JP6283549B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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Description
ここで、前記内周溝の前記底部および前記ブッシュの前記外周面は、線膨張率が互いに異なるとよい。
また、前記凸部は、前記ラック軸の軸方向における前記ブッシュの両端に設けられるとともに、当該ラック軸の周方向に沿って延びるとよい。
また、前記凹部の前記底部および前記凸部の前記外周面は、前記ラック軸を中心とした径方向において間隙を有するとよい。
また、前記ブッシュは、前記内周溝内に配置された状態において、前記ラック軸の軸方向の両端に間隙を形成する寸法であるとよい。
また、前記カバー部の前記第1凸部および前記第1凹部は、前記ラック軸の軸方向において隣り合う位置に設けられ、前記ブッシュの前記第2凸部および前記第2凹部は、前記ラック軸の軸方向において隣り合う位置に設けられるとよい。
〔電動パワーステアリング装置1の全体構成〕
図1は、電動パワーステアリング装置1の概略正面図である。
図2は、図1に示す電動パワーステアリング装置1のII−II線の断面図である。
また、電動パワーステアリング装置1は、ラック軸21の端部に設けられてナックルアーム(不図示)を介して例えばタイヤに連結するタイロッド23A,23Bと、各種部材を収容するハウジング30と、ピニオン軸22に操舵補助力を与えるアシスト部40とを備えている。
また、ピニオン軸22は、トーションバー12に接続される。従って、ピニオン軸22は、トーションバー12を介して入力軸11から操舵力を受けて回転する。また、本実施形態では、ピニオン軸22には、アシスト部40の後述するウォームホイール43が接続される。従って、ピニオン軸22は、入力軸11からの操舵力に加えてアシスト部40からの補助操舵力を受けて回転する。
ここで、ブッシュ60は、略円環状の概形を有している。このブッシュ60は、ラックハウジング31Rの内部でラック軸21と同軸に設けられ、内側に挿入されるラック軸21を摺動可能に保持する。エンドケース80は、略円筒状の概形を有している。このエンドケース80は、ラックハウジング31Rの軸方向端部においてラックハウジング31Rの内側に挿入して設けられる。また、エンドケース80は、ラック軸21と同軸に設けられるとともに、内周面でブッシュ60を支持する。さらに、このエンドケース80は、ラック軸21の一部(またはラック軸21とともに移動する部材の一部)が突き当たることにより、ラック軸21の軸方向の移動距離(ストローク量)を規制する。
このように構成されたラックハウジング31Rは、ブッシュ60を介して、ラック軸21を軸方向に移動可能に収納する。
電動モータ41は、電子制御ユニット51により制御されて、ウォームギヤ42を回転駆動する。
ウォームギヤ42は、電動モータ41の出力軸に連結され、電動モータからの駆動力を受けて回転する。
ウォームホイール43は、ウォームギヤ42に連結され、電動モータ41からの駆動力が伝達される。従って、電動モータ41の回転力がウォームホイール43により減速されてピニオン軸22に伝達される。
電子制御ユニット51は、各種演算処理を行うCPUと、CPUにて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROMと、CPUの作業用メモリ等として用いられるRAMとを有する。そして、トルク検出装置50から得た操舵トルクに基づいて、アシスト部40の電動モータ41の駆動を制御する。
図3はブッシュ60の斜視図である。
図4は、図1に示す電動パワーステアリング装置1におけるブッシュ60周辺の拡大断面図である。
次に、図3または図4を参照しながら、ブッシュ60およびエンドケース80の詳細構成について説明をする。
図3に示すように、ブッシュ60は、周方向の一部が切り離された略円環状のブッシュ本体61と、それぞれブッシュ本体61の外周面61c(後述)から径方向外側に向けて突出するとともにブッシュ本体61の周方向に延びる第1突起63および第2突起65と、ブッシュ本体61の周方向の一部における切り離された部分である離間部67とを備える。このブッシュ60は、例えばポリウレタン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂製の部材からなる。
凸部の一例である第1突起63は、ブッシュ本体61の一方側の端部において外周面61cよりも外径が大きい部分である。この第1突起63は、一方側を向く端面である第1面63aと、他方側を向く端面である第2面63bと、外周側の端面である外周面63cとを備える。
凸部の一例である第2突起65は、ブッシュ本体61の他方側の端部において外周面61cよりも外径が大きい部分である。この第2突起65は、一方側を向く端面である第1面65aと、他方側を向く端面である第2面65bと、外周側の端面である外周面65cとを備える。
図示の例においては、第1突起63および第2突起65を含むブッシュ60は、例えば射出成型などにより一体成型される。
次に、エンドケース80について説明をする。
