JP2005353542A - 導電性被覆材料とその製造方法、この被覆材料を用いたコネクタ端子または接点 - Google Patents
導電性被覆材料とその製造方法、この被覆材料を用いたコネクタ端子または接点 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 耐熱性が優れ、また低い動摩擦係数をもつ導電性被覆材料を提供する。
【解決手段】 基材1の表面に、周期律表4〜10族に属する元素のいずれか1種またはその元素を主成分とする合金から成る下層領域2と、Cu−Sn金属間化合物から成る中間層領域3と、Ag−Sn金属間化合物を含有するSn合金から成る上層領域4とがこの順序で形成されている導電性被覆材料。
【選択図】 図1
【解決手段】 基材1の表面に、周期律表4〜10族に属する元素のいずれか1種またはその元素を主成分とする合金から成る下層領域2と、Cu−Sn金属間化合物から成る中間層領域3と、Ag−Sn金属間化合物を含有するSn合金から成る上層領域4とがこの順序で形成されている導電性被覆材料。
【選択図】 図1
Description
本発明は導電性被覆材料とその製造方法に関し、更に詳しくは、相手材との間での高温環境下における接触抵抗の増加も起こりずらく、また低い摩擦抵抗を有しているので、接点材料や、電気・電子機器用のコネクタ端子とりわけ自動車用コネクタ端子として用いて有用な導電性被覆材料とそれを製造する方法に関する。
電気・電子機器の用途拡大に伴い、それに組み込まれている部品端子などは高温環境下に曝される場合が多くなっている。とくに、自動車などに搭載される機器に組み込まれる端子の場合、エンジンからの熱や日照時の車内温度の上昇などによりこの傾向は顕著である。
ところで、従来から端子としては、例えばCuのような導電性基材の表面をSnめっき層で被覆した材料が多用されている。
ところで、従来から端子としては、例えばCuのような導電性基材の表面をSnめっき層で被覆した材料が多用されている。
このSnめっき端子の場合、Snは酸化されやすいので大気中では常に表面に硬い酸化皮膜が形成されている。そして相手材との接触においては、相手材がこの酸化皮膜を破って、当該酸化皮膜の下に位置する軟らかいSnと接触することにより電気的な接続が実現されている。
しかしながら、Snは他の金属との間で拡散合金化する反応速度が速いので、このSnめっき端子が例えば前記したような高温環境下に置かれると、基材のCuとの間で拡散合金化反応が進み、結局、表面のSnめっき層の厚みは減少する。
しかしながら、Snは他の金属との間で拡散合金化する反応速度が速いので、このSnめっき端子が例えば前記したような高温環境下に置かれると、基材のCuとの間で拡散合金化反応が進み、結局、表面のSnめっき層の厚みは減少する。
そして、Snめっき層の厚みが極端に薄くなると、その層全体は硬い酸化皮膜に転化してしまうので、相手材は接触時にこの酸化皮膜を破ることができなくなり、結局、電気的な接続が実現しなくなってしまう。
そのため、Snめっき層の厚みを厚くして、Snの拡散合金化による完全消耗に至るまでの時間を引き延ばして接続信頼性を確保するという対応策を採らざるを得なくなる。
そのため、Snめっき層の厚みを厚くして、Snの拡散合金化による完全消耗に至るまでの時間を引き延ばして接続信頼性を確保するという対応策を採らざるを得なくなる。
しかしながら、上記した対応策は次のような問題を招くので好ましいとはいえない。
例えばコネクタ端子の場合、雄端子と雌端子を嵌合して組み立てているが、Snめっき層を厚くすると、嵌合時に当該めっき層の変形に伴って抵抗力は大きくなり、嵌合作業性は悪くなる。とくに最近のコネクタ端子の場合、多極化が進んでいるので、上記した問題は、作業者の負荷の増大や嵌合不良の増加を招く原因にもなっている。
例えばコネクタ端子の場合、雄端子と雌端子を嵌合して組み立てているが、Snめっき層を厚くすると、嵌合時に当該めっき層の変形に伴って抵抗力は大きくなり、嵌合作業性は悪くなる。とくに最近のコネクタ端子の場合、多極化が進んでいるので、上記した問題は、作業者の負荷の増大や嵌合不良の増加を招く原因にもなっている。
したがって、このような端子の場合、表面めっき層は耐熱性に富み、接触抵抗は低く、また摺動性に富むことが要求される。
例えば、高い耐熱性や高い接続信頼性が要求される用途では、表面めっき層としてAuを使用しているが、高価格になるという問題がある。また、接点材料などにおいては、表面めっき層としてAgが用いられている。Agは接触抵抗が低いとはいえ、やはり高価格である。そして多極化して狭ピッチのコネクタ端子の表面めっき層に用いると、マイグレーションを起こして短絡事故の発生する虞があり、また自動車などの用途に用いると、燃料中の硫黄成分による硫化などの発生することがある。
