JP2012062571A - 溶銑の脱硫方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機械攪拌式脱硫装置で攪拌されている溶銑に、投入シュートからの上置き添加と上吹きランスからの上吹き添加とを併用して脱硫剤を供給し、溶銑を脱硫処理するにあたり、上置き添加の脱硫剤が多くなった場合でも、高い添加歩留まりで上吹き添加の脱硫剤を溶銑に侵入させて安定して高効率で脱硫処理する。
【解決手段】 インペラー4によって攪拌されている溶銑3の浴面上に、上吹きランス5を介して搬送用ガスとともに溶銑を脱硫するに必要な石灰系脱硫剤6の一部を上吹き添加し、残りの石灰系脱硫剤を前記溶銑の浴面上に上置き添加して脱硫処理する、溶銑の脱硫方法において、上吹きランスから上吹き添加する石灰系脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度(C:m/sec)を、上置き添加される石灰系脱硫剤の添加量(R:kg/m2)に応じて下記の(1)式で算出される臨界粒子速度以上に制御する。
C=−0.000093×R2+0.047×R+17…(1)
【選択図】 図1

Description

本発明は、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法に関し、詳しくは、脱硫反応を促進して効率良く溶銑を脱硫する方法に関する。
高炉から出銑された溶銑には、鋼の品質に悪影響を及ぼす燐(元素記号:P)、硫黄(元素記号:S)が高濃度に含有されており、これらを除去する種々の技術が開発されている。例えば、今日の鉄鋼精錬プロセスにおいては、転炉での脱炭精錬に先立って溶銑に含有される燐及び硫黄を予め除去する方法、所謂、「溶銑の予備処理」が一般的に行われている。このうち、溶銑の脱硫処理は、水平断面がほぼ円形を有する精錬容器に溶銑を保持し、脱硫剤を溶銑上に添加し、インペラー(「攪拌羽根」、「攪拌翼」とも呼ぶ)と称する、羽根を有する回転子を溶銑中に浸漬して回転させ、溶銑及び脱硫剤を攪拌して脱硫する方法(以下、「機械攪拌式脱硫法」という)が広く行われている。この機械攪拌式脱硫法においては安価なCaO(石灰)を主成分とする石灰系脱硫剤が用いられている。
この石灰系脱硫剤を用いた脱硫反応において、脱硫反応速度を高めるためには、溶銑と脱硫剤との反応界面積を増加させることが効果的であることが分かっており、従って、添加する脱硫剤の粒径を細粒化すれば脱硫反応効率が向上する。しかし、実機での機械攪拌式脱硫法においては、ホッパーから脱硫剤を切り出し、溶銑鍋などの処理容器の上方に設置した投入シュートから脱硫剤を処理容器内に上置き添加する方法が一般的であり、このような方法で細粒の脱硫剤を添加すると、飛散する脱硫剤や上昇気流で舞い上がる脱硫剤が多くなり、脱硫剤の添加歩留まりが低下し、結局、効率的な脱硫処理は得られない。その上、飛散した脱硫剤はダストとして蓄積し、ダスト処理が頻発するという問題も発生する。
また、石灰系脱硫剤の主成分であるCaO粉体と溶鉄との界面張力は1.75N/mであり、CaOは溶銑とは濡れ難い性質を有する。このため、溶銑に添加された粉体のCaOは互いに凝集してしまい、凝集体内部のCaOは未反応のままであるため、脱硫剤を微細化する効果が得られないという問題も生ずる。
この問題を解決するべく、特許文献1には、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法において、インペラーによって攪拌されている溶銑の浴面上に、脱硫剤を、上吹きランスを介して搬送用ガスとともに上吹き添加して脱硫処理を行うことが提案されている。特許文献1によれば、反応性に優れる細粒の脱硫剤を搬送用ガスとともに上吹き添加するので、添加時の飛散が少なくなり、脱硫剤の添加歩留まりが向上し、そして、細粒の脱硫剤は、反応界面積が大きく、そのため、脱硫反応が促進され、脱硫率を著しく向上させることができるとしている。また、特許文献1は、脱硫剤の投入シュートからの上置き添加と上吹きランスからの上吹き添加との併用も可能であることを記載している。
