JP2011190532A - 混銑車における溶銑の脱りん処理方法 - Google Patents
混銑車における溶銑の脱りん処理方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】脱りん処理を3段階に分け、第1段階では、固体酸素の吹き込み速度を0.11〜0.18Nm3/min/tonとすると共に、CaOの吹き込み速度を0.50
〜0.85kg/min/tonする。第2段階では、固体酸素の吹き込み速度を0.07〜0.10Nm3/min/tonとすると共に、CaOの吹き込み速度を0.26〜
0.46kg/min/tonとする。第2段階後の第3段階では、固体酸素の吹き込み速度を第2段階に示した範囲と同じとした上で、固体酸素の吹き込み速度を0.20〜0.31Nm3/min/tonとする。第1段階、第2段階及び第3段階では、固体酸素
と気体酸素の吹き込み速度の合計を0.34Nm3/min/ton以下にする。
【選択図】図2
Description
特許文献1では、トーピードカー内の溶銑の上面から浸漬したランスを介して溶銑中にキャリアガスと共に粉状の脱りん剤を吹き込む溶銑の脱りん方法において、脱りん剤がCaOと酸化鉄を含有する焼結鉱および/またはCaOと酸化鉄を含有する焼結鉱のダストからなり、脱りん処理中に前記溶銑中に吹き込まれる脱りん剤中のCaOと酸化鉄からのOの重量比CaO/Oが0.40〜0.75の範囲を満足するようにしている。
特許文献2では、処理容器内に保持された溶銑中に2本以上の浸漬ランスを介して酸化剤を吹込み脱珪・脱燐を行う溶銑の予備処理方法において、処理開始時は、浸漬ランスのうち、最初に浸漬される第一の浸漬ランスから酸化剤を溶銑中に吹込み脱珪・脱燐を進行させ、脱燐末期の段階で、第一の浸漬ランスの浸漬深さより浅い部分に第二の浸漬ランスを浸漬して、溶銑の上下方向で互いに離隔した状態で第一、第二の浸漬ランスから酸化剤を吹き込んでいる。
特許文献4では、溶銑を保持した容器内に酸素源と石灰系の脱燐用フラックスとを添加して、溶銑に脱燐処理を施すことにより低燐溶銑を製造する方法において、上吹きランスを通じて酸素ガスと少なくとも一部の石灰系脱燐用フラックスとを溶銑浴面に吹き付けるとともに、搬送用ガスとともに溶銑中に吹き込んだ固体酸素源を、前記酸素ガスの吹き付けによって生じる火点近傍へ供給している。
一方、特許文献2〜特許文献4には、脱りん処理において、固体酸素の吹き込み速度、CaOの吹き込み速度、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計について部分的に開示
されているものの、スラグのフォーミングの発生を抑制することを目的とした技術ではないため、時間短縮を図りながらスラグのフォーミングの発生を抑制することは困難であった。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、[Si]が0.1〜0.3質量%の溶銑を混銑車に装入し、CaO、気体酸素及び固体酸素を用いて溶銑の脱りん処理を行う方法において、溶銑中の[Si]が処理開始から0.08〜0.12質量%になる第1段階では、溶銑に供給する固体酸素の吹き込み速度を0.11〜0.18Nm3/mi
n/tonとすると共に、CaOの吹き込み速度を0.50〜0.85kg/min/tonとし、且つ、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を0.34Nm3/min/
ton以下にし、スラグの塩基度が2.0〜2.3になる第2段階では、固体酸素の吹き込み速度を0.07〜0.10Nm3/min/tonとすると共に、CaOの吹き込み
速度を0.26〜0.46kg/min/tonとし、且つ、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を0.34Nm3/min/ton以下にし、第2段階後の第3段階では
、固体酸素の吹き込み速度、及び、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を第2段階に示した範囲と同じとした上で、固体酸素の吹き込み速度を0.20〜0.31Nm3/
min/tonとする点にある。
図1は、混銑車による溶銑の脱りん処理を示す図である。
図1に示すように、混銑車1にて溶銑2の脱りん処理を行うには、まず、高炉から出銑した溶銑2を混銑車1の容器3に装入し、混銑車1にて脱りん処理を行うために当該混銑車を脱りんステーションに移動する。そして、脱りんステーションでは、混銑車1の容器3における開口部4に、気体酸素を溶銑2に吹くための吹付けランス5を挿入すると共に、精錬剤等を溶銑2に吹き込むための吹込みランス6を挿入する。
