JP6274192B2 - 正極活物質、全固体電池及び全固体電池の製造方法 - Google Patents
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Description
1.一次粒子が凝集してなる二次粒子である正極活物質であって、前記一次粒子は、オリビン型正極活物質、及び前記オリビン型正極活物質の全部又は一部を被覆している、被覆層を有し、前記被覆層は、前記オリビン型正極活物質由来の遷移金属、リチウム、リン、及び酸素を成分として含み、かつ前記オリビン型正極活物質よりも前記遷移金属の濃度が低く、かつ前記二次粒子の表面に、厚さが10nm以下である、硫黄及び前記オリビン型正極活物質由来の前記遷移金属を有する遷移金属含有硫化物領域が存在する、正極活物質。
2.前記一次粒子が、前記オリビン型正極活物質と前記被覆層との間に存在する炭素被覆層を有し、かつ/又は前記被覆層を被覆している炭素被覆層を有する、前記1に記載の正極活物質。
3.前記被覆層の厚さが50nm未満である、前記1又は2に記載の正極活物質。
4.前記被覆層中のリンに対する酸素のモル比率が1.89以上4.66以下であり、酸素に対する硫黄のモル比率が0.24以上0.64以下であり、かつリンに対する前記遷移金属のモル比率が0.01以上0.43以下である、前記1〜3のうち一項に記載の正極活物質。
5.前記被覆層が、Li4P2O7を有する、前記1〜4のうち一項に記載の正極活物質。
6.前記遷移金属含有硫化物領域が、前記一次粒子の全部又は一部を被覆している、前記1〜5のうち一項に記載の正極活物質。
7.前記遷移金属含有硫化物領域が、硫化鉄及び/又は硫化リチウムを有する、前記1〜6のうち一項に記載の正極活物質。
8.前記オリビン型正極活物質が、LixMyPOz(M=Fe、Mn、Co、及びNi、0.5≦x≦1.5、0.5≦y≦1.5、2≦z≦7)の化学式によって表される、前記1〜7のうち一項に記載の正極活物質。
9.前記オリビン型正極活物質がLiFePO4である、前記8に記載の正極活物質。
10.硫化物固体電解質及び前記1〜9のうち一項に記載の正極活物質を有する全固体電池。
11.正極活物質層、固体電解質層、及び負極活物質層をこの順番に有する全固体電池の製造方法であって、前記正極活物質層は、正極活物質としてのオリビン型正極活物質を有し、かつ前記全固体電池を25℃以上80℃以下に維持して、前記正極活物質層の電位が2.1V(vs.Li/Li+)以下になるまで放電する、充放電サイクルを行うことを含む、全固体電池の製造方法。
12.前記充放電サイクルにおいて、前記正極活物質層の電位が1.6V(vs.Li/Li+)以上2.1V(vs.Li/Li+)以下になるまで前記全固体電池を放電する、前記11に記載の全固体電池の製造方法。
13.前記充放電サイクルを、1.0C以下の充放電レートで行う、前記11〜12のうち一項に記載の製造方法。
14.前記充放電サイクルにおいて、前記正極活物質層の電位が3.8V(vs.Li/Li+)以上4.4V(vs.Li/Li+)以下まで充電する、前記11〜13のうち一項に記載の製造方法。
15.前記充放電サイクルを、前記全固体電池の放電容量が、初回の充放電サイクルにおける放電容量よりも大きくなるまで反復する、前記11〜14のうち一項に記載の方法。
16.前記充放電サイクルを、放電時の前記正極活物質層の電位において、2.1V(vs.Li/Li+)〜2.5V(vs.Li/Li+)に放電プラトーがなくなるまで行う、前記11〜15のうち一項に記載の製造方法。
17.前記充放電サイクルを、放電時の前記正極活物質層の電位において、3.3V(vs.Li/Li+)〜3.5V(vs.Li/Li+)に放電プラトーが生じるまで行う、前記11〜16のうち一項に記載の製造方法。
18.前記充放電サイクルを連続して行う、請求項11〜17のうち1項に記載の製造方法。
19.前記充放電サイクルを初回の充放電から行う、前記18に記載の製造方法。
20.前記充放電サイクルを少なくとも3回行った後に、前記全固体電池を40時間以上、40〜80℃に保温することを含む、前記11〜19のうち一項に記載の製造方法。
