JP2003147425A - 溶銑の脱珪方法 - Google Patents

溶銑の脱珪方法

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JP2003147425A JP2001346222A JP2001346222A JP2003147425A JP 2003147425 A JP2003147425 A JP 2003147425A JP 2001346222 A JP2001346222 A JP 2001346222A JP 2001346222 A JP2001346222 A JP 2001346222A JP 2003147425 A JP2003147425 A JP 2003147425A
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高炉鋳床での溶銑脱珪方法において、脱珪効
率を上げながら脱珪時のスラグフォーミングを抑制す
る。 【解決手段】 高炉からの溶銑を受銑容器に受銑する
際、受銑初期に該溶銑に脱珪剤の全量を投入し、脱珪剤
投入後アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属化合
物を投入する。また、生成するSiO2量に応じてアルカリ
金属及び/またはアルカリ土類金属化合物を投入する。
更に、受銑容器に残る残留溶銑量に応じて脱珪剤を投入
する。 【効果】 高炉鋳床での溶銑脱珪方法において、脱珪時
のスラグフォーミングを抑制することで所定量の溶銑を
受銑容器に収容可能とし、受銑容器の搬送過程でのスラ
グの溢出、飛散を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉鋳床での溶銑
の脱珪方法に関し、特に脱珪時のスラグフォーミングを
抑制し、所定量の溶銑を受銑容器に収容可能とし、受銑
容器の搬送過程において脱珪スラグの溢出、飛散を防止
することの出来る溶銑脱珪方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高炉から出銑された溶銑は、製鋼工程に
おいて酸素を吹き込むことにより脱炭され鋼となる。こ
の時、石灰石、蛍石等の精錬剤の添加により溶銑中の燐
も除去される。この脱燐反応(燐の酸化反応)には、所
定のCaO / SiO2値(以下この値を塩基度と称する)とCa
F2濃度のスラグが求められることが公知である。しかし
ながら、溶銑中に珪素(以下Siと表示する)が多いと、
燐よりも先にSiの酸化が進みSiO2としてスラグを形成
し、必然的に精錬剤の使用量が増加しコストの悪化につ
ながる。また、前記スラグが加算されることで製鋼工程
での発生スラグ量が増加し、その処置に手間が掛かるこ
とになる。
【0003】このため、脱炭・脱燐工程の前に脱珪処理
を行う方法が一般的に採用されている。この脱珪処理
は、溶銑中のSiを酸化することにより行われ、特開昭53
−43019 号にて開示されているミルスケールや鉄鉱石と
いった酸化鉄等の固体酸素を添加する方法、特開昭58−
31012 号に開示されている空気や純酸素といった気体酸
素を吹き込む方法、または、特開昭62−80212 号に開示
されている固体酸素と気体酸素を組み合わせた方法、が
知られている。
【0004 】また、脱珪処理には、特開昭57−92116 号
に開示されている如く、高炉から出銑された溶銑を受銑
容器に受け入れる間の流路で、すなわち溶銑樋、傾注樋
等で脱珪剤を添加し、溶銑の受銑容器への落下エネルギ
ーを利用して攪拌を行い、反応促進を図る例と、特開昭
57−63610 号に開示されている如く、高炉から製鋼工程
への搬送過程に脱珪ステーションを設け、該ステーショ
ンで受銑容器に気体と共に固体脱珪剤を吹き込み、その
気体により攪拌力を付与して反応促進を図る、例があ
る。
【0005】ところで、脱珪処理の際には、脱珪剤とし
て添加する酸化鉄等と、それにより生成するSiO2からな
る脱珪スラグが受銑容器内の溶銑表面を覆って存在す
る。この脱珪スラグと溶銑の接触面で、溶銑中の炭素
[C]とスラグ中に残存する酸化鉄が反応して一酸化炭
素ガスを生成するが、溶銑中には[C]が約5%、[S
