JP2023012434A - 鉄分の回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】精錬負荷の増加や処理中のスラグフォーミングやスロッピングの発生を抑制し、粉粒状地金を歩留まりよく回収することができる、鉄分の回収方法を提供すること。【解決手段】粉粒状地金6に含まれる鉄分を回収する、鉄分の回収方法であって、溶銑搬送容器(例えば、混銑車1)内に収容された溶銑2の表面に浮遊するスラグ3を除去する除滓工程と、除滓工程の後、溶銑搬送容器内の溶銑2に、粉粒状地金6を上添加する添加工程と、を含み、添加工程では、投入開始から粉粒状地金6の投入量が1tとなるまでの投入初期において、0.1t/(min・m2)以上2.0t/(min・m2)以下の任意の投入速度で粉粒状地金6を上添加し、投入初期の後、0.1t/(min・m2)以上3.0t/(min・m2)以下の任意の投入速度で粉粒状地金6を上添加。【選択図】 図1
Description
本発明は、鉄分の回収方法に関する。
製鋼工程では様々なスラグが発生しており、このスラグには不純物(SiやP、Mn、Alなどの酸化物)と鉄分とが含まれている。この鉄分を回収して、鉄源として再利用することが行われている。
特許文献1には、製鋼スラグを破砕し、磁力選別して得られ小径粒鉄を、溶銑予備処理後の取鍋内または混銑車内の溶銑の表面スラグ上に上置きするように散布し、表面スラグと結合させて取り込ませた後に、溶銑と共に転炉又は電気炉に装入し、脱炭精錬を行うことにより、製鋼スラグから回収した鉄源を利用する方法が開示されている。この方法によれば、粒鉄を飛散させることなく添加でき、添加時のスラグフォーミングも発生せず、脱炭精錬で鉄分が溶鋼中に回収され、その後の精錬の負荷にも悪影響を与えることなく、効率的に鉄源を利用できるとされている。
特許文献2には、溶銑脱珪処理及び溶銑脱燐処理のうち少なくとも一方の溶銑処理をする際に、冷鉄源を、連続的あるいは断続的に、所定の投入密度V(単位時間、単位投入面積当たりの投入速度)で溶銑に投入する方法が開示されている。この方法によれば、溶銑処理において冷鉄源の歩留りの低下を招くことなく使用量を増大させることができるとされている。
特許文献3には、溶銑に酸素源を供給して脱燐処理或いは脱珪処理を施す際に、処理中のスラグフォーミングを抑制する方法として、溶銑の脱燐処理で発生したスラグから回収した、スラグを付着する地金を上置き添加する技術が開示されている。この方法によれば、鎮静剤を使用しなくても、また酸素ガス供給量を変更しなくても、スラグのフォーミングが抑制され、安定した脱珪処理を実施することができる。また、同時に回収地金を鉄源として有効に利用することもできるとされている
しかしながら、特許文献1の技術では、粒鉄が溶銑と反応してスラグがフォーミングすることを抑制するため、粒鉄を溶銑予備処理後のスラグ表面と結合させてスラグ内に取り込ませる。すると、溶銑予備処理後のスラグを除滓してから転炉又は電気炉に装入する場合、粒鉄はスラグと共に除滓されてしまい、溶銑中に歩留まらない。また、除滓を省略すると転炉での精錬負荷が増加し、特に要求される不純物レベルが低い高級鋼の溶製では精錬コストの大幅に増加してしまう。
特許文献2の技術は、冷鉄源を、溶銑脱珪処理や溶銑脱燐処理の処理中に投入するので、冷鉄源の種類によっては処理中にスロッピング等が発生し、処理の中断により生産性が低下したり、添加した冷鉄源の歩留まりが低くなったりするなどの問題があった。特に特許文献2には、冷鉄源として精錬処理で発生したスラグから破砕、分級、磁選のうち1つ以上の処理により回収した地金が使用できる旨記載されているが、こうした地金を使用するとスロッピングが発生しやすかった。
