JP2010248598A - 発塵の少ない溶銑の脱りん方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】CaO、又は、CaO及びOを含む固体脱りん剤と、気体酸素とを混銑車1内の溶銑2に連続的に供給することによって溶銑2の脱りん処理を行う方法において、溶銑2の脱りん処理の開始時には、固体脱りん剤に含有するO2と気体酸素のO2とを合計した総酸素供給速度を、0〜0.07Nm3/t/分としておき、溶銑2中の[Si]が0.15質量%以上0.20質量%未満となる間に、総酸素供給速度を0.10〜0.23Nm3/t/分の範囲にて上昇させ、溶銑2中の[Si]が0.10質量%以上0.13質量%未満となる間に、さらに、総酸素供給速度を0.25〜0.35Nm3/t/分の範囲にて上昇させる。
【選択図】図2
Description
特許文献1では、搬送容器内に保持した溶銑に、浸漬ランスを介して酸化鉄及び精錬用フラックスをキャリアガスで吹込むと共に、溶銑の浴面上方に別途設けたランスを介して酸素ガスを該浴面へ吹き付け、溶銑の脱珪、脱燐処理を順次行うに際して、脱珪、脱燐処理中の溶銑の成分変化に応じて、上吹きする酸素ガスの流量を変更している。
特許文献2では、容器内に入れられる溶銑の量が体積で容器容積の50%以上100%未満となる容器において転炉スラグを脱りん成分として利用して溶銑の脱りんをするに際し、前記転炉スラグとして塊状の転炉スラグを用い、この塊状転炉スラグを溶銑の上方から添加している。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、脱りん剤と酸素とを混銑車内の溶銑に連続的に供給することによって溶銑の脱りん処理を行う際に、発塵を抑制することができる発塵の少ない溶銑の脱りん方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、CaO、又は、CaO及びOを含む固体脱りん剤と、気体酸素とを混銑車内の溶銑に連続的に供給することによって溶銑の脱りん処理を行う方法において、溶銑の脱りん処理の開始時には、前記固体脱りん剤に含有するO2と前記気体酸素のO2とを合計した総酸素供給速度を、0〜0.07Nm3/t/分としておき、溶銑中の[Si]が0.15質量%以上0.20質量%未満の間に、前記総酸素供給速度を0.10〜0.23Nm3/t/分の範囲にて上昇させ、溶銑中の[Si]が0.10質量%以上0.13質量%未満の間に、さらに、前記総酸素供給速度を0.25〜0.35Nm3/t/分の範囲にて上昇させることで発塵を抑制する点にある。
図1は、混銑車による溶銑の脱りん処理を示す図である。
図1に示すように、混銑車1にて溶銑2の脱りん処理を行うには、まず、高炉から出銑した溶銑2を混銑車1の容器3に装入し、混銑車1にて脱りん処理を行うために当該混銑車を脱りんステーションに移動する。そして、脱りんステーションでは、混銑車1の容器3における開口部4に、気体酸素を溶銑2に吹くための吹付けランス5が挿入されると共に、固体脱りん剤等を溶銑2に吹き込むための吹込みランス6が挿入されることになる。また、脱りんステーションでは、集塵フード7が混銑車1の開口部4の上方を覆うように配置されることになる。
以下、本発明の溶銑2の脱りん方法について詳しく説明する。
溶銑2に吹き込む固体脱りん剤は、CaO、又は、CaO及びOを含むものであって、具体的には、CaO源として吹き込まれる生石灰やO(酸素源)として吹き込まれる酸化鉄である。即ち、溶銑2の脱りん処理においては、固体脱りん剤として生石灰と酸化鉄との両方を溶銑2に供給したり、酸化鉄源を除く生石灰のみを供給することとしている。
さて、溶銑2の脱りん処理の初期段階において、溶銑2中の[Si]が高いとき、CaO(生石灰)と溶銑2中のSiとが反応して、SiO2が優先的に生成することになる。このとき、スラグの上部(トップスラグ)には、SiO2濃度の高い部位(例えば、CaO・SiO2相)が生成することになり、これにより、スラグの粘度は非常に高くなる。
そこで、溶銑2の脱りん方法においては、図2に示すように、脱りん処理を開始した初期段階であって、溶銑2中の[Si]が高いとき、即ち、脱りん処理を開始した時(最初に溶銑2に気体酸素や脱りん剤を供給したとき)は、固体脱りん剤に含有するO2と気体酸素のO2とを合計した総酸素供給速度を、0〜0.07Nm3/t/分の範囲にて一定とし、溶銑2に供給する酸素供給の度合いを低くすることによってCOガスの発生の抑制をしている。説明の便宜上、脱りん処理を開始して総酸素供給速度を上述した範囲(0〜0.07Nm3/t/分)にて一定とする段階を第1段階ということがある。
