレート線デコーダ104およびワード線デコーダ105を示しているが、実際には、例えば、マトリクス状に配置された複数のメモリセルMCに対して同様のものが複数設けられている。
このように、プレート線デコーダ104およびワード線デコーダ105は、それぞれタイミング回路103からの制御信号とアドレス信号を入力としてデコードし、所定のワード線WLおよびプレート線PLに接続されたメモリセルMCを選択する。
ここで、ワード線デコーダ105における3つのデコーダ回路WL-DEC1,WL-DEC2,WL-DEC3は、それぞれタイミング回路103からの制御信号とアドレス信号を入力としてデコードし、所定のワード線WLを選択する。すなわち、ワード線デコーダ105は、タイミング回路103に入力される読み出しコマンド或いは書き込みコマンドに基づいて、対応したワード線WLを選択する。
前述したように、ワード線WLは、メモリセルMCにおけるトランジスタ(セルトランジスタ)TRのゲートに接続され、読み出し時には、プレート線PLが選択されることでメモリセルMCにおけるキャパシタCの容量がビット線BLに伝わる。
この際、トランジスタTRと容量Cの接続ノードの電圧(格納電圧STR)は、通常使用される電源電圧VDDよりも低いため、ワード線WLの電圧(トランジスタTRのゲート電圧)は、VDDと同じでも十分にビット線BLに伝わることになる。
書き込み処理を行う場合、プレート線PLは非選択状態(接地電位GND)であり、データ『1』を書き込むとき、ビット線BLはVDDに上がる。また、データ『0』を書き込むとき、ビット線BLは接地電位(GND)になる。
ここで、データ『1』を書き込むとき、ワード線WLは選択状態であるが、格納電圧STRとしてVDDのビット線BLの電位を伝えるには、トランジスタTRのゲート電圧を、例えば、VDDよりも閾値電圧Vth以上高く昇圧する。
そのため、ワード線デコーダ105における3つのデコーダ回路WL-DEC1,WL-DEC2,WL-DEC3により、データ『1』を書き込むときに使用する昇圧電圧を、ワード線WL(トランジスタTRのゲート)に生成するようになっている。なお、このような昇圧電圧は、FeRAMに限定されるものではなく、DRAMを始めとして他の様々な半導体記憶装置においても使用されている。
図4は、図3に示すワード線デコーダの一部を示す回路図であり、アドレス信号A8〜A10およびタイミング回路103からの制御信号WL-TIM3を受け取って選択信号WL-SEL3(WL0-SEL3〜WL7-SEL3)を生成するデコーダ回路WL-DEC3の一例を示すものである。
図4に示すように、デコーダ回路WL-DEC3は、アドレス信号A8〜A10をそれぞれ受け取る2段のインバータI81,I82,I91,I92,I101,I102、および、各インバータの出力および制御信号WL-TIM3を受け取る8つの4入力ナンドゲートNAND50〜NAND57を含む。
ここで、1段目のインバータI81,I91,I101の出力A8X,A9X,A10Xは、アドレス信号A8〜A10の反転論理の信号であり、2段目のインバータI82,I92,I102の出力A8Z,A9Z,A10Zは、アドレス信号A8〜A10と同じ論理の信号である。
ナンドゲートNAND50〜NAND57には、それぞれアドレス信号A8〜A10の反転論理および非反転論理の信号並びに制御信号WL-TIM3が入力され、制御信号WL-TIM3が『H』のときに、アドレス信号に対応した選択信号WL0-SEL3〜WL7-SEL3が出力される。
すなわち、選択信号WL-SEL3(WL0-SEL3〜WL7-SEL3)は、アドレス信号A8〜A10およびタイミング回路103からの制御信号WL-TIM3に基づいて生成される。なお、他のワード線デコーダWL-DEC1およびWL-DEC2、並びに、プレート線デコードPL-DECも、ビット数および制御信号の違いはあるが、図4のワード線デコーダWL-DEC3と同様の構成を有している。
図5は、図2に示す半導体記憶装置におけるタイミング回路の一例を説明するための図である。ここで、図5(a)は、タイミング回路103の構成例を示す回路図であり、図5(b)は、フリップフロップの一例を示す回路図であり、図5(c)は、タイミング回路103の動作を説明するための波形図である。
図5(a)に示すように、タイミング回路103は、SRフリップフロップFF31〜FF33、アンドゲートAND31、および、インバータI31〜I36を含み、縦列接続されたインバータI32〜I36の初段インバータI32には、チップイネーブル信号/CEが入力されている。
アンドゲートAND31の一方の入力には、インバータで論理反転された信号t1が入力され、アンドゲートAND31の他方の入力には、信号t2が入力されている。ここで、信号t1は、インバータI34の出力信号であり、信号t2は、最終段インバータI36の出力信号である。
フリップフロップFF33のセット端子(S)には、チップイネーブル信号/CEがそのまま入力され、フリップフロップFF31のセット端子には、信号t1が入力され、そして、フリップフロップFF32のセット端子には、信号t2が入力されている。なお、各フリップフロップFF31〜FF33のリセット端子(R)には、アンドゲートAND31の出力信号(ワード線WLのリセット信号)WL-rstが入力されている。
