JP6252534B2 - 溶銑処理中の冷鉄源使用方法および溶銑処理装置 - Google Patents

溶銑処理中の冷鉄源使用方法および溶銑処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、溶銑搬送容器に収容された溶銑を予備処理する際に、溶銑に冷鉄源を投入する溶銑処理中の冷鉄源使用方法および溶銑処理装置に関する。
脱珪処理や脱燐処理等の溶銑の予備処理(溶銑処理)として、高炉から出銑される溶銑を受銑・搬送する、トピードや鍋等の溶銑搬送容器にて溶銑処理をする方法が広く行われている。このような溶銑処理において、近年では、炭酸ガス排出量の低減等を目的として、溶銑配合量を低減するため、スクラップ等の冷鉄源の使用量増大を図る取り組みが盛んに行われている。
例えば、特許文献1,2には、冷鉄源の使用量増大を図る取り組みとして、溶銑を排出した後、高炉で溶銑を受銑する前の高温の容器内にあらかじめ冷鉄源を入れておき、その後、高炉で容器内に溶銑を受銑する方法が開示されている。特許文献1,2に記載の方法によれば、開口部からの放熱ロスを低減しながら、冷鉄源を溶解することができる。
また、特許文献3には、高炉で受銑した後の溶銑搬送容器に対して溶銑処理中に地金含有スラグを上置き添加することでスラグのフォーミングを抑制し、溶銑温度を1400〜1450℃に制御することで熱不足を防止しつつ耐火物損耗を抑制する方法が開示されている。特許文献3に記載の方法によれば、地金含有スラグに含まれる鉄分を冷鉄源として用いることができるため、冷鉄源の使用量増大を図ることができる。
さらに、特許文献4には、温度余裕を創出する方法として、脱燐処理に先立って行われる脱珪処理において、酸素源として気体酸素を利用する方法が開示されている。溶銑の予備処理において、特に脱燐処理では脱燐効率を向上させながらも処理を高速で行うため、吸熱量の大きい酸化鉄を大量に使用する必要がある。このため、特許文献4に記載の方法によれば、気体酸素を利用して温度余裕を創出させることで、酸化鉄の使用量を増大させ、溶銑処理を効率よく且つ高速に行うことができる。さらに、創出された温度余裕は、冷鉄源の溶解にも利用できることから、冷鉄源の使用量増大を図ることができる。
特開2006−57151号公報 特開2007−169718号公報 特開2006−241535号公報 特開2008−266674号公報
溶銑に冷鉄源を投入する場合、本来は溶銑処理前の溶銑の成分や温度、溶銑処理後の溶銑の目標成分を確認した上で、温度調整に必要な量の冷鉄源を投入することが好ましい。しかし、特許文献1,2のように高炉で受銑する前の容器内に冷鉄源を入れる方法では、温度調整に必要な冷鉄源の量が分からない状態で冷鉄源を入れることになるため、冷鉄源の使用量を最大限まで増大させることができなかった。
また、特許文献3のように溶銑処理中に冷鉄源を上置き添加する方法では、この方法に適した冷鉄源の形状や大きさ、量などの投入条件が不明である。このため、様々な場合がある冷鉄源の種類や投入条件によっては、冷鉄源がスラグに巻き込まれることで溶銑に入らない等の理由から冷鉄源の鉄歩留りのばらつきが生じ、冷鉄源の使用量を最大限まで有効に活用することができなかった。
さらに、特許文献4のように脱珪処理にて気体酸素を用いる方法では、脱珪反応による発熱を利用して冷鉄源の使用量を増大させることができるが、脱珪処理中に冷鉄源を添加することは記載されておらず、特許文献3と同様に、この方法に適した冷鉄源の性状や投入条件は不明であった。このため、冷鉄源の鉄歩留りのばらつきが生じ、冷鉄源の使用量を最大限まで有効に活用することができなかった。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、溶銑処理において冷鉄源の歩留りの低下を招くことなく使用量を増大させることができる、溶銑処理中の冷鉄源使用方法および溶銑処理装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る溶銑処理中の冷鉄源使用方法は、溶銑搬送容器に収容された溶銑に対して、溶銑脱珪処理および溶銑脱燐処理のうち少なくとも一方の溶銑処理をする際に、連続的あるいは断続的に、冷鉄源を下記(1)式の条件を満たす単位時間、単位投入面積当たりの投入密度Vで溶銑に投入することを特徴とする。
V≧−0.1×Db+0.9 ・・・(1)
V:単位時間、単位投入面積当たりの投入密度[t/(m・min)]
Db:冷鉄源のかさ比重[g/cm]
また、本発明の一態様に係る溶銑処理装置は、溶銑搬送容器に収容された溶銑に酸素源を供給することで、溶銑を溶銑脱珪処理および溶銑脱燐処理のうち少なくとも一方の溶銑処理を行うランスと、連続的あるいは断続的に、冷鉄源を上記(1)式の条件を満たす単位時間、単位投入面積当たりの投入密度Vで溶銑に投入する冷鉄源投入装置とを有することを特徴とする溶銑処理装置。
