JP6285050B2 - マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤 - Google Patents

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Description

本発明は、マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤に関する。
細胞外マトリックス(ECM:Extra cellular matrix)は、動物細胞の周囲に形成される構造体で、細胞外間隙を充填するだけでなく、各細胞を固定、接着する足場の役割を持つ。また、細胞外マトリックスは、生体の恒常性維持にも関わることが知られており、細胞の増殖や分化、移動、細胞死などを調節していることも知られている。細胞外マトリックスの主なものとしては、コラーゲン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、ラミニンなどが知られている。
これらの細胞外マトリックスを分解する酵素として、マトリックスメタロプロテアーゼ(Matrix metallo proteinase 以下MMPという)がある。MMPは、構造と機能に共通性をもつ金属要求性の中性プロテアーゼで、細胞外および細胞膜上で機能する。MMPは、構造上よく保存されたいくつかのドメイン構造からなり、シグナル配列、活性中心領域、およびその制御領域であるプロペプチド領域を基本的構造とする。(非特許文献1、非特許文献2)
MMPのうち、MMP−1、MMP−8、MMP−13およびMMP−18は、コラゲナーゼ群に属し、細胞外マトリックスのうちI、II及びIII型コラーゲンを分解する。MMP−2およびMMP−9は、ゼラチナーゼ群に属し、I、IIおよびIII型コラーゲンを分解するほか、コラゲナーゼ等により分解されたコラーゲン(変性コラーゲン)をさらに分解すること、基底膜の主要成分であるIV型コラーゲンの分解やエラスチンの分解にも関与していることが知られている。また、MMP−3、10、および11はストロムライシン群に属し、ラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカンなどのマトリックス蛋白質を分解する。また、これらと類似の構造を有するエラスチン分解活性を持つメタロエラスターゼであるMMP−12や、マトリライシン群に属するMMP−7、MMP−26などが存在する。また、膜型MMP(MMT−MP)群であるMMP−14、15、16およびMMP−17、24、25は膜貫領域を有し、いずれも細胞外マトリックス分解に関わっていることが知られている。(非特許文献1、非特許文献2)
細胞外マトリックス成分を分解するMMPの機能は、生体内では非常に厳密にコントロールされており、1)遺伝子発現、2)前駆体の活性型への変換、3)活性型MMPへの阻害因子の結合などの多段階で制御されている(非特許文献1)。MMPは細胞外マトリックスを破壊することで、胚の発生および組織の分化、血管新生などで働くが、その他にも癌の浸潤や転移、関節炎や歯周病、組織の潰瘍形成(角膜潰瘍、胃潰瘍、あるいは表皮性潰瘍)にもかかわることが知られている(非特許文献1、非特許文献2)。
MMPの阻害効果をもつ薬物として、CGS27023a(非特許文献3)、コラーゲントリペプチド(非特許文献4)、フラボノイド化合物(特許文献1)、カテキン化合物(特許文献2)などが知られている。また、MMPの産生阻害効果をもつものとして、シカクマメ抽出物(特許文献3)、メナテトレノン(特許文献4)などが知られている。
ところで、植物ステロールのうち、シクロラノスタン骨格を有する化合物やロフェノール骨格を有する化合物には、動脈硬化モデル動物において、血中過酸化脂質量を低減させる作用があること、胸部大動脈のプラーク形成数を抑制する作用があることが見出され、抗酸化剤としての用途が提案されている(特許文献5)。しかしながら、これらの化合物について、MMPとの関係はこれまで知られていなかった。
化学と生物,Vol.35,No.12,p.816−818,1997 生物物理化学,Vol.47,p.111−116,2003 Journal of Medicinal Chemistry,Vol.40,p.2525−2532,1997 Prev Nutr Food Sci,Vol.17,p.245−253,2012
特開平8−104628号公報 特開2000−226329号公報 特開2012−206984号公報 国際公開第2004/093858号 国際公開第2010/058795号
特許文献1〜4に記載のように、MMP阻害作用を示す素材が提案されている中、安全に摂取できる素材の開発が更に求められていた。
そこで、本発明は、日常的に安全に摂取でき、MMP産生を阻害し得る機能性素材、これを利用した薬剤を提供することを課題とする。
前記課題を解決する第一の発明は、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を有効成分として含有する、マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤であって、
前記マトリックスメタロプロテアーゼがマトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−12、及びマトリックスメタロプロテアーゼ−13からなる群から選択されるいずれかであり、
子宮内膜症、炎症性腸疾患、褥瘡、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、歯周炎、多発性硬化症、歯肉炎、胃潰瘍からなる群から選択されるいずれかの疾患の予防又は改善に用いられる、
マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤である(以下、「本発明の阻害剤」という)。
本発明の好ましい形態では、前記阻害剤は、前記化合物を総量で0.00001質量%以上含む。
本発明の好ましい形態では、前記化合物は、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール、4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オール、9,19−シクロラノスタン−3−オール、及び24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オールからなる群から選択される。
本発明の阻害剤は、特に、マトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−9、マトリックスメタロプロテアーゼ−12、及びマトリックスメタロプロテアーゼ−13からなる群から選択されるマトリックスメタロプロテアーゼの産生阻害に有効である。
また、前記課題を解決する第二の発明は、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を使用することを特徴とするマトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤の製造方法であって、
前記マトリックスメタロプロテアーゼがマトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−12、及びマトリックスメタロプロテアーゼ−13からなる群から選択されるいずれかであり、
前記マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤が子宮内膜症、炎症性腸疾患、褥瘡、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、歯周炎、多発性硬化症、歯肉炎、胃潰瘍からなる群から選択されるいずれかの疾患の予防又は改善に用いられる製造方法であり、前記化合物の好ましい形態は前述した通りである。
また、第二の発明には、以下の形態が含まれる。
マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤の製造における、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を総量で0.00001質量%以上含有する組成物の使用。
本発明の好ましい形態では、マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤は、マトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−9、マトリックスメタロプロテアーゼ−12、及びマトリックスメタロプロテアーゼ−13からなる群から選択されるマトリックスメタロプロテアーゼの産生阻害剤である。
第二の発明は、細胞外マトリックスの分解に起因する症状を予防又は改善するための医薬の製造におけるロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物の使用の形態を含む。
また、該形態には、以下のものも含まれる。
細胞外マトリックスの分解に起因する症状を予防又は改善するための医薬の製造における、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を総量で0.00001質量%以上含有する組成物の使用。
また、前記課題を解決する第三の発明は、マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害のために用いられるロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物であり、前記化合物の好ましい形態は前述した通りである。
本発明の好ましい形態では、前記化合物は、マトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−9、マトリックスメタロプロテアーゼ−12、及びマトリックスメタロプロテアーゼ−13からなる群から選択されるマトリックスメタロプロテアーゼの産生阻害のために用いられる。
また、前記化合物は細胞外マトリックスの分解に起因する症状を予防又は改善するために用いられることが好ましい。
また、前記課題を解決する第四の発明は、マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害のために用いられるロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を総量で0.00001質量%以上含有する組成物であり、前記化合物の好ましい形態は前述した通りである。
第四の発明は、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を総量で0.00001質量%以上含む組成物を含有する、マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害用飲食品組成物であって、
前記マトリックスメタロプロテアーゼがマトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−12、及びマトリックスメタロプロテアーゼ−13からなる群から選択されるいずれかであり、
子宮内膜症、炎症性腸疾患、褥瘡、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、歯周炎、多発性硬化症、歯肉炎、胃潰瘍からなる群から選択されるいずれかの疾患の予防又は改善に用いられる、
マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害用飲食品組成物である。
本発明の好ましい形態では、前記組成物は、マトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−9、マトリックスメタロプロテアーゼ−12、及びマトリックスメタロプロテアーゼ−13からなる群から選択されるマトリックスメタロプロテアーゼの産生阻害のために用いられる。
また、前記組成物は細胞外マトリックスの分解に起因する症状を予防又は改善するために用いられることが好ましい。
また、前記課題を解決する第五の発明は、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を、マトリックスメタロプロテアーゼの産生の阻害が必要な対象に投与することを含む、マトリックスメタロプロテアーゼの産生を阻害する方法(但し、人体の予防、改善、及び治療方法を除く)であって、
前記マトリックスメタロプロテアーゼがマトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−12、及びマトリックスメタロプロテアーゼ−13からなる群から選択されるいずれかであり、
子宮内膜症、炎症性腸疾患、褥瘡、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、歯周炎、多発性硬化症、歯肉炎、胃潰瘍からなる群から選択されるいずれかの疾患の予防又は改善に用いられる、方法である。前記化合物の好ましい形態は前述した通りである。
本発明の好ましい形態では、マトリックスメタロプロテアーゼは、マトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−9、マトリックスメタロプロテアーゼ−12、及びマトリックスメタロプロテアーゼ−13からなる群から選択される。
また、該形態には、以下が含まれる。
ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を、細胞外マトリックスの分解に起因する疾患又は症状を有する対象に投与することを含む、細胞外マトリックスの分解に起因する疾患又は症状の改善又は予防方法。
また、第五の発明は、以下を好ましい形態としている。
ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を、総量で0.00001質量%以上含有する組成物を投与すること。
細胞外マトリックスの分解に起因する疾患又は症状としては、炎症性疾患が挙げられる。また、該疾患又は症状としては、歯肉炎又は歯周炎、組織潰瘍、皮膚疾患、関節炎、癌の浸潤又は転移、子宮内膜症が挙げられ、前記化合物又はこれを含む前記組成物は、これらの症状の予防又は改善に特に有効である。
