JPWO2017038825A1 - 耐熱性に優れためっき材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】175℃といった高温でも、所望の耐熱性を維持することができ、また接点部形成時に割れが生じないSnめっき材及びその製造方法を提供する。【解決手段】CuまたはCu合金からなる導電性基材(1)上にNiまたはNi合金からなる第一下地層(2)、CuSn化合物からなる中間層(4)、SnまたはSn合金からなる表面層(5)の順に各層を有するSnめっき材であって、該Snめっき材は圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、第一下地層と導電性基材の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層(6)が残存しているか、界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層(6)が合計で0.5〜10μmの長さで存在しているSnめっき材(10)、およびその製造方法と用途。【選択図】図1

Description

本発明は、車載部品、電気電子部品、リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等に好適なスズ(Sn)めっき材及びその製造方法と用途に関する。
電気接点材には、従来から電気伝導性に優れた銅(Cu)または銅合金が利用されてきた。近年は接点特性の向上が進み、銅または銅合金をそのまま用いるケースは減少している。このような従来の材料に代わって銅または銅合金上に各種表面処理した材料が製造・利用されている。特に電気接点材として、電気接点部に銅または銅合金上にスズまたはスズ合金がめっきされた部材が汎用されている。
このめっき材料は、導電性基材の優れた導電性と強度、およびめっき層の優れた電気接続性と耐食性とはんだ付け性を備えた高性能導電体として知られており、電気・電子機器に用いられる各種の端子やコネクタなどに広く用いられている。このめっき材料は、通常、銅などの導電性基材の合金成分が前記めっき層に拡散するのを防止するため、基材上にバリア機能を有するニッケル(Ni)、コバルト(Co)などが下地めっきされる。
このめっき材料を端子として用いた場合、例えば自動車のエンジンルーム内などの高温環境下では、端子表面のスズめっき層のスズが易酸化性のため、スズめっき層の表面に酸化皮膜が形成される。この酸化皮膜は脆いため端子接続時に破れて、その下の未酸化のスズめっき層が露出して良好な電気接続性が得られる。
しかし、近年の電気接点材の使用環境として、高温環境下において使用されるケースが多くなっている。例えば自動車のエンジンルーム内でのセンサー用接点材料などは、100℃〜200℃等の高温環境下で使用される可能性が高まっている。このため、従来の民生機器で想定された使用温度よりも高温における接点特性等の信頼性が求められている。特に接点特性の信頼性を左右する原因として、高温下では、導電性基材成分の拡散および表面酸化により最表層での接触抵抗を増大させてしまうことが問題となっている。そのため、この導電性基材成分の拡散抑制および酸化防止について種々検討がなされてきた。
特許文献1では、CuまたはCu合金基材の表面上に、NiまたはNi合金層が形成され、最表面側に厚さ0.25〜1.5μmのSnまたはSn合金層が形成され、前記NiまたはNi合金層と前記SnまたはSn合金層の間にCuとSnを含む中間層が1層以上形成され、これらの中間層のうち前記SnまたはSn合金層と接している中間層のCu含有量を50質量%以下、Ni含有量を20質量%以下であり且つ平均結晶粒径を0.5〜3.0μmとすることで、はんだ付け性、耐ウィスカ性および耐熱信頼性などの特性を有し、さらに、プレス加工性に優れためっき材料が得られている。
特許文献2では、CuまたはCu合金からなる基材表面に、Ni層、Cu−Sn合金層及びSn層からなる表面めっき層がこの順に形成され、かつ前記Ni層の厚さを0.1〜1.0μm、前記Cu−Sn合金層の厚さを0.1〜1.0μm、前記Cu−Sn合金層のCu濃度を35〜75at%、前記Sn層の厚さを0.5μm以下とすることで、高温雰囲気下で長時間経過後も電気的信頼性(低接触抵抗)を維持することができ、亜硫酸ガス耐食性に優れ、厳しい加工で割れが発生しないめっき材料が得られている。
特許文献3では、加工変質層のないCu又はCu合金からなる基材の表面に、Ni層、Cu−Sn合金層からなる中間層、Sn又はSn合金からなる表面層がこの順で形成される。前記Ni層が基材上にエピタキシャル成長しており、Ni層の平均結晶粒径を1μm以上、Ni層の厚さを0.1〜1.0μm、かつ前記中間層の厚さを0.2〜1.0μm、前記表面層の厚さを0.5〜2.0μmとすることで、Cu又はCu合金からなる下地基材に対するバリア性を高め、Cuの拡散をより確実に防止して耐熱性を向上させ、高温環境下でも安定した接触抵抗を維持することができるSnめっき材が得られている。
特開2003−293187 特開2004−068026 特開2014−122403
近年、例えば車載部品においては、環境温度の高温化や電気駆動車の普及による電流量増加により、これまで以上に材料に高温下での良好な電気接続性(以下、単に耐熱性という。)が求められている。その他の用途においても、環境温度の高温化や、部品の小型化や高出力化に伴う回路電流密度の増加が見られており、やはり耐熱性の向上が求められている。また部品の小型化に伴い、より良好な曲げ加工性が求められている。
特許文献1、2では、耐熱性の指標として160℃での試験を実施している。しかし、この水準をクリアしただけでは近年要求される耐熱性に十分に応じることはできない。例えば175℃での試験においては、導電性基材から拡散したCuが表面のSnと反応して化合物を形成し、表面のSnが消滅することで電気接続性が低下することが分かってきた。
特許文献3のSnめっき材では、175℃、1000時間の加熱後も良好な電気接続性が得られており、優れた耐熱性を有する。しかし、Niめっき層の結晶粒径が従来に比べ大きいため、接点部を張り出し加工や曲げ加工で形成した際に割れが発生し易い。割れの発生した部品を熱環境下で使用すると、めっき割れ部分で基材の腐食が進行し、電気接続性を損なう恐れがある。
