JP6285325B2 - 植物由来炭素前駆体の精製方法 - Google Patents
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[1]植物由来の炭素前駆体の精製方法であって、
1)炭素前駆体を互いに擦り合わせることにより炭素前駆体から繊維質部分を除去することによって、炭素前駆体中の金属元素の含有量を低下させる工程、および
2)前記繊維質部分を除去した炭素前駆体を有機酸水溶液中に浸漬することにより、炭素前駆体中の金属元素および/または非金属元素の含有量を低下させる工程
を含んでなり、精製後の炭素前駆体中のカリウムの含有量は100ppm以下である、方法。
[2]精製前の炭素前駆中のカリウムの含有量K(a)、マグネシウムの含有量Mg(a)およびカルシウムの含有量Ca(a)に対する精製後の炭素前駆体中のカリウムの含有量K(b)、マグネシウムの含有量Mg(b)およびカルシウムの含有量Ca(b)の割合はそれぞれ、
K(b)/K(a)≦0.1
Mg(b)/Mg(a)≦0.2
Ca(b)/Ca(a)≦0.2
である、上記[1]に記載の方法。
[3]精製前の炭素前駆中のケイ素の含有量Si(a)、アルミニウムの含有量Al(a)およびリンの含有量P(a)に対する精製後の炭素前駆体中のケイ素の含有量Si(b)、アルミニウムの含有量Al(b)、リンの含有量P(b)の割合はそれぞれ、
Si(b)/Si(a)≦0.7
Al(b)/Al(a)≦0.7
P(b)/P(a)≦0.7
である、上記[1]または[2]に記載の方法。
[4]植物由来の炭素前駆体は椰子殻である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法により炭素前駆体を精製し、次いで精製した炭素前駆体を炭化する、炭化物の製造方法。
[6]炭化は、精製した炭素前駆体を、不活性ガス雰囲気下、250〜800℃において加熱することにより行う、上記[5]に記載の製造方法。
K(b)/K(a)≦0.1、
Mg(b)/Mg(a)≦0.2、および
Ca(b)/Ca(a)≦0.2、
より好ましくは
K(b)/K(a)≦0.05、
Mg(b)/Mg(a)≦0.15、および
Ca(b)/Ca(a)≦0.16
である場合、繊維質部分および金属元素の除去が効率的に行われる。
Si(b)/Si(a)≦0.7、
Al(b)/Al(a)≦0.7、および
P(b)/P(a)≦0.7、
より好ましくは
Si(b)/Si(a)≦0.67、
Al(b)/Al(a)≦0.66、および
P(b)/P(a)≦0.68
である場合、繊維質部分および金属元素の除去がより効率的に行われる。
椰子殻チップ中の金属元素含有量は、蛍光X線分析装置(株式会社リガク製ZSX Primusμ)を用いて評価した。ここで、植物中の金属元素含有量は、採取季節等に応じて部位によりバラツキが存在する。また、金属元素分析では、金属存在形態(結晶化度)によりX線の強度が異なる。したがって、炭化物中の金属が同等の結晶化度となるように以下の炭化条件に統一して椰子殻チップを炭化した後、得られた炭化物中の金属元素および非金属元素の含有量について蛍光X線分析を行った。
実施例1〜4では、精製前の椰子殻チップおよび精製後の椰子殻チップを、以下の炭化条件に従って炭化し、得られた植物由来チャーの蛍光X線分析結果および炭化物の回収率に基づいて精製前の椰子殻チップおよび精製後の椰子殻チップ中の金属元素および非金属元素の含有量をそれぞれ算出した。
また、比較例1および2では、椰子殻チップを以下の炭化条件に従って炭化し、得られた植物由来チャーの蛍光X線分析結果および炭化物の回収率に基づいて炭化前の椰子殻チップ中の金属元素および非金属元素の含有量を算出した。
なお、本条件下で、金属成分および非金属成分が揮発して外部に気散しないことは、別途排気ガスの分析により確認した。