なお、後述するCaOの吹き込み速度とは、精錬剤の吹き込み速度(供給速度)をCaOに対する吹き込み速度に換算したものである。また、固体酸素の吹き込み速度とは、精錬剤の吹き込み速度(供給速度)を固体酸素(FeO、Fe2O3)に対する吹き込み速度に換算したものである。即ち、固体酸素の吹き込み速度は精錬剤中のFeO、Fe2O3の濃度から、精錬剤中のO2濃度(Nm3/kg)を算出し、精錬剤の吹き込み速度で換算している(単位は、Nm3/min/ton)。この実施形態では、精錬剤中にCaOと固
体酸素との両方を含ませて供給しているが、CaOと固体酸素とを個別に供給してもよい。
本発明の溶銑の脱りん方法は、混銑車1に装入された溶銑2に対して脱りん処理を行うもの対象としていて転炉等にて行う脱りん処理は対象外である。この脱りん処理では、珪素濃度[Si]が0.1〜0.3質量%となる溶銑を処理するものとしている。このことは、例えば、特開2001−329309号公報に記載されているように、一般的なことである。また、この脱りん処理では、精錬剤、気体酸素及び固体酸素などを連続的に供給することにしている。さらに、脱りん処理では、後述するように、第1段階、第2段階、第3段階の3つの段階に分けて、固体酸素の吹き込み速度、CaOの吹き込み速度、固体酸素と気体酸素との吹き込み速度の合計を調整している。
in/tonの大きな範囲にするも、次の第2段階では、固体酸素の吹き込み速度を0.07〜0.10Nm3/min/tonの範囲に小さくしている。
onという大きな状態に維持してしまうと、固体酸素の吹き込み速度が大であるため、スラグのフォーミングが発生してしまうことになる。また、溶銑中の[Si]が0.12質量%よりも大きく、あまりCOガスの生成速度が大きくなっていない状態において固体酸素の吹き込み速度を小さくしてしまうと脱りん処理の時間が長くなる。
酸素の供給量が多い過ぎるために、スラグのフォーミングが発生してしまうことになる。また、第1段階において固体酸素の吹き込み速度を0.11Nm3/min/ton未満
にしてしまうと、固体酸素の供給量が少ないため脱りん処理の時間が長くなる。
0.50〜0.85kg/min/tonとし、且つ、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を0.34Nm3/min/ton以下にしている。
CaOの吹き込み速度を0.50kg/min/tonよりも小さくしてしまうと、SiO2に対してCaOの量が足りないためにスラグの塩基度が上昇せず、スラグ中にて発
生したCOガスが抜けにくくなり、スラグのフォーミングが発生してしまう。一方、CaOの吹き込み速度を0.85kg/min/tonよりも大きくしてしまうと、CaOの量が多いために脱りん処理後におけるスラグの塩基度が2.5を超えてしまい操業に支障が生じる。即ち、図3に示すように、脱りん処理後のスラグの塩基度が2.5以上になるとスラグの融点が高くなるため、混銑車内、特にスラグライン7から天井にかけてのスリーボード部8におけるスラグの付着量が増加する傾向にあることから、脱りん処理後のスラグの塩基度は2.5以下にする必要がある。なお、図3のプロット点は、10〜100ch(チャージ)の結果の平均値である。
素の吹き込み速度の合計を0.34Nm3/min/tonよりも大きくしてしまうと、
上述したように固体酸素の吹き込み速度や気体酸素の吹き込み速度を設定したとしても酸素の供給量が多い過ぎてスラグのフォーミングが発生する場合がある。
を0.50〜0.85kg/min/tonの範囲で一定とし、且つ、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を0.34Nm3/min/ton以下にしている。
本発明の脱りん処理の方法においては、図4に示すように、スラグの塩基度が2.0〜2.3になる第2段階では、固体酸素の吹き込み速度を0.07〜0.10Nm3/mi
n/tonとしている。
しまうと、固体酸素の吹き込み速度を第1段階よりも小さくしたとしても、COガスが多く発生してスラグのフォーミングが発生してしまう。一方、固体酸素の吹き込み速度を0.07Nm3/min/tonよりも小さくしてしまうと固体酸素の供給量が少ないため
、脱りん処理の時間が長くなる。
on以下にしている。
CaOの吹き込み速度を0.26kg/min/tonよりも小さくしてしまうと、スラグの塩基度が2.0に達するまでの時間が長くなり、その間に発生したCOガスによって、スラグのフォーミングが発生してしまう。一方、 CaOの吹き込み速度を0.46