本発明の阻害剤は、安全に服用でき、マトリックスメタロプロテアーゼの産生を効果的に阻害する。本発明の阻害剤は、関節炎、炎症性疾患、歯周病、骨疾患、癌の浸潤及び転移、動脈瘤疾患、角化異常症、紫外線等による皮膚炎症疾患、皮膚老化等の予防又は改善、治療に有用である。
実施例1における各群のマウスの細胞外マトリックス組織切片の光学顕微鏡写真である。図中、矢印は、線維の断裂がみられる箇所を示す。
次に、本発明の好ましい形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
本発明の阻害剤は、ロフェノール化合物(化合物1)及びシクロラノスタン化合物(化合物2)からなる群から選択される化合物を有効成分として含有する。化合物1及び化合物2は、それぞれ以下の一般式(1)及び一般式(2)で表される。
一般式(1)中、R1は、炭素数5〜16の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、又は2重結合を1つ若しくは2つ含むアルケニル基である。また、前記アルキル基又はアルケニル基は、1又は2の水素原子がヒドロキシル基及び/又はカルボニル基に置換された置換アルキル基又は置換アルケニル基であってもよい。
また、R2、R3は各々独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。ここで、前記炭素原子数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基等が好ましく、メチル基が特に好ましい。また、前記アルキル基は、少なくとも1の水素原子がヒドロキシル基及び/又はカルボニル基に置換された置換アルキル基であってもよい。
また、R4は環を構成する炭素原子とともにC=Oを形成するか、又は−OH、−OCOCHの何れかである。
前記一般式(1)中、R1は、下記式で表される基の何れかであることが好ましい。
また、前記一般式(1)中、R2及びR3の一方が水素原子であり、他方がメチル基であることが好ましく、R4が水酸基であることが好ましい。
化合物1として、好ましくは、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール及び4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オールが挙げられる。各化合物は、それぞれ、以下の式で表される構造を有する。
化合物1は、公知の製造方法に準じて化学的に製造することができる。
例えば、Vitali Matyash et al., PLOS BIOLOGY, Volume 2, Issue 10, e280, 2004 に記載されたサプリメントデータに準じて、合成することが可能である。
また、化合物1が植物に含まれていることは公知であり、公知のロフェノールの製造方法に準じて製造することができる(生物化学実験法24、脂肪脂質代謝実験法、山田晃弘著、学会出版センター、第174ページ、1989年)。
例えば、化合物1が含まれていることが公知の植物より、熱水抽出法、有機溶媒抽出法、超臨界抽出法又は亜臨界抽出法などの方法を用いて抽出することが可能である(例えば、特許第3905913号公報参照)。化合物1は、例えばユリ科、マメ科、イネ科、ナス科及びバショウ科の植物から抽出することができる。
前記のようにして製造した化合物は、例えば、マススペクトル(MS)法、及び核磁気共鳴スペクトル(NMR)法等によって、その分子量や構造等を決定又は確認することができる。
また、化合物1は、医薬に許容される塩であってもよい。医薬に許容される塩として、金属塩(無機塩)と有機塩との両方が含まれ、それらのリストは「レミントン・ファーマシューティカル・サイエンシーズ(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第17版、1985年、第1418頁」に掲載されているものが例示される。
具体的には塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、及び臭化水素酸塩などの無機酸塩や、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩、サリチル酸塩、及びステアリン酸塩などの有機酸塩が非限定的に含まれる。
また、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の金属の塩、リジン等のアミノ酸との塩とすることもできる。また、前記化合物若しくはその医薬に許容される塩の水和物等の溶媒和物も使用できる。
一般式(2)中、R5は、炭素数6〜8の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基、2重結合を1つ又は2つ含むアルケニル基である。また、前記アルキル基又はアルケニル基は、1又は2の水素原子がヒドロキシル基及び/又はカルボニル基に置換された置換アルキル基又は置換アルケニル基であってもよい。
また、R6、R7は各々独立に水素原子又はメチル基である。また、R8は環を構成する炭素原子とともにC=Oを形成するか、又は下記式の何れかである。
前記一般式(2)中、R5は、下記式で表される基の何れかであることが好ましい。
また、前記一般式(2)中、R6及びR7の一方が水素原子であり、他方がメチル基であることが好ましく、R8が水酸基であることが好ましい。
化合物2としては、好ましくは、9,19−シクロラノスタン−3−オール及び24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オールが挙げられる。各化合物は、それぞれ、以下の式で表される構造を有する。
化合物2は、公知の製造方法に準じて化学的に製造することができる。例えば、24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オール(慣用名:24−メチレンシクロアルタノール)は、特開昭57−018617号公報や国際公開第2012/023599号(γ−オリザノールから合成する方法)に開示される方法にて製造することが可能である)。また、化合物2は、特開2003−277269号公報に開示される方法にて、シクロアルテノールフェルレートの加水分解物を出発物質として製造することが可能である。
また、化合物2も、ユリ科、マメ科、イネ科、ナス科及びバショウ科などの植物に含まれていることが知られている(〔フィトケミストリー(Phytochemistry)、米国、1977年、第16巻、第140〜141ページ〕、〔ハンドブック・オブ・フィトケミカル・コンスティチュエンツ・オブ・GRAS・ハーブ・アンド・アザー・エコノミック・プランツ(Handbook of phytochemical constituents of GRAS herbs and other economic plants)、1992年、米国、シーアールシープレス〕、又は〔ハーゲルズ・ハントブーフ・デア・ファルマツォイティシェン・プラクシス(Hager's Handbuch der Pharmazeutischen Praxis)、第2〜6巻、1969〜1979年、ドイツ、シュプリンガー・フェアラークベルリン〕参照)。よって、化合物2は、これらの植物より、有機溶媒抽出法又は熱水抽出法などの公知の方法を用いて抽出することが可能である(例えば、特許第3924310号公報参照)。