一方、脱硫処理で発生するダストや脱硫スラグは未反応の部分が多く、従って、これらを再度脱硫処理工程に再使用する方法も提案されている。例えば、特許文献2には、溶銑予備処理で発生したダストを機械攪拌式脱硫法で再使用する技術が提案され、非特許文献1には、インジェクション法による脱硫処理で発生した脱硫スラグを機械攪拌式脱硫法で再使用する技術が提案されている。尚、脱硫スラグとは、脱硫処理後に生成される、脱硫剤を主体とするスラグである。
特開2005−179690号公報 特開2006−291334号公報
住友金属、vol.45−3(1993).p.52−58
本発明者らは、特許文献1に提案された溶銑の脱硫方法を採用することで、石灰系脱硫剤を使用して効率的な脱硫処理が可能になることを確認した。特に、脱硫剤の上置き添加と上吹き添加とを併用することにより、効率的な脱硫処理が可能になることを確認した。この場合に、上置き添加の脱硫剤は、脱硫処理で発生するダストや脱硫スラグでも十分な脱硫が可能であることを確認した。但し、脱硫剤の上置き添加と上吹き添加とを併用する場合に、上置き添加の脱硫剤が多くなると、脱硫効率が悪くなって効率的な脱硫処理が得られないことを確認した。この点に関して、特許文献1は何ら記載していない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、機械攪拌式脱硫装置で攪拌されている溶銑に、投入シュートからの上置き添加と上吹きランスからの上吹き添加とを併用して石灰系脱硫剤を供給し、該溶銑を脱硫処理するにあたり、上置き添加の脱硫剤が多くなった場合でも、高い添加歩留まりで上吹き添加の脱硫剤を溶銑に侵入させることができ、これにより、安定して高効率で脱硫処理することのできる、溶銑の脱硫方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)インペラーによって攪拌されている溶銑の浴面上に、上吹きランスを介して搬送用ガスとともに溶銑を脱硫するに必要な石灰系脱硫剤の一部を上吹き添加し、残りの石灰系脱硫剤を前記溶銑の浴面上に上置き添加して脱硫処理する、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法において、上吹きランスから上吹き添加する石灰系脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度を、上置き添加される石灰系脱硫剤の添加量に応じて下記の(1)式で算出される臨界粒子速度以上に制御することを特徴とする、溶銑の脱硫方法。
C=−0.000093×R2+0.047×R+17…(1)
但し、(1)式において、Cは、臨界粒子速度(m/sec)、Rは、上置き添加される石灰系脱硫剤の溶銑浴面での単位浴面積あたりの添加量(kg/m2)である。
(2)溶銑浴面へ上置き添加する石灰系脱硫剤として、製鉄工程で副次的に発生する石灰含有物質を使用することを特徴とする、上記(1)に記載の溶銑の脱硫方法。
(3)溶銑浴面へ上置き添加する石灰系脱硫剤として、機械攪拌式脱硫装置にて石灰系脱硫剤を用いた溶銑の脱硫処理で発生した脱硫スラグを使用することを特徴とする、上記(1)に記載の溶銑の脱硫方法。
(4)上置き添加する石灰系脱硫剤の割合が、添加する全石灰系脱硫剤の80質量%以下であることを特徴とする、上記(1)ないし上記(3)の何れか1項に記載の溶銑の脱硫方法。
本発明によれば、機械攪拌式脱硫装置を用い、石灰系脱硫剤の上置き添加と上吹き添加とを併用して溶銑を脱硫処理するにあたり、上置き添加される石灰系脱硫剤の添加量に応じた最適な速度で上吹き添加される石灰系脱硫剤を溶銑浴面に衝突させるので、上吹き添加された脱硫剤の溶銑浴への侵入・分散が安定して起こり、脱硫反応が促進され、少ない脱硫剤で所望する脱硫処理が実施可能となる。その結果、脱硫剤原単位の削減、これに伴う発生スラグ量の削減などが達成され、工業上有益な効果がもたらされる。
