JP2017101293A - 溶銑の脱りん処理における固体酸素源の供給方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶銑脱りん処理の際に、スラグ中の酸素ポテンシャルを高位に保ち、脱りん効率を向上させる。
【解決手段】本発明の固体酸素源の供給方法は、溶銑が装入された転炉型の溶銑処理容器1内に、精錬用の上吹きランスとして第1ランス3と第2ランス4とを水平方向に距離を離して挿入し、第1ランス3からは気体酸素を供給し、第2ランス4からは搬送用ガスとともに固体酸素源を供給するものとし、第1ランス3と第2ランス4との水平方向距離をs、第2ランス4の静止湯面からの吹込み高さをh、溶銑処理容器1の炉口6の径をDとしたとき、第1ランス3及び第2ランス4の配置が所望の関係を満たすことを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、転炉での脱炭工程に先立って実施する溶銑脱りん方法に関するものである。
一般に、高炉から出銑された溶銑中にはP、Sなどの不純物が含まれている。高炉から出銑した溶銑は転炉で脱炭されて溶鋼とされるが、近年ではコストダウンおよび品質要求の厳格化に対応するため、転炉での脱炭処理の前に脱りん・脱硫等の溶銑予備処理工程を設けるケースが一般的となっている。
このような溶銑予備処理工程での脱りん処理では、造滓材に石灰(CaO)を使用するのが一般的であり、その場合の脱りん反応は便宜上、以下の式で表される。ゆえに、反応を促進するためには(式を右側に進める)、(1)難溶解性であるCaOの滓化を早める、(2)FeO濃度を高位に保つことが要求される。また、CaOはスラグ中のFeOの存在により、滓化が促進されるため、酸素ポテンシャルを高め、FeO濃度を高位に保つことは脱りん反応の効率を高めるために必要不可欠である。
このため、脱りん処理では生石灰等の石灰源と共に、気体酸素ならびに焼結鉱、ミルスケール、鉄鉱石等の酸化鉄源(固体酸素)を含む副原料の投入が一般的に行われている。
なお、脱りん処理は従来は混銑車・鍋などの搬送容器内で実施されることが多かったが、これらの搬送容器はフリーボードが小さく、酸素の供給速度を小さくしなければ成らず、処理に時間を要していた。そこで、現在はフリーボードが大きく、酸素の供給速度を大きくできる転炉型脱りんが広く普及している。
このような転炉型脱りんの方式で溶銑の脱りん処理を行う際には、転炉型の溶銑処理容器内に上吹きランスを差し込み、容器内に装入された溶銑に対して上吹きランスの先端から気体酸素(酸素ガス)を溶銑浴面に噴射・供給している。また、炉口からは、焼石灰、酸化鉄源(FeO)を含む焼結鉱、ミルスケール、鉄鉱石等の副原料を供給している。このように、転炉型容器中の溶銑に酸素および石灰源を投入することで、溶銑中のPを酸化してスラグ中に移行させることで、脱りんが進行する。
ところで、上述した脱りん処理を効率的に行うためにはスラグ中のFeOの濃度を高位に保つことが必要となる。ただ、スラグ中のFeOの濃度は脱りん処理中にPのみならず、溶銑中のSi、Cと反応しても低下していくため、脱りん反応を効率的に進めるためには処理途中に固体酸素源を投入してスラグ中のFeOの濃度を高位に保つのが一般的である。
例えば、特許文献1には、副原料粉体を上吹酸素ランス又は/及び粉体供給専用ランスから溶銑に供給する技術が開示されている。この特許文献1の副原料粉体は塩基性造滓材、酸化鉄源及びマンガン源などであり、これらの粉体は粒径150μm以下のものを60%以上、粒径500μm以上のものを1〜20%含み、かつ粒径が150〜500μmのものの重量比が45%以下に粒度調整されている。また、塩基性造滓材は酸素ガスに同伴させて酸素ガス噴出用ノズルから供給され、酸化鉄源やマンガン源は酸素ガス噴出用ノズルとは別のノズルから搬送用ガス(非酸化性ガス)と一緒に溶銑に向かって供給される。なお、特許文献1の技術では、搬送用ガスは湯面到達時に最大流速が40〜200m/sとなるように噴射されるものとなっている。