前記のようにして製造した化合物は、例えば、マススペクトル(MS)法、及び核磁気共鳴スペクトル(NMR)法等によって、その分子量や構造等を決定又は確認することができる。
また、化合物2は、医薬に許容される塩であってもよい。このような塩は化合物1について例示した通りである。
本発明の阻害剤は、化合物1及び化合物2からなる群から選択される化合物を、有効成分として含有する。該化合物は、1種でも、複数種でもよい。
化合物1又は化合物2を単独で用いる場合としては、化合物1(主に、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール、若しくは4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オール)、又は化合物2(主に、9,19−シクロラノスタン−3−オール若しくは24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オール)の何れかであることが好ましい。
中でも薬剤の有効成分として使用する場合において考慮される溶解性等の物性の点で、化合物1としては、4−メチルコレスト−7−エン−3−オールが特に好ましく、化合物2としては、9,19−シクロラノスタン−3−オールが特に好ましい。
また、化合物1と化合物2とを対比した場合では、化合物1(主に、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール又は4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オール)であることがより好ましい。
また、化合物1又は化合物2各々においても、1種の化合物を用いてもよいし、複数の化合物を混合して用いてもよい。
本発明の阻害剤は、好ましくは、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール、4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オール、9,19−シクロラノスタン−3−オール、及び24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オールからなる群から選択される化合物を有効成分として含有する。
本発明の阻害剤における前記化合物の含有量は、症状等に応じて適宜選択することができるが、総量で、好ましくは少なくとも0.00001質量%、より好ましくは少なくとも0.0001質量%、さらに好ましくは少なくとも0.0005質量%、特に好ましくは少なくとも0.001質量%である。また本発明の阻害剤における当該量の上限は特に制限されないが、総量で、90質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下が例示される。
また、本発明の阻害剤は、化合物1及び化合物2からなる群から選択される化合物を含む組成物を、有効成分として含有する。該化合物は、1種でも、複数種でもよい。
このような組成物としては、例えば、前述した化合物1を含む植物から得られた抽出物、化合物2を含む植物から得られた抽出物、及び化合物1及び化合物2の両者を含む植物から得られた抽出物、並びにこれらの混合物が挙げられる。
本発明の阻害剤は、好ましくは化合物1及び化合物2の両者を組み合わせて含有する。化合物1及び化合物2は、それぞれ1種でも、複数種でもよい。このような態様では、化合物1及び化合物2の両者を含む組成物を有効成分として用いることができる。該組成物として、化合物1及び化合物2の両者を含む植物から得られた抽出物が好ましく挙げられる。
化合物1及び化合物2の両者を組み合わせる場合において、化合物1及び化合物2の質量比の範囲は、例えば以下が挙げられる。
化合物1:化合物2は、好ましくは5:1〜1:5、さらに好ましくは3:1〜1:3、特に好ましくは2:1〜1:2である。
本発明の阻害剤は、医薬の態様で用いることができる。
本発明の阻害剤は、経口的、又は非経口的にヒトを含む哺乳動物に投与することができる。
本発明の阻害剤は、MMPの活性により起こる、細胞外マトリックスの分解により引き起こされる症状を予防又は改善するのに有効である。
本発明において、細胞外マトリックスの分解により引き起こされる症状や疾患としては、関節炎、変形性関節症、関節リウマチ、自己免疫性関節炎、歯周病、異所性脈管形成、癌の浸潤及び転移、子宮内膜症、潰瘍形成、骨疾患、血管再閉塞、血管再狭窄、HIV感染症、糖尿病合併症、動脈硬化、動脈瘤疾患、急性大動脈瘤解離、アテローム性動脈硬化症性斑離断、心筋梗塞、心不全、組織潰瘍、創傷、皮膚病、水疱症における水疱形成、角化異常症、紫外線等による皮膚炎などの皮膚障害、皮膚表皮の肥厚・シワ形成・くすみ等の皮膚老化、皮膚弾力性の低下、皮膚基底膜の破壊、腫瘍脈管形成、年齢による黄斑変性、線維症、移動性炎症細胞に依る炎症性疾患、炎症性腸疾患、角膜潰瘍、蛋白尿、水疱症、栄養障害型表皮水疱症、炎症性応答に導く症状、MMP活性による骨減少症、骨粗しょう症、顎関節症、神経系の脱髄疾患、腫瘍転移又は外傷性関節傷害に続く退行性軟骨損失、粥状硬化性斑破断に由来する冠状動脈血栓症、受胎制御、肺気腫、又は慢性閉塞性肺疾患、褥瘡、術後創治癒期間の遅延、慢性創傷、肥満者の皮膚炎症・真皮の構造変化が挙げられる。
本発明の阻害剤は、前記症状のうち一又は複数の症状を予防又は改善するのに有効である。
本発明の阻害剤は、特に、ゼラチナーゼ群に属するMMPであるMMP−2、MMP−9、メタロエラスターゼであるMMP−12、及びコラゲナーゼ群に属するMMP−13からなる群から選択されるいずれかのMMPの活性により引き起こされる症状を予防又は改善するのに有効である。
例えば、MMP−2の活性により引き起こされる症状としては、特に、癌の浸潤及び転移、子宮内膜症、炎症性腸疾患、表皮基底膜の破壊、褥瘡等が挙げられる。
MMP−9の活性により引き起こされる症状としては、特に、皮膚表皮の肥厚及びしわの形成、関節リウマチ、急性大動脈解離、水疱症等が挙げられる。
MMP−12の活性により引き起こされる症状としては、特に、関節炎、肺気腫、動脈瘤、動脈硬化、慢性閉塞性肺疾患等が挙げられる。
また、MMP−13の活性により引き起こされる症状としては、特に、変形性関節症、骨粗鬆症、歯周炎、多発性硬化症、歯肉炎、角膜表皮性潰瘍、褥瘡、胃潰瘍、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化性閉塞処理後の血管再狭窄又は虚血性心不全等が挙げられる。
本発明の阻害剤は、特に、炎症性疾患の改善又は予防に有用である。炎症性疾患としては、例えば、歯肉炎又は歯周炎、組織潰瘍、皮膚炎、関節炎、炎症性腸疾患等が挙げられる。
組織潰瘍としては、角膜潰瘍、表皮性潰瘍、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎等が挙げられる。
また、皮膚疾患の改善又は予防にも有用である。皮膚疾患として、皮膚炎、皮膚表皮の肥厚、創傷、角化異常症、水疱症、褥瘡、術後創治癒期間の遅延、慢性創傷、肥満者の皮膚炎症・真皮の構造変化等が挙げられる。
本発明の阻害剤は、特に、MMP−2の活性により引き起こされる症状を予防又は改善するのに有効である。
