JP4466145B2 - 溶銑の脱珪処理方法 - Google Patents

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本発明は、高炉から出銑された溶銑に酸素源を供給して溶銑中の珪素を除去する脱珪処理方法に関し、詳しくは、製鋼スラグから回収した磁選屑を冷却材として利用した脱珪処理方法に関するものである。
高炉から出銑された溶銑は、転炉で精錬される前に、溶銑予備処理と呼ばれる脱硫処理及び脱燐処理が施される場合が多い。当初、これらの予備処理は、鋼材の品質面上から低硫化や低燐化が要求されるものについて実施されていたが、近年では、転炉における生産性向上、転炉でのMn鉱石の還元によるコスト削減効果などにより、銑鋼一貫の製鉄所における製鋼工程のトータルコストを削減する手段として、出銑されるほぼ全ての溶銑に対して脱硫処理及び脱燐処理が施されるようになってきた。この場合、溶銑の珪素含有量が高いと脱燐反応が阻害されるので、脱燐処理を効率的に行うために溶銑の脱珪処理が予め行われている。
溶銑の脱珪処理は、高炉の鋳床を流れる溶銑或いは溶銑輸送容器内に収容された溶銑に、鉄鉱石やミルスケールなどの固体酸素源または酸素ガスや酸素含有ガスなどの気体酸素源或いは双方を、吹き付けまたは吹き込み、溶銑中の珪素をこれらの酸素源中の酸素によって酸化し、生成した酸化物をスラグとして除去することによって行なわれている。
酸素ガスを酸素源として脱珪処理する場合には、珪素の燃焼熱及び珪素と同時に酸化される炭素、マンガンなどの燃焼熱によって溶銑の温度が上昇する。溶銑の温度が高温になり過ぎると、溶銑輸送容器の内張り耐火物や、脱珪処理で使用するインジェクションランスの耐火物の損耗速度が大幅に増大して操業に支障を来すため、通常、1400〜1450℃を上限とするように、酸素ガスと固体酸素源との供給比率を調整することが行われている(例えば、特許文献1参照)。酸化鉄を主体とする固体酸素源は、そのもの自体の温度が低いことによる冷却効果と、珪素によって還元されて鉄を生成することによる吸熱効果とを有しており、有効な冷却材として機能する。
一方、冷却材として鉄スクラップを利用した脱珪処理方法も提案されている。例えば、特許文献2には、転炉型の反応容器を用い、溶銑と鉄スクラップとを装入し、固体酸素源を用いず、上吹きランスから酸素ガスを吹き付けて、発生する熱によって鉄スクラップを溶解しながら脱珪処理する方法が提案されている。
特開2001−172709号公報 特開2001−271112号公報
固体酸素源は冷却材として極めて有効であり、固体酸素源を使用した場合には溶銑温度の調整が容易になるが、固体酸素源を用いた脱珪処理方法には以下の問題点がある。即ち、発生する熱を固体酸素源の溶解用の熱だけではなく、固体酸素源の還元用の熱としても使用しているため、冷却材として鉄スクラップや地金などを使用した場合に比べて、溶解して生成される鉄分の絶対量が大幅に少ないという点である。換言すれば、冷却材として固体酸素源を使用した場合には、鉄スクラップや地金などを使用した場合に比べて脱珪処理における鉄回収率が低下するという点である。
また、脱珪処理において、鉄鉱石やミルスケールなどの固体酸素源を使用した場合、固体酸素源中の酸素と溶銑中の炭素とが反応してCOガスが発生することにより、スラグが泡立つ現象、所謂スラグのフォーミングが起こるので、鎮静剤を投入するか、或いは、酸素ガスの供給流量を低下するまたは固体酸素源の添加速度を低下するなどの処置を採る必要が生じ、処理時間の延長を招くことも問題点である。スラグのフォーミングが激しい場合には、溶銑輸送容器からこぼれたスラグを除去するために大幅な操業ロスが発生する。
一方、特許文献2のように、鉄スクラップを冷却材として使用した場合には、熱の有効活用の観点からは何ら問題はないが、鉄スクラップのサイズは一般的に大きく、一定量の鉄スクラップを脱珪処理開始前に予め添加する方法では、鉄スクラップの溶解に時間を要することもあって、脱珪処理毎に異なる溶銑の成分や温度の変化に的確に追従することができず、溶銑の温度調整が極めて困難であるという問題点がある。また、鉄スクラップは大型であり、溶銑の飛散などのために脱珪処理中に投入することは難しく、そのため、脱珪処理開始前、鉄スクラップを反応容器内に装入するための時間が必要であり、脱珪処理時間を延長させるという問題点もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑を脱珪処理する際に、従来の固体酸素源を使用した場合と同様に溶銑の温度調整を容易に行うことができると同時に、脱珪処理時間を延長することなく、発生する熱を有効に活用することによって冷却材から多くの鉄分を回収することのできる、効率的で且つ経済的な脱珪処理方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、鋭意検討・研究を実施した。以下に検討・研究結果を説明する。