i]が約0.2 〜0.5 %含有されており、炭素の量が多い
ため下記の化学式1で表される反応が起こりやすい。
【0006】
【化1】(FeO )+ [C]= [Fe] + CO↑
【0007】上記化学式1で表される反応によって生成
される一酸化炭素ガスは、スラグ中を通過し、大気中に
離脱していくが、脱珪スラグはSiO2を主体とした高粘性
のスラグであり、短時間にスラグ中を通過することが出
来ない。この結果、スラグ中に気泡が多数存在すること
になり、スラグ密度が低下し見掛けのスラグ容積が増加
する。このような現象は、スラグフォーミングといわ
れ、脱珪処理を施す場合の考慮事項である。
【0008】このスラグフォーミングは、受銑容器の受
銑可能容量の大幅な低下を招き、受銑容器の必要稼動台
数の増加や、製鋼工程への受銑容器内での溶銑の滞留時
間の増加による溶銑温度の低下等のコスト悪化につなが
る。また、スラグフォーミングが発生した場合、受銑容
器から脱珪スラグが溢出、飛散することもあり安全上の
問題となる。
【0009】スラグフォーミングの防止策としては、脱
珪剤の投入量に制限を加えたり、溶銑処理量を制限せざ
るを得ないので、溶銑中のSi含有量を所望の値まで低下
させることが困難となる。
【0010】また、スラグフォーミング発生時の受銑容
器内の温度の低下は、スラグの高粘性化・凝固を招き、
該スラグの高粘性化・凝固によって、受銑容器からの溶
銑排出時に該スラグおよび溶銑が残留する。 前記スラグ
・溶銑が残留していると、次回の受銑時にその残留量分
だけ受銑量が減少し、また前記スラグが高粘性のまま浮
上するので、脱珪剤を投入しても脱珪スラグ中に移行し
てその残存量が多くなり、COガスの発生量が増えると共
に、その離脱が低下してスラグフォーミングを一層助長
し、さらなる受銑量の低下を招くといった悪循環を起こ
す場合もある。従って、常にスラグフォーミングの発生
を抑制することが必要である。なお、このような脱珪ス
ラグは、溶銑に比べ潜熱・熱伝導率共に低いために、一
旦高粘性化・凝固化し始めると、低粘性化は難しい。
【0011】このスラグフォーミングの発生を抑制する
ために、従来種々の技術開発がなされてきた。 、脱珪スラグ中の酸化鉄含有量を低下させ溶銑中の
[C]との反応を抑制し発生するCOガス量を減少させる
方法としては、例えば、特開平11−61234 号に開示され
ている金属ALの添加による脱珪スラグ中に含有される酸
化鉄(脱珪剤)の還元による方法がある。
【0012】、発生したCOガスを早期にスラグ浴から
離脱させる方法としては、例えば、特開平05−287346号
に開示されているコークス粉添加によりCOガスの合体破
泡を狙いスラグ浴からの離脱を促進する方法、特開平09
−316513号や特開平10−183218号に開示されているよう
な含油スラッジやタウンコール等を脱珪スラグ中に添加
し、その急激な燃焼によりCOガスをスラグ浴から放出さ
せる方法がある。
【0013】しかしながら、の特開平11−61234 号に
記載の方法は、スラグ浴中の脱珪剤を還元させCOガスを
発生させないために、わざわざ高価な金属ALを使用する
もので、脱珪反応の促進に何の効果も無く無駄な処置で
ある。またの特開平05−287346号、特開平09−316513
号、特開平10−183218号の方法も、発生してしまったCO
ガスをスラグ浴から放出させるために、わざわざ昇熱材
を供給するもので、これも脱珪反応の促進に何の効果も
無く無駄に処理時間を長引かせる処置であり、いずれも
問題がある。
【0014】そこで、前記、の問題点を解決できる
脱珪方法として、脱珪時にスラグ調整用添加剤としてア
ルカリ金属もしくはアルカリ土類金属化合物を添加し、
脱珪スラグの改質を図る方法が特開昭54−68713 号に開
示されている。このスラグ調整用添加剤として、一般的
には石灰が用いられ、その添加により以下の効果が得ら
れる。
【0015】すなわち、石灰の添加により、脱珪反応で
生成したSiO2を主成分とし酸化鉄含有のスラグと溶銑と
の界面での活量が低下し、返ってSiの酸化反応が促進さ
れ、相対的に脱炭反応を抑制することによりCOガスの発
生量を低下させることが出来る。また、脱珪スラグ全体
の粘性を低下させ、発生したCOガスのスラグ浴からの離
