JP5874693B2 - 溶銑の脱硫方法 - Google Patents

溶銑の脱硫方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5874693B2
JP5874693B2 JP2013157325A JP2013157325A JP5874693B2 JP 5874693 B2 JP5874693 B2 JP 5874693B2 JP 2013157325 A JP2013157325 A JP 2013157325A JP 2013157325 A JP2013157325 A JP 2013157325A JP 5874693 B2 JP5874693 B2 JP 5874693B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot metal
slag
deoxidizer
desulfurization
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013157325A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015028191A (ja
Inventor
竜也 林
竜也 林
宇祥 松永
宇祥 松永
歩 石川
歩 石川
高橋 大輔
大輔 高橋
健治 安藤
健治 安藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2013157325A priority Critical patent/JP5874693B2/ja
Publication of JP2015028191A publication Critical patent/JP2015028191A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5874693B2 publication Critical patent/JP5874693B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Description

本発明は、溶銑の脱硫方法に関し、具体的には、脱燐処理が行なわれた溶銑に対して行なう脱硫処理の方法に関する。
製鉄所では、溶銑を収容しかつ搬送する混銑車、または、溶銑を収容する溶銑鍋を積載・搬送する溶銑鍋搬送車両が走行している。以下、混銑車及び溶銑鍋を、適宜「搬送容器」と呼ぶ。搬送容器で、高炉から溶銑を受銑し、次いで、脱炭処理を行なうための製鋼工場へその溶銑を搬送する。脱炭処理を行なう前に、その溶銑中の不純物を除去するための溶銑予備処理が行なわれる。この溶銑予備処理には、脱珪処理、脱燐処理、脱硫処理がある。
特許文献1には、溶銑に、機械攪拌式(KR)による予備脱硫を行なって、溶銑中の硫黄濃度[S]を0.003質量%以下とし、その後に、予備脱燐を行なって、溶銑中の燐濃度[P]を0.040質量%以下として、得られた脱硫・脱燐溶銑の転炉吹錬を行なうことが提案されている。特許文献2には、高炉から出銑後に脱珪処理した溶銑を転炉型脱燐炉にて脱燐処理するに際して、該転炉型脱燐炉に溶銑を装入する前に、脱珪処理により生成したスラグを溶銑鍋から除去することなく、転炉型脱燐炉に装入し、CaOを含有する粉状の脱燐剤を上吹きランスから酸素をキャリアガスとして溶銑に吹き付けることにより脱燐処理を行い、次いで、溶銑を溶銑鍋に出湯し、該溶銑鍋において該溶銑を機械攪拌式脱硫法により脱硫処理することが提案されている。
特許文献1のように、溶銑を脱硫処理した後に、その溶銑に脱燐処理を行う場合には、脱硫処理で形成された硫黄含有スラグを、その溶銑から取り除くとしても、その硫黄含有スラグを完全に取り除くことが困難であり、脱硫処理後の脱燐処理で、溶銑に残った硫黄含有スラグから、硫黄成分が溶銑に戻る現象が生じる可能性がある。更には、脱燐処理で投入される昇温用炭材、焼結鉱等の酸化鉄源から、溶銑が硫黄を吸収する可能性があるため、溶銑中の硫黄の濃度が増加してしまい、結果的に、脱硫効率が悪化してしまう可能性がある。
