JP4247256B2 - Cu−Zn−Sn系合金すずめっき条 - Google Patents

Cu−Zn−Sn系合金すずめっき条 Download PDF

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Description

本発明は、コネクタ、端子等の導電性ばね材として好適なCu−Zn−Sn系合金すずめっき条に関する。
電気電子機器の各種端子、コネクタ、リレー又はスイッチ等には、製造コストを重視する用途では低廉な黄銅が使用されている。又、ばね性が重視される用途ではりん青銅が使用され、ばね性及び耐食性が重視される用途では洋白が使用されている。これら銅合金は固溶強化型合金であり、合金元素の作用により強度やばね性が向上する反面、導電率や熱伝導率が低下する。
近年、固溶強化型合金に替わり、析出強化型銅合金の使用量が増加している。析出強化型合金は、合金元素をCu母地中に微細化合物粒子として析出させることを特徴とする。合金元素が析出する際に、強度が上昇し、同時に導電率も上昇する。したがって、析出強化型合金では、固溶強化型合金に対し、同じ強度でより高い導電率が得られる。析出強化型銅合金としては、Cu−Ni−Si系合金、Cu−Be系合金、Cu−Ti系合金、Cu−Zr系合金等がある。
しかし、析出強化型合金では、合金元素をCu中に一旦固溶させるための高温・短時間の熱処理(溶体化処理)及び合金元素を析出させるための低温・長時間の熱処理(時効処理)が必要であり、その製造プロセスは複雑である。又、合金元素として、Si、Ti、Zr、Be等の活性元素を含有しているため、インゴット品質の作りこみが難しい。したがって、析出強化型合金の製造コストは、固溶強化型合金の製造コストと比べ非常に高い。
一方、固溶強化型合金を改良することにより、必要充分な導電率と強度を有する、低廉な銅合金の開発が進められている。黄銅に代表されるCu−Zn合金は、製造が容易であり、Znが安価なことも相まって、特に低コストで製造できる合金である。
本発明者らは、以前Cu−Zn系合金のZn量を調整した上で少量のSnを添加し、更に金属組織を調整することにより、各種端子等材料として必要充分な導電率、強度及び曲げ加工性を有する合金を開発した(特許文献1)。一般的に必要充分な導電率、強度及び曲げ加工性を下記に記載する。
(A)導電率:35%IACS以上。この導電率は析出強化型合金であるCu−Ni−Si系合金(コルソン合金)の導電率に匹敵する。なお、黄銅(C2600)の導電率は28%IACS、りん青銅(C5210)の導電率は13%IACSである。
(B)引張強さ:410MPa以上。この引張強さは、JIS規格(JIS H3100)により規定された黄銅(C2600)の質別Hの引張強さに相当する。
(C)曲げ性:Good Way(曲げ軸が圧延方向と直行する方向)及びBad Way(曲げ軸が圧延方向と平行な方向)の180度密着曲げが可能なこと。この曲げ試験において割れや大きな肌荒れが発生しなければ、コネクタに施される最も厳しいレベルの曲げ加工が可能となる。
本発明者らが開発した上記Cu−Zn−Sn系合金は、黄銅の強度、コルソン合金の導電率、黄銅やコルソン合金と同等以上の曲げ加工性を併せ持つものであり、小型化が進行する電子機器部品の素材として好適な銅合金である。
上記Cu−Zn−Sn系合金条は、Snめっきを施すことが多い。特許文献2にはCu−Zn−Sn系合金のSnめっき条が開示されている。Cu−Zn−Sn系合金のSnめっき条は、Snの優れた半田濡れ性、耐食性、電気接続性を生かし、民生用のコネクタや端子、自動車のワイヤーハーネスや配線基板に用いられるコネクタや端子等として広く使われる。
