JP7115434B2 - 溶銑搬送容器での冷鉄源の溶解方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶銑搬送容器に冷鉄源を装入しておき、その後、高炉から出銑され、前記溶銑搬送容器に注入される溶銑の顕熱で前記冷鉄源を溶解する、溶銑搬送容器での冷鉄源の溶解方法に関する。
高炉や電気炉などの溶融鉄製造設備の能力以上に粗鋼生産量を増加させることを目的として、または、鉄鋼製造過程における二酸化炭素排出量を抑制することによる地球温暖化防止を目的として、製鋼工程で鉄スクラップや直接還元鉄などの冷鉄源を使用する操業が広く行われている。
その中でも、混銑車(トーピードカー)や溶銑鍋(オープンレードル)に代表される溶銑搬送容器に、予め冷鉄源を装入しておいて、高炉から出銑される溶銑を前記溶銑搬送容器で受銑する際に、予め装入した冷鉄源を受銑した溶銑の顕熱で溶解する操業が、広く行われている(例えば、特許文献1を参照)。また、冷鉄源を溶銑搬送容器に予め装入する際に用いる装置としては、設置が簡便であることから、重機を用いることが一般的である(例えば、特許文献2を参照)。
ところで近年、鉄鋼製造過程において、副原料使用量の最少化及び廃棄物発生量の最少化が要望されている。この要望に答えるべく、精錬用媒溶剤の反応効率の上昇を目的として、製鋼精錬工程における機能分離が行われるようになり、溶銑搬送容器において、脱珪処理、脱硫処理、脱燐処理の不純物除去処理が別々に行われるようになっている。これらの不純物除去処理では、溶銑搬送容器に、それぞれの精錬用媒溶剤を投入し、それぞれの不純物を精錬用媒溶剤に取り込むことで、それぞれの不純物除去反応を進行させている。
不純物と反応した後の精錬用媒溶剤は、スラグとして溶銑浴面上に存在しており、このスラグを溶銑搬送容器から除去することで、それぞれの不純物除去処理が完了する。したがって、各不純物除去処理後に、溶銑浴面上に存在するスラグを、スラグドラッガーなどの除滓装置を用いて溶銑搬送容器から掻き出している。その際に、精錬用媒溶剤の一部が掻き出される前に溶銑搬送容器の口元にて固化・付着して、溶銑搬送容器の口元に堰を作る。
その後、溶銑搬送容器内の溶銑は、製鋼工場において、溶銑搬送容器から転炉装入鍋などに払い出される。その際、口元に堰のできた溶銑搬送容器から転炉装入鍋などに溶銑を払い出すと、口元の堰が溶銑の排出を阻害し、溶銑の全てを排出することができず、溶銑搬送容器内に溶銑の一部が残存する。
溶銑搬送容器内に溶銑の一部が残存した場合、その後、溶銑を再度受銑する前の冷鉄源の重機による溶銑搬送容器への装入においては、冷鉄源装入時の落下衝撃による溶銑の飛散、及び、溶銑と冷鉄源に付着する水分との急激な反応(水蒸気爆発)による安全上の問題及び設備破損が危惧される。
作業員の安全は最優先に考慮されるべき事柄であるから、上記のように溶銑が溶銑搬送容器内に残存した状況においては、冷鉄源の溶銑搬送容器への装入を中止せざるを得ず、冷鉄源の装入中止による溶銑生産量の減少を強いられていた。
特許第4438562号公報 特開2007-113056号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑搬送容器に冷鉄源を装入しておき、その後、溶銑搬送容器に注入される溶銑の顕熱で前記冷鉄源を溶解するにあたり、溶銑搬送容器に溶銑が残留した場合であっても、冷鉄源装入時の落下衝撃による溶銑の飛散、及び、溶銑と冷鉄源に付着する水分との急激な反応を未然に防止することのできる、溶銑搬送容器での冷鉄源の溶解方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]溶銑搬送容器に冷鉄源を装入しておき、その後、高炉から出銑され、前記溶銑搬送容器に注入される溶銑の顕熱で前記冷鉄源を溶解する、溶銑搬送容器での冷鉄源の溶解方法であって、