図5(b)に示すように、フリップフロップFF(FF31〜FF33)は、それぞれナンドゲートNAND311,NAND312,NAND321,NAND322、および、インバータI311〜I313,I321〜I323を含む。
ここで、ナンドゲートNAND312およびNAND322は、一方の入力と出力が交差接続されたラッチを形成している。また、ナンドゲートNAND312の他方の入力には、ナンドゲートNAND311の出力信号が入力され、ナンドゲートNAND322他方の入力には、ナンドゲートNAND321の出力信号が入力されている。
なお、縦列接続したインバータ、すなわち、インバータI32〜I36,I311〜I313,I321〜I323は、遅延時間を与えるためのものであり、例えば、トランジスタのチャネル長を長くするなどによりトランジスタの駆動能力を低下させるようになっている。
フリップフロップFFのセット端子は、ナンドゲートNAND311の一方の入力に接続されると共に、奇数段(図5(b)では3段)のインバータI311〜I313の初段インバータI311の入力に接続されている。なお、ナンドゲートNAND311の他方の入力は、インバータI311〜I313の最終段インバータI313の出力が接続されている。
同様に、フリップフロップFFのリセット端子は、ナンドゲートNAND321の一方の入力に接続されると共に、奇数段(3段)のインバータI321〜I323の初段インバータI321の入力に接続されている。なお、ナンドゲートNAND321の他方の入力は、インバータI321〜I323の最終段インバータI323の出力が接続されている。
以上により、図5(c)に示すように、チップイネーブル信号/CEが活性化して『H』から『L』へ立ち下がると、それに遅れて信号t1およびt2が順に『L』から『H』へ立ち上がる。
そして、各SRフリップフロップFF31〜FF33は、順に『L』から『H』へ立ち上がる信号(制御信号)WL-TIM1,WL-TIM2,WL-TIM3を出力する。なお、これらの信号WL-TIM1,WL-TIM2,WL-TIM3は、ワード線リセット信号(アンドゲートAND31の出力信号)WL-rstが『L』から『H』へ変化すると、すべて『H』から『L』へ立ち下がってリセットされる。
図6は、半導体記憶装置の一例の動作を説明するための波形図であり、FeRAM(強誘電体メモリ)の動作例を説明するためのものである。図6に示す例では、最初にすべてのメモリセルMCに対してデータ『0』を書き込み、その後、データ『1』を書き込むべき所定のメモリセルMCに対してデータ『1』を書き込むようになっている。
すなわち、図6に示すように、まず、チップイネーブル信号/CEを高レベル『H』から低レベル『L』(/CE=L)にすることで、本半導体記憶装置(FeRAM)が動作する。同時に、アウトプットイネーブル信号/OEを『H』から『L』にして読み出しコマンドを発生し、これにより、メモリセルMCの容量Cからのデータ(格納電圧STR)が読み出される。続いて、ライトイネーブル信号/WEを『H』から『L』にすることで、書き込みコマンドを認識する。
次に、ライトイネーブル信号/WEの『L』から『H』への立ち上がりエッジを用いてデータDQを取り込み、チップイネーブル信号/CEの『L』から『H』への立ち上がりエッジを用いて書き込み動作を開始する。
読み出し時は、ワード線WLを電源電位(VDD)まで立ち上げる。そのとき、選択信号WL-SEL1およびWL-SEL2を順次『L』から『H』へ立ち上げる(図6におけるP11,P12参照)。
すなわち、図3を参照して説明したように、選択信号WL-SEL1を『L』から『H』へ立ち上げると、トランジスタM3を介して、ワード線WLのトランスファゲートトランジスタM0のゲート電圧VTGがV0からV11へ昇圧される(P11)。ここで、トランジスタM3のゲートは、VDDであるため、トランジスタM0のゲートは、VDDよりも低い電位になるが、トランジスタM0はオンする。
次に、選択信号WL-SEL2を『L』から『H』へ立ち上げると、トランジスタM2介してプリワード線Pre-WLのレベルが立ち上がる。
この時、トランジスタM0のゲートとプリワード線Pre-WL(トランジスタM0のソース)の間には寄生容量C1が存在し、トランジスタM0のゲート電圧VTGは、寄生容量C1と結合した電荷によってV11からV12へさらに昇圧される(P12)。
すなわち、トランジスタM0のゲート電圧VTGは、VDDよりも高くなり、これにより、トランジスタM0は、プリワード線Pre-WLの電圧をワード線WLに伝えることが可能になる。
最後に、選択信号WL-SEL3を『L』から『H』へ立ち上げる(図6におけるP13参照)。ここで、選択信号WL-SEL3が出力されるインバータWL-I32の出力は、容量C0を介してプリワード線Pre-WLに接続されている。これにより、容量C0に蓄えられた電荷がプリワード線Pre-WLに伝えられ、プリワード線Pre-WLの電位は、VDDよりもさらに高くなる。
このプリワード線Pre-WLの電位は、寄生容量C1にも伝わり、トランジスタM0のゲート電圧VTGは、V12からさらに高いV13へ昇圧され(P13)、プリワード線Pre-WLのVDDよりも高い電位がトランジスタM0を介してワード線WLに伝えられる。これにより、ワード線WLのレベルは、VDDよりも十分に高い(トランジスタTRの閾値電圧Vth以上高い)電圧Vrwにすることができる。