特許文献3の技術も、溶銑に酸素源を供給して行なう脱燐あるいは脱珪処理の処理中に、スラグを付着する地金を上添加するものである。この技術は、地金の投入によって、脱燐処理あるいは脱珪処理で生成されるスラグを開口させて処理中に発生するCOガスの抜け道を形成し、スラグフォーミングを抑制するものである。従って、使用できる地金は、スラグを突き破って溶銑面に到達し得る形状に制限される。すなわち、細粒の地金は使用されない。また、地金が酸化鉄を多く含有すると、酸化鉄と溶銑中の炭素が反応してCOガスが発生するので逆にフォーミングを助長することもある。こうした面においても使用できる地金が制限される。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、精錬負荷の増加や処理中のスラグフォーミングやスロッピングの発生を抑制し、粉粒状地金を歩留まりよく回収することができる、鉄分の回収方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、粉粒状地金に含まれる鉄分を回収する、鉄分の回収方法であって、溶銑搬送容器内に収容された溶銑の表面に浮遊するスラグを除去する除滓工程と、上記除滓工程の後、上記溶銑搬送容器内の上記溶銑に、上記粉粒状地金を上添加する添加工程と、を含み、前記添加工程では、投入開始から前記粉粒状地金の投入量が1tとなるまでの投入初期において、0.1t/(min・m2)以上2.0t/(min・m2)以下の任意の投入速度で上記粉粒状地金を上添加し、上記投入初期の後、0.1t/(min・m2)以上3.0t/(min・m2)以下の任意の投入速度で上記粉粒状地金を上添加する、鉄分の回収方法が提供される。
本発明の一態様によれば、精錬負荷の増加や処理中のスラグフォーミングやスロッピングの発生を抑制し、粉粒状地金を歩留まりよく回収することができる、鉄分の回収方法が提供される。
以下の詳細な説明では、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
<鉄分の回収方法>
本実施形態に係る鉄分の回収方法について説明する。本実施形態では、まず、溶銑搬送容器内に収容された溶銑2の表面に浮遊するスラグ3を除去する除滓工程を行う(図1(A))。溶銑搬送容器は、例えば、高炉から出銑された溶銑2を内部に収容し、次工程へと搬送する混銑車1である。このような混銑車1に収容された溶銑2の表面には、高炉鋳床等で行なわれる脱珪処理によって生成した脱珪スラグ(スラグ3)が浮遊している。除滓工程は、例えば、溶銑2を収容した混銑車1が除滓設備に搬送され、この除滓設備にて除滓が行われる。除滓は、例えば溶銑2が流出しない程度に混銑車1を傾動させ、鍬状のスラグドラッガー4でスラグ3を混銑車1の炉口10から炉外へ掻き出すことで行われる。
本実施形態に係る鉄分の回収方法について説明する。本実施形態では、まず、溶銑搬送容器内に収容された溶銑2の表面に浮遊するスラグ3を除去する除滓工程を行う(図1(A))。溶銑搬送容器は、例えば、高炉から出銑された溶銑2を内部に収容し、次工程へと搬送する混銑車1である。このような混銑車1に収容された溶銑2の表面には、高炉鋳床等で行なわれる脱珪処理によって生成した脱珪スラグ(スラグ3)が浮遊している。除滓工程は、例えば、溶銑2を収容した混銑車1が除滓設備に搬送され、この除滓設備にて除滓が行われる。除滓は、例えば溶銑2が流出しない程度に混銑車1を傾動させ、鍬状のスラグドラッガー4でスラグ3を混銑車1の炉口10から炉外へ掻き出すことで行われる。