特許文献2のように、溶銑を脱燐処理した後に、その溶銑を脱硫処理する場合には、脱燐処理で形成された燐含有スラグを、その溶銑から取り除くとしても、その燐含有スラグを完全に取り除くことが困難であり、脱燐処理後の脱硫処理で、溶銑に残った燐含有スラグから、燐成分が溶銑に戻る現象が生じて、脱硫処理で溶銑中の燐濃度が増加してしまう可能性がある。ところが、脱硫処理の後に行なわれる脱炭処理で、脱炭処理とともに脱燐処理も行なわれるため、脱炭後の溶鋼中の燐濃度を低下させることできるため、結果的に、脱硫効率を向上させつつ、溶鋼の燐濃度を低下させることができる。
しかしながら、溶銑を脱燐処理した後に、脱硫処理する方法では、次の問題点がある。
(i)脱燐処理で溶銑に酸素を吹き付けるため、溶銑中の珪素、炭素が減少し、その分溶銑中の酸素ポテンシャルが高くなってしまう。脱硫反応は還元反応であるため、酸素ポテンシャルが高くなった溶銑では、脱硫処理が促進されにくくなる。
(ii)珪素及び炭素は、硫黄の活量を増加させる元素であるが、脱燐反応でこれらの元素が減少すると、硫黄の活量も減少するため、脱硫反応が促進されにくくなる。
(iii)脱燐反応は、溶銑温度が低いほど促進されることから、溶銑温度を低くして脱燐効率を向上させている。そのため、脱燐処理後の温度は、例えば、1350℃程度と低くなる。一方、脱硫反応は、溶銑温度が高いほど促進されることから、脱燐処理後の低い温度の溶銑では、効率的な脱硫反応を行なわれず、脱硫剤の原単位が増加するという問題がある。
特開2000−109924号公報 特開2007−224388号公報
上述の問題点を考慮して、本発明は、脱燐処理が行われた溶銑に対して行なう脱硫処理の脱硫効率を向上させる溶銑の脱硫方法を提供することを目的とする。
すなわち、上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)搬送容器に収容された溶銑に脱燐処理を行い、前記脱燐処理で生成したスラグを、生成した全スラグのうちの5質量%以上40質量%以下のスラグが前記搬送容器に残存するように前記溶銑から除去し、前記スラグの除去後、前記溶銑に脱酸剤を加え、次いで、該脱酸剤が加えられた溶銑を脱硫処理することを特徴とする、溶銑の脱硫方法。
(2)前記脱酸剤は、アルミニウム源または珪素源であることを特徴とする、上記(1)に記載の溶銑の脱硫方法。
(3)前記溶銑から前記スラグを除去する際に、前記溶銑を収容している第1の搬送容器から、該第1の搬送容器とは別の第2の搬送容器に、前記溶銑を移し替える際に、前記溶銑に前記脱酸剤を加えることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の溶銑の脱硫方法。
本発明によって、脱硫処理を行なう前に、搬送容器に収容されている溶銑に脱燐処理を行い、その溶銑に生じたスラグの一部を搬送容器に残存させた状態の溶銑に脱酸剤を加えることで、溶銑中の酸素及びスラグに含有されている酸素と脱酸剤との反応が促進される。これにより、脱酸剤は発熱し、この発熱によって溶銑の温度を上昇させ、かつ、溶銑の酸素ポテンシャルを低下させるので、その後に行なわれる脱硫処理における脱硫効率を向上させることができる。ひいては、脱硫剤の使用量を抑えることが可能となる。
