JP6261766B2 - 車両用エアクリーナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用エアクリーナ装置の改良に関するものである。
例えば自動二輪車に搭載される車両用エアクリーナ装置として、ケース本体の内部をダーティーサイドとクリーンサイドに区画するエレメントを備え、このエレメントを着脱可能としたものが実用に供されている。このような構造の車両用エアクリーナ装置として、例えば特許文献1に開示されているものが知られている。
特許文献1で知られている車両用エアクリーナ装置では、ケース本体の底に上下に延びる通気筒が形成され、この通気筒を囲むように嵌合枠部が形成されている。この嵌合枠部の外周に筒状のエレメント(フィルター)が上方から嵌合される。ケース本体の底に対向する位置には開口部が形成され、この開口部からエレメントが入れられる。
開口部から入れられたエレメントは、蓋部材で押さえられる。蓋部材は開口部を塞いだ後に、締結部材でケース本体に締結される。締結部材がビスやボルトである場合、ビスやボルトは別部品であるため、車両用エアクリーナ装置の構成要素の数が増加する。すなわち、部品点数の増加を招く。
また、蓋部材が筒状エレメントの一端に接している。エレメントの一端と蓋部材の間に空間がないため、エアクリーナの容量は制限される。
しかし、部品点数が少なくて、容量が大きい車両用エアクリーナ装置が求められるなか、このような要求を満足するような車両用エアクリーナ装置が望まれる。
特許第3552690号公報
本発明は、部品点数を削減することができるとともに、エアクリーナの容量を大きくすることができる車両用エアクリーナ装置を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明によれば、ケース本体の内部をダーティーサイドとクリーンサイドに区画するエレメントを備えているエアクリーナと、このエアクリーナから内燃機関の吸気通路へ延びるコネクティングチューブとを備えている車両用エアクリーナ装置において、前記コネクティングチューブは、径方向に延出するコネクティングチューブフランジ部を有し、前記エレメントは、フィルタと、このフィルタが装着されるエレメント基部と、このエレメント基部から前記コネクティングチューブフランジ部に沿って延出するエレメントフランジ部とを有し、前記ケース本体の壁は、前記コネクティングチューブを囲むように形成され且つ前記ケース本体の内方に向けて接続用開口部が形成された筒部と、前記エレメントフランジ部を係合するエレメント支持部とを有し、前記コネクティングチューブフランジ部は、一方側面で前記エレメントフランジ部に又は前記エレメント基部に当接し、他方側面で前記筒部の内端に当接することを特徴とする車両用エアクリーナ装置が提供される。
請求項2に記載のごとく、好ましくは、前記コネクティングチューブの外面には、前記筒部の外端部が当接するシール部が設けられ、前記コネクティングチューブフランジ部、前記筒部の外端部、前記コネクティングチューブの外面及び前記筒部の内面で囲まれた空間が、前記内燃機関からのブローバイガスを気体と液体とに分離する気液分離室となる。
請求項3に記載のごとく、好ましくは、ケース本体の壁のうちエレメントと対向する壁に開口するメンテナンス開口部が形成され、このメンテナンス開口部とエレメントとの間に所定の空間が形成されている。
請求項4に記載のごとく、好ましくは、ケース本体は、エレメントが取り付けられるケース部材と、このケース部材と別体のカバー部材とで構成され、カバー部材は、ケース部材に溶着されている。
請求項5に記載のごとく、好ましくは、フィルタは、筒状を呈しており、エレメントは、エレメントフランジ部をエレメント支持部に回転しつつ係合させることで取り付ける。
請求項6に記載のごとく、好ましくは、ケース本体には、メンテナンス開口部を覆う蓋部材が設けられるとともに、この蓋部材とケース本体とはヒンジで繋げられ、ケース本体のメンテナンス開口部外側には、蓋部材を係合する係合部が設けられている。
請求項7に記載のごとく、好ましくは、メンテナンス開口部を覆う蓋部材がケース本体とは別体に設けられ、蓋部材は、メンテナンス開口部に嵌合されている。
請求項8に記載のごとく、好ましくは、コネクティングチューブは、弾性部材で形成されている。