前記溶銑搬送容器に冷鉄源を装入する前に前記溶銑搬送容器に溶銑が残存しているとき、前記溶銑搬送容器に残存する溶銑を凝固させ、その後、前記溶銑搬送容器に冷鉄源を装入することを特徴とする、溶銑搬送容器での冷鉄源の溶解方法。
[2]前記溶銑搬送容器に溶銑の飛散が起こらない粒径を有し且つ溶銑と粒状物質に付着する水分との急激な反応が起こらない粒状物質を投入し、該粒状物質に溶銑の顕熱及び潜熱を吸収させて前記溶銑搬送容器に残存する溶銑を凝固させることを特徴とする、上記[1]に記載の溶銑搬送容器での冷鉄源の溶解方法。
[3]前記粒状物質の粒径は80mm以下であることを特徴とする、上記[2]に記載の溶銑搬送容器での冷鉄源の溶解方法。
[4]前記粒状物質は、コークス粉、脱硫スラグの磁着物、アルミニウムよりもイオン化傾向の大きい金属元素の酸化物の群から選択された1種または2種以上であることを特徴とする、上記[2]または上記[3]に記載の溶銑搬送容器での冷鉄源の溶解方法。
本発明によれば、溶銑搬送容器に溶銑が残存した場合には、残留した溶銑を凝固させてから冷鉄源を装入するので、溶銑搬送容器に溶銑が残留した場合であっても、冷鉄源装入時の落下衝撃による溶銑の飛散、及び、溶銑と冷鉄源に付着する水分との急激な反応を未然に防止すること実現される。
本発明に係る溶銑搬送容器での冷鉄源の溶解方法の処理工程を示すフロー図である。 コークス粉投入前後での溶銑鍋の底部の撮影写真である。 脱硫スラグの磁着物の投入前後での溶銑鍋の底部の撮影写真である。 本発明を適用した前後での冷鉄源装入実施比率の変化を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態を示す図であって、本発明に係る溶銑搬送容器での冷鉄源の溶解方法の処理工程を示すフロー図である。ここで、溶銑搬送容器とは、高炉で溶製され、高炉から出銑される溶銑を受銑し、受銑した溶銑を次工程の製鋼工場に搬送し、搬送した溶銑を製鋼工場所属の設備(転炉装入鍋、混銑炉など)に払い出し、その後、高炉に戻って溶銑を受銑するというサイクルを繰り返して実施する設備である。
溶銑搬送容器としては、軌条(レール)上を自走する混銑車、及び、軌条上を移動する台車に積載されて移動する溶銑鍋(「高炉鍋」とも呼ぶ)が代表的であり、図1では、溶銑搬送容器として溶銑鍋を用いた場合を示している。以下、受銑の段階から処理工程に沿って説明する。
冷鉄源13が予め装入された溶銑鍋1を高炉の傾注樋3の直下に配置し、高炉から出銑され、高炉の鋳造床に設置された溶銑樋(図示せず)を流下し、溶銑樋から傾注樋3に落下する溶銑2を、傾注樋3を介して受銑する。溶銑鍋1に装入されていた冷鉄源13は、溶銑鍋1に施工された耐火物1aの保有する熱で予熱されていることも相まって、傾注樋3から注入される溶銑2の顕熱で溶解する。使用する冷鉄源13としては、鉄スクラップ、直接還元鉄、冷銑などが好適である。
受銑後、傾注樋3の直下から溶銑鍋1を引き出し、溶銑予備処理が行われる予備処理センターに、溶銑2を収容した溶銑鍋1を搬送する。予備処理センターでは、溶銑2の脱珪処理、脱燐処理、脱硫処理のうちの1種または2種以上を実施する。
ここで、脱珪処理とは、溶銑2に酸素源または酸素源及びCaO系媒溶剤を添加して溶銑中の珪素をSiOとして酸化除去する処理であり、脱燐処理とは、溶銑2に酸素源とCaO系媒溶剤とを添加して、溶銑中の燐を酸化し且つCaO系媒溶剤中に3CaO・Pとして取り込み、溶銑中の燐を酸化除去する処理であり、脱硫処理とは、溶銑2にCaO系脱硫剤や金属マグネシウムを添加して溶銑中の硫黄を還元除去する処理である。溶銑2の脱珪処理、脱燐処理、脱硫処理のうちの2種以上を実施する場合、脱珪処理は脱燐処理の前に実施し、脱硫処理は、脱珪処理及び脱燐処理との順序はどのようでも構わない。