21.前記オリビン型正極活物質が、(LixMyPOz、M=Fe、Mn、Co、Ni、又は0.5≦x≦1.5、0.5≦y≦1.5、2≦z≦7)の化学式で表される、前記11〜20のうち一項に記載の製造方法。
22.前記オリビン型正極活物質がLiFePO4である、前記21に記載の製造方法。
本発明の正極活物質は、一次粒子が凝集してなる二次粒子である正極活物質である。ここで、この一次粒子は、オリビン型正極活物質、及びオリビン型正極活物質の全部又は一部を被覆している、被覆層を有する。この被覆層は、オリビン型正極活物質由来の遷移金属、リチウム、リン、及び酸素を成分として含み、かつオリビン型正極活物質よりも遷移金属の濃度が低い。また、二次粒子の表面には、厚さが10nm以下である、硫黄及びオリビン型正極活物質由来の遷移金属を有する遷移金属含有硫化物領域が存在する。
本発明の正極活物質は、一次粒子が凝集してなる二次粒子である。一次粒子はオリビン型正極活物質、及びオリビン型正極活物質の全部又は一部を被覆している被覆層を有する。また、一次粒子は、オリビン型正極活物質と被覆層との間に存在する炭素被覆層を有していてよく、又は被覆層を被覆している炭素被覆層を有していてよい。
オリビン型正極活物質は、オリビン型構造を有する物質であり、リチウムイオン電池に用いることができる正極活物質であれば特に限定されない。オリビン型正極活物質としては、例えばLixMyPOz(M=Fe、Mn、Co、及びNi、0.5≦x≦1.5、0.5≦y≦1.5、2≦z≦7)の化学式によって表される活物質を上げることができる。中でも、材料の安定性が高く、かつ理論容量が大きいオリビン型正極活物質である、LiFePO4が好ましい。
被覆層は、オリビン型正極活物質由来の遷移金属、リチウム、リン、及び酸素を成分として含む。また、被覆層は、オリビン型正極活物質よりも遷移金属の濃度が低い。
遷移金属含有硫化物領域は、本発明の正極活物質において、二次粒子の表面に存在する。遷移金属含有硫化物領域は、厚さが10nm以下であり、硫黄及びオリビン型正極活物質由来の遷移金属を有する。
本発明の全固体電池は、硫化物固体電解質及び本発明の正極活物質を有する。具体的には、本発明の全固体電池は正極集電体、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、及び負極集電体を有しており、この正極活物質層は本発明の正極活物質を有する。硫化物固体電解質は、正極活物質層中に含まれていてよく、含まれていなくてもよい。硫化物固体電解質が正極活物質層に含まれない場合には、固体電解質層に硫化物固体電解質が存在している。
正極集電体の原材料としては、特に限定されることなく、各種金属、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、若しくはチタン等、又はこれらの合金の集電体を用いることができる。化学的安定性の観点から、正極集電体としては、アルミニウムの集電体を用いることが好ましい。
正極活物質層は、正極活物質、及び随意に硫化物固体電解質、導電助剤、バインダーを含む。
正極活物質としては、上述の、本発明の正極活物質が用いられる。また、他の正極活物質をさらに含んでいてよい。他の正極活物質としては、リチウムイオン電池に用いられる正極活物質であれば特に限定されない。
固体電解質としては、全固体電池の固体電解質として用いられる硫化物固体電解質を用いることができる。例えば、Li2S−SiS2、LiX−Li2S−SiS2、LiX−Li2S−P2S5、LiX−Li2S−P2S5、LiX−Li2S−Li2O−P2S5、Li2S−P2S5等が挙げられる。なお、ここで「X」はI及び/又はBrを表す。
導電助剤としては、気相法炭素繊維(VGCF)、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、又はカーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料の他、ニッケル・アルミニウム・ステンレス鋼等の金属、又はこれらの組み合わせを上げることができる。