kg/min/tonよりも大きくしてしまうと、スラグの塩基度が2.0に達するまでの時間が短くすることができるものの、上述したように、CaOの量が多いために脱りん処理後におけるスラグの塩基度が2.5を超えてしまい操業に支障が生じる。
min/ton以下にしている。固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を0.34Nm3/min/tonよりも大きくしてしまうと、上述したように固体酸素の吹き込み速
度や気体酸素の吹き込み速度を設定したとしても酸素の供給量が多い過ぎてスラグのフォーミングが発生する場合がある。
囲で一定とすると共に、CaOの吹き込み速度を0.26〜0.46kg/min/tonの範囲で一定とし、且つ、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を0.34Nm3
/min/ton以下にしている。
即ち、図4、5に示すように、第3段階では、固体酸素の吹き込み速度、及び、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を第2段階に示した範囲と同じとした上で、固体酸素の吹き込み速度を0.20〜0.31Nm3/min/tonとしている。
.46kg/min/tonよりも大きくしてしまうと、CaOの量が多いために脱りん処理後におけるスラグの塩基度が2.5を超えてしまい操業に支障が生じる。
また、第1段階や第2段階のように、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を0.34Nm3/min/tonよりも大きくしてしまうと、酸素の供給量が多い過ぎてスラ
グのフォーミングが発生し難い状況下でも、スラグのフォーミングが発生する虞がある。
しまうと脱りん反応は促進するものの、スラグのフォーミングが発生しにくい状況下でも、COガスが多く発生してスラグのフォーミングが発生してしまう。一方、固体酸素の吹き込み速度が0.20Nm3/min/tonを小さいと固体酸素の供給量が少ないため
、脱りん処理の時間が長くなる。
としている。
表1は、本発明の溶銑の脱りん方法にて脱りん処理を行った実施例と、本発明の溶銑の脱りん方法とは異なる方法にて脱りん処理を行った比較例との実施条件をまとめたものである。表2は、表1に示した精錬剤をまとめたものである。
他は、脱りんに寄与しない成分である。
中心値を使用して式(4)により求めた。
表3〜表5は、本発明の溶銑の脱りん方法にて脱りん処理を行った実施例と、本発明の溶銑2の脱りん方法とは異なる方法にて脱りん処理を行った比較例をまとめたものである。
例えば、気体酸素の吹きつけ(吹き込み)を一定として考えた場合、気体酸素の吹き込みを行っている間は、発生したCOガスがCO2に変わる2次燃焼反応により、雰囲気温
度が高くなり熱ロスが少ないため、溶銑温度が急激に低下する事は無いと考えられるが、固体酸素のみの吹込み時間が長くなると、処理容器の上部や耐火物からの熱ロスが大きくなるため、溶銑温度が急激に低下してしまう。特に脱りん処理時間が50分を越えた場合は、放熱ロスが大きくなるため、実績の処理後温度が低くなる。
理時間が延長するということも考えられる。
このようなことから、脱りん処理時間(トータル脱りん処理時間)については、当該処理時間が50分以内であれば、良好「○」とし、50分を超えると不良、「×」)とした。なお、計算処理後温度とは、固体酸素と気体酸素の投入量から処理温度を計算した温度のことである。この計算処理後温度は、特開昭62−161908公報の考え方に基づき、気体酸素と固体酸素の投入量の割合から計算処理後温度を求めた。即ち、当該公報では、固体酸素量が大きくなると、ΔT(処理前溶銑温度-処理後溶銑温度)が大きくなると
して、処理目標温度に一致するように気体酸素原単位と固体酸素原単位を割り振るという方法を行っている。
の脱炭反応が進行するため、溶銑中の[C]濃度が低下してしまう。溶銑中の[C]濃度が低下することにより、溶銑の凝固温度が上がるため、次工程以降ではさらに地金が付着しやすくなる問題が発生する。また、固体酸素の吹込み速度が遅い事に合わせて、気体酸素の吹き込み速度も併せて低減させる考え方もあるが、気体酸素の吹き込み速度を低下した場合、攪拌力を一定にするためには、気体酸素の吹き込みランスを溶銑に近づける必要がある。この場合、脱りん処理中の溶銑のスプラッシュ等により気体酸素の吹き込みランスの溶損が進むことから気体酸素の吹き込み速度を低減することは望ましくない。
このようなことから、脱りん処理後の溶銑温度については、当該溶銑温度が1270℃以上であれば、良好「○」とし、1270℃未満であれば不良「×」とした。