なお、トランジスタM0のゲート電圧VTGがトランジスタM3の閾値電圧(Vth)よりも高くなると電荷が電源側へ流れ出すため、トランジスタM0のゲート電圧VTGは、トランジスタM3の閾値電圧よりも高くなることはない。
そして、図5(c)を参照して説明したように、例えば、ワード線リセット信号(WL-rst)に従って変化する制御信号(WL-TIM1,WL-TIM2,WL-TIM3)がすべて『H』から『L』へ立ち下がると、選択信号WL-SEL1〜WL-SEL3もすべて『H』から『L』へ立ち下がる(P14)。これにより、トランジスタM0のゲート電圧VTGは、元のV0に戻ることになる。
図7は、図3に示す半導体記憶装置の一部における課題を説明するための図であり、図3と同様の構成を示すものである。前述したように、半導体製造プロセスの微細化が進むと、例えば、トランジスタのチャネル長が短くなり、トランジスタのオフ電流が増加する。
すなわち、トランジスタのゲート電圧が、そのトランジスタの閾値電圧(Vth)以下でトランジスタがオフしていても、かなりのオフ電流(ソース−ドレイン間電流)が流れることになる。
特に、図7におけるトランジスタM3のソース−ドレイン間電流(リーク電流)ILが大きくなると、容量(寄生容量)C1で結合した電荷がインバータWL-I12の電源側に流れてしまい、その結果、トランジスタM0のゲート電圧VTGが低下することになる。この現象は、例えば、読み出しコマンドから書き込みコマンドの間が長時間(例えば、数百nsec.〜μsec.オーダー)の場合に生じる。
具体的に、例えば、システムが第1および第2メモリチップを有し、第1メモリチップに対して読み出しコマンドを出力した後、第2メモリチップに対するアクセスが行われ、その後に第1メモリチップに対する書き込みコマンドが出力される場合が対応する。
或いは、例えば、CPUがメモリ(FeRAM)に対する読み出しコマンドを出力した後、他の周辺回路に対するアクセスを行い、メモリに対する書き込みコマンドが出力されるまでに数μsec.程度の時間が経過した場合などが考えられる。これらは、一般的なシステムにおいて頻繁に生じ得るものである。
図8は、図7を参照して説明した課題が生じたときの半導体記憶装置の動作を説明するための波形図であり、例えば、トランジスタM3のリーク電流ILにより、トランジスタM0のゲート電圧VTGが低下した場合を示す。すなわち、図8は、例えば、読み出しコマンドが出力されてから、長サイクル時間LCTの後に、書き込みコマンドが出力された場合の各信号波形を示している。
図8に示すように、チップイネーブル信号/CEおよびアウトプットイネーブル信号/OEを『H』から『L』へ立ち下げると、選択信号WL-SEL1およびWL-SEL2が順次『L』から『H』へ立ち上がる。これにより、トランスファゲートトランジスタM0のゲート電圧VTGは、段階的にV0→V21→V22へ昇圧される(図8におけるP21,P22参照)。これは、図6を参照して説明したのと同様である。
しかしながら、この状態が長く(長サイクル時間LCT)続くと、例えば、トランジスタM3のリーク電流ILにより、トランジスタM0のゲート電圧VTGは、例えば、図8におけるP24で示すように、V22からV23'へ次第に低下する。
そのため、図8におけるP23で示すように、選択信号WL-SEL3を『L』から『H』へ立ち上げても、トランジスタM0のゲート電圧VTGは、トランジスタM0をオンするのに十分な電圧V23まで昇圧することが難しくなる。
さらに、ワード線WLのレベルも、メモリセルMCのトランジスタTRをオンしてデータ『1』を書き込むのに十分な電圧Vrwまで昇圧することが難しくなる。すなわち、ワード線WLの電位は、Vrw'までしか昇圧することができず、例えば、メモリセルMCのトランジスタTRをオンしてデータ『1』を書き込むことが困難になる。
なお、メモリセルMCへの書き込みが不十分だと、すなわち、強誘電キャパシタCを十分に分極させないと、所定の電荷量がビット線BLに現われず、例えば、読み出し不良を引き起こすことになる。
図9は、図7および図8を参照して説明した課題を解決する手法を説明するための図である。図9に示すように、図7および図8を参照して説明した課題を解決するには、例えば、読み出しの終了と同時に、ワード線WLをプリチャージする(ワード線WLのレベルを落とす)ことが考えられる。
これは、図9におけるPP0に示すように、読み出しが終了したら、ワード線WLをプリチャージレベルに落とす。そして、図9におけるPP1に示すように、次の書き込み時には、再度、ワード線WLを立ち上げることにより、トランジスタM3のリーク電流ILの影響を低減する。
すなわち、トランジスタM3のリーク電流ILによってトランジスタM0のゲート電圧VGTの電位が低下する前に、一旦、ワード線WLの昇圧処理を終了する。そして、次の書き込みコマンドが出力されたら、再度、ワード線WLの昇圧処理を開始することで、ワード線WLのレベルを、メモリセルMCのトランジスタTRをオンしてデータ『1』を書き込むのに十分な電圧Vrwとして書き込み処理を行う。