例えば、高い耐熱性や高い接続信頼性が要求される用途では、表面めっき層としてAuを使用しているが、高価格になるという問題がある。また、接点材料などにおいては、表面めっき層としてAgが用いられている。Agは接触抵抗が低いとはいえ、やはり高価格である。そして多極化して狭ピッチのコネクタ端子の表面めっき層に用いると、マイグレーションを起こして短絡事故の発生する虞があり、また自動車などの用途に用いると、燃料中の硫黄成分による硫化などの発生することがある。
また、Cu基材の表面にSnめっきを行ったのち更にAgめっきを行い、ついで拡散焼鈍を行ってSn−Ag合金層を形成した被覆材料が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、この材料は、高温環境下で使用していると、基材のCuとSnとの相互拡散が進んでしまうので使用に耐え得ないという問題がある。
しかしながら、この材料は、高温環境下で使用していると、基材のCuとSnとの相互拡散が進んでしまうので使用に耐え得ないという問題がある。
また、Cu基材の表面にAgめっきを行ったのち、その上に溶融めっきやリフロー処理でSnの溶融凝固層を形成した被覆材料が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
この材料は、Snの溶融凝固層の形成時に一部のSnとAgとの間で合金化が進み、最上層がSn層として存在している。しかしながら、形成する溶融凝固層が薄くなると、合金層の一部が表面に露出してSn層特有の性質が有効に発現しなくなるという問題がある。
この材料は、Snの溶融凝固層の形成時に一部のSnとAgとの間で合金化が進み、最上層がSn層として存在している。しかしながら、形成する溶融凝固層が薄くなると、合金層の一部が表面に露出してSn層特有の性質が有効に発現しなくなるという問題がある。
また、Cu基材の表面にNiめっき、Cuめっき、Snめっき、Agめっきを順に行なったのちリフロー処理を行い、Snの溶融凝固層を形成した被覆材料が知られている(例えば、特許文献3を参照)。
この材料は、Snの溶融凝固層の形成時にSnとAgの間で合金化がすすみ、最上層がSn合金層、その下にCuとSnの合金層が存在している。しかしながら、このCuとSnの合金層はリフロー処理により微細結晶組織となっているため、摺動性の点で特性を満足できない。また、微細結晶組織は、はんだ接合時に溶融が早まり、はんだ接続性が劣るという問題があった。
特開平11−222659号公報
特許第2670348号
特開2002−317295号公報
この材料は、Snの溶融凝固層の形成時にSnとAgの間で合金化がすすみ、最上層がSn合金層、その下にCuとSnの合金層が存在している。しかしながら、このCuとSnの合金層はリフロー処理により微細結晶組織となっているため、摺動性の点で特性を満足できない。また、微細結晶組織は、はんだ接合時に溶融が早まり、はんだ接続性が劣るという問題があった。
本発明は、従来から知られている被覆材料における上記した問題を解決し、表面の摩擦係数は小さく、耐食性も良好で、相手材との間での高温環境下における接触抵抗も低く、したがって、高温環境下で、接点材料、コネクタ端子などに用いて有効な新規な導電性被覆材料とその製造方法の提供を目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明においては、
基材の表面に、周期律表4〜10族に属する元素のいずれか1種またはその元素を主成分とする合金から成る下層領域と、Cu−Sn金属間化合物から成る中間層領域と、Ag−Sn金属間化合物を含有するSn合金から成る上層領域とがこの順序で形成されていることを特徴とする導電性被覆材料が提供される。
基材の表面に、周期律表4〜10族に属する元素のいずれか1種またはその元素を主成分とする合金から成る下層領域と、Cu−Sn金属間化合物から成る中間層領域と、Ag−Sn金属間化合物を含有するSn合金から成る上層領域とがこの順序で形成されていることを特徴とする導電性被覆材料が提供される。
また、本発明においては、基材の表面に、周期律表4〜10族に属する元素のいずれか1種またはその元素を主成分とする合金の下層めっき層を少なくとも1層形成し、ついで前記下層めっき層の上にCuまたはCu合金から成る中間めっき層を形成し、更に前記中間めっき層の上に、AgもしくはAg合金から成るめっき層とSnもしくはSn合金とから成るめっき層、またはSnもしくはSn合金から成るめっき層とAgもしくはAg合金とから成る上層めっき層を形成したのち、全体に加熱処理を行うことを特徴とする導電性材料の製造方法が提供される。