Cu−Zn−Sn系合金のSnめっき条は、一般的に、連続めっきラインにおいて、脱脂及び酸洗の後、電気めっき法によりCu下地めっき層を形成し、次に電気めっき法によりSnめっき層を形成し、最後にリフロー処理を施しSnめっき層を溶融させる工程で製造される。
近年、電子・電気部品の回路数増大により、回路に電気信号を供給するコネクタの多極化が進んでいる。Snめっき材は、その軟らかさからコネクタの接点においてオスとメスを凝着させるガスタイト(気密)構造が採られるため、金めっき等で構成されるコネクタに比べ、コネクタの挿入力が高い。このためコネクタの多極化によるコネクタ挿入力の増大が問題となっている。
例えば、自動車の組み立てラインでは、コネクタを嵌合させる作業は、現在ほとんど人力で行われている。コネクタの挿入力が大きくなると、組み立てラインで作業者に負担がかかり、作業効率の低下に直結する。更に、作業者の健康を損なう可能性も指摘されている。このことから、Snめっき材の挿入力の低減が強く望まれている。
一方、Snめっき材では、経時的に、母材や下地めっきの成分がSn層に拡散して合金層を形成することにより純Sn層が消失し、接触抵抗、半田付け性といった諸特性が劣化する。銅合金のCu下地Snめっきの場合、この合金層は主としてCu3Sn、Cu6Sn5等の金属間化合物である。特性の経時劣化は、高温ほど促進され、自動車のエンジン回り等では特に顕著になる。
このような状況の中で、米国の3大自動車メーカーにより設立された自動車部品の規格を決定しているUSCARにおいて、コネクタ材の耐熱性の要求が高まってきており、最も厳しい使用条件では、常時の使用温度が155℃、最高使用温度が175℃での耐熱性が要求されている。又、国内においても、特に自動車関連のコネクター材で耐熱性の要求が高まっている。
更に、コネクタメーカーの生産拠点の海外への移転により、素材がめっきされた後、長期間放置されてから使用されるケースがある。このため、長期間保存しても、めっき材の諸特性が劣化しない材料、すなわち耐時効性が高い材料が求められてきている。なお、めっき材の特性劣化は高温下で促進される。したがって高温下での特性劣化が少ない材料は長期間保存しても特性が劣化しない材料と言い換えることができる。したがってこの分野でも耐熱性の高いめっき材が求められていることになる。
以上のように、Snめっき材においては、挿入力の低減及び耐熱性の改善が近年の課題になっている。コネクタの挿入力を低減するための有効な方法は、特許文献3〜5等で示されている通り、Snめっき層を薄くすることである。
しかし、Snめっき層を薄くすると、純Sn層消失による特性劣化が早期に進行する。すなわち、単にSnめっきを薄くするだけでは、挿入力が低減する反面、耐熱性が劣化する。したがって、Snめっき層を薄くする場合には、Snめっきの耐熱性を改善する技術を適用することが必要となる。
Snめっきの耐熱性を改善する技術として、下地めっきによりSn中へのCu等の拡散を防止する技術が検討されている。例えば、特許文献6〜9では、Cu/Niの二層下地めっきを施す技術が開示されている。このSnめっきをリフローすると、Sn/Cu−Sn合金/Ni/銅合金母材の構造となる。Ni層により母材CuのSn層中への拡散が抑制され、又Cu−Sn層の存在によりNiのSn層中に拡散が抑制されるため、純Sn層の消失が遅れる。
特願2005−207556号明細書 特開平7−258777号公報 特開平10−265992号公報 特開平10−302864号公報 特開2000−164279号公報 特開平6−196349号公報 特開平11−135226号公報 特開2002−226982号公報 特開2003−293187号公報