図10は、図9を参照して説明した課題の解決手法を実現する半導体記憶装置の一例を説明するための図である。ここで、図10(a)は、タイミング回路103の構成例を示す回路図であり、図10(b)は、タイミング回路103の動作を説明するための波形図である。
図10(a)に示すように、タイミング回路103は、SRフリップフロップFF1A,FF1B,FF2A,FF2B,FF3、アンドゲートAND1A,AND1B、オアゲートOR1,OR2、および、インバータI1〜I8を含む。
ここで、縦列接続されたインバータI1〜I8の初段インバータI1には、チップイネーブル信号/CEが入力されている。なお、図10(a)において、アンドゲートAND1A,AND1BおよびフリップフロップFF1B, FF2B,FF3における反転論理の入力には、丸印を付している。
アンドゲートAND1Aの一方の入力およびアンドゲートAND1Bの一方の反転入力には、インバータI1の出力信号が入力され、アンドゲートAND1Aの他方の反転入力およびアンドゲートAND1Bの他方の入力には、終了信号(遅延信号)tendが入力されている。なお、終了信号tendは、最終段インバータI8の出力信号であり、チップイネーブル信号/CEを遅延した、チップイネーブル信号と同じ論理の信号である。
ここで、アンドゲートAND1Bの一方の反転入力に供給するインバータI1の出力信号は、例えば、インバータにより論理反転してアンドゲートAND1Bの非反転入力(正論理の入力)に供給してもよい。或いは、チップイネーブル信号/CEを、アンドゲートAND1Bの非反転入力に供給することもできる。なお、信号の論理および論理ゲート等は、適宜変更することができるのはもちろんである。
フリップフロップFF1Aのセット端子(S)およびFF1Bの反転セット端子には、インバータI3の出力信号t1が入力され、また、フリップフロップFF2Aのセット端子およびFF2Bの反転セット端子には、インバータI5の出力信号t2が入力されている。さらに、フリップフロップFF3の反転セット端子には、インバータI7の出力信号t3が入力されている。
アンドゲートAND1Aの出力信号WL-rstaは、フリップフロップFF1A,FF2Aのリセット端子(R)に入力され、アンドゲートAND1Bの出力信号WL-rstbは、フリップフロップFF1B,FF2B,FF3のリセット端子に入力されている。
フリップフロップFF1A,FF1Bの出力(Q)は、オアゲートOR1に入力されて論理和が取られ、制御信号WL-TIM1として出力され、また、フリップフロップFF2A,FF2Bの出力は、オアゲートOR2に入力されて論理和が取られ、制御信号WL-TIM2として出力される。さらに、フリップフロップFF3の出力は、そのまま制御信号WL-TIM3として出力される。
なお、タイミング回路103からの制御信号WL-TIM1,WL-TIM2,WL-TIM3は、例えば、図3を参照して説明したように、ワード線デコーダ105におけるデコーダ回路WL-DEC1,WL-DEC2,WL-DEC3に入力される。
以上により、読み出しコマンドが出力されてから書き込みコマンドが出力されるまでの時間が長い場合でも、ワード線WLのレベルを、メモリセルMCのトランジスタTRを十分にオンさせることのできる電圧Vrwに昇圧させることが可能になる。
しかしながら、この図9および図10を参照して説明した手法は、ワード線WLをプリチャージレベルに落とした後、再度、ワード線WLを立ち上げるため、消費電流が増大するという新たな課題がある。
ところで、消費電流Iccは、一般的に、回路(FeRAM)の1サイクル当たりの電流をI0、動作周波数をfとしたとき、Icc=I0×fとして算出される。すなわち、周波数が高いほど消費電流が多くなり、周波数が低ければ消費電流は少ない。
また、上述したリーク電流ILに起因したメモリセルMCの書き込み不足は、例えば、システムが他の処理を行うためにサイクル時間が長くなる(動作周波数が低い場合に対応)長サイクル時間LCTのときに起きる現象である。
逆に、消費電流が多くなる高い周波数での動作時、すなわち、サイクル時間が短い通常の動作時には、リーク電流ILに起因したメモリセルMCの書き込み不足が起きる前に、書き込み動作が終了することになる。
以下、本実施例の半導体記憶装置を、添付図面を参照して詳述する。なお、本実施例の半導体記憶装置は、例えば、前述した図1〜図11を参照して半導体記憶装置(FeRAM)に適用される。ただし、本実施例の適用は、FeRAM(強誘電体メモリ)に限定されるものではなく、DRAMを始めとして様々な半導体記憶装置に適用することができるのは前述した通りである。
図11は、本実施例に係る半導体記憶装置の要部を示す回路図であり、タイミング回路103の構成を示すものである。図11に示すように、本実施例のタイミング回路では、図10(a)におけるアンドゲートAND1Aを、時間判定信号DTを一方の反転入力で受け取るアンドゲートAND1A'とし、さらに、時間判定信号生成回路130およびオアゲートOR3が追加されている。
アンドゲートAND1A'の2つの入力は、両方とも反転入力とされ、アンドゲートAND1A'の一方の反転入力には、時間判定信号生成回路130の出力である時間判定信号DTが入力され、アンドゲートAND1A'の他方の反転入力には、終了信号tendが入力されている。