効率的で且つ経済的な脱珪処理を実施する上で必要な冷却材としての要素は、酸化鉄還元のための熱を極力少なくさせる観点から、酸化鉄の含有量が少なく、鉄スクラップのような地金を主体とするものであることが必要である。但し、通常の鉄スクラップのように、1個の質量が数kg以上、大きなものでは数10kgを超えるような大型であっては、添加量を調整することが困難であるのみならず、添加装置も大がかりなものとなるため、目的にそぐわず、ホッパー及びシュートの組合せによって添加できる程度にサイズの小さいことが必要である。また、所定のサイズにするために、特別に加工したもの或いは製造したものではコストが高くなるため、製鉄所或いは製鋼所で副産物として必然的に発生するものであることも必須条件である。
ところで、溶銑予備処理や転炉精錬、或いは、溶鋼鋳造後の取鍋や連続鋳造用のタンディッシュから発生する製鋼スラグは地金を含んでおり、この製鋼スラグは、地金を回収するために、破砕・分級された後に磁力選別され、スラグと地金とに分離されている。但し、回収された地金(「磁選屑」と称す)にはスラグが付着している。この磁選屑のうち、サイズの大きなものは、転炉脱炭精錬時に転炉炉口から転炉内に投入され、再利用されている。しかし、直径がおよそ10mm以下の小粒または粉体の磁選屑は、転炉脱炭精錬時に転炉炉口から装入すると、排ガスの流速が速く且つ炉上添加位置から炉内湯面までの距離が長いため、排ガスと共に集塵機に吸引されてしまい、添加歩留まりが極めて悪くなる。そのため、直径がおよそ10mm以下の小粒または粉体の磁選屑は、転炉に装入することができず、鉄鉱石の焼結用原料として再利用されている。しかし、鉄鉱石の焼結用原料として再利用した場合、焼結工場において地金の一部を一旦酸化させ、高炉内で還元して溶銑として回収することになり、エネルギーロスひいてはコストがかかることになる。
磁選屑は、スラグ成分は付着しているものの、酸化鉄の含有量が極めて少なく、地金を主体としており、また、サイズも大きくなく、且つ、副産物である製鋼スラグからの回収品であることから、効率的で且つ経済的な脱珪処理を実施する上で必要な冷却材としての、前述した3つの要素を全て備えており、従って、磁選屑、特に粒径が10mm以下の磁選屑を脱珪処理における冷却材として使用することで、上記課題を解決できるとの知見を得た。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る溶銑の脱珪処理方法は、高炉から出銑され、溶銑輸送容器に収容された溶銑を、攪拌しながら酸素源を供給して脱珪処理する際に、製鋼スラグを破砕・分級した後に磁力選別してスラグと分離して回収した磁選屑を前記溶銑輸送容器内に添加することによって溶銑の温度を調整することを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の脱珪処理方法は、第1の発明において、前記磁選屑のサイズは、直径が10mm以下であることを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の脱珪処理方法は、第1または第2の発明において、前記酸素源として酸素ガスのみを使用することを特徴とするものである。
第4の発明に係る溶銑の脱珪処理方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記溶銑は、高炉から出銑されて前記溶銑輸送容器に収容されるまでに、酸素源が供給され、予め溶銑中の珪素の一部が脱珪処理されていることを特徴とするものである。
本発明では、溶銑輸送容器を用いた溶銑の脱珪処理において、冷却材として固体酸素源の代わりに磁選屑を使用する。溶銑輸送容器を用いた溶銑の脱珪処理では、転炉に比べて添加位置と溶銑湯面までの距離が短く、また、転炉脱炭精錬に比べて酸素ガスの供給量が少なく、排ガスの流速も遅いことから、排ガスと共に集塵機に吸引される量が大幅に少なくなり、高い添加歩留まりで添加することができる。
