JP6281451B2 - 端子用部材およびその製造方法ならびにコネクタ用端子 - Google Patents

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Description

本発明は、端子用部材およびその製造方法ならびにコネクタ用端子に関する。
近年、ハイブリッド自動車や電気自動車等の普及に伴い、コネクタ用端子に大電流が流れる機会が増加している。大電流用のコネクタ用端子は、通電による発熱量が大きいため、耐熱性が要求される。また、上記コネクタ用端子は、電流容量に合わせて端子サイズも大きくなる。そのため、上記コネクタ用端子は、相手方コネクタ用端子との嵌合力が大きくなりやすく、これにより端子表面に損傷が生じやすい。また、メンテナンス等による挿抜回数も多い。それ故、上記コネクタ用端子には、耐摩耗性が要求される。
従来、コネクタ用端子に用いられる端子用部材としては、一般に、銅または銅合金からなる基材の表面にSnめっき層が形成された端子用部材が公知である。
他にも例えば、特許文献1には、銅または銅合金からなる基材と、基材の表面を覆うNiからなる下地層と、下地層の表面を覆うAg−Sn合金層と、Ag−Sn合金層の表面を覆い、最表面に露出するAg層とを有する端子用部材が開示されている。また、同文献には、上記基材上に、Agめっき層、Snめっき層、および、Agめっき層をこの順に形成して加熱することにより、上記端子用部材を形成する製法が開示されている。また、同文献には、上記端子用部材よりなるコネクタ用端子が開示されている。
特許第5387742号公報
しかしながら、従来技術は、以下の点で改良の余地がある。すなわち、上述した一般的な端子用部材は、最表層が比較的軟らかなSnめっき層からなる。そのため、この端子用部材を用いて形成されたコネクタ用端子は、耐摩耗性に劣る。
これに対し、特許文献1の端子用部材は、Ag−Sn合金層と、Ag−Sn合金層の表面を覆うAg層とを有している。そのため、この端子用部材を用いて形成されたコネクタ用端子は、摩擦係数の低減による耐摩耗性を有している。しかし、特許文献1の端子用部材は、さらなる改良により基材に含まれる銅原子の最表面への拡散をより一層抑制し、コネクタ用端子に用いた場合に、優れた耐熱性を発揮させる余地が未だ残されている。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性を有し、従来に比べ耐熱性に優れたコネクタ用端子を得ることが可能な端子用部材、また、耐摩耗性を有し、従来に比べ耐熱性に優れたコネクタ用端子を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、銅または銅合金からなる基材と、
該基材上に形成されており、NiまたはNi合金からなる第1層と、
該第1層上に形成されており、Cu−Sn合金からなる第2層と、
該第2層上に形成されており、Ag−Sn合金からなる第3層と、
該第3層上に形成されているとともに最表面に露出しており、AgまたはAg合金からなる第4層と、を有しており、
上記第3層は、層内にボイドを有していないことを特徴とする端子用部材にある。
本発明の他の態様は、上記端子用部材の製造方法であって、
銅または銅合金からなる基材上に、NiめっきまたはNi合金めっきからなる第1めっき層、Cu−Sn合金めっきからなる第2めっき層、SnめっきまたはSn合金めっきからなる第3めっき層、および、AgめっきまたはAg合金めっきからなる第4めっき層をこの順に有するめっき部材を準備する準備工程と、
上記めっき部材を加熱することにより、上記第1めっき層からなる上記第1層と、上記第2めっき層からなる上記第2層と、上記第3めっき層と上記第4めっき層の一部とが合金化して形成されたAg−Sn合金からなる上記第3層と、上記第4めっき層の残部からなる上記第4層とを得る加熱工程と、を有することを特徴とする端子用部材の製造方法にある。
本発明のさらに他の態様は、上記端子用部材からなることを特徴とするコネクタ用端子にある。
上記端子用部材は、Ag−Sn合金からなる第3層と、第3層上に形成されているとともに最表面に露出しており、AgまたはAg合金からなる第4層とを有している。上記端子用部材は、AgまたはAg合金に比べて硬いAg−Sn合金からなる第3層上に、AgまたはAg合金からなる第4層が形成されている。そのため、上記端子用部材は、コネクタ用端子に用いた場合に、第3層が第4層と同じ材質である場合に比べ、第4層表面の摩擦係数を低減させることができ、これにより耐摩耗性を確保することが可能となる。