混銑車から排出される溶銑に脱酸剤を加える状況を示す概略説明図である。 実施例1における、残存するスラグの量と溶銑の温度変化との関係を示すグラフである。 実施例1における、残存するスラグの量と脱硫率との関係を示すグラフである。 実施例2における、経過時間と溶銑の温度変化との関係を示すグラフである。 実施例2における、経過時間と脱硫率との関係を示すグラフである。 実施例3における、残存するスラグの量と溶銑の温度変化との関係を示すグラフである。 実施例3における、残存するスラグの量と脱硫率との関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、混銑車から排出される溶銑に脱酸剤を加える状況を示す概略説明図である。2対のレールが、並列している位置となる移し替え位置が製鉄所内に存在しており、この移し替え位置では、第1のレール4が、それに並ぶ第2のレール5より高い位置に配置されている。第1のレール4は、高炉から移し替え位置まで繋がっており、第2のレール5は、移し替え位置から、脱硫処理が行なわれる所定の位置まで繋がっている。第1のレール4には混銑車(第1の搬送容器)1が走行し、第2のレール5には、溶銑鍋(第2の搬送容器)6を積載する溶銑鍋搬送車両7が走行する。
混銑車1で、高炉から、高炉スラグが含まれている溶銑2を受銑する。受銑後に、混銑車1を、脱燐処理を行なうための所定の位置に移動させ、溶銑2に固体CaO及び酸素を加えて脱燐処理を行なう。脱燐処理を行なう前に脱珪処理を行っていることが好ましい。なぜならば、脱珪処理によりその後の脱燐処理を効率よく行うことが可能となるからである。この脱珪処理は、高炉の出銑樋で行ってもよいし、混銑車1で行ってもよい。
脱燐処理は、比較的低温の条件で、固体CaOを溶銑2に投入しつつ、インジェクションランスなどにより酸素を吹き込むなどして行なう。酸素の吹き込みなどにより、溶銑2中の燐(P)の酸化反応を促進させ、これにより、この燐(P)を燐酸化合物(P)にし、該燐酸化合物は、溶銑表面のスラグ3に3CaO・Pとして吸収される。
溶銑2中の燐(P)が所定の濃度となるまで、または、酸素の吹き込みを開始してから所定の時間が経過するまで、この脱燐処理を行なう。脱燐処理を行った後に、混銑車1を除滓場(図示しない)へ移動して、溶銑2の上に存在するスラグ3の一部を溶銑2から除去する(除滓処理)。スラグ3を取り除いた後に、混銑車1を、除滓場から移し替え位置へ移動させる。
前記除滓処理においては、溶銑2に生じるスラグ3の全てを除去するのではなく、全スラグのうち5質量%以上40質量%以下のスラグを混銑車1に残存させる。スラグの残存量が5質量%未満だと、後述する脱酸剤8と反応する酸素が少ないので、発熱の効果が奏しにくくなる一方で、40質量%を超えてスラグを残存させると、脱硫剤投入量が課題になり、投入量が不十分であれば、この後の脱硫処理時の酸素ポテンシャルが高くなるので、脱硫効率が低下する。
スラグの残存量は、溶銑2に生じるスラグの全量を予め算出しておけば、除滓処理の時に把握することができる。高炉からの受銑から後述する脱硫処理までの、過去に行ない続けていた操業のデータから、混銑車1中の溶銑2の質量や脱燐処理における酸素吹き込み量などの条件に基づいて、溶銑2に生じるスラグの全量は予め算出することが可能である。除去したスラグの量は、例えば、スラグポットなどの容器を秤量しておけば、測定することが可能である。算出されるスラグの全量及び測定されるスラグの除去量に基づいて、5質量%以上40質量%以下のスラグを混銑車1に残存させるように、溶銑2からスラグを除去することが可能である。
次いで、脱燐処理及び除滓処理が行なわれた溶銑2に脱酸剤8を加える。脱酸剤8を加えるタイミングとしては、溶銑2を、混銑車1から溶銑鍋6に移し替える際が好ましい。溶銑2に脱酸剤8を加える方法としては、単に脱酸剤8を投入すればよいが、図1に示すように、溶銑鍋6に脱酸剤8を前もって配置しておくことが好ましい。前もって配置しておけば、溶銑2が溶銑鍋6へ排出されるタイミングを考慮せずに、溶銑2に脱酸剤8を加えることが可能となる。また、投入シュート9から脱酸剤8を、流下している溶銑2に投入することも可能である。溶銑鍋6に脱酸剤8を前もって配置する場合及び投入シュート9から脱酸剤8を流下している溶銑2に投入する場合のいずれであっても、溶銑の流れの攪拌力によって、脱酸剤8が溶銑2に溶けやすくなる。また、図1に示すように、脱酸剤8を前置きしつつ脱酸剤8を流下している溶銑2に投入すれば、更に、脱酸剤8が溶銑2に溶けやすくなる。
