以下に、本発明に係る苗移植機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る苗移植機の側面図である。図2は、実施形態に係る苗移植機の平面図である。なお、以下の説明においては、前後、左右の方向基準は、操縦席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。同図に示す苗移植機1の走行車体2は、左右一対の前輪4と、同様に左右一対の後輪5とを有しており、走行時には各車輪が駆動する四輪駆動車としている。これにより、走行車体2は、圃場を走行することが可能になっている。また、走行車体2の後部には、苗を積載すると共に、積載した苗を植え付けることができ、苗植付部昇降機構50によって昇降可能な苗植付部40が備えられている。
この走行車体2は、車体の略中央に配置されたメインフレーム7と、このメインフレーム7の上に搭載されたエンジン10と、エンジン10の動力を駆動輪と苗植付部40とに伝える動力伝達装置15と、を備えている。つまり、本実施形態に係るこの苗移植機1では、エンジン10の動力が走行車体2を前進や後進させるためのみに用いるのみでなく、苗植付部40を駆動させるためにも使用され、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関が用いられる。
また、エンジン10は、走行車体2の左右方向における略中央で、且つ、作業者が乗車時に足を載せるフロアステップ26よりも上方に突出させた状態で配置されている。また、フロアステップ26は、走行車体2の前部とエンジン10の後部との間に渡って設けられており、メインフレーム7上に取り付けられており、その一部が格子状になることにより、靴に付いた泥を圃場に落とせるようになっている。また、このフロアステップ26の後方には、後輪5のフェンダを兼ねたリアステップ27が設けられている。このリアステップ27は、後方に向うに従って上方に向う方向に傾斜した傾斜面を有しており、エンジン10の左右それぞれの側方に配置されている。
エンジン10は、これらのフロアステップ26とリアステップ27とから上方に突出しており、これらのステップから突出している部分には、エンジン10を覆うエンジンカバー11が配設されている。即ち、エンジンカバー11は、フロアステップ26とリアステップ27とから上方に突出した状態で、エンジン10を覆っている。
また、走行車体2には、エンジンカバー11の上部に操縦席28が設置されており、操縦席28の前方で、且つ、走行車体2の前側中央部には、操縦部30が配設されている。この操縦部30は、フロアステップ26の床面から上方に突出した状態で配置されており、フロアステップ26の前部側を左右に分断している。
この操縦部30の内部には、各種の操作装置やエンジン用燃料の燃料タンク等が配設されており、操縦部30の前部には、開閉可能なフロントカバー31が設けられている。また、操縦部30の上部には、操作装置を作動させる操作レバー等や計器類、ハンドル32が配設されている。このハンドル32は、作業者が前輪4を操舵操作することにより走行車体2を操舵する操舵部材として設けられており、操縦部30内の操作装置等を介して前輪4を転舵させることが可能になっている。また、操作レバーとしては、走行車体2の前後進と走行出力を切替操作する変速操作部材である主変速レバー35と、走行車体2の走行速度を、走行する場所に応じた速度に切り替える副走行操作部材である副変速レバー36とが、機体右側と左側に配設されている。
また、フロアステップ26における操縦部30の左右それぞれの側方に位置する部分には、補給用の苗を載せておく予備苗載台80が配置されている。この予備苗載台80は、フロアステップ26の床面から突出した支持軸(鉛直軸)によって回転自在に支持されており、作業者の手によって回動させることが可能になっている。
また、動力伝達装置15は、主変速機としての油圧式無段変速機16と、この油圧式無段変速機16にエンジン10からの動力を伝えるベルト式動力伝達機構17と、を有している。このうち、油圧式無段変速機16とは、HST(Hydro Static Transmission)と云われる静油圧式の無段変速機として構成されている。このため、油圧式無段変速機16は、エンジン10からの動力で駆動する油圧ポンプによって油圧を発生させ、この油圧を油圧モータで機械的な力(回転力)に変換して出力する。
この油圧式無段変速機16は、エンジン10よりも前方で、且つ、フロアステップ26の床面よりも下方に配置されており、本実施形態に係る苗移植機1では、走行車体2の上面から見て、エンジン10の前方に配置されている。
また、ベルト式動力伝達機構17は、エンジン10の出力軸に取り付けたプーリと、油圧式無段変速機16の入力軸に取り付けたプーリと、双方のプーリに巻き掛けたベルトと、さらに、このベルトの張力を調整するテンションプーリと、を備えている。これにより、ベルト式動力伝達機構17は、エンジン10で発生した動力を、ベルトを介して油圧式無段変速機16に伝達可能になっている。
さらに、動力伝達装置15は、エンジン10からの出力がベルト式動力伝達機構17と油圧式無段変速機16とを介して伝達されるミッションケース18を有している。このミッションケース18は、メインフレーム7の前部に取り付けられている。ミッションケース18は、ベルト式動力伝達機構17と油圧式無段変速機16とを介して伝達されたエンジン10からの出力を、当該ミッションケース18内の副変速機で変速して、前輪4と後輪5への走行用動力と、苗植付部40への駆動用動力とに分けて出力可能になっている。
このうち、走行用動力は、一部が左右の前輪ファイナルケース21を介して前輪4に伝達可能になっており、残りが左右の後輪ギヤケース22を介して後輪5に伝達可能になっている。左右それぞれの前輪ファイナルケース21は、ミッションケース18の左右それぞれの側方に配設されており、左右の前輪4は、車軸を介して左右の前輪ファイナルケース21に連結されている。また、この前輪ファイナルケース21は、ハンドル32の操舵操作に応じて駆動し、前輪4を転舵させることが可能になっている。同様に、左右それぞれの後輪ギヤケース22には、車軸を介して後輪5が連結されている。一方、駆動用動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチ(図示省略)に伝達され、この植付クラッチの係合時に植付伝動軸(図示省略)によって苗植付部40へ伝達される。
また、走行車体2の後部に備えられる苗植付部40を走行車体2に対して昇降させる苗植付部昇降機構50は、昇降リンク機構51を有しており、苗植付部40は、この昇降リンク機構51を介して走行車体2に取り付けられている。この昇降リンク機構51は、走行車体2の後部と苗植付部40とを連結させる平行リンク機構52を備えている。この平行リンク機構52は、上リンクと下リンクとを有しており、これらのリンクが、メインフレーム7の後部端に立設した背面視門型のリンクベースフレーム53に回動自在に連結され、各リンクの他端側が苗植付部40に回転自在に連結されることにより、苗植付部40を昇降可能に走行車体2に連結している。
また、苗植付部昇降機構50は、油圧によって伸縮する油圧昇降シリンダ54を有しており、油圧昇降シリンダ54の伸縮動作によって、苗植付部40を昇降させることが可能になっている。苗植付部昇降機構50は、その昇降動作によって、苗植付部40を非作業位置まで上昇させたり、対地作業位置(対地植付位置)まで下降させたりすることが可能になっている。
また、苗植付部40は、苗を植え付ける範囲を複数の区画、或いは複数の列で植え付けることができ、本実施形態に係る苗移植機1では、苗を4つの区画で植え付ける、いわゆる4条植の苗植付部40になっている。この苗植付部40は、植付装置41と、苗載置台45及びフロート61を備えている。このうち、苗載置台45は、走行車体2の左右方向において仕切られた植付条数分の苗載せ面46を有しており、それぞれの苗載せ面46に土付きのマット状苗を載置することが可能になっている。これにより、苗載置台45に載置した苗が植え付けられて無くなるたびに、圃場外に用意している苗を圃場の端(圃場の外)まで取りに戻る必要が無く、連続した作業を行えるので、作業能率が向上する。