また、上記端子用部材は、基材と第4層との間に、NiまたはNi合金からなる第1層と、第1層上に形成されており、Cu−Sn合金からなる第2層とを有している。そのため、基材に含まれる銅原子の最表面への拡散が、先ず、第1層により抑制される。そして、第1層を通り越した銅原子がある場合、当該銅原子の最表面へのさらなる拡散は、第1層の上方に配置されている第2層により抑制される。そのため、上記端子用部材は、コネクタ用端子に用いた場合に、大電流による発熱等により基材の銅原子が最表面まで到達し難く、最表面に銅酸化物が形成され難い。したがって、上記端子用部材は、コネクタ用端子に用いた場合に、第1層および第2層の効果により優れた耐熱性を発揮することが可能となる。
よって、上記端子用部材によれば、耐摩耗性を有し、従来に比べ耐熱性に優れたコネクタ用端子を得ることができる。
上記端子用部材の製造方法は、上述した準備工程と加熱工程とを有している。そのため、上記端子用部材の製造方法によれば、上記端子用部材が得られる。
特に、上記端子用部材の製造方法によれば、層内にほとんどボイドのないAg−Sn合金からなる第3層を有する端子用部材が得られる。これは、上述した積層構造を有するめっき部材を加熱しているため、Ag−Sn合金からなる第3層が形成される際にボイドの原因となる巣が層内に発生し難いためであると推察される。Ag−Sn合金内にボイドが多数生じると、ボイドを起点に欠けや割れが発生してAg−Sn合金の剥離が生じ、摩耗が促進される。したがって、上記端子用部材の製造方法によれば、摩擦係数の低減により耐摩耗性が発揮されるだけではなく、ボイドに起因する摩耗促進を抑制することが可能な、耐摩耗性に優れた端子用部材が得られる。
上記コネクタ用端子は、上記端子用部材からなるので、耐摩耗性を有し、従来に比べ耐熱性に優れる。
実施例1の端子用部材の積層構造を模式的に示した説明図である。 実施例1の端子用部材の製造方法にて準備されるめっき部材の積層構造を模式的に示した説明図である。 実験例における試料1の端子用部材の走査型電子顕微鏡写真である。 実験例における比較試料1の端子用部材の走査型電子顕微鏡写真である。 実験例において、ボイドに起因する摩耗の促進について説明するための走査型電子顕微鏡写真である。 実験例において、ボイドに起因する摩耗の促進について説明するための他の走査型電子顕微鏡写真である。
上記端子用部材について説明する。
上記端子用部材は、具体的には、例えば、板状等の形状を呈することができる。この場合、上記端子用部材は、片面または両面に各層を有することができる。各層は、端子用部材の表面の一部に部分的に形成されていてもよいし、端子用部材の表面の全面に形成されていてもよい。
上記端子用部材において、第1層の厚みは、基材からの銅原子の拡散を抑制する効果を確実なものとする等の観点から、好ましくは、0.2μm以上、より好ましくは、0.5μm以上とすることができる。また、第1層の厚みは、曲げ加工性(割れ防止)等の観点から、好ましくは、3μm以下、より好ましくは、2.5μm以下とすることができる。
第2層の厚みは、基材からの銅原子の拡散、さらに第1層からのNi原子の拡散を抑制する効果を確実なものとする等の観点から、好ましくは、0.1μm以上、より好ましくは、0.2μm以上とすることができる。また、第2層の厚みは、曲げ加工性(割れ防止)等の観点から、好ましくは、1μm以下、より好ましくは、0.5μm以下とすることができる。
第3層の厚みは、第4層表面の摩擦係数の低減による耐摩耗性の向上を図りやすくなる等の観点から、好ましくは、1μm以上、より好ましくは、2μm以上とすることができる。なお、第3層の厚みは、生産性、製造コストの低減等の観点から、例えば、45μm以下とすることができる。
第4層の厚みは、第3層の厚みよりも薄くなるように構成することができる。この場合には、第4層が、下層にある比較的硬い第3層の影響を受けやすくなり、第4層表面の摩擦係数の低減による耐摩耗性の向上を図りやすくなる。また、第4層の熱による軟化も少なくなるので、その分、耐熱性が向上する。なお、第4層の厚みは、具体的には、例えば、良好な導電性の確保等の観点から、好ましくは、0.5μm以上、より好ましくは、0.8μm以上、さらに好ましくは、1μm以上とすることができる。
