JP6038012B2 - 脱りん効率及び鉄歩留りに優れた溶銑の脱りん方法 - Google Patents

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本発明は、例えば、上底吹きの転炉型の反応容器を用いて溶銑の脱りん処理に関し、特に、脱りん効率及び鉄歩留りに優れた溶銑の脱りん方法に関する。
従来より、溶銑の脱りん処理では、当該溶銑が装入された反応容器に脱りん材を供給すると共に酸素を供給することにより、溶銑に含まれるりんを除去している。脱りん処理の技術として、特許文献1〜特許文献5に示すものがある。
特許文献1の脱りん処理では、粒径が150〜500μmの重量比が45%以下の副原料粉体を酸素上吹きランス又は/及び粉体供給専用ランスからキャリアガスに同伴させて供給することとし、塩基性の造滓材は全て酸素ガスに同伴させて酸素ガス噴出用ノズルから供給し、酸化鉄源及びマンガン源は全て上記とは別のノズルから非酸化性ガスに同伴させて供給している。
特許文献2では、ラバールノズル形状の複数個の主孔と、該主孔でその周囲を囲まれた、上吹きランスの軸心部位置に配置した粉体吹き込み用ノズルと、を備えた上吹きランスを用い、主孔から酸素含有ガスを溶銑の浴面に吹き付けるとともに、粉体吹き込み用ノズルから粉体状の精錬剤を搬送用ガスとともに溶銑の浴面に吹き付けて溶銑を酸化精錬する転炉吹錬方法であって、主孔の平均傾角が13°以上であり、且つ、隣り合った主孔の平均干渉率が30〜60%の範囲である上吹きランスを用いて酸化精錬している。
特許文献3では、転炉型容器内の溶銑に対して、CaO源を主体とする精錬剤を添加し、上吹きランスから溶銑浴面に気体酸素の吹き付けを行う脱燐処理方法において、上吹きランスから粉粒状の精錬剤と粉粒状の固体酸素源を溶銑浴面に吹き付け、吹き付けに際しては、精錬剤のうちの少なくとも一部を、気体酸素をキャリアガスとして溶銑浴面に吹き付けるとともに、前記精錬剤のうちの少なくとも一部が、気体酸素の吹き付けにより溶銑浴面に生じる火点に吹き付けられるようにし、気体酸素の供給系統とは異なる供給系統を通じて供給されるキャリアガスにより、気体酸素が吹き付けられる溶銑浴面の近傍の浴面位置に、粉粒状の固体酸素源を吹き付け、上吹きランスからの気体酸素の供給速度を1.5〜5.0Nm/min/溶銑tonとするとともに、処理後のスラグ塩基度が1.0以上2.5未満となるように処理を行っている。
その他、転炉等で精錬する方法として、特許文献4及び5に示すものがある。
特開平11−256217号公報 特許第4901132号公報 特許第5181520号公報 特開2001−131629号公報 特許第4513340号公報
上記した特許文献1〜5を精査してみると、これらの特許文献では、固体酸素源の吹込高さ、吹込位置の吹込条件に関する記載はなく、加えて、固体酸素源をスラグ表面あるいはスラグ中に供給してスラグの酸素ポテンシャルを高位に維持することは全く考慮されておらず、固体酸素源の反応促進を高める最適な処理条件とはなっていない。それゆえ、特許文献1〜5を用いたとしても、固体酸素源を供給することによって、脱りん効率の向上及び鉄歩留りの向上を達成することは困難であるのが実情である。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、搬送用ガスとともに固体酸素源を供給することによって、脱りん効率と鉄歩留りとの両方を向上させることができる脱りん効率及び鉄歩留りに優れた溶銑の脱りん方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、上底吹きの転炉型の反応容器を用いて溶銑の脱りん処理を行うに際して、CaOを主成分とする脱りん材を供給すると共に、一の供給系統から気体酸素源を供給し、他の供給系統から固体酸素源を吐出口での吐出速度が50Nm/s以上となる搬送用ガスを用いて供給することとし、前記固体酸素源の吹き込みに関して、吹き込み高さは1〜3.3mとし、吹き込み位置は式(1)を満たし、吹き込み速度は式(2)を満たすことを特徴とする。なお、転炉型の反応容器に挿入される1本の上吹きランスの内部には、気体酸素源を供給する第1供給路が形成されると共に、固体酸素源を供給する第2供給路が形成されており、前記第2供給路の吐出角度が前記反応容器の外方に向かうものとされている。