また、特許文献2には、酸素含有ガス並びに粉体状の精錬剤を上吹酸素ランスから溶銑に吹き付けて溶銑を酸化精錬する転炉吹錬方法が開示されている。この特許文献2の転炉吹錬方法では、ラバールノズル形状の6個以上の主孔と、該主孔でその周囲を囲まれた中央(軸心部位置)に配置された粉体吹き込み用ノズルとを備えた上吹きランス(上吹酸素ランス)が用いられている。
この特許文献2の上吹きランスは、主孔の平均傾角が13°以上とされており、また隣り合った主孔の平均干渉率は30〜60%の範囲内とされていて、理想的な超音速ジェットが得られるものでありながら、精錬剤の吹き込みを行ってもノズルの損耗が少なくなるような設計がなされている。特許文献2では、このような上吹きランスを用いることにより、精錬剤の散逸を抑制して反応領域である火点へ粉体状の精錬剤を効率的に添加することができるとされている。
さらに、特許文献3には、転炉型の溶銑処理容器内の溶銑に対して、CaO源を主体とする精錬剤を添加し、上吹酸素ランスから溶銑の浴面に気体酸素の吹き付けを行う脱りん処理方法が開示されている。この特許文献3の上吹酸素ランスは、粉粒状の精錬剤と粉粒状の固体酸素源との2つを溶銑浴面に吹き付けられるようになっていて、気体酸素の吹き付けにより溶銑浴面に生じる火点に、精錬剤の一部を気体酸素をキャリアガスとして吹き付け可能となっている。
また、特許文献3の技術では、気体酸素の供給系統とは異なる供給系統を通じて供給されるキャリアガスにより、火点近傍の浴面位置に、粉粒状の固体酸素源が吹き付けられる。このように特許文献3の脱りん処理方法では固体酸素源を火点近傍に供給することで、上吹酸素ランスからの気体酸素の供給速度を1.5〜5.0Nm3/min/溶銑tonとして、脱りん処理後のスラグ塩基度[%CaO/%SiO2]を1.0以上2.5未満とすることができるとされている。
さらに、特許文献4、5にも、固体酸素源を、供給専用ランスからではなく、上吹酸素ランスから気体酸素と同じように吹き込むことで脱りん効率を高める方法が開示されている。
特開平11−256217号公報 特許第4901132号公報 特許第5181520号公報 特開2001−131629号公報 特許第4513340号公報
上述した特許文献1〜特許文献5の精錬方法はいずれも、酸素ガスなどの気体酸素と同様に、粉粒状の固体酸素源を溶銑へ直接供給するものとなっている。しかしながら、これらの特許文献はいずれも溶銑脱りん処理を最も効率良く促進するために、固体酸素源に関する最適な装入条件や処理条件を提示するものとはなっていない。
つまり、上述した特許文献1〜5では、固体酸素源をスラグではなく溶銑に直接吹き込む構成となっていて、固体酸素源をスラグ表面あるいはスラグ中に供給してスラグの酸素ポテンシャルを高位に維持することは全く考慮されておらず、固体酸素源の反応促進を高める最適な処理条件とはなっていない。
当然、気体酸素とは異なる固体酸素源をスラグに供給する際の条件には、最適の条件が存在している。例えば粉粒状の固体酸素源をどの程度の粒度でどの位置から供給するかといった供給条件は、溶銑に直接供給される気体酸素とは別に設定される必要がある。
また、特許文献1〜5で用いられる固体酸素源は、粒径が比較的大きなもの(例えば、特許文献1では、粒径500μm以上のものなど)を含んでおり、排ガスによる散逸をそれほど心配しなくても良いものである。しかし、溶銑の脱りん処理で使用する固体酸素源は微細である方が、スラグへの溶解が速いため、スラグ中FeOを迅速に高めることができ、かつにそれにより石灰源の滓化も早まる為、効率が良く、結果として精錬時間を大幅に短縮することができる。ところが、微細な固体酸素源、例えば集塵ダストといったものは、微細であるがために、集塵ガス流れとともに炉外に排出され、発塵の問題や投入歩留が悪い。