本発明の阻害剤の形態は特に限定されず、用法に応じて適宜選択できる。具体的には、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、貼付剤、点眼剤、点鼻剤等を例示できる。
本発明の阻害剤の投与時期は特に限定されず、対象となる疾患に応じて、適宜選択することが可能である。また、投与量は製剤形態、用法、患者の年齢、性別、その他の条件、症状の程度等に応じて決定されることが好ましい。
本発明の阻害剤の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件等により適宜選択される。通常、有効成分の量に換算して、好ましくは0.0001〜100mg/日、より好ましくは、0.001〜50mg/日、特に好ましくは0.01〜10mg/日の範囲を目安とする。
本発明の阻害剤は、医薬に汎用される添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、界面活性剤、注射剤用溶剤等が挙げられる。
本発明の阻害剤は、前記化合物を有効成分として医薬用担体に配合することで製造することができる。本発明の阻害剤は、例えば、前記化合物を、前述した添加剤と共に製剤化することで製造することができる。
また、本発明の阻害剤は、前記化合物を含む公知の植物等を原料として、熱水や各種溶媒を用いた抽出、超臨界抽出、亜臨界抽出することにより得た抽出物を、前述した添加剤と共に製剤化することで製造することもできる。
特に、化合物1及び化合物2を前記特定の質量比の範囲で含む本発明の阻害剤は、各化合物を前記質量比の範囲で混合することで製造することができる。また、このような医薬は、化合物1及び化合物2が含まれている公知の植物等を原料として、各種溶媒を用いた抽出、超臨界抽出、亜臨界抽出等の方法にて製造することも可能である。
本発明の阻害剤は、例えば、ユリ科、マメ科、イネ科、ナス科及びバショウ科などの植物から得ることができる。
本発明の阻害剤は、前記化合物が有効成分として機能し、MMPの活性による細胞外マトリックスの分解に起因する症状の予防又は改善作用を有する。特に、MMP−2、MMP−9、MMP−12、及びMMP−13からなる群から選択されるいずれかのMMPの活性による細胞外マトリックスの分解に起因する症状の予防又は改善に有効である。
本発明の阻害剤は、特に、MMP−2の活性による細胞外マトリックスの分解に起因する症状の予防又は改善に有効である。
本発明の阻害剤は、飲食品に使用され得る原料と混合することで、飲食品に加工することも可能である。本発明において、「飲食品」には、人間が摂取する飲食品の他、人間以外の動物が摂取する飼料も含まれる。
飲食品を製造する場合には、これらにおける前記化合物の量は、総量で、好ましくは少なくとも0.00001質量%、より好ましくは少なくとも0.0001質量%、さらに好ましくは少なくとも0.0005質量%、特に好ましくは少なくとも0.001質量%である。また本発明の飲食品における当該量の上限は特に制限されないが、総量で、90質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下が例示される。
また、飲食品における前記化合物の量は、その形態に応じて、前記化合物を、総量で、好ましくは0.0001〜100mg/日、より好ましくは0.001〜50mg/日、特に好ましくは0.01〜10mg/日の範囲で摂取するのに適した量とすることもできる。従って、本発明の飲食品の好ましい形態の一つは、前記化合物を、総量で、好ましくは0.0001〜100mg/日、より好ましくは0.001〜50mg/日、特に好ましくは0.01〜10mg/日摂取するように用いられる飲食品である。
前記飲食品は、好ましくは保健機能食品である。「保健機能食品」とは、疾患の予防効果、又は疾患の発生リスクの低減効果が、直接的又は間接的に表示された食品、及び事業者の責任で科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出られた食品を意味する。例えば、現在、日本において、特定保健用食品、機能性表示食品、健康補助食品等の態様で販売される食品が挙げられる。
前記飲食品の形態としては特に制限されないが、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調製用粉末を含む)が、前記化合物を効率よく摂取する観点から特に好ましい。
また、機能性飲食品の形態としては、顆粒状、タブレット状又は液状のサプリメントであることも、摂取者が有効成分の摂取量を把握し易いという点で好ましい。
また、このような機能性飲食品には、「マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害のため」、「細胞外マトリックス保護のため」の用途の表示が付された形態とすることも好ましい。すなわち、本発明の飲食品は、例えば、「細胞外マトリックス保護のため」の用途が付された、化合物1及び化合物2からなる群から選択される化合物を有効成分として含有する、マトリックスメタロプロテアーゼ活性により引き起こされる症状の予防又は改善のための飲食品として販売することが好ましい。
前記「表示」は、需要者に対して前記用途を知らしめる機能を有する全ての表示を含む。すなわち、前記用途を想起・類推させうるような表示であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、すべて前記「表示」に該当する。
また、前記「表示が付された」とは、前記表示と、飲食品(製品)を関連付けて認識させようとする表示行為が存在していることをいう。
表示行為は、需要者が前記用途を直接的に認識できるものであることが好ましい。具体的には、本発明の飲食品に係る商品又は商品の包装への前記用途の記載行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類(電磁的方法により提供されるものを含む)への前記用途の記載行為が例示できる。
一方、表示される内容(表示内容)としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示)であることが好ましい。
例えば、健康食品、機能性飲食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬用部外品等の表示を例示することができる。特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品制度、これに類似する制度にて認可される表示を例示できる。後者の例としては、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク低減表示等を例示することができ、詳細にいえば、健康増進法施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)、及びこれに類する表示が、典型的な例として列挙することが可能である。
前記用途を表す文言は、「マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害のため」、「細胞外マトリックス保護のため」という文言に限られるものでなく、それ以外の文言であっても、細胞外マトリックスの分解により起こる症状を予防、改善する作用又は効果を表現する文言であれば、本発明の範囲に包含されることは言うまでもない。