また、除滓工程は、溶銑2の表面に浮遊するスラグ3の厚みが200mm以下になるよう除滓が行われることが好ましい。なお、除滓は溶銑面が露出するほどまでは行なわない方が好ましく、除滓後のスラグ3の厚みが40mm以上あるとより好ましい。溶銑面が露出すると、溶銑2の温度が降下しやすくなるとともに、後述するように、添加された粉粒状地金がスラグ3内を通過することで適度な抵抗となることで、粉粒状地金と溶銑との急激な反応を抑制する効果が低下するからである。
さらに、除滓工程後の溶銑搬送容器のフリーボード(溶銑2の浴面から溶銑搬送容器の口元上端(混銑車1における炉口上端)までの高さ)は、0.8m以上であることが好ましい。後述するように、添加工程で添加される粉粒状地金は、スラグ3内を徐々に通過した後、溶銑2に溶解していくが、この際、多少ではあるもののCOガスの生成等の反応が起こり、軽度のスラグフォーミングが生じることがある。フリーボードを0.8m以上とすることで、軽度のスラグフォーミング状態を保ったままでも粉粒状地金を溶解することができる。
除滓工程の後、溶銑搬送容器内の溶銑2に、粉粒状地金6を上添加する添加工程が行われる(図1(B))。溶銑搬送容器が混銑車1の場合、除滓時に傾動させていた混銑車1を垂直に戻し、混銑車1の炉口上方に設置した地金投入設備5より粉粒状地金6を添加する。粉粒状地金6の投入方法は、例えば、ホッパーに貯蔵した粉粒状地金6をフィーダーで切り出してコンベアで溶銑搬送容器の口元上部に搬送し、そこから自由落下により投入する方法などが例示できる。
粉粒状地金6は、例えば製鋼スラグを破砕し磁力選別して得たものであってもよい。また、粉粒状地金6は、精錬処理で発生した鉄含有ダストや製鉄設備に付着した地金を粉砕・分級したものなどであってもよい。また、地金投入設備5は、除滓設備と同じ建屋内に設置すれば、除滓工程の完了後、混銑車1を移動させることなくすぐに添加工程を行うことができるため好適である。
除滓後の溶銑搬送容器内に、粉粒状地金6を添加すると、添加された粉粒状地金6は、スラグ3の表面で水平方向に裏返した皿状に広がってスラグ3の表面に堆積する。その後、粉粒状地金6はスラグ3内を沈降し、下方のものから徐々に溶銑2内に取り込まれて溶解する。添加された粉粒状地金6がスラグ3内を通過することで粉粒状地金6の沈降に対して適度な抵抗となり、粉粒状地金6と溶銑2とが急激に反応することが抑制される。一方で、除滓を行なわない場合など、溶銑2の表面に浮遊するスラグ3の厚みが厚い状態で粉粒状地金6を添加すると、粉粒状地金6がスラグ3内を沈降する時間が長くなりすぎ、溶銑搬送容器から溶銑2が払い出されるまでの期間で粉粒状地金6が溶銑面に到達せず、添加歩留まりが低下する。
また、粉粒状地金6の投入速度は、投入開始から粉粒状地金6の投入量が1tとなるまでの期間である投入初期において、0.1t/(min・m2)以上2.0t/(min・m2)以下の任意の投入速度とする。なお、投入初期の粉粒状地金6の投入速度は、0.1t/(min・m2)以上1.0t/(min・m2)以下の任意の投入速度とすることが好ましい。さらに、投入初期の後の期間(粉粒状地金6の投入量が1t超となる期間)においては、粉粒状地金6の投入速度は、0.1t/(min・m2)以上3.0t/(min・m2)以下の任意の投入速度とする。粉粒状地金6の投入速度は、粉粒状地金6が落下する範囲の面積1m2あたり、且つ1minあたりに投入される粉粒状地金6の質量(t(metoric ton))である。投入速度が0.1t/(min・m2)より小さいと、添加した粉粒状地金6がスラグ3内を沈降せず、スラグ3の表面でトラップされる可能性がある。一方、投入速度が3.0t/(min・m2)より大きいと、上方に堆積した粉粒状地金6がそのまま焼結するなどして溶解が進まないことがある。また、逆に粉粒状地金6が上方に堆積せず、溶銑2中に多量に沈降するとスラグフォーミングが発生する場合もある。