本発明の被覆材料は、高温環境下にあっても接触抵抗の上昇が起こりずらく、また摩擦係数も小さく、非常に耐熱性に優れていると同時に摺動性も良好である。
図1に、本発明の導電性被覆材料の1例Aを示す。
この材料Aは、基材1の表面に、後述する下層領域2と中間層領域3と上層領域4がこの順序で積層された層構造になっている。なお、図1は基材1の片面に上記層構造が形成された例を示しているが、本発明の材料は、この層構造が基材の両面に形成されていてもよい。
この材料Aは、基材1の表面に、後述する下層領域2と中間層領域3と上層領域4がこの順序で積層された層構造になっている。なお、図1は基材1の片面に上記層構造が形成された例を示しているが、本発明の材料は、この層構造が基材の両面に形成されていてもよい。
この材料Aは、基材1の表面に、下層領域2になるめっき層(これを下層めっき層aとする)、中間層領域3になるめっき層(これを中間めっき層bとする)、および上層領域4になるめっき層(これを上層めっき層cとする)を順次形成して目的とする材料の前駆体を製造し、ついで、この前駆体に加熱処理を行って製造される。したがって、下層領域2、中間層領域3、上層領域4は、いずれも、めっき層の熱処理層になっている。
なお、この加熱処理は、上記した前駆体の製造時点で行ってもよいし、または、この材料から例えばコネクタ端子の加工中、もしくは加工後に行ってもよい。
加熱処理は、例えば温度100℃以上350℃以下で1秒以上24時間以下であれば良いが、140℃以上232℃以下で1時間以上24時間以下が好ましい。また、加熱時の雰囲気は、大気であってもよいが、例えばN2のような非酸化性雰囲気であることが好ましい。
加熱処理は、例えば温度100℃以上350℃以下で1秒以上24時間以下であれば良いが、140℃以上232℃以下で1時間以上24時間以下が好ましい。また、加熱時の雰囲気は、大気であってもよいが、例えばN2のような非酸化性雰囲気であることが好ましい。
このとき、加熱処理としてリフロー処理は好ましくない。その理由は、リフロー処理により、CuとSnの合金層が微細結晶組織となり、摺動性の点で劣り、また、はんだ接合時に溶融が早まり、はんだ接続性が劣るようになるからである。
基材1としては、少なくとも表面が導電性である材料が用いられる。例えば、CuまたはCu合金、FeまたはFe合金、NiまたはNi合金などの各種金属とその合金の外に、ZrB2やITO(In2O3−SnO2)のような導電性セラミックスや、ポリアセチレンやポリアニリンのような導電性の高分子材料、更には、非導電性材料の表面を導電性材料で被覆したものを用いることができる。これら材料のうち、導電性が高く機械的特性も良好であるCuまたはCu合金が好適である。なお、Cu合金としては、例えば、Cn−Zn合金、Cu−Sn合金、Cu−Ni合金、Cu−Ni−Si合金、Cu−Ti合金、Cu−Be合金などをあげることができる。
基材1としては、少なくとも表面が導電性である材料が用いられる。例えば、CuまたはCu合金、FeまたはFe合金、NiまたはNi合金などの各種金属とその合金の外に、ZrB2やITO(In2O3−SnO2)のような導電性セラミックスや、ポリアセチレンやポリアニリンのような導電性の高分子材料、更には、非導電性材料の表面を導電性材料で被覆したものを用いることができる。これら材料のうち、導電性が高く機械的特性も良好であるCuまたはCu合金が好適である。なお、Cu合金としては、例えば、Cn−Zn合金、Cu−Sn合金、Cu−Ni合金、Cu−Ni−Si合金、Cu−Ti合金、Cu−Be合金などをあげることができる。
基材1の表面に形成される下層領域2は、周期律表4〜10族に属する元素のいずれか1種またはその合金から成る下層めっき層aで構成されている。
具体的には、Ti,Zr;Hfなどの4族、V,Nb,Taなどの5族;Cr,Mo,Wなどの6族;Mn,Tc,Reなどの7族;Fe,Ru,Osなどの8族;Co,Rh,Irなどの9族;Ni,Pd,Ptなどの10族;などのいずれか1種、またはそれらの合金である。
具体的には、Ti,Zr;Hfなどの4族、V,Nb,Taなどの5族;Cr,Mo,Wなどの6族;Mn,Tc,Reなどの7族;Fe,Ru,Osなどの8族;Co,Rh,Irなどの9族;Ni,Pd,Ptなどの10族;などのいずれか1種、またはそれらの合金である。