上記の事情に鑑み、本発明の課題は、175℃といった高温でも、所望の耐熱性を維持することができ、また接点部形成時に割れが生じないSnめっき材及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、種々の検討を行った。この結果、本発明者らは、車載部品、電気電子部品、リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等に好適なSnめっき材について鋭意研究を行い、CuまたはCu合金からなる導電性基材上にNiまたはNi合金からなる第一下地層、CuSn化合物からなる中間層、SnまたはSn合金からなる表面層の順に各層が形成されたSnめっき材であって、該Snめっき材は圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、第一下地層と導電性基材の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層を残存させるか、界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層を合計で0.5〜10μmの長さで存在させることで、耐熱性と加工性を兼ね備えたSnめっき材が得られることを見出した。
本発明によれば、下記の手段が提供される。
(1)CuまたはCu合金からなる導電性基材上にNiまたはNi合金からなる第一下地層、CuSn化合物からなる中間層、SnまたはSn合金からなる表面層の順に各層を有するSnめっき材であって、該Snめっき材は圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、第一下地層と導電性基材の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層が残存しているか、界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層が合計で0.5〜10μmの長さで存在していることを特徴とするSnめっき材。
(2)CuまたはCu合金からなる導電性基材上にNiまたはNi合金からなる第一下地層、CuまたはCu合金からなる第二下地層、CuSn化合物からなる中間層、SnまたはSn合金からなる表面層の順に各層を有するSnめっき材であって、該Snめっき材は圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、第一下地層と導電性基材の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層が残存しているか、界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層が合計で0.5〜10μmの長さで存在していることを特徴とするSnめっき材。
(3)前記第一下地層が、結晶粒径が1μm以上の部分と1μm未満の部分が混在することを特徴とする(1)または(2)に記載のSnめっき材。
(4)前記表面層の厚さが0.2〜5μmであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のSnめっき材。
(5)前記中間層の厚さが0.1〜1μmであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のSnめっき材。
(6)前記第一下地層の厚さが0.1〜2μmであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のSnめっき材。
(7)前記第二下地層の厚さが0〜0.1μmであることを特徴とする(2)〜(6)のいずれか1項に記載のSnめっき材。
(8)175℃、240時間の熱処理したとき、前記中間層が材料表面に0.1〜60%の面積率で露出していることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のSnめっき材。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載のSnめっき材を使用した車載部品。
(10)(1)〜(8)のいずれか1項に記載のSnめっき材を使用した電気電子部品。
(11)CuまたはCu合金からなる導電性基材上にNiまたはNi合金からなる第一下地層、CuSn化合物からなる中間層、SnまたはSn合金からなる表面層の順に各層が形成されたSnめっき材の製造方法であって、
前記導電性基材上に、前記第一下地層、CuまたはCu合金からなる第二下地層、前記表面層をこの順に形成した後、リフロー処理により前記第二下地層と前記表面層を、前記第二下地層が無くなるまで反応させて前記中間層を形成し、
導電性基材のバフ研磨及び酸洗条件をバフ研磨粒子のサイズが#1000〜5000で、かつ、酸洗液への浸漬時間を0〜60秒、仕上げ加工条件の加工率を0〜70%に調整し、更に場合によって仕上げ熱処理条件を250〜650℃で5秒〜5時間に調整して実施することにより導電性基材表面の加工変質層の残存量を制御することで、該Snめっき材は圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、前記第一下地層と導電性基材の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層を残存させるか、界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層が合計で0.5〜10μmの長さで存在させることを特徴とする、Snめっき材の製造方法。
(12)CuまたはCu合金からなる導電性基材上にNiまたはNi合金からなる第一下地層、CuまたはCu合金からなる第二下地層、CuSn化合物からなる中間層、SnまたはSn合金からなる表面層の順に各層が形成されたSnめっき材の製造方法であって、
前記導電性基材上に、前記第一下地層、前記第二下地層、前記表面層をこの順に形成した後、リフロー処理により前記第二下地層と前記表面層を、前記第二下地層が一部残るよう、反応させて前記中間層を形成し、
導電性基材のバフ研磨及び酸洗条件をバフ研磨粒子のサイズが#1000〜5000で、かつ、酸洗液への浸漬時間を0〜60秒、仕上げ加工条件の加工率を0〜70%に調整し、更に場合によって仕上げ熱処理条件を250〜650℃で5秒〜5時間に調整して実施することにより導電性基材表面の加工変質層の残存量を制御することで、該Snめっき材は圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、前記第一下地層と導電性基材の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層を残存させるか、界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層が合計で0.5〜10μmの長さで存在させることを特徴とする、Snめっき材の製造方法。
本発明のSnめっき材によれば、導電性基材表面に加工変質層を一部残存させることで、導電性基材から表面層への基材成分Cuの拡散を抑制し、良好な耐熱性を得ることができる。また曲げ加工や張り出し加工で形成する接点部の割れを抑制することができる。
本発明の上記および他の特徴および利点は、下記の記載および添付の図面からより明らかになるであろう。