また、本発明の飲食品は、前記用途の表示に加え、前記有効成分の表示、さらには、前記用途と前記有効成分の関連性を示す表示を含むことも好ましい。
前記飲食品は、化合物1及び化合物2から選ばれる化合物を、有効成分として配合することで製造することができる。本発明の飲食品は、例えば、前記化合物を、飲食品原料に混合して、加工することで製造することができる。
また、前記飲食品は、前記化合物を含む公知の植物等を原料として、熱水や各種溶媒を用いた抽出、超臨界抽出、亜臨界抽出することにより得た抽出物を、飲食品原料と共に加工することで製造することもできる。
また、前記飲食品の形態を、顆粒状、タブレット状又は液状のサプリメントとする場合には、有効成分である前記化合物を、例えば、ラクチュロース、マルチトール、及びラクチトール等の糖類、及びそれ以外の糖類、例えばデキストリン、デンプン等;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等と共に、製剤化することも好ましい。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[製造例1]
(ロフェノール化合物(化合物1)の製造)
アロエベラの葉肉(透明ゲル部分)100kgを、ホモジナイザーを用いて液状化し、ここに100Lの酢酸エチル/ブタノール(3:1)混合液を添加して攪拌した。一晩放置した後、酢酸エチル/ブタノール混合液と水層を分液して、酢酸エチル/ブタノール混合液を回収した。この酢酸エチル/ブタノール混合液を減圧下で濃縮した。回収された酢酸エチル/ブタノール混合液抽出物の質量は、13.5gであった。
シリカゲル60(メルク社製)を400g充填したカラムに、当該抽出物13gを1mlのクロロホルム/メタノール(1:1)混合液に溶解させた溶液を通液し、カラムに吸着させた後、クロロホルム/メタノール混合液(クロロホルム:メタノール=100:1、25:1、10:1、5:1及び1:1の各混合比)を使用して、メタノール濃度を段階的に上昇させるステップワイズグラジエント法により溶出し、前記混合液の混合比毎に溶出液を分画した。これらのフラクションのうち、クロロホルム:メタノール=25:1で溶出してきたフラクションに本発明のロフェノール化合物が存在することを、順相及び逆相薄層クロマトグラフィー(メルク社製、シリカゲル60F254及びRP−18F2543)にて確認した。
このフラクションの溶媒を除去した後、1mlのクロロホルム/メタノール(1:1)混合液に溶解し、シリカゲル60を100g充填したカラムに通液し、カラムに吸着させた後、ヘキサン/酢酸エチル(4:1)混合液1100mlで溶出した。溶出フラクションを、順に300ml(フラクションA)、 300ml(フラクションB)、500ml(フラクションC)ずつ分取した。
本発明の化合物1であるロフェノール化合物が、フラクションAに濃縮されたことを、順相及び逆相薄層クロマトグラフィーにて確認し、さらに、コスモシールC18(ナカライテスク社製)を装着したHPLCを用いて、クロロホルム/ヘキサン(85:15)混合液にて分離し、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール、及び4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オールを、それぞれ1.3mg、1.2mg、1mg得た。各々の化合物の構造は質量(MS)分析及びNMRにて確認した。
[製造例2]
(シクロラノスタン化合物(化合物2)の製造)
γ−オリザノール(オリザ油化社製)8.0gに蒸留水250ml、水酸化ナトリウム50g、イソプロパノール150ml、エタノール150ml、メタノール150mlを加え、マントルヒーターを用いて2時間加熱還流を行った。反応後に、反応液を1300mlの水に添加し、生じた白色の析出物を吸引ろ過し、固形物を得た。残存するアルカリを洗浄するために、得られた残渣を1000mlの水の中に懸濁させた後、再び吸引ろ過を行った。この操作を2回繰り返し、最終的な残渣を凍結減圧乾燥させることによりオリザノール加水分解物5.91gを得た。当該加水分解物はHPLCにて精製を行い、2435mgのシクロアルテノール、及び1543mgの24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オール(化合物2)を得た。
次に、得られたシクロアルテノールを用いて、9,19−シクロラノスタン−3−オール(化合物2)の合成を行った。
シクロアルテノールを302mg、イソプロパノールを150ml、及び粉末状の5%パラジウム担持炭素触媒1.0gを仕込み、これをオートクレーブ内で密閉して、窒素ガスで置換した後、水素ガス3kg/cm2の圧力をかけながら導入した。攪拌しながら加熱していき、50℃になったところで、水素の圧力を5kg/cm2とし、吸収された水素を補うことで圧力を保ちながら6時間反応させた。反応液について、ろ過により触媒を除去し、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム100%)により精製を行い、9,19−シクロラノスタン−3−オール275mgを得た。
[製造例3]
(ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物の混合物を添加した試料の調製)
上記製造例1によって得られた、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール、及び4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オールと、製造例2によって得られた、9,19−シクロラノスタン−3−オール及び24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オールとを用いて、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物の質量比が、ロフェノール化合物(化合物1):シクロラノスタン化合物(化合物2)=1:1となるような混合物を得た。
カルボキシメチルセルロース(CMC:第一工業製薬株式会社製)を用いて、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物の混合物を分散させ、10000倍希釈させた粉末を作製した。これらの粉末を、AIN93G飼料に2%添加し、試験試料を調製した。
すなわち、化合物1(ロフェノール化合物)及び化合物2(シクロラノスタン化合物)を総量で0.00002質量%含有した試験試料を製造した。
[実施例1]
本実施例では、紫外線照射によるMMP発現量の増加に対する、化合物1及び化合物2を含有する組成物のMMP発現の変化に与える影響を解析した。
(1)試料の調製
本実施例では、前記製造例3で調製した試験試料を用いた。なお、対照試料(コントロール)として、動物用飼料AIN93Gを用いた。
(2)試験方法
8週齢ヘアレスマウス(HR−1マウス)を6匹1群とし、計2群にそれぞれ対照試料または試験試料を投与しながら、計8週間飼育した。
