JP2018154907A - 溶銑の予備処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶銑搬送容器(例えば、混銑車1)に収容された溶銑2に精錬剤を添加して、酸化精錬による予備処理を施す溶銑2の予備処理方法において、酸素源のみを精錬剤として溶銑に添加することで、溶銑2を脱珪処理する第1の予備処理工程と、第1の予備処理工程で添加される酸素源の酸素ガス相当の積算供給量Qが(1)式を満たした後、CaOを有する造滓剤と酸素源とを精錬剤として溶銑2に添加することで、溶銑2を脱燐処理する第2の予備処理工程とを備え、第1の予備処理工程では、酸素源として酸化鉄を含む固体酸素源を少なくとも用い、溶銑2に浸漬させたインジェクションランス3から固体酸素源を吹き込むことで、溶銑2に酸素源を添加する。Q≧[Si]×16 ・・・(1)
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1には、混銑車内の溶銑に脱硫処理を施してスラグを形成させた後に、スラグの塩基度を1.8以上に維持しつつ、吹き込み塩基度を2.5以下とした酸化剤及びフラックスを吹き込むことで脱燐処理を行う溶銑の予備処理方法が提案されている。
また、特許文献2には、脱珪後の低塩基度なスラグを除去した後に、脱燐処理を行う溶銑の予備処理方法が提案されている。
また、特許文献2で提案されている予備処理方法では、脱珪処理と脱燐処理との間に除滓を行う必要があることから処理工程が増加し、予備処理全体で処理時間が増加することが問題となる。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、石灰源の使用量を抑制し、効率的に予備処理を行うことができる溶銑の予備処理方法を提供することを目的としている。
Q≧[Si]×16 ・・・(1)
Q:酸素源の酸素ガス相当の積算供給量[Nm3/t]
[Si]:予備処理前の溶銑中のSi濃度[wt%]
(2)式における定数kとして、酸化精錬によって上記溶銑のSi濃度が0.15wt%以下となる、上記酸素源の酸素ガス換算の積算供給量に応じた値を用いることを特徴とする溶銑の予備処理方法が提供される。
Q≧[Si]×k ・・・(2)
Q:酸素源の酸素ガス相当の積算供給量[Nm3/t]
[Si]:予備処理前の溶銑中のSi濃度[wt%]
k:定数
本発明の一実施形態における溶銑の予備処理設備について説明する。本実施形態では、図1に示す予備処理設備を用いて、混銑車1に収容された溶銑2を酸化精錬することで、溶銑2中の珪素(Si)及び燐(P)を除去する、脱珪処理及び脱燐処理を予備処理として行う。
混銑車1は、溶銑搬送容器の一つであり、魚雷型の容器10(「トピード」ともいう)と、軌道上を移動可能な自走式車両または自走式台車である車両部11とを有する。容器10は、鉄皮の内側に不図示の耐火物がライニングされ、溶銑2を内部に収容可能に構成される。また、容器10の長手方向(図1の左右方向)の中央上側には、開口部である炉口100が設けられる。車両部11は、容器10の長手方向(図1の左右方向)に平行な容器10の中心軸を回転軸として傾転可能に、容器10の長手方向の両端を支持することで、容器10を搭載する。
次に、本実施形態に係る溶銑2の予備処理方法について説明する。まず、混銑車1が予備処理設備に搬送された後、あるいは混銑車1が予備処理設備に搬送される前に、容器10に溶銑2が収容された混銑車1を所定の角度に傾転させる。溶銑2は、高炉から出銑された溶銑であり、溶銑2のSi濃度をある程度低減させる鋳床脱珪等の脱珪処理が事前に施されていてもよい。容器10を傾転させる角度は、容器10の炉口100から溶銑2が排出されない程度に傾いた角度である。つまり、容器10は、図2に示すように、炉口100が鉛直方向(図2の上下方向)上側に向いた状態から、炉口100から溶銑2が排出される角度よりも小さい角度で傾転する。
Q≧[Si]×16 ・・・(1)
また、第1の予備処理工程では、酸素源による酸化反応により、SiO2等の酸化物であるスラグが発生する。そして、発生したスラグは、溶銑2に比べ比重が軽いため、溶銑2の浴面上に浮上し、トップスラグ4を形成する。本実施形態では、図2に示すように、容器10を傾転させた状態で第1の予備処理工程を行うため、傾転角度に応じた所定の高さ(炉口100の高さ)以上となったトップスラグ4の一部が、容器10の外へと排出される。なお、容器10から排出されたトップスラグ4は、混銑車1の下方の容器10を傾転させた側に設けられた、スラグを収容可能な穴状の回収部(スラグピット)へと収容される。
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、溶銑搬送容器は混銑車1であるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、溶銑搬送容器は、溶銑鍋等の鍋型容器であってもよい。
Q≧[Si]×k ・・・(2)
[Si]×16+2≧Q≧[Si]×16 ・・・(3)
[Si]×k+2≧Q≧[Si]×k ・・・(4)
さらに、上記実施形態では、固体酸素源として焼結ダストを用いるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。固体酸素源は、粉粒状(粒径が0.5mm以下)で、酸化鉄を含むものであれば、他の物質が用いられてもよい。
さらに、上記実施形態において、第2の予備処理工程では、必ずしも酸素源と造滓剤とが処理の全期間にわたって同時に添加される必要はない。例えば、第2の予備処理工程における一部の期間では、酸素源のみが添加される構成であってもよい。
(1)本発明の一態様に係る溶銑2の予備処理方法は、溶銑搬送容器(例えば、混銑車1)に収容された溶銑2に精錬剤を添加して、酸化精錬による予備処理を施す溶銑2の予備処理方法において、酸素源のみを精錬剤として溶銑に添加することで、溶銑2を脱珪処理する第1の予備処理工程と、第1の予備処理工程で添加される酸素源の酸素ガス相当の積算供給量Qが(1)式を満たした後、CaOを有する造滓剤と酸素源とを精錬剤として溶銑2に添加することで、溶銑2を脱燐処理する第2の予備処理工程とを備え、第1の予備処理工程では、酸素源として酸化鉄を含む固体酸素源を少なくとも用い、溶銑2に浸漬させたインジェクションランス3から固体酸素源を吹き込むことで、溶銑2に酸素源を添加する。
[Si]+2[O] = SiO2 ・・・(5)
また、脱珪期において発生するスラグは、SiO2の濃度が高くなるため、塩基度が低くなる。スラグの塩基度が低い場合、スラグの粘性が上昇する。さらに、酸化精錬による予備処理では、溶銑中の酸素源と炭素との反応によってCOガス等の気泡が発生する。このため、スラグが泡立ちするフォーミング現象が生じる。
3CaO+2[P]+5[O] = 3CaO・P2O5 ・・・(6)
脱燐反応においては、トップスラグ4の塩基度を1.2以上として、さらに高くするほど脱燐効率は向上する。このため、上記(3)の構成によれば、脱燐反応が促進されるため、より高い脱燐効率で脱燐処理を行うことができる。なお、塩基度が高く、溶銑2の温度が高い場合には、予備処理後のスラグが凝固してしまい、溶銑2を混銑車1から排出できない場合がある。このため、トップスラグ4の塩基度は、3.0以下とすることがさらに好ましい。
また、第2の予備処理工程では、トップスラグ4を排出させながら造滓剤を添加して脱燐処理を行うことで、トップスラグ4の塩基度を、第1の予備処理工程で発生した低い状態から、高い状態へと切り替えることができる。このため、CaO源(造滓剤)の使用量を抑制することができる。
固体酸素源を用いた酸化精錬処理では、酸化鉄の分解にともなう吸熱反応が生じる。このため、固体酸素源の使用量が多くなることで、溶銑2の温度は低くなる。しかし、上記(5)の構成によれば、酸素源として固体酸素源に加えて気体酸素源を用いることで、酸素源の供給量が増加しても、溶銑2の温度低下を抑制することができる。これにより、後工程における精錬反応の促進効果や昇熱材の削減効果が得られ、製鋼工程における精錬コストを低減することができる。
図4に示すように、横軸の値が増加するに伴って脱珪外脱燐酸素効率が向上し、横軸が0以上となる範囲では高い脱珪外脱燐酸素効率が得られることが確認された。また、横軸が0未満となる範囲では、脱珪外脱燐酸素効率が急激に低下することが確認された。
以上の結果から、横軸の値が0以上となる上記実施形態に係る溶銑2の予備処理方法を用いることで、脱燐石灰効率を維持しながらも脱珪外脱燐酸素効率を向上させることができるようになるため、CaO源の使用量を抑制することができ、予備処理を効率的に行うことができることが確認された。
表2、図6及び図7に実施例2の結果を示す。表2には、予備処理前後での溶銑2の成分の平均値、脱珪外酸素量の平均値、脱珪外脱燐酸素効率の平均値、CaO積算供給量、及び脱燐石灰効率の平均値を示す。
表2及び図6から分かるように、実施例2の脱珪外脱燐酸素効率は、比較例2と同等であることが確認できた。つまり、脱珪期において石灰源となる造滓剤を溶銑2に添加しない精錬条件であっても、脱燐効率には大きく影響しないことが確認された。また、表2及び図7から分かるように、実施例2では比較例2に比べ、脱燐石灰効率は向上することが確認された。つまり、本発明によれば、高い脱燐効率を維持しつつも、石灰源の使用量を抑制できることが確認できた。
10 容器
100 炉口
11 車両部
2 溶銑
3 インジェクションランス
4 トップスラグ
5 上吹きランス
Claims (5)
- 溶銑搬送容器に収容された溶銑に精錬剤を添加して、酸化精錬による予備処理を施す溶銑の予備処理方法において、
酸素源のみを前記精錬剤として前記溶銑に添加することで、前記溶銑を脱珪処理する第1の予備処理工程と、
前記第1の予備処理工程で添加される前記酸素源の酸素ガス相当の積算供給量が(1)式を満たした後、CaOを有する造滓剤と前記酸素源とを前記精錬剤として前記溶銑に添加することで、前記溶銑を脱燐処理する第2の予備処理工程と
を備え、
前記第1の予備処理工程では、前記酸素源として酸化鉄を含む固体酸素源を少なくとも用い、前記溶銑に浸漬させたインジェクションランスから前記固体酸素源を吹き込むことで、前記溶銑に前記酸素源を添加することを特徴とする溶銑の予備処理方法。
Q≧[Si]×16 ・・・(1)
Q:酸素源の酸素ガス相当の積算供給量[Nm3/t]
[Si]:予備処理前の溶銑中のSi濃度[wt%] - 溶銑搬送容器に収容された溶銑に精錬剤を添加して、酸化精錬による予備処理を施す溶銑の予備処理方法において、
酸素源のみを前記精錬剤として前記溶銑に添加することで、前記溶銑を脱珪処理する第1の予備処理工程と、
前記第1の予備処理工程で添加される酸素源の酸素ガス相当の積算供給量が(2)式を満たした後、CaOを有する造滓剤と前記酸素源とを前記精錬剤として前記溶銑に添加することで、前記溶銑を脱燐処理する第2の予備処理工程と
を備え、
前記第1の予備処理工程では、前記酸素源として酸化鉄を含む固体酸素源を少なくとも用い、前記溶銑に浸漬させたインジェクションランスから前記固体酸素源を吹き込むことで、前記溶銑に前記酸素源を添加し、
(2)式における定数kとして、酸化精錬によって前記溶銑のSi濃度が0.15wt%以下となる、前記酸素源の酸素ガス換算の積算供給量に応じた値を用いることを特徴とする溶銑の予備処理方法。
Q≧[Si]×k ・・・(2)
Q:酸素源の酸素ガス相当の積算供給量[Nm3/t]
[Si]:予備処理前の溶銑中のSi濃度[wt%]
k:定数 - 前記第2の予備処理工程では、脱燐処理中のトップスラグの塩基度が1.2以上となるように、前記精錬剤を添加することを特徴とする請求項1または2に記載の溶銑の予備処理方法。
- 前記溶銑搬送容器として混銑車を用いて、
前記第1の予備処理工程の前に、前記溶銑が前記混銑車の炉口から排出されない角度で、前記混銑車を傾転させ、
前記第1の予備処理工程及び前記第2の予備処理工程では、前記混銑車を傾転させた状態で、生成されるトップスラグの一部を前記炉口から排出させながら前記脱珪処理及び前記脱燐処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶銑の予備処理方法。 - 前記酸素源として、前記インジェクションランスから吹き込まれる気体酸素源及び前記溶銑の上方に配された上吹きランスから噴射される気体酸素源の少なくとも一方の気体酸素源をさらに用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶銑の予備処理方法。
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JP2017054693A JP2018154907A (ja) | 2017-03-21 | 2017-03-21 | 溶銑の予備処理方法 |
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JP2021046582A (ja) * | 2019-09-19 | 2021-03-25 | Jfeスチール株式会社 | 溶銑の脱燐処理方法 |
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2017
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