また、冷却材として鉄鉱石などの固体酸素源を用いた場合には、顕熱・潜熱だけでなく還元による吸熱もあるため、必要な冷却熱量が同一の場合、投入原単位が少なくて済む反面、回収できる鉄原単位も少なくなる。これに対して磁選屑を冷却材として用いた場合には、還元熱が非常に小さいため、鉄鉱石と比較して約2倍の質量の磁選屑を投入可能となる。そのため、回収できる鉄原単位が鉄鉱石などの固体酸素源に比べて約2倍になる。即ち、熱を有効に活用することができると同時に、生産性を向上させることができる。
更に、磁選屑は、鉄鉱石などの固体酸素源に比較して酸化鉄の含有量がほとんどないため、溶銑中の炭素と反応してCOガスを発生することもないので、スラグのフォーミングを誘発しにくい。逆に、磁選屑の添加の際に、フォーミングしているスラグを貫通して添加されるため、COガスの抜けがよくなり、スラグのフォーミングを沈静化する効果がある。これにより、フォーミングに起因する酸素ガスや固体酸素源の供給速度低下、或いは反応容器外に流出したスラグの処理による処理時間の延長を防止でき、生産性を向上させることが可能となる。
また更に、転炉脱炭精錬では投入に適さない小粒及び粉状の副産物である磁選屑を、酸化させずにそのまままの状態で脱珪処理における冷却材として使用するので、従来の焼結用原料として再利用した場合に比較して熱効率が向上し、経済的に磁選屑の回収を行うことが可能となる。
本発明によれば、溶銑輸送容器を用いた溶銑の脱珪処理において、冷却材として固体酸素源の代わりに磁選屑を使用するので、従来の固体酸素源を使用した場合と同様に溶銑の温度調整を容易に行うことができると同時に、冷却熱量が同一の条件においては固体酸素源と比較して約2倍の質量の磁選屑を投入可能となり、従来に比べて約2倍の鉄分を脱珪処理において回収することができる。また、磁選屑は脱珪処理中に添加することができるので、個別の装入時間を必要とせず、脱珪処理時間を延長させることがない。また、スラグのフォーミングを抑制することができるので、これに起因する脱珪処理時間の延長も防止される。その結果、効率的且つ経済的に溶銑を脱珪処理することが可能となり、製造コストの削減のみならず、省エネルギー・省資源が達成されるなど工業上有益な効果がもたらされる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明による脱珪処理の実施の形態の1例を示す側面概略図であり、図1は、溶銑を搬送する溶銑輸送容器として取鍋型の溶銑鍋を使用した例を示している。溶銑輸送容器としては、図1に示す溶銑鍋の他に、トーピードカーも使用されるが、以下、溶銑輸送容器として溶銑鍋を使用した例で説明する。
図1において、高炉(図示せず)から出銑された溶銑2を収容した溶銑鍋7が、台車8に搭載されて脱珪処理設備1に搬入されている。脱珪処理設備1には、上吹きランス9とインジェクションランス10とが設置されており、上吹きランス9及びインジェクションランス10は、溶銑鍋7内を上下移動可能となっている。上吹きランス9からは気体酸素源としての酸素ガスが溶銑2に向けて吹き付けられる。用いる酸素ガスとしては工業用純酸素であり、窒素ガスなどの不純物を体積%で数%程度含んでいてもよい。
インジェクションランス10は貯蔵タンク11と接続されており、貯蔵タンク11に収容された粉状の生石灰6を、窒素ガスやArガスなどを搬送用ガスとして溶銑2中に吹き込み添加することができる。生石灰6は、生成するスラグ3の塩基度(CaO/SiO2 )を調整するためのものである。この場合に、生石灰6に他のフラックスを混合してもよい。インジェクションランス10から粉状の生石灰6の吹き込みを実施せず、窒素ガスやArガスなど不活性ガスのみを吹き込み、溶銑2を攪拌することもできる。
脱珪処理設備1には、更に、ホッパー12及びホッパー13と、原料搬送装置14と、シュート15とからなる原料供給設備が設置されており、この原料供給設備を用いて、ホッパー12内の磁選屑4及びホッパー13内の粒状或いは塊状の生石灰5を溶銑鍋7内に上置き添加することもできるようになっている。粒状或いは塊状の生石灰5は、粉状の生石灰6と同様、生成するスラグ3の塩基度を調整するためのものである。