また、特に投入量が1tまでの投入初期では投入速度を2.0t/(min・m2)以上にすると粉粒状地金が溶銑中に多量に沈降し激しいスラグフォーミングが発生する可能性が高まる。しかし、投入初期に投入した粉粒状地金6が裏返した皿状に広がっていれば、以降は投入速度を上げても一気に粉粒状地金6が溶銑2中に沈降することがないため、投入初期の後は投入速度を上げることが可能である。しかしながら、投入速度を上げ過ぎると投入量が1tよりも多い状態でもスラグフォーミング等の不具合が発生するため、投入速度は3.0t/(min・m2)以下とする。
粉粒状地金6は、粒径が0.5mm~5mmであることが好ましい。粒径が0.5mmより小さい場合、発塵してしまい、溶銑2に歩留まりにくくなる可能性がある。一方、粒径が5mmより大きい場合、粉粒状地金6が溶銑2中に勢いよく侵入することで、スラグフォーミングを発生させる恐れがある。
さらに、粉粒状地金6の安息角は40°以下であることが好ましい。ここで、安息角とは、重力場において粉体が堆積して自由面を形成するとき、粉体層表面が水平面となす角度である。安息角の測定には、注入法がよく用いられ、その他にも排出法、傾斜法などが採用できる。注入法では、まず漏斗から一定の距離離れた下方に受け皿を用意し、漏斗内に試料を投入して一定の速度で受け皿に堆積させていく。その後、受け皿から試料が漏れて堆積した粉体が一定の山を形成した時点で安息角を測定する。排出法では、試料を充填した容器の底面に小さな穴をあけて、試料を容器から排出させる。試料が排出し終わった後に容器に残った粉体が形成する斜面から安息角を測定する。傾斜法では、円筒容器などに試料を充填して容器を傾けていき、容器内の粉体が形成する斜面により安息角を測定する。
粉粒状地金6の安息角が40°より大きい場合、添加後の粉粒状地金6がスラグ3上に広がらず、上方に堆積し、そのまま焼結しやすくなる。なお、粉粒状地金6中の水分は8%以下とすることが好ましい。粉粒状地金6に8%を超える水分が含まれていると水蒸気爆発等の反応が生じる可能性があるばかりでなく、粒子同士が付着しやすくなり安息角が大きくなる。
さらに、粉粒状地金6は、(1)式及び(2)式を満たすことが好ましい。なお、(1)式及び(2)式において、(%T.Fe)は、粉粒状地金6中のトータルFe分の含有量(質量%)、(%M.Fe)は、粉粒状地金中の金属Fe分の含有量(質量%)をそれぞれ示す。
(%T.Fe)≧30質量% ・・・(1)
(%T.Fe)-(%M.Fe)≦25質量% ・・・(2)
(%T.Fe)≧30質量% ・・・(1)
(%T.Fe)-(%M.Fe)≦25質量% ・・・(2)
(%T.Fe)が30質量%未満の場合、回収できる鉄分が少なく鉄源回収メリットが少なくなる。また、(2)式における(%T.Fe)-(%M.Fe)は、粉粒状地金6に含まれる鉄分の酸化度を示し、この値が小さいと金属鉄が多く含まれ、大きいと酸化鉄が多く含まれることを表わす。(%T.Fe)-(%M.Fe)が25質量%より大きいと酸化鉄が多くなるため、溶銑2の炭素と酸化鉄中の酸素が反応し、COガスを発生させてスラグフォーミングを起こしやすくなる。
なお、上述の条件を満たす粉粒状地金6としては、製鋼スラグを破砕し磁力選別して得た粉粒状地金が好適である。
添加工程の後、溶銑搬送容器内の溶銑2を、溶銑装入鍋7に払い出す払出工程を行うことができる(図1(C))。例えば、払出工程では、粉粒状地金6が添加された混銑車1を転炉工場に移動し、転炉工場の原料ヤードで溶銑2を混銑車1から転炉装入用鍋である溶銑装入鍋7に払い出す。添加された粉粒状地金6は、混銑車1が転炉工場に移動するまでの期間に徐々に溶銑2中に溶解するが、この払い出しの際に残りの粉粒状地金6が溶銑に取り込まれて溶解する。すなわち、脱珪スラグの除滓後から払い出しまでの期間内にある程度、粉粒状地金6の溶解が進むので、未溶解の粉粒状地金が多いことにより払い出し時に溶銑2と一気に反応してフォーミングが発生することが防止される。