請求項9に記載のごとく、好ましくは、コネクティングチューブは、コネクティングチューブフランジ部よりも上流に、シールリップを有し、このシールリップは、エレメント基部の筒状の内周面に当接している。
請求項1に係る発明では、コネクティングチューブは、径方向に延出するコネクティングチューブフランジ部を有し、エレメントは、エレメント基部からコネクティングチューブフランジ部に沿って延出するエレメントフランジ部を有する。ケース本体の壁は、コネクティングチューブを囲むように形成された筒部と、エレメントフランジ部を係合するエレメント支持部とを有する。コネクティングチューブフランジ部は、一方側面でエレメントフランジ部に又はエレメント基部に当接し、他方側面で筒部の内端に当接され、この状態で、エレメントフランジ部がケース本体の内壁のエレメント支持部に係合するので、コネクティングチューブフランジ部も支持することができる。さらに、コネクティングチューブフランジ部を、筒部とエレメントで挟んで支持するので、別途部品を用いずに、コネクティングチューブ及びエレメントを支持することができ、部品点数を削減することができる。
請求項2に係る発明では、コネクティングチューブフランジ部、筒部の外端部、コネクティングチューブの外面及び筒部の内面とで囲まれた空間が、内燃機関からのブローバイガスを気体と液体とに分離する気液分離室となる。これにより、部品点数を削減することができるとともにケース本体の構造を簡単にすることができる。また、コネクティングチューブの外面にシール部を設けているため、気密性を確保し、コネクティングチューブとケース本体のみで気液分離室を成形することができる。結果、部品点数を削減できる。
請求項3に係る発明では、ケース本体の壁のうちエレメントと対向する壁に開口するメンテナンス開口部が形成される。メンテナンス開口部とエレメントとの間に所定の空間が形成されているので、エアクリーナのダーティーサイドの容量を大きくすることができる。
請求項4に係る発明では、ケース本体は、エレメントが取り付けられるケース部材と、このケース部材と別体のカバー部材とで構成される。カバー部材は、ケース部材に溶着されているので、締結部材が不要となり、部品点数を削減できるとともに、気密性を向上することができる。
請求項5に係る発明では、フィルタは、筒状を呈しており、エレメントは、エレメントフランジ部をエレメント支持部に回転しつつ係合させるので、締結部材が不要となり、部品点数を削減できる。フランジ部をエレメント支持部に密着するように回転しつつ係合させるので、気密性を向上することができる。
請求項6に係る発明では、蓋部材とケース本体とはヒンジで繋げられるので、蓋部材をケース本体と一体成形することで、ヒンジを別部品にする必要がなく、部品点数を削減できる。さらに、蓋部材の開閉をケース本体に設けた係合部に係合させることで行うので、係合部を別部品にする必要がなく、部品点数を削減できる。
請求項7に係る発明では、メンテナンス開口部を覆う蓋部材がケース本体とは別体に設けられる。蓋部材は、メンテナンス開口部に嵌合されているので、締結部材が不要となり、部品点数を削減できる。
請求項8に係る発明では、コネクティングチューブは、弾性部材で形成されている。コネクティングチューブの弾性を利用して、エレメントフランジ部をケース本体のエレメント支持部に付勢して支持することで、部品点数を削減することができる。
請求項9に係る発明では、コネクティングチューブは、コネクティングチューブフランジ部よりも上流に、シールリップを有する。シールリップは、エレメント基部の筒状の内周面に当接しているので、シール性を向上することができる。さらに、別途シールリップを設ける必要がないので、部品点数を削減できる。
本発明に係る車両用エアクリーナ装置を搭載した自動二輪車の左側面図である。 図1の2−2線断面図である。 実施例1に係る車両用エアクリーナ装置の分解図である。 車両用エアクリーナ装置の斜視図である。 エレメントをエアクリーナに取り付ける説明図である。 エレメントフランジ部をエレメント支持部に係合する説明図である。 車両用エアクリーナ装置の分解斜視図である。 車両用エアクリーナ装置の作用図である。 実施例2に係る車両用エアクリーナ装置の要部断面図である。 図9に示された車両用エアクリーナ装置の分解図である。 図10の11−11線断面図である。
発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。
実施例に係る車両用エアクリーナ装置について図面を参照しつつ説明する。なお、本書において「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は車両の運転者から見た方向を表し、図中、Frは前側、Rrは後側、Leは左側、Riは右側、Upは上側、Dwは下側を表す。
図1に示されるように、車両10は例えば自動二輪車である。自動二輪車10は、車体フレーム11と、この車体フレーム11の前部に設けられ前輪12を操舵可能に支持する前輪操舵手段13と、車体フレーム11の後部に設けられ後輪14を揺動可能に支持する後輪懸架手段15とを有する。
さらに、自動二輪車10は、前輪12と後輪14の間にて車体フレーム11に懸架され後輪14を駆動する内燃機関16と、この内燃機関16の上方にて車体フレーム11に支持される燃料タンク17と、この燃料タンク17の後方にて車体フレーム11に支持され乗員が着座するシート18とを有する。
車体フレーム11は、ヘッドパイプ21と、このヘッドパイプ21から後方へ延びているメインフレーム22と、このメインフレーム22の後端から後方へ延びているシートレール23と、ヘッドパイプ21から下方へ延びているダウンフレーム24とを有する。
さらに、車体フレーム11は、メインフレーム22に接合され下方に延びているピボットフレーム25と、シートレール23に接合され略三角形状を呈するリヤクッションブラケット26と、このリヤクッションブラケット26とピボットフレーム25に掛け渡されるサブフレーム27とを有する。
前輪操舵手段13は、車体フレーム11のヘッドパイプ21に回転可能に支持されるステアリング軸31と、このステアリング軸31に設けられ乗員が操舵するハンドルバー32と、ステアリング軸31にボトムブリッジ33を介して設けられ前輪12を支持するフロントフォーク34とを有する。
フロントフォーク34の上方には、ヘッドライト35及びメータ36が配置される。シートレール28の上部にシート18が支持される。シートレール23の後部にリヤフェンダ37が取り付けられ、このリヤフェンダ37にテールライト38が取り付けられる。
後輪懸架手段15は、ピボットフレーム25に揺動可能に設けられるとともに後方に延びているスイングアーム41と、このスイングアーム41の後端部とリヤクッションブラケット26との間に掛け渡されるリヤクッション42とを有する。スイングアーム41の後端部に、後輪14が支持されている。
内燃機関16は、クランクケース51と、このクランクケース51から前上がりに延びるシリンダ部52とを有する。シリンダ部52には、外気をシリンダ部52へ供給する吸気系53と、排気ガスを外部へ排出する排気系54とが接続されている。
排気系54は、シリンダ部52の前壁から延びる排気管55と、この排気管55の下流に接続される消音器56とを有する。
吸気系53は、外気から塵を除去する車両用エアクリーナ装置60と、この車両用エアクリーナ装置60に接続され燃料と空気の混合気を生成するキャブレター57と、このキャブレター57から延びてシリンダ部52の後壁に接続される吸気管58とを有する。また、車両用エアクリーナ装置60は、外気を導入する吸気ダクト61を備えている。
次に車両用エアクリーナ装置60について説明する。
図2に示されるように、車両用エアクリーナ装置60は、ケース本体81の内部をダーティーサイドS1とクリーンサイドS2に区画するエレメント70を備えているエアクリーナ80と、このエアクリーナ80から内燃機関16(図1参照)の吸気通路へ延びるコネクティングチューブ110とを有する。
図3に示されるように、車両用エアクリーナ装置60は、エレメント70と、エアクリーナ80と、コネクティングチューブ110とに分けられる。
エレメント70は、塵を除去するフィルタ71と、このフィルタ71が装着されるエレメント基部72とを有する。エレメント基部72は、コネクティングチューブ110の反対側に位置する第1基部73と、コネクティングチューブ110側に位置するとともに第1基部73に接続される第2基部74とを有する。
フィルタ71は、ふいごのように折りたたまれた折襞が、全体として筒状に形成されたものである。第1基部73は、フィルタ71の一方端を支持する円板部73aと、円板部73aから第2基部74へ延びてフィルタ71の内周を支持する内周支持部73bとを有する。内周支持部73bは、空気を通すことができるように、網状部又は穴が形成されている。なお、内周支持部73bは、柱状の部材が等間隔に設けられたものでもよく、空気を通すことができれば、他の構造であっても差し支えない。
第2基部74には、径方向に延出するエレメントフランジ部75が形成されている。エレメントフランジ部75には、一方側にフィルタ71外周を支持する外周支持部76が形成され、他方側にケース本体81に嵌る位置決め部77が形成されている。フィルタ71の他方端は、エレメントフランジ部75に支持されている。
エアクリーナ80のケース本体81は、エレメント70が取り付けられるケース部材82と、このケース部材82と別体のカバー部材83とで構成される。ケース部材82の壁82aは、エレメントフランジ部75を係合するエレメント支持部84と、コネクティングチューブ110を囲うように形成された筒部85とを有する。
ケース部材82には、外方に突出する凸部82bが形成されている。この凸部82bに、筒部85が設けられている。凸部82bは、筒部85の外側の途中に接続されているので、ケース本体81の内側において、筒部85と凸部82bとの間に略環状の空間S3が形成されている。
筒部85には、ケース本体81の内方に開口する接続用開口部86が形成されている。コネクティングチューブ110は、径方向に延出するコネクティングチューブフランジ部111を有する。コネクティングチューブ110は、ケース本体81の内側から接続用開口部86に通され、コネクティングチューブフランジ部111が、筒部85の内端87に当接する。
コネクティングチューブ110の壁112には、コネクティングチューブフランジ部111よりも下流側に、筒部85の外端部88を挟持するシール部113が設けられている。コネクティングチューブ110は、弾性部材で形成されており、シール部113を撓ませて外端部88に嵌合させるとともに、シール部113のシール性を向上させることができる。
また、ケース部材82には、ケース側嵌合部89が形成され、カバー部材83には、カバー側嵌合部91が形成されている。カバー側嵌合部91はケース側嵌合部89に嵌合される。
ケース部材82は、ブローバイホース62が接続される接続部92を有する。詳細には、接続部92は、後述する気液分離室120から延びている。ブローバイホース62は、内燃機関16(図1参照)からのブローバイガスを導くものである。接続部92は、円筒形状であり、ブローバイホース62が接続される部分に導入口93が形成され、ケース部材82の壁82aに導出口94が形成される。具体的には、導出口94は、筒部85に形成されている。
図3及び図4に示されるように、接続部92の導入口93近傍には、ブローバイホース62が抜けることを防止する返し部92aが形成されている。また、ケース部材82の壁82aには、導出口94よりも導入口93よりの位置で、ケース部材82の壁82aに、段差壁部95が形成されている。段差壁部95によって、ブローバイホース62を接続部92に接続する際のブローバイホース62の挿入量を規定することができる。
図5に示されるように、カバー側嵌合部91はケース側嵌合部89に溶着されている。カバー側嵌合部91は、ケース側嵌合部89に溶着されているので、締結部材が不要となり、部品点数を削減できる。さらに、カバー側嵌合部91を、ケース側嵌合部89に溶着することによって、ケース本体81の気密性を向上することができる。
カバー部材83には、吸気ダクト61(図1参照)を接続する吸入口96が形成されている。外気は吸入口96からケース本体81内に導入される。カバー部材83の壁83aには、内方に凹む凹部97が形成されている。この凹部97に、エレメント70を入れるために開口するメンテナンス開口部98が形成されている。
カバー部材83には、ヒンジ101を介して蓋部材102が開閉可能に設けられている。蓋部材102によって、メンテナンス開口部98が覆われる。メンテナンス開口部98外側において、カバー部材83には、蓋部材102を係合する係合部103が設けられている。