また、植付装置41は、苗載置台45に載置された苗を圃場に植え付ける装置になっている。この植付装置41は、2条毎に1つずつ配設されており、2条分の植込杆42を備えている。また、フロート61は、走行車体2の移動と共に、圃場面上を滑走して整地するものであり、走行車体2の左右方向における苗植付部40の中央に位置するセンターフロート62と、左右方向における苗植付部40の両側に位置するサイドフロート63と、を有している。これらのセンターフロート62とサイドフロート63とは、センターフロート62の前端部がサイドフロート63の前端部よりも前方に位置して形成されている。
また、フロート61は、苗植付部40で植え付ける苗の植付深さを調節する植付深さ調節装置60を構成しており、換言すると、フロート61は植付深さ調節装置60が有している。植付深さ調節装置60は、圃場に対する苗植付部40の上下方向における位置を調節することにより、苗の植付深さを調節することが可能になっており、上下方向におけるフロート61と苗植付部40との相対的な位置を調節することにより、圃場に対する苗植付部40の上下位置を調節可能になっている。
また、苗植付部40の下方側の位置における前側には、苗が植え付けられる圃場面を均し、圃場の整地を行う整地装置である整地ロータ70が設けられている。この整地ロータ70は、後輪ギヤケース22を介して伝達されるエンジン10からの出力によって、走行車体2の左右方向に延在する回転軸を中心として回転可能に構成されている。
また、整地ロータ70もフロート61と同様に、走行車体2の左右方向における苗植付部40の中央に位置するセンターロータ71と、左右方向における苗植付部40の両側に位置するサイドロータ72と、を有している。このうち、センターロータ71は、センターフロート62の前方に配設され、サイドロータ72は、サイドフロート63の前方に配設されている。即ち、左右のサイドロータ72は、センターロータ71の左右両側で、且つ、センターロータ71の機体後側に設けられている。
これらのセンターロータ71と左右のサイドロータ72とは、動力伝達機構を備える伝動ケース75によって連結されており、エンジン10からの出力は、伝動ケース75によってセンターロータ71とサイドロータ72との間で伝達される。これにより、センターロータ71とサイドロータ72とは、共にエンジン10からの出力によって回転可能になっている。これらのように設けられる整地ロータ70は、上下操作機構110(図3参照)により、機体上下方向における位置を変更し、上下方向における高さを調節することが可能になっている。
また、苗植付部40の左右両側には、次の植付条に植付方向の目安になる線を形成する線引きマーカ85が備えられている。即ち、線引きマーカ85は、苗移植機1が圃場内における植付方向に沿った前進時に、圃場の畦際で転回した後における植付方向に沿って前進する際の目印を圃場上に線引きする。この線引きマーカ85は、マーカモータ(図示省略)によって作動し、走行車体2が旋回するごとに、左右の線引きマーカ85が入れ替わって作動することができるように構成されている。
また、走行車体2における操縦席28の後方には、施肥装置90が搭載されている。この施肥装置90は、肥料を貯蔵する肥料タンク91と、肥料タンク91内の肥料を一定量ずつ下方に繰り出す肥料繰出部92と、繰り出された肥料を施肥ホース94によって苗植付部40側に移送するブロア93と、を有している。さらに、施肥装置90は、苗植付部40の下方に配設されると共に、施肥ホース94によって肥料が移送される施肥ガイド95と、施肥ガイド95の前側に設けられると共に、施肥ホース94によって移送された肥料を、苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込む作溝器96と、を有している。
図3は、図1に示す整地ロータの側面図である。図4は、図3のA−A矢視図である。整地ロータ70は、苗植付部40の前面側に配設される整地支持フレームである植付部フレーム100に支持されている。植付部フレーム100は、機体左右方向における両側にそれぞれ位置して、機体上下方向に延びる植付部サイドフレーム101と、植付部サイドフレーム101の上端付近に位置して機体左右方向に延びる植付部アッパーフレーム102と、植付部アッパーフレーム102の下方に位置して機体左右方向に延びる植付部ロワーフレーム103と、を有している。
このうち、左右の植付部サイドフレーム101には、線引きマーカ85の不使用時に線引きマーカ85を保持する線引きマーカ保持フック105が設けられている。また、植付部サイドフレーム101の上端には、苗載置台45に連結し、苗載置台45を支持する苗載台受け104が設けられている。さらに、植付部フレーム100は、整地ロータ70を、植付部フレーム100の前部で、且つ、植付部フレーム100の下端付近に位置させて、整地ロータ70を支持している。
図5は、図3のB部詳細図である。植付部フレーム100の下部には、リンク支持部材であるリンク支持プレート130が配設されている。詳しくは、リンク支持プレート130は、植付部フレーム100が有する左右の植付部サイドフレーム101の下端付近における前側の部分に、それぞれ取り付けられている。このリンク支持プレート130の下部には、左右のサイドロータ72を後方から保持するロータ保持部材であるロータ保持フレーム140が配設されている。ロータ保持フレーム140は、機体左右方向の延びる棒状の部材からなり、左右のリンク支持プレート130に保持されている。
このロータ保持フレーム140には、植付部フレーム100の下部に配設されて整地ロータ70を回動自在に支持する整地回動アームであるロータ高さ調節フレーム135が連結されている。ロータ高さ調節フレーム135は、ロータ保持フレーム140から機体前方側に延びており、前端に整地ロータ70が連結されている。これにより、整地ロータ70は、機体左右方向に延びるロータ保持フレーム140を中心として、ロータ高さ調節フレーム135と共に回動可能になっている。
図6は、図3のC−C矢視図である。整地ロータ70が有するセンターロータ71とサイドロータ72とは、共に機体左右方向に延びる回転軸を中心として回転可能に構成されている。このうち、センターロータ71の機体後側に設けられている左右両側2箇所のサイドロータ72のそれぞれの回転軸は、同軸上に位置している。センターロータ71とサイドロータ72の長さは、機体左右方向におけるセンターロータ71の両端部の位置と、機体左右方向におけるサイドロータ72の内側の端部の位置とが、近い位置となる長さになっている。伝動ケース75は、機体左右方向におけるセンターロータ71の端部と、機体左右方向におけるサイドロータ72の内側の端部とを連結しており、センターロータ71とサイドロータ72との間で動力を伝達することが可能になっている。
このように、機体左右方向における両側に設けられる伝動ケース75のうち、一方の伝動ケース75の近傍には、エンジン10からの動力を整地ロータ70に伝達するロータ駆動伝動軸76が連結されている。エンジン10から整地ロータ70に伝達される動力は、ロータ駆動伝動軸76によって一方のサイドロータ72に伝達されることにより、このサイドロータ72が回転し、さらに、このサイドロータ72から、2つの伝動ケース75によって、センターロータ71と、他方のサイドロータ72に伝達可能になっている。