本発明のSnめっき材の一実施形態の断面図である。 本発明のSnめっき材の別の実施形態の断面図である。 実施例で行った、張り出し加工方法の断面図である。 実施例で行った、張り出し加工されたSnめっき材の断面図である。 経年劣化した状態を模式的に示す概念図である。
本発明のSnめっき材の好ましい一実施形態について、詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態のSnめっき材(10)は、CuまたはCu合金からなる導電性基材(1)上にNiまたはNi合金からなる第一下地層(2)、CuSn化合物からなる中間層(4)、SnまたはSn合金からなる表面層(5)の順に各層が形成された構成である。場合によっては図2に示したように、第一下地層(2)と中間層(4)の間にCuまたはCu合金からなる第二下地層(3)を形成しても良い。このいずれの場合でも、第一下地層(2)と導電性基材(1)の間に加工変質層(6)が前記所定の長さで残存している。
導電性基材の表面に加工変質層を一部残存させることで、その部分の導電性基材上には結晶粒径の小さい第一下地層が形成され、加工変質層が除去された部分には結晶粒径の大きい第一下地層が形成される。結晶粒径の小さい部分は加工性の改善に寄与し、大きい部分は導電性基材から表面層への基材成分Cuの拡散を抑制し、耐熱性向上に寄与する。第一下地層の結晶粒径が小さい部分の直上では、導電性基材からの基材成分Cuの拡散により表面層が消失または減少するが、結晶粒径の大きい部分の直上に残った表面層により、全体として良好な耐熱性が得られる。また車載端子のような高温環境下で使用した後にメンテナンスを行う場合、第一下地層の結晶粒径の小さい部分の直上で成長した中間層の効果により、挿抜時の挿入力が初期より低下する。
導電性基材(1)の形状には特に制限は無く、例えば板、条、箔、線などがある。以下では実施形態として板材、条材について説明するが、その形状はこれらに限定されるものではない。導電性基材(1)には、CuまたはCu合金が用いられる。CuまたはCu合金の種類は特に限定されるものではなく、使用する用途の強度、導電率等の要求に応じて、適宜選択すれば良い。
導電性基材(1)に用いることができる銅合金の一例として、CDA(Copper Development Association)掲載合金である「C14410(Cu−0.15Sn、古河電気工業(株)製、商品名:EFTEC3)」、「C19400(Cu−Fe系合金材料、Cu−2.3Fe−0.03P−0.15Zn)」、「C18045(Cu−0.3Cr−0.25Sn−0.5Zn、古河電気工業(株)製、商品名:EFTEC64T)」、「C64770(Cu−Ni−Si系合金材料、古河電気工業(株)製、商品名:EFTEC−97)」、「C64775(Cu−Ni−Si系合金材料、古河電気工業(株)製、商品名:EFTEC−820)」等を用いることができる。(なお、前記銅合金の各元素の前の数字の単位は銅合金中の質量%を示す。)また、TPC(タフピッチ銅)やOFC(無酸素銅)、りん青銅、黄銅(例えば、70質量%Cu−30質量%Zn。7/3黄銅と略記する。)等も用いることができる。導電性や放熱性を向上させるという観点からは、導電率が5%IACS以上の銅合金の条材とすることが好ましい。なお、銅合金を導電性基材(1)として取り扱う時での本発明の「基材成分」とは、基金属である銅のことを示すものとする。導電性基材(1)の厚さには特に制限はないが、通常、0.05〜2.00mmであり、好ましくは、0.1〜1.2mmである。
第一下地層(2)は、例えばNiが用いられ、導電性基材(1)から表面層(5)への基材成分Cuの拡散を抑制する拡散バリア層として作用する。第一下地層(2)の厚さは0.1〜2μmが好ましく、0.2〜1μmがより好ましい。薄すぎると基材成分Cuの拡散抑制効果が小さくなり、Snめっき材(10)の耐熱性が低下する。また厚すぎると加工性が低下し、割れが生じる恐れがある。また第一下地層(2)はNi合金で形成されていても良く、例えばNi−P、Ni−Cu、Ni−Cr、Ni−Sn、Ni−Zn、Ni−Fe等を用いることができる。
導電性基材(1)上に例えばめっき法によって成膜した第一下地層(2)は、加工変質層(6)を除去した部分では導電性基材(1)に配向してNi結晶粒が成長し、導電性基材(1)と同程度の結晶粒径が得られる。CuまたはCu合金の結晶粒径は1〜30μm程度が一般的であるので、加工変質層(6)を除去した部分に成膜した第一下地層(2)(Ni)の結晶粒径は、そのほとんどが1μm以上となっている。これに対して、加工変質層(6)が残存する部分では、導電性基材(6)表面付近の第一下地層(2)の結晶粒径が基材本来の結晶粒径に比べ非常に小さくなっており、その上に得られる第一下地層(2)(Ni)は0.01μm以上1μm未満の小さな結晶粒径を有する。
中間層(4)は、第一下地層(2)上に第二下地層(3)、表面層(5)を順に形成した後にリフロー処理することで、第二下地層(3)と表面層(5)が反応することで得られ、主にCuSnとCuSnからなる。主にCuSnとCuSnからなるとは、CuSnとCuSnが50質量%以上で構成されていることを意味する。中間層(4)は表面層(5)と第一下地層(2)の反応を防止する拡散バリア層として作用する。中間層(4)の厚さは0.1〜1μmであることが好ましく、0.2〜0.8μmであることがより好ましい。薄すぎると拡散バリア層としての効果が小さくなり、表面層(5)と第一下地層(2)の反応が進み、Snめっき材(10)の耐熱性が低下する。また厚すぎると加工性が低下し、割れが生じる恐れがある。
表面層(5)は、接点の電気的接続性を担保するために必要である。表面層(5)の厚さは0.2〜5μmであることが好ましく、0.3〜2μmであることがより好ましい。薄すぎると、高温下でSnが導電性基材(1)から拡散してきたCuと反応して消失し、電気的接続性が損なわれる。厚すぎると、表面付近で硬質な中間層(4)の影響が薄れ、軟質なSnまたはSn合金である表面層(5)の影響が大きくなることから、嵌合型端子等の挿抜の際に挿抜力が増大し、作業負荷が増大する。特に2μm以下の厚さとすることで、顕著に挿入力を低減することができる。表面層(5)はSn合金で形成されていても良く、例えばSn−Cu、Sn−Bi、Sn−Pb、Sn−Ag、Sn−Sb、Sn−In等を用いることができる。
第一下地層(2)と中間層(4)の間に、第二下地層(3)を形成しても良い。第二下地層(3)は、第一下地層(2)上に第二下地層(3)、中間層(4)、表面層(5)を順に形成した後にリフロー処理した際、図1に示すように、第二下地層(3)が全て中間層(4)の形成に使われて、消失してしまってもよいし、あるいは図2に示すように、第二下地層(3)の一部は使われずに、中間層(4)の形成に使われなかった第二下地層(3)が残存しても良い。残存した第二下地層(3)の厚さは、0〜0.1μmであることが好ましく、0〜0.05μmであることがより好ましい。第二下地層(3)は、中間層(4)と同様、表面層(5)と第一下地層(2)の反応を防止する拡散バリア層として作用する。ただし厚すぎると、高温下で表面の表面層(5)と反応し、耐熱性低下の原因となる。第二下地層(3)として用いられるCu合金としては、例えば、Cu−Ni、Cu−Sn等を挙げることができる。