蓋部材102はカバー部材83と一体成形されている。このため、ヒンジを別部品にする必要がなく、部品点数を削減できる。さらに、蓋部材102の開閉をカバー部材83に設けた係合部103に係合させることで行うので、係合部103を別部品にする必要がなく、部品点数を削減できる。
なお、実施例では、蓋部材102をカバー部材83に一体成形したが、これに限定されず、蓋部材102をカバー部材83とは別体に設け、ヒンジを介してカバー部材83に開閉可能に設けても差し支えない。さらには、蓋部材102をカバー部材83とは別体に設け、蓋部材102をメンテナンス開口部98に嵌合させる、又は、蓋部材102を係合部103に嵌合させても差し支えない。具体的には、蓋部材102とメンテナンス開口部98にねじ部を設け、嵌合させてもよい。この場合、締結部材が不要となり、部品点数を削減できる。
また、コネクティングチューブ110は、ケース本体81に組み付けられ、コネクティングチューブフランジ部111が、筒部85の内端87に当接している。筒部85の外端部88は、シール部113に挟持されている。蓋部材102は開いている。エレメント70を、メンテナンス開口部98からケース本体81内に入れ、位置決め部77を空間S3に嵌め込む。コネクティングチューブフランジ部111は、筒部85よりも外径方向に延びているが、凸部82bの基端とコネクティングチューブフランジ部111との間には隙間が形成されており、この隙間に位置決め部77を挿入する。
図6に示されるように、エレメントフランジ部75には、径方向に突出するフランジ爪部78が形成されている。エレメント70を矢印(1)のように移動させ、フランジ爪部78がエレメント支持部84に重ならないようにして、エレメントフランジ部75をケース部材82の壁82aに突き当てる。
エレメント70を矢印(2)のように回転させ、フランジ爪部78を、断面L字形状のエレメント支持部84の内側にスライドさせる。ケース部材82には、エレメント支持部84の近傍にストッパ84aが形成されており、フランジ爪部78はストッパ84aに当たり止まる。このように、エレメント70は、エレメントフランジ部75をエレメント支持部84に回転しつつ係合することで取り付けられる。このため、エレメント70をケース部材82に締結する別途の締結部材が不要となり、部品点数を削減できる。さらに、エレメントフランジ部75をエレメント支持部84に密着するように回転しつつ係合させるので、気密性を向上することができる。
なお、フランジ爪部78に傾斜部を設け、エレメント支持部84の内側にスライドするにつれて、きつく保持されるようにしても差し支えない。また、エレメント支持部84の入口側に小さな突起を設け、この突起を乗り越えるようにして、フランジ爪部78をエレメント支持部84の内側にスライドさせても差し支えない。この場合、突起によりフランジ爪部78が容易に外れることを防止できる。
次に各構成部品が組み付けられた状態について説明する。
図2に示されるように、コネクティングチューブフランジ部111は、一方側面111aでエレメントフランジ部75に当接し、他方側面111bで筒部85の内端87に当接している。この状態で、エレメントフランジ部75がエレメント支持部84に係合するので、同時にコネクティングチューブフランジ部111も支持することができる。さらに、コネクティングチューブフランジ部111を、筒部85とエレメント70で挟んで支持するので、別途の固定用部品を用いずに、コネクティングチューブ110及びエレメント70を支持することができ、部品点数を削減することができる。
さらに、コネクティングチューブ110を弾性部材で形成することで、コネクティングチューブフランジ部111の弾性を利用して、エレメントフランジ部75をエレメント支持部84に付勢して支持することでき、部品点数を削減することができる。
また、コネクティングチューブ110の壁112、コネクティングチューブフランジ部111、筒部85及び筒部85の外端部88に囲われる空間が、気液分離室120となる。気液分離室120は、筒部85の内端87をコネクティングチューブフランジ部111の他方側面111bに当接させ、接続用開口部86をコネクティングチューブフランジ部111で塞ぐとともに、筒部85の外端部88をコネクティングチューブ110の壁112に当接させることで形成される。