これらのうち、入手しやすく、また後述するめっき処理が行いやすいなどの点からFe,Co,Niなどが好適である。下層めっき層aの厚みは、0μmを超え、2.0μm以下、好ましくは0.2μm以上、1.0μm以下にする。
この下層領域2を構成する材料は、いずれも、融点が1000℃以上である高融点材料であるため、高温環境下において中間層領域や上層領域の成分と基材1の成分との相互拡散を防止するバリア層として機能する。
この下層領域2を構成する材料は、いずれも、融点が1000℃以上である高融点材料であるため、高温環境下において中間層領域や上層領域の成分と基材1の成分との相互拡散を防止するバリア層として機能する。
中間層領域3は、Cu−Sn金属間化合物で構成されている。具体的には、Cu3Sn、Cu6Sn5のような金属間化合物である。
この中間層領域3は、前記した下層めっき層aの上に形成されるCuまたはCu合金の中間めっき層bのCu成分と、更にこの上に形成される上層めっき層c中のSn成分とが、加熱処理時の反応によって形成される。中間めっき層bの厚みは、0μmを超え1.0μm以下、好ましくは、0.1μm以上0.35μm以下にする。
この中間層領域3は、前記した下層めっき層aの上に形成されるCuまたはCu合金の中間めっき層bのCu成分と、更にこの上に形成される上層めっき層c中のSn成分とが、加熱処理時の反応によって形成される。中間めっき層bの厚みは、0μmを超え1.0μm以下、好ましくは、0.1μm以上0.35μm以下にする。
したがって、中間めっき層bの厚みは、上層めっき層cのSn成分が加熱処理時の反応によって消失しないような厚みに設定される。
この中間層領域3は、高温環境下において、上層領域4に存在するSn成分が下層側へ拡散していくことを抑制する。
上層領域4は、Ag−Sn金属間化合物を含有するSn合金で構成されている。具体的には、Ag3Snで示される導電性の金属間化合物を含有している。
この中間層領域3は、高温環境下において、上層領域4に存在するSn成分が下層側へ拡散していくことを抑制する。
上層領域4は、Ag−Sn金属間化合物を含有するSn合金で構成されている。具体的には、Ag3Snで示される導電性の金属間化合物を含有している。
この上層領域4は、高温環境下においてSn成分が拡散してしまったとしても、Ag−Sn金属間化合物は残置しているので被覆材料の接触抵抗の上昇を抑制する。
また、この上層領域4におけるAg成分はAg−Sn金属間化合物として固定されているので、単なるAgめっき層の場合のように、Agのマイグレーションや硫化という問題も起こらなくなる。
また、この上層領域4におけるAg成分はAg−Sn金属間化合物として固定されているので、単なるAgめっき層の場合のように、Agのマイグレーションや硫化という問題も起こらなくなる。
この上層領域4は、前記した上層めっき層cを加熱処理して形成された層である。
その場合の上層めっき層cは、前記した中間めっき層bの上に順次形成されたAgまたはAg合金から成るめっき層とSnまたはSn合金から成るめっき層、またはSnまたはSn合金から成るめっき層とAgまたはAg合金から成るめっき層とから成る2層構造である。また、Ag−Sn金属間化合物の生成を妨げない程度に他の成分が含有されているAg−Sn合金のめっき層1層であってもよい。
その場合の上層めっき層cは、前記した中間めっき層bの上に順次形成されたAgまたはAg合金から成るめっき層とSnまたはSn合金から成るめっき層、またはSnまたはSn合金から成るめっき層とAgまたはAg合金から成るめっき層とから成る2層構造である。また、Ag−Sn金属間化合物の生成を妨げない程度に他の成分が含有されているAg−Sn合金のめっき層1層であってもよい。
そして、加熱処理時に、Ag成分とSn成分の間で合金化が進むとともに前記したAg−Sn金属間化合物が生成して上層領域4が形成される。
上記した2層構造のめっき層において、Ag成分の量が少なすぎると、Ag−Sn金属間化合物の生成量が少なくなって高温環境下における接触抵抗の上昇を抑制できなくなり、また逆にAg成分の量が多すぎると、余剰のAg成分のために前記したマイグレーションや硫化問題などが生じてくる。
上記した2層構造のめっき層において、Ag成分の量が少なすぎると、Ag−Sn金属間化合物の生成量が少なくなって高温環境下における接触抵抗の上昇を抑制できなくなり、また逆にAg成分の量が多すぎると、余剰のAg成分のために前記したマイグレーションや硫化問題などが生じてくる。
そして、Ag−Sn金属間化合物はAg3Snを主体とするので、上層めっき層cにおけるAgの原子数とSnの原子数の割合は、後者が前者の1/3以上であることが必要となる。