上記端子用部材において、第4層は、Agからなることが好ましい。この場合には、コネクタ用端子に用いられた場合に、コネクタ用端子が有する電気接点部の接触抵抗を低減させやすくなる。また、低摩擦性も確保しやすいなどの利点もある。
上記端子用部材において、第3層は、層内にボイドを有していない。この構成によれば、コネクタ用端子に用いられた場合に、ボイドを起点に欠けや割れが発生してAg−Sn合金の剥離が生じ難くなるため、優れた耐摩耗性が得られる。なお、上記にいうボイドとは、コネクタ用端子の使用時に、Ag−Sn合金の欠けや割れの起点となってAg−Sn合金の剥離を生じさせ、摩耗の促進につながるような空洞部分を意味する。したがって、第3層の内部において、上記摩耗の促進につながらないような微小な空洞は許容される。層内におけるボイドの有無は、走査型電子顕微鏡による断面観察等により判断することができる。
次に、上記端子用部材の製造方法について説明する。
上記端子用部材の製造方法において、めっき部材における第3めっき層は、Snからなり、第4めっき層は、Agからなることが好ましい。この場合には、加熱工程において、Ag−Sn合金からなる第3層とAgからなる第4層とを得やすくなる利点がある。
めっき部材における第1めっき層の厚みは、基材からの銅原子の拡散を抑制する効果を確実なものとする等の観点から、好ましくは、0.2μm以上、より好ましくは、0.5μm以上、さらに好ましくは、0.8μm以上とすることができる。また、第1めっき層の厚みは、曲げ加工性(割れ防止)等の観点から、好ましくは、3μm以下、より好ましくは、2.5μm以下、さらに好ましくは、2μm以下とすることができる。
第2めっき層の厚みは、基材からの銅原子の拡散、さらに第1めっき層からのNi原子の拡散を抑制する効果を確実なものとする等の観点から、好ましくは、0.1μm以上、より好ましくは、0.2μm以上とすることができる。また、第2めっき層の厚みは、曲げ加工性(割れ防止)等の観点から、好ましくは、1μm以下、より好ましくは、0.5μm以下とすることができる。
なお、第3めっき層および第4めっき層の厚みは、めっき部材の加熱によって上述した第3層と第4層とが形成されるように、最適な厚み比率に調節することができる。具体的には、SnとAgとの質量数及び密度等を考慮し、上記合金化によってSnが残らず、かつ、上記合金化によりAgが消費された後にも第4めっき層中のAgが残るように第3めっき層および第4めっき層の厚みの比率を設定することができる。より具体的には、Snの膜厚を1としたとき、膜厚1.9のAgが過不足なく反応する点を利用し、各層の厚みを設定することができる。
第3めっき層の厚みは、第3層の形成を確実なものとする等の観点から、好ましくは0.5〜15μm、より好ましくは0.5〜3μmの範囲内とすることができる。
第4めっき層の厚みは、第4層の形成を確実なものとする等の観点から、好ましくは1〜30μm、より好ましくは1〜4μmの範囲内とすることができる。
上記端子用部材の製造方法において、めっき部材を加熱する際の加熱雰囲気は、例えば、大気雰囲気とすることができる。また、加熱温度は、Ag−Sn合金の合金化を促進するなどの観点から、Snの融点以上の温度とすることができる。より具体的には、加熱温度は、好ましくは、240℃以上、より好ましくは、250℃以上、さらに好ましくは、260℃以上とすることができる。加熱温度は、Snの酸化防止等の観点から、好ましくは、300℃以下とすることができる。また、加熱時間は、Ag−Sn合金の合金化を促進するなどの観点から、好ましくは、0.1分以上、より好ましくは、0.2分以上、さらに好ましくは、0.5分以上とすることができる。加熱時間は、Snの酸化防止等の観点から、好ましくは、3分以下、より好ましくは、2分以下、さらに好ましくは、1.5分以下とすることができる。
なお、めっき部材の加熱方法としては、例えば、リフロー炉、通電加熱、高周波誘導加熱などを利用することができる。
上記端子用部材の製造方法において、めっき部材は、基材上に、第1めっき層、第2めっき層、および、第3めっき層をこの順に有するプレめっき部材を準備し、このプレめっき部材の第3めっき層上に第4めっき層が形成されることによって準備することができる。
この場合には、別に準備されたプレめっき部材が用いられるため、第3めっき層上に第4めっき層を形成するだけで済む。そのため、めっき部材の準備に必要なめっき工程が複雑にならずに済み、端子用部材の製造性を向上させることができる。
次に、上記コネクタ用端子について説明する。