本発明によれば、搬送用ガスとともに固体酸素源を供給することによって、脱りん効率と鉄歩留りとの両方を向上させることができる。
脱りん処理を行う第1の反応容器(転炉)の全体図である。 脱りん処理を行う第2の反応容器(転炉)の全体図である。 (a)固体酸素源及び搬送用ガスの吹き込みの有無と、脱りん石灰効率との関係を底吹きガス流量でまとめた図であり、(b)固体酸素源及び搬送用ガスの吹き込みの有無と、鉄歩留りとの関係を底吹きガス流量でまとめた図である。 (a)固体酸素源及び搬送用ガスの吹き込みの有無と、脱りん石灰効率との関係を計算塩基度でまとめた図であり、(b)固体酸素源及び搬送用ガスの吹き込みの有無と、鉄歩留りとの関係を計算塩基度でまとめた図である。 (a)固体酸素源の吐出速度と脱りん石灰効率との関係をまとめた図であり、 (b)固体酸素源の吐出速度と鉄歩留りとの関係をまとめた図である。 (a)固体酸素源の吹き込み高さと脱りん石灰効率との関係をまとめた図であり、(b)固体酸素源の吹き込み高さと鉄歩留りとの関係をまとめた図である。 (a)固体酸素源の吹き込み位置と脱りん石灰効率との関係をまとめた図であり、(b)固体酸素源の吹き込み位置と鉄歩留りとの関係をまとめた図である。 (a)式(2)の計算値(F・C/100/ε)と脱りん石灰効率との関係をまとめた図であり、(b)式(2)の計算値(F・C/100/ε)と鉄歩留りとの関係をまとめた図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1及び図2は、脱りん効率及び鉄歩留りに優れた溶銑の脱りん方法を実施する反応容器を示している。
図1及び図2に示すように、脱りん処理に用いる反応容器1A、1Bは、上方から酸素を吹き込むと共に底部から不活性ガス等を吹き込む上底吹きの転炉型の容器としている。説明の便宜上、転炉型の容器1A、1Bのことを転炉という。本発明の脱りん方法では、後述するように、溶銑を強く攪拌しながら処理を進めるため、体積に余裕がある転炉を採用している。
この転炉1A、1Bは、容器本体(炉体)2の上側に設置された上吹きランス3A、3Bと、容器本体2の底部に設けられた羽口4とを備えている。上吹きランス3は、気体酸素源と固体酸素源とを吹き込むことができるもので、転炉1Aの上吹きランス3Aは、1本のランスで構成され、転炉1Bの上吹きランス3は、2本のランスで構成されている。なお、転炉1Aと、転炉1Bとは、上吹きランス3の構成が異なるが、他の構成は同じである。
詳しくは、転炉1Aの上吹きランス3Aの内部には、気体酸素源を供給する第1供給路5が形成されると共に、固体酸素源を供給する第2供給路6が形成されている。一方、転炉1Bの上吹きランス3Bは、気体酸素源を供給する第1供給体7と、固体酸素源を供給する第2供給体8とで構成され、第1供給体7と、第2供給体8とは離れた位置に設置されている。即ち、転炉1A、1Bでは、気体酸素源を供給する系統と、固体酸素源を供給する系統とは別々となっている。なお、図1及び図2の範囲Aは、転炉1A、1Bの内部を平面視した状態における固体酸素源の吹き込み位置を示している。固体酸素源の吹き込み位置については後述する。
さて、このような転炉1A及び転炉1Bを用いて、溶銑の脱りん処理を行うに際しては、CaOを主成分とする脱りん材をホッパー等の投入装置9を用いて、当該脱りん材を炉口10から装入し、当該脱りん材を滓化させてスラグSを形成する。例えば、Siを含有する溶銑に脱りん材を供給すると、CaO−SiO−FeO系のスラグとなる。なお、脱りん材としては、焼石灰、酸化鉄(焼結鉱、ミルスケール、集塵ダスト、鉄鉱石等)を用いる。
また、脱りん処理を行うに際しては、一の供給系統から気体酸素源を供給すると共に、他の供給系統から固体酸素源を供給する。例えば、転炉1Aでは、第1供給路5から気体酸素源を噴射し、第2供給路6から固体酸素源を噴射する。また、転炉1Bでは、第1供給体7から気体酸素源を噴射し、第2供給体8から固体酸素源を噴射する。固体酸素源としては、粉末状の焼結鉱、ミルスケール、集塵ダスト、鉄鉱石等を用いる。