本実施形態では、特に、混銑車1から溶銑鍋6へ溶銑2を移し替える例を説明しているが、本発明はこの実施形態に限定されない。例えば、第1のレール4と第2のレール5ととを繋げた状態とし、これらのレール上を溶銑鍋搬送車両7が走行し、溶銑鍋6で、脱燐処理、及び、スラグを意図的に溶銑に残存させる除滓処理を行った後に、その溶銑鍋6から別の搬送容器に溶銑2を移し替えることなく、溶銑2に脱酸剤8を加えてもよい。そのようにしても、脱燐処理後に溶銑に残存するスラグ3に含まれる酸素と脱酸剤8との反応は、混銑車1から溶銑鍋6へ溶銑2を移し替える場合と同様に生じる。
脱酸剤8を加えて所定時間が経過した後に、溶銑鍋6に収容されている溶銑2の表面上に、更にスラグ3が形成される。溶銑鍋搬送車両7を除滓場へ移動して、このスラグ3を溶銑2から取り除く。スラグを取り除くタイミングは、溶銑2に脱酸剤8を加えてから5分以上経過した後であることが好ましく、脱酸剤8を加えてから20分以内であることが好ましい。5分経過した後であれば、脱酸剤と酸素の反応が十分に進み、溶銑の温度上昇及び酸素ポテンシャルの低下が確実なものとなり、脱硫効率が確実に向上し、20分以内であれば、温度降下も限定的となる。なお、溶銑2に脱酸剤8を加えたとするタイミングは、脱酸剤8を溶銑2に加え終えた時であり、本実施形態においては、溶銑鍋6に脱酸剤8を前もって配置する場合には、混銑車1から溶銑鍋6に溶銑2を移し替え終えた時であり、脱酸剤8を流下している溶銑2に投入する場合には、脱酸剤8を全て溶銑2に加え終えた時である。
脱燐処理における酸化反応は、1300℃などの比較的低温の条件でより促進されることが知られており、一方で、脱硫処理などの還元反応は、1500〜1600℃の高温でかつ酸素ポテンシャルが低い条件下で、より促進されることも知られている。このため、脱燐処理と脱硫処理とを同じ温度条件で行なうことは、溶銑2から、燐(P)及び硫黄(S)の両方を取り除くという観点からすると効率的ではない。
本発明では、脱燐と脱硫とを効率的に行なうために、脱硫処理を行なう前に溶銑2に脱燐処理をしておき、次いで、その溶銑2に脱硫処理を行うが、その前に溶銑2の温度を高めることを目的として、溶銑2に脱酸剤8を加える。これにより、脱酸剤8は溶銑2中の酸素及び除滓処理後であっても、残存しているスラグ3中の酸素と反応して発熱し、この発熱によって溶銑2の温度が上がり、更には、溶銑2中の酸素ポテンシャルが低下する。脱燐時のスラグ3の一部を残存させることにより、スラグ3に含まれる酸素と脱酸剤8との酸化反応(発熱反応)により、溶銑の温度を効率よく上昇させることができる。その結果、脱硫処理が促進されて、脱硫効率を向上させることができる。
脱酸剤8としては、アルミニウム源または珪素源を用いることが好ましい。アルミニウム源は、金属アルミニウム、アルミニウム合金、アルミドロスが挙げられ、珪素源は、金属珪素、珪素合金が挙げられる。なお、発熱源としては、炭素源も考えられるが、アルミニウムまたは珪素は、炭素よりも、酸素親和力が高くかつ単位質量当たりの発熱量も高い。脱酸剤8として珪素源を用いれば、脱珪処理及び脱燐処理によって、溶銑中の珪素が不足する傾向にあったとしても、溶銑中の珪素濃度を、後の工程を考慮した所望の値にすることが可能となる。
溶銑に投入する脱酸剤の投入量について、溶銑中の脱酸剤成分(珪素成分またはアルミニウム成分)が0.10〜0.25質量%となるように、脱酸剤を溶銑に投入することが好ましい。脱酸剤成分が0.10質量%程度で、溶銑の温度向上に寄与し始め、脱酸剤成分が0.25質量%程度で温度上昇効果が飽和するため、溶銑1トンのうち、脱酸剤成分を0.10〜0.25質量%とすると、脱酸剤成分を、効率よく溶銑の温度向上に用いることができる。
脱酸剤8が加えられた溶銑2を収容する溶銑鍋6を、脱硫処理を行なうための機械攪拌装置などが設けられた所定の位置に移動させて、溶銑2を脱硫処理する。脱燐処理が行なわれてから脱硫処理を行うまでの間に、脱酸剤8の酸化反応(脱酸処理)以外のいかなる精錬処理も行わないことが好ましい。脱酸剤8を加えることによって発生した熱が、脱硫処理以外の精錬処理で用いられることを避けるためである。