上述したように薄Snめっきと高耐熱下地めっきとを組み合わせることにより、Snめっき材の低挿入力化が図られてきたが、この手法も限界に近づいてきた。一方、低挿入力化への要求はますます高まっており、新たな視点からのめっき技術の開発が望まれるようになった。本発明の課題は、Cu−Zn−Sn系合金のリフローSnめっき条について、コネクタに加工後の挿入力を低減するための新たなめっき技術を提供することである。
本発明者は、Cu−Zn−Sn系合金のリフローSnめっき条の挿入力を低減する方策を鋭意研究した。その結果、Snめっき表面のZn濃度を適正範囲に調整することにより、挿入力を大幅に改善できることを見出した。
本発明は、この発見に基づき成されたものであり、下記Cu−Zn−Sn系合金すずめっき条を提供する。
(1)2〜12質量%のZn、0.1〜1.0質量%のSnを含有し、Snの質量%濃度([%Sn])とZnの質量%濃度([%Zn])との関係が、
0.5≦[%Sn]+0.16[%Zn]≦2.0
の範囲に調整され、残部がCu及び不可避的不純物より構成される銅合金を母材とし、表面から母材にかけてSn相、Sn−Cu合金相、Cu相の各層でめっき皮膜が構成されるすずめっき条であり、めっき表面であるSn相表面のZn濃度が0.5〜3.0質量%であることを特徴とする、Cu−Zn−Sn系合金すずめっき条。
(2)Sn相の厚みが0.1〜0.8μm、Sn−Cu合金相の厚みが0.5〜1.5μm、Cu相の厚みが0〜0.4μmであることを特徴とする、(1)のCu−Zn−Sn系合金すずめっき条。
(3)Ni、Fe、Mn、Mg、Co、Ti、Cr、Zr、Al及びAgの群から選ばれた少なくとも一種を0.005〜0.5質量%の範囲で含有することを特徴とする(1)又は(2)のCu−Zn−Sn系合金すずめっき条。
(4)電気めっきにより厚さ0.1〜0.6μmのCu下地めっき及び厚さ0.6〜1.2μmのSnめっきを施した後、リフロー処理を行うめっき工程において、Cu下地めっき条件及びリフロー処理温度を制御することにより、Snめっき表面のZn濃度を0.5〜3.0質量%に調整することを特徴とする(1)〜(3)いずれかのCu−Zn−Sn系合金すずめっき条の製造方法。
(1)めっき表面であるSnめっき表面のZn濃度
Cu−Zn−Sn系合金中のZnをSnめっき中に拡散させ、ZnをSnめっき表面に濃化させると、挿入力を低減できる。これはZn酸化膜の潤滑作用によるものと考えられる。Snめっき表面のZn濃度を0.5質量%以上にすると、挿入力を大幅に低減できる。しかし、Zn濃度が3.0質量%を超えると半田濡れ性が低下する。そこで、Snめっき表面のZn濃度を0.5〜3.0質量%に規定する。より好ましいSnめっき表面のZn濃度は0.8〜2.0質量%であり、低挿入力と良好な半田濡れ性がより安定して両立する。
(2)母材の成分
(イ)Zn及びSn濃度
本発明の銅合金は、ZnとSnを基本成分とし、両元素の作用により機械的特性と導電率を作りこむ。Zn濃度の範囲は2〜12質量%、好ましくは2.5〜10重量%とし、Sn濃度の範囲は0.1〜1.0質量%、好ましくは0.1〜0.5重量%とする。Znが2質量%未満であると、Snめっき表面のZn濃度を0.5質量%以上に調整することが困難になる。一方、Znが12質量%を超えると、Snめっき表面のZn濃度が3.0質量%を超え、又Sn濃度を調整しても35%IACS以上の導電率が得られなくなる。
Snは圧延の際の加工硬化を促進する作用を持ち、Snが0.1質量%未満であると強度が不足する。一方、Snが1.0質量%を超えると製造性が低下する。
SnとZnの合計濃度(T)は、次のように調整する。
0.5≦T≦2.0
T=[%Sn]+0.16[%Zn]
ここで、[%Sn]及び[%Zn]はそれぞれSn及びZnの質量%濃度である。Tを2.0以下にすれば35%IACS以上の導電率が得られる。又、Tを0.5以上にすれば、金属組織を適切に調整することにより、410MPa以上の引張強さが得られる。そこで、Tを0.5〜2.0に規定する。