脱を容易にさせる。さらには、脱珪スラグの粘性を低下
させることにより、後工程における排滓を容易にし受銑
容態内の残留スラグを減少させることが可能となる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、脱珪剤
と共に単に調整用添加剤として石灰が用いられ上記特開
昭54−68713 号に記載の方法にも以下の問題が残ってい
る。すなわち、 、脱珪剤の添加時期、および脱珪剤と共に添加するス
ラグ調整用添加剤の添加時期によって、スラグフォーミ
ングが激しく発生する場合がある、 、脱珪スラグの塩基度によって、スラグフォーミング
が激しく発生する場合がある、 、受銑前の受銑容器内の残存溶銑・溶滓量によって、
スラグフォーミングが激しく発生する場合がある。 したがって、脱珪剤の投入量に制限を加えたり、溶銑の
受銑量を減少せざるを得ないと言う問題があった。
【0017】本発明は、上記したような問題点を解決せ
んとしてなされたものであり、スラグフォーミング抑制
を安定的に行い、脱珪剤の最大投入可能量を常に維持す
ることが出来る方法の提供を目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明に係る溶銑の脱珪方法は、高炉から出銑
された溶銑を受銑容器に受銑す際の受銑初期に、該溶銑
に脱珪剤の全量を投入し、脱珪剤投入後アルカリ金属及
び/またはアルカリ土類金属化合物を投入することとし
ている。このようにすることで、スラグフォーミング抑
制を安定的に行い脱珪剤の最大投入可能量を常に維持す
ることができる。
【発明の実施の形態】
【0019】本発明者は、上記のように、脱珪時、脱珪
剤と共にスラグ調整用添加剤として石灰を添加した場合
でも突発的にスラグフォーミングが発生する場合につい
て調査を行い、以下の2点について結論を得た。 、石灰の投入を脱珪剤投入よりも早く、または同時に
した場合は、反応効率向上やスラグフォーミング抑制の
効果が少なく、脱珪スラグ中には未反応の脱珪剤が存在
している。 、受銑前受銑容器内の溶銑及び脱珪スラグの残留量が
多い場合、脱珪時のフォーミング量が多い。
【0020】前者は、石灰等のスラグ調整用添加剤を脱
珪剤の投入前に、もしくは脱珪剤と同時に投入した場合
は、脱珪反応が遅れて高塩基度の脱珪スラグが生成され
るので脱珪スラグが溶融状態とならず、脱珪量の低下や
石灰等によるフォーミング防止効果が発揮されないこと
による。また、高塩基度の脱珪スラグが溶融状態になっ
た場合には、当該脱珪スラグは受銑容器の内張り耐火物
である煉瓦を溶損してしまい、受鉄容器の寿命を極端に
低下させてしまう。このため、第1の本発明では、高炉
から出銑された溶銑を、受銑容器に受銑する際の受銑初
期に、該溶銑に脱珪剤の全量を投入後、溶銑中のSiが酸
化されSiO2として発生する過程において石灰等スラグ調
整用添加剤を投入し、脱珪スラグの塩基度が過度に高く
ならにようにするのである。そしてその際、脱珪処理中
における塩基度を常に所定値とすべく石灰の投入速度を
調整することが望ましい。これが第2の発明である。
【0021】一方、受銑容器内の脱珪スラグは、通常、
溶銑の排出と共に排出されるが、排出状況の違い、スラ
グの粘性等により受銑容器内に残留してしまうことがあ
る。受銑容器内の残留量が多量の場合、その残留量分受
銑量が少なくなるため受銑時間が短くなる。脱珪剤は受
銑容器内で流下溶銑流による攪拌作用により、脱珪反応
が進行しているので受銑時間が短いと、その分脱珪スラ
グを含めた攪拌時間も減少し未反応の脱珪剤(FeO )が
多量に脱珪スラグ中に残存することになる。脱珪スラグ
中の脱珪剤(FeO )は、溶銑との界面で溶銑中の濃度の
高い[C]と反応してCOガスを発生させる。 それ故、受
銑末期ないし受銑終了後にフォーミングが激しく発生す
る。
【0022】また、受銑容器内に脱珪スラグが残留して
いる状態で、脱珪処理を実施した場合、脱珪処理により
発生する脱珪スラグに加えて、時間の経過で粘性の高く
なった残留脱珪スラグもフォーミングを助長させるた
め、受銑量の極端な低下、受銑容器からの脱珪スラグの
溢出、飛散等が起こる。これらが、後者の脱珪時にフォ
−ミング量が多くなる理由である。