添加工程の後、溶銑搬送容器内の溶銑2を、溶銑装入鍋7に払い出す払出工程を行うことができる(図1(C))。例えば、払出工程では、粉粒状地金6が添加された混銑車1を転炉工場に移動し、転炉工場の原料ヤードで溶銑2を混銑車1から転炉装入用鍋である溶銑装入鍋7に払い出す。添加された粉粒状地金6は、混銑車1が転炉工場に移動するまでの期間に徐々に溶銑2中に溶解するが、この払い出しの際に残りの粉粒状地金6が溶銑に取り込まれて溶解する。すなわち、脱珪スラグの除滓後から払い出しまでの期間内にある程度、粉粒状地金6の溶解が進むので、未溶解の粉粒状地金が多いことにより払い出し時に溶銑2と一気に反応してフォーミングが発生することが防止される。
本実施形態に係る鉄分の回収方法では、溶銑搬送容器(例えば、混銑車1)内に収容された溶銑2の表面に浮遊するスラグ3を除去した後に、溶銑搬送容器内に、粉粒状地金6を添加する上添加を行なう。そして、溶銑搬送容器内の溶銑2を、溶銑装入鍋7に払い出すことが好ましい。これらの工程を含むことにより、精錬負荷の増加や処理中のスラグフォーミングやスロッピングの発生を抑制し、粉粒状地金を歩留まりよく回収することができる。また、上述のように粉粒状地金6の添加速度や特性を好ましい範囲とすることでその効果がより大きく発現する。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、添加工程の後に払出工程を行うとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、添加工程の後であって払出工程の前に、溶銑搬送容器内の溶銑2に対し、ランスを浸漬させて、ランスから酸素ガスを含む気体酸素源や酸化鉄等の固体酸素源を溶銑2に吹き込むことで脱珪処理又は脱珪・脱リン処理を行なう精錬工程を行ってもよい。なお、精錬工程では、不活性ガスや冷却用のガス等が必要に応じて、気体酸素源や固体酸素源等と共に吹き込まれてもよい。精錬工程では、ランスを浸漬して処理を行うことによりスラグ3が撹拌されるため、添加工程で添加され、スラグ3の表面からスラグ3中に沈降した粉粒状地金6が溶銑2に取り込まれて鉄分をより回収することができる。
また、上記実施形態では、溶銑搬送容器が混銑車1であるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、溶銑搬送容器は鍋型の搬送容器であってもよい。
さらに、上記実施形態では、払出工程では、溶銑搬送容器に収容された溶銑2が溶銑装入鍋7に払い出されるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。払出工程は、溶銑搬送容器から、次工程で使用される容器に溶銑2が払い出されればよく、他の容器に溶銑2が払い出されてもよい。
本発明者らが行った実施例について説明する。実施例では、溶銑搬送容器である混銑車1に対して、上記実施形態と同様に、除滓工程、添加工程及び払出工程を行い、溶銑2の歩留りを調査した。なお、溶銑2の歩留りとは、添加工程前(除滓工程後)における混銑車1内の溶銑2の質量と、添加工程で添加された粉粒状地金のT.Feの質量との合計に対する、払出工程で払い出された溶銑2の質量の割合である。