そのため、上述した特許文献1〜特許文献5ではこれらの微細な固体酸素源を積極的には利用することはできなかった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、溶銑の脱りん処理の際に、従来は転炉容器での脱りんでの使用が困難であったダストなどの微粒な固体酸素源をスラグの表面あるいはスラグ中に直接供給することで、スラグ中の酸素ポテンシャルを高位に保つことができ、溶銑とスラグのりん分配を増加させて脱りん能を向上させることができる溶銑の脱りん処理における固体酸素源の供給方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の溶銑の脱りん処理における固体酸素源の供給方法は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の溶銑の脱りん処理における固体酸素源の供給方法は、溶銑が装入された転炉型の溶銑処理容器内に、精錬用の上吹きランスとして第1ランスと第2ランスとを水平方向に距離を離して挿入し、前記第1ランスからは気体酸素を供給し、前記第2ランスからは搬送用ガスとともに固体酸素源を供給するものとし、前記第1ランスと第2ランスとの水平方向距離をs(m)、前記第2ランスの静止湯面からの吹込み高さをh(m)、前記溶銑処理容器の炉口の径をD(m)としたとき、前記第1ランス及び第2ランスの配置が式(1)及び式(2)を満たすことを特徴とする。
本発明の溶銑の脱りん処理における固体酸素源の供給方法によれば、溶銑の脱りん処理の際に、従来は転炉容器での脱りん処理で使用が困難であったダストなどの微粒な固体酸素源をスラグの表面あるいはスラグ中に直接供給することで、スラグ中の酸素ポテンシャルを高位に保つことができ、溶銑とスラグのりん分配を増加させて脱りん能を向上させることができる。
本発明の固体酸素源の供給方法が行われる転炉型の溶銑処理容器を示す模式図である。 上吹酸素ランスから噴射されるジェット噴流の流速と火点との関係を示す図である。 第1ランスから第2ランスまでの距離及び湯面からの第2ランスの設置高さが、脱りん処理効率に及ぼす影響をまとめた図である。 第1ランスから第2ランスまでの距離が、火点内投射率に及ぼす影響をまとめた図である。 湯面からの第2ランスの設置高さが、固体酸素の供給歩留に及ぼす影響をまとめた図である。 シミュレーションに用いた解析条件及び物性条件を示した図である。
以下、本発明の「溶銑Mの脱りん処理における固体酸素源の供給方法」の実施形態を、図を参照して説明する。
まず、本発明の固体酸素源の供給方法が行われる「溶銑Mの脱りん処理」について簡単に説明する。
一般的に、高炉から出銑した溶銑Mには、りん、硫黄などの不純物が含まれている。このような溶銑Mに対しては、転炉での脱炭の前にりんや硫黄などの不純物を除去する溶銑予備処理が行われる。次に、溶銑予備処理された溶銑Mに対して、転炉で脱炭を行った後、さらに、最終成分調整のために二次精錬が行われる。このようにして、溶銑予備処理〜二次精錬を通して成分調整することで所望とされる成分の鋼が製造されている。
図1に示すように、上述した溶銑Mの処理工程のうち、溶銑予備処理で行われる脱りん処理は、溶銑処理容器1に脱りん剤として、生石灰、酸化鉄(焼結鉱、ミルスケール、鉄鉱石等)を炉頂から供給すると共に精錬用の上吹きランスを用いて酸素源を溶銑Mに吹き込み、吹き込まれた酸素源でりんやシリコンなどの不純物を酸化させてスラグに移行させ、そのスラグと一緒にりんを排出することで脱りんを行う構成となっている。また、反応効率を高めるために、図のように上吹きランスとは異なるランスを装入し、そこから搬送用ガスと共に微細な固体酸素源や石灰を投入することがある。
なお、以降では、上述した転炉型の溶銑処理容器1に装入される上吹きランスを第1ランス3と呼び、また上吹きランスとは異なるランスを第2ランス4という。第1ランス3からは気体酸素(酸素ガス)が供給され、第2ランス4からは固体酸素源(酸化鉄など)が搬送用ガスと一緒に供給されている。
次に、本発明の溶銑の脱りん処理で用いられる溶銑処理容器1、第1ランス3についてまず説明する。