【0023】このため、上記第1、第2の発明において
は、予め受銑容器内の残留物の量を測定し、これらによ
るフォーミングへの影響が許容範囲であるように脱珪剤
の量を規定することが望ましい。これが第3の発明であ
る。具体的には、受銑前に受銑容器内に残留している溶
銑重量を算出し、予め定められた溶銑残留量と受銑時間
との相関関係から、前記算出残留重量に対する受銑時間
を求め、別途定められたスラグフォーミングを起こさな
い脱珪スラグ中の限界残存FeO 濃度から、予め定められ
た受銑時間と限界残存FeO 濃度と脱珪剤投入重量との関
係より、前記求めた受銑時間に対応する可能投入重量の
脱珪剤を投入するのである。これが第4の発明である。
【0024】
【実施例】以下、本発明を出銑量5000ton/日の高炉にお
いて実施した実験例に基づいて、更に詳細に説明する。
図1は、本発明の実験例を示した模式図である。高炉か
ら出銑された溶銑6を溶銑樋1、傾注樋2を介して、受
溶容器であるトーピドカー3に注入する際に、別途脱珪
剤を収容した脱珪剤収容容器4、生石灰(以下単に石灰
と称する)を収容した石灰収容容器5の下端にその所定
量を切出すことのできる切出しバルブ41、51を設
け、前記切出しバルブ41、51で切出された脱珪剤お
よび石灰を、空気輸送し、トーピドカー3に流下する直
前の溶銑に対し、脱珪剤および石灰の所定量を直接吹付
けた。
【0025】図1の実験位置は、高炉出銑口に近い出銑
樋に設けられたスキンマー、すなわち溶銑と高炉スラグ
の分離器で高炉スラグが分離された後の溶銑のみが流れ
る位置であって、溶銑に対し脱珪剤および石灰を直接吹
付けられる位置である。 また石灰は、本発明におけるア
ルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属化合物を代表
したもので、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属化
合物には、MgO,MnO, K2O, NaO, CaO, CaCO3等がある。
実験条件を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】まず、本発明の効果を確認する前に、脱珪
剤の投入時期について、検討した。脱珪剤である固体酸
素(FeO )と溶銑中のSiとの反応は、攪拌域(溶銑流下
位置)が最も激しいことが予想され、今回の実験でも確
認された。 図2は、上記の条件で、脱珪剤の投入量を10
00kgとし、受銑開始直後から毎分200 kgの割合で約5分
間投入した時の受銑開始から受銑完了までのSiO2発生量
を調査した場合の実験結果である。
【0028】この図2より、SiO2の生成量は、受銑開始
から30分経過後の受銑完了時では220kg であるのに対
し、受銑開始から18分経過後では140kg であり、脱珪剤
の投入からの受銑時間が長いほど、脱珪に有利なことが
わかる。この脱珪反応は、溶銑の受銑容器への流下によ
る攪拌が主で、受銑時間が長くなるほど攪拌時間が長く
なり、より反応が進むと思われる。したがって、 脱珪
剤の投入は、受銑量が半分以下、望ましくは25%以下の
受銑初期にすべきであり、遅くなれば不利である。ま
た、投入した未反応の脱珪剤は浮上してSiO2(脱珪スラ
グ)中に残留しているものと思われる。よって、脱珪剤
の投入後であって、脱珪剤の投入によりSiO2が生成し始
めた後に石灰の投入を行うのである。本実施例では、石
灰投入量は脱珪剤の投入量の約80%とし、最終塩基度は
0.8 を目標とした。
【0029】なお、石灰投入の効果は、先にも述べた通
り、脱珪反応で生成するSiO2を主成分とし酸化鉄含有ス
ラグと溶銑との界面での活量が低下し、返ってSiの酸化
反応が促進され、相対的に脱炭反応が抑制されることで
ある。また、生成する脱珪スラグの粘性は、FeO −SiO2
−CaO 系のスラグでありSiO2のみのスラグ粘性よりも低
下し、ひいては発生するCOガスの離脱を容易にし、スラ
グフォーミングが抑制される。
【0030】特に、本発明では、望ましい脱珪方法とし
て、生成するSiO2重量にあわせて、石灰を投入し、脱珪
スラグの塩基度を所定値にすることとしている。図3