図4に示すように、カバー部の一例であるエンドケース80は、略円筒状の概形を有する部材であり、外周がラックハウジング31R(図1参照)によって保持される。
このエンドケース80は、内周面にて環状に設けられブッシュ60を受ける内周溝(環状溝)81を備える。また、このエンドケース80は、内周溝81の底部81c(後述)に第1溝83および第2溝85を備える。
このエンドケース80は、例えばアルミなどの金属製の部材からなる。さらに説明をすると、図示の例におけるエンドケース80は、ブッシュ60よりも熱変形量が小さい部材、すなわち線膨張率が小さい部材により形成される。ここで、線膨張率とは、温度の上昇に対応して長さが変化する割合をいう。
凹部の一例である第2溝85は、第1溝83よりも軸方向他方側の位置にて、内周溝81の底部81cから径方向外側に向けて凹み、かつ周方向に延びる略環状の溝である。この第2溝85は、断面が略長方形であり、一方向側に位置する端面である第1面85aと、他方側に位置する端面である第2面85bと、径方向外側の端面である底部85cとを備える。ここで、図示の例における第2溝85の軸方向の長さは、ブッシュ60の第2突起65が内部に嵌まる寸法である。
次に、図4に示すように、ブッシュ60のエンドケース80に対する組み付けについて説明する。
まず、ブッシュ60は、例えばブッシュ本体61の一方の端部67aと他方の端部67bとの距離を縮め外径を小さくしながら、エンドケース80の内周溝81内に配置される。内周溝81内に配置されると、ブッシュ本体61の弾性力によりブッシュ60の外径が広がる。このとき、ブッシュ60の第1突起63および第2突起65は、それぞれ内周溝81の底部81cに設けられた第1溝83および第2溝85に嵌め合わされる。言い替えると、第1突起63および第2突起65が、第1溝83および第2溝85に圧入される。このことにより、ブッシュ60がエンドケース80に対して固定される。
ここで、図4を参照しながら、ブッシュ60と、エンドケース80との位置関係について説明をする。
また、図示の例においては、第1溝83の底部83cは第1突起63の外周面63cから離間し、第2溝85の底部85cは第2突起65の外周面65cから離間する。すなわち、ブッシュ60の第1突起63および第2突起65の外周は所謂クリアランス設定である。ここで、第1突起63および第2突起65の外周をクリアランス設定とすることにより、環境温度(雰囲気温度)が変化しブッシュ60が膨張した場合に、第1突起63および第2突起65が径方向外側に膨らむことが許容される。
また、ブッシュ60の径方向内側への膨張量が多いと、ブッシュ60がラック軸21を噛みこみ(ブッシュ60がラック軸21に対して固定される)ことも想定される。この場合、ラック軸21が軸方向に移動することにともないブッシュ60も軸方向に移動し、例えば内周溝81の第1面81aあるいは第2面81bにブッシュ60が衝突し、異音が生じる。
図5(a)乃至(c)は、温度変化にともなうブッシュ60の突起(第1突起63,第2突起65)とエンドケース80の溝(第1溝83,第2溝85)との位置関係の変化を説明する図である。
ここではまず、基準となる温度(基準温度、例えば室温)における軸方向の位置関係について説明した後に、基準温度よりも高い状態(高温)および基準温度よりも低い状態(低温)における軸方向の位置関係について説明をする。
まず、上述のように、ブッシュ60は、エンドケース80よりも線膨張率が大きい。したがって、基準温度と比較して、ブッシュ60が熱膨張により軸方向で延びる長さは、エンドケース80が軸方向で延びる長さよりも大きい。したがって、熱膨張に伴い、第1突起63の第1面63aから第2突起65の第2面65bまでの軸方向の長さは、第1溝83の第1面83aから第2溝85の第2面85bまでの軸方向の長さよりも長くなろうとする。このことにより、第1突起63の第1面63aおよび第2突起65の第2面65bを介して、ブッシュ60が軸方向において突っ張る状態となる。
ブッシュ60は、エンドケース80よりも線膨張率が大きいため、基準温度と比較して、ブッシュ60が熱膨張により軸方向で縮む長さは、エンドケース80が軸方向で縮む長さよりも大きい。したがって、熱収縮に伴い、第1突起63の第2面63bから第2突起65の第1面65aまでの軸方向の長さは、第1溝83の第2面83bから第2溝85の第1面85aまでの軸方向の長さよりも短くなろうとする。このことにより、第1突起63の第2面63bおよび第2突起65の第1面65aを介して、ブッシュ60が、エンドケース80の一部(軸方向における第1溝83の第2面83bから第2溝85の第1面85aまでの部分)を、軸方向において挟み込む状態となる。
なお、図5(b)に示す例においては、第1突起63の第2面63bおよび第1溝83の第2面83bが互いに離間し、第2突起65の第1面65aおよび第2溝85の第1面85aが互いに離間することを示す。また、図5(c)に示す例においては、第1突起63の第1面63aおよび第1溝83の第1面83aが互いに離間し、第2突起65の第2面65bおよび第2溝85の第2面85bが互いに離間することを示す。付言すると、これらの面どうしは、互いに離間しない構成であってももちろんよい。