より好ましいTの範囲は0.6〜1.7であり、この範囲に調整することにより、35%IACS以上の導電率と410MPa以上の引張強さがより安定して得られる。
(ロ)Ni、Fe、Mn、Mg、Co、Ti、Cr、Zr、Al及びAg
本発明の合金には、合金の強度、耐熱性、耐応力緩和性等を改善する目的で、Ni、Fe、Mn、Mg、Co、Ti、Cr、Zr、Al及びAgの群から選ばれた少なくとも一種を合計で0.005〜0.5質量%添加することができる。ただし、合金元素の追加は、導電率の低下、製造性の低下、原料コストの増加等を招くことがあるので、この点への配慮は必要である。
上記元素の合計量が0.005質量%未満であると、特性向上の効果が発現しない。一方、上記元素の合計量が0.5質量%を超えると、導電率低下が著しくなる。そこで、合計量を0.005〜0.5質量%に規定する。
(3)製造方法
Snめっき表面にZnを濃化させるために、リフロー処理の際に母材のZnをSnめっき層中に拡散させる。Snめっき表面のZn濃度に影響を及ぼす因子として、Cu下地めっきの条件、Cu下地めっきの厚み、Snめっきの厚み、リフロー条件がある。
硫酸銅浴を用いてCu下地めっきを施す場合、硫酸濃度を高くし、硫酸銅濃度を低くし、電流密度を高くすると、リフロー時のSnめっき層中へのZnの拡散が促進される。これはCuめっきがポーラス(多孔性)になるためと推測される。
電着時のCu下地めっきの厚さが0.6μmを超えると、Snめっき表面のZn濃度を0.5質量%以上に調整することが困難になる。一方、電着時のCu下地めっきの厚みが0.1μm未満であると、Snめっき表面のZn濃度が3.0質量%を超える。
同様に、電着時のSnめっきの厚みが、1.2μmを超えるとSnめっき表面のZn濃度が0.5質量%未満となり、0.6μm未満になるとSnめっき表面のZn濃度が3.0質量%を超える。
リフロー温度が低すぎるとSnめっき表面のZn濃度が0.5質量%未満となり、リフロー温度が高すぎるとSnめっき表面のZn濃度が3.0質量%を超える。加熱時間が10秒の場合、適切なリフロー温度は350〜450℃、好ましくは360〜440℃である。又、加熱時間が5秒の場合、適切なリフロー温度は500〜600℃、好ましくは510〜590℃である。この温度は、特許文献2に開示されているCu−Zn−Sn系合金のSnめっき後の熱処理温度(100〜280℃)より、高いものである。
(4)めっきの構造
上記製造方法に従い、Cu下地めっき、Snめっき及びリフロー処理を行うと、Cuめっき層とSnめっき層が反応してSn−Cu合金相が形成され、めっき層構造は、表面側よりSn相、Sn−Cu合金相、Cu相となる。又、各相の厚みは、望ましくは次のようになる。
・Sn相:0.1〜0.8μm
・Sn−Cu合金相:0.5〜1.5μm
・Cu相:0〜0.4μm
Cu相が0.4μmを超えるめっき材では、Snめっき表面のZn濃度が0.5質量%未満となりやすい。なお、リフロー時に全てのCu下地めっきがSn−Cu合金相形成に消費されることにより、リフロー後のCu層の厚みがゼロになっても問題ない。
Sn相が0.1μm未満のめっき材ではSnめっき表面のZn濃度が3.0質量%を超えやすく、Sn相が0.8μmを超えるめっき材ではSnめっき表面のZn濃度が0.5質量%未満となりやすい。
Sn−Cu合金相は硬質であるため、挿入力の低減に寄与する(例えば、特開平9−320668号公報参照)。この効果は、Sn−Cu合金相の厚みが0.5μm以上であれば充分に得られる。一方、Sn−Cu合金相が厚くなると曲げ加工で割れが発生する。Sn−Cu合金相の厚みが1.5μm以下であれば、曲げ加工性への悪影響は発現しない。