は、横軸に生成した脱珪スラグの塩基度(C/S は塩基度
を示す)を、縦軸に脱珪量(ΔSi(%))を表示してい
る。この図3より、脱珪スラグの塩基度が0.8 近傍で脱
珪量(ΔSi(%))が最も多く、この値を境にして塩基
度が高くても低くても低下していることが分る。したが
って、生成するSiO2重量に合わせて石灰を投入し、脱珪
スラグの塩基度を所定値、例えば0.4 〜1.2 の範囲に合
わせれば効率の良い脱珪が可能となる。
【0031】生成するSiO2重量の把握方法は、図2に示
した相関関係を利用して、予測SiO2重量に応じて所定重
量の石灰を経時的に投入すればよい。
【0032】さらに本発明は、受銑前の受銑容器内の残
留溶銑重量に応じて脱珪剤を投入することとしている。
この発明では、受銑前に、受銑容器内の残留物とその残
留量を算出する必要がある。残留物は主として溶銑と脱
珪スラグであり、その残留量の算出は、受銑容器内に残
留物が存在した状態で、歪み重量計、またはロードセル
重量計等により重量の測定を行うと共に、容器底部のレ
ベルをマイクロ波レベル計等で測定することにより行
う。一方で、受銑容器内に残留物が存在しない状態を、
事前に、重量の測定を行うと共に、容器底部のレベルを
マイクロ波レベル計等を用いて測定しておく。そして、
上記の重量差を算出し、前記算出値を残留物重量とする
と共に、上記のレベル差を算出し、前記算出値を基に補
正を加味しながら残留物体積を求める。
【0033】これら残留物重量と前記残留物体積、およ
び、すでに既知となっている溶銑、溶滓の比重から、受
銑容器内の残存溶銑および溶滓の重量と体積を定めるこ
とができる。残存溶銑の重量より受銑可能重量が分か
り、受銑速度(ton/min)と併せて受銑時間が予測でき
る。受銑速度は、受銑位置に設置され受銑容器載置台に
取付けられた、例えば歪み重量計の増加速度値、また
は、高炉の大きさから決まる過去の実績値を採用しても
よい。図4は、上記関係を表したもので、横軸に受銑前
の受銑容器内残留溶銑量(ton )と縦軸に受銑時間
(分)の関係を示している。
【0034】一方、脱珪スラグ中に含有する未反応の脱
珪剤(FeO )濃度と、そのスラグ厚さの関係を調べる
と、ある一定の関係のあることが判明した。これを図示
したのが図5である。図5に示すように、スラグ中に含
有するFeO 濃度が、15質量%を境にスラグ厚さが急激に
増加している。すなわち、未反応のFeO 濃度が15質量%
を超えた時点からスラグフォーミングが発生し始めたと
言うことができる。したがって、スラグフォーミングの
発生を抑えるには、スラグ中の未反応FeO 濃度を15質量
%以下に抑える必要がある。
【0035】以上整理してみると、脱珪剤1000kgを受銑
直後から5分間に投入し、塩基度1.3 を目標にした処理
では、受銑時間(横軸)と、受銑末期脱珪スラグ中FeO
濃度(%)(縦軸)の関係は、図6の様になった。ま
た、図中破線は、図5で示したスラグフォーミング発生
の予想点で、スラグ中FeO 濃度が15質量%の値である。
脱珪剤を受銑直後から例えば5分間で投入すると定め、
このような関係を、例えば投入脱珪剤重量の異なる900k
g 、800kg 、700kg 等について想像線に示す様に定めて
おくと、残留溶銑重量から受銑時間が分れば、スラグフ
ォーミングが発生しない脱珪剤の投入重量が容易に決定
できる。
【0036】また、図2からの予測SiO2重量より求まる
脱珪時の予想発生スラグ体積と、受銑前の残存スラグ体
積の総和を求めることで、受銑容器内スラグ体積が推定
されるので、脱珪スラグの溢出が予想された場合は投入
脱珪剤重量の微調整を行う。以上、受銑前の受銑容器内
の残留溶銑溶滓量から求まる最適脱珪剤重量を投入する
ことにより、フォーミングによる受銑重量の低減、スラ
グの溢出等を発生させることなく脱珪処理を実施するこ
とができる。
【0037】上記実験例では脱珪剤として焼結鉱を使用
したが、ミルスケール、その他鉄鉱石等身近なものを使
用しても構わないし、アルカリ金属もしくはアルカリ土
類金属化合物も石灰以外のものを使用しても構わない。
また、脱珪剤、石灰の投入場所は高炉出銃口から受銑容
器間のどの場所で行っても構わないし、その搬送は気体
輸送でなくともよい。