図6は、他の実施の形態におけるブッシュ600およびエンドケース800を説明する図である。なお、図6は、上記の実施の形態における図4に対応する図であり、電動パワーステアリング装置1におけるブッシュ600周辺の拡大断面図である。
さて、上記の実施の形態においては、ブッシュ60が第1突起63および第2突起65を有するとともに、エンドケース80が内周溝81を有し、この内周溝81に第1溝83および第2溝85が形成されることを説明したが、この構成に限定されない。
まず、エンドケース800は、内周溝81(図4参照)を備えず、エンドケース800の内周面でブッシュ600の外周面を保持する。
また、ブッシュ600は、外周面から径方向外側(エンドケース800側)に突出する第1突出部(第1凸部)630と、第1突出部630から他方側に離間した位置で外周面から径方向外側に突出する第2突出部650とを備える。
ここで、エンドケース800は、軸方向における第3突出部830と第4突出部850との間に、第2凹部860を備える構成としても捉えられる。また、図示の例においては、第3突出部830と第2凹部860とが軸方向において隣り合う位置に設けられる構成として捉えられる。
また、ここでは、エンドケース800は内周溝81(図4参照)を備えず、エンドケース800の内周面に第3突出部830および第4突出部850を備えることを説明した。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、エンドケース800が内周溝81を備え、この内周溝81の底部81c(図4参照)に、上記の第3突出部830および第4突出部850を備える構成であってもよい。
図7(a)乃至(c)は、ブッシュ60およびエンドケース80の変形例を説明する図である。
さて、上記の実施形態におけるブッシュ60およびエンドケース80は、次に説明する変形例のように構成してもよい。なお、図7(a)乃至(c)において、図4に示す実施の形態と同一の構成部材については同一の符号を付け、詳細な説明は省略する。
また、ここでは、ブッシュ601が第1突起631および第2突起651の2つの突起を備え、エンドケース801が第1溝831および第2溝851の2つの溝を備えることを説明したが、それぞれが3つ以上の突起あるいは溝を備える構成であってもよい。
また、上記では、ブッシュ60が樹脂製であり、エンドケース80が金属製であることを説明したが、ブッシュ60とエンドケース80との線膨張率が異なれば、材質はこれに限定されない。例えば、樹脂どうし、金属どうし、あるいは他の部材との組み合わせなど、種々の材料により構成され得る。
例えば、図4を参照しながら、エンドケース80をアルミ製、ラック軸21を鉄製とする構成を例に説明すると、この構成においては、アルミ製のエンドケース80の方が、鉄製のラック軸21よりも線膨張率が大きくなる。
そのため、高温時は、ラック軸21およびエンドケース80の径方向におけるクリアランスが大きくなり、ブッシュ60が熱膨張しても、ブッシュ60およびラック軸21の摺動性に与える影響は抑制される。一方、低温時は、ラック軸21およびエンドケース80の径方向におけるクリアランスが小さくなり、ブッシュ60が熱収縮しても、ブッシュ60およびラック軸21の摺動性に与える影響は抑制される。
付言すると、まず、エンドケース80は、ハウジング30(ラックハウジング31R)と一体として形成されてもよい。したがって、上記の説明を、ブッシュ60と、ブッシュ60を覆う部材であるエンドケース80およびハウジング30が一体となった部材との関係として適用してもよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
Claims (5)
- 操舵部における操舵に基づいて被操舵部を移動させるラック軸と、
前記ラック軸を覆うとともに、当該ラック軸と対峙する内周面に当該ラック軸の周方向に沿う内周溝を有するカバー部と、
前記カバー部の前記内周溝内に配置され前記ラック軸をスライド可能に支持するブッシュと
を備え、
前記内周溝の底部および前記ブッシュの外周面のいずれか一方が、他方に向けて突出する凸部を前記ラック軸の軸方向における異なる位置に複数備えるとともに、当該他方が当該凸部を受ける凹部を複数備える
ことを特徴とするステアリング装置。 - 前記内周溝の前記底部および前記ブッシュの前記外周面は、線膨張率が互いに異なることを特徴とする請求項1記載のステアリング装置。
- 前記凸部は、前記ラック軸の軸方向における前記ブッシュの両端に設けられるとともに、当該ラック軸の周方向に沿って延びることを特徴とする請求項1または2記載のステアリング装置。
- 前記凹部の前記底部および前記凸部の前記外周面は、前記ラック軸を中心とした径方向において間隙を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のステアリング装置。
- 前記ブッシュは、前記内周溝内に配置された状態において、前記ラック軸の軸方向の両端に間隙を形成する寸法であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のステアリング装置。
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