上記コネクタ用端子は、具体的には、オス型端子、メス型端子、中継端子等として構成することができる。コネクタ用端子は、より具体的には、例えば、相手方コネクタ用端子と接触する電気接点部を有しており、少なくとも当該電気接点部における基材上に上述した各層が積層された構成とすることができる。電気接点部は、相手方コネクタ用端子との接触により、摩耗が問題となりやすく、耐摩耗性が要求される。また、電気接点部は、基材の銅原子の熱拡散に起因する銅酸化物による接触抵抗の増加が問題となりやすく、耐熱性が要求される。そのため、この場合には、上述した効果を十分に発揮することができる。
もっとも、上記コネクタ用端子は、例えば、打抜きによる破面部分を除いた全ての基材上に、上述した各層が積層された構成を有していてもよいし、打ち抜きによる破面部分を含む全ての基材上に、上述した各層が積層された構成を有していてもよい。
なお、上述した各構成は、上述した各作用効果等を得るなどのために必要に応じて任意に組み合わせることができる。
以下、実施例の端子用部材およびその製造方法ならびにコネクタ用端子について、図面を用いて説明する。なお、同一部材については同一の符号を用いて説明する。
(実施例1)
実施例1の端子用部材およびその製造方法ならびにコネクタ用端子について、図1および図2を用いて説明する。図1に示すように、本例の端子用部材1は、基材10と、基材10上に形成されている第1層11と、第1層11上に形成されている第2層12と、第2層12上に形成されている第3層13と、第3層13上に形成されている第4層14と、を有している。第4層14は、最表面に露出している。なお、基材10と第1層11、第1層11と第2層12、第2層12と第3層13、第3層13と第4層14とは互いに接している。
基材10は、銅または銅合金からなる。第1層11は、NiまたはNi合金からなる。第2層12は、Cu−Sn合金からなる。第3層13は、Ag−Sn合金からなる。第4層14は、AgまたはAg合金からなる。本例では、具体的には、第1層11は、Niからなり、第4層14は、Agからなる。
本例において、第1層11の厚みは、0.5μmである。第2層12の厚みは、0.6μmである。第3層13の厚みは、1.1μmである。第4層14の厚みは、1.0μmである。また、端子用部材1は、第3層13の層内(第2層12および第4層14の界面は除かれる)にボイドを有していない。
本例の端子用部材の製造方法は、準備工程と、加熱工程とを有している。
上記準備工程では、めっき部材2が準備される。めっき部材2は、基材10上に、第1めっき層21、第2めっき層22、第3めっき層23、および、第4めっき層24をこの順に有している。基材10は、銅または銅合金からなる。第1めっき層21は、NiめっきまたはNi合金めっきからなる。第2めっき層22は、Cu−Sn合金めっきからなる。第3めっき層23は、SnめっきまたはSn合金めっきからなる。第4めっき層24は、AgまたはAg合金からなる。本例では、具体的には、第3めっき層23は、Snめっきからなり、第4めっき層24は、Agめっきからなる。
本例において、第1めっき層21の厚みは、0.5μmである。第2めっき層22の厚みは、0.6μmである。第3めっき層23の厚みは、0.5μmである。第4めっき層の厚みは、2.0μmである。
本例において、めっき部材2は、基材10上に、第1めっき層21、第2めっき層22、および、第3めっき層23をこの順に有するプレめっき部材(不図示)を予め準備し、このプレめっき部材の第3めっき層23上に第4めっき層24が形成されることによって準備されたものである。
本例の端子用部材の製造方法において、加熱工程では、めっき部材2が加熱される。加熱条件は、具体的には、大気雰囲気、290℃で1分間とされる。加熱工程における加熱は、リフロー炉を用いて行われる。
本例のコネクタ用端子(不図示)は、本例の端子用部材1からなる。コネクタ用端子は、具体的には、相手方コネクタ用端子(不図示)と接触する電気接点部を有しており、この電気接点部における基材10上に各層11〜14が積層されている。電気接点部以外の部分は、基材10上に、Ni層、Sn層がこの順に積層されている。なお、本例のコネクタ用端子は、板上の端子用部材1が端子形状に打ち抜かれ、折り曲げ形成を経ることにより形成されている。なお、本例では、上記打ち抜きによる破面は、基材10が露出している。
<実験例>
以下、実験例を用いてより具体的に説明する。
(試料1)