【0038】(実施例1)石灰の投入時期について表1
の実験条件と同条件で下記により実施した。脱珪剤の投
入時期はそれぞれ受銑直後から5分間、石灰の投入時期
は、図2の発生SiO2重量に従い塩基度1.0 を目標に、比
較例では脱珪剤投入前に一括投入し、本発明例では受銑
から10分後より5分間隔に分散して投入した。この結
果、下記表2に示すように、石灰を脱珪剤より先に投入
した場合と比較して、本発明の塩基度調整投入方法はス
ラグフォーミング発生頻度は低下し、受銑量の低下も抑
制できた。
【0039】
【表2】
【0040】(実施例2)受銑容器内の溶銑残留時の脱
珪について、表1の実験条件と同じ条件で下記により実
施した。脱珪剤の投入時期はそれぞれ受銑直後から5分
間、石灰の投入時期は、図2の発生SiO2重量に従い塩基
度1.0 を目標に、受銑から10分後より5分間隔に分散し
て投入した。なお、溶銑残留重量の算出は、前述の様
に、その重量はロードセル重量計により、体積はマイク
ロ波レべル計により測定し、溶銑・溶滓の比重を加味し
た算出方法を採用した。この結果、表3に示すように受
銑容器内残留量が変化しても、脱珪時にスラグフォーミ
ングを起こさず安定した受銑が可能となった。
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る溶銑
の脱珪方法によれば、スラグフォーミングの発生が抑制
でき、受銑容器に必要量の溶銑が受銑でき、かつ、スラ
グの溢出等のない状態で最大限の脱珪剤投入量を維持し
つつ安定的に脱珪処理を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱珪剤および石灰を投入する設備を模式的に示
す図である。
【図2】受銑開始時に脱珪剤を投入した時の受銑開始か
らの時間と、SiO2発生量との関係を示す図である。
【図3】脱珪スラグの塩基度と、溶銑中含有Siの低減量
との関係を表す図である。
【図4】受銑前の受銑容器内残留溶銑量(t)と、受銑
時間(分)との関係を表す図である。
【図5】脱瑳スラグ中のFeO 濃度(%)と、スラグ厚さ
(cm)の関係を示す図である。
【図6】受銑時間と、受銑末期の脱珪スラグ中FeO 濃度
(%)の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 溶銑樋 2 傾注樋 3 トーピドカー 4 脱珪剤収容容器 41 切出しバルブ 5 石灰収容容器 51 切出しバルブ 6 溶銑

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉から出銑された溶銑を、受銑容器に
    受銑する際の受銑初期に、該溶銑に脱珪剤の全量を投入
    し、脱珪剤投入後アルカリ金属及び/またはアルカリ土
    類金属化合物を投入することを特徴とする溶銑の脱珪方
    法。
  2. 【請求項2】 脱珪剤の投入に伴い生成するSiO2重量に
    あわせて、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属
    化合物を投入し、脱珪処理中における生成スラグの塩基
    度を常に所定値とすることを特徴とする請求項1記載の
    溶銑の脱珪方法。
  3. 【請求項3】 受銑前に受銑容器内に残留している溶銑
    重量を算出し、該算出値に基づいて脱珪剤の可能投入重
    量を求め、該算出投入重量の脱珪剤を投入することを特
    徴とする請求項1または請求項2記載の溶銑の脱珪方
    法。
  4. 【請求項4】 受銑前に受銑容器内に残留している溶銑
    重量を算出し、予め定められた溶銑残留量と受銑時間と
    の相関関係から、前記算出残留重量に対する受銑時間を
    求め、別途定められたスラグフォーミングを起こさない
    脱珪スラグ中の限界残存FeO 濃度から、予め定められた
    受銑時間と限界残存FeO 濃度と脱珪剤投入重量との関係
    より、前記求めた受銑時間に対応する可能投入重量の脱
    珪剤を投入することを特徴とする請求項3記載の溶銑の
    脱珪方法。
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