本実施形態においては、導電性基材(1)の表面に加工変質層(6)が一部残存している。加工変質層(6)自体は従来から知られている。加工変質層(6)を説明すると、バフ掛け工程や圧延加工(機械加工)の際に発生する熱や作用力、周囲の雰囲気、金属新生面の性質などの影響を受けて形成される層で、金属基体内部の結晶組織よりも微細な組織を呈する。加工変質層(6)には、微細な結晶と非結晶部分が混在しており、加工変質層(6)に存在する結晶粒のサイズが1μm以下である。前記加工変質層はベイルビー層(上層)と塑性変形層(下層)とからなる。ここで、前記ベイルビー層は極微細な結晶集合組織或いは非晶質組織からなる。一方、前記塑性変形層は歪みの多い不均一な結晶集合組織からなり、その結晶粒の大きさはベイルビー層の結晶粒と金属基体内部の結晶粒のほぼ中間の大きさである。
加工変質層は熱的に不安定な組織であるため、加熱処理中の熱による原子拡散によって熱的に安定な原子配列に変化し、減少する。導電性基材の表面を溶解することで、加工変質層を一部または全部除去することができる。本実施形態のSnめっき材(10)は、圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材(1)の表面に、第一下地層(2)と導電性基材(1)の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層(6)が残存しているか、または、界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層(6)が合計で0.5〜10μmの長さで存在していることが好ましく、1つ又は複数の加工変質層(6)が合計で1〜5μm残存していることがより好ましい。加工変質層(6)の長さが短すぎる場合、第一下地層(2)(Ni)の大部分の結晶粒径が大きく、加工性の低下により接点部で割れが発生し、電気接続性が損なわれる恐れがある。逆に、加工変質層(6)の長さが長すぎる場合、第一下地層(2)(Ni)の大部分の結晶粒径が小さく、導電性基材(1)から表面層(5)に基材成分Cuが拡散し、耐熱性が低下する恐れがある。
本実施形態は、加工変質層(6)が残存している部分の直上では第一下地層(2)のNiの結晶粒径が小さいため、導電性基材(1)から表面層(5)への基材成分Cuの拡散が進行し、中間層(4)が成長し易い。これに対して加工変質層(6)が除去されている部分では第一下地層(2)のNiの結晶粒径が大きく、導電性基材(1)から表面層(5)への基材成分Cuの拡散が抑制され、中間層(4)が成長しづらい。このため本実施形態を高温下で使用すると、材料中で中間層(4)の成長に差が生じ、中間層(4)がSnめっき材(10)の表面に部分的に露出する(図5を参照のこと。)。高温下で使用後に中間層(4)が一部露出する場合、例えば車載端子のメンテナンス等で挿抜を行う際、初期より挿入力が低下し、作業負荷が低減する。175℃、240時間加熱後のSnめっき材(10)表面に、中間層(4)が0.1〜60%露出している場合、初期より低い挿入力と良好な電気接続性を同時に得られる。初期より低い挿入力と良好な電気接続性を同時に得るためには、露出する中間層(4)の面積率が0.1〜60%であることが好ましく、0.5〜40%であることがより好ましく、1〜30%であることがさらに好ましい。中間層(4)の露出の面積率が小さすぎる場合、低い挿入力は得られず、大きすぎる場合、良好な電気接続性は得られない。
次に、本実施形態のSnめっき材(10)の製造方法について説明する。本実施形態のSnめっき材(10)は通常、CuまたはCu合金からなる導電性基材(1)上にNiまたはNi合金めっき→CuまたはCu合金めっき→SnまたはSn合金めっきを順に行い、その後リフロー処理を行なうことで製造される。各工程の前後に、脱脂、酸洗、水洗、乾燥処理を適宜行ってもよい。本実施形態の製造方法においては、NiまたはNi合金めっき前の導電性基材(1)の表面に、加工変質層(6)を一部残存させることが重要である。本実施形態の製造方法においては、導電性基材のバフ研磨及び酸洗条件の調整、仕上げ加工条件の加工率を0〜70%に調整して、加工変質層(6)の残存量を制御する。また必要に応じて、仕上げ熱処理条件を250〜650℃で5秒〜5時間の範囲で実施しても良い。本実施形態の製造方法は、従来と同程度の工程数でありながら、それぞれの工程条件を適切に調整することで、材料特性の向上を実現した。
<導電性基材>
導電性基材(1)は、CuまたはCu合金であれば特に限定されるものではなく、用いる用途の強度、導電率等の要求に合わせ、適宜選択すれば良い。導電性基材(1)表面の加工変質層(6)は、熱処理後のバフ研磨及び酸洗工程におけるバフ研磨量、酸洗液での表面溶解量、あるいは仕上げ加工の加工率、更に必要に応じて仕上げ焼鈍条件を調整することで、制御できる。バフ研磨量や酸洗液での表面溶解量は、バフ研磨粒子のサイズ、酸洗液組成、酸洗液への浸漬時間等で制御できる。具体的には、バフ研磨粒子のサイズを#1000〜5000、酸洗液への浸漬時間を0〜60秒で制御する。バフ研磨粒子のサイズが#1000より小さい場合、研磨後の導電性基材(1)の表面が粗く、めっき膜にピンホール等の欠陥が生じ易くなり、また#5000より大きい場合、バフ研磨の効果が得づらくなる。また酸洗液への浸漬時間が60秒より長い場合、導電性基材(1)の表面が酸焼けし、正常なめっき膜が得られなくなる恐れがある。浸漬時間が0秒は、酸洗を行わないことを意味する。また酸洗液としては、硫酸系水溶液、フッ酸系水溶液、硝酸系水溶液、リン酸系水溶液等を用いることができる。また、仕上げ加工は、例えば0〜70%の加工率で実施することができる。ここで、仕上げ加工0%は、仕上げ加工を行わないことを意味する。仕上げ加工率が70%を超える場合、得られるSnめっき材(10)の曲げ加工性が著しく低下する。また仕上げ焼鈍を実施する場合、例えば250〜650℃で5秒〜5時間で実施することができる。この条件より低温、あるいは短時間となると仕上げ焼鈍の効果が得づらく、加工変質層の残存量が規定の範囲より多くなる恐れがある。また高温、あるいは長時間となると加工変質層の残存量が規定の範囲より少なく、またSnめっき材(10)の材料強度が著しく低下する恐れがある。
<第一下地層(2)を形成するNiまたはNi合金めっき>
NiまたはNi合金は、一般的な方法でめっきすれば良い。めっき浴としては、例えばスルファミン浴やワット浴、硫酸浴等を使用できる。めっき条件は、浴温20〜60℃、電流密度1〜30A/dmでめっきすればよい。