銅合金板からなる基材上に、Niめっきからなる第1めっき層(厚み0.5μm)、Cu−Sn合金めっきからなる第2めっき層(厚み0.6μm)、および、Snめっきからなる第3めっき層(厚み0.5μm)をこの順に有するプレめっき部材を準備した。
プレめっき部材は、清浄な銅合金板からなる基材の表面に、以下の条件にて、Niめっき層、Cuめっき層、および、Snめっき層をこの順に形成した後、290℃にて60秒間加熱するリフロー処理を施すことにより作製した。
<Niめっき層>
・NiSO・6HO 240g/L、NiCl・6HO 30g/L、HBO 30g/Lを含むめっき浴を使用
・操作温度45℃
・電流密度:5ASD
<Cuめっき層>
・CuSO 250g/L、HSO 80g/L、光沢剤 10g/Lを含むめっき浴を使用
・操作温度45℃
・電流密度:5ASD
<Snめっき層>
・SnSO 50g/L、HSO 80g/L、クレゾールスルホン酸:30g/L、光沢剤 10g/Lを含むめっき浴を使用
・操作温度15℃
・電流密度:3ASD
次いで、このプレめっき部材の第3めっき層上に、以下の条件にて電気めっき処理を施し、Agめっきからなる第4めっき層を形成した。これにより、めっき部材Aを準備した。
<第4めっき層>
・Ag濃度 45g/Lのめっき浴を使用
・操作温度:30℃
・電流密度:5ASD
・厚み:2μm
次いで、めっき部材Aを、大気中において290℃で1分間加熱した。これにより、試料1の端子用部材を得た。得られた試料1の端子用部材の断面SEM写真を図3に示す。図3に示されるように、上記加熱処理が施されることにより、銅合金からなる基材10上に、第1めっき層21からなる第1層11(厚み0.5μm)と、第2めっき層22からなる第2層12(厚み0.6μm)と、第3めっき層23と第4めっき層24の一部とが合金化して形成されたAg−Sn合金からなる第3層13(厚み1.1μm)と、第4めっき層24の残部からなる第4層14(厚み1μm)とがこの順に形成されていることがわかる。なお、各層の化学組成は、AgとSnのピーク強度をオージェ電子放出断面積で規格化することによって、全存在元素中に占めるこれらの元素の存在量を算出することにより測定した。その結果、第2層は、具体的には、CuSnの組成を有していた。第3層は、具体的には、AgSnの組成を有していた。また、図3に示されるように、第3層13は、層内にほとんどボイドが見られなかった。
(比較試料1)
清浄な銅合金板からなる基材の表面に、以下の条件にて電気めっき処理を施し、Niめっき層、Agめっき層(1)、Snめっき層、および、Agめっき層(2)をこの順に形成した。これにより、めっき部材Bを準備した。
<Niめっき層>
・Ni濃度 100g/Lのめっき浴を使用
・操作温度:30℃
・電流密度:6ASD
・厚み:2.4μm
<Agめっき層(1)>
・Ag濃度 45g/Lのめっき浴を使用
・操作温度:30℃
・電流密度:5ASD
・厚み:2.7μm
<Snめっき層>
・Sn濃度 60g/Lのめっき浴を使用
・添加剤:40mL/L
・操作温度:40℃
・電流密度:5ASD
・厚み:1.2μm
<Agめっき層(2)>
・Ag濃度 45g/Lのめっき浴を使用
・操作温度:30℃
・電流密度:5ASD
・厚み:3.8μm
次いで、めっき部材Bを、大気中において290℃で1分間加熱した。これにより、比較試料1の端子用部材を得た。得られた比較試料1の端子用部材について、試料1と同様の観察、測定を実施した。比較試料1の端子用部材の断面SEM写真を図4に示す。図4に示されるように、比較試料1の端子用部材は、銅合金からなる基材10上に、Niめっき層91(厚み2.4μm)と、Ag層92(厚み1.6μm)と、Ag−Sn合金層93(厚み3.0μm)と、Ag層94(厚み2.7μm)とをこの順に有していることがわかる。また、比較試料1の端子用部材は、Ag−Sn合金層93の層内に多数のボイドBが見られた。
試料1の端子用部材は、Ag−Sn合金からなる第3層と、第3層上に形成されているとともに最表面に露出しており、Agからなる第4層とを有している。上記端子用部材は、Agに比べて硬いAg−Sn合金からなる第3層上に、Agからなる第4層が形成されている。そのため、上記端子用部材は、コネクタ用端子に用いた場合に、第3層が第4層と同じ材質である場合に比べ、第4層表面の摩擦係数を低減させることができ、これにより耐摩耗性を確保することができるといえる。