上述した転炉型の溶銑処理容器1は、上方に向かって開口した有底の容器であり、溶銑の高温に耐えられるように耐火物などを用いて形成されている。本実施形態の転炉型の溶銑処理容器1(脱りん反応容器)は、一見すると洋ナシのような外観形状を有しており、胴体部5の径よりも炉口6の径が小さくなるような形状とされている。この転炉型の溶銑処理容器1の内部には、りんを不純物として含む溶銑が60〜330ton装入可能とされている。また、上方へ開口した溶銑処理容器1の炉口6には、上述した第1ランス3及び第2ランス4が上方から下方に向かって挿し込み状態で取り付けられている。なお、図示は省略するが、溶銑処理容器1の底部には、容器内の溶銑Mに対して不活性ガスなどを供給する羽口が形成されており、上底吹き式の溶銑処理容器1となっている。
第1ランス3は、溶銑処理容器1の炉口6を上方から下方に向かって貫通するように取り付けられた管状の部材であり、溶銑処理容器1内に垂下状に配備されている。第1ランス3の内部には気体酸素(酸素ガス)を流通可能な流路が形成されており、気体酸素を溶銑処理容器1の外部から内部に運ぶことができるようになっている。第1ランス3の下端にはノズル7が設けられており、内部の流路を通って運ばれてきた気体酸素を溶銑Mに向かって吹き付けることができるようになっている。
このような第1ランス3を用いて吹き込み操業を行う際には「スピッティング」と呼ばれる微小な溶鉄Mの飛散の発生が問題となる場合がある。「スピッティング」が発生すると、飛び散った溶銑Mが上吹きランスや炉内耐火物に付着して、鉄分歩留の低下や操業トラブルを引き起こす可能性がある。そのため、第1ランス3から吹き付けられる気体酸素の勢いを下げて「スピッティング」の発生を防止できるように、溶銑湯面に対するガスジェットの衝突面積を大きくすると共に、溶銑湯面の単位面積当たりのガスの運動エネルギーが小さくなるように、上述した第1ランス3には鉛直方向に対して傾角を備えた多孔ノズルが用いられている(「鉄鋼便覧 第5版 製銑・製鋼」 第274頁〜第275頁、樋口ら 「転炉用低スピッティングランスの開発」まてりあ 2003年 42巻 3号
227頁〜229頁、あるいは特願平3−90915号公報等を参照)。また、第1ランス3のノズル7には、超音速のガスジェットを得るために、絞りを設けたラバールノズル7を用いても良い。なお、本実施形態の第1ランス3には、鉛直方向に対して10°〜20°の傾角となるように形成されると共にノズル孔が3個〜7個のノズル7が用いられている。
上述した多孔ランスを備えた第1ランス3から溶銑M内に気体酸素を吹き付けると、吹き付けられた気体酸素により溶銑Mの湯面のスラグが湯面の外縁側に偏り、湯面の中央側にスラグがなく裸湯が露出する「火点S」が形成される。そして、火点Sの周囲のスラグでは、次のような反応が起こって溶銑Mの脱りんが行われる。
すなわち、第1ランス3から溶銑M内に吹き付けられた気体酸素の酸素ガスと溶銑中のFeが反応するか、上方より投入した固体酸素源が溶解してスラグ中にFeOが形成される。そして、形成されたFeOが溶銑中のPと次の式(3)で示す反応式に従って反応して、溶銑中のりん(P)がりん酸化物に変化する。このようにして形成されたりん酸化物をスラグと一緒に排滓することで、溶銑M中のりんが取り除かれる。
なお、上述した式(3)の反応は低温ほど反応が進みやすく、温度が高い火点Sでは反応が進みにくい。また、裸湯が露出する火点にはスラグがないため、脱りん反応も起こらず、むしろ脱炭が進みやすい傾向がある。このため、脱りん効率を高めるためには、後述するように火点Sよりもスラグに固体酸素源を投入する方が有利となる。
さらに、脱りん処理の初期段階では溶銑中の珪素(Si)の酸化による脱珪反応が優先して起こるため、本発明の固体酸素源の供給方法は脱珪反応を含めた広い意味での脱りん反応を対象とする。つまり、本発明の固体酸素源の供給方法は、脱珪反応が主となるような脱りん処理の初期段階に固体酸素源を供給する場合も含むものとなっている。