高周波誘導炉を用い、内径60mm、深さ200mmの黒鉛るつぼ中で2kgの電気銅を溶解した。溶湯表面を木炭片で覆った後、Zn、Sn及びその他合金元素を添加し、溶湯温度を1200℃に調整した。
その後、溶湯を金型に鋳込み、幅60mm、厚み30mmのインゴットを製造し、以下の工程で、厚み0.3mmのCu下地リフローSnめっき材に加工した。
(工程1)850℃で3時間加熱した後、厚さ8mmまで熱間圧延する。
(工程2)熱間圧延板表面の酸化スケールをグラインダーで研削、除去する。
(工程3)板厚1.5mmまで冷間圧延する。
(工程4)再結晶焼鈍として400℃で30分間加熱する。
(工程5)10質量%硫酸−1質量%過酸化水素溶液による酸洗及び#1200エメリー紙による機械研磨を順次行ない、表面酸化膜を除去する。
(工程6)板厚0.43mmまで圧延する。
(工程7)再結晶焼鈍として400℃で30分間加熱する。
(工程8)10質量%硫酸−1質量%過酸化水素溶液による酸洗を行ない、表面酸化膜を除去する。
(工程9)板厚0.3mmまで圧延する。
(工程10)アルカリ水溶液中で試料をカソードとして電解脱脂を行う。
(工程11)10質量%硫酸水溶液を用いて酸洗する。
(工程12)表1に示すA〜Eのいずれかの条件でCu下地めっきを施す。なお、Cuめっき厚みは電着時間により調整する。
Figure 0004247256
(工程13)次の条件でSnめっきを施す。
・めっき浴組成:酸化第1錫41g/L、フェノールスルホン酸268g/L、界面活性剤5g/L。
・めっき浴温度:50℃。
・電流密度:9A/dm2
・Snめっき厚みは、電着時間により調整。
(工程14)リフロー処理として、窒素(酸素1vol%以下)ガス中、所定の温度で10秒間加熱する。
以上のように作製した試料について、次の評価を行った。
(a)母材の導電率
機械研磨と化学エッチングによりめっき層を完全に除去した後、4端子法により導電率を測定した。
(b)強度
引張り方向が圧延方向と平行になる方向に、JIS−Z2201(2003年)に規定された13B号試験片を採取した。この試験片を用いてJIS−Z2241(2003年)に従って引張試験を行い引張強さを求めた。この測定はめっき付のまま行った。
(c)曲げ加工性
幅10mmの短冊形試料を用い、JIS Z2248に準拠し、Good Way及びBad Wayに、180度密着曲げ試験を行った。曲げ後の試料につき、曲げ部の表面及び断面から、割れの有無を観察した。Bad Way、Good Wayともに割れが認められなかった場合を○と評価した。
(d)電解式膜厚計によるめっき厚測定
リフロー後の試料に対しSn相及びSn−Cu合金相の厚みを測定した。尚、この方法ではCu相の厚みを測ることはできない。
(e)GDSによるめっき厚測定
リフロー後の試料をアセトン中で超音波脱脂した後、GDS(グロー放電発光分光分析装置)により、Sn、Cu、Znの深さ方向の濃度プロファイルを求めた。測定条件は次の通りである。
・装置:JOBIN YBON社製JY5000RF-PSS型。
・Current Method Program:CNBinteel-12aa-0。
・Mode:設定電力=40W。
・気圧:775Pa。
・電流値:40mA(700V)。
・フラッシュ時間:20s。
・予備加熱(Preburn)時間:2s。
・測定時間:分析時間=30s、サンプリング時間=0.020s/point。
濃度プロファイルデータより、リフロー後に残留しているCu下地めっき(Cu相)の厚み及びSn表面のZn濃度を求めた。
GDSによる濃度プロファイルデータの代表的なものを図1、2に示す。図1は後述する発明例11のデータである。深さ1.6μmのところに、母材よりCu濃度が高い層が認められる。この層はリフロー後に残留しているCu下地めっきであり、この層の厚みを読み取りCu相の厚みとした。なお、母材よりCuが高い層が認められない場合は、Cu下地めっきは消失した(Cu相の厚みはゼロ)と見なした。