さて、本発明の脱りん処理では、固体酸素源を供給するにあたっては、搬送用ガスを用いて固体酸素源をスラグSの表面、或いは、スラグS中に向けて供給することとしている。搬送用ガスとしては、酸化鉄に対して不活性なガス(不活性ガス)であって、還元性ガス、炭酸ガス、非酸化性ガス、希ガスであり、例えば、窒素ガスを用いると望ましい。
固体酸素源を搬送する搬送用ガスに関して、吐出口での吐出速度が50Nm/s以上となるように、搬送用ガスの供給速度を設定している。即ち、上吹きランス3Aの場合は、第2供給路6に設けられた吐出口の吐出速度が50Nm/s以上となるように搬送用ガスを流し、上吹きランス3Bの場合は、第2供給体8に形成された吐出口の吐出速度が50Nm/s以上となるように搬送用ガスを流す。なお、吐出口での吐出速度は、「吐出速度=搬送用ガス流量÷吐出口孔断面積(ノズル孔断面積)で求めることができる。
このように、固体酸素源をスラグSの表面、或いは、スラグS中に向けて吹き込むに際しては、ある程度、強く搬送用ガスと共に当該固体酸素源を吹き込まなければならないため、吐出口の吐出速度が50Nm/s以上となるように搬送用ガスを流している。
また、本発明の脱りん処理では、脱りん効率を向上させると共に鉄歩留りも向上させるために、固体酸素源の吹き込みに関して、吹き込み高さH、吹き込み位置、吹き込み速度Fを規定している。
吹き込み高さHは1〜3.3mとしている。吹き込み高さHが1m未満である場合、固体酸素源を吹き込む吐出口と溶銑との距離が小さすぎてしまい、固体酸素源である粉
体の分散性が低下して、反応に寄与しない固体酸素源(粉体)が多くなってしまう。一方、吹き込み高さHが3.3mを超える場合、脱りん処理に伴う排ガス(炉内を上昇する排ガス)の影響によって、固体酸素源(粉体)が溶銑やスラグに到達し難い。それゆえ、吹き込み高さHは1〜3.3mとしている。なお、吹き込み高さHは、ガスを溶銑に向けて吹き込んでいない状態(溶銑が静止している)で、吐出口から溶銑の静止湯面までの距離である。また、上吹きランスの先端、即ち、吐出口から静止湯面までの距離(吹き込み高さ)は、処理開始前にマイクロ波を湯面に照射させて、測定装置から静止湯面までの距離を求め、この距離を用いて吹き込み高さを求めればよい。
吹き込み位置は、式(1)を満たすように設定している。この吹き込み位置は、上吹きランスの吐出口からの吐出方向を延長したラインが溶銑の湯面(静止湯面)と交わる位置(水平方向の位置)である。この吹き込み位置は、転炉1Aの場合は容器本体(炉体)2に対する上吹きランス3Aの第1供給路5の下側に設けた吐出口の吐出角度θや上吹きランス3Aの位置で設定でき、転炉1Bの場合は第2供給体8の水平方向での位置や第2供給体8の下側に設けた吐出口の吐出角度θで設定可能である。また、式(1)に示す「θ」は、言い換えれば、上吹きランス3A、3Bにおいて、固体酸素源を吐出する吐出口の垂直方向に対する角度であって、式(1)に示す「D」は、反応容器本体(炉体)2の内径である。
式(1)に示すように、吹き込み位置(水平方向の位置)が、H×tan(θ)<1/6Dである場合は、上吹きランス3Aや第2供給体8の位置が容器の中心側に寄りすぎているため、粉体が気体酸素(上吹き酸素ガス)による火点領域に到達してしまい、直接、溶銑と反応することが多くなる。それゆえ、鉄分歩留りを向上させるという点では問題ないものの、粉体がスラグに供給されなくなるため、スラグに酸素度が小さくなり、脱りん効率が十分に向上しない。それゆえ、吹き込み位置は、式(1)を満たす必要があり、この吹き込み位置を、転炉1A、1Bの平面視で示すと図1及び図2に示した範囲Aとなる。
さて、スラグに固体酸素源を供給すると、スラグ中のFeO濃度が高くなり、スラグ中の酸素ポテンシャルが高くなる。一方、スラグ中のFeO濃度が高くなり過ぎると、脱りん反応に悪影響を与えるのみならず、スラグフォーミングやスロッピングが発生してしまい、操業が続けることができなかったり、スロッピングにより鉄分歩留りも低下してしまう。
そのため、固体酸素源を供給するに際しては、吹き込み速度F等を適正に設定する必要がある。本発明では、吹き込み速度Fは、式(2)を満たすように設定している。