バインダーとしては、特に限定されないが、ポリマー樹脂、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、若しくはカルボキシメチルセルロース(CMC)等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
固体電解質層は、固体電解質及び随意にバインダーを有する。固体電解質及びバインダーとしては、正極活物質層において記載したものと同様のものを使用することができる。なお、正極活物質層において硫化物固体電解質を用いている場合には、硫化物固体電解質以外の固体電解質を用いてもよい。
負極活物質層は、負極活物質、並びに随意に固体電解質、導電助剤、及びバインダーを有する。
負極集電体の原材料としては、特に限定されることなく、各種金属、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、若しくはチタン等、又はこれらの合金の集電体を用いることができる。化学的安定性の観点から、負極集電体としては、銅の集電体を用いることが好ましい。
全固体電池を製造する本発明の製造方法は、正極活物質層、固体電解質層、及び負極活物質層を、この順番になるように積層して全固体電池を組み立てることを含む。ここで、正極活物質層は、正極活物質としてのオリビン型正極活物質を有する。また、この本発明の方法は、全固体電池を25℃以上80℃以下に維持して、正極活物質層の電位が2.1V(vs.Li/Li+)以下になるまで放電する充放電サイクルを行うことを含む。
FePO4+Li3PS4 → FeS2(抵抗層)+Li4P2O7(被覆層)+Li+e−
FeSx+xLi++xe− → LixFeSx
FeSx+2xLi++2xe− → Li2S+Fe
Fe → Fex++xe−(充電時)
FeSx+2xLi++2xe− → Li2S+Fe(放電時)
本発明の製造方法は、正極活物質層、固体電解質層、及び負極活物質層を、この順番に有する全固体電池を製造する方法である。ここで、正極活物質層は、正極活物質としてのオリビン型正極活物質を有する。オリビン型正極活物質としては、上記、本発明の正極活物質において記載したオリビン型正極活物質と同様のものを用いることができる。
本発明の製造方法は、全固体電池を25℃以上80℃以下に維持して、正極活物質層の電位が2.1V(vs.Li/Li+)以下になるまで放電する、充放電サイクルを行うことを含む。
本発明の製造方法の充放電サイクルにおいて、全固体電池の温度を25℃〜80℃、特に40〜80℃に保つことが好ましい。充放電サイクルにおいて全固体電池を一定の範囲内に保つことにより、充電時にオリビン型正極活物質と固体電解質との間に形成された抵抗層を破壊するための反応を効率よく進行させるためである。また、温度が低すぎる場合には、抵抗層を破壊するための反応が十分に進行せず、非常に多数回の充放電サイクルを繰り返し行う必要があり、効率が悪い。逆に温度が高すぎる場合には、他の副反応が進行し、正極活物質が劣化してしまう。
本発明の製造方法の充放電サイクルは、充放電レートを1.0C以下で行うのが好ましい。充放電レートが大きすぎる場合、抵抗層を破壊するための反応が少ないため、非常に多数回の充放電サイクルを繰り返す必要がある。逆に、充放電レートを小さくすることにより、抵抗層を除去するために必要な充放電サイクル数を少なくすることができる。
本発明の製造方法の充放電サイクルでは、3.8V(vs.Li/Li+)以上4.4V(vs.Li/Li+)以下の充電上限電位まで充電するのが好ましい。充電上限電位が高すぎる場合、副反応が進行してしまい、正極活物質が劣化するためである。
本発明の製造方法において、この充放電サイクルは、少なくとも3サイクル行うのが好ましい。初期の充電において抵抗層が形成され、その後、数サイクル充放電を繰り返すことによって抵抗層を破壊するためである。3サイクル以降は、この充放電サイクルを繰り返してもよく、充放電を行わずに、40℃以上80℃以下で40時間以上保存してもよい。40℃以上80℃以下で保存することにより、抵抗層がさらに破壊されるためである。
本発明の製造方法において、充放電サイクルは、放電容量が初回の充放電サイクルにおける放電容量よりも大きくなるまで行うのが好ましい。本発明の製造方法では、原則として初期の充放電サイクルにおいて、電池の放電容量が前回の充放電サイクルよりも小さくなる。