実施例では、除滓工程でスラグ3の厚みが120mmとなるまで除滓を行った。次いで、添加工程では、投入速度が0.1t/(min・m2)以上2.0t/(min・m2)以下で一定となる条件で粉粒状地金6の添加を行った。さらに、投入初期の後の投入量が1t超となる期間においては、投入速度を3.0t/(min・m2)まで上げた条件でも添加を行った。また、粉粒状地金6としては、篩分けにより粒径範囲を0.5mm以上5mm以下とし、平均粒径(質量平均径)が3.2mm、安息角が38°以下のものを用いた。ここで、安息角の測定は注入法で行った。粉粒状地金6の水分は8質量%以下とした。さらに、比較例として、除滓工程を行わずに、添加工程及び払出工程を行う条件(比較例1)及び投入速度が2.4t/(min・m2)超となる条件(比較例2)についても溶銑2の歩留りを調査した。なお、比較例1,2におけるその他の条件については、実施例と同様である。
実施例及び比較例の結果から、比較例1に対して、実施例における溶銑2の歩留りが4%向上することが確認できた。また、粉粒状地金6の投入速度を2.0t/(min・m2)超とした比較例2では、スラグフォーミングが発生して添加の中断を余儀なくされる場合があるなどして、混銑車1の1台当たりの粉粒状地金6の投入量が1000kg未満となることが多かった。一方、粉粒状地金6の投入速度を0.2t/(min・m2)以上2.0t/(min・m2)以下とした実施例では、スラグフォーミングが抑制され、1000kg以上の投入量で、安定して粉粒状地金6を投入できることが確認できた。
1 混銑車
10 炉口
2 溶銑
3 スラグ
4 スラグドラッガー
5 地金投入設備
6 粉粒状地金
7 溶銑装入鍋
10 炉口
2 溶銑
3 スラグ
4 スラグドラッガー
5 地金投入設備
6 粉粒状地金
7 溶銑装入鍋
Claims (7)
- 粉粒状地金に含まれる鉄分を回収する、鉄分の回収方法であって、
溶銑搬送容器内に収容された溶銑の表面に浮遊するスラグを除去する除滓工程と、
前記除滓工程の後、前記溶銑搬送容器内の前記溶銑に、前記粉粒状地金を上添加する添加工程と、
を含み、
前記添加工程では、投入開始から前記粉粒状地金の投入量が1tとなるまでの投入初期において、0.1t/(min・m2)以上2.0t/(min・m2)以下の任意の投入速度で前記粉粒状地金を上添加し、前記投入初期の後、0.1t/(min・m2)以上3.0t/(min・m2)以下の任意の投入速度で前記粉粒状地金を上添加する、鉄分の回収方法。 - 前記添加工程では、前記投入初期において、0.1t/(min・m2)以上1.0t/(min・m2)以下の任意の投入速度で前記粉粒状地金を上添加する、請求項1に記載の鉄分の回収方法。
- 前記粉粒状地金は、粒径が0.5mm以上5mm以下であり、安息角が40°以下である、請求項1に記載の鉄分の回収方法。
- 前記粉粒状地金は、(1)式及び(2)式を満たす、請求項1又は3に記載の鉄分の回収方法。
(%T.Fe)≧30質量% ・・・(1)
(%T.Fe)-(%M.Fe)≦25質量% ・・・(2)
(%T.Fe):粉粒状地金中のトータルFe分の含有量(質量%)
(%M.Fe):粉粒状地金中の金属Fe分の含有量(質量%) - 前記粉粒状地金は、製鋼スラグを破砕し、磁力選別して得られたものである請求項1又は3に記載の鉄分の回収方法。
- 前記除滓工程後の前記溶銑搬送容器のフリーボードが0.8m以上である、請求項1又は3に記載の鉄分の回収方法。
- 前記添加工程の後、前記溶銑搬送容器内の前記溶銑に対し、ランスを浸漬させて、脱珪処理又は脱珪・脱リン処理を行なう精錬工程をさらに備える、請求項1又は3に記載の鉄分の回収方法。
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- 2022-06-28 JP JP2022103793A patent/JP2023012434A/ja active Pending
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