磁選屑4としては、エネルギーロスを削減する観点から、従来、焼結用原料として再利用されていた直径が10mm以下の細粒を使用することが好ましい。もちろん、ホッパー12、原料搬送装置14、シュート15からなる原料供給設備で投入可能であるならば、10mmを超える磁選屑であっても構わない。磁選屑は、製鋼スラグを破砕・分級した後に磁力選別したものであり、通常、スラグが付着している。このスラグを除去するために、磁選屑を更にロッドミルなどで処理して、付着スラグ分を低減し、鉄含有率を高めた磁選屑もある。磁選屑4としては、このようにして鉄含有量を高めたものを使用する方が、付着スラグに含有される燐や硫黄などの不純物の混入が抑制され、更に鉄の回収率も向上するので望ましい。
尚、本発明においては、磁選屑4を冷却材として使用するが、冷却材の全量を磁選屑4とする必要はなく、適宜、固体酸素源を併用してもよい。固体酸素源としては、鉄鉱石、焼結鉱、ミルスケール、集塵ダストなどを用いることができる。固体酸素源は、生石灰5,6と同様に、粉状のものはインジェクションランス10から吹き込み、塊状のものはシュート15を介して上置き投入する。但し、本発明の効果を十分に発揮するためには、固体酸素源は使用しないことが好ましい。
このような構成の脱珪処理設備1を用い、本発明に係る脱珪処理方法を溶銑2に対して以下のようにして実施する。
溶銑2にインジェクションランス10を浸漬させ、インジェクションランス10を介して窒素ガスやArガスなどの不活性ガスを攪拌用ガスとして溶銑2中に吹き込みながら、溶銑鍋7内に収容された溶銑2に向けて上吹きランス9から酸素ガスを連続的に吹き付け、溶銑2の脱珪処理を開始する。溶銑2中の珪素は吹き付けられた酸素により酸化して、SiO2 となりスラグ3に移行して脱珪反応が進行する。その際、生成するスラグ3の塩基度を調整するために、生石灰5,6を添加してもよい。この場合、粒状或いは塊状の生石灰5を、シュート15を介して溶銑鍋7内に上置き投入してもよいが、溶銑2の攪拌を強める観点から、インジェクションランス10を介して粉体の生石灰6を溶銑2中に吹き込んで添加することが好ましい。
そして、上吹きランス9から酸素ガスを吹き付けながら、ホッパー12内の磁選屑4を溶銑鍋7内に連続的或いは断続的に投入する。磁選屑4の投入量は、脱珪処理終了時の溶銑2の温度が1400℃〜1450℃の任意の温度となるように調整する。脱珪処理終了時の溶銑2の温度が1400℃未満になると、溶銑2の顕熱が少なくなり、後工程の転炉脱炭精錬において熱不足となり、効率的な精錬ができなくなる恐れがあるため好ましくなく、一方、1450℃を超えると、溶銑鍋7の耐火物やインジェクションランス10の耐火物の損傷が激しくなり、コスト上昇を来すため好ましくない。
脱珪処理終了時の溶銑2の温度は、脱珪処理前の溶銑2の成分(特に珪素濃度)及び温度、並びに、脱珪処理終了時の溶銑2の目標珪素濃度によって変わるので、脱珪処理終了時の溶銑2の目標温度が同一であっても、磁選屑4の必要投入量は変化する。従って、多数の操業データを解析し、脱珪処理前後の溶銑の条件から、磁選屑4の必要投入量を求める回帰式、或いは、リストを予め作成しておき、それに基づいて磁選屑4の投入量を定めることが好ましい。
磁選屑4と同時に固体酸素源を添加してもよく、その場合にも、多数の操業データを解析し、脱珪処理前後の溶銑の条件及び磁選屑4と固体酸素源との供給比率から、磁選屑4及び固体酸素源の必要投入量を求める回帰式、或いは、リストを予め作成しておき、それに基づいて磁選屑4及び固体酸素源の投入量を定めることが好ましい。磁選屑4に固体酸素源を併用した場合には、磁選屑4と固体酸素源との供給比率によっても溶銑温度が変化するため、的確な温度調整のためには、両者の供給比率を考慮する必要がある。
溶銑2に対して、このようにして脱珪処理を施すことにより、従来使用方法が限られていた直径が10mm以下の磁選屑であっても、好適な冷却材として精度良く溶銑2の温度を制御することが可能となる。また、磁選屑4には酸化鉄がほとんど含まれていないため、冷却熱量が同一の条件であっても固体酸素源と比較して約2倍の質量の磁選屑4の投入が可能であり、回収鉄分量を大幅に増大することができる。更に、磁選屑4には酸化鉄がほとんど含まれていないため、COガスの発生がなく、スラグ3のフォーミングを抑制しながら脱珪処理することができる。