なお、式(2)において、Cで示される「固体酸素源に含まれるO濃度」は、FeO濃度とFe濃度とを合わせた値から計算される酸素濃度であり、Fe濃度は、「T.Fe−M.Fe−FeO・MFe/MFeO)・3M/2MFe」で求めることができる。
また、溶銑温度T、溶銑重量Wは、脱りん処理中に刻々と変化するものであるが、この実施形態では、溶銑の装入前に測定した値を用いた。また、溶銑深さ(底吹きガス吹き込み深さ)Hは、転炉内の耐火物の損耗状況により変化するが、溶銑重量Wの平均値265tonと、転炉の容量とを用いて、一律2mとした。転炉の容量は、当該転炉内の耐火物を施工したときの状態を基準とした。底吹きガスによる攪拌動力密度は、「森一美, 佐野正道: 「インジェクション冶金の動力学」, 鉄と鋼, vol.67 (1981) No.6, p.687.」に開示されているものである。
式(2)に示すように、吹き込み速度Fと、底吹きガスによる攪拌動力密度εとは、固体酸素源(粉体)の反応に関係している。例えば、固体酸素源(粉体)の反応を同じようにする場合、底吹きガスによる攪拌動力密度が大きいときは、固定酸素源の吹き込み速度Fを上昇させてもよく、逆に、底吹きガスによる攪拌動力密度が小さいときは、固定酸素源の吹き込み速度Fを低下させる。このように、底吹きガスによる攪拌動力密度εに応じて、式(2)を満たすように、吹き込み速度Fを設定することにより、脱りん効率及び鉄歩留りを向上させている。
以上、まとめると、上底吹きの転炉型の反応容器を用いて溶銑の脱りん処理を行うに際して、CaOを主成分とする脱りん材を供給すると共に、一の供給系統から気体酸素源を供給し、他の供給系統から固体酸素源を、吐出口での吐出速度が50Nm/s以上となる搬送用ガスを用いて供給することとしている。また、固体酸素源の吹き込みに関して、吹き込み高さは1〜3.3mとし、吹き込み位置は式(1)を満たし、吹き込み速度は式(2)を満たすように、固体酸素源を吹き込むこととしている。
表1〜4は、本発明の溶銑の脱りん方法で脱りん処理を行った実施例と、本発明とは異なる方法で脱りん処理を行った比較例とをまとめたものである。
実施例及び比較例における実施条件について説明する。反応容器は250tonクラスの転炉を使用した。容器径(静止湯面直径)Dは5.10mとした。
転炉に装入した溶銑(処理前の溶銑)は、高炉で出銑して高炉鋳床で脱珪処理を行うか、或いは、高炉で出銑して高炉鋳床では脱珪処理を行わなかったものを使用した。処理前の溶銑について、溶銑重量Wm、iは、264.9〜265.3tonとし、溶銑温度Tm、iは、1553〜1622Kとした。この溶銑温度は、溶銑搬送用容器から転炉装入用溶銑鍋に払い出した直後の温度である。
処理前の溶銑の成分について、C濃度である[C]=4.21〜4.71質量%、Si濃度である[Si]=0.30〜0.50質量%、Mn濃度である[Mn]=0.19〜
0.38質量%、P濃度である[P]=0.110〜0.129質量%とした。溶銑の成分は、高炉の操業状況により変動するが比較的等しいものをピックアップした。この溶銑の成分の測定は、溶銑搬送用容器から転炉装入用溶銑鍋に払い出した直後に行った。溶銑の深さHは2mとした。
副原料、即ち、炉体の上方から装入する脱りん材は、焼石灰、ミルスケール、鉄鉱石を用いた。焼石灰は2715〜5215kgを使用し、ミルスケールは1300〜6100kgを使用し、鉄鉱石は2000kgを用いた。副原料(脱りん材)は、計算塩基度(CaO/SiO)は1.80となるように装入した。なお、実施例29及び比較例48は、計算塩基度を1.50とした。処理後の溶銑温度Tm、fは1623Kを目標とし、スケール量で温度調整を行った。また、炉体の上方から装入する脱りん材及び吹き込み用固体酸素源におけるCaO濃度、T.Fe濃度は、表5の通りである。
吹き込み用固体酸素源として、1mm未満の粉末状の焼結鉱、ミルスケール、集塵ダスト、転炉スラグを用いた。固体酸素源に含まれる酸素濃度Cは、6.75質量%、14.77質量%、27.50質量%とした。固体酸素源の装入量は2000kgとした。