つまり、固体脱りん剤に含有するO2と気体酸素のO2とを合計した総酸素供給速度とは、溶銑2に供給した酸化鉄中の酸素を酸素供給速度に換算した値と、気体酸素の酸素供給速度を換算した値とを合計したものであって、例えば、式(1)により求めることができる。
ここで、上述したように、溶銑2中の[Si]が0.15質量%以上0.20質量%未満となる間では、脱りん処理の初期段階に比べてCOガスがスラグから抜けやすくなっているが、総酸素供給速度を上昇させる際に、上昇させた総酸素供給速度を0.23Nm3/t/分超えさせてしまうと、スラグの上部(トップスラグ)に、多少残っているSiO2濃度の高い部位の影響によりスラグの粘性が高い部分があるため、これにより、COガスの破泡の可能性がある。このようなことにより、第1段階から第2段階に移行する際での総酸素供給速度の上限値は、0.23Nm3/t/分としている。
なお、溶銑2中の[Si]が0.15質量%未満となってから、第1段階から第2段階へと総酸素供給速度を上昇させる(総酸素供給速度を0.10〜0.23Nm3/t/分にする)ことも考えられるが、この程度の上昇量では、脱りん処理の処理時間が長くなり過ぎて産業上利用が難しくなることが考えられる。
具体的には、第2段階において、溶銑2中の[Si]が0.10質量%以上0.13質量%未満となる間に、総酸素供給速度を0.25〜0.35Nm3/t/分の範囲に切り替えて、第3段階に移行し、第3段階では、上昇させた総酸素供給速度を一定に維持している。このように、第2段階から第3段階へと総酸素供給速度を切り替えることにより、COガスの破泡による発塵を抑制しつつ、さらに、脱りん処理による反応を促進させている。
ここで、溶銑2中の[Si]が0.10質量%未満となった後に、第2段階から第3段階へと総酸素供給速度を上昇させることも考えられるが、[Si]が0.10質量%未満になってから総酸素供給速度を上昇させた場合、総酸素供給速度の上昇させるタイミングが遅すぎることとになる。その結果、脱りん処理の処理時間が長くなり過ぎて産業上利用が難しくなることが考えられることから、総酸素供給速度の上昇への切り換えは遅くとも、溶銑2中の[Si]が0.10質量%以上であるときに行う必要がある。
実施例及び比較例に示す切替え時のSi濃度(計算値)は、式(2)に示した酸素供給時Si低減幅により求めたものである。
他の実施例においても、実施例5を除き、図3や図4に示すように処理を行った。実施例5は、第3段階の2回目において、総酸素供給速度を0.261Nm3/t/分に上げている(第3段階−2)。実施例5のように、溶銑2の[Si]が0質量%となった時点後に、総酸素供給速度を上げても上限値である0.35Nm3/t/分以下であれば、何ら問題がない。
また、比較例18、比較例23及び比較例24に示すように、比較例14と同様に溶銑2中の[Si]が高い段階で、大幅に総酸素供給速度を上昇させると(第2段階)、発塵が発生した。
そのため、第1段階の総酸素供給速度が大となっているが第2段階における総酸素供給速度が非常に小さいため総処理時間は56分と長くなった。しかも、第1段階において総酸素供給速度が大きすぎるために、発塵が発生した。
よって、本発明によれば、混銑車1による溶銑2の脱りん処理において、発塵を少なく抑えつつ、効率良く溶銑2の脱りん処理を行うことができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 溶銑
3 容器
4 開口部
5 吹付けランス
6 吹込みランス
7 集塵フード
8 開口部
Claims (1)
- CaO、又は、CaO及びOを含む固体脱りん剤と、気体酸素とを混銑車内の溶銑に連続的に供給することによって溶銑の脱りん処理を行う方法において、
溶銑の脱りん処理の開始時には、前記固体脱りん剤に含有するO2と前記気体酸素のO2とを合計した総酸素供給速度を、0〜0.07Nm3/t/分としておき、
溶銑中の[Si]が0.15質量%以上0.20質量%未満となる間に、前記総酸素供給速度を0.10〜0.23Nm3/t/分の範囲にて上昇させ、
溶銑中の[Si]が0.10質量%以上0.13質量%未満となる間に、さらに、前記総酸素供給速度を0.25〜0.35Nm3/t/分の範囲にて上昇させることで発塵を抑制することを特徴とする発塵の少ない溶銑の脱りん方法。
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