ロータ高さ調節フレーム135は、2つのサイドロータ72のそれぞれの回転軸であるサイドロータ回転軸74の両端付近に前端が連結されることにより、整地ロータ70が連結されている。即ち、2つのサイドロータ72はそれぞれ、機体左右方向における外側に位置するロータ高さ調節フレーム135である外側調節フレーム136と、機体左右方向における内側に位置するロータ高さ調節フレーム135である内側調節フレーム137との2つのロータ高さ調節フレーム135により、サイドロータ回転軸74の両端付近が支持されている。
また、植付部フレーム100が有する植付部ロワーフレーム103には、センターロータ71を上方に吊り上げる吊上げ支持部材である吊上げ支持フレーム145が配設されている。この吊上げ支持フレーム145は、植付部ロワーフレーム103から、機体前方で、且つ、機体下方に向う斜め下方に向けて、所定の長さで配設されている。このように形成される吊上げ支持フレーム145と、センターロータ71とは、センターロータ71を上方に付勢する吊下げ付勢部材である吊下げスプリング146によって連結されている。
詳しくは、センターロータ71には、センターロータ71と一体となって上下動可能なスプリング取付プレート147がセンターロータ71の上方側に取り付けられており、引張りばねからなる吊下げスプリング146の両端が、吊上げ支持フレーム145とスプリング取付プレート147に連結されている。これにより、センターロータ71は、吊下げスプリング146によって機体上方側への付勢力が付与された状態で、吊上げ支持フレーム145と吊下げスプリング146とによって吊り下げられている。
整地ロータ70は、センターロータ71が吊上げ支持フレーム145と吊下げスプリング146とによって吊り下げられ、サイドロータ72が、ロータ高さ調節フレーム135によって支持されることにより、3つのロータが全体として、ロータ保持フレーム140を中心として回動可能になっている。
また、植付部フレーム100の上部には、整地ロータ70を回動させて上下位置を変更する上下操作機構110が配設されている。上下操作機構110は、上下操作機構110と整地ロータ70との間に配設されて整地ロータ70を吊り上げる吊上げ部材115を介して、整地ロータ70の上下位置を変更することが可能になっている。上下操作機構110は、整地ロータ70の上下位置を変更する際に作業者が操作をするロータ高さ調節レバー111と、ロータ高さ調節レバー111に連動して回動するレバー連動ディスク112と、ロータ高さ調節レバー111の操作時における整地ロータ70の上下位置を示すロータ高さインジケータ113と、を備えている。
このように構成される上下操作機構110は、上側に向かうに従って機体前側に位置する前傾姿勢で配設され、植付部フレーム100の植付部アッパーフレーム102に取り付けられている。詳しくは、上下操作機構110は、回動軸が前後方向になる向きでレバー連動ディスク112が回動自在に配設されており、ロータ高さ調節レバー111は、レバー連動ディスク112と一体で回動可能にレバー連動ディスク112に連結されている。
このロータ高さ調節レバー111は、レバー連動ディスク112から上方に延びていると共に、上側に向かうに従って機体前側に位置する向きで傾斜しており、その先端が、回動方向に折り曲げられてL字状の形状になっている。また、ロータ高さインジケータ113は、ロータ高さ調節レバー111を回動可能に保持しつつ、ロータ高さ調節レバー111の回動状態を認識可能な目盛り等が施されることにより、ロータ高さ調節レバー111の回動状態に基づいて、整地ロータ70の上下位置の認識が可能になっている。
吊上げ部材115としては、ワイヤやケーブル等の屈曲自在な部材からなる吊上げ線材116が用いられており、吊上げ線材116は、上端側が上下操作機構110のレバー連動ディスク112に連結されている。このように上下操作機構110と整地ロータ70との間に配設される吊上げ線材116は、植付部フレーム100の植付部アッパーフレーム102に設けられる上部ワイヤ受けプレート106と、植付部サイドフレーム101に設けられる下部ワイヤ受けプレート107とに支持されている。
整地ロータ70の後部には、整地ロータ70の作業姿勢を水平に保つ水平維持部材120が配設されており、吊上げ線材116の下端は、水平維持部材120に連結されている。即ち、上下操作機構110と水平維持部材120とは、吊上げ線材116によって連結されている。
図7は、図3に示す水平維持部材の説明図である。水平維持部材120は、吊上げ線材116が接続される連結部材121に形成される接触突起である接触カム122と、接触カム122に接触する接触体125と、を備えている。この水平維持部材120は、機体左右方向における位置が、サイドロータ72の左右どちらか一方のサイドロータ72における機体内側の端部付近に配設されている。このうち、連結部材121は、リンク支持プレート130の機体前側に配設されており、上部リンクアーム131によって、リンク支持プレート130に連結されている。この上部リンクアーム131は、前端側が連結部材121の上半付近に、軸方向が機体左右方向になる回動軸を中心として回動可能に連結されており、後端側が、リンク支持プレート130に、軸方向が機体左右方向になる回動軸を中心として回動可能に連結されている。これにより、上部リンクアーム131は、リンク支持プレート130と、水平維持部材120とを連結している。
また、連結部材121は、下端部分が、ロータ保持フレーム140を中心として回転可能に配設される下部リンクアーム132に連結されている。この下部リンクアーム132は、後端側が、リンク支持プレート130で支持するロータ保持フレーム140に、ロータ保持フレーム140を中心として連結されており、ロータ保持フレーム140から前方に向けて延びている。連結部材121は、下端部分が、軸方向が機体左右方向になる回動軸を中心として回動可能に、下部リンクアーム132に連結されている。これにより、連結部材121は、上部リンクアーム131と下部リンクアーム132とからなる平行リンクによって支持されており、上部リンクアーム131と下部リンクアーム132とが、それぞれ後端側を中心として回動することにより、機体上下方向に移動することが可能になっている。
また、下部リンクアーム132は、前端部分がサイドロータ回転軸74に連結されており、即ち、下部リンクアーム132は、サイドロータ回転軸74と水平維持部材120とロータ保持フレーム140とを連結している。このため、下部リンクアーム132は、整地ロータ70がロータ保持フレーム140を中心として回動することにより上下動した場合には、連結部材121も上下動させることが可能になっている。反対に、連結部材121が上下動した場合には、下部リンクアーム132は、サイドロータ回転軸74を中心として回動することにより、連結部材121の上下動を整地ロータ70に伝達し、整地ロータ70も上下動させることが可能になっている。
吊上げ線材116は、これらの上部リンクアーム131や下部リンクアーム132が連結される連結部材121に対して、下端側が連結部材121の上方から連結しており、連結部材121に対して上方への引張り力を付与している。また、接触カム122は、連結部材121の機体前側に形成されており、連結部材121から機体前方に凸となる円弧状の形状で突出している。
接触カム122に接触する接触体125は、連結部材121の機体前方側に配設されており、左右のサイドロータ72のうち、水平維持部材120が配設される側のサイドロータ72に取り付けられている。この接触体125は、接触カム122に接触しながら回転するローラである接触ローラ126と、接触ローラ126を支持して接触ローラ126をサイドロータ72に取り付ける支持プレート127と、を備えている。接触ローラ126は、回転軸が機体左右方向となって回転可能になっており、支持プレート127は、サイドロータ72と一体となって上下動が可能になっており、接触ローラ126を接触カム122に接触させることができる位置で回転可能に支持している。