アンドゲートAND1A'の出力信号は、フリップフロップFF1A,FF2Aのリセット端子(R)には直接入力されず、一方の入力にアンドゲートAND1Bの出力(リセット信号)WL-rstbが入力された、新たなオアゲートOR3の他方の入力に入力されている。
オアゲートOR3の出力が、リセット信号WL-rsta'としてフリップフロップFF1A,FF2Aのリセット端子に入力されている。
ここで、時間判定信号DTは、動作周波数が低くてサイクル時間が長くなり(長サイクル時間LCTになり)、前述したリーク電流ILに起因したメモリセルMCの書き込み不足が生じるかどうかを判定するための信号である。
なお、他の構成および信号は、図10(a)と同様であり、その説明は省略する。また、時間判定信号生成回路130は、タイミング回路103の外部に設けてもよい。また、メモリセルMCは、例えば、1つのトランジスタおよび1つの容量を含む1T1C型強誘電体メモリセルを適用することができる。
図12は、時間判定信号生成回路の一例を示す回路図である。図12に示されるように時間判定信号DTを生成する時間判定信号生成回路130は、例えば、タイミング回路103に設けられ、複数のインバータI131〜I136およびアンドゲートAND130を含む。
インバータI131〜I136は、縦列接続され、初段のインバータI131の入力には、チップイネーブル信号/CE(コマンド)が入力され、アンドゲートAND130は、初段のインバータI130の出力および最終段のインバータI136の出力を受け取って論理積を取る。
これにより、所定の判定時間だけ『H』となる時間判定信号DTを生成することができる。なお、インバータの段数および信号の論理等は、適宜変更することができ、また、インバータの代わりに、トランジスタのチャネル長や配線幅等を変化させて遅延時間を制御することもできる。
さらに、例えば、時間判定信号DTによる所定の判定時間と比較するコマンドは、チップイネーブル信号/CEに限定されるものではなく、様々なコマンドを使用してもよい。また、時間判定信号DTおよびコマンドの論理(『DT=H』,『/CE=L』)およびタイミング回路の論理ゲート等も様々に変更され得るのはいうまでもない。
図13は、図12に示す時間判定信号生成回路を適用した場合の波形図を簡略化して示す図であり、図13(a)は、サイクル時間が所定の判定時間よりも短い場合を示し、図13(b)は、サイクル時間が所定の判定時間よりも長い場合を示す。
図13(a)に示すように、サイクル時間が所定の判定時間よりも短い場合、すなわち、チップイネーブル信号/CEが低レベル『L』になる期間が、時間判定信号DTが高レベル『H』になる期間よりも短い場合、図6を参照して説明した処理をそのまま行う。
このとき、『/CE=L』の期間(イネーブル時間)は『DT=H』の期間(所定の判定時間)よりも短いので、オアゲートOR3の出力(リセット信号WL-rsta')は『L』を維持し、フリップフロップFF1A,FF2Aはリセットされない。すなわち、図15および図16を参照して詳述するように、この場合は、図5(a)の回路と同様になり、図6の処理を実行する。
一方、図13(b)に示すように、サイクル時間が所定の判定時間よりも長い場合、すなわち、/CEが低レベル『L』になる期間が、DTが『H』になる期間よりも長い場合には、図9を参照して説明した処理を行う。
このとき、『/CE=L』の期間は『DT=H』の期間よりも長いので、オアゲートOR3の出力(WL-rsta')には、時間判定信号DTが『H』から『L』へ立ち下がるタイミングで高レベル『H』のパルスが生成される。
これにより、フリップフロップFF1A,FF2Aがリセットされ、フリップフロップFF1A,FF2AのQ出力(WL-TIM1A,WL-TIM2A)は『H』から『L』へ立ち下がり、図10(a)の回路と同様になって、図9の処理を実行する。なお、詳細は、後に、図17および図18を参照して説明する。
このように、本実施例によれば、時間判定信号DTにより長サイクル時間(LCT)かどうかを判定して、リーク電流に起因したメモリセルの書き込み不足を解消する処理を行うか否かを決める。
すなわち、『/CE=L』が『DT=H』よりも短ければ、ワード線WLのプリチャージを行わず、『/CE=L』が『DT=H』よりも長ければ、WLのプリチャージを行うことで、消費電流の増加を抑えつつ、十分な書き込み動作を行うことが可能になる。
ところで、図12を参照して説明した時間判定信号生成回路130により時間判定信号DTを生成すると、図7を参照して説明したトランジスタM3のリーク電流ILとは無関係に所定の判定時間を決めることになる。例えば、リーク電流ILが大きい場合には、トランスファゲートトランジスタM0のゲート電圧VTGの電位が下がっている虞がある。
具体的に、トランジスタのリーク電流は、高温になるほど大きく、また、インバータの遅延時間は、高温になるほど大きく(遅く)なる。すなわち、高温になるほど、時間判定信号DTが高レベル『H』になる期間(『DT=H』)が延びることになり、長サイクル時間LCTであると判定され難くなる。
図14は、時間判定信号生成回路の他の例を示す回路図であり、例えば、FeRAMが使用される周囲の温度等によるリーク電流ILの変化を考慮して時間判定信号DTを生成する時間判定信号生成回路130の例を示すものである。
図14に示すように、時間判定信号生成回路130は、実際のワード線デコーダ(例えば、図3に示すワード線デコーダ105)と同様のトランジスタを適用したワード線デコーダモニタ回路150,差動増幅器300および基準電圧生成部310を含む。
ワード線デコーダモニタ回路150は、ワード線デコーダ105におけるトランスファゲートトランジスタM0のゲート電圧VTGの電位が下がっている虞があるために設けられている。
図14と図3の比較から明らかなように、図14におけるワード線デコーダモニタ回路150には、デコーダ回路WL-DEC1,WL-DEC2,WL-DEC3は設けられていない。これは、ワード線デコーダモニタ回路150は、実際のワード線デコーダ105におけるブースト回路部分(ブースト機能)だけをモニタすれば十分だからである。
すなわち、インバータWL-I11の入力には、直接、制御信号WL-TIM1が入力され、インバータWL-I21の入力には、直接、制御信号WL-TIM2が入力され、インバータWL-I31の入力は、接地(GND)されている。
図14に示す時間判定信号生成回路130は、ワード線デコーダモニタ回路150におけるトランスファゲートトランジスタM0のゲート電圧VTGをそのまま差動増幅器300の第1入力に入力し、第2入力の基準電圧Vrと比較(差動増幅)する。
基準電圧生成部310は、昇圧電圧線(VPP)と接地線(GND)の間に直列接続された抵抗R31〜R33と、制御信号CSにより制御されるスイッチSWを含む。スイッチSWは、抵抗R31およびR32の接続ノードの電圧と、抵抗R32およびR33の接続ノードの電圧を切り替えて基準電圧Vrとして差動増幅器300に出力する。
すなわち、スイッチ制御信号CSによりスイッチSWを制御することで、差動増幅器300に入力されるワード線デコーダモニタ回路150からのトランジスタM0のゲート電圧VTGと比較する基準電圧Vrの電位を調整する。これにより、時間判定信号DTにおける所定の判定時間(『DT=H』の期間)の調整を行うことができるようになっている。
なお、基準電圧Vrを生成する基準電圧生成部310は、様々な回路を適用することができ、また、トランジスタM0が確実にオンするゲート電圧VTGに相当する固定の電圧を生成してもよい。
ここで、例えば、図12を参照して説明した時間判定信号生成回路では、インバータI131〜I136による遅延回路を利用して時間判定信号DTを生成するため、リーク電流ILが大きい高温時には、時間判定信号DT(『DT=H』の期間)が長くなる傾向がある。これは、インバータによる遅延回路のnMOSトランジスタは、高温ではオン電流が減少して遅延時間が伸びる特性を有しているためである。
これに対して、図14に示す時間判定信号生成回路では、高温時にリーク電流ILが増大すると、より速くトランスファゲートトランジスタM0のゲート電圧VTGの電位が低下して時間判定信号DT(『DT=H』の期間)が短くなる。
このように、図14に示す時間判定信号生成回路を適用することにより、例えば、FeRAMが使用される周囲の温度等によるリーク電流ILの変化による影響を補償して、適切な動作を行うことが可能になる。
図15は、サイクル時間が所定の判定時間よりも短い場合の半導体記憶装置の動作を説明するための波形図であり、図16は、図15に示す場合の半導体記憶装置の動作を説明するための波形図である。
また、図17は、サイクル時間が所定の判定時間よりも長い場合の半導体記憶装置の動作を説明するための波形図であり、図18は、図17に示す場合の半導体記憶装置の動作を説明するための波形図である。
ここで、図15における『DT=H』の期間は、図17における『DT=H』の期間よりも長く描かれ、『/CE=L』の期間は、図15および図17で同じ長さに描かれているが、『DT=H』の期間と『DT=H』の期間の長短だけを考えればよい。
例えば、図12に示す回路により『DT=H』の期間が固定の時間判定信号DTを生成した場合でも、図14に示す回路により、例えば、周囲温度等により『DT=H』の期間が変化する時間判定信号DTを生成した場合でも処理は同じである。
すなわち、『/CE=L』の期間が『DT=H』の期間よりも短い場合は、図15および図16の処理を行い、『/CE=L』の期間が『DT=H』の期間よりも長い場合は、図17および図18の処理を行う。
まず、図15に示すように、サイクル時間が所定の判定時間よりも短い場合、すなわち、『/CE=L』の期間が『DT=H』の期間よりも短い場合は、図6を参照して説明した処理をそのまま行う。
このとき、図11に示す回路は、『DT=H』の期間、アンドゲートAND1A'の出力は『L』になっており、その間、リセット信号WL-rstbは『L』なので、オアゲートOR3の出力(リセット信号WL-rsta')は『L』を維持する。そのため、フリップフロップFF1B,FF2B1の出力が、そのままオアゲートOR1,OR2の出力(タイミング回路103からの制御信号WL-TIM1,WL-TIM2)になる。
また、図11におけるアンドゲートAND1Bは、実質的に、図5(a)におけるアンドゲートAND31に相当し、図11に示すタイミング回路は、図5(a)に示すタイミング回路に相当することになる。