このように、エアクリーナ80に内燃機関16(図1参照)からのブローバイガスを気体と液体に分離する気液分離室120が形成されるので、気液分離室120を形成するために別途部品を必要としない。結果、エアクリーナ80に気液分離室120を形成しても、部品点数を削減することができる。さらに、筒部85の内端87をコネクティングチューブフランジ部111の側面に当接させ、筒部85の外端部88をコネクティングチューブ110の壁112に当接させただけであるので、ケース本体81の構造を簡単にすることができる。
一方側で、コネクティングチューブフランジ部111を筒部85の内端87に当接させ、他方側で、シール部113で筒部85の外端部88を挟持することで、気密性を確保し、コネクティングチューブ110とケース本体81のみで気液分離室120を成形することができる。
また、コネクティングチューブ110の壁112には、コネクティングチューブフランジ部111よりも下流側で、且つ、気液分離室120に臨む領域に、気液分離室120と連通する連通穴114が形成されている。この連通穴114は、接続部92の導出口94と、コネクティングチューブ110を挟んで反対側に配置されている。
気液分離室120におけるブローバイガスの導出口94と、分離後の気体を導入する連通穴114とを離間するように配置したので、気液分離を促進することができる。さらに、連通穴114を上部に設けることで、分離された液体を気液分離室120に溜める容量を大きくすることができる。さらに、気液分離室120とクリーンサイドS2との接続を、コネクティングチューブ110の壁112に連通穴114を設けるだけでよいので、連通用の部品を設ける必要がなく、部品点数を削減するとともに、簡単な構成にすることができる。
なお、実施例では、一方側面111aは、エレメントフランジ部75に当接したが、これに限定されず、一方側面111aは、エレメント基部72に当接しても差し支えない。
また、エレメント70と対向する壁83aに、メンテナンス開口部98が形成されている。このメンテナンス開口部98を塞ぐ蓋部材102と、エレメント70との間に所定の空間S4が形成されている。このため、エアクリーナ80のダーティーサイドS1の容量を大きくすることができる。
また、コネクティングチューブ110は、コネクティングチューブフランジ部111よりも上流に、シールリップ115を有する。シールリップ115は、エレメント基部72の筒状の内周面に当接しているので、シール性を向上することができる。さらに、別途シールリップを設ける必要がないので、部品点数を削減できる。
次に全体の構成部品をまとめて以下に記載する。
図7に示されるように、車両用エアクリーナ装置60は、吸気ダクト61と、エアクリーナ80と、コネクティングチューブ110とを有する。エアクリーナ80は、ケース部材82及びカバー部材83で構成されるケース本体81と、エレメント70とを有する。メンテナンス開口部98及び環状の係合部103が、ケース本体81の凹部97に形成されている。蓋部材102が、ケース本体81にヒンジ101を介して設けられている。蓋部材102には、係合部103に嵌合する環状部104が形成される。
ケース部材82にカバー部材83が溶着される。コネクティングチューブ110はケース本体81の内側から組み付けられる。エレメント70は、蓋部材102を開き、メンテナンス開口部98から投入され、ケース本体81に組み付けられる。
以上に述べた車両用エアクリーナ装置60の作用を次に述べる。
図8に示されるように、外気は、矢印(3)のように吸入口96からダーティーサイドS1に入る。ダーティーサイドS1の空気は、矢印(4)のようにエレメント70を通過し、クリーンサイドS2に入る。クリーンサイドS2の空気は、矢印(5)のようにコネクティングチューブ110に流れ、内燃機関16(図1参照)に送られる。
また、内燃機関16からのブローバイガスは、矢印(6)のようにブローバイホース62から気液分離室120に流れる。気液分離室120のブローバイガスは、気体と液体に分離される。一方の分離された気体は、矢印(7)のように導出口94から離れた方向に流れ、さらに矢印(8)のように連通穴114からコネクティングチューブ110に流れる。他方の分離された液体は、矢印(9)のように導出口94からブローバイホース62に流れ、内燃機関16のクランクケース51(図1参照)に送られる。