飼育開始2週間後から、紫外線照射装置にヘアレスマウスを入れて、3回/週の頻度でUVBを照射した。1回あたりの照射量は、48mJ/cm2から開始し、段階的に200mJ/cm2まで増加させ、最終的な総照射量は、合計2.3J/cm2とした。UVBの照射開始6週目に、各群のヘアレスマウスを解剖して背部皮膚組織を採取し、細胞外マトリックス組織切片を作製した。当該組織切片を、光学顕微鏡(オリンパス社)を用いて観察し、真皮層の細胞外マトリックス(弾性繊維)の断片化、配向を確認した。また、UVBの照射を行わずに、対照試料で飼育したUVB非照射マウスについても、同様に組織切片を観察した。
(3)試験結果
光学顕微鏡写真を図1に示す。図1から明かなとおり、対照試料群では、真皮層の弾性線維の顕著な断片化が観察されたが、試験試料群では、真皮層の弾性線維断片化が抑制されていた。これより、紫外線照射により真皮層の弾性線維が断片化されている状態において、化合物1及び化合物2を含む組成物を摂取することで、真皮層の弾性線維断片化を抑制(皮膚組織の細胞外マトリックス断片化抑制)できることが判明した。
[実施例2]
本試験においては、化合物1及び化合物2を含む組成物によるMMP−2、及びMMP−9の産生阻害効果について確認した。
(1)試験方法
日本エスエルシー社より購入した8週齢雌ヘアレスマウスを6匹1群とし、計3群に分けて、陰性の対照試料(AIN93G オリエンタル酵母社)、陽性の対照試料として動物用飼料AIN93Gにコラーゲンを0.6質量%添加したコラーゲン試料、及び試験試料をそれぞれの群に投与しながら、計8週間飼育した。また、これらとは別に陰性の対照試料を投与し、紫外線照射しないUVB非対照群を1群設け、比較対象とした。
飼育開始2週間後から、紫外線照射装置にヘアレスマウスを入れて、3回/週の頻度で照射した。1回あたりの照射量は、48mJ/cm2から開始し、段階的に200mJ/cm2まで増加させ、最終的な照射量は、合計2.3J/cm2とした。
UVBの照射開始6週目に解剖して、背部皮膚組織を採取し、液体窒素で凍結した後、マルチビーズショッカー(安井器械)にて破砕し、CelLytic MT (Sigma-aldrich社)を用いてタンパク質を抽出した。抽出したタンパク質中のMMP−2、及びMMP−9タンパク発現量をMMP−2検出キット(RayBio社)、およびMMP−9検出キット(R&D Systems社)を用いて検出した。
(2)試験結果
結果を表1及び表2に示す。表中のMMPタンパク質発現に関する数値は、検出キットに基づくELISA法により測定された実測値である。また、表中のp値は、Dunnett 法による有意確率を示す。表から明らかなように、UVBを照射した対照試料群では、MMP−2(表1)、及びMMP−9(表2)の発現量は、いずれもUVB非照射群に対して大きかった。一方、試験試料群では、対照試料群に比して、その発現量が顕著に抑制されていた。一方、陽性対照であるコラーゲン試料群においては、MMP−2、及びMMP−9発現増加の有意な抑制効果は認められなかった。
また、上述した化合物1を単独で0.00002質量%含有した試験試料、及び化合物2を単独で0.00002質量%含有した試験試料についても同様に効果を確認した結果、何れの試験試料も、MMP−2、MMP−9の各々に対して、上記試験試料と同様の阻害効果を示した。
これにより、化合物1又は化合物2は、各々単独でもMMP−2及びMMP−9に対して阻害作用を示すことが明らかとなった。
また、製造例3において、化合物1及び化合物2を総量で0.00001質量%含有した試験試料、化合物1を単独で0.00001質量%含有した試験試料、及び化合物2を単独で0.00001質量%含有した試験試料についても同様に効果を確認した結果、何れの試験試料も、MMP−2、MMP−9の各々に対して、上記試験試料と同様の阻害効果を示した。
[実施例3]
本試験においては、化合物1及び化合物2を含む組成物によるMMP−12、及びMMP−13の産生阻害効果について確認した。
(1)試験方法
日本エスエルシー社より購入した8週齢雌ヘアレスマウスを6匹1群とし、計2群に分けて、陰性の対照試料(AIN93G オリエンタル酵母社)、及び試験試料をそれぞれの群に投与しながら、計8週間飼育した。また、これらとは別に陰性の対照試料を投与し、紫外線照射しないUVB非対照群を1群設け、比較対象とした。
飼育開始2週間後から、紫外線照射装置にヘアレスマウスを入れて、3回/週の頻度で照射した。1回あたりの照射量は、50mJ/cm2から開始し、段階的に200mJ/cm2まで増加させ、最終的な照射量は、合計3.1J/cm2とした。
UVBの照射開始6週目に解剖して、背部皮膚組織を採取し、液体窒素で凍結した後、マルチビーズショッカー(安井器械)にて破砕し、CelLytic MT (Sigma-aldrich社)を用いてタンパク質を抽出した。抽出したタンパク質中のMMP−12、及びMMP−13タンパク発現量をMMP−12検出キット(Cloud−Clone社)、およびMMP−13検出キット(Cloud−Clone社)を用いて検出した。
(2)試験結果
結果を表3及び表4に示す。表中のMMPタンパク質発現に関する数値は、検出キットに基づくELISA法により測定された実測値である。また、表中のp値は、Dunnett 法による有意確率を示す。その結果、表から明らかなように、UVBを照射した陰性対照試料群では、MMP−12(表3)、MMP−13(表4)の発現量はいずれもUVB非照射群に対して顕著に増加していた。一方、試験試料群では、対照試料に比して、特にMMP−12において、発現量が顕著に抑制されていた。
また、上述した化合物1を単独で0.00002質量%含有した試験試料、及び化合物2を単独で0.00002質量%含有した試験試料についても同様に効果を確認した結果、何れの試験試料も、MMP−12、MMP−13の各々に対して、上記試験試料と同様の阻害効果を示した。
これにより、化合物1又は化合物2は、各々単独でもMMP−12及びMMP−13に対して阻害作用を示すことが明らかとなった。
また、製造例3において、化合物1及び化合物2を総量で0.00001質量%含有した試験試料、化合物1を単独で0.00001質量%含有した試験試料、及び化合物2を単独で0.00001質量%含有した試験試料についても同様に効果を確認した結果、何れの試験試料も、MMP−12、MMP−13の各々に対して、上記試験試料と同様の阻害効果を示した。
前記実施例2、3のとおり、化合物1及び化合物2は、単独で、又は組み合わせることにより、MMP−2、MMP−9、MMP−12、及びMMP−13に対する阻害作用を顕著に示すことが判った。特に、化合物1及び化合物2が、ゼラチナーゼ群に属するMMP−2及びMMP−9、メタロエラスターゼであるMMP−12、並びにコラゲナーゼであるMMP−13の全てに対して阻害作用を示すことは驚くべきことであった。特に、MMP−2に対する阻害作用は、従来、MMP阻害作用を有するとして知られていた比較的安全性の高い成分の中でも顕著といえるものであった。前記化合物1及び化合物2は生体への安全性が確認されていることから、前記MMPの産生に起因する症状の改善に極めて有用である。
[比較例]