下記のようにして、全固体電池を作製し、さらに一定の条件で充放電サイクルを繰り返し行った。
1.正極活物質層用粉末の作製
正極活物質としての炭素コーティングを有するLiFePO4、導電助剤としての気相法炭素繊維(VGCF)、硫化物固体電解質としてのLi3PS4−LiI−LiBr、分散媒としての酪酸ブチル、及びバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を秤量し、十分に混合して正極活物質層用スラリーを作製した。この正極活物質層用スラリーをアルミニウム箔上に塗工し、乾燥して正極活物質層用粉末を得た。
負極活物質としてのLi4Ti5O12(LTO)、導電助剤としてのVGCF、硫化物固体電解質としてのとしてのLi3PS4−LiI−LiBr、分散媒としての酪酸ブチル、及びバインダーとしてのPVDFを秤量し、十分に混合して負極活物質層用スラリーを作製した。この負極活物質層用スラリーをアルミニウム箔上に塗工し、乾燥して負極活物質層用粉末を得た。
硫化物固体電解質、バインダー、及び分散媒としての脱水へプタンを十分に混合して、固体電解質層用スラリーを作製した。この固体電解質層用スラリーをアルミニウム箔上に塗工し、乾燥させることにより固体電解質層を得た。
固体電解質層をプレスし、その上に所定量秤量した正極活物質層用粉末を設置し、プレスして正極活物質層を成形した。負極活物質層用粉末を所定量秤量し、プレスして負極活物質層を成形した。正極活物質層の固体電解質層上に負極活物質層を積層し、治具で拘束して全固体電池を組み立てた。
上記の方法によって作製した全固体電池に対して、放電下限電位、充電上限電位、充放電レート、及び温度を下記の表1の条件で充放電サイクルを繰り返し行った。そして、充放電サイクルにおける電池電圧と充電容量及び放電容量との関係を測定した。以下、放電容量を、電池容量として記載する。
表1のとおり、実施例1及び2、並びに参考例1は、温度、充放電レート、及び充電上限電位を一定にして、放電下限電位のみを変化させて充放電サイクルを繰り返した場合である。また、実施例3〜6は、温度、充放電レート、及び放電下限電位を一定にして、充電上限電位のみを変化させて充放電サイクルを繰り返した場合であるまた、実施例7〜11は、温度、充電上限電位、及び放電下限電位を一定にして、充放電レートのみを変化させて充放電サイクルを繰り返した場合である。また、実施例12〜15及び参考例2は、充放電レート、充電上限電位、及び放電下限電位を一定にして、温度のみを変化させて充放電サイクルを繰り返した場合である。
(1)放電下限電位について(実施例1及び2、並びに参考例1)
実施例1及び2、並びに参考例1について、放電下限電位をそれぞれ1.6V(vs.Li/Li+)、2.1V(vs.Li/Li+)、及び2.3V(vs.Li/Li+)に維持しつつ充放電サイクルを繰り返した。その結果、実施例1及び2について、最初の数サイクルでは電池容量が減少したものの、その後さらに20サイクルまで充放電を繰り返すことにより、大きい電池容量の全固体電池を得ることができた。これに対して、参考例1では、充放電サイクルを繰り返しても電池容量は増加せず、大きい電池容量の全固体電池を得ることができなかった。
実施例3〜6について、作製した全固体電池について、充電上限電位をそれぞれ3.8V(vs.Li/Li+)、4.1V(vs.Li/Li+)、4.4V(vs.Li/Li+)、及び4.7V(vs.Li/Li+)で充放電サイクルを繰り返した。その結果、実施例3〜5、即ち充電上限電位を3.8〜4,4V(vs.Li/Li+)にして充放電を行った場合には、168〜175mAh/gという、LiFePO4の理論容量に近い電池容量を有する全固体電池が得られた。これに対して、実施例6のように、4.7V(vs.Li/Li+)で充放電サイクルを繰り返した場合には、205mAh/gという、LiFePO4の理論容量よりも大きい電池容量となった。