図2は後述する発明例3の表面におけるZnのプロファイルである。深さ0μmの位置でのZn濃度を読み取り、Sn表面のZn濃度とした。
(f)挿入力
コネクタかん合時の挿入力は、動摩擦係数により評価した。図3に示すように、Snめっき材の板試料を試料台上に固定し、そのSnめっき面に接触子を荷重Wで押し付けた。次に、試料台を水平方向に移動させ、このとき接触子に作用する抵抗加重Fをロードセルにより測定した。そして、動摩擦係数μをμ=F/Wより算出した。
Wは4.9Nとし、接触子の摺動速度(試料台の移動速度)は50mm/minとした。摺動は板試料の圧延方向に対し平行な方向に行った。摺動距離は100mmとし、この間のFの平均値を求めた。
接触子は、上記板試料と同じSnめっき材を用い、図4のように作製した。すなわち、直径7mmのステンレス球を試料に押し付けて、板試料と接触する部分を半球状に成形した。
(g)半田濡れ性
幅10mmの短冊試験片を採取し、10質量%硫酸水溶液中で洗浄した。JIS−C0053に準じ、メニスコグラフ法により、半田濡れ時間を測定した。測定条件は次の通りである。
・フラックス:25%ロジン−エタノール。
・半田組成:60質量%Sn−40質量%Pb、半田温度:230℃。
・浸漬(引き出し)速さ:25mm/s、浸漬深さ:2mm。
半田濡れ時間が3秒以下の場合を良好な半田濡れ性が得られたと判断した。
評価結果を表2に示す。ここで、表中のT=[%Sn]+0.16[%Zn]であり、[%Sn]及び[%Zn]はそれぞれSn及びZnの質量%濃度を表す。
比較例及び発明例1〜5は、Cu下地めっき条件の影響を調べたものである。表1に示すように、条件A,B,C,D,Eの順に硫酸濃度を高くし、硫酸銅濃度を低くし、電流密度を高くしている。条件A,B,C,D,Eの順に、Snめっき層表面のZn濃度が増加する傾向が認められる。条件Aで製造された比較例1の表面Zn濃度は0.5質量%未満であり、その動摩擦係数は比較例及び発明例1〜5のなかで最も大きい。条件Eで製造された比較例5の表面Zn濃度は3.0質量%を超え、その半田濡れ時間は良否の基準である3秒を超えている。
比較例及び発明例6〜12は、Cu下地めっき厚さの影響を調べたものである。Cu下地めっきを薄くすると、表面Zn濃度が増加する傾向が認められる。比較例12では電着時のCu下地めっきの厚さが0.6μmを超え、リフロー後のCu相の厚さが0.4μmを超えている。比較例12の表面Zn濃度は0.5質量%未満であり、その動摩擦係数は比較例及び発明例6〜12のなかで最も大きい。電着時のCu下地めっきの厚さが0.1μm未満の比較例6では、表面Zn濃度が3.0質量%を超え、半田濡れ時間が3秒を超えている。
比較例及び発明例13〜17は、Snめっき厚さの影響を調べたものである。Snめっきを薄くすると、表面Zn濃度が増加する傾向が認められる。比較例17では電着時のSnめっきの厚さが1.2μmを超え、リフロー後のSn相の厚さが0.8μmを超えている。比較例17の表面Zn濃度は0.5質量%未満であり、その動摩擦係数は比較例及び発明例13〜17のなかで最も大きい。比較例13では電着時のSnめっきの厚さが0.6μm未満であり、リフロー後のSn相の厚さが0.1μm未満である。比較例13の表面Zn濃度は3.0質量%を超え、その半田濡れ時間は3秒を超えている。
比較例及び発明例18〜22は、リフロー処理での加熱温度の影響を調べたものである。加熱時間は10秒である。加熱温度を高くすると、表面Zn濃度が増加する傾向が認められる。加熱温度が350℃未満の比較例18では、表面Zn濃度が0.5質量%未満であり、その動摩擦係数は比較例及び発明例18〜22のなかで最も大きい。加熱温度が450℃を超える比較例22では、表面Zn濃度が3.0質量%を超え、半田濡れ時間が3秒を超えている。