ところで、生産性を考えて脱りんの効率をさらに高める、言い換えれば上述した式(3)で示される脱りん反応をさらに促進するには、式(3)の左側に示される「O」の濃度(FeOの濃度)を高位に保つことが必要となる。この「O」の濃度を高位に保つとは、固体酸素源をスラグに供給してスラグ中の酸素ポテンシャルを高めることに他ならない。そこで、まず上述した第1ランス3を用いて、言い換えれば1本の上吹きランスを用いて気体酸素と固体酸素源との双方を溶銑Mに供給する手段が考えられる。
しかしながら、1本の上吹きランスから気体酸素と固体酸素源との双方を溶銑Mに供給しようとすると、固体酸素源は酸素ガスとは異なりすでに酸化鉄の状態となっているため、第1ランス3の気体酸素とは異なり、火点Sではなくスラグに供給しなくてはならない。そのため、固体酸素源を流通させる配管を曲げたり、搬送用ガスの流速を大きくせざるを得ず、固体酸素源による配管摩耗といった設備上のトラブルを招く可能性が高くなる。
そこで、本発明の脱りん方法では、鉄鉱石やミルスケール、焼結鉱などの固体酸素源を溶銑処理容器1の炉口6上部から第2ランス4を用いて投入している。
また、固体酸素源には、集塵ダストのような微細なものも含まれるので、集塵ガス流れとともに炉外に排出されることを抑制できるように、上述した第2ランス4は第1ランス3とは異なる位置に設けられるのが好ましい。
そこで、本発明の溶銑の脱りん方法では、以降に示すような位置に、第1ランス3とは独立に第2ランス4を配備し、この第2ランス4から微細な固体酸素源を供給して、溶銑の脱りん処理を効率的に行っている。
次に、本発明の脱りん装置の特徴である第2ランス4と、この第2ランス4から供給される固体酸素源について説明する。
第2ランス4は、第1ランス3と同様に、溶銑処理容器1の炉口6を上方から下方に向かって貫通するように取り付けられた管状の部材であり、溶銑処理容器1内に垂下状に配備されている。第2ランス4の内部にも固体酸素源と搬送用ガスを流通可能な流路が形成されており、これらを溶銑処理容器1の外部から内部に運ぶことができるようになっている。第2ランス4の下端にはノズル7が設けられており、内部の流路を通って運ばれてきた固体酸素源を搬送用ガスの勢いを利用して溶銑に向かって吹き付けることができるようになっている。
第2ランス4により供給される固体酸素源は、酸化鉄の微細な粒子であり、平均粒子径が1μm〜150μmとなるようなものである。また、固体酸素源と共に第2ランス4により供給される搬送ガスには、固体酸素源と反応して酸素爆裂を起こさないように窒素やアルゴンなど、酸素や空気以外のガスが用いられる。なお、本実施形態の搬送用ガスには、窒素ガスが用いられている。
ところで、上述した第2ランス4は、微細な固体酸素源をスラグに確実に吹き込むことができるように、取り付け位置に特徴を備えている。
すなわち、第2ランス4が取り付けられる位置は第1ランス3の側方であり、第2ランス4は第1ランス3から水平方向に距離s(m)をあけて配備されている。また、第2ランス4は、溶銑処理容器1の静止湯面からの吹込み高さがh(m)となるように配備されている。そして、溶銑処理容器1の炉口6の径をDとしたとき、第2ランス4が次の式
(1)及び式(2)を満たすように第2ランス4を配備するのが好ましい。
なお、第2ランス4の設置高さhは、溶銑処理容器1の静止湯面から第2ランス4の下端(のノズル7吐出部)までの距離である。このhは、脱りん処理前にマイクロ波を溶銑の湯面に照射させて高さを測定し、マイクロ波による測定値から設定することができる。
上述した式(1)や式(2)の関係は、次のような考え方から導かれる。
すなわち、第1ランス3からは、傾角がついた多孔のノズル7から酸素ガスがジェットとなって噴出しており、ガスジェットが広がりながら溶銑M面に吹付けられている。そのため、第2ランス4の設置位置が第1ランス3に近すぎる場合、言い換えれば間隔sが小さすぎる場合、第2ランス4から噴出された固体酸素源が、第1ランス3から噴出された気体酸素に巻き込まれ、固体酸素源が気体酸素と同じ火点に供給されるようになってしまう。このようになると、固体酸素源がスラグがない火点Sに供給されるため、スラグ中の酸素ポテンシャルを高位に維持することが困難になる。そこで、固体酸素源が気体酸素の噴流に巻き込まれないように、第2ランス4は第1ランス3から少なくとも1.0mは離している(間隔sの下限を1.0mとしている)。