<第二下地層(3)を形成するCuまたはCu合金めっき>
CuまたはCu合金は、一般的な方法でめっきすれば良い。めっき浴としては、例えば硫酸浴やシアン浴を使用できる。めっき条件は、浴温20〜60℃、電流密度1〜30A/dmでめっきすればよい。
<表面層(5)を形成するSnまたはSn合金めっき>
SnまたはSn合金は、一般的な方法でめっきすれば良い。めっき浴としては、例えば硫酸浴等を使用できる。めっき条件は、浴温10〜40℃、電流密度1〜30A/dmでめっきすればよい。
<リフロー処理>
上記表面層(5)まで形成した後のリフロー処理は、一般的な方法で実施できる。例えば400〜800℃に設定した炉内に材料を通過させ、5〜20秒加熱した後、冷却すればよい。リフロー処理により、第二下地層(3)と表面層(5)が反応し、中間層(4)が形成される。
したがって、リフロー処理により第二下地層(3)と表面層(5)を、第二下地層(3)が無くなるまで反応させて中間層(4)を形成した場合は、図1のように第一下地層(2)と中間層(4)の間に第二下地層は存在しない。
またリフロー処理により第二下地層(3)と表面層(5)を、第二下地層(3)が一部残るよう、反応させて中間層(4)を形成した場合は、図2のように第一下地層(2)と中間層(4)の間に第二下地層(3)が形成される。
本実施形態のSnめっき材(10)は、導電性基材(1)表面に加工変質層(6)を一部残存させることで、導電性基材(1)から表面層(5)への基材成分Cuの拡散を抑制し、良好な耐熱性を得ることができる。また曲げ加工や張り出し加工で形成する接点部の割れを抑制することができる。
(Snめっき材(10)の用途)
本実施形態のSnめっき材(10)は、特に高温下での耐熱性(電気接続性)に優れる。このため本実施形態のSnめっき材(10)は、小型端子、高圧大電流端子等の車載部品の他、端子、コネクタ、リードフレームなどの電気電子部品に好適である。
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
板厚0.25mmの銅合金基材(古河電気工業株式会社製、商品名:EFTEC−97)にバフ研磨及び酸洗、仕上げ加工、仕上げ焼鈍を行った後、電解脱脂、酸洗を行い、Niめっき、Cuめっき、Snめっきを順に施し、700℃に保持した炉中を5〜10秒通過させリフロー処理した。各めっき条件を表1に示す。なお、バフ研磨及び酸洗、仕上げ加工、仕上げ焼鈍に関しては、リフロー処理後の基材断面における加工変質層の残存量が規定の範囲に収まるように制御した。バフ研磨量は、バフ研磨粒子のサイズを#1000〜5000の範囲とすることで調整した。表面溶解量は、酸洗液としての、硫酸と過酸化水素水の混合水溶液への浸漬時間を0〜60秒の範囲とすることで調整した。また仕上げ加工の加工率を0〜70%の範囲に、仕上げ焼鈍は250〜650℃で5秒〜5時間に、条件をそれぞれ調整した。加工変質層の残存量は、後述の方法により測定した。
このような条件で、後述の表2に示す通り、本発明の範囲に入る例として、層厚構成の異なる発明例1〜7のSnめっき材(10)を作製した。
また比較例として、加工変質層の残存量が本発明の規定から外れているSnめっき材も作製した(比較例1、2、3、4)。
ここで、比較例1は前記特許文献3の加工変質層がない場合(特許文献3の実施例1〜6)に相当し、バフ研磨及び酸洗工程でバフ研磨後に酸洗液に60秒浸漬し、仕上げ加工と仕上げ焼鈍を実施しないことで作製した。また比較例4は加工変質層が導電性基材(1)上の全面に残存している場合(特許文献3の比較例1)に相当し、バフ研磨及び酸洗後に仕上げ加工70%を施し、仕上げ焼鈍を実施しないことで作製した。比較例2、3は、導電性基材上に加工変質層が一部残存し、残存量が本発明の規定の範囲に収まらないように調整した例である。比較例2は、バフ研磨及び酸洗後に仕上げ加工を施し、仕上げ焼鈍を本発明で規定する温度より高温の675℃、2時間で実施し、加工変質層の残存量を本発明既定の範囲より少なくしている。比較例3は、バフ研磨及び酸洗後に仕上げ加工を施し、仕上げ焼鈍を本発明で規定する温度より低温の225℃、2時間で実施し、加工変質層の残存量を本発明既定の範囲より多くしている。
Figure 2017038825
[カソード電解脱脂]
脱脂液:NaOH 60g/リットル
脱脂条件:2.5A/dm、温度60℃、脱脂時間60秒
[酸洗]
酸洗液:10%硫酸
酸洗条件:30秒 浸漬、室温
このようにして製造した供試材について、下記の評価を実施した。
(Snめっき材の層厚測定)
JIS H 8501の10に記載された定電流溶解法により、上記で作製したSnめっき材の各層の層厚を測定した。
(組織観察―加工変質層の残存量)
FIB−SIM(集束イオンビーム−走査型イオン顕微鏡)により、上記で作製したSnめっき材(10)の圧延方向と板厚方向からなる断面を観察し、導電性基材(1)の表面に残存している加工変質層(6)の長さ(残存量)を計測した。観察は、10000〜50000倍の倍率で行った。測定は、第一下地層(2)と導電性基材(1)の界面について、界面長さ20μmを含む範囲を1視野とし、視野範囲が重ならないように3視野について加工変質層(6)の残存している部分の界面長さを計測した後、その平均値を測定結果として用いた。あるいは、この界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層(6)が合計で0.5〜10μmの長さで存在していることを確認した。第一下地層(2)と導電性基材(1)の界面位置は、FIBに付随したオージェ電子分光分析を用いた元素マッピングを用いることで判断した。また、直上の第一下地層(2)が導電性基材(1)に配向してNiの結晶粒界がCuの結晶粒界と一致している部分は、加工変質層(6)が除去されていると判断した。一方、第一下地層(2)のNiの結晶粒径が導電性基材(1)のCuの結晶粒界に対して小さい部分を加工変質層(6)が残存していると判断した。
(高温下での耐熱性)
160℃、1000時間加熱後のSn残存量(160℃耐熱性)と、175℃、240時間加熱後のSn残存量(175℃耐熱性)をJIS H 8501の10に記載された定電流試験法で測定し、それぞれSnが少しでも残存していると評価されたものをA(良)、全く残存していないと評価されたものをD(劣)とした。
図5に、前記高温化で経年劣化した状態(例えば、150℃、1000時間放置した状態)を模式的に示す。図5では、加工変質層(6)が存在しない部分では中間層(4)とその上の表面層(5)が残っているが、加工変質層(6)の直上では中間層(4)が厚くなって表面層(5)がほとんど無くなっている。
(張り出し加工性)
上記で作製したSnめっき材(10)を張り出し加工し、加工後にめっき割れが生じなかったものをA(良)、生じたものをD(劣)とした。めっき割れの判定は、加工後の張り出し部表面を光学顕微鏡で50〜500倍で観察し、基材の露出しているものを割れが発生したと判断した。図3は張り出し加工方法と張り出し加工されたSnめっき材(10)の断面模式図である。張り出し加工では、固定した前記上記で作製したSnめっき材(10)を、先端に0.5mmRの半球がついた治具を押し付けることで変形させ、加工した。図中、Oは張り出し加工に用いる治具の先端にある半球の中心を示す。図4は、張り出し加工後のSnめっき材(10)の断面模式図である。図中、Oは張り出し部の半球の中心を示す。
(高温加熱後のSnめっき材表面における中間層(CuSn化合物層)の露出面積率)
175℃、240時間加熱後の、上記で作製したSnめっき材(10)表面を1000倍でSEM観察し、中間層(4)が露出した部分の面積率を画像解析により求めた。中間層(4)の露出の有無は、二次電子像観察、反射電子像観察、SEMに付属のEDX元素マッピングを併用して判断した。露出面積率が1〜30%のものをA(優)、0.5%以上1%未満、または30%より大きく40%以下のものをB(良)、0.1%以上0.5%未満、または40%より大きく60%以下のものをC(可)、0.1%未満、または60%より大きいものをD(劣)とした。
Figure 2017038825
表2に、上記で作製したSnめっき材(10)の各層のめっき厚(層厚)、加工変質層の残存量(長さ)、特性をまとめて示した。
ここで表2中、「層厚(μm)」と記載した欄の「Ni」と記載した欄は第一下地層(2)の厚さを示し、「Cu」と記載した欄は第二下地層(3)の厚さを示し、「CuSn」と記載した欄は中間層(4)の厚さを示し、「Sn」と記載した欄は表面層(5)の厚さを示す。これらの発明例において、「Cu」層つまり第二下地層(3)が0μmの場合は、図1に示した実施態様であり、「Cu」層つまり第二下地層(3)が0μmではない場合は、図2に示した実施態様である。
表2において、本発明の条件を満たす発明例1〜7はいずれも耐熱性、張り出し加工性の全てに優れていた。
これに対し、比較例1〜4は、耐熱性、張り出し加工性のいずれかの評価が劣る結果となった。加工変質層の残存量が本発明の規定の範囲より少ない比較例1、2については、張り出し加工性が劣り、また比較例1では175℃、240時間加熱後の中間層(4)の露出面積率が非常に小さくなっていた。また加工変質層の残存量が本発明の規定の範囲より多い比較例3、4については、175℃、240時間加熱における耐熱性が劣り、加熱後は中間層(4)の露出面積率が非常に大きくなっており、表面層(5)がほとんど残存していなかった。
以上から、本発明の条件を満たすSnめっき材が優れた特性を示すことが確認された。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2015年9月1日に日本国で特許出願された特願2015−172147に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
1 導電性基材
2 第一下地層
3 第二下地層
4 中間層
5 表面層
6 加工変質層
10 Snめっき材
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、種々の検討を行った。この結果、本発明者らは、車載部品、電気電子部品、リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等に好適なSnめっき材について鋭意研究を行い、金属材を一方向に圧延して製造される、CuまたはCu合金からなる導電性基材上にNiまたはNi合金からなる第一下地層、CuSn化合物からなる中間層、SnまたはSn合金からなる表面層の順に各層が形成されたSnめっき材であって、該Snめっき材は、導電性基材の圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、第一下地層と導電性基材との間に延在する方向の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層を残存させるか、前記界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層を合計で0.5〜10μmの長さで存在させることで、耐熱性と加工性を兼ね備えたSnめっき材が得られることを見出した。
本発明によれば、下記の手段が提供される。
(1)金属材を一方向に圧延して製造される、CuまたはCu合金からなる導電性基材上にNiまたはNi合金からなる第一下地層、CuSn化合物からなる中間層、SnまたはSn合金からなる表面層の順に各層を有するSnめっき材であって、該Snめっき材は、導電性基材の圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、第一下地層と導電性基材との間に延在する方向の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層が残存しているか、前記界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層が合計で0.5〜10μmの長さで存在していることを特徴とするSnめっき材。
(2)金属材を一方向に圧延して製造される、CuまたはCu合金からなる導電性基材上にNiまたはNi合金からなる第一下地層、CuまたはCu合金からなる第二下地層、CuSn化合物からなる中間層、SnまたはSn合金からなる表面層の順に各層を有するSnめっき材であって、該Snめっき材は、導電性基材の圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、第一下地層と導電性基材との間に延在する方向の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層が残存しているか、前記界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層が合計で0.5〜10μmの長さで存在していることを特徴とするSnめっき材。
(3)前記第一下地層が、結晶粒径が1μm以上の部分と1μm未満の部分が混在することを特徴とする(1)または(2)に記載のSnめっき材。
(4)前記表面層の厚さが0.2〜5μmであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のSnめっき材。
(5)前記中間層の厚さが0.1〜1μmであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のSnめっき材。
(6)前記第一下地層の厚さが0.1〜2μmであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のSnめっき材。
(7)前記第二下地層の厚さが0〜0.1μmであることを特徴とする(2)〜(6)のいずれか1項に記載のSnめっき材。
(8)175℃、240時間の熱処理したとき、前記中間層が材料表面に0.1〜60%の面積率で露出していることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のSnめっき材。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載のSnめっき材を使用した車載部品。
(10)(1)〜(8)のいずれか1項に記載のSnめっき材を使用した電気電子部品。
(11)金属材を一方向に圧延して製造される、CuまたはCu合金からなる導電性基材上にNiまたはNi合金からなる第一下地層、CuSn化合物からなる中間層、SnまたはSn合金からなる表面層の順に各層が形成されたSnめっき材の製造方法であって、
前記導電性基材上に、前記第一下地層、CuまたはCu合金からなる第二下地層、前記表面層をこの順に形成した後、リフロー処理により前記第二下地層と前記表面層を、前記第二下地層が無くなるまで反応させて前記中間層を形成し、
導電性基材のバフ研磨及び酸洗条件をバフ研磨粒子のサイズが#1000〜5000で、かつ、酸洗液への浸漬時間を0〜60秒、仕上げ加工条件の加工率を0〜70%に調整し、更に場合によって仕上げ熱処理条件を250〜650℃で5秒〜5時間に調整して実施することにより導電性基材表面の加工変質層の残存量を制御することで、該Snめっき材は、導電性基材の圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、前記第一下地層と導電性基材との間に延在する方向の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層を残存させるか、前記界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層が合計で0.5〜10μmの長さで存在させることを特徴とする、Snめっき材の製造方法。
(12)金属材を一方向に圧延して製造される、CuまたはCu合金からなる導電性基材上にNiまたはNi合金からなる第一下地層、CuまたはCu合金からなる第二下地層、CuSn化合物からなる中間層、SnまたはSn合金からなる表面層の順に各層が形成されたSnめっき材の製造方法であって、
前記導電性基材上に、前記第一下地層、前記第二下地層、前記表面層をこの順に形成した後、リフロー処理により前記第二下地層と前記表面層を、前記第二下地層が一部残るよう、反応させて前記中間層を形成し、
導電性基材のバフ研磨及び酸洗条件をバフ研磨粒子のサイズが#1000〜5000で、かつ、酸洗液への浸漬時間を0〜60秒、仕上げ加工条件の加工率を0〜70%に調整し、更に場合によって仕上げ熱処理条件を250〜650℃で5秒〜5時間に調整して実施することにより導電性基材表面の加工変質層の残存量を制御することで、該Snめっき材は、導電性基材の圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、前記第一下地層と導電性基材との間に延在する方向の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層を残存させるか、前記界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層が合計で0.5〜10μmの長さで存在させることを特徴とする、Snめっき材の製造方法。
本発明のSnめっき材の好ましい一実施形態について、詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態のSnめっき材(10)は、金属材を一方向に圧延して製造される、CuまたはCu合金からなる導電性基材(1)上にNiまたはNi合金からなる第一下地層(2)、CuSn化合物からなる中間層(4)、SnまたはSn合金からなる表面層(5)の順に各層が形成された構成である。場合によっては図2に示したように、第一下地層(2)と中間層(4)の間にCuまたはCu合金からなる第二下地層(3)を形成しても良い。このいずれの場合でも、第一下地層(2)と導電性基材(1)の間に加工変質層(6)が前記所定の長さで残存している。
本実施形態においては、金属材を一方向に圧延して製造される、導電性基材(1)の表面に加工変質層(6)が一部残存している。加工変質層(6)自体は従来から知られている。加工変質層(6)を説明すると、バフ掛け工程や圧延加工(機械加工)の際に発生する熱や作用力、周囲の雰囲気、金属新生面の性質などの影響を受けて形成される層で、金属基体内部の結晶組織よりも微細な組織を呈する。加工変質層(6)には、微細な結晶と非結晶部分が混在しており、加工変質層(6)に存在する結晶粒のサイズが1μm以下である。前記加工変質層はベイルビー層(上層)と塑性変形層(下層)とからなる。ここで、前記ベイルビー層は極微細な結晶集合組織或いは非晶質組織からなる。一方、前記塑性変形層は歪みの多い不均一な結晶集合組織からなり、その結晶粒の大きさはベイルビー層の結晶粒と金属基体内部の結晶粒のほぼ中間の大きさである。
加工変質層は熱的に不安定な組織であるため、加熱処理中の熱による原子拡散によって熱的に安定な原子配列に変化し、減少する。導電性基材の表面を溶解することで、加工変質層を一部または全部除去することができる。本実施形態のSnめっき材(10)は、導電性基材の圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材(1)の表面に、第一下地層(2)と導電性基材(1)との間に延在する方向の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層(6)が残存しているか、または、前記界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層(6)が合計で0.5〜10μmの長さで存在していることが好ましく、1つ又は複数の加工変質層(6)が合計で1〜5μm残存していることがより好ましい。加工変質層(6)の長さが短すぎる場合、第一下地層(2)(Ni)の大部分の結晶粒径が大きく、加工性の低下により接点部で割れが発生し、電気接続性が損なわれる恐れがある。逆に、加工変質層(6)の長さが長すぎる場合、第一下地層(2)(Ni)の大部分の結晶粒径が小さく、導電性基材(1)から表面層(5)に基材成分Cuが拡散し、耐熱性が低下する恐れがある。
(組織観察―加工変質層の残存量)