従って、『/CE=L』の期間が『DT=H』の期間よりも短い場合には、リーク電流ILに起因したメモリセルMCの書き込み不足が起こる前に、書き込み動作が終了する場合であると判断して、そのまま次の書き込みコマンドを待って書き込み処理を行う。すなわち、図16に示す波形図は、前述した図6に示す波形図と同様のものであり、図6を参照して説明した処理がそのまま行われることになる。
次に、図17に示すように、サイクル時間が所定の判定時間よりも長い場合、すなわち、『/CE=L』の期間が『DT=H』の期間よりも長い場合、長サイクル時間LCTであると判定する。
このとき、図11に示す回路は、時間判定信号DTが『H』から『L』へ立ち下がると、アンドゲートAND1A'の出力は『L』から『H』へ立ち上がり、オアゲートOR3から出力されるリセット信号WL-rsta'が『H』になる。
ここで、図11および図17と前述した図10(a)および図10(b)の比較から明らかなように、図17におけるリセット信号WL-rsta'は、図10(b)におけるリセット信号WL-rstaに相当する。
従って、『/CE=L』の期間が『DT=H』の期間よりも長い場合には、リーク電流ILに起因したメモリセルMCの書き込み不足が生じる場合であると判断して、前述した図9および図10と同様の処理を行う。すなわち、図18に示す波形図は、前述した図9に示す波形図と同様のものであり、図9を参照して説明した処理がそのまま行われることになる。
このように、本実施例によれば、長サイクル時間かどうかを判定して、リーク電流に起因したメモリセルの書き込み不足を解消する処理を行うか否かを決めることにより、消費電流の増大を抑えつつ、適切なデータ書き込みを可能にすることができる。
ここで、時間判定信号DTが『DT=H』となる期間(所定の判定時間)は、例えば、図7および図8を参照して詳述したように、トランジスタM3のリーク電流ILにより、トランジスタM0のゲート電圧VTGの低下が問題になる時間に基づいて決められる。
具体的に、例えば、読み出しコマンドから書き込みコマンドの間が1μsec.だと問題が生じる場合には、余裕をみて、判定時間(『DT=H』となる期間)を500nsec.程度に決めることができる。
この判定時間は、前述したように、例えば、適用するFeRAMが使用される温度等の環境に応じてダイナミックに変化する値に設定してもよいが、FeRAMの仕様などにより適切な固定値に設定することもできる。
図19は、本実施例に係る半導体記憶装置による消費電力の低減を説明するための図である。図19において、参照符号LL1は、ワード線WLのレベルを落とさない場合(図6)の特性、LL2は、ワード線WLのレベルを落とした場合(図9:ワード線WLをプリチャージした場合)の特性、そして、LL3は、本実施例を適用した場合の特性を示す。
なお、図19において、横軸は、周波数[Hz]を示し、縦軸は、消費電流[A]を示す。また、図19では、説明を簡略化するために、1M[Hz]の周波数以下で長サイクル時間LCTへ遷移、すなわち、『/CE=L』の期間が『DT=H』の期間よりも長く、リーク電流ILに起因したメモリセルMCの書き込み不足が生じるものとする。
図19のLL1,LL2に示すように、いずれの場合でも消費電流は、周波数が高くなるほど増大するが、LL1の方がワード線WLの充放電による消費が無いため、LL2よりも消費電流は小さくなる。この消費電流の差(LL1とLL2の差)は、周波数が高いほど顕著になる。
なお、ワード線WLのレベルを落とさないLL1では、例えば、動作周波数が数百K[Hz](1M[Hz]よりも低い周波数)になると、リーク電流ILに起因したメモリセルMCの書き込み不足が生じることになる。従って、リーク電流ILに関わらずメモリセルMCへ正しいデータ書き込みをするには、LL2のように、ワード線WLのレベルを落として、すなわち、ワード線をプリチャージした後に、データ『1』を書き込む処理を行う。
これに対して、本実施例によれば、図19のLL3に示すように、例えば、『/CE=L』の期間が『DT=H』の期間よりも短ければ、すなわち、動作周波数が1M[Hz]よりも高ければ、LL1と同様の消費電流とすることができる。ここで、本実施例によれば、動作周波数が最高周波数(例えば、10[MHz])のときに、最大の消費電流を低減することが可能になる。
また、本実施例によれば、例えば、『/CE=L』の期間が『DT=H』の期間よりも長ければ、すなわち、動作周波数が1M[Hz]よりも低ければ、リーク電流ILに関わらずメモリセルへ正しいデータ書き込みをするために、LL2と同様の消費電流になる。ここで、動作周波数が1M[Hz]よりも低い場合の消費電流の増加(LL2とLL1の差)は、実質的にそれほど大きくなくてすむことになる。
なお、前述した図14に示す時間判定信号生成回路を適用した場合には、周囲の温度等によるリーク電流ILの変化による影響を補償することができるため、予め見積もる余裕を小さくすることができる。すなわち、図19において、LL1とLL2を切り替える周波数(1M[Hz])をより低い周波数へ設定して、さらなる消費電力の低減を図ることが可能になる。
ところで、例えば、電源幅の設計は、最高周波数で動作した場合の電流でも安定して供給できるように、電源の平滑容量の配置や電源配線幅を設定している。上述した本実施例を適用することにより、最高周波数の消費電流を低減することができ、例えば、全ての動作周波数でワード線のレベルを落とす場合よりも、電源の配線幅を太らせることなく、安定した電源電圧に保つことが可能になる。