本試験においては、前記実施例2、3で確認したMMPとは異なるMMP−3に対して、化合物1及び化合物2を含む組成物によるMMP−3の産生阻害効果について確認した。
(1)試験方法
日本エスエルシー社より購入した8週齢雌ヘアレスマウスを6匹1群とし、計2群に分けて、陰性の対照試料(AIN93G オリエンタル酵母社)、及び試験試料をそれぞれの群に投与しながら、計8週間飼育した。また、これらとは別に陰性の対照試料を投与し、紫外線照射しないUVB非対照群を1群設け、比較対象とした。
飼育開始2週間後から、紫外線照射装置にヘアレスマウスを入れて、3回/週の頻度で照射した。1回あたりの照射量は、50mJ/cm2から開始し、段階的に200mJ/cm2まで増加させ、最終的な照射量は、合計3.1J/cm2とした。
UVBの照射開始6週目に解剖して、背部皮膚組織を採取し、液体窒素で凍結した後、マルチビーズショッカー(安井器械)にて破砕し、CelLytic MT (Sigma-aldrich社)を用いてタンパク質を抽出した。抽出したタンパク質中のMMP−3タンパク発現量をMMP−3検出キット(BioSource社)を用いて検出した。
(2)試験結果
結果を表5に示す。表中のMMPタンパク質発現に関する数値は、検出キットに基づくELISA法により測定された実測値である。また、表中のp値は、Dunnett 法による有意確率を示す。その結果、表から明らかなように、MMP−3(表5)において、試験試料によるMMP−3発現抑制効果は認められなかった。
[実施例4]
次の組成からなるマトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害効果を有する医薬を、以下の方法により製造した。
製造例1で製造したロフェノール化合物と、及び製造例2で製造したシクロラノスタン化合物とを、ロフェノール化合物:シクロラノスタン化合物=2:3の割合で含有した混合物に、カルボキシメチルセルロース(CMC:第一工業製薬株式会社製)を添加し分散させて調製した前記混合物を0.001質量%含有する組成物を2質量%、中鎖脂肪酸(MCT:理研ビタミン株式会社製)を2質量%、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社製)を4質量%、サポニン(丸善製薬株式会社製)を0.5質量%、エタノール(日本アルコール産業株式会社製)を0.2%、マルチトール(株式会社林原製)を1.3質量%、グリセリン(日油株式会社製)を78%、さらに水を添加して全量が100質量%、となるように混合して、ロフェノール化合物(化合物1)及びシクロラノスタン化合物(化合物2)の混合物が最終濃度で0.00002質量%含有するシロップ状の製剤を製造した。
本実施例の阻害剤は、細胞外マトリックスの分解により引き起こされる症状の改善・治療に有効である。
本発明は、マトリックスメタロプロテアーゼ産生、及びこれによる細胞外マトリックスの分解に起因する症状の予防又は改善、治療に利用できる。

Claims (5)

  1. ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を有効成分として含有する、マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤であって、
    前記マトリックスメタロプロテアーゼがマトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−12、及びマトリックスメタロプロテアーゼ−13からなる群から選択されるいずれかであり、
    子宮内膜症、炎症性腸疾患、褥瘡、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、歯周炎、多発性硬化症、歯肉炎、胃潰瘍からなる群から選択されるいずれかの疾患の予防又は改善に用いられる、
    マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤。
  2. 前記化合物を総量で0.00001質量%以上含む、請求項1に記載のマトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤。
  3. ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を使用することを特徴とするマトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤の製造方法であって、
    前記マトリックスメタロプロテアーゼがマトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−12、及びマトリックスメタロプロテアーゼ−13からなる群から選択されるいずれかであり、
    前記マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤が子宮内膜症、炎症性腸疾患、褥瘡、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、歯周炎、多発性硬化症、歯肉炎、胃潰瘍からなる群から選択されるいずれかの疾患の予防又は改善に用いられる、
    製造方法。
  4. ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を総量で0.00001質量%以上含む組成物を含有する、マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害用飲食品組成物であって、
    前記マトリックスメタロプロテアーゼがマトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−12、及びマトリックスメタロプロテアーゼ−13からなる群から選択されるいずれかであり、
    子宮内膜症、炎症性腸疾患、褥瘡、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、歯周炎、多発性硬化症、歯肉炎、胃潰瘍からなる群から選択されるいずれかの疾患の予防又は改善に用いられる、
    マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害用飲食品組成物。
  5. ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を、マトリックスメタロプロテアーゼ産生の阻害が必要な対象に投与することを含む、マトリックスメタロプロテアーゼの産生を阻害する方法(但し、人体の予防、改善、及び治療方法を除く)であって、
    前記マトリックスメタロプロテアーゼがマトリックスメタロプロテアーゼ−2、マトリックスメタロプロテアーゼ−12、及びマトリックスメタロプロテアーゼ−13からなる群から選択されるいずれかであり、
    子宮内膜症、炎症性腸疾患、褥瘡、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、歯周炎、多発性硬化症、歯肉炎、胃潰瘍からなる群から選択されるいずれかの疾患の予防又は改善に用いられる、
    方法。
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