気体酸素源の流量(酸素流量)Qは、脱珪期(処理開始後2.5min、或いは、3.5minまで)には、400Nm/min、脱りん期(処理開始後2.5min、或いは、3.5min以降)には、200Nm/minとした。脱珪期には脱珪反応を促進するために酸素供給速度(酸素流量)を大きくし、脱りん期にはスラグ中のFeOの濃度を高位に維持するために酸素供給速度(酸素流量)を小さくした。処理時間τは8.9〜12.8minとした。
処理後の溶銑について、溶銑重量Wm、fは、248.9〜265.1ton、溶銑温度Tm、fは、1598〜1643Kとなった。この溶銑温度は、処理直後に転炉内にある溶銑を測定したときの値である。
処理後の溶銑の成分について、[C]=3.41〜3.91質量%、[Si]=0.01質量%、[Mn]=0.02〜0.18質量%、[P]=0.003〜0.076質量%となった。溶銑の成分は、処理直後に転炉内にある溶銑を化学分析した値である。
実施例及び比較例では、脱りん石灰効率(η(P)CaO)と、鉄歩留り(ηFe)とを評価した。
即ち、脱りん石灰効率(η(P)CaO)及び鉄歩留り(ηFe)が高いと、[P]の酸化反応及び酸化鉄の還元反応が促進されている。なお、η(P)CaOは、投入したCaOのうち、3CaO・Pとして脱りん反応に寄与したCaOの割合を示したものである。
脱りん石灰効率(η(P)CaO)は、式(a)により求めることができる。また、鉄歩留り(ηFe)は、式(b)により求めることができる。
なお、式(a)及び式(b)において、[M]は、溶銑中[M]濃度(質量%)であって、M=C、Si、Mn、Pである。また、添え字[i]は、溶銑装入時(処理前)の状態を表し、添え字[f]は、溶銑出湯時(処理後)の状態を表している。例えば、[C]は、溶銑装入時(処理前)の炭素濃度を示している。
式(b)において、その他の装入した鉄分とは、屑鉄、冷銑等、溶銑以外の鉄原料や、
リサイクルスラグ、焼結鉱、集塵ダスト等である。例えば、ミルスケール、鉄鉱石以外の副原料を装入した場合は、そこに含まれる鉄分を加える。
実施例1〜30では、固体酸素源を吹き込むこととし(吹き込み有無の欄)、固体酸素源を吐出口での吐出速度が50Nm/s以上となる搬送用ガスを用いて供給しており、吹き込み高さを1〜3.3mとし、吹き込み位置を式(1)を満たし(1/6D〜1/2Dの欄)、吹き込み速度を式(2)を満たすようにしている(吹き込み速度条件の欄)にし
ているため、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りを向上させることができた。
一方、比較例31〜48では、固体酸素源の吹き込み、吐出速度、吹き込み高さ、吹き込み位置、吹き込み速度のいずれかが、本発明で規定する条件を満たしていないため、脱りん石灰効率や鉄分歩留りを向上させることができなかった。
図3〜8は、実施例及び比較例をまとめた図である。
図3は、実施例1〜3及び比較例31〜33のデータであり、図4は、実施例2、28及び比較例32、46のデータであり、図5は、実施例2、4〜7及び比較例35、36のデータである。また、図6は、実施例2、8〜12及び比較例37、38のデータであり、図7は、実施例2、13〜17及び比較例39〜41のデータであり、図8は、実施例3、21〜23及び比較例31、42、43のデータである。
図3に示すように、固体酸素源を搬送用ガスで吹き込みを行ったか否かと、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りについて整理した場合、実施例及び比較例のいずれも底吹きガス流量Qが大きいほど、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りが高くなる。ここで、固体酸素源を搬送用ガスで吹き込みを行った実施例では、吹き込みを行わなかった比較例に比べて、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りが明らかに良くなっており、明確に差が認められた。