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。なお、図2に示した構成と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
図9及び図10に示されるように、コネクティングチューブ110の壁112、コネクティングチューブフランジ部111、筒部85及び筒部85の外端部88に囲われることで気液分離室120が形成されている。コネクティングチューブフランジ部111のうち気液分離室120に臨む部位に、一方側面111aから他方側面111bまで連通する第1の連通穴121が形成されている。
エレメント基部72の第2基部74のうちクリーンサイドS2に臨む部位に、組み付けた状態でクリーンサイドS2から気液分離室120まで延出する連通穴延出部122が形成されている。この連通穴延出部122に、クリーンサイドS2から気液分離室120まで連通する第2の連通穴123が形成されている。すなわち、エレメント基部72のうちクリーンサイドS2に臨む部位に第2の連通穴123が形成されている。また、第1の連通穴121は、第2の連通穴123よりも大径である。第1の連通穴121は、連通穴延出部122を挿入することができる大きさである。
連通穴延出部122を第1の連通穴121に通すことで、第1の連通穴121は第2の連通穴123に接続されている。このように、気液分離室120とクリーンサイドS2との接続を、第1の連通穴121を第2の連通穴123に接続することによって行うので、別途接続部品を設ける必要がなく、部品点数を削減できる。さらに、連通穴延出部122を気液分離室120からクリーンサイドS2まで通すことによって、気液分離室120とクリーンサイドS2が直結するので、機密性を向上することができる。
また、筒部85の外端部88には、気液分離室120内に突出する突出壁124が形成されている。突出壁124は、導出口94と対向するように配置されている。突出壁124によって気液分離室120内に、いわゆるラビリンス構造を形成したので、ブローバイガスの気液分離を促進することができる。さらに、筒部85の外端部88、すなわちケース本体81と一体に突出壁124を形成したので、別途部品を不要とし、部品点数を削減できる。また、気液分離室120で分離された気体は、第2の連通穴123からコネクティングチューブ110に流れる。分離された液体は、導出口94からブローバイホース62に流れ、内燃機関16のクランクケース51(図1参照)に送られる。
以上に述べた実施例2の車両用エアクリーナ装置60の作用を次に述べる。
図10及び図11に示されるように、コネクティングチューブ110を、筒部85の接続用開口部86に通す。エレメント70を移動させ、連通穴延出部122を第1の連通穴121に挿入し、さらにエレメントフランジ部75をケース部材82の壁82aに突き当てる。
第1の連通穴121は、正面視、長穴状に形成されている。エレメント70を回転させ、フランジ爪部78を、エレメント支持部84の内側にスライドさせる。すると、想像線で示す連通穴延出部122は矢印(10)のように移動し、実線で示す連通穴延出部122の位置にくる。さらにエレメント70を回転させることで、エレメント70は、ケース本体81に取り付けられる。
このように、連通穴延出部122を、第1の連通穴121に挿入した状態で、エレメントフランジ部75をエレメント支持部84に回転しつつ係合させることができる。さらに、連通穴延出部122を第1の連通穴121に挿入することで、組立時における位置合わせを行うことができる。
なお、実施例では、第1の連通穴121を、正面視、略円弧状に形成したが、これに限定されず、連通穴延出部122の回転する軌跡よりも大きければ、直線的な長穴状、矩形状、円形状であっても差し支えない。
尚、本発明の車両用エアクリーナ装置は、実施例ではエアクリーナを自動二輪車の左側部に配置したが、これに限定されず、エアクリーナを自動二輪車の内燃機関の前部や上部に配置しても差し支えない。さらに、本発明の車両用エアクリーナ装置は、実施例では自動二輪車に適用したが、自動車などにも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