なお、本実施例は、FeRAMに限定されるものではなく、DRAMを始めとして他の様々な半導体記憶装置に対しても適用することができる。
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものであり、特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではない。また、明細書のそのような記載は、発明の利点および欠点を示すものでもない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに、以下の付記を開示する。
(付記1)
複数のメモリセルを有するメモリセルアレイと、
それぞれの前記メモリセルに接続されるワード線の選択および電圧レベルを制御するワード線デコーダと、
コマンドの変化を判定する基準である判定時間を表す時間判定信号を生成する時間判定信号生成回路と、
前記コマンドの変化を前記時間判定信号により判定して、選択されたワード線をプリチャージするか否かを制御する制御信号を生成するタイミング回路と、を有する、
ことを特徴とする半導体記憶装置。
(付記2)
前記時間判定信号生成回路は、前記タイミング回路に設けられている、
ことを特徴とする付記1に記載の半導体記憶装置。
(付記3)
前記制御信号は、前記ワード線デコーダにおけるデコーダ回路を制御する、
ことを特徴とする付記1または付記2に記載の半導体記憶装置。
(付記4)
前記コマンドの変化は、前記メモリセルをアクセスするサイクル時間に対応する、
ことを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
(付記5)
さらに、
それぞれの前記メモリセルに接続されるビット線の選択を制御するコラム線デコーダを有する、
ことを特徴とする付記1乃至付記4のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
(付記6)
前記半導体記憶装置は、強誘電体メモリであり、
さらに、
それぞれの前記メモリセルに接続されるプレート線の選択を制御するプレート線デコーダを有する、
ことを特徴とする付記5に記載の半導体記憶装置。
(付記7)
前記メモリセルは、1つのトランジスタおよび1つの容量を含む1T1C型強誘電体メモリセルである、
ことを特徴とする付記6に記載の半導体記憶装置。
(付記8)
前記選択されたワード線をプリチャージするか否かの制御は、
書き込みコマンドが出力されてから、前記メモリセルに接続されたビット線の電位を電源電圧とすると共に、前記メモリセルに接続されたプレート線の電位を接地電位として第1データを書き込む書き込みコマンドが出力されるときに行われる、
ことを特徴とする付記7に記載の半導体記憶装置。
(付記9)
前記選択されたワード線をプリチャージするか否かの制御は、
すべての前記メモリセルに前記第1データとは異なる第2データを書き込んだ後、前記第1データを書き込むときに行われる、
ことを特徴とする付記8に記載の半導体記憶装置。
(付記10)
前記コマンドは、チップイネーブル信号である、
ことを特徴とする付記1乃至付記9のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
(付記11)
前記タイミング回路は、
前記チップイネーブル信号および前記時間判定信号を比較し、前記チップイネーブル信号によるイネーブル時間が、前記時間判定信号による前記判定時間よりも長いときに、前記選択されたワード線をプリチャージする、
ことを特徴とする付記1乃至付記10のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
(付記12)
前記時間判定信号生成回路は、さらに、
前記ワード線デコーダにおけるリーク電流をモニタするワード線デコーダモニタ回路を有し、
前記時間判定信号生成回路は、前記ワード線デコーダモニタ回路の出力信号を使用して前記時間判定信号を生成する、
ことを特徴とする付記1乃至付記11のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
(付記13)
前記時間判定信号生成回路は、さらに、
前記ワード線デコーダモニタ回路によりモニタされた前記ワード線に接続されるトランスファゲートトランジスタのゲート電圧と、基準電圧を比較して、前記時間判定信号における前記判定時間を規定する差動増幅器を有する、
ことを特徴とする付記1乃至付記12のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
(付記14)
前記基準電圧の電位は、調整可能とされている、
ことを特徴とする付記13に記載の半導体記憶装置。
(付記15)
前記ワード線デコーダは、
前記選択されたワード線に接続されるトランスファゲートトランジスタのゲート電圧を複数段階で昇圧するようになっている、
ことを特徴とする付記1乃至付記14のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。