図8は、図1に示す走行車体の側面図である。図9は、図8に示す走行車体の正面図である。図10は、図8に示す走行車体の平面図である。走行車体2には、下面側に牽引フック150が配設されている。この牽引フック150は、走行車体2の機体前端付近における、機体左右方向の両端付近の2箇所に配設されている。このように配設される牽引フック150は、丸棒を略U字状に湾曲させた形状になっており、U字の湾曲部が前方に位置し、開口部側が後方に位置し、U字の直線部分が機体前後方向に延びて機体上下方向に並ぶ向きで配設されている。
図11は、図8に示す牽引フックの詳細図である。U字状に形成される牽引フック150は、上下の直線部分同士の間隔が、作業者の足先を入れることのできる間隔になっている。さらに、牽引フック150は、下方側に位置する直線部分が湾曲部分から後方に延びており、この部分は、作業者が足を掛ける足掛け部151になっている。
本実施形態に係る苗移植機1は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。苗移植機1の運転時は、エンジン10で発生する動力によって、走行車体2の走行と、苗載置台45に載せた苗の植付作業を行う。この植付作業は、回転軸が左右方向になる向きで植付装置41全体が回転しながら、植込杆42も回転することにより、苗載置台45に載せられた苗を順次植込杆42で取り、取った苗を次々に圃場に植え付ける。その際に、苗載置台45を、苗載置台45に載置する1条分の機体左右方向の幅の範囲内で機体左右方向に往復移動させることにより、各植付装置41は、苗載置台45においてそれぞれの植付装置41に対応する部分から苗を取り出し、圃場に植え付ける。即ち、各植付装置41は、苗載置台45の所定の条に対応する部分から苗を取り出して、所定の条に苗を植え付ける。植付作業時は、このように植付装置41を作動させながら圃場内を走行車体2で走行することにより、複数の列状に苗を植え付ける。
走行車体2の走行時には、エンジン10で発生した動力はベルト式動力伝達機構17に伝達され、ベルト式動力伝達機構17から油圧式無段変速機16に伝達されて、油圧式無段変速機16で所望の回転速度や回転方向、トルクに変換されて出力される。油圧式無段変速機16から出力された動力は、ミッションケース18に伝達され、路上走行時の走行速度に適した回転速度、または苗の植え付け時の走行速度に適した回転速度にミッションケース18内で変速されて、前輪4側や後輪5側に出力される。
また、ミッションケース18から出力される動力の一部は、苗植付部40側にも伝達され、苗植付部40での植付作業や、苗の植え付けに必要な作業等にも用いられる。例えば、ミッションケース18から出力される動力の一部は、ロータ駆動伝動軸76によって整地ロータ70に伝達される。整地ロータ70に伝達された動力は、伝動ケース75によってセンターロータ71とサイドロータ72との間で伝達され、これによりセンターロータ71と2つのサイドロータ72は、全て回転する。整地ロータ70は、センターロータ71やサイドロータ72が圃場に接地している状態でこれらが回転することにより、圃場を整地することができる。
このように圃場を整地する整地ロータ70は、昇降リンク機構51での苗植付部40の昇降時に、苗植付部40と共に昇降する。このため、整地ロータ70は、昇降リンク機構51で苗植付部40を上昇させて非作業位置まで上昇させた場合、圃場や路面等の地面から離間し、地面には接地しなくなる。反対に、昇降リンク機構51で苗植付部40を下降させて対地作業位置まで下降させた場合、整地ロータ70は苗植付部40で植付作業を行う圃場に接地し、圃場の整地が可能になる。
昇降リンク機構51を下降させることによって整地ロータ70が接地した場合、整地ロータ70は、圃場に押し上げられ、ロータ保持フレーム140を中心として回動する。つまり、上方に押し上げる力が入力された整地ロータ70は、ロータ高さ調節フレーム135によって支持されているサイドロータ72が、ロータ保持フレーム140を中心として上方に向けて回動する。また、吊下げスプリング146によって上方への付勢力が付与されると共に伝動ケース75によってサイドロータ72に連結されているセンターロータ71が、サイドロータ72と共に上方に向けて回動する。整地ロータ70は、これによりセンターロータ71とサイドロータ72とが一体となって上方に移動する。
このように、整地ロータ70が接地することにより上方に移動した場合には、サイドロータ72に取り付けられている接触体125は、連結部材121の接触カム122に対して、下方側から当接する。つまり、接触体125は、整地ロータ70が接地せず、自重によってロータ保持フレーム140を中心として下方側に回動することにより下方側に位置している場合は、接触体125は、接触カム122の下方側で、接触カム122に接触しない位置に位置している。これに対し、昇降リンク機構51が下降し、整地ロータ70が上方側に移動した場合は、接触体125は、上方への移動量が、連結部材121の上方への移動量よりも大きくなることにより、接触ローラ126が接触カム122の下方側から接触カム122に近付き、接触カム122に接触する。
つまり、ロータ保持フレーム140を中心として整地ロータ70が回動した場合、ロータ高さ調節フレーム135と同様に、下部リンクアーム132もロータ保持フレーム140を中心として回動する。サイドロータ72と連結部材121とは、共に下部リンクアーム132に連結されているが、サイドロータ72は、連結部材121よりも、ロータ保持フレーム140から離れた位置に連結されている。
このため、ロータ保持フレーム140の回動時は、サイドロータ72は、連結部材121よりも移動量が大きくなり、整地ロータ70が上方側に移動する方向に下部リンクアーム132が回動した場合は、サイドロータ72に取り付けられている接触体125は、連結部材121よりも大きな移動量で上方に移動する。これにより、接触体125の接触ローラ126は、連結部材121に形成される接触カム122の下方側から、接触カム122に接触する。これにより、接触ローラ126は、接触カム122よりも機体後方側には移動しなくなる。
また、接触カム122は、機体前方に向けて凸になる円弧状に形成されているため、接触ローラ126が接触カム122に接触した状態で、接触体125と連結部材121との相対的な上下位置が変化する場合、接触ローラ126は、接触カム122に接触した状態で、接触カム122に沿って移動する。このため、整地ロータ70が接地して上方に移動することにより、接触カム122の下方側から接触ローラ126が接触カム122に接触した状態で、接触カム122に対して接触ローラ126がさらに上方に移動する場合、接触カム122に沿って前方に移動しながら上方に移動する。
整地ロータ70が上方に移動する場合、整地ロータ70は、ロータ保持フレーム140を中心として回動しながら上方に移動するが、その際に、接触ローラ126が前方に移動することにより、サイドロータ72は、サイドロータ回転軸74を中心として、上方側が前方に向かう方向に回動する。これにより、整地ロータ70全体が、上方側が前方に向かう方向に回動しながら、ロータ保持フレーム140を中心として回動するため、機体上下方向におけるセンターロータ71とサイドロータ72との相対的な位置関係は維持され、整地ロータ70は、水平状態が維持される。
つまり、整地ロータ70がロータ保持フレーム140を中心として上方側に回動する場合、サイドロータ72よりもセンターロータ71の方が大きく上方に移動するように、整地ロータ70は、ロータ保持フレーム140を中心として整地ロータ70全体が向きを変えながら回動しようとする。このように、全体の向きを変えながら回動しようとする整地ロータ70に対し、水平維持部材120は、整地ロータ70に対して、接触ローラ126が前方に移動する方向にサイドロータ回転軸74を中心として整地ロータ70全体を回動させる力を、整地ロータ70に対して付与する。これにより、整地ロータ70は、ロータ保持フレーム140を中心とする回動時に、ロータ保持フレーム140を中心として整地ロータ70全体の姿勢が変わる方向の反対方向に、サイドロータ回転軸74を中心として回動するため、整地ロータ70は、水平状態が維持されながら上下方向に移動する。