ノズルから噴出されるガス噴流の形態を示す模式図である。 ノズルから噴出されるガス噴流の流速分布を示す模式図である。 本発明を実施した機械攪拌式脱硫装置の側面概略図である。 上置き脱硫剤を添加しないときの上吹き脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度と脱硫率との関係を示す図である。 上置き脱硫剤の添加量が74kg/m2のときの上吹き脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度と脱硫率との関係を示す図である。 上置き脱硫剤の添加量が250kg/m2のときの上吹き脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度と脱硫率との関係を示す図である。 上置き添加される脱硫剤の溶銑浴面での単位浴面積あたりの添加量(R)と臨界粒子速度(C)との関係を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者らは、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫処理において、溶銑を効率良く脱硫する手段を種々検討した。その結果、格段に脱硫効率の向上を得られることから、特許文献1に開示された、石灰系脱硫剤の投入シュートからの上置き添加と上吹きランスからの上吹き添加とを併用して脱硫する方法が優れていることを確認した。
また、この場合に、上置きの石灰系脱硫剤としては、機械攪拌式脱硫装置にて石灰系脱硫剤を用いた溶銑の脱硫処理で発生する脱硫スラグを用いることが、脱硫率や価格などを総合的に判断した場合に最も有利であることが分かっていたため、基本的には、脱硫スラグを上置きの石灰系脱硫剤として再使用することとした。
しかしながら、実機における試験結果から、上吹き添加の脱硫剤を一定量とした条件であっても、上置き添加される脱硫剤の増加に伴って脱硫効率が劣化するという現象を把握した。そこで、この原因として、脱硫スラグは脱硫剤として通常的に使用される石灰(生石灰)と比べて凝集粒が多く、上吹きランスからの噴流が衝突しても吹き飛びにくいことから、「脱硫剤として上置きした脱硫スラグが上吹き添加される脱硫剤の溶銑浴への侵入・分散を妨げている」との仮定をたて、実機において、石灰系脱硫剤の上置き添加と上吹き添加とを併用して脱硫する際に、上吹き添加する脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度を変更し、溶銑浴への侵入しやすさを変化させた試験を実施した。
上吹きランスに設置されるラバールノズル或いはストレートノズルなどのノズルを介して上吹き添加される脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度は、以下の方法を用いて算出した。即ち、下記の(2)式〜(7−2)式によって導出される粒子に加わる加速度の式である下記の(8)式を使って、ノズル出口から静止時の溶銑浴面までの粒子速度の変化を1mm刻みで計算することにより、脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度を求めた。
但し、以下の仮定を適用して計算した。
(1)上吹きランスのノズル出口における脱硫剤の粒子速度UPoは、ノズル出口におけるガス流速Ugoに等しい。
(2)上吹き添加される脱硫剤の粒子径dPは、上吹き添加される脱硫剤の質量平均径を使用する。
(3)ガス密度ρgは、25℃の値を使用する。
(4)ガス粘度ηgは、25℃の値を使用する。
(5)上吹きランスのノズル出口には、図1に示すように、ノズル13から噴出されるガス噴流14の流速Ugがノズル出口13aでの流速Ugoのまま維持される領域15(「ポテンシャルコア」という)が形成され、このポテンシャルコア15の下流側には乱流領域16が形成される。ポテンシャルコア15の長さは、ノズルの出口径によらずノズル出口径(=D)の6倍となる。ポテンシャルコア15でのガス流速は(7−1)式で表され、乱流領域16におけるランス軸線上のガス流速Ugは(7−2)式で表される。ノズル13から噴出されるガス噴流14のガス流速Ugの分布の模式図を図2に示す。