回収物20gを坩堝に入れ、光洋サーモ製KTF1100炉(内径70mmΦ)を用いて、酸素含量15ppmの窒素気流3L/分(0.012メートル/秒)の流量下、10℃/分で500℃まで昇温、60分保持した後、6時間かけて冷却し、50℃以下で取り出した。
約10mm角の椰子殻チップ(フィリピン、ミンダナオ島産)200gを精米機(ツインバード製精米御膳NR−E700)に入れ、繊維質部分の除去を3分間行った。椰子殻チップの回収重量は180gであり、炭化物の回収率は90%であった。次に、得られた約10mm角の椰子殻チップ150gを7.4重量%クエン酸水溶液2000gに浸漬し、90℃に加温し、3時間加熱した後、室温まで冷却し、ろ過により脱液した。この操作を3回繰り返し、脱灰を行った。脱灰した椰子殻を真空1Torr下、80℃で24時間乾燥した。このようにして精製した椰子殻チップを、上記の炭化条件に従って炭化した。炭化物の回収率は29.1%であった。
実施例1において2.4重量%酢酸水溶液を用いたことを除いて、実施例1と同様に炭化物を製造した。炭化物の回収率は、29.2%であった。
実施例2において70℃、5時間で5回脱灰操作を行ったことを除いて、実施例2と同様に炭化物を製造した。炭化物の回収率は、28.8%であった。
実施例1において、椰子殻チップ(インドネシア、スマトラ島産)を用いたことを除いて、実施例1と同様に炭化物を製造した。繊維質部分の除去した椰子殻チップの回収率は、91%であった。また、炭化物の回収率は、28.5%であった。
実施例1において繊維質部分の除去および脱灰を行わなかったことを除いて、実施例1と同様に炭化物を製造した。炭化物の回収率は、27.2%であった。
<比較例2>
実施例4において繊維質部分の除去および脱灰を行わなかったことを除いて、実施例4と同様に炭化物を製造した。炭化物の回収率は、27.5%であった。
Claims (6)
- 植物由来の炭素前駆体の精製方法であって、
1)炭素前駆体を互いに擦り合わせることにより炭素前駆体から繊維質部分を除去することによって、炭素前駆体中の金属元素の含有量を低下させる工程、および
2)前記繊維質部分を除去した炭素前駆体を有機酸水溶液中に浸漬することにより、炭素前駆体中の金属元素および/または非金属元素の含有量を低下させる工程
を含んでなり、精製後の炭素前駆体中のカリウムの含有量は100ppm以下である、方法。 - 精製前の炭素前駆中のカリウムの含有量K(a)、マグネシウムの含有量Mg(a)およびカルシウムの含有量Ca(a)に対する精製後の炭素前駆体中のカリウムの含有量K(b)、マグネシウムの含有量Mg(b)およびカルシウムの含有量Ca(b)の割合はそれぞれ、
K(b)/K(a)≦0.1
Mg(b)/Mg(a)≦0.2
Ca(b)/Ca(a)≦0.2
である、請求項1に記載の方法。 - 精製前の炭素前駆中のケイ素の含有量Si(a)、アルミニウムの含有量Al(a)、リンの含有量P(a)に対する精製後の炭素前駆体中のケイ素の含有量Si(b)、アルミニウムの含有量Al(b)、リンの含有量P(b)の割合はそれぞれ、
Si(b)/Si(a)≦0.7
Al(b)/Al(a)≦0.7
P(b)/P(a)≦0.7
である、請求項1または2に記載の方法。 - 植物由来の炭素前駆体は椰子殻である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の方法により炭素前駆体を精製し、次いで精製した炭素前駆体を炭化する、炭化物の製造方法。
- 炭化は、精製した炭素前駆体を、不活性ガス雰囲気下、250〜800℃において加熱することにより行う、請求項5に記載の製造方法。
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