整地ロータ70は、このように作業姿勢が水平に保たれる状態で苗の植付作業時に圃場の整地を行うが、圃場は、水分量等の状態に応じて、整地ロータ70での整地時における整地状態が変化する。このため、整地ロータ70での整地時には、圃場の状態に応じて上下操作機構110を操作することにより、圃場と整地ロータ70との相対的な位置関係を変更し、圃場の状態に応じた適切な距離で整地を行う。即ち、上下操作機構110を操作することにより、整地ロータ70の上下位置を変更する。
上下操作機構110の操作は、レバー連動ディスク112の回動軸を中心としてレバー連動ディスク112を回動させる方向に、ロータ高さ調節レバー111を手動で操作する。ロータ高さ調節レバー111を操作することによってレバー連動ディスク112が回動すると、レバー連動ディスク112は、レバー連動ディスク112に連結されている吊上げ線材116を、吊上げ線材116の延在方向に移動させる。吊上げ線材116が延在方向に移動した場合は、吊上げ線材116の他端側に連結されている連結部材121も、吊上げ線材116と共に移動する。
連結部材121は、上部リンクアーム131と下部リンクアーム132とにより、機体上下方向に移動するようにリンク支持プレート130とロータ保持フレーム140に連結されている。また、吊上げ線材116は、連結部材121の上方側から連結部材121に連結しているため、吊上げ線材116が延在方向に移動した場合には、連結部材121は、吊上げ線材116の移動に伴って機体上下方向に移動する。
連結部材121が上下方向に移動すると、連結部材121の下端に連結されている下部リンクアーム132は、連結部材121の上下動に伴ってロータ保持フレーム140を中心として回動する。例えば、ロータ高さ調節レバー111が操作されることにより、連結部材121が上方に移動した場合、下部リンクアーム132は、連結部材121の移動に伴ってロータ保持フレーム140を中心として上方に回動する。これにより、下部リンクアーム132の前端にサイドロータ回転軸74が連結されているサイドロータ72も、ロータ保持フレーム140を中心として上方に回動し、整地ロータ70全体が、ロータ保持フレーム140を中心として回動する。
このように、連結部材121が移動することによって、ロータ保持フレーム140を中心として整地ロータ70が上方に回動する場合でも、サイドロータ72に取り付けられている接触体125の接触ローラ126が、連結部材121の接触カム122に沿って移動しながら、整地ロータ70は回動する。このため、整地ロータ70は、ロータ保持フレーム140を中心として上方に回動しながら、接触ローラ126が前方に移動する方向に、サイドロータ回転軸74を中心として回動する。
これらとは反対に、ロータ高さ調節レバー111が操作されることにより、連結部材121が下方に移動した場合、下部リンクアーム132は、連結部材121の移動に伴ってロータ保持フレーム140を中心として下方に回動する。これにより、下部リンクアーム132の前端にサイドロータ回転軸74が連結されているサイドロータ72も、ロータ保持フレーム140を中心として下方に回動する。
ここで、センターロータ71には、吊下げスプリング146によって、上方への付勢力が付与されている。このため、ロータ保持フレーム140を中心としてサイドロータ72が下方に回動する場合、整地ロータ70全体には、サイドロータ回転軸74を中心としてセンターロータ71が上方に向かう方向に回動する力が作用する。
整地ロータ70が、サイドロータ回転軸74を中心としてこの方向に回動しようとする場合、サイドロータ72に設けられる接触体125の接触ローラ126が、連結部材121に押し当てられる。これにより、サイドロータ回転軸74を中心としてセンターロータ71が上方に向かう方向への整地ロータ70の回動は規制される。整地ロータ70は、サイドロータ回転軸74を中心としてセンターロータ71が上方に向かう方向への回動が規制されながら、整地ロータ70全体が、ロータ保持フレーム140を中心として下方に回動する。
これらにより、上下操作機構110によって整地ロータ70の上下位置を変更する際には、整地ロータ70は、整地ロータ70が接地して移動する場合と同様に、水平維持部材120によって、作業姿勢が水平に保たれたまま、上下方向に移動する。また、上下操作機構110には、ロータ高さインジケータ113が備えられているため、上下操作機構110によって整地ロータ70の上下位置を変更する際には、ロータ高さインジケータ113に基づいて、ロータ高さ調節レバー111を任意の回動角度にする。これにより、整地ロータ70は、上下位置が、ロータ高さ調節レバー111の回動角度に応じた位置に移動する。
整地ロータ70で整地作業を行う際には、これらのように作業姿勢を水平に保ち、上下位置を任意の高さに調節しながら行うが、圃場には、大きな石等が存在することがあり、
整地ロータ70が、これらに接触することがある。この場合、整地ロータ70には、上方に突き上げられる力が入力されるが、整地ロータ70は、ロータ保持フレーム140に対して回動可能に後端側が連結され、前端側は、伸縮可能な吊下げスプリング146によって吊り下げられている。また、上下操作機構110と整地ロータ70とは、屈曲自在な吊上げ線材116によって連結されている。このため、整地ロータ70は、吊上げ線材116が屈曲しながら、ロータ保持フレーム140を中心として上方に回動することにより、上方に跳ね上げられ、接触した石を回避する。
また、苗移植機1には、走行車体2の下部に牽引フック150が設けられており、このため、苗移植機1の故障時や、深い圃場で走行車体2が圃場に沈み込んで移動することができなくなった時には、ロープを牽引フック150に引掛け、トラクタ等の他の車両で牽引することにより、移動させることができる。また、この牽引フック150には、足掛け部151が形成されているため、走行車体2の前側から作業者が走行車体2に乗り降りするときには、作業者は、足掛け部151に足を掛けながら乗り降りすることができる。
以上の実施形態に係る苗移植機1は、植付部フレーム100が整地ロータ70を支持することにより、整地ロータ70が圃場面から受ける抵抗を植付部フレーム100で受けることができる。この結果、整地ロータ70が抵抗に負けて浮き上がることを防止でき、圃場面の凹凸を、より確実に均すことができる。
また、1つの植付部フレーム100で整地ロータ70を支持することにより、苗植付部40を上昇させて整地ロータ70が圃場面に接地しなくなったときに、整地ロータ70が自重で垂れ下がることを防止することができる。これにより、旋回時や非植付作業時に垂れ下がった整地ロータ70が圃場面に接触して破損したり、圃場面を荒らしたりすることを防止でき、苗の植付精度を向上させることができる。また、上下操作機構110に吊上げ部材115を設けたことにより、整地ロータ70の上下操作機構110を簡潔な構成とすることができる。これにより、部品点数や重量の削減を図ることができる。
また、吊上げ部材115を、屈曲自在な吊上げ線材116で構成したことにより、上下操作機構110を操作して整地ロータ70を上下させる際に、吊上げ部材115が変形して植付部フレーム100等に干渉することを防止することができる。この結果、吊上げ部材115の周辺の各部材の配置を、容易なものにすることができる。また、屈曲自在な吊上げ線材116で吊上げ部材115を構成したことにより、上下操作機構110を前傾姿勢としても、整地ロータ70を上下方向に移動させることができる。この結果、植付装置41での苗の植付位置に対する整地ロータ70での整地位置を一定の位置にすることができ、整地性を安定させることができる。