また、上記実施形態では、混銑車1で高炉から溶銑2を受銑しており、この混銑車1から排出された溶銑2を溶銑鍋6に収容しているが、本発明はこの形態に限られず、高炉からの受銑を溶銑鍋6で行なってもよい。
以上のようにして、脱燐処理された溶銑に脱酸剤を加えることによって、溶銑内で脱酸剤の酸化反応を起こさせて、溶銑の温度を上げかつ酸素ポテンシャルを低下させてから、脱硫処理を行なうことによって、脱硫効率を向上させることができる。
第1のレール4と第2のレール5とを繋げた状態とし、溶銑を最大で300トン収容可能な溶銑鍋6を積載する溶銑鍋搬送車両7を準備した。この溶銑鍋6で、高炉から、高炉樋で脱珪処理が既に行なわれた280トンの溶銑を受銑した。溶銑鍋6を、脱燐処理が行なわれる所定の位置に移動させて、固体CaOを溶銑2に加えつつ、溶銑2中の燐(P)濃度が0.065質量%となるまで酸素を吹き込んで、脱燐処理を行なった。
次いで、溶銑鍋6を除滓場へ移動させて、脱燐処理が行なわれた溶銑2のスラグ3を、発生した全スラグのうち、溶銑鍋6に残存するスラグ3の量が20質量%となるように、除去した(1回目の除滓処理)。除滓処理直後に、スラグ3が除去された溶銑2を収容する溶銑鍋6に脱酸剤8を投入して、溶銑2内で珪素の酸化反応を生じさせた。溶銑2に脱酸剤8を加えてから15分経過後に、再度、除滓場で、溶銑鍋6内の溶銑2の表面上に生じたスラグ3を除去した(2回目の除滓処理)。脱酸剤8として珪素源を用いた。珪素源としては、金属珪素成分が50質量%であり、他の50質量%が金属珪素成分以外の不純物であるSi50を用いた。
除滓場から、溶銑2を収容した溶銑鍋6を、脱硫処理を行うための所定の位置に移動した。該所定位置で、溶銑2を機械攪拌しつつ、CaOを主成分とする脱硫剤(CaO:97質量%、CaF:3質量%)を、溶銑鍋6に投入して、溶銑2に対して脱硫処理を行った。溶銑鍋6に脱酸剤8を投入してから、脱硫処理が行われる所定の位置に移動するまでに掛かった時間は、30分であった(本発明例11)。
本発明例11では、更に、除去するスラグ3の量を適宜変更して、発生した全スラグのうち、溶銑鍋6に残存するスラグ3の量が5質量%以上40質量%以下となるように、スラグ3を除去し、更に、溶銑2に加える珪素源の量及び脱硫剤の量を一定にして、高炉からの受銑から脱硫処理までの操業を複数回行なった。
本発明例11と比較するために、脱酸剤8としてアルミニウム源を用いた以外は本発明例11と同様の条件で、高炉からの受銑から脱硫処理までの操業を複数回行なった(本発明例12)。本発明例12におけるアルミニウム源として、金属アルミニウム成分が20質量%であり、他の80質量%が金属アルミニウム成分以外の不純物であるアルミ滓を用いた。
本発明例11及び本発明例12と比較するために、1回目の除滓処理において、溶銑鍋6に残存するスラグ3の量が5質量%以上40質量%以下の範囲外となるように、除去するスラグ3の量を適宜変更した以外は、本発明例11及び本発明例12と同様の条件で、溶銑に脱硫処理を行なう操業を複数回行なった(比較例11及び比較例12)。
<本発明例11と本発明例12及び比較例11と比較例12の比較評価>
本発明例11と本発明例12及び比較例11と比較例12における各操業において、残存するスラグ3の量と、溶銑鍋6に脱酸剤8を投入する直前の溶銑2の温度と、溶銑鍋6に脱酸剤8を投入してから30分後における溶銑2の温度と、を測定した。図2は、残存するスラグ3の量と溶銑の温度変化との関係を示すグラフである。図2に示すように、比較例11及び比較例12に比べて、本発明例11と本発明例12では、総じて、溶銑の温度が上がっていることがわかる。