比較例及び発明例23〜31は、母材のZn濃度の影響を調べたものである。母材のZn濃度が高くなると、Snめっきの表面Zn濃度が増加する傾向が認められる。母材のZn濃度が2質量%未満の比較例23では、表面Zn濃度が0.5質量%未満であり、その動摩擦係数は比較例及び発明例23〜31のなかで最も大きい。またNo.23のTは0.5未満のため、引張強さが410MPaに満たない。母材のZn濃度が12質量%を超える比較例31では、表面Zn濃度が3.0質量%を超え、半田濡れ時間が3秒を超えている。更に、比較例31では、Tが2.0を超えたため、導電率が35%IACS未満である。
比較例及び発明例32〜34、35〜37、38〜40、41〜43、44〜46、47〜49及び50〜52の各組み合わせは、種々のCu−Zn−Sn合金について、Cu下地めっき条件又はリフロー温度を変えることにより、発明の効果を検証したものである。上述した実施例と同様、Snめっき表面のZn濃度を0.5〜3.0質量%に調整することにより、動摩擦係数が低く半田濡れ性も良好なSnめっきが得られている。
動摩擦係数にはSn相の厚みも影響を及ぼす。図5は、表1の動摩擦係数のデータをSnめっき表面のZn濃度が0.5質量%以上のもの(○)と0.5質量%未満のもの(△)に分け、リフロー後のSn相の厚みに対しプロットしたものである。表面Zn濃度を0.5質量%以上に調整することにより、動摩擦係数が著しく低下することがわかる。
Figure 0004247256

Figure 0004247256
発明例11のGDS分析チャートであり、深さに対するSn濃度及びCu濃度の変化及びCu相厚みの測定値を示す。 発明例3のGDS分析チャートであり、深さに対するZn濃度の変化を示す。 動摩擦係数の測定方法を示す概略図である。 接触子先端の加工方法を示す概略図である。 Snめっき表面のZn濃度及びSn相の厚みと銅摩擦係数との関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 2〜12質量%のZn、0.1〜1.0質量%のSnを含有し、Snの質量%濃度([%Sn])とZnの質量%濃度([%Zn])との関係が、
    0.5≦[%Sn]+0.16[%Zn]≦2.0
    の範囲に調整され、残部がCu及び不可避的不純物より構成される銅合金を母材とし、表面から母材にかけてSn相、Sn−Cu合金相、任意で存在しても良いCu相の各層でめっき皮膜が構成されるすずめっき条であり、Sn相表面のZn濃度が0.5〜3.0質量%であることを特徴とする、Cu−Zn−Sn系合金すずめっき条。
  2. Sn相の厚みが0.1〜0.8μm、Sn−Cu合金相の厚みが0.5〜1.5μm、Cu相の厚みが0〜0.4μmであることを特徴とする、請求項1のCu−Zn−Sn系合金すずめっき条。
  3. 上記銅合金が、Ni、Fe、Mn、Mg、Co、Ti、Cr、Zr、Al及びAgの群から選ばれた少なくとも一種を0.005〜0.5質量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1又は2のCu−Zn−Sn系合金すずめっき条。
  4. 電気めっきにより厚さ0.1〜0.6μmのCu下地めっき及び厚さ0.6〜1.2μmのSnめっきを施した後、リフロー処理を行うめっき工程において、Snめっき表面のZn濃度を0.5〜3.0質量%に調整することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のCu−Zn−Sn系合金すずめっき条の製造方法。
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