また、水平維持部材120を設けたことにより、整地ロータ70の作業姿勢を水平に保つことができる。これにより、圃場の凹凸によって整地ロータ70の一部が上昇または下降し、整地ロータ70全体が圃場の凹凸を均さなくなることや、整地ロータ70の一部が下降して整地ロータ70全体が土中に潜り込むことを防止することができる。この結果、苗の植付深さが乱れることや、整地ロータ70が過負荷によって破損することを防止できる。
また、水平維持部材120を備えているので、昇降リンク機構51が下降して接触体125が接触カム122に接触することにより、左右のサイドロータ72の水平姿勢を維持することができる。さらに、吊上げ支持フレーム145とセンターロータ71の間に吊下げスプリング146が配設されているため、センターロータ71を吊下げスプリング146によって上方に付勢して水平姿勢を維持することができる。これにより、整地ロータ70全体を水平に維持することができるので、整地ロータ70での整地中に整地ロータ70が圃場から離間することにより圃場に凹凸が残されて、苗の植付深さが乱れることを防止することができる。また、整地ロータ70全体を水平に維持することにより、整地ロータ70が土中に潜り込み、負荷によって破損することを防止することができる。
また、センターロータ71と左右のサイドロータ72を、伝動ケース75によって各々連結したことにより、接触カム122と水平維持部材120を左右どちらか一側に設けていれば、反対側のサイドロータ72の水平を維持することができる。この結果、整地ロータ70を水平に維持する際の部品点数の削減を図ることができる。
また、ロータ保持フレーム140で左右のサイドロータ72を連結したことにより、整地ロータ70が受ける抵抗に対する強度を向上させることができる。この結果、整地ロータ70、特にサイドロータ72が歪んで、整地性能が低下することを防止することができる。また、上部リンクアーム131と下部リンクアーム132とが水平維持部材120に連結されているため、平行リンクにより水平維持部材120を上下動させることができる。これにより、整地ロータ70を上下動させても整地位置が変わることがなく、苗の植付位置に対して整地位置を一定にすることができ、この結果、整地性能を安定させることができる。
また、牽引フック150に足掛け部151を形成しているため、足掛け部151に足を掛けながら走行車体2に乗り降りすることができ、苗移植機1を使用する際の使い勝手を向上させることができる。また、牽引フック150は、足を掛けることができる大きさで形成されているため、牽引時のロープも掛け易くすることができ、牽引性を向上させることができる。
〔変形例〕
なお、上述した苗移植機1では、牽引フック150は丸棒を湾曲させることのみで形成されているが、牽引フック150は、丸棒以外の部材も用いてもよい。図12は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、牽引フックの詳細図である。牽引フック150は、例えば、図12に示すように、足を掛ける部分に足掛けプレート155を設けてもよい。この足掛けプレート155は、牽引フック150における足を掛ける部分の上面側に設ける。また、足掛けプレート155は、足を掛けたときに足が滑らないように、凹凸等を形成するのが好ましい。このように、牽引フック150に足掛けプレート155を設けることにより、安価で簡易な構成で足を掛け易くすることができ、走行車体2への乗降性を向上させることができる。
また、操縦部30は、苗移植機1の運転操作を行う際の使い勝手を考慮して構成されるのが好ましい。図13は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、操作スイッチパネルの平面図である。作業者が苗移植機1の運転操作を行う場合には、操作スイッチパネル200上のスイッチ類も操作する。この操作スイッチパネル200には、操縦席28に着席した作業者に対向する面に、各種スイッチ類やダイヤル類が配設されており、操作スイッチパネル200の上方、或いは前方には、各種の情報を表示する表示モニタパネル202が配設されている。また、このように形成される操作スイッチパネル200は、ハンドル32を支持するハンドルポスト201の周囲に配設されている。換言すると、ハンドルポスト201は、操作スイッチパネル200を貫通している。また、主変速レバー35は、操作スイッチパネル200上の右端側に配設されており、副変速レバー36は、操作スイッチパネル200上の左端側に配設されている。
運転操作時の使い勝手を向上させる場合には、例えば、線引きマーカ85を操作する複数のスイッチとしてタクタイルスイッチを使用し、この複数のタクタイルスイッチを、図13に示すように電動マーカ操作スイッチパネル210として1箇所にまとめてもよい。この場合、電動マーカ操作スイッチパネル210には、左右両方の線引きマーカ85を作動させる両出ボタン211と、作動させる左右の線引きマーカ85を自動的に切り替える自動ボタン212と、線引きマーカ85の使用を停止する切ボタン213と、作動させる左右の線引きマーカ85を任意で切り替える左右切替ボタン214と、が配設される。
これらのボタンの配置は、上列中央に左右切替ボタン214を配置し、中央列左側に両出ボタン211を配置し、中央列右側に自動ボタン212を配置し、下列中央に切ボタン213を配置する。これにより、線引きマーカ85の「両出」と「切」と「自動」との3つの切り替えを下3つにまとめ、「左右切替」は上側に単独配置する。その際に、左右切替ボタン214は、ボタンに施される絵やボタンの形状によって、他のボタンから独立して使用されることが分かり易くなるように形成されるのが好ましい。
このように、線引きマーカ85を操作するスイッチを1つの電動マーカ操作スイッチパネル210内にまとめることにより、線引きマーカ85を使用する際の目的となるスイッチが分かり易くなり、使い勝手を向上させることができる。また、全てタクタイルスイッチを用いることにより、安価に構成することができる。
また、線引きマーカ85を操作するスイッチは、数を減らして構成してもよい。図14は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、操作スイッチパネルの平面図である。線引きマーカ85を操作するスイッチを減らす場合には、例えば、図14に示すように、図13に示す自動ボタン212と左右切替ボタン214の代わりに、これらの機能を合わせた1つのボタンである左右切替自動ボタン216を用いてもよい。この左右切替自動ボタン216は、1回押すと左右の線引きマーカ85の自動出しに切り替えることができ、2回目以降は、押すたびに線引きマーカ85が出る方向を、左右で切替えることができる。
線引きマーカ85を操作するスイッチを、両出ボタン211と、切ボタン213と、左右切替自動ボタン216との3つのボタンで構成することにより、小スペースに収めることができ、見易く、分かり易くすることができる。また、スイッチの数を減らすことにより、安価に構成することができる。さらに、「自動」と「左右切替」は、共に線引きマーカ85の自動出しの場合に行う操作であるため、これらを1つのボタンにすることにより、分かり易さを維持しつつ、ボタンの数を減らすことができる。
また、操作スイッチパネル200に設けられるスイッチに、本来の機能とは異なる他の機能を持たせてもよい。図15は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、操作モードを切り替えた場合の説明図である。操作スイッチパネル200に設けられるスイッチに他の機能を持たせる場合には、例えば、図13に示す電動マーカ操作スイッチパネル210の両出ボタン211と自動ボタン212を同時に押すことにより、電動マーカ操作スイッチパネル210の各ボタンが、図15に示すようにコントローラ操作モード220に切り替わるようにしてもよい。即ち、コントローラ操作モード220では、電動マーカ操作スイッチパネル210の左右切替ボタン214が上ボタン221に切り替わり、切ボタン213が下ボタン222に切り替わり、両出ボタン211が選択ボタン223に切り替わり、自動ボタン212が決定ボタン224に切り替わる。
コントローラ操作モード220での各ボタンは、苗移植機1の各部の設定を行うコントローラ(図示省略)を操作することができ、コントローラ操作モード220でコントローラを操作した場合の操作内容は、表示モニタパネル202に表示される。このように、電動マーカ操作スイッチパネル210の各ボタンをコントローラ操作モード220に切り替えることにより、操縦部30のフロントカバー31を開けてコントローラを操作する必要がなく、コントローラの操作を、操作スイッチパネル200上で行うことができるため、
使い勝手を向上させることができる。また、コントローラ本体に操作スイッチを設ける必要がなくなるため、コストの低減を図ることができる。
なお、コントローラ操作モード220として使用するボタンは、電動マーカ操作スイッチパネル210内のボタン以外を用いてもよい。コントローラ操作モード220として使用するボタンは、4つのボタンが十字状に配設されたボタンであれば、ボタンの種類は問わない。また、ボタンの本来の機能からコントローラ操作モード220にする際に操作をするボタンも、いずれのボタンを用いてもよい。また、コントローラ操作モード220では、「選択」と「決定」の機能を持つボタンは設けず、「上」と「下」のボタンの他に「左」と「右」のコマンド操作の機能を持つボタンを設定し、表示モニタパネル202上でのコントローラに関する情報を視認しながら、4つのボタンを操作して各種の設定を行えるようにしてもよい。
また、操作スイッチパネル200上のスイッチ類は、使い勝手の良い位置に配設するのが好ましい。図16は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、操作スイッチパネルの平面図である。操作スイッチパネル200上のスイッチ類やダイヤル類は、それぞれ使用頻度が異なっているが、畦クラッチを入切する畦クラッチスイッチ226は使用頻度が高いため、図16に示すように、ハンドルポスト201の左側に配置するのが好ましい。また、線引きマーカ85の使用時における高さを調節する電動マーカスイッチ227も使用頻度が高いため、ハンドルポスト201の左側に配置するのが好ましい。また、予備苗載台80を電動で作動させて、予備苗載台80への苗の積み込みを行い易くする機構であるZ苗レール(登録商標)を作動させるスイッチであるZ苗レール作動スイッチ228も使用頻度が高いため、ハンドルポスト201の左側に配置するのが好ましい。
即ち、作業者は、右手でハンドル32(図1、図2参照)や主変速レバー35を操作することが想定されるため、畦クラッチスイッチ226、電動マーカスイッチ227、Z苗レール作動スイッチ228を左側に配置することにより、右手で、ハンドル32または主変速レバー35を握ったまま、左手でこれらのスイッチを操作することができる。これにより、使い勝手が良く、作業し易いため、安全に運転操作を行うことができる。
また、操作スイッチパネル200上の操作部材において、主変速レバー35と同時に操作をする可能性が低いものは、主変速レバー35が配設されている側であるハンドルポスト201の右側に配設するのが好ましい。図17は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、操作スイッチパネルの平面図である。主変速レバー35と同時に操作をする可能性が低い操作部材としては、例えば、油圧感度調節ダイヤル231や、Zターン調整ダイヤル232、ロータ高さ調節ダイヤル233、ローリング調整ダイヤル234が挙げられる。
油圧感度調節ダイヤル231は、圃場面に合わせて姿勢が変化するフロート61の回動に応じて、油圧昇降シリンダ54によって苗植付部40を昇降させる際における、フロート61の回動に対する苗植付部40の昇降の感度を調節するダイヤルになっている。また、Zターン調整ダイヤル232は、植付作業時に走行車体2を旋回させる際に、旋回に連携して苗植付部40を昇降させる機構であるZターン(登録商標)の作動時に、走行車体2の旋回に対して苗植付部40が昇降するタイミングを調整するダイヤルになっている。また、ロータ高さ調節ダイヤル233は、整地ロータ70を電動で昇降させる際における整地ロータ70の高さを調節するダイヤルになっている。また、ローリング調整ダイヤル234は、走行車体2のロール方向の姿勢を調整するダイヤルになっている。
これらのダイヤルによって調節する感度や状態は、直進時における一定速度での植付作業時に、実際の状況を確認しながらダイヤルで調節することにより、適切な操作を行うことが可能になっている。このため、これらのダイヤルを、主変速レバー35が配設されている側と同じ側であるハンドルポスト201の右側に配設することにより、自然にそのような操作になるため、適切な操作を自然に行い易くすることができる。
また、操作スイッチパネル200上の操作部材において、装置の状態を目視しながら操作をする操作部材は、トグルスイッチにより構成するのが好ましい。図18は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、操作スイッチパネルの平面図である。装置の状態を目視しながら操作をする操作部材としては、例えば、整地ロータ高さ調節スイッチ236や、Z苗レール調節スイッチ237、電動マーカ高さ調節スイッチ238が挙げられる。このうち、整地ロータ高さ調節スイッチ236は、整地ロータ70を電動で昇降させる際における整地ロータ70の高さを調節するスイッチになっている。また、Z苗レール調節スイッチ237は、Z苗レールを作動させて苗の積み込みを行い易くする際における、予備苗載台80の姿勢を調節するスイッチになっている。また、電動マーカ高さ調節スイッチ238は、線引きマーカ85の使用時における高さを調節するスイッチになっている。
これらの整地ロータ高さ調節スイッチ236、Z苗レール調節スイッチ237、電動マーカ高さ調節スイッチ238をトグルスイッチにより構成すると共に、それぞれ動作方向が前後方向になる向きで横一列に並べて配置する。これにより、各スイッチで操作をする装置の作動状態と、スイッチの操作方向とを近似させることができるので、スイッチを操作して装置の状態を調節する際に、容易に調節することが可能になる。
また、操作スイッチパネル200上の操作部材には、操作部材を操作することによって状態が変化する装置の変化状態を表示するのが好ましい。図19は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、操作スイッチパネルの平面図である。例えば、操作スイッチパネル200上のダイヤル類には、ダイヤル操作時の指標となる目盛り241を設けるのが好ましい。また、操作スイッチパネル200上のスイッチ類には、スイッチを操作した際における装置の変化状態を示す操作内容242を表示するのが好ましい。さらに、表示モニタパネル202では、ダイヤルやスイッチを操作することにより調節する各装置の調節状態を表示するのが好ましい。
このように、操作スイッチパネル200上のダイヤルやスイッチに、目盛り241や操作内容242を表示することにより、表示モニタパネル202を視認することなく、ダイヤルやスイッチを視認したまま操作を行うことができる。これらにより、各装置の調節を容易に行うことができる。また、表示モニタパネル202で、各装置の調節状態を表示することにより、運転作業中はダイヤルやスイッチを視認することなく、表示モニタパネル202を見るのみで、各装置の調節状態を認識することができる。これにより、植付作業等の作業性を向上させることができる。
また、線引きマーカ85を操作するスイッチは、2つのスイッチによって構成してもよい。図20は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、操作スイッチパネルの平面図である。線引きマーカ85を操作するスイッチは、共にプッシュスイッチからなる電動マーカ第1スイッチ246と電動マーカ第2スイッチ247との2つのスイッチにより構成してもよい。
この場合、電動マーカ第1スイッチ246は、例えば、線引きマーカ85の「両出」と「切」との切り替え操作を行うことができるようにし、電動マーカ第2スイッチ247は、「自動」と「左右切替」との切り替え操作を行うことができるようにしてもよい。即ち、電動マーカ第2スイッチ247は、1回押すと「自動」に切り替えることができ、「自動」の状態でさらに電動マーカ第2スイッチ247を押すと、電動マーカ第2スイッチ247を押すたびに、線引きマーカ85を出す方向を「左」と「右」とで切り替えることができる。
線引きマーカ85を操作するスイッチを、このように電動マーカ第1スイッチ246と電動マーカ第2スイッチ247とを用いることにより、2つのスイッチで構成することができるため、安価になり、コストダウンを図ることができる。また、プッシュスイッチを用いることにより、スイッチを配置するスペースをコンパクトに収めることができるため、設計し易く、また、場所が小さい範囲にまとまるため、操作時に分かり易くすることができる。
また、操作スイッチパネル200上の各ダイヤルには、ダイヤルで操作をする装置をOFFにするポジションを設けてもよい。図21は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、操作スイッチパネルの平面図である。例えば、Zターン調整ダイヤル232には、操作ポジションにおける端部に、Zターンの走行車体2の旋回に合わせて苗植付部40を昇降させる機能であるZターンをOFFにする切ポジション251を設けてもよい。また、
油圧感度調節ダイヤル231には、フロート61の回動に応じて苗植付部40を昇降させる機能をOFFにするロックポジション252を設けてもよい。また、ロータ高さ調節ダイヤル233には、整地ロータ70を電動で昇降可能にした場合における、整地ロータ70を圃場に接地しない位置に収納するポジションである収納ポジション253を設けてもよい。このように、各ダイヤルに、ダイヤルで操作をする装置をOFFにするポジションを設けることにより、これらの装置の入切を行うスイッチを別途設ける必要がなく、ダイヤルで入切を行うことができるため、部品点数を少なくすることができ、コストダウンを図ることができる。
また、操作スイッチパネル200上の操作部材は、誤操作防止の観点で操作部材を設けてもよい。図22は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、操作スイッチパネルの平面図である。操作スイッチパネル200に、誤操作防止の観点で操作部材を設ける際には、例えば、図22に示すように、作業者から見た場合における操作スイッチパネル200の左端の手前側に、チョークノブ256を設けてもよい。このチョークノブ256は、複数が並んでいる畦クラッチスイッチ226の左端に配置し、畦クラッチスイッチ226の高さよりも高い高さで形成する。このように、操作スイッチパネル200の左端の手前側にチョークノブ256を設けることにより、作業者の左ひざはチョークノブ256に当たり易くなるため、左ひざが畦クラッチスイッチ226に当たることに起因して誤操作が行われることを抑制することができる。
また、操作スイッチパネル200上の操作部材は、使用頻度を考慮して配設するのが好ましい。図23は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、操作スイッチパネルの平面図である。使用頻度を考慮して操作部材を配設する場合は、例えば、図23に示すように、作業者から見て、操作スイッチパネル200の一番手前側に複数の畦クラッチスイッチ226を配置し、その前方に電動マーカ操作スイッチパネル210とキースイッチ258を配置してもよい。さらに、電動マーカ操作スイッチパネル210やキースイッチ258の前方には、ローリング調整ダイヤル234や、Zターン調整ダイヤル232、油圧感度調節ダイヤル231、ロータ高さ調節ダイヤル233を配置してもよい。この場合、各調整ダイヤルは、ハンドル32のハンドルスポーク205に隠れず、作業者から見えるように配置するのが好ましい。
つまり、畦クラッチスイッチ226は、ほぼ100%の作業者が、作業中に最も使用する操作部材になっており、電動マーカ操作スイッチパネル210とキースイッチ258は、それほど使用頻度が高くない操作部材になっている。また、各調整ダイヤルは、1度調整したらそれ以降はあまり使用しない操作部材になっている。このため、使用頻度が高い操作部材が作業者寄りに位置することになるため、作業者の手の届き易い位置に配置されることになり、使い勝手を向上させることができる。また、各調整ダイヤルは、使用頻度は低いが、現在のダイヤルのポジションを確認することは多いと考えられるため、ハンドルスポーク205に隠れず、作業者から見えるように配置することにより、調整ダイヤルでの調整状態を認識し易くすることができ、作業性を向上させることができる。
また、ハンドル32を工夫することにより、操作スイッチパネル200上の操作部材の操作性や表示モニタパネル202の視認性を向上させてもよい。図24は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、操作スイッチパネルの平面図である。ハンドル32を工夫する際の手法としては、例えば、ハンドル32はハンドルスポーク205が3本のものを使用し、直進走行時に、1本のハンドルスポーク205がハンドルポスト201から手前の左右方向中央に位置し、残りの2本は、ハンドルスポーク205から前方に向かうに従って左右に広がる向きでハンドルスポーク205に取り付けるのが好ましい。
これにより、ハンドルポスト201から手前側の部分では、操作スイッチパネル200上の各スイッチ類やダイヤル類は、1本のハンドルスポーク205の左右両側から視認することができる。また、ハンドルポスト201よりも前方側の部分では、2本のハンドルスポーク205の間から、表示モニタパネル202を視認することができる。これらにより、操作スイッチパネル200や表示モニタパネル202の視認性を大幅に向上させることができ、また、操作性を向上させることができるため、使い勝手を向上させることができる。
また、操作スイッチパネル200上の操作部材は、ハンドル32のハンドルスポーク205を考慮して配設してもよい。図25は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、操作スイッチパネルの平面図である。操作部材を、ハンドルスポーク205を考慮して配設する際には、例えば、ハンドル32はハンドルスポーク205が3本のものを使用し、Z苗レール調節スイッチ237や、Zターン調整ダイヤル232、油圧感度調節ダイヤル231、ロータ高さ調節ダイヤル233を、ハンドルポスト201の左右に振り分け、さらにハンドルスポーク205に沿わせて配置してもよい。つまり、これらのスイッチやダイヤルは、ハンドルポスト201よりも前方側の2本のハンドルスポーク205の手前側に位置するため、ハンドルスポーク205の手前でハンドルスポーク205に沿わせて斜めに配置してもよい。
これにより、各スイッチやダイヤルは、ハンドルスポーク205に隠れず、作業者から視認し易い位置に配置することができ、作業性を向上させることができる。また、スイッチやダイヤルを、ハンドルスポーク205に沿わせて配置することにより、操作スイッチパネル200上において作業者から見ることができる範囲を最大限に大きくすることができる。これにより、各スイッチやダイヤルの間隔を広く取ったり、表示、文字を大きくしたりすることができるため、より分かり易く、より使い易くすることができる。