更には、各操業における脱硫処理での脱硫率を測定した。図3は、残存するスラグ3の量と脱硫率との関係を示すグラフである。図3に示すように、本発明例11及び本発明例12の脱硫処理では、比較例11及び比較例12に比べて、各操業において安定して高い脱硫率となることがわかる。本発明例11及び本発明例12の操業では、脱硫効率が良好であったことがわかる。
1回目の除滓処理で、溶銑鍋6に残存するスラグ3の量を20質量%と固定し、溶銑に脱酸剤を加えてから5〜20分経過する間に、2回目の除滓処理を行った以外は実施例1の本発明例11と同様の条件で、溶銑に脱硫処理を行なう操業を複数回行なった(本発明例21)。
また、珪素源の代わりに、本発明例12で用いたアルミニウム源を溶銑2に加えた以外は本発明例21と同様の条件で、溶銑に脱硫処理を行なう操業を複数回行なった(本発明例22)。
本発明例21及び本発明例22と比較するために、溶銑鍋6に脱酸剤8を投入した時から20分経過した後に、2回目の除滓を行った以外は、本発明例21及び本発明例22と同様の条件で、溶銑に脱硫処理を行なう操業を複数回行なった(比較例21及び比較例22)。
<本発明例21と本発明例22及び比較例21と比較例22の比較評価>
本発明例21と本発明例22及び比較例21と比較例22における各操業において、溶銑に脱酸剤を加えた時から経過した時間と、溶銑に脱酸剤を投入した時からの溶銑の温度変化と、を測定した。なお、実際の操業では、溶銑に脱酸剤を加えてから、2回目の除滓処理を行なう位置に溶銑鍋6を移動させるまでに、少なくとも5分は掛かるので、溶銑2に脱酸剤8を投入した時から5分経過前に、溶銑2の温度を測定することは困難であった。図4は、その経過時間と溶銑の温度変化との関係を示すグラフである。図4に示すように、比較例21及び比較例22に比べて、本発明例21及び本発明例22では、経過時間が5分以上経過し、溶銑2の温度が上昇し、経過時間が20分以内であれば、溶銑2の温度はあまり降下していないことがわかる。
更には、各操業における脱硫処理での脱硫率を測定した。図5は、経過時間と脱硫率との関係を示すグラフである。図5に示すように、本発明例21及び本発明例22の脱硫処理では、比較例21と比較例22の場合に比べて、安定して高い脱硫率となることがわかる。
溶銑を、最大で280トンを収容可能な混銑車1、及び、最大で300トンを収容可能な溶銑鍋6を積載する溶銑鍋搬送車両7を準備した。第2のレール5上の移し替え位置に溶銑鍋6を配置しておく。脱酸剤8には、本発明例11と同じ珪素源を用いた。
混銑車1で、高炉から、高炉樋で脱珪処理が既に行なわれた280トンの溶銑を受銑した。該溶銑を収容する混銑車1を、脱燐処理が行なわれる所定の位置に移動させて、固体CaOを溶銑2に加えつつ、溶銑2中の燐(P)濃度が0.065質量%となるまで酸素を吹き込んで、脱燐処理を行なった。
次いで、混銑車1を除滓場へ移動させて、脱燐処理が行なわれた溶銑2のスラグ3を、発生した全スラグのうち20質量%のスラグ3が混銑車1に残存するように除去した(1回目の除滓処理)。スラグ3が除去された溶銑2を収容する混銑車1を、第1のレール4上の移し替え位置に移動させて、溶銑2を混銑車1から溶銑鍋6に移し替えた。移し替える際に、溶銑2に脱酸剤8を投入して、溶銑2内で珪素の酸化反応を生じさせた。次いで、溶銑鍋6を除滓場へ移動させて、溶銑鍋6内の溶銑2の表面上に生じたスラグ3を除去した(2回目の除滓処理)。溶銑2を溶銑鍋6に移し終えた時、すなわち、溶銑に脱酸剤を加えてから2回目の除滓までの時間は15分であった。
除滓場から、溶銑2を収容した溶銑鍋6を、脱硫処理を行うための所定の位置に移動した。該所定位置で、溶銑2を機械攪拌しつつ、CaOを主成分とする脱硫剤(CaO:97質量%、CaF:3質量%)を、溶銑鍋6に投入して、溶銑2に対して脱硫処理を行った。溶銑2を混銑車1から溶銑鍋6に移し替えてから、脱硫処理が行われる所定の位置に移動するまでに掛かった時間は、30分であった(本発明例31)。