本発明に係る溶銑処理中の冷鉄源使用方法および溶銑処理装置によれば、溶銑処理において冷鉄源の使用量を増大させることができる。
本発明の一実施形態に係る溶銑処理装置を示す模式図である。 溶銑処理装置のランスを示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る溶銑処理装置の変形例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る溶銑処理装置の変形例を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
<装置構成>
はじめに、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係る溶銑処理装置1の装置構成について説明する。本実施形態に係る溶銑処理装置1は、溶銑搬送容器2に収容された溶銑Mを酸化精錬することで、脱珪処理や脱燐処理のうち少なくとも一方の溶銑処理を実施する装置である。溶銑搬送容器2は、例えば、内側全面に耐火物がライニングされた魚雷型の金属製容器であるトピードカー(混銑車)等の搬送容器であり、自走式車両と一体に構成されるかあるいは自走式台車に搭載され、軌道上等を移動可能に構成される。溶銑処理装置1は、ランス3と、冷鉄源投入装置4とを有する。
ランス3は、図2に示すように、内管31および外管32からなる二重管構造のランスであり、例えば、下端部側面に逆T字状に分岐させた2つの吐出孔33を有する。ランス3は、内管31に気体酸素、および外管32にプロパンガスがそれぞれ上端側から供給され、供給された気体酸素およびプロパンガスを、それぞれ吐出孔33の中心側および外周側から吐出させる。また、ランス3の外周面には、耐火物34がライニングされる。さらに、ランス3は、溶銑Mの浴面に対して長手方向が略垂直になるように配され、さらに、長手方向となる上下方向に昇降可能に構成される。なお、ランス3およびその昇降装置(図示しない)は、少なくともランス3の下端側が溶銑搬送容器2よりも上側に位置するまで上昇可能、且つ吐出孔33が溶銑Mに完全に浸漬し、浸漬深さが所定の深さとなる位置まで下降可能に構成される。
冷鉄源投入装置4は、ホッパー41と、フィーダー42と、シュート43とを有する。ホッパー41は、冷鉄源44を収容する容器であり、下部にフィーダー42が設けられる。フィーダー42は、ホッパー41に収容された冷鉄源44を、連続的あるいは断続的に切り出す装置であり、冷鉄源44の単位時間、単位投入面積当たりの投入密度V[t/(m・min)]を調整できるように、切り出し速度が可変に構成される。シュート43は、フィーダー42に連続して設けられた滑り台状の部材であり、フィーダー42から切り出された冷鉄源44を溶銑搬送容器2の開口部の直上まで到達させる。また、シュート43の下端は、溶銑Mの浴面に対して後述する所定の高さとなるように設けられる。冷鉄源44の投入面積は、溶銑Mの浴面の高さにおいて投入物が落下して分布する範囲の面積であり、シュート43の幅や傾斜角度、冷鉄源44の性状や切り出し速度等によっても変化する。冷鉄源44は、酸化していない鉄を少なくとも10%以上含有するものである。例えば、冷鉄源44は、精錬処理で発生したスラグから破砕、分級、磁選のうち1つ以上の処理により回収した地金や、精錬処理で発生した鉄含有ダスト、バインダーを用いてこの鉄含有ダストを造粒処理したもの、鋼板圧延工程で発生する端材をシュレッダーおよび造粒処理した軽量スクラップ、還元鉄ペレット等である。また、冷鉄源44の大きさは、溶解性を考慮すると、粒径で100mm以下とすることが望ましい。
<溶銑処理方法>
次に、本発明の一実施形態に係る溶銑処理装置1を用いた溶銑処理方法について説明する。本実施形態では、溶銑搬送容器2に収容された溶銑Mを酸化精錬することで、脱珪処理や脱燐処理のうち少なくとも一方の溶銑処理を実施する。
まず、溶銑処理に先立ち、溶銑搬送容器2に収容された溶銑Mの温度および成分が測定される。なお、以下では、溶銑処理前の溶銑Mの温度および成分を、処理前温度および処理前成分とそれぞれ称する。
次いで、溶銑搬送容器2を溶銑処理装置1の処理位置まで移動させる。処理位置は、ランス3が、溶銑搬送容器2の上部の開口部の略中心となる位置である。
その後、吐出孔33が溶銑Mに浸漬し、所定の浸漬深さとなるまでランス3が下降する。なお、浸漬深さは、溶銑Mの浴面の高さに対するランス3の下端の高さまでの距離である。また、上記の所定の浸漬深さは、溶銑の量や、溶銑搬送容器2の形状、処理条件に応じて適宜適当な深さが用いられる。
さらに、ランス3へ気体酸素およびプロパンガスが供給され、吐出孔33の中心側および外周側からそれぞれ気体酸素およびプロパンガスが吐出されることで、溶銑処理が行われる。この際、気体酸素は、脱珪や脱燐といった酸化精錬の酸素源として用いられる。一方、プロパンガスは、吸熱反応となる分解反応が起こることで、吐出孔33付近を冷却し、吐出孔33の溶損を防止する。気体酸素およびプロパンガスの吐出量は、溶銑搬送容器2やランス3の形状、処理条件に応じて適宜適当な値が用いられる。
なお、溶銑処理が行われる際、冷鉄源投入装置4から冷鉄源44が溶銑Mに投入される。このとき、冷鉄源44は、所定の投入密度V[t/(m・min)]となるように、フィーダー42から切り出され、シュート43の端部から重力に従い自由落下することで投入される。なお、本実施形態における投入密度V[t/(m・min)]は、単位時間、単位投入面積当たりの冷鉄源44の投入密度であり、単位時間当たりの投入量[t/min]を、シュート43の端部から投入された冷鉄源44が浴面に到達した時点での分布面積[m]で除した値である。ここで、単位時間当たりの冷鉄源44の投入量は、一回の連続する投入期間における投入量を、その投入期間が開始してから終了するまでの時間で除した値、即ち投入速度[t/min]であり、この投入期間には冷鉄源44の投入を中断している期間は含まない。また、一つの投入期間中に投入速度を変化させるような場合には、投入期間全体での平均値ではなく、投入期間を細分化した時間区分における投入速度の値を用いてもよい。一方、溶銑Mの浴面到達時点での冷鉄源44の分布面積(投入面積)は、実際の投入中に測定することは困難であることから、オフラインでシュート43から冷鉄源44を投入し、床面等に落下した冷鉄源44の分布を測定する等の方法で測定される。このように、本実施形態では、フィーダー42は、単位時間当たりに切り出される冷鉄源44の量を調整することで、投入密度Vを調整する他、シュート43の幅や傾斜角度、冷鉄源44の性状を変更することでも投入密度Vを調整できる。
ここで、シュート43から投下された冷鉄源44は、重力により加速しつつ浴面と衝突する。この際、溶銑Mの浴内に没入するか、あるいは溶銑Mの表面に浮遊または浴面のスラグに取り込まれるかは、様々な因子が影響を及ぼす可能性がある。しかし、これまでの技術では、冷鉄源44を投入する事に関する知見はあるものの、どのように投入することで冷鉄源44が浴内に没入しかつ溶解性を確保できるかについては十分な知見が無かった。このため、投入した冷鉄源44が表面に浮遊してしまい、当初予定した鉄歩留りの効果を達成しない事が多々発生していた。
そこで、発明者らは鋭意研究に取り組み、溶銑Mへの冷鉄源44の投入密度Vと添加効率とに関係があることを見出した。つまり、投入密度Vが、下記(1)式の条件を満たすことで、冷鉄源44が浴内に没入し、且つ溶解性を確保することができることを知見した。(1)式において、Vは単位時間、単位投入面積当たりの投入密度[t/(m・min)]、Dbは冷鉄源44のかさ比重[g/cm]をそれぞれ示す。かさ比重Dbは、冷鉄源44を有り姿で静置した際の空隙も含む単位体積中の質量を単位[g/cm]で表した値を指す。また、かさ比重Dbは、冷鉄源44の投入毎に計測するのは運用上困難であるため、冷鉄源の種類毎に、事前に複数回測定した値の平均値を代表値として用いればよい。
V≧−0.1×Db+0.9 ・・・(1)
上記のように、本実施形態では、所定の投入密度Vとして、(1)式の条件を満たす投入密度Vで冷鉄源44を投入することで、冷鉄源44の鉄歩留りを向上させることができる。一方、投入密度Vが(1)式の条件を外れる、投入密度Vが小さい場合、投入した冷鉄源44が溶銑Mの表面に浮遊または浴面のスラグに取り込まれることで、冷鉄源44の鉄歩留りが低下してしまう。
ただし、投入密度Vが過大になると、冷鉄源44が付着水分を含んでいる場合、溶銑Mの浴内に没入した冷鉄源から大量の水蒸気が発生して、炉口からの溶銑やスラグが噴出し、鉄歩留りの低下や操業阻害を招くおそれがある。このため、投入密度Vは、5t/(m・min)以下、より望ましくは3t/(m・min)以下とすることが望ましく、適正な範囲の投入密度で連続的あるいは断続的に冷鉄源を投入することにより、大量の冷鉄源を安全に、歩留りよく添加できる。
さらに、発明者らは、更に研究を重ねることで、上記の投入密度Vの条件に加えて、冷鉄源44の投入位置と、冷鉄源44のかさ比重Dbとの間にも、冷鉄源44の浴内への没入し易さに関する相関性があることを知見した。すなわち、自由落下高さH[m]が、下記(2)式の条件を満たすことで、さらに冷鉄源44が浴内に没入し易くなり、溶解性を確保できる。自由落下高さHは、シュート43の端部から溶銑Mの浴面までの距離をメートルで表した値である。
H≧−0.5×Db+3.5 ・・・(2)
H:自由落下高さ[m]
なお、(1)式および(2)式の各係数の最適値は、溶銑Mの温度や浴面のスラグ厚みなどにより多少変動することが考えられるが、製鋼工程における大規模な製造ラインで適用する上では上記の各係数は十分な精度を持ったものとして扱うことができる。