いずれの溶銑予備処理でも、処理後には、除去対象である溶銑中の珪素、燐、硫黄が、溶銑上に存在するスラグ中に取り込まれており、このスラグを溶銑鍋1から除去することで、それぞれの溶銑予備処理が完了する。スラグを除去しないまま次工程を行った場合には、除去対象である元素がスラグ側から溶銑側に戻り、溶銑中の除去対象元素の含有量が上昇し、溶銑予備処理の効率が悪化する。
図1では、溶銑予備処理として、CaO系脱硫剤を用いた脱硫処理を例示している。CaO系脱硫剤を用いた溶銑2の脱硫処理では、インペラー4を溶銑2に浸漬させ、インペラー4を所定の回転速度で回転させて、溶銑2の浴面上に添加したCaO系脱硫剤を溶銑中に巻き込ませ、CaO系脱硫剤と溶銑中の硫黄とを反応させ、溶銑中の硫黄をCaSとしてCaO系脱硫剤中に取り込んでいる。脱硫処理後、CaSを含有するCaO系脱硫剤がスラグ5として溶銑浴面上に浮上する。
このスラグ5を溶銑鍋1から除去するために、脱硫処理後、溶銑鍋1を溶銑2が流出しない程度に傾斜させ、スラグドラッガー6によってスラグ5を掻き出す。その際に、CaO系脱硫剤からなるスラグ5の一部が掻き出される前に溶銑鍋1の口元で固化・付着し、溶銑鍋1の口元に堰(図示せず)を作る。尚、スラグドラッガー6は、アーム6aを水平方向前後に移動させ、溶銑鍋内のスラグ5を溶銑鍋1の上端部から掻き出すという装置である。
スラグ5の除去を行った後、溶銑予備処理が施された溶銑2を収容する溶銑鍋1を製鋼工場に搬送する。そして、溶銑鍋1から製鋼工場所属の設備(転炉装入鍋、混銑炉など)に溶銑2を払い出す。図1では、製鋼工場所属の設備として、転炉装入鍋7を例示している。尚、転炉装入鍋7とは、溶銑2を転炉(図示せず)に装入するための容器である。
口元にスラグ5による堰ができた溶銑鍋1から転炉装入鍋7に溶銑2を払い出した場合、口元の堰が溶銑2の円滑な排出を阻害し、溶銑2の全てを排出することができず、溶銑鍋1に溶銑2の一部が残存することが発生する。本明細書では、溶銑鍋1に残存した溶銑2を「残留溶銑8」と称す。溶銑鍋内に溶銑2の一部が残存した場合、その後の冷鉄源13の溶銑鍋1への装入において、冷鉄源13の装入時の落下衝撃による残留溶銑8の飛散、及び、残留溶銑8と冷鉄源13に付着する水分との急激な反応(水蒸気爆発)による安全上の問題及び設備破損が危惧される。
そこで、本発明では、上記安全上の問題及び設備破損を未然に防止するために、溶銑鍋1からの溶銑2の払い出し後、溶銑鍋1に残留溶銑8が有るか無しかをチェックする。残留溶銑8の有無のチェックは、作業員による目視でのチェック、光学カメラによる撮影でのチェックなどで実施する。そして、溶銑鍋1に溶銑2が残存している場合は、溶銑鍋1に残存する溶銑2を凝固させ、つまり残留溶銑8を凝固させ、その後、溶銑鍋1に冷鉄源13を装入する。溶銑鍋1に溶銑2が残存していない場合は、なんら処置を行うことなく、溶銑鍋1に冷鉄源13を装入する。
残留溶銑8は溶銑鍋1を大気中で放冷するだけでも凝固するが、凝固が完了するまでに時間を要するので、この時間を短縮させるために、残留溶銑8の飛散が起こらない程度の粒径を有し、且つ、残留溶銑8と粒状物質10に付着する水分との急激な反応が起こらない粒状物質10を溶銑鍋1に投入し、投入した粒状物質10に残留溶銑8の顕熱及び潜熱を吸収させ、溶銑鍋内の残存溶銑8を凝固させることが好ましい。図1は、ホッパー9に収容された粒状物質10を溶銑鍋1に投入する様子を示している。
具体的には、粒状物質10の粒径は80mm以下とし、また、粒状物質10としては、コークス粉、脱硫スラグの磁着物、アルミニウムよりもイオン化傾向の大きい金属元素の酸化物の群から選択された1種または2種以上であることが好ましい。粒状物質10の投入量は150~500kgとすることが好ましい。粒状物質10の粒径が80mm以下であれば、残存溶銑8の飛散は発生しない。また、粒状物質10の投入量が150~500kgであれば、残留溶銑8を確実に凝固させることができる。尚、粒状物質の粒径測定はJIS-Z-8801-1で規定された公称目開きの篩を使用して行った。