また、上記端子用部材は、基材と第4層との間に、Niからなる第1層と、第1層上に形成されており、Cu−Sn合金からなる第2層とを有している。そのため、基材に含まれる銅原子の最表面への拡散が、先ず、第1層により抑制される。そして、第1層を通り越した銅原子がある場合、当該銅原子の最表面へのさらなる拡散は、第1層の上方に配置されている第2層により抑制される。そのため、上記端子用部材は、コネクタ用端子に用いた場合に、大電流による発熱等により基材の銅原子が最表面まで到達し難く、最表面に銅酸化物が形成され難い。したがって、上記端子用部材は、コネクタ用端子に用いた場合に、第1層および第2層の効果により優れた耐熱性を発揮することができるといえる。
ここで、試料1の端子用部材、比較試料1Cの端子用部材について摩耗試験を行った。なお、摩耗試験は、各試料から作製した平板型の端子用部材と半径3mmのエンボス形の端子用部材とを鉛直方向に接触させて保持し、ピエゾアクチュエータを用いて鉛直方向に5Nの荷重を印加しながら、10mm/min.の速度でエンボス形の端子用部材を水平方向に引張り、ロードセルを使用して接点部に働く摩擦力を測定することにより行った。また、摩擦力を荷重で割った値を摩擦係数とした。なお、試料1の端子用部材の摩擦係数は、0.4、比較試料1Cの端子用部材の摩擦係数は、0.6であった。図5および図6に、比較試料1の端子用部材の摩耗試験結果を示す。なお、図5は、摩耗の初期段階における断面SEM写真であり、図6は、摩擦の途中における断面SEM写真である。
図5、図6に示されるように、比較試料1は、Ag−Sn合金内にボイドBが多数生じていたため、摩耗試験時に、ボイドBを起点に欠けや割れCが発生してAg−Sn合金の剥離が生じ、摩耗が促進された。これに対し、試料1の端子用部材は、層内にほとんどボイドのないAg−Sn合金からなる第3層を有していたため、上記摩耗試験によっても上述したメカニズムによる摩耗の促進は見られなかった。
これらの結果より、上記端子用部材およびその製造方法によれば、摩擦係数の低減により耐摩耗性が発揮されるだけではなく、ボイドに起因する摩耗促進を抑制することが可能な、耐摩耗性に優れた端子用部材が得られることが確認された。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
1 端子用部材
10 基材
11 第1層
12 第2層
13 第3層
14 第4層
2 めっき部材
21 第1めっき層
22 第2めっき層
23 第3めっき層
24 第4めっき層

Claims (5)

  1. 銅または銅合金からなる基材と、
    該基材上に形成されており、NiまたはNi合金からなる第1層と、
    該第1層上に形成されており、Cu−Sn合金からなる第2層と、
    該第2層上に形成されており、Ag−Sn合金からなる第3層と、
    該第3層上に形成されているとともに最表面に露出しており、AgまたはAg合金からなる第4層と、を有しており、
    上記第3層は、層内にボイドを有していないことを特徴とする端子用部材。
  2. 上記第4層は、Agからなることを特徴とする請求項1に記載の端子用部材。
  3. 請求項1または2に記載の端子用部材の製造方法であって、
    銅または銅合金からなる基材上に、NiめっきまたはNi合金めっきからなる第1めっき層、Cu−Sn合金めっきからなる第2めっき層、SnめっきまたはSn合金めっきからなる第3めっき層、および、AgめっきまたはAg合金めっきからなる第4めっき層をこの順に有するめっき部材を準備する準備工程と、
    上記めっき部材を加熱することにより、上記第1めっき層からなる上記第1層と、上記第2めっき層からなる上記第2層と、上記第3めっき層と上記第4めっき層の一部とが合金化して形成されたAg−Sn合金からなる上記第3層と、上記第4めっき層の残部からなる上記第4層とを得る加熱工程と、を有することを特徴とする端子用部材の製造方法。
  4. 上記基材上に、上記第1めっき層、上記第2めっき層、および、上記第3めっき層をこの順に有するプレめっき部材を準備し、該プレめっき部材の上記第3めっき層上に上記第4めっき層が形成されることにより、上記めっき部材が準備されることを特徴とする請求項に記載の端子用部材の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の端子用部材からなることを特徴とするコネクタ用端子。
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