本発明の車両用エアクリーナ装置は、自動二輪車に好適である。
10…車両(自動二輪車)、16…内燃機関、60…車両用エアクリーナ装置、70…エレメント、71…フィルタ、72…エレメント基部、75…エレメントフランジ部、78…フランジ爪部、80…エアクリーナ、81…ケース本体、82…ケース部材、82a…ケース部材の壁、83…カバー部材、83a…カバー部材の壁、84…エレメント支持部、85…筒部、86…接続用開口部、98…メンテナンス開口部、101…ヒンジ、102…蓋部材、103…係合部、110…コネクティングチューブ、111…コネクティングチューブフランジ部、111a…一方側面、111b…他方側面、115…シールリップ、S1…ダーティーサイド、S2…クリーンサイド、S4…所定の空間。

Claims (9)

  1. ケース本体の内部をダーティーサイドとクリーンサイドに区画するエレメントを備えているエアクリーナと、
    このエアクリーナから内燃機関の吸気通路へ延びるコネクティングチューブとを備えている車両用エアクリーナ装置において、
    前記コネクティングチューブは、径方向に延出するコネクティングチューブフランジ部を有し、
    前記エレメントは、フィルタと、このフィルタが装着されるエレメント基部と、このエレメント基部から前記コネクティングチューブフランジ部に沿って延出するエレメントフランジ部とを有し、
    前記ケース本体の壁は、前記コネクティングチューブを囲むように形成され且つ前記ケース本体の内方に向けて接続用開口部が形成された筒部と、前記エレメントフランジ部を係合するエレメント支持部とを有し、
    前記コネクティングチューブフランジ部は、一方側面で前記エレメントフランジ部に又は前記エレメント基部に当接し、他方側面で前記筒部の内端に当接することを特徴とする車両用エアクリーナ装置。
  2. 前記コネクティングチューブの外面には、前記筒部の外端部が当接するシール部が設けられ、
    前記コネクティングチューブフランジ部、前記筒部の外端部、前記コネクティングチューブの外面及び前記筒部の内面で囲まれた空間が、前記内燃機関からのブローバイガスを気体と液体とに分離する気液分離室となる、請求項1記載の車両用エアクリーナ装置。
  3. 前記ケース本体の壁のうち前記エレメントと対向する壁に開口するメンテナンス開口部が形成され、このメンテナンス開口部と前記エレメントとの間に所定の空間が形成されている、請求項1又は2記載の車両用エアクリーナ装置。
  4. 前記ケース本体は、前記エレメントが取り付けられるケース部材と、このケース部材と別体のカバー部材とで構成され、
    前記カバー部材は、前記ケース部材に溶着されている、請求項1〜3のいずれか1項記載の車両用エアクリーナ装置。
  5. 前記フィルタは、筒状を呈しており、
    前記エレメントは、前記エレメントフランジ部を前記エレメント支持部に回転しつつ係合させることで取り付ける、請求項1〜4のいずれか1項記載の車両用エアクリーナ装置。
  6. 前記ケース本体には、前記メンテナンス開口部を覆う蓋部材が設けられるとともに、この蓋部材と前記ケース本体とはヒンジで繋げられ、
    前記ケース本体の前記メンテナンス開口部外側には、前記蓋部材を係合する係合部が設けられている、請求項3記載の車両用エアクリーナ装置。
  7. 前記メンテナンス開口部を覆う蓋部材が前記ケース本体とは別体に設けられ、
    前記蓋部材は、前記メンテナンス開口部に嵌合されている、請求項3記載の車両用エアクリーナ装置。
  8. 前記コネクティングチューブは、弾性部材で形成されている、請求項1〜7のいずれか1項記載の車両用エアクリーナ装置。
  9. 前記コネクティングチューブは、前記コネクティングチューブフランジ部よりも上流に、シールリップを有し、
    このシールリップは、前記エレメント基部の筒状の内周面に当接している、請求項1〜8のいずれか1項記載の車両用エアクリーナ装置。
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