実施例7〜11について、作製した全固体電池に対して充放電レートをそれぞれ0.02C、0.05C、0.1C、0.5C、及び1.0Cに維持しつつ充放電サイクルを繰り返した。その結果、いずれの場合においても大きい電池容量が得られた。特に、充放電レートが0.5C以下の場合、即ち実施例7〜10の場合には、160〜175mAh/gという、LiFePO4の理論容量に近い電池容量を有する全固体電池が得られた。充放電レートを1.0Cで行った場合、即ち実施例11の場合、他の場合と比較してより多くの充放電サイクルを要した。しかしながら、約145mAh/gという大きい電池容量を有する全固体電池を得ることができた。
実施例13〜15について、全固体電池の温度をそれぞれ42℃、60℃、及び80℃に維持しつつ充放電サイクルを繰り返した。その結果、最初の3、4サイクルでは電池容量が減少したものの、その後さらに20サイクルまで充放電を繰り返すことにより、大きい電池容量の全固体電池を得ることができた。
<実施例16>
上述の<<充放電サイクルの条件の検証その1>>の<全固体電池の作製>と同様にして、全固体電池組み立た。この全固体電池に対して、放電下限電位を2.1V(vs.Li/Li+)、充電上限電圧を4.1V(vs.Li/Li+)、充放電レートを0.1C、及び電池の温度を60℃にして、充放電を3サイクル行った。その後、この全固体電池を80℃で40時間保存して、全固体電池を作製した。
図19は、この全固体電池の各充放電サイクルにおける電池電圧と充電容量及び電池容量との関係を表す図である。
本発明の製造方法によって製造した全固体電池と、従来の方法により作製した全固体電池を充放電した場合の、両者の正極活物質の構造を比較した。
上記、<<充放電サイクルの条件の検証その1>>と同様にして全固体電池を作製し、温度を60℃、充放電レートを0.1C、充電上限電位を4.1V(vs.Li/Li+)、及び放電下限電位を1.6V(vs.Li/Li+)で20サイクル充放電を繰り返して、実施例17の全固体電池を完成させた。
正極活物質としてLiFePO4を有する硫化物全固体電池を作製し、従来の方法で充放電した。充放電終了後、この全固体電池の正極活物質周辺を走査型電子顕微鏡で観察した。
本発明の全固体電池(実施例18)と、正極活物質としてのLiFePO4及び硫化物固体電解質を用いたが、被覆層を有しない全固体電池(参考例3)、及びLi3PO4の被覆を有するLiFePO4及び硫化物固体電解質を用いた全固体電池(参考例4)について、それぞれの電池容量を比較した。なお、実施例18、並びに参考例3及び4の全固体電池は、下記のようにして作製した。
実施例18の全固体電池は、上述の<<充放電サイクルの条件の検証その1>>における<全固体電池の作製>において記載したとおりの方法により全固体電池を作製し、その後、温度を60℃、充放電レートを0.1C、充電上限電位を4.1V(vs.Li/Li+)、及び放電下限電位を1.6V(vs.Li/Li+)で20サイクル充放電を繰り返して、全固体電池を完成させた。
実施例18及び参考例4の全固体電池について、充電上限電位4.1V(vs.Li/Li+)、放電下限電位1.6V(vs.Li/Li+)、及び充放電レート0.1Cで、実施例18については10サイクル、参考例4については3サイクル充放電を行った。また、参考例3の全固体電池について、充電上限電位4.1V(vs.Li/Li+)、放電下限電位2.3(vs.Li/Li+)、及び充放電レート0.1Cで、4サイクル充放電を行った。その後、これらの全固体電池の電池容量を比較した。
実施例19として、上述の<<充放電サイクルの条件の検証その1>>において記載したとおりの方法により全固体電池を作製し、その後、温度を60℃、充放電レートを0.1C、充電上限電位を4.1V(vs.Li/Li+)、及び放電下限電位を1.6V(vs.Li/Li+)で20サイクル充放電を繰り返して、全固体電池を完成させた。
2 被覆層
3 炭素被覆層
4 遷移金属含有硫化物領域
5 抵抗層
6 硫化物固体電解質
10 本発明の正極活物質の一次粒子
100 LiFePO4部分
110 被覆層部分
120 遷移金属含有硫化物領域
130 硫化物固体電解質部分
Claims (22)
- 一次粒子が凝集してなる二次粒子である正極活物質であって、
前記一次粒子は、
オリビン型正極活物質、及び前記オリビン型正極活物質の全部又は一部を被覆している、被覆層を有し、
前記被覆層は、前記オリビン型正極活物質由来の遷移金属、リチウム、リン、及び酸素を成分として含み、かつ前記オリビン型正極活物質よりも前記遷移金属の濃度が低く、
かつ前記二次粒子の表面に、厚さが10nm以下である、硫黄及び前記オリビン型正極活物質由来の前記遷移金属を有する遷移金属含有硫化物領域が存在する、
正極活物質。 - 前記一次粒子が、前記被覆層を被覆している炭素被覆層を有し、かつ/又は前記オリビン型正極活物質と前記被覆層との間に存在する炭素被覆層を有する、請求項1に記載の正極活物質。
- 前記被覆層の厚さが50nm未満である、請求項1又は2に記載の正極活物質。
- 前記被覆層中のリンに対する酸素のモル比率が1.89以上4.66以下であり、酸素に対する硫黄のモル比率が0.24以上0.64以下であり、かつリンに対する前記遷移金属のモル比率が0.01以上0.43以下である、請求項1〜3のうち一項に記載の正極活物質。
- 前記被覆層が、Li4P2O7を有する、請求項1〜4のうち一項に記載の正極活物質。
- 前記遷移金属含有硫化物領域が、前記一次粒子の全部又は一部を被覆している、請求項1〜5のうち一項に記載の正極活物質。
- 前記遷移金属含有硫化物領域が、硫化鉄及び又は硫化リチウムを有する、請求項1〜6のうち一項に記載の正極活物質。
- 前記オリビン型正極活物質が、LixMyPOz(M=Fe、Mn、Co、及びNi、0.5≦x≦1.5、0.5≦y≦1.5、2≦z≦7)の化学式によって表される、請求項1〜7のうち一項に記載の正極活物質。
- 前記オリビン型正極活物質がLiFePO4である、請求項8に記載の正極活物質。
- 硫化物固体電解質及び請求項1〜9のうち一項に記載の正極活物質を有する全固体電池。
- 正極活物質層、固体電解質層、及び負極活物質層をこの順番に有する全固体電池の製造方法であって、
前記正極活物質層及び/又は前記固体電解質層は、硫化物固体電解質を有し、
前記正極活物質層は、正極活物質としてのオリビン型正極活物質を有し、
かつ前記全固体電池を25℃以上80℃以下に維持して、前記正極活物質層の電位が2.1V(vs.Li/Li+)以下になるまで放電する、充放電サイクルを行うことを含む、
全固体電池の製造方法。 - 前記充放電サイクルにおいて、前記全固体電池を前記正極活物質層の電位が1.6V(vs.Li/Li+)以上2.1V(vs.Li/Li+)以下になるまで放電する、請求項11に記載の全固体電池の製造方法。
- 前記充放電サイクルを、1.0C以下の充放電レートで行う、請求項11〜12のうち一項に記載の製造方法。
- 前記充放電サイクルにおいて、3.8V(vs.Li/Li+)以上4.4V(vs.Li/Li+)以下まで充電する、請求項11〜13のうち一項に記載の製造方法。
- 前記充放電サイクルを、前記全固体電池の放電容量が、初回の充放電サイクルにおける放電容量よりも大きくなるまで反復する、請求項11〜14のうち一項に記載の方法。
- 前記充放電サイクルを、放電時の前記正極活物質層の電位において、2.1V(vs.Li/Li+)〜2.5V(vs.Li/Li+)に放電プラトーがなくなるまで行う、請求項11〜15のうち一項に記載の製造方法。
- 前記充放電サイクルを、放電時の前記正極活物質層の電位において、3.3V(vs.Li/Li+)〜3.5V(vs.Li/Li+)に放電プラトーが生じるまで行う、請求項11〜16のうち一項に記載の製造方法。
- 前記充放電サイクルを連続して行う、請求項11〜17のうち1項に記載の製造方法。
- 前記充放電サイクルを初回の充放電から行う、請求項18に記載の製造方法。
- 前記充放電サイクルを少なくとも3回行った後に、前記全固体電池を40時間以上、40〜80℃に保温することを含む、請求項11〜19のうち一項に記載の製造方法。
- 前記オリビン型正極活物質が、(LixMyPOz、M=Fe、Mn、Co、Ni、又は0.5≦x≦1.5、0.5≦y≦1.5、2≦z≦7)の化学式で表される、請求項11〜20のうち一項に記載の製造方法。
- 前記オリビン型正極活物質がLiFePO4である、請求項21に記載の製造方法。
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