尚、高炉から出銑された溶銑2を溶銑鍋7で受銑する前に、高炉鋳床に設けられた溶銑樋や傾注樋を流下する溶銑2に、鉄鉱石や焼結鉱などの固体酸素源或いは酸素ガスや酸素含有ガスなどの気体酸素源を供給し、溶銑2に含まれる珪素の一部を予め酸化させておいてもよい。予め、溶銑2の珪素の一部を脱珪処理することで、溶銑鍋7における脱珪処理時間を短縮させることができる。高炉鋳床における脱珪処理により生成したスラグは、溶銑鍋7における脱珪処理の前に排滓する必要はなく、逆に、未反応の固体酸素源がスラグ中に残留する場合には排滓せずに残すことで、溶銑鍋7における脱珪処理時に酸素源として有効活用することができる。
また、上記説明は取鍋型の溶銑鍋7を用いた脱珪処理に関して行ったが、本発明を実施する上で溶銑輸送容器は溶銑鍋7に限るわけではなく、溶銑輸送容器がトーピードカーであっても上記に沿って本発明を実施することができる。また、上吹きランス9が1つであるが、複数の上吹きランスを配置してもよく、更に、貯蔵タンク及びホッパーを、それぞれ2基以上及び3基以上設置してもよい。
高炉から出銑された溶銑に対し、高炉鋳床の傾注樋でミルスケールまたは集塵ダストを投入して一次の脱珪処理を施した後、この溶銑を容量が200トンの溶銑鍋で受銑して図1に示す脱珪処置設備に搬送して二次の脱珪処理を施した。
二次の脱珪処理では、固体酸素源を使用せず、酸素源として酸素ガスのみを用い、冷却材として直径が10mm以下の磁選屑を使用した操業(以下「本発明法1」という)、並びに、冷却材として磁選屑と固体酸素源とを併用した操業(以下「本発明法2」という)を実施した。固体酸素源としては鉄鉱石及び集塵ダストを使用した。固体酸素源は酸素源としても機能する。また、比較のために、磁選屑を使用せず、鉄鉱石及び集塵ダストを冷却材とした操業(以下「従来法」という)も実施した。
脱珪処理後の溶銑温度は、本発明法1、本発明法2及び従来法ともに1400℃を目標とし、本発明法1、本発明法2及び従来法とも200ヒートを超える操業を実施して比較した。表1に、二次の脱珪処理における操業条件及び操業結果を示す。
Figure 0004466145
表1に示すように、本発明法1、本発明法2及び従来法とも脱珪処理終了時の溶銑温度は、ほぼ目標温度であり、溶銑温度の調整は両者で差が見られなかった。また、脱珪処理前後の溶銑中珪素濃度に関しても差は見られなかった。しかしながら、鉄の回収原単位は、従来法に比較して、本発明法1では溶銑トン当たり6.9kg、本発明法2では溶銑トン当たり4.9kg増加しており、従って、副原料の使用量、酸素ガス使用量、鉄歩留りを考慮したコスト比較では、従来法に比較して、本発明法1では約22%、本発明法2では約14%のコスト低減が達成されることが確認できた。また、本発明法1及び本発明法2では、スラグがフォーミングしないために、酸素供給量を低下させる必要がないことなどから、処理時間を、本発明法1では2.7分間程度、本発明法2では1.5分間程度短縮することもできた。
本発明による脱珪処理の実施の形態の1例を示す側面概略図である。
符号の説明
1 脱珪処理設備
2 溶銑
3 スラグ
4 磁選屑
5 生石灰
6 生石灰
7 溶銑鍋
8 台車
9 上吹きランス
10 インジェクションランス
11 貯蔵タンク
12 ホッパー
13 ホッパー
14 原料搬送装置
15 シュート

Claims (4)

  1. 高炉から出銑され、溶銑輸送容器に収容された溶銑を、攪拌しながら酸素源を供給して脱珪処理する際に、製鋼スラグを破砕・分級した後に磁力選別してスラグと分離して回収した磁選屑を前記溶銑輸送容器内に添加することによって溶銑の温度を調整することを特徴とする、溶銑の脱珪処理方法。
  2. 前記磁選屑のサイズは、直径が10mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱珪処理方法。
  3. 前記酸素源として酸素ガスのみを使用することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の溶銑の脱珪処理方法。
  4. 前記溶銑は、高炉から出銑されて前記溶銑輸送容器に収容されるまでに、酸素源が供給され、予め溶銑中の珪素の一部が脱珪処理されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の溶銑の脱珪処理方法。
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