このようなことから、上層めっき層cにおけるAg成分は0.05g/m2以上、厚みにして約0.005μm以上に設定することが好ましく、Sn成分の場合は、厚みにして1μm以下とすることが好ましい。上層めっき層cの厚みは、0μmを超え2.0μm以下、好ましくは0μmを超え1.5μm以下にする。
このようなことから、上層めっき層cにおけるAg成分は0.05g/m2以上、厚みにして約0.005μm以上に設定することが好ましく、Sn成分の場合は、厚みにして1μm以下とすることが好ましい。上層めっき層cの厚みは、0μmを超え2.0μm以下、好ましくは0μmを超え1.5μm以下にする。
実施例1〜15、比較例1〜4
Cu合金製のリボン基材に電解脱脂、酸洗を行ったのち、表1で示した金属を表示の厚みで電解めっきして下層めっき層aを形成した。
ついで、この下層めっき層aの上に、硫酸浴を用いた電解めっきを行い表示の厚みの中間めっき層bを形成した。
Cu合金製のリボン基材に電解脱脂、酸洗を行ったのち、表1で示した金属を表示の厚みで電解めっきして下層めっき層aを形成した。
ついで、この下層めっき層aの上に、硫酸浴を用いた電解めっきを行い表示の厚みの中間めっき層bを形成した。
そして最後に、この中間めっき層bの上に、表示した2層構造の上層めっき層cを形成した。
ついで、全体に表示の加熱処理を行ったのち、水冷して各種の被覆材料を製造した。
各被覆材料につき、次のようにして上層領域におけるAg−Sn金属間化合物の存否を測定した。
ついで、全体に表示の加熱処理を行ったのち、水冷して各種の被覆材料を製造した。
各被覆材料につき、次のようにして上層領域におけるAg−Sn金属間化合物の存否を測定した。
X線回析法でAg3Snの同定を行なった。その際、Ag3Snの回析強度のうちで大きいものを3個選び、その3個が全て確認でき、かつ3個のうち最も大きいものがSnの回析強度の最も大きいものの強度の1%以上であれば、Ag3Snが存在すると判断した。
各被覆材料を温度100℃で1200時間加熱したのち、その外観を観察し、また接触抵抗と動摩擦係数を測定した。
各被覆材料を温度100℃で1200時間加熱したのち、その外観を観察し、また接触抵抗と動摩擦係数を測定した。
なお、接触抵抗は、協和界面科学社製の接触抵抗試験機を用い、接触荷重0.098Nの条件で測定した。また動摩擦係数は、協和界面科学社製の摩擦試験機を用い、垂直荷重2.94Nの条件で測定した。
以上の結果を一括して表1に示した。
以上の結果を一括して表1に示した。
本発明の被覆材料は、相手材との間での高温環境下における接触抵抗の増加も起こりずらく、また低い摩擦抵抗を有しているので、接点材料や、電気、電子材器用のコネクタ端子、とりわけ自動車用のコネクタ端子として有用である。
1 基材
2 下層領域
3 中間層領域
4 上層領域
2 下層領域
3 中間層領域
4 上層領域
Claims (6)
- 基材の表面に、周期律表4〜10族に属する元素のいずれか1種またはその元素を主成分とする合金から成る下層領域と、Cu−Sn金属間化合物から成る中間層領域と、Ag−Sn金属間化合物を含有するSn合金から成る上層領域とがこの順序で形成されていることを特徴とする導電性被覆材料。
- 基材の表面に、周期律表4〜10族に属する元素のいずれか1種またはその元素を主成分とする合金の下層めっき層を少なくとも1層形成し、ついで前記下層めっき層の上にCuまたはCu合金から成る中間めっき層を形成し、更に前記中間めっき層の上に、AgもしくはAg合金から成るめっき層とSnもしくはSn合金とから成るめっき層、またはSnもしくはSn合金から成るめっき層とAgもしくはAg合金とから成る上層めっき層を形成したのち、全体に加熱処理を行うことを特徴とする導電性被覆材料の製造方法。
- 前記加熱処理が溶融処理である請求項2の導電性被覆材料の製造方法。
- 前記AgまたはAg合金のめっき層におけるAg量が0.05g/m2以上である請求項2の導電性被覆材料の製造方法。
- 前記SnまたはSn合金のめっき層におけるSnの原子数が、前記Agの原子数の1/3以上である請求項2または4の導電性被覆材料の製造方法。
- 請求項1の導電性被覆材料から成るコネクタ端子または接点。
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- 2004-06-14 JP JP2004175934A patent/JP2005353542A/ja active Pending
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