コークス粉は、残留溶銑8の顕熱及び潜熱を吸収するための十分な熱容量を有するのみならず、コークス粉自体が燃焼し、この燃焼熱で、その後に装入される冷鉄源13を予熱することができる。脱硫スラグの磁着物は、CaO系脱硫剤を用いた溶銑2の脱硫処理によって生成したスラグ5を冷却し、冷却後に磁力選別して回収したものであり、主体は銑鉄であり、残留溶銑8の顕熱及び潜熱を吸収するための十分な熱容量を有している。
アルミニウムよりもイオン化傾向の大きい金属元素の酸化物の場合、熱容量は前記2つの物質に比較して劣るために、投入量が増大する。しかし、鉄よりもイオン化傾向の小さい金属元素の酸化物は、固体酸素源として溶銑を酸化させ、思いがけない爆発的反応を発生させることに対して、アルミニウムよりもイオン化傾向の大きい金属元素の酸化物は、溶銑を酸化する能力はないため、投入設備や投入作業者の安全を確保できることから、凝固させるための投入物として適正である。
溶銑鍋内の残留溶銑8が凝固完了したなら、溶銑鍋内に冷鉄源13を装入する。溶銑鍋内への冷鉄源13の装入は、図1に示すように、重機11に取り付けられたリフティングマグネット12に冷鉄源13を磁着させて吊り上げ、リフティングマグネット12を脱磁して吊り上げた冷鉄源13を溶銑鍋内に落下して装入するという方法が好適である。
所定量の冷鉄源13を溶銑鍋1に装入した後、この溶銑鍋1を高炉の傾注樋3の直下に配置し、高炉から出銑される溶銑2の受銑を待機する。
以上説明したように、本発明によれば、溶銑搬送容器に溶銑が残存した場合には、残留した溶銑を凝固させてから冷鉄源を装入するので、溶銑搬送容器に溶銑が残留した場合であっても、冷鉄源装入時の落下衝撃による溶銑の飛散、及び、溶銑と冷鉄源に付着する水分との急激な反応を未然に防止すること実現される。
尚、上記説明は、溶銑搬送容器として溶銑鍋1を使用した場合を例として説明したが、溶銑搬送容器として混銑車を使用する場合も、上記に沿って本発明を実施することができる。
溶銑搬送容器として、アルミナ(Al)を主成分とする耐火物が施工された内容量200トンの溶銑鍋を用いて本発明を実施した。
この溶銑鍋で高炉から出銑される溶銑を受銑し、その後、溶銑に所定の溶銑予備処理(脱硫処理)を施し、製鋼工場へ搬送した。製鋼工場において、溶銑鍋から転炉装入鍋へ溶銑を払い出し、溶銑の払い出し後、作業者が目測で1~4トンの残留溶銑を視認した場合に、溶銑鍋待機位置の上方に設置されているホッパーから、150~500kgの粒径が8~20mmのコークス粉を、溶銑を凝固させるための粒状物質として溶銑鍋内に投入した。
尚、目測による残留溶銑が1トン未満の場合は、放冷だけで冷鉄源の添加時期までには残留溶銑が凝固することを確認しており、したがって、溶銑を凝固させるための粒状物質の添加は実施しないことした。
その結果、コークス粉を投入することで、残留溶銑が十分に凝固することを確認した。図2に、コークス粉投入前後に、溶銑鍋の底部を撮影した写真を示す。図2に示すように、コークス粉の投入で、残留溶銑が凝固していることが確認できる。尚、残留溶銑が凝固したか否かを確認する方法として、溶銑鍋を水平線に対して傾斜させ、残留溶銑が移動するか否かで確認することもできる。
コークス粉の投入後、溶銑鍋を冷鉄源装入場所に移動し、冷鉄源装入場所に配置された重機に取り付けられたリフティングマグネットによって7トンの厚板屑及び鋼塊屑を冷鉄源として溶銑鍋に装入した。厚板屑及び鋼塊屑は、降雨により濡れた場合は溶銑鍋への装入を中止する以上の水分管理はしていない。重機による冷鉄源の溶銑鍋への装入時に、溶銑の飛散や水蒸気爆発などの異常反応の発生はなかった。