なお、この場合の間隔sは、第1ランス3の軸心と第2ランス4の軸心との間の距離であり、それぞれのランスの軸間距離である。
また、上述した式(1)の関係はノズル7の孔数や角度に影響を殆ど受けない。つまり、通常使用されている範囲内でノズル7の孔数や角度が変化しても、第1ランス3からの間隔sが1.0mより大きくなるような位置に第2ランス4を設ける限りは、固体酸素源が火点Sに噴射される問題は起きないことを出願人は確認している。
一方、間隔sが大きくなるほど第2ランス4が第1ランス3から遠い位置に設けられるため、間隔sが大きくなるほど火点Sに固体酸素源が供給される心配もなくなる。ただ、一般的に第1ランス3は炉口6の中央に設けられることが多いので、炉口6の半径D/2よりも間隔sが大きくなることはない。それゆえ、間隔sの上限はD/2となり、間隔sはD/2未満の値となる。
なお、上述した式(1)を満足する位置に第2ランス4を設置すれば、固体酸素源を火点S外に投射することはできる。しかし、第2ランス4の取り付け位置が高い場合には、溶銑の湯面に到達するまでの間に固体酸素源の速度も減速されてしまい、炉内のガス流れに乗って炉外に排出される可能も高くなる。そこで、本発明の脱りん方法では、上述した式(1)に加えて、式(2)の条件を設けている。
すなわち、第2ランス4の取り付け高さ(静止湯面からの高さ)を1m以下にすると炉外に排出される固体酸素源の量は急激に減り、スラグに供給される固体酸素源の歩留が急増する。このことから、微細な固体酸素源をスラグに供給するためには一定以上の慣性力が必要であると考えられ、一定以上の慣性力を発揮できるように第2ランス4の取り付け高さは1m以下が良いと判断される。
なお、第2ランス4の取り付け高さを低くし過ぎると、スピッティングによる地金付着が発生しやすくなり、付着した地金によりノズル7が閉塞してしまう虞があるため、本発明の脱りん方法では設備上の弊害から第2ランス4の取り付け高さの下限を0.5mとしている。
上述した固体酸素源の供給方法によれば、溶銑の脱りん処理の際に、従来は転炉容器での脱りん処理で使用することが困難であったダストなどの微粒な固体酸素源をスラグの表面あるいはスラグ中に直接供給することが可能となり、スラグ中の酸素ポテンシャルを高位に保つことができ、また溶銑とスラグのりん分配を増加させて脱りん能を向上させることも可能となる。
次に、実施例及び比較例を用いて、本発明の作用効果をさらに詳しく説明する。
実施例及び比較例は、250tの容積を有する転炉型の溶銑処理容器1において、以降に示すような位置に第1ランス3及び第2ランス4を配備して脱りん処理を行った場合に、「火点内投射率:X」や「粉体供給歩留:R」がどのように変化するかをシミュレーションにより解析したものである。
なお、この転炉型の溶銑処理容器1は、静止湯面が位置している部分の容器径が5.1m、炉口6の直径が2.5mとされている。この溶銑処理容器1に対して、第1ランス3を静止湯面から高さ(h)が3.4mの位置に配備し、第2ランス4を静止湯面からの高さ(h)が0.5m〜2.0mとなるように配備した。また、第1ランス3と第2ランス4との間隔(s)は0.5m〜1.25mの範囲で変化させた。
また、上述した第1ランス3からは、初期の温度が298.15Kの酸素ガスを、流量200Nm/min〜300Nm/minで供給している。また、第2ランス4からは、初期の温度が298.15Kの窒素ガスを、搬送用ガスとして流量0.12Nm/minで供給している。なお、第2ランス4の下端には、孔径50mmのノズル7孔を一つ備えたストレートノズル7が取り付けられていて、このストレートノズル7から溶銑に固体酸素源を吹き付けることができるようになっている。