F=m×a …(2)
F=m×g-Cd×(π/4)×dP 2×(1/2)×ρg×(Ug-UP)2 …(3)
d=24×(1+0.125×Re0.72)/Re (Re<500) …(4−1)
d=0.44 (Re≧500) …(4−2)
Re=ρg×(UP-Ug)×dP/η …(5)
m=(1/6)×π×dP 3×ρP …(6)
g=Ugo (6D/L≧1) … (7−1)
g=Ugo×(6D/L) (6D/L<1) …(7−2)
a=g-[Cd×(π/4)×dP 2×(1/2)×ρg×(Ug-UP)2]/m …(8)
但し、(2)式〜(8)式において、Fは力(N)、mは脱硫剤粒子の質量(kg)、aは加速度(m/sec2)、gは重力加速度(m/sec2)、Cdは抵抗係数(−)、πは円周率、dPは上吹き添加される脱硫剤の粒子径(m)、ρgはガス密度(kg/m3)、Ugはガス流速(m/sec)、UPは脱硫剤粒子速度(m/sec)、Reはレイノズル数、ηはガスの粘度(Pa・sec)、ρPは脱硫剤粒子の密度(kg/m3)、Ugoはノズル出口におけるガス流速(m/sec)、Dは上吹きランスのノズル出口径(m)、Lは上吹きランスのノズル出口からの距離(m)である。
つまり、(2)式〜(7−2)式に基づいて(8)式で定まる加速度aを用いて、ノズル出口から静止時の溶銑浴面までの粒子速度UPの変化を1mm刻みで計算し、操業時のランス高さL0に相当する位置(L=L0)で算出される粒子速度UPを、脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度として求める。ここで、ランス高さL0とは、図2に示すように、上吹きランスに設置されるノズルの出口から溶銑浴面までの距離である。
試験の結果、脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度(以下、単に「衝突時の粒子速度」とも記す)が速くなるほど脱硫率が高くなることが分かった。但し、脱硫剤の衝突時の粒子速度が、上置き添加される脱硫剤の添加量に応じた或る値以上になると、脱硫率はほぼ飽和し、それ以上に脱硫剤の衝突時の粒子速度を高めても脱硫率は余り高くならないことを知見した。本発明では、脱硫率が飽和するときの衝突時の粒子速度を「臨界粒子速度」と定義した。そして、更なる調査結果から、臨界粒子速度は、上置き添加される石灰系脱硫剤の溶銑浴面での単位浴面積あたりの添加量に影響され、下記の(1)式の関係で表されることを知見した。
C=−0.000093×R2+0.047×R+17…(1)
但し、(1)式において、Cは、臨界粒子速度(m/sec)、Rは、上置き添加される石灰系脱硫剤の溶銑浴面での単位浴面積あたりの添加量(kg/m2)である。
即ち、上置き添加される石灰系脱硫剤の溶銑浴面での単位浴面積あたりの添加量(R)に応じて、(1)式から算出される臨界粒子速度(C)以上の速度で上吹き添加の脱硫剤を溶銑浴面に衝突させることで、高い脱硫率が得られることを知見した。これは、上吹き添加される石灰系脱硫剤の衝突時の粒子速度を臨界粒子速度(C)以上に上昇させることで、上置きした石灰系脱硫剤による、上吹き脱硫剤の溶銑への侵入抑制作用に打ち勝ち、上吹きされる脱硫剤の溶銑への侵入・分散が活発化することによる。
本発明は、これらの知見に基づくものであり、機械攪拌式脱硫装置を用い、石灰系脱硫剤の投入シュートからの上置き添加と上吹きランスからの上吹き添加とを併用して溶銑を脱硫処理するにあたり、上吹きランスから上吹き添加する石灰系脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度を、上置き添加される石灰系脱硫剤の添加量(R)に応じて上記の(1)式で算出される臨界粒子速度(C)以上となるように制御することを特徴とする。
次に、図面を参照して本発明に係る溶銑の脱硫処理方法を説明する。