量%]との比(Pi/Pf)を、処理時間(t)で割った値であり、式(5)で表すことができる。式(5)における「ln」は、自然対数eが底となるものを示している。
が50分以上となりやすく、脱りん処理後の溶銑温度が1270℃以上となる傾向があることから、その値が0.030以上であれば良好「○」とし、0.030未満であれば不良「×」とした。
aOの吹き込み速度を0.64kg/min/tonとし、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計(総酸素供給速度)を0.26Nm3/min/tonにしている。
min/tonに下げ、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を0.24Nm3/m
in/tonにしている。さらに、実施例2では、スラグの塩基度が2.0になった時点で第3段階に移行しており、当該第3段階では、固体酸素の吹き込み速度を0.22Nm3/min/tonに上げ、CaOの吹き込み速度を0.35kg/min/tonに上
げ、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を0.29Nm3/min/tonに上げ
ている。
min/tonの範囲にし、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を0.34Nm3
/min/ton以下にしている。
また、他の実施例において、第2段階では、固体酸素の吹き込み速度を0.07〜0.10Nm3/min/tonの範囲にし、CaOの吹き込み速度を0.26〜0.46k
g/min/tonの範囲にし、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を0.34Nm3/min/ton以下の範囲にしている。
以上、実施例1〜実施例23では、どの段階においてもスラグのフォーミングは発生することがなかった。また、実施例1〜実施例23では、脱りん処理時間を50分以内にすることができると共に、脱りん処理後の溶銑温度を1270℃以下にすることができ、さらに、1分当たりの脱りん効率も0.030以上とすることができた。加えて、実施例1〜実施例15において、処理終了後におけるスラグ付着量は、非常に少なく(表中「小」)、スラグ付着が無いものもあった(表中「無」)。
したため、スラグのフォーミングが発生し、脱りん処理を一時的に停止しなければならない状況になった。
比較例24〜比較例39に示すように、各段階にて、固体酸素の吹き込み速度、CaOの吹き込み速度、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計等が本発明の規定する条件のいずれか1つでも外れた場合、スラグのフォーミングの発生があったり、脱りん処理時間が50分を超えたり、脱りん処理後の溶銑温度が1270℃を超えることが見受けられた。その他、処理終了後におけるスラグ付着量が大となる場合(表中「大」)や1分当たりの脱りん効率が0.030を下回ることもあった。
2 溶銑
3 容器
4 開口部
5 吹付けランス
6 吹込みランス
Claims (1)
- [Si]が0.1〜0.3質量%の溶銑を混銑車に装入し、CaO、気体酸素及び固体酸素を用いて溶銑の脱りん処理を行う方法において、
溶銑中の[Si]が処理開始から0.08〜0.12質量%になる第1段階では、溶銑に供給する固体酸素の吹き込み速度を0.11〜0.18Nm3/min/tonとする
と共に、CaOの吹き込み速度を0.50〜0.85kg/min/tonとし、且つ、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を0.34Nm3/min/ton以下にし、
スラグの塩基度が2.0〜2.3になる第2段階では、固体酸素の吹き込み速度を0.07〜0.10Nm3/min/tonとすると共に、CaOの吹き込み速度を0.26
〜0.46kg/min/tonとし、且つ、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を0.34Nm3/min/ton以下にし、
第2段階後の第3段階では、固体酸素の吹き込み速度、及び、固体酸素と気体酸素の吹き込み速度の合計を第2段階に示した範囲と同じとした上で、固体酸素の吹き込み速度を0.20〜0.31Nm3/min/tonとすることを特徴とする混銑車における脱り
ん処理方法。
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