この処理工程では、投入したコークス粉が残留溶銑から顕熱及び潜熱を奪って残留溶銑を凝固させることから、受銑した溶銑への温度影響が危惧されたが、冷鉄源の装入量に対して投入したコークス量が十分に少ないことから、溶銑への温度影響は検出されなかった。また、残留溶銑の質量については、現実的に生成し得る溶銑鍋口元の堰の大きさと溶銑鍋の形状とから、残留溶銑が4トンを超えることはなかったが、粒状物質の投入量を調整することにより、4トンを超える残留溶銑が発生した場合でも本発明を実施可能である。
また、同じ溶銑鍋に対して、コークス粉の代わりに、粒径が80mm以下の脱硫スラグの磁着物を300~500kg投入した。この場合も、残留溶銑が十分に凝固することを確認した。図3に、脱硫スラグの磁着物の投入前後に、溶銑鍋の底部を撮影した写真を示す。図3に示すように、脱硫スラグの磁着物の投入で、残留溶銑が凝固していることが確認できる。その後の重機による冷鉄源の装入時には、溶銑飛散や水蒸気爆発などの異常反応の発生はなかった。
図4に、本発明を適用した前後での冷鉄源装入実施比率の変化を示す。図4は、(1)冷鉄源装入実施、(2)残留溶銑による冷鉄源装入不可、(3)残留溶銑以外の理由による冷鉄源装入不可の3種類に分類し、本発明実施月と前年同月とで、一ヶ月間に受銑した溶銑鍋の総数、つまり、受銑回数を母数として比率(百分率)で示したグラフである。
図4に示すように、本発明を適用する前は冷鉄源装入実施比率が30%であったが、本発明を適用することで、「残留溶銑による冷鉄源装入不可」は大幅に低減し、冷鉄源装入実施比率を48.8%に上昇させることができ、その結果、月間2013トンの冷鉄源装入を実現できた。尚、「残留溶銑以外の理由による冷鉄源装入不可」は、降雨により冷鉄源が濡れて溶銑鍋への冷鉄源の装入を中止した場合、及び、タイムスケジュール的に次の受銑に間に合わず、溶銑鍋への冷鉄源の装入を中止した場合が主な原因である。
1 溶銑鍋
1a 耐火物
2 溶銑
3 傾注樋
4 インペラー
5 スラグ
6 スラグドラッガー
6a アーム
7 転炉装入鍋
8 残留溶銑
9 ホッパー
10 粒状物質
11 重機
12 リフティングマグネット
13 冷鉄源

Claims (3)

  1. 高炉から出銑された溶銑を溶銑搬送容器で受銑し、受銑した溶銑を次工程の製鋼工場に搬送し、搬送した溶銑を製鋼工場所属の設備に払い出した後に、前記溶銑搬送容器に冷鉄源を装入し、その後、高炉から出銑され、前記溶銑搬送容器に注入される溶銑の顕熱で前記冷鉄源を溶解する、溶銑搬送容器での冷鉄源の溶解方法であって、
    溶銑を製鋼工場所属の設備に払い出した後に前記溶銑搬送容器に溶銑が残存しているに際して、
    前記溶銑搬送容器に粒状物質を投入し、該粒状物質に溶銑の顕熱及び潜熱を吸収させて、前記溶銑搬送容器に残存する溶銑を凝固させ、その後、前記溶銑搬送容器に冷鉄源を装入することを特徴とする、溶銑搬送容器での冷鉄源の溶解方法。
  2. 前記溶銑搬送容器に、溶銑の飛散が起こらない、80mm以下の粒径を有する粒状物質を投入することを特徴とする、請求項1に記載の溶銑搬送容器での冷鉄源の溶解方法。
  3. 前記溶銑搬送容器に、溶銑と粒状物質に付着する水分との急激な反応が起こらない、コークス粉、脱硫スラグの磁着物、アルミニウムよりもイオン化傾向の大きい金属元素の酸化物の群から選択された1種または2種以上である粒状物質を投入することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の溶銑搬送容器での冷鉄源の溶解方法。
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