さらに、冷鉄源44は、溶銑Mの浴面において、浸漬されたランス3の表面から水平方向に100mm以上1500mm以下の距離で示される円環領域内に投入されることが好ましい。ランス3を溶銑Mの浴面に対して略垂直に浸漬させ、ランス3から気体酸素を噴射させて処理する本実施形態の場合、浴面のランス3の周辺領域は、浴面のスラグがこの周辺領域の外側へと追いやられるため、浴面が露出した状態となる。このため、冷鉄源44を、溶銑Mの浴面において、浸漬されたランス3の表面から水平方向に1500mm以下の距離で示される円形領域内に投入することで、より冷鉄源44が溶解し易くなる。また、冷鉄源44を、溶銑Mの浴面において、浸漬されたランス3の表面から水平方向に100mm未満の距離で示される円形領域内に投入する場合、ランス3に冷鉄源44が衝突する可能性が生じる。ランス3に冷鉄源44が衝突した場合、ランス3の耐火物34が局所的に損耗してしまい、ランス寿命が低下してしまう可能性がある。
さらに、冷鉄源44の投入量は、溶銑Mの処理前温度に基づいて調整される。つまり、冷鉄源44の投入量は、処理前温度が高い程多くなり、処理前温度が低い程低くなるように調整される。これにより、冷鉄源44の過剰投入による未溶解を抑止でき、冷鉄源44の鉄歩留りを向上させることができる。
溶銑処理は、溶銑Mの処理前温度、処理前成分、処理後の目標成分および溶銑処理設備1の仕様等に応じた時間だけ行われる。このとき、冷鉄源44は、溶銑処理が行われている間、連続的または断続的に投入される。
上記の時間が経過した後、ランス3からの気体酸素およびプロパンガスの吐出が停止され、ランス3が上昇し、溶銑搬送容器2の外へと移動することで、溶銑処理が終了する。
<変形例>
以上、図1および図2を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、各種の変更例または修正例を実施し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、冷鉄源投入装置4がシュート43を有する構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、図3に示すように、冷鉄源投入装置4aは、シュート43を有さない構成としてもよい。図3に示す冷鉄源投入装置4aは、ホッパー41と、フィーダー42と、冷鉄源44とを有し、フィーダー42から切り出された冷鉄源44がそのまま自由落下することで溶銑Mの浴面へ投入される。この場合、自由落下高さHは、フィーダー42の切り出し位置から溶銑Mの浴面までの長さをメートルで表した値となる。
また、上記実施形態では、溶銑Mの浴面に対して略垂直に浸漬されるランス3から吐出される気体酸素を用いて溶銑処理するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、浴面に対して所定の角度を持って浸漬されるランスが用いられてもよい。また、ランス3から供給される酸素源としては、気体酸素の他に、酸化鉄等の固体の酸素源が用いられてもよい。この際、酸素源としては、固体の酸素源のみが用いられてもよく、気体酸素と固体の酸素源との両方が用いられてもよい。固体の酸素源が用いられる場合、溶銑Mに浸漬したランスの先端から搬送ガスと共に固体の酸素源が溶銑Mの浴内へと吐出されることで溶銑処理が行われる。なお、溶銑Mに浸漬したランス3から気体酸素を溶銑Mへ吹き込むことで、溶銑Mの浴面が振動するため、投入された冷鉄源44がさらに浴内へと没入しやすい状態となる。また、固体の酸素源として酸化鉄を用いる場合、吸熱反応である酸化鉄の分解反応が起こる。これに対して、気体酸素を用いた場合、酸化鉄を用いる場合よりも吸熱量が小さいことに加え、溶銑中の炭素や珪素との酸化反応が容易に進むため、発熱反応が起こり、冷鉄源44の溶解性を向上させることができる。このため、溶銑処理では、気体酸素を用いることが望ましい。さらに、ランス3からは、上記の酸素源の他に、石灰(CaO)等を含む精錬剤が同時に吹き込まれてもよい。このような精錬剤が溶銑中に吹き込まれることで、脱燐反応を促進させることができる。
さらに、上記実施形態では、溶銑搬送容器2が魚雷型の金属製容器としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、溶銑搬送容器5は、鍋型の金属製容器であってもよい。この場合、溶銑処理装置1aは、図1に示す溶銑処理装置1と同様に、気体酸素を溶銑Mに吹き込むランス3と、溶銑Mの上方から冷鉄源44を添加する冷鉄源投入装置4とを有する。また、溶銑処理装置1aで溶銑処理を行う場合、上記の実施形態と同様な方法を用いることができる。さらに、ランス3からは攪拌用の不活性ガスのみを吹き込んで、図示しない上吹きランスから酸素を供給して精錬を行う実施形態を用いてもよい。
さらに、上記実施形態では、溶銑Mの処理前温度に基づいて冷鉄源44の投入量を調整するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、冷鉄源44の投入量を決める際に、処理前温度の他に、処理前成分や処理後の目標成分・温度、気体酸素の予定使用量等の条件が考慮されてもよい。具体的には、気体酸素を用いることにより生じる温度余裕(処理後に必要な溶銑Mの温度に対する余剰熱量)の分だけ、さらに冷鉄源44を投入するように投入量を調整してもよい。このような条件が考慮されることで、気体酸素を用いることにより生じる温度余裕を最大限に利用して、冷鉄源44の使用量を増大させることができる。
さらに、上記実施形態では、溶銑Mの処理前温度および処理前成分を測定し、溶銑搬送容器2を移動させた後に溶銑処理を開始するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、溶銑処理装置1において、溶銑Mの温度およびサンプリングが可能であれば、溶銑搬送容器2が溶銑処理装置1の処理位置にある状態で、溶銑Mの処理前温度および処理前成分が測定されてもよい。この場合、処理前成分を測定する際には、通常、測定結果が出るまでに時間が掛るが、溶銑Mの出銑成分や処理前温度等に基づいて溶銑処理が開始されてもよい。そして、溶銑処理中に処理前成分の測定結果が出た後、測定結果に応じて、目標成分や温度となるように、最終的な処理条件が決定されてもよい。これにより、処理前成分の測定結果を待つ時間を短縮することができ、待ち時間による溶銑温度の低下を防止することができる。
<実施形態の効果>
(1)本発明の実施形態に係る溶銑処理中の冷鉄源使用方法は、溶銑搬送容器2に収容された溶銑Mに対して、溶銑脱珪処理および溶銑脱燐処理のうち少なくとも一方の溶銑処理をする際に、連続的あるいは断続的に、冷鉄源44を下記(1)式の条件を満たす投入密度Vで溶銑Mに投入する。
V≧−0.1×Db+0.9 ・・・(1)
V:単位時間、単位投入面積当たりの投入密度[t/(m・min)]
Db:冷鉄源44のかさ比重[g/cm]
溶銑処理中に冷鉄源44を溶銑Mに投入する際に、かさ比重の小さい冷鉄源44を用いる場合、投入された冷鉄源44がスラグに巻き込まれることで溶銑Mに入らない等の理由から、冷鉄源の鉄歩留りのばらつきが生じていた。また、かさ比重の小さい冷鉄源44を溶銑処理前に溶銑Mに投入する場合、冷鉄源44がスラグに巻き込まれることを防止することができるが、処理前の成分を確認するまでの待ち時間やその後の冷鉄源投入時間が必要となる。このため、待ち時間中に温度ロスが発生するという問題があった。
これに対して、上記構成によれば、かさ比重に応じて投入密度を制限することで、冷鉄源44を溶銑Mの浴内に没入させ易くなり、溶解性を確保することができる。このため、冷鉄源44の鉄歩留りが安定化することから、溶銑処理において冷鉄源の使用量を増大させることができ、冷鉄源44を効率的に使用することができる。この結果、冷鉄源44として、精錬処理で発生したスラグに含まれる鉄分を分別回収した安価な冷鉄源や、鋼板圧延工程で発生する端材をシュレッダーおよび造粒処理した軽量スクラップなどの高効率リサイクルが可能となるため、生産性向上、製造コスト削減の効果を得ることが出来る。また、処理前成分を確認する前に処理を開始することができ、冷鉄源投入時間を別にとる必要がなくなることから、待ち時間により発生する温度ロスを削減することができる。
さらに、特許文献1,2のように受銑前の溶銑搬送容器2に冷鉄源を入れる方法では、サイズに関わらず一度に大量の冷鉄源が投入されるため、投入する冷鉄源に水分が付着していた場合に、投入された溶銑Mと大量の冷鉄源の水分とが一気に反応することで、水蒸気の急激な発生により突沸が発生する等の問題があった。これに対して、上記構成によれば、冷鉄源投入装置4を用いて冷鉄源44を連続的あるいは断続的に投入するため、大量の水分と溶銑Mとが一気に反応することがなく、溶銑Mの突沸を防止することができる。
さらに、溶銑処理では、溶銑Mの処理前温度や処理前成分(Si,P)、処理後の目標成分(P)等に応じて、必要とされる処理中の温度余裕が変化する。このため、常時温度余裕が確保できる溶銑の温度が求められるが、一方で溶銑の温度が高温になるほど脱珪および脱燐反応は反応効率が低下するという化学反応上の問題に突き当たる。このため、例えば、特許文献3のように溶銑処理中に冷鉄源を上置き添加する方法では、冷鉄源の鉄歩留りがばらつくために、冷鉄源の使用量を最大限まで増大させることができず、温度余裕を有効に利用することができなかった。これに対して、上記構成によれば、冷鉄源44の鉄歩留りが向上するため、冷鉄源44を最大限まで投入することができ、溶銑Mの温度を最低限必要な温度近くまで下げることができる。このため、溶銑中の燐の酸化脱燐反応が促進され、脱燐処理に掛かる製造コストを低減することができる。
(2)冷鉄源44を溶銑Mに投入する際に、冷鉄源44を下記(2)式の条件を満たす自由落下高さHから溶銑Mに投入する。
H≧−0.5×Db+3.5 ・・・(2)
H:自由落下高さ[m]
上記構成および上記(1)の構成によれば、上記(1)の構成のみの場合に比べ、さらに冷鉄源44の鉄歩留りを向上させることができる。
(3)溶銑脱珪処理および溶銑脱燐処理のうち少なくとも一方の溶銑処理をする際に、気体酸素を使用して溶銑処理をする。
上記構成によれば、酸素源として固体の酸素源を用いる場合に比べ、浴面の振動効果や、反応に伴う発熱量が多い効果等から、冷鉄源44の鉄歩留りを向上させることができる。
(4)冷鉄源44を投入する際に、溶銑処理の前に測定された溶銑Mの温度に応じて、冷鉄源44の投入量を調整する。
冷鉄源44の溶解性は、溶銑温度に応じて変化する。このため、上記構成によれば、未溶解の冷鉄源44の発生を抑止することが出来る。更に、酸化脱珪・酸化脱燐反応は、発熱反応であるため、溶銑Mの温度が高いほど反応性が低下する特性がある。このため溶銑Mの温度を指標として冷鉄源44の投入を行うことで、より反応性の高い溶銑条件とすることができ、精錬コストを低減することができる。また、必要に応じて、溶銑処理後の溶銑の温度を、後続の精錬工程から要求される温度範囲に調整することができる。
(5)溶銑処理をする際に、溶銑Mの浴面に対して略垂直に浸漬させたランス3の先端から、溶銑Mに気体酸素を吹き込み、冷鉄源44を投入する際に、浴面において、浸漬されたランス3の表面から水平方向に100mm以上1500mm以下の距離で示される円環領域内に、冷鉄源44を投入する。
上記構成によれば、冷鉄源44とランス3と衝突を防ぐことができるので、ランス3の過剰損耗を防止することができる。さらに、ランス3から吹き込まれる気体酸素によって生じる、浴面が露出した領域に冷鉄源44を投入することができるため、冷鉄源44の鉄歩留りの向上を図ることができる。
(6)冷鉄源44を投入する際に、粒径が100mm以下の冷鉄源44を投入する。ここで、粒径が100mm以下とは、目開きが100mmの篩を通過する大きさであることを意味する。この際、篩目は正方形でなくてもよく、例えば、短辺が100mmの長方形や短径が100mmの長円形などの篩目の篩を用いて、ほぼ同様の粒子サイズの分級が可能である。
冷鉄源が大きな場合、浴内に入った冷鉄源の溶解が溶銑処理中に完了せず、転炉装入鍋への払い出し時にも流出せずに、溶銑搬送容器2内にスラグと共に残ってしまう。その後、溶銑搬送容器2内に残った冷鉄源は、スラグと共に排出されてしまうため、鉄源として有効に利用されない。これに対して、上記構成によれば、冷鉄源44が浴内に入った後の溶け残りを防止することができ、鉄歩留りを向上させることができる。
(7)溶銑搬送容器は、トピードカーである。
トピードカーを用いた脱珪処理では、高粘度のフォーミングしたスラグが大量に発生するため、このスラグを上部の開口部から溢出させながら処理を行うことが一般的である。このため、トピードカーでの溶銑処理では、冷鉄源の鉄歩留りが小さくなり易い傾向がある。これに対して、上記構成によれば、流出するスラグに投入した鉄分が混入しにくくなるため、鉄歩留りを大幅に向上させることができる。また、トピードカーは、通常、熱放散を抑制するため、開口部が小さく設計される。このため、ランスを用いた溶銑処理の場合、鍋型の溶銑搬送容器に比べ、冷鉄源の投入位置と、ランスとの距離が小さくなる。このため、投入される冷鉄源とランスとの衝突により、ランスが過剰に損耗し易くなる。しかし、上記構成に、(5)の構成を適用することにより、このようなランス3の過剰な損耗を大幅に抑制することができる。
(8)本発明の実施形態に係る溶銑処理装置1は、溶銑搬送容器2に収容された溶銑Mに酸素源を供給することで、溶銑Mを溶銑脱珪処理および溶銑脱燐処理のうち少なくとも一方の溶銑処理を行うランス3と、連続的あるいは断続的に、冷鉄源44を下記(1)式の条件を満たす投入密度Vで溶銑Mに投入する冷鉄源投入装置4とを有する。
V≧−0.1×Db+0.9 ・・・(1)
V:単位時間、単位投入面積当たりの投入密度[t/(m・min)]
Db:冷鉄源44のかさ比重[g/cm]
上記構成によれば、上記(1)の構成と同様な効果を得ることができる。
次に、本発明者らが行った実施例1について説明する。
実施例1では、溶銑搬送容器2として、平均溶銑充填量が300tのトピードカーを用いた。また、溶銑処理としては、図1に示すフィーダー42にシュート43を設けることで投入幅が調整可能な冷鉄源投入装置4を有する溶銑処理装置1、および図3に示すシュート43を設けずにフィーダー42から冷鉄源44を直接投入する溶銑処理装置1の2通りの溶銑処理装置1を用いて、脱珪処理および脱燐処理を連続して行った。なお、フィーダー42には、一般的な電磁振動式フィーダーを用いた。溶銑処理では、鉄歩留りを正確に評価するため、ランス3から酸素源として、気体酸素を吐出させて酸化精錬を行った。また、ランス3は、トピードカーの開口部のトピードカーの長手方向の中央部に、トピードカーの中心軸から200mm程度偏心させて鉛直に配し、鉛直方向に下降させることで溶銑Mに浸漬させた。さらに、溶銑処理中には、冷鉄源投入装置4,4aを用いて、溶銑Mに任意の高さから冷鉄源44を投入した。このとき、本発明例1では、少なくとも投入密度Vが(1)式の条件を満足するように冷鉄源44を添加した。また、比較例として、投入密度Vが(1)式の条件を満足しない条件についても同様の方法で溶銑処理を行った。用いた冷鉄源44の種類については、後述する。そして、溶銑処理を行った後、処理前後の溶銑量などから冷鉄源44の鉄歩留りを算出し、四捨五入して10%単位で評価した。
まず、溶銑処理に先立ち、溶銑搬送容器2が無い状態で冷鉄源44の投入試験を行い、各試験条件における溶銑Mの湯面相当位置での投入物の分布面積を計測した。この計測結果から、1分間当たりの冷鉄源44の投入量を落下位置での分布面積(投入面積)で除した数値を、冷鉄源44の単位面積当たりの投入密度Vとした。例えば、幅550mm、浴面上高さ3.0m相当のフィーダー42の端部から、冷鉄源44となるスラグ回収地金を0.9t/minで切り出し、浴面位置で分布面積が1mである場合、投入密度Vは0.9(t/min)÷1(m)=0.9(t/(m・min))となる。また、各冷鉄源44のかさ比重を事前に計測し、その平均値を用いて評価を行った。
表1に実施例1の処理条件および結果を示す。実施例1では、冷鉄源44の投入密度Vが(1)式の条件を満足する本発明例1−1〜1−23の23通りの条件と、(1)式の条件を満足しない比較例1−1〜1−13の13通りの条件について、それぞれ溶銑処理を行った。冷鉄源44には、酸化していない鉄を少なくとも10%以上含有するものとして、転炉ダスト、2種類のスラグ回収地金および軽量スクラップの4種類の鉄源を用いた。転炉ダストは、転炉の精錬処理で発生したダストをメジアン粒径30mm程度、最大粒径45mm以下に造粒処理したものである。ここで、粒径の値は、粒子が通過する篩の目開きを意味しており、以下も同様である。スラグ回収地金は、2種類の精錬処理で発生したスラグをそれぞれ粉砕、分級および磁選処理した磁着物であり、かさ比重は精錬処理の種類により異なるが、粒径は何れの場合も45mm以下である。軽量スクラップは、鋼板圧延工程で発生した端材をシュレッダーにて細かく切断し、造粒処理したものであり、粒径は90mm以下である。また、本発明例1−1〜1−23および比較例1−1〜1−13では、投入密度Vや冷鉄源44の種類に加え、自由落下高さHを変えて冷鉄源44を投入した。実施例1の何れの本発明例および比較例においても、冷鉄源44の落下範囲は、ランス3の表面からランスの径方向に100〜1500mmの範囲内であり、トピードカーの開口部のトピードカーの長手方向に略中央部の直下で、ランス3に対してトピードカーの中心軸寄りに落下範囲が位置するように調整した。また、実施例1の結果として得られた鉄歩留りについて、鉄歩留りが70%未満のものを評価「×」、鉄歩留りが70%以上80%未満のものを評価「○」、鉄歩留りが80%以上のものを評価「◎」とし、少なくとも評価が「○」以上であれば効果が得られたものと判断した。
Figure 0006252534
表1に示すように、投入密度Vが(1)式の条件を満たさない比較例1−1〜1−13では、冷鉄源44の種類や自由落下高さによらず、すべての条件において評価が「×」となることを確認した。一方、投入密度Vが(1)式の条件を満たす実施例1−1〜1−23では、冷鉄源44の種類や自由落下高さによらず、すべての条件において評価が「○」または「◎」となることを確認した。さらに、このうち、自由落下高さHが(2)式の条件を満たす本発明例1−4,1−5,1−7,1−8,1−10,1−11,1−13〜1−23では、他の実施例に比べて評価「◎」の比率が多くなっていることを確認した。以上の結果から、(1)式の条件を満たす投入密度Vとすることで鉄歩留りが向上し、さらに(2)式の条件を満たす自由落下高さHとすることでより鉄歩留りが向上することを確認した。
次に、発明者らが行った実施例2について説明する。
実施例2では、実施例1により鉄歩留りの向上が確認された、投入密度Vが(1)式の条件を満たし、且つ自由落下高さHが(2)式の条件を満たす条件について、浴面における冷鉄源44の投入位置の影響および冷鉄源44の大きさの影響を確認した。具体的には、実施例2では、鉄歩留りが高かった実施例1の本発明例1−8と同じ条件について、冷鉄源44の投入位置および大きさを変えた複数の条件で溶銑処理を行い、鉄歩留りおよびランス3の耐火物34の損耗量の判定を行った。
表2に実施例2の処理条件および結果を示す。実施例2では、溶銑Mの浴面におけるランス3の表面から冷鉄源44の落下位置までのランスの径方向の距離を、0mm〜2000mmに変化させて溶銑処理を行った。さらに、上記範囲の落下位置における溶銑処理を、粒径が100mm以下および100〜150mmと異なる2種類の冷鉄源44についてそれぞれ行った。ここで、粒径が100〜150mmとは、篩目が100mmの篩を通過せず、篩目が150mmの篩を通過する粒子であることを意味する。
Figure 0006252534
表2に示すように、実施例2では、いずれの条件においても鉄歩留りが80%以上と高くなることを確認した。また、ランス3の表面からの冷鉄源44の落下位置までのランスの径方向の距離、即ち、ランスの表面からの水平方向の距離を、100mm以上とすることで、ランス3の耐火物34の損耗量を低減し、1500mm以下とすることで、鉄歩留りをさらに向上した。したがって、上記実施形態のように、ランス3の表面からの冷鉄源44の落下位置までの水平方向の距離を100mm以上1500mm以下とすることで、ランス3の損耗が抑制されながらも、鉄歩留りがより向上することを確認できた。ここで、ランス3の表面からの水平方向の距離とは、ある落下位置とランス3の表面との水平方向の最短の距離である。
また、冷鉄源44の粒径と鉄歩留りとの関係をみた場合、冷鉄源44の粒径を100mm以下とすることで、粒径が100〜150mmのものに比べ、鉄歩留りが5%程度向上した。これは、冷鉄源44の粒径が大きくなることにより溶解性が低くなることに起因した現象であるため、冷鉄源44の粒径を100mm以下とすることで鉄歩留りがより向上することを確認できた。
1,1a :溶銑処理装置
2 :溶銑搬送容器
3 :ランス
31 :内管
32 :外管
33 :吐出孔
34 :耐火物
4,4a :冷鉄源投入装置
41 :ホッパー
42 :フィーダー
43 :シュート
44 :冷鉄源
5 :溶銑搬送容器
M :溶銑

Claims (8)

  1. 溶銑搬送容器に収容された溶銑に対して、溶銑脱珪処理および溶銑脱燐処理のうち少なくとも一方の溶銑処理をする際に、連続的あるいは断続的に、冷鉄源を下記(1)式の条件を満たす投入密度Vで前記溶銑に投入することを特徴とする溶銑処理中の冷鉄源使用方法。
    V≧−0.1×Db+0.9 ・・・(1)
    V:単位時間、単位投入面積当たりの投入密度[t/(m・min)]
    Db:冷鉄源のかさ比重[g/cm]
  2. 前記冷鉄源を前記溶銑に投入する際に、前記冷鉄源を下記(2)式の条件を満たす自由落下高さHから前記溶銑に投入することを特徴とする請求項1に記載の溶銑処理中の冷鉄源使用方法。
    H≧−0.5×Db+3.5 ・・・(2)
    H:自由落下高さ[m]
  3. 前記溶銑脱珪処理および前記溶銑脱燐処理のうち少なくとも一方の前記溶銑処理をする際に、気体酸素を使用して前記溶銑処理をすることを特徴とする請求項1または2に記載の溶銑処理中の冷鉄源使用方法。
  4. 前記冷鉄源を投入する際に、前記溶銑処理の前に測定された前記溶銑の温度に応じて、前記冷鉄源の投入量を調整することを特徴とする請求項3に記載の溶銑処理中の冷鉄源使用方法。
  5. 前記溶銑処理をする際に、前記溶銑の浴面に対して略垂直に浸漬させたランスの先端から、前記溶銑に前記気体酸素を吹き込み、
    前記冷鉄源を投入する際に、前記浴面において、浸漬された前記ランスの表面から水平方向に100mm以上1500mm以下の距離で示される円環領域内に、前記冷鉄源を投入することを特徴とする請求項4に記載の溶銑処理中の冷鉄源使用方法。
  6. 前記冷鉄源を投入する際に、粒径が100mm以下の前記冷鉄源を投入することを特徴とする請求項5に記載の溶銑処理中の冷鉄源使用方法。
  7. 前記溶銑搬送容器は、トピードカーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶銑処理中の冷鉄源使用方法。
  8. 溶銑搬送容器に収容された溶銑に酸素源を供給することで、前記溶銑を溶銑脱珪処理および溶銑脱燐処理のうち少なくとも一方の溶銑処理を行うランスと、
    連続的あるいは断続的に、冷鉄源を下記(1)式の条件を満たす投入密度Vで前記溶銑に投入する冷鉄源投入装置とを有することを特徴とする溶銑処理装置。
    V≧−0.1×Db+0.9 ・・・(1)
    V:単位時間、単位投入面積当たりの投入密度[t/(m・min)]
    Db:冷鉄源のかさ比重[g/cm]
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