FIB−SIM(集束イオンビーム−走査型イオン顕微鏡)により、上記で作製したSnめっき材(10)の、導電性基材の圧延方向と板厚方向からなる断面を観察し、導電性基材(1)の表面に残存している加工変質層(6)の長さ(残存量)を計測した。観察は、10000〜50000倍の倍率で行った。測定は、第一下地層(2)と導電性基材(1)の界面について、前記第一下地層と導電性基材との間に延在する方向の界面長さ20μmを含む範囲を1視野とし、視野範囲が重ならないように3視野について加工変質層(6)の残存している部分の前記界面長さを計測した後、その平均値を測定結果として用いた。あるいは、この界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層(6)が合計で0.5〜10μmの長さで存在していることを確認した。第一下地層(2)と導電性基材(1)の界面位置は、FIBに付随したオージェ電子分光分析を用いた元素マッピングを用いることで判断した。また、直上の第一下地層(2)が導電性基材(1)に配向してNiの結晶粒界がCuの結晶粒界と一致している部分は、加工変質層(6)が除去されていると判断した。一方、第一下地層(2)のNiの結晶粒径が導電性基材(1)のCuの結晶粒界に対して小さい部分を加工変質層(6)が残存していると判断した。

Claims (12)

  1. CuまたはCu合金からなる導電性基材上にNiまたはNi合金からなる第一下地層、CuSn化合物からなる中間層、SnまたはSn合金からなる表面層の順に各層を有するSnめっき材であって、該Snめっき材は圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、第一下地層と導電性基材の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層が残存しているか、界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層が合計で0.5〜10μmの長さで存在していることを特徴とするSnめっき材。
  2. CuまたはCu合金からなる導電性基材上にNiまたはNi合金からなる第一下地層、CuまたはCu合金からなる第二下地層、CuSn化合物からなる中間層、SnまたはSn合金からなる表面層の順に各層を有するSnめっき材であって、該Snめっき材は圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、第一下地層と導電性基材の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層が残存しているか、界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層が合計で0.5〜10μmの長さで存在していることを特徴とするSnめっき材。
  3. 前記第一下地層が、結晶粒径が1μm以上の部分と1μm未満の部分が混在することを特徴とする請求項1または2に記載のSnめっき材。
  4. 前記表面層の厚さが0.2〜5μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のSnめっき材。
  5. 前記中間層の厚さが0.1〜1μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のSnめっき材。
  6. 前記第一下地層の厚さが0.1〜2μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のSnめっき材。
  7. 前記第二下地層の厚さが0〜0.1μmであることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のSnめっき材。
  8. 175℃、240時間の熱処理したとき、前記中間層が材料表面に0.1〜60%の面積率で露出していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のSnめっき材。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のSnめっき材を使用した車載部品。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のSnめっき材を使用した電気電子部品。
  11. CuまたはCu合金からなる導電性基材上にNiまたはNi合金からなる第一下地層、CuSn化合物からなる中間層、SnまたはSn合金からなる表面層の順に各層が形成されたSnめっき材の製造方法であって、
    前記導電性基材上に、前記第一下地層、CuまたはCu合金からなる第二下地層、前記表面層をこの順に形成した後、リフロー処理により前記第二下地層と前記表面層を、前記第二下地層が無くなるまで反応させて前記中間層を形成し、
    導電性基材のバフ研磨及び酸洗条件をバフ研磨粒子のサイズが#1000〜5000で、かつ、酸洗液への浸漬時間を0〜60秒、仕上げ加工条件の加工率を0〜70%に調整し、更に場合によって仕上げ熱処理条件を250〜650℃で5秒〜5時間に調整して実施することにより導電性基材表面の加工変質層の残存量を制御することで、該Snめっき材は圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、前記第一下地層と導電性基材の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層を残存させるか、界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層が合計で0.5〜10μmの長さで存在させることを特徴とする、Snめっき材の製造方法。
  12. CuまたはCu合金からなる導電性基材上にNiまたはNi合金からなる第一下地層、CuまたはCu合金からなる第二下地層、CuSn化合物からなる中間層、SnまたはSn合金からなる表面層の順に各層が形成されたSnめっき材の製造方法であって、
    前記導電性基材上に、前記第一下地層、前記第二下地層、前記表面層をこの順に形成した後、リフロー処理により前記第二下地層と前記表面層を、前記第二下地層が一部残るよう、反応させて前記中間層を形成し、
    導電性基材のバフ研磨及び酸洗条件をバフ研磨粒子のサイズが#1000〜5000で、かつ、酸洗液への浸漬時間を0〜60秒、仕上げ加工条件の加工率を0〜70%に調整し、更に場合によって仕上げ熱処理条件を250〜650℃で5秒〜5時間に調整して実施することにより導電性基材表面の加工変質層の残存量を制御することで、該Snめっき材は圧延方向と板厚方向からなる断面を見たときに、導電性基材の表面に、前記第一下地層と導電性基材の界面長さ20μm当たりに、0.5〜10μmの長さで加工変質層を残存させるか、界面長さ20μm当たりに、複数の加工変質層が合計で0.5〜10μmの長さで存在させることを特徴とする、Snめっき材の製造方法。
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