本発明例31では、更に、除去するスラグ3の量を適宜変更して、発生した全スラグのうち、溶銑鍋6に残存するスラグ3の量が5質量%以上40質量%以下となるように、スラグ3を除去し、更に、溶銑2に加える珪素源の量及び脱硫剤の量を一定にして、高炉からの受銑から脱硫処理までの操業を複数回行なった。
脱酸剤8として、本発明例12と同じアルミニウム源を用いた以外は、本発明例31と同様の条件で、高炉からの受銑から脱硫処理までの操業を複数回行なった(本発明例32)。
本発明例31及び本発明例32と比較するために、1回目の除滓処理において、混銑車1に残存するスラグ3の量が5質量%以上40質量%以下の範囲外となるように、除去するスラグ3の量を適宜変更した以外は、本発明例31及び本発明例32と同様の条件で、溶銑2に対して脱硫処理を行なった(比較例31及び比較例32)。比較例31及び比較例32でも、本発明例31及び本発明例32と同様に、溶銑2に加える珪素源の量及び脱硫剤の量を一定にして、高炉からの受銑から脱硫処理までの操業を複数回行なった。
<本発明例31と本発明例32及び比較例31と比較例32の比較評価>
本発明例31と本発明例32及び比較例31と比較例32における各操業において、残存するスラグ3の量と、溶銑2を混銑車1から溶銑鍋6に移し替えてから、30分後における溶銑2の温度を測定した。図6は、残存するスラグ3の量と溶銑の温度変化との関係を示すグラフである。図6に示すように、比較例31及び比較例32に比べて、本発明例31と本発明例32では、総じて、溶銑の温度が上がっていることがわかる。
更には、各操業における脱硫処理での脱硫率を測定した。図7は、残存するスラグ3の量と脱硫率との関係を示すグラフである。図7に示すように、本発明例31及び本発明例32の脱硫処理では、比較例31及び比較例32に比べて、各操業において安定して高い脱硫率となることがわかる。本発明例31及び本発明例32の操業でも、脱硫効率が良好であったことがわかる。
<実施例1〜3からの結果>
上記実施例1〜3の結果からわかるように、本発明によって、脱燐処理が行なわれた溶銑に生じたスラグの一部を、搬送容器残存させた状態の溶銑に脱酸剤を加えることで、溶銑内で脱酸剤の酸化反応を起こさせて、溶銑の温度を上げかつ酸素ポテンシャルを低下させて、脱硫効率を向上させることができる。
1 混銑車
2 溶銑
3 スラグ
4 第1のレール
5 第2のレール
6 溶銑鍋
7 溶銑鍋搬送車両
8 脱酸剤
9 投入シュート

Claims (3)

  1. 搬送容器に収容された溶銑に脱燐処理を行い、
    前記脱燐処理で生成したスラグを、生成した全スラグのうちの5質量%以上40質量%以下のスラグが前記搬送容器に残存するように前記溶銑から除去し、
    前記スラグの除去後、前記溶銑に脱酸剤を加え、
    次いで、該脱酸剤が加えられた溶銑を脱硫処理することを特徴とする、溶銑の脱硫方法。
  2. 前記脱酸剤は、アルミニウム源または珪素源であることを特徴とする請求項1に記載の溶銑の脱硫方法。
  3. 前記溶銑から前記スラグを除去する際に、前記溶銑を収容している第1の搬送容器から、該第1の搬送容器とは別の第2の搬送容器に、前記溶銑を移し替える際に、前記溶銑に前記脱酸剤を加えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶銑の脱硫方法。
JP2013157325A 2013-07-30 2013-07-30 溶銑の脱硫方法 Expired - Fee Related JP5874693B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013157325A JP5874693B2 (ja) 2013-07-30 2013-07-30 溶銑の脱硫方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013157325A JP5874693B2 (ja) 2013-07-30 2013-07-30 溶銑の脱硫方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015028191A JP2015028191A (ja) 2015-02-12