上述したような溶銑処理容器1、第1ランス3、及び第2ランス4を用い、図6に示すような解析条件及び物性条件に従った脱りん処理のシミュレーションを行って、「火点内投射率:X」及び「粉体供給歩留:R」を求めている。
なお、この「火点内投射率:X」は、「火点S」の領域内に投射された粒子数を全投射粒子数で除した値、言い換えれば式(4)に定義されたものである。また、この「火点S」は、図2に示すように、ジェット断面方向(第2ランス4の軸心を基準とする径方向)に沿った搬送用ガスの流速分布をとり、流速分布の中で流速≧10m/sの領域、言い換えれば第2ランス4の軸心から半径rの領域を火点領域と定義している。
また、「粉体供給歩留:R」は、計算によって溶銑面の位置に達することがわかった粒子を、すべて溶銑もしくはスラグに捕捉されたものと考えて、式(5)に示すようにその粒子数を全投射粒子数で除した値である。
「火点内投射率:X」及び「粉体供給歩留:R」の計測結果を、表1、及び図4、図5に示す。
図4に示すように、第1ランス3と第2ランス4との間隔sを0.5m〜1.25mと広くしていくと、「火点内投射率:X」が小さくなり、第2ランス4から噴射された固体酸素源が火点Sに供給される確率が下がる。このような傾向は、第1ランス3からの気体酸素の供給流量が200Nm/min、250Nm/min、300Nm/minのどの場合でも成立している。また、特に間隔sが1.0m以上となると、どの酸素流量のものでも固体酸素源が火点Sに供給される可能性はほぼゼロとなる。このことから固体酸素源を火点Sに投射しないようにするためには、第1ランス3と第2ランス4との間隔sを1.0m以上とするのが良いと判断される。
また、図5に示すように、第2ランス4の設置高さhを0.5m〜2.0mと高くしていくと、「粉体供給歩留:R」が小さくなり、第2ランス4から噴射された固体酸素源がスラグに達する可能性を高くできることがわかる。特に第2ランス4の設置高さhが1.0m以上となると、固体酸素源がスラグに達する可能性は非常に小さくなる。このことから固体酸素源をスラグに確実に投射するためには、第2ランス4の設置高さhを1.0m未満とするのが良いと判断される。
上述した図4及び図5の結果をまとめると、図3に示すようになる。つまり、図3中にグレーで示される領域、言い換えればランスの間隔sが1.0m以上であって、第2ランス4の設置高さhが0.5m〜1.0mとなる範囲で脱りん処理を行えば、従来は使用されていなかった微細な固体酸素源であっても、スラグに確実に投射することができ、これらの固体酸素源を用いて効率的に且つ確実に脱りん処理を行うことが可能になると判断される。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 溶銑処理容器
3 第1ランス
4 第2ランス
5 胴体部
6 炉口
7 ノズル
M 溶銑
S 火点

Claims (1)

  1. 溶銑が装入された転炉型の溶銑処理容器内に、精錬用の上吹きランスとして第1ランスと第2ランスとを水平方向に距離を離して挿入し、
    前記第1ランスからは気体酸素を供給し、前記第2ランスからは搬送用ガスとともに固体酸素源を供給するものとし、
    前記第1ランスと第2ランスとの水平方向距離をs(m)、前記第2ランスの静止湯面からの吹込み高さをh(m)、前記溶銑処理容器の炉口の径をD(m)としたとき、前記第1ランス及び第2ランスの配置が式(1)及び式(2)を満たす
    ことを特徴とする固体酸素源の供給方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013057131A (ja) * 2012-11-22 2013-03-28 Jfe Steel Corp 溶銑の脱燐処理方法
JP2015113482A (ja) * 2013-12-10 2015-06-22 株式会社神戸製鋼所 脱りん効率及び鉄歩留りに優れた溶銑の脱りん方法

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