図4に示すように、実施例及び比較例のいずれもスラグ中の塩基度が高いほど、脱りん反応は促進されると共に、鉄分ロスも減少するため、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りが高くなる。ここで、固体酸素源を搬送用ガスで吹き込みを行った実施例では、吹き込みを行わなかった比較例に比べて、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りが明らかに良くなっており、明確に差が認められた。即ち、塩基度を高く設定しなくても、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りを向上することができる。
図5に示すように、吐出口での吐出速度が50Nm/sを境界にして、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りが急激に高くなっており、吐出口での吐出速度を50Nm/s以上とした実施例では、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りを向上することができた。即ち、吐出口での吐出速度を50Nm/s未満では、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りが急激に低下した。
図6に示すように、吹き込み高さを1m以上3.3m以下とした実施例では、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りを向上することができた。一方、吹き込み高さが3.3mを超える比較例では脱りん石灰効率及び鉄分歩留りが急激に低下した。なお、吹き込み高さが1.0m未満である場合、上吹きランスへの地金付着等により操業障害が発生することがあるため、吹き込み高さの下限値は1.0m以上としている。
図7に示すように、吹き込み位置(HP・tan(θ)の値)が、1/6D〜1/2Dの範囲の範囲にある実施例では、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りを向上することができた。一方、吹き込み位置(HP・tan(θ)の値)が、1/6D〜1/2Dの範囲を外れた比較例では、脱りん石灰効率、或いは、鉄分歩留りが急激に低下した。
図8に示すように、吹き込み速度が式(2)[(0<F・C/100/ε≦0.4)]を満たす実施例では、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りを向上することができた。一方、「F・C/100/ε=0」、或いは、「F・C/100/ε>0.4」の比較例では、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りが急激に低下した。
以上、本発明で規定する条件を満たすことができれば、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りを向上させることができる。一方で、本発明で規定する条件を一部、或いは、全部満たさない場合、脱りん石灰効率及び鉄分歩留りが急激に低下した。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1A 反応容器(転炉)
1B 反応容器(転炉)
2 容器本体(炉体)
3A 上吹きランス
3B 上吹きランス
4 羽口
5 第1供給路
6 第2供給路
7 第1供給体
8 第2供給体
10 炉口
S スラグ

Claims (1)

  1. 上底吹きの転炉型の反応容器を用いて溶銑の脱りん処理を行うに際して、
    CaOを主成分とする脱りん材を供給すると共に、一の供給系統から気体酸素源を供給し、他の供給系統から固体酸素源を吐出口での吐出速度が50Nm/s以上となる搬送用ガスを用いて供給することとし、
    前記固体酸素源の吹き込みに関して、吹き込み高さは1〜3.3mとし、吹き込み位置は式(1)を満たし、吹き込み速度は式(2)を満たす
    ことを特徴とする脱りん効率及び鉄歩留りに優れた溶銑の脱りん方法。
    なお、転炉型の反応容器に挿入される1本の上吹きランスの内部には、気体酸素源を供給する第1供給路が形成されると共に、固体酸素源を供給する第2供給路が形成されており、前記第2供給路の吐出角度が前記反応容器の外方に向かうものとされている。
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