JP5874693B2 true JP5874693B2 (ja) 2016-03-02

Family

ID=52492040

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013157325A Expired - Fee Related JP5874693B2 (ja) 2013-07-30 2013-07-30 溶銑の脱硫方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5874693B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05255725A (ja) * 1991-12-11 1993-10-05 Kawasaki Steel Corp 溶銑の予備処理方法
JPH111713A (ja) * 1997-06-11 1999-01-06 Sumitomo Metal Ind Ltd 極低Pの高清浄高Ni鋼の製造方法
JP4609010B2 (ja) * 2004-09-15 2011-01-12 住友金属工業株式会社 鋼の製造方法
JP2014125668A (ja) * 2012-12-27 2014-07-07 Jfe Steel Corp 溶銑の脱硫方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015028191A (ja) 2015-02-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2013234379A (ja) 極低燐極低硫鋼の溶製方法
JP5910579B2 (ja) 極低窒素純鉄の溶製方法
JP4742740B2 (ja) 低硫鋼の溶製方法
JP6028755B2 (ja) 低硫鋼の溶製方法
JP5967139B2 (ja) 溶銑の予備処理方法
JP5874693B2 (ja) 溶銑の脱硫方法
JP5217478B2 (ja) 極低炭素鋼の溶製方法
JP2014125668A (ja) 溶銑の脱硫方法
JP2006265623A (ja) 溶銑の予備処理方法
KR101896429B1 (ko) 용선의 예비 처리 방법
JP2018188730A (ja) 転炉製鋼方法
JP2005015889A (ja) 転炉内スラグの流出防止方法
JP2014058728A (ja) 溶鋼の脱硫方法
JP5602047B2 (ja) 混銑車における溶銑の脱りん処理方法
JP4609010B2 (ja) 鋼の製造方法
JP5655345B2 (ja) 溶銑の脱燐方法
JP4369632B2 (ja) 転炉型容器を用いたスラグ発生量の少ない溶銑の予備処理方法
JP2012122134A (ja) カルシウムフェライトを用いた溶銑の脱りん処理方法
JP2006241561A (ja) 溶銑輸送容器からの発塵防止方法
JP5803866B2 (ja) 溶鋼の脱硫剤及びそれを使用した脱硫方法
JP7248195B2 (ja) 転炉製鋼方法
JP2018172719A (ja) 溶銑の脱硫方法
JP2018154907A (ja) 溶銑の予備処理方法
JP7167704B2 (ja) 溶銑脱硫方法
JP6848780B2 (ja) 転炉の操業方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150223

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160104

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5874693

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees