JP4981248B2 - 溶銑の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱的に効率的な溶銑の処理方法に関し、詳しくは、組成及び温度が同一の溶銑であっても、鉄スクラップの溶解量を増加させ、より多くの溶鋼を得ることのできる溶銑の処理方法に関するものである。
近年、高炉から出銑された溶銑は、転炉で精錬される前に、溶銑予備処理と呼ばれる脱珪処理、脱硫処理及び脱燐処理が施される場合が多い。当初、これらの溶銑予備処理は、鋼材の品質面上から低硫化や低燐化が要求されるものについて実施されていたが、近年では、転炉における生産性向上、転炉でのMn鉱石の還元によるコスト削減効果などにより、銑鋼一貫の製鉄所における製鋼工程のトータルコストを削減する手段として、出銑されるほぼ全ての溶銑に対して溶銑予備処理が施されるようになってきた。ここで、脱珪処理とは、溶銑の珪素含有量が高いと脱燐反応が阻害されるので、脱燐処理を効率的に行うために脱燐処理に先立って行われる処理である。
この脱珪処理は、高炉鋳床を流れる溶銑或いは溶銑搬送容器に収容された溶銑に、鉄鉱石やミルスケールなどの固体酸素源または酸素ガスや酸素含有ガスなどの気体酸素源を吹き付けまたは吹き込み、溶銑中の珪素をこれらの酸素源中の酸素によって酸化し、生成した酸化物をスラグとして除去することによって行われている。固体酸素源を使用した場合には、固体酸素源自体の温度を上げるための顕熱と固体酸素源である酸化鉄の分解熱とが必要であることから脱珪処理全体の反応は吸熱反応になり、一方、気体酸素源を使用した場合には、珪素の酸化熱によって発熱反応になる。
脱珪処理による反応熱を有効に利用するという観点から、脱珪処理に用いる酸素源として酸素ガスを積極的に使用する方法が、特許文献1及び特許文献2などに開示されている。特許文献1では、高炉鋳床を流下する溶銑に転炉スラグを添加すると同時に酸素ガスを吹き付けて脱珪処理を行い、その後、脱燐処理、脱硫処理を施した溶銑処理方法を提案し、特許文献2では、高炉から出銑された溶銑に鉄スクラップを添加し、次いで酸素ガスを用いて脱珪処理を施し、脱珪処理によって発生したスラグを除去した後、脱燐処理を行う溶銑処理方法を提案している。
また、特許文献3、特許文献4及び特許文献5には、脱珪処理で酸素源として使用する酸素ガスと固体酸素源との比率及び添加時期を所定の範囲に調整し、効率的に脱珪反応を進行させた脱珪処理方法が開示されている。特に、特許文献5では、取鍋型の溶銑搬送容器で行う脱珪処理において、溶銑の脱炭反応の抑制及びスラグのフォーミングの抑制を目的として、溶銑中の珪素濃度が0.10質量%以下の領域では酸素源の供給速度を低下させ、且つ、酸素源として酸素ガスのみを使用する脱珪方法が提案されている。
一方、溶銑予備処理工程で鉄スクラップなどの地金を溶解する方法として、例えば特許文献6には、溶銑予備処理により生成するスラグ中から回収した地金を脱珪滓地金、脱硫滓地金及び脱燐滓地金の3種類に分別し、転炉に溶銑を装入した後の空の溶銑搬送容器に分別した3種類のうちの1種類の地金を入れ置き、当該溶銑搬送容器で高炉から出銑される溶銑を受銑して地金を溶解し、その後、この溶銑を脱硫処理、脱燐処理する方法が開示されている。
特公昭58−27322号公報 特開平5−148525号公報 特公昭57−54524号公報 特開昭58−27916号公報 特開2001−316711号公報 特開平8−193210号公報
ところで、製鉄業からのCO2 ガス排出の抑制が叫ばれており、溶銑の処理工程においても熱的に効率の高い技術が求められている。溶銑処理工程における鉄スクラップの利用は、鉄鉱石から溶銑を製造する場合に比べて還元熱の補償が不要であり、鉄スクラップ利用の拡大は熱的に極めて有利となる。しかし、鉄スクラップの溶解温度よりも温度の低い溶銑によって鉄スクラップを溶解する場合、鉄スクラップの溶解速度は遅く、従来と同等の生産性を維持した状態で鉄スクラップの利用を拡大するためには、溶銑の温度を強制的に上昇させる、或いは、溶銑中の炭素や珪素などの発熱源となる成分濃度を高く維持するなど、溶銑処理工程における熱余裕の拡大が必要である。
この観点から上記従来技術を検証すると、上記従来技術にはそれぞれ以下の問題点がある。即ち、特許文献1では、酸素源として転炉スラグと酸素ガスとを併用しており、熱的な観点から転炉スラグ(固体酸素源)を酸素源として使用することは不利である。また、高炉鋳床での脱珪処理において酸素ガスを使用しており、溶銑樋や傾注樋などの耐火物の損耗が助長されるという問題もある。特許文献2では、鉄スクラップの添加や脱珪処理方法に関する具体的な方法が開示されておらず、熱的に高能率な脱珪処理を行う条件が不明確である。また、鉄スクラップを出銑後の溶銑に添加しており、溶銑搬送容器の熱による鉄スクラップの予熱効果は期待されず、熱効率が高いとはいえない。
特許文献3、特許文献4及び特許文献5では、酸素源として酸素ガスと酸化鉄などの固体酸素源とを併用し、両者の比率或いは添加時期の適正化を図っているが、前述したように熱的余裕を確保するためには固体酸素源よりも酸素ガスなどの気体酸素源の方が有利であり、熱的余裕を確保するという点に関して問題がある。また、溶銑予備処理から転炉精錬までに至る熱効率を高めるためには、脱珪処理における脱炭反応を抑制する必要があるが、特許文献3〜5ではこの点に関して考慮していない。
更に、脱珪処理で生成するスラグはSiO2 を主体とし、後工程の脱燐処理及び脱硫処理の反応速度を阻害することから排滓する必要がある。この排滓処理が長引くと、溶銑温度の低下などをもたらすことから、迅速且つ高効率で排滓する技術が切望されているが、特許文献1〜5では、ドラッガーによる掻き出し方法などの従来の方法で排滓しており、排滓に長時間を費やしており高効率とはいえない。
特許文献6では、溶銑予備処理工程で発生する地金を分別して貯蔵する必要があり、置き場並びに保管にコストがかかるという問題点がある。また、溶銑予備処理工程で発生する地金にはスラグが不可避的に付着しており、スラグからの燐及び硫黄のピックアップがあることから使用する地金に応じて予備処理方法を変更する必要があり、煩雑な作業を強いられるという問題があり、更に、生成するスラグ量が増加するためにスラグ除去の負荷が増大するという問題もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高炉から出銑された溶銑に脱珪処理、脱燐処理、脱硫処理の各溶銑予備処理を施し、この溶銑を転炉で脱炭精錬して溶鋼を溶製するに当たり、どのような履歴で生成した鉄スクラップであっても使用可能であり、且つ従来に比べて鉄スクラップの溶解量を多くすることが可能となる、熱的に効率的な溶銑の処理方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究・検討を行った。以下に、研究・検討結果を説明する。
受銑、脱珪処理、脱燐処理、脱硫処理からなる一連の溶銑処理工程において、受銑後、最初に脱珪処理が行われる。添加した鉄スクラップが脱珪処理以降にも溶け残った場合には、例えば鉄スクラップの燐濃度或いは硫黄濃度が高いなどの理由によって、脱珪処理の後に行われる脱燐処理または脱硫処理が十分に行われない可能性が発生する。それ故、脱珪処理の終了時点までに、鉄スクラップを溶解する必要のあることが分かった。また、溶銑を溶銑搬送容器で受銑した後、溶銑搬送容器内の溶銑に鉄スクラップを装入したのでは、溶銑搬送容器の有する熱を有効に利用できないことから、処理した溶銑を他の保持容器や転炉などに排出した後の空の溶銑搬送容器に、受銑前予め装入することとした。
この検討結果に基づき、溶銑搬送容器への鉄スクラップの入れ置き試験を実施した。試験は、溶銑搬送容器として容量が300トンのトピードカーを用い、高炉からの受銑前に6トンの鉄スクラップをトピードカーに装入し、受銑後、トピードカーに収容された溶銑にインジェクションランスを介して酸素ガスを吹き込んで脱珪処理を実施した。用いたインジェクションランスは二重管構造のランスであり、内管から酸素ガスを吹き込み、外管からランス冷却用の窒素ガスを吹き込んだ。窒素ガスは攪拌用ガスとしても機能する。表1に、試験条件及び10チャージの試験結果の平均値を示す。
Figure 0004981248
脱珪処理により、溶銑の珪素濃度は0.25質量%から0.16質量%まで減少した。脱珪処理後、添加した鉄スクラップの溶け残りはなく、また、脱珪処理前後で溶銑温度はほぼ同等であった。これらの結果に基づく熱バランス計算から、従来転炉で鉄スクラップを溶解する場合に比較して、熱的に20〜30%有利であることが分かった。また、トピードカーの耐火物寿命に悪影響を与えないことが確認された。
また、予めトピードカーに装入された鉄スクラップは、700〜800℃に予熱されていた。トピードカーは開口部面積が小さく、取鍋型の溶銑鍋などに比較して溶銑搬送容器として保温性に優れているが、外部への放熱は主にトピードカー本体の鉄皮で行われ、その際の放熱量は、鉄皮に接触する耐火物の温度により決定される。従って、鉄スクラップを入れ置きした場合、トピードカーの内張り耐火物によって鉄スクラップが予熱されるため、トピードカーの内張り耐火物の温度は低下し、容器外への放熱が減少する。これも、転炉よりも熱効率が良くなる理由の1つである。
酸素ガス流量は変化させず、酸素ガスの吹き込み時間を5〜20分に変化させ、脱珪処理終了時の溶銑中珪素濃度を変化させた試験も実施した。そのときの溶銑の脱炭量を調査した結果を図1に示す。ここで、脱炭量とは、脱珪処理前の溶銑中炭素濃度から脱珪処理後の溶銑中炭素濃度を差し引いた値である。図1に示すように、脱珪処理後の溶銑中珪素濃度が0.10質量%未満となるまで脱珪処理を施すと、溶銑の脱炭反応が顕著になることが分かった。溶銑の脱炭反応の進行は、溶銑の顕熱低下に加え、排ガス温度上昇による系外への熱ロスにつながるため不利である。従って、本発明では、溶銑中珪素濃度が0.10質量以上の範囲で脱珪処理を終了することとした。
脱珪処理で発生するスラグ(「脱珪スラグ」と呼ぶ)はSiO2 が主体であり、後工程の脱燐処理、脱硫処理に持ち込まないことが必要である。脱珪スラグは粘性が高く、ドラッガーなどにより排滓する場合には長時間を要する。そこで、本発明では、脱珪処理中にトピードカーを5°〜10°傾け、スラグを流出させることを試みた。その結果、発生するスラグの70質量%以上のスラグが排出することが確認された。また、流出するスラグに混入する溶銑質量はスラグの質量に対して5質量%以下であることが分かった。
本発明は、上記検討結果に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る溶銑の処理方法は、溶銑を排出した後の空のトピードカーに鉄スクラップを入れ置き、当該トピードカーで高炉から出銑される溶銑を受銑し、受銑後、トピードカー内の溶銑に酸素源として酸素ガスまたは酸素含有ガスのみを供給して脱珪処理を開始し、当該脱珪処理中にトピードカーを傾動させて脱珪処理によって生成するスラグをトピードカーから流出させながら、脱珪処理終了時の溶銑中珪素濃度を0.10〜0.17質量%の範囲内として酸素源として酸素ガスまたは酸素含有ガスのみを供給して脱珪処理を行うことを特徴とするものである。
本発明によれば、溶銑の顕熱のみならず、溶銑搬送容器の保有熱を利用するとともに、溶銑に含有される珪素の気体酸素源による酸化反応熱をも利用して鉄スクラップを溶解するので、鉄スクラップを迅速に且つ効率良く溶解することができる。その結果、鉄スクラップの製品化が促進され、同一組成及び同一温度の溶銑を用いた場合であっても、従来に比べて高い粗鋼生産性を確保することができる。また、溶銑搬送容器を傾動させて脱珪処理を実施するので、脱珪処理によって生成するSiO2 主体のスラグを効率良く排出することができ、脱珪処理の後工程である脱燐処理及び脱硫処理においては造滓剤としての生石灰の使用量を削減することが可能となり、スラグ発生量を低減することができる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。高炉から出銑される溶銑を受銑し、受銑した溶銑を搬送するための溶銑搬送容器としては、通常、トピードカーや取鍋型の溶銑鍋などが使用されている。これらのうち、トピードカーは、トピードカー本体に対する開口部(「炉口」という)面積が少なく、溶銑鍋などに比較して熱的に有利であり、従って、ここでは、溶銑搬送容器としてトピードカーを用いた例で説明する。図2は、トピードカーに収容された溶銑に対して脱珪処理を実施している様子を示す概略断面図である。
高炉(図示せず)から出銑される溶銑5をトピードカー1で受銑する前、トピードカー1を構成するトピードカー本体2の内部に、鉄スクラップ7を入れ置きする。鉄スクラップ7を入れ置きするタイミングは、トピードカー本体2の内張り耐火物の有する熱を鉄スクラップ7に効率良く伝達させる観点から、前回受銑した溶銑5を他の処理容器や保持容器に排出し、空の状態になった直後とすることが好ましいが、溶銑5を受銑する直前であっても構わない。トピードカー1への鉄スクラップ7の装入量は、溶銑5の温度を過剰に低下させないために、受銑する溶銑5の質量と添加する鉄スクラップ7の質量との合計質量に対して10質量%以下、より望ましくは5質量%以下とすることが好ましい。この場合、どのような組成の鉄スクラップ7であっても使用することができ、また、トピードカー本体2に設置された炉口3から装入可能なサイズである限り、どのようなサイズの鉄スクラップ7でも使用することができる。
鉄スクラップ7を装入した後、トピードカー1を高炉鋳床直下の所定位置に配置し、高炉から出銑される溶銑5を受銑する。鉄スクラップ7の一部は受銑した溶銑5の顕熱によって溶解する。所定量の溶銑5を受銑したなら、トピードカー1をインジェクションランス4の設置されている脱珪処理場に搬送する。
本発明においては、脱珪処理は、酸素源として気体酸素源のみを使用して実施する。気体酸素源とは、酸素ガスと、空気や酸素富化空気などの酸素含有ガスとの両者を指す。ここで、酸素ガスとは工業上でいう純酸素であり、窒素ガスなどの不純物を5体積%以下含有するガスも含むものとする。本発明においては酸素ガスと酸素含有ガスのどちらを使用しても構わない。特に、気体酸素源を溶銑5に吹き込んで供給する場合には、酸素含有ガス中の例えば窒素ガスなどは攪拌用ガスとして機能するので、酸素含有ガスと酸素ガスとで有意差はなく、どちらを使用してもよい。但し、溶銑5の表面に向けて上吹きして供給する場合には、空気などの酸素含有ガスを使用すると、酸素ガスを使用した場合に比較して一般的に反応時間が長くなり、それに伴って放熱量が多くなることから、酸素含有ガスよりも酸素ガスを使用することが好ましい。鉄鉱石、ミルスケールなどの酸化鉄を主体とする固体酸素源は、固体酸素源自体を昇温するための顕熱と固体酸素源である酸化鉄の分解熱とが必要であり、熱的に不利であるので本発明では使用しない。
前述したように、脱珪処理を迅速に行うとともに、鉄スクラップ7の溶解を促進させるためには、溶銑5を攪拌することが好ましく、従って、本実施の形態では、図2に示すように、酸素ガスを、炉口3からトピードカー本体2に挿入されたインジェクションランス4を介して溶銑5に吹き込んで供給する。図2に示すインジェクションランス4は、内管と外管の二重管構造(図示せず)であり、内管から酸素ガスを吹き込み、外管から窒素ガス、プロパンガス、Arガスなどのランス冷却用ガスを吹き込みながら脱珪処理する。ランス冷却用ガスは攪拌用ガスとしても機能する。酸素ガス中の酸素と溶銑中の珪素とが反応してSiO2 が形成され、脱珪処理が進行する。脱珪処理により生成するスラグは、SiO2 を主体とするものであり、スラグの塩基度(CaO/SiO2 )を調整するために、脱珪処理前或いは処理中に生石灰などのCaOを含有する造滓剤を添加してもよい。
尚、上記に説明したインジェクションランス4は二重管構造であるが、インジェクションランス4を単管ランスとし、酸素ガスとArガスとの混合ガス或いは空気などの酸素含有ガスを吹き込んでもよい。吹き込まれた酸素ガス以外のガスは、攪拌用ガス及びランス冷却用ガスとして機能する。また、2本のインジェクションランスを用い、トピードカー1の長手方向に効率良く吹き込んでもよい。更に、溶銑5に吹き込んで添加せず、上吹きランスなどから溶銑5の表面に吹き付けて供給してもよい。
脱珪処理の経過に伴って溶銑5の珪素濃度が低下する。本発明では、脱珪処理中の脱炭反応を抑制するために、即ち、後工程の転炉脱炭精錬における熱余裕を高める観点から、溶銑5の珪素濃度が0.10質量%以上の状態で脱珪処理を終了する。但し、溶銑5の珪素濃度が余りに高い状態で脱珪処理を終了すると、鉄スクラップ7の溶解が進行しないのみならず、脱珪処理自体の目的が達成されないことから、0.17質量%以下になるまで脱珪処理することが好ましい。即ち、溶銑5の珪素濃度が0.10〜0.17質量%の時点で脱珪処理を終了することが好ましい。
脱珪処理によって生成するスラグはSiO2 を主体とするものであり、次工程の脱燐処理及び脱硫処理ではそれぞれの反応を阻害する。従って、次工程の脱燐処理及び脱硫処理の前までには、このスラグを溶銑5から除去しておく必要がある。従来、容器内のスラグはドラッガーなどによって除去されているが、別途排滓時間を設ける必要があり、溶銑処理全体の処理時間を長くさせる原因となる。換言すれば、溶銑5からの放熱時間を長くさせており、熱効率の点から好ましくない。
そこで、本発明では、排滓時間を短縮させるために、図3に示すように、脱珪処理中にトピードカー本体2を鉛直線に対して傾斜させ、生成したスラグ6を炉口3からピット8に流出させる。図3は、脱珪処理中にトピードカー本体2を傾動させ、スラグ6を流出させている概略図である。鉛直線に対する傾斜角度θは、トピードカー本体2に収容された溶銑5の質量にも依存するが、通常の場合では5°〜10°程度で十分である。要は、スラグ6のみが流出し、溶銑5が流出しない範囲とすればよい。当然ながら、トピードカー本体2を傾動させただけでは、スラグ6を全て排出することはできない。従って、脱珪処理終了後、別途ドラッガーなどによってスラグ6を除去することとする。ピット8に排出したスラグ6は、ショベルカー9などの適宜の処理設備によって処分する。トピードカー本体2を傾動させてスラグ6を流出させることで、スラグが不可避的に付着した地金類を使用した場合でも、除滓の負荷を増大させることはない。
脱珪処理が終了したならば、溶銑5を次工程の脱燐処理及び脱硫処理に供し、その後、転炉(図示せず)に装入して酸素ガスによる脱炭精錬を施し、溶鋼を得る。脱燐処理及び脱硫処理は、高炉からの溶銑を受銑したトピードカー1で実施しても、トピードカー1から他の搬送容器或いは処理容器に移した後に実施してもどちらでも構わず、また、実施する順序もどちらが先になっても構わない。但し、脱燐処理及び脱硫処理の終了後には生成したスラグをドラッガーなどによって除去する必要がある。脱燐処理及び脱硫処理の方法は、特別の方法を用いる必要はなく、公知・慣用の方法で実施すればよい。
以上説明したように、本発明によれば、高炉から出銑された溶銑5をトピードカー1や溶銑鍋などの溶銑搬送容器で受銑し、受銑した溶銑5に対して脱珪処理、脱燐処理、脱硫処理を施し、この溶銑を転炉で脱炭精錬して溶鋼を溶製する一連の工程において、高炉から出銑される溶銑5を受銑し、受銑した溶銑5を搬送するための溶銑搬送容器に、高炉からの溶銑5を受銑する前に鉄スクラップ7を入れ置きし、入れ置きした鉄スクラップ7を、溶銑搬送容器の有する熱、受銑した溶銑5の顕熱、及び受銑した溶銑搬送容器内において実施する脱珪処理の珪素の酸化熱を利用して鉄スクラップ7を溶解するので、鉄スクラップ7を迅速に且つ効率良く溶解することができる。
一般に、鉄スクラップは、精錬時の発熱量が多いことから転炉における脱炭精錬時に添加されることが多いが、鉄スクラップの添加量が増加すると、鉄スクラップ装入時間の増大、鉄スクラップ溶解時間の増大につながり、転炉脱炭精錬といえども生産性が低下する。加えて、鉄スクラップ装入時の転炉内張り耐火物の損耗を抑制する観点から、使用する鉄スクラップの形状を制限する場合もあり、一概に鉄スクラップの装入量を増加できない場合も発生する。本発明では、転炉脱炭精錬における鉄スクラップの使用量は従来レベルを維持し、溶銑処理工程において鉄スクラップを添加することで、総量で従来レベル以上の鉄スクラップを使用することが可能となる。換言すれば、同一組成及び同一温度の溶銑を用いた場合であっても、従来に比べてより多くの溶鋼を溶製することが可能となる。
以下、本発明の実施例について説明する。高炉から出銑された溶銑を、トピードカーで受銑し、トピードカーに収容された溶銑に、先ず脱珪処理を施し、次いで脱燐処理を施し、その後、溶銑をトピードカーから装入鍋に移し、装入鍋内で脱硫処理を施し、この溶銑を転炉に装入して脱炭精錬を施し、溶鋼を溶製する工程において本発明を実施した(「本発明例」と記す)。本発明例で用いたトピードカーは容量が300トンであり、転炉脱炭精錬の1チャージに相当する溶銑を受銑する能力を有している。
本発明例は以下のようにして実施した。即ち、トピードカーから装入鍋に溶銑を移した後の空のトピードカーに6トンの鉄スクラップを装入し、このトピードカーで高炉から出銑される300トンの溶銑を受銑した。受銑後、前述した図2及び図3に示す方法と同様に、二重管構造のインジェクションランスから酸素ガスと窒素ガスとを吹き込み、且つ、処理中にトピードカー本体を傾動させて生成するスラグを流出させながら脱珪処理を実施した。脱珪処理後、更にドラッガーで排滓し、排滓後、酸素ガスを溶銑中に吹き込むとともに、固体酸素源としての鉄鉱石粉及び脱燐剤としての生石灰粉を溶銑中に吹き込んで脱燐処理を実施した。脱燐処理後、トピードカーから装入鍋に溶銑を移し、装入鍋内でドラッガーによって排滓した後、生石灰を主体とする脱硫剤を用いて機械攪拌法により、脱硫処理を実施した。脱硫処理後、生成したスラグを排滓し、溶銑を転炉に装入して脱炭精錬を実施した。転炉では15トンの鉄スクラップを装入して脱炭精錬を実施した。
また、比較のために、従来の方法で溶銑を処理した場合(「従来例」と記す)と、本発明例と同様の脱珪処理を施すものの、トピードカーに鉄スクラップを入れ置きしないで処理した場合(「比較例」と記す)についても実施した。図4に、本発明例、従来例及び比較例のプロセスフローを示す。
従来例は、鉄スクラップの入れ置きされていないトピードカーで受銑し、受銑した溶銑に脱珪処理を施すことなくトピードカーで脱燐処理し、脱燐処理した溶銑を装入鍋に移して脱硫処理し、その後、転炉で15トンの鉄スクラップを装入して溶銑の脱炭精錬を実施した。また、比較例は、鉄スクラップの入れ置きされていないトピードカーで受銑し、受銑した溶銑に脱珪処理を施し、更に脱燐処理を施し、この溶銑を装入鍋に移して脱硫処理し、その後、転炉で21トンの鉄スクラップを装入して溶銑の脱炭精錬を実施した。本発明例と比較例とでは、鉄スクラップのトータル装入量を一致させた。従来例及び比較例における脱燐処理、脱硫処理、転炉脱炭精錬は本発明例と同様に実施した。
そして、本発明例、従来例、比較例において、転炉脱炭精錬後の溶鋼成分、得られた溶鋼量、溶銑処理から転炉脱炭精錬に至るトータルの生石灰の原単位を調査して比較した。表2に、操業条件及び操業結果を本発明例、従来例、比較例で対比して示す。
Figure 0004981248
調査結果から、以下のことが判明した。即ち、本発明例では、従来例に対して、酸素ガスを使用した脱珪処理を実施したこと、並びに、鉄スクラップをトピードカーに入れ置きしたことによる予熱効果により、鉄スクラップ比率で2.5%分だけの熱的有利が得られた。また、比較例に対しては、鉄スクラップをトピードカーに入れ置きしたことによる予熱効果、並びに、トピードカー及び転炉における鉄歩留まり差により、鉄スクラップ比率で1.4%分だけの熱的有利が得られた。ここで、温度評価は、溶鋼質量と転炉終点温度換算(鉄スクラップ比率1%が温度17℃に相当するとした)とに基づいて行った。このように、本発明例では、従来例及び比較例に比べて熱的に有利な条件となり、同一組成、同一温度の溶銑から、より多くの溶鋼を溶製できることが確認された。
また、脱珪処理中にトピードカー本体を傾動させてスラグを流出させたことで、短時間で脱珪スラグの除去が可能となった。その結果、後工程の脱燐処理工程において、生石灰の原単位を4〜5kg/t削減することができた。
脱珪処理終了時の溶銑中珪素濃度を変化させたときの溶銑の脱炭量を示す図である。 トピードカーに収容された溶銑に対して脱珪処理を実施している様子を示す概略断面図である。 脱珪処理中にトピードカーを傾動させ、スラグを流出させる概略図である。 本発明例、従来例及び比較例のプロセスフローを示す図である。
符号の説明
1 トピードカー
2 トピードカー本体
3 炉口
4 インジェクションランス
5 溶銑
6 スラグ
7 鉄スクラップ
8 ピット
9 ショベルカー
θ 傾斜角度

Claims (1)

  1. 溶銑を排出した後の空のトピードカーに鉄スクラップを入れ置き、当該トピードカーで高炉から出銑される溶銑を受銑し、受銑後、トピードカー内の溶銑に酸素源として酸素ガスまたは酸素含有ガスのみを供給して脱珪処理を開始し、当該脱珪処理中にトピードカーを傾動させて脱珪処理によって生成するスラグをトピードカーから流出させながら、脱珪処理終了時の溶銑中珪素濃度を0.10〜0.17質量%の範囲内として酸素源として酸素ガスまたは酸素含有ガスのみを供給して脱珪処理を行うことを特徴とする、溶銑の処理方法。
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