図3は、本発明を実施した機械攪拌式脱硫装置の側面概略図であり、図3において、高炉から出銑された溶銑3を収容する溶銑鍋2が、台車1に搭載されて機械攪拌式脱硫装置に搬入されている。機械攪拌式脱硫装置は、溶銑鍋2に収容された溶銑3に浸漬・埋没し、旋回して溶銑3を攪拌するための耐火物製のインペラー4を備えており、このインペラー4は、昇降装置(図示せず)によってほぼ鉛直方向に昇降し、且つ、回転装置(図示せず)によって軸4aを回転軸として旋回するようになっている。また、機械攪拌式脱硫装置には、石灰系脱硫剤6を溶銑鍋2に収容された溶銑3に向けて上吹きして添加するための上吹きランス5と、石灰系脱硫剤6を溶銑鍋2に収容された溶銑3に上置き添加するための投入シュート10とが設置されている。上吹きランス5はほぼ鉛直方向下方を向いて設置されている。
上吹きランス5は、粉体状の石灰系脱硫剤6を収容するディスペンサー7とディスペンサー7から定量切り出すための切り出し装置8とからなる供給装置と接続しており、上吹きランス5の先端部に設置されるラバールノズル或いはストレートノズルなどのノズル(図示せず)から、搬送用ガスとともに、粉体状の石灰系脱硫剤6を任意のタイミングで供給できる構造になっている。ラバールノズルを介して噴射する場合には、ノズル出口における噴射速度を低速域から亜音速域、更には超音速域まで任意に調整することができるので、ラバールノズルを用いることが好ましい。
石灰系脱硫剤6の搬送用ガスとしては、還元性ガス、不活性ガスまたは非酸化性ガスを使用する。一方、投入シュート10は、粉体状または細粒の石灰系脱硫剤6を収容するホッパー11とホッパー11から定量切り出すためのロータリーフィーダー12とからなる供給装置と接続しており、投入シュート10から、粉体状または細粒の石灰系脱硫剤6を任意のタイミングで供給できる構造になっている。ホッパー11に収容する石灰系脱硫剤6としては、前述したように、機械攪拌式脱硫装置にて石灰系脱硫剤を用いた溶銑の脱硫処理で発生した脱硫スラグを使用することが好ましい。
また、溶銑鍋2の上方位置には、溶銑鍋2を覆うための、上下移動可能な集塵フード9が備えられ、集塵フード9に取り付けられた排気ダクト(図示せず)を介して処理中の排ガスやダストが集塵機(図示せず)に吸引されるようになっている。この場合、インペラー4の軸4a、上吹きランス5、投入シュート10は、集塵フード9を貫通し且つ上下移動が可能なように構成されている。
インペラー4の位置が溶銑鍋2のほぼ中心になるように、溶銑鍋2を搭載した台車1の位置を調整し、次いで、インペラー4を下降させて溶銑3に浸漬させる。インペラー4が溶銑3に浸漬したならば、インペラー4の旋回を開始し、所定の回転数まで昇速する。
インペラー4の回転数が所定の回転数に達したならば、ロータリーフィーダー12を起動させて、ホッパー11に収容された石灰系脱硫剤6を、溶銑3の浴面上に投入シュート10を介して上置き添加する。投入シュート10からの石灰系脱硫剤6の投入開始と同時にまたは投入開始後に、若しくは投入シュート10からの石灰系脱硫剤6の投入完了後に、切り出し装置8を起動させて、ディスペンサー7に収容された石灰系脱硫剤6を、搬送用ガスとともに溶銑3の浴面に向けて上吹きランス5から吹き付けて添加する。
この場合に、投入シュート10からの石灰系脱硫剤6の投入量を予め把握しておき、投入シュート10からの投入量から、上置き添加される石灰系脱硫剤6の溶銑浴面での単位浴面積あたりの添加量(R:kg/m2)を求め、求めた添加量(R)を上記の(1)式に代入して臨界粒子速度(C:m/sec)を算出する。そして、上吹きランス5から吹き付けられる石灰系脱硫剤6の溶銑浴面での衝突時の粒子速度が、算出された臨界粒子速度(C)以上になるように、搬送用ガスの流量及び/または圧力を調整する。搬送用ガスの流量や背圧を高めれば、衝突時の粒子速度は上昇する。上吹きランス5から噴射される石灰系脱硫剤6の溶銑浴面への衝突時の粒子速度は、前述したように、(8)式で定まる加速度aを用いてノズル出口から静止時の溶銑浴面までの粒子速度の変化を1mm刻みで計算し、操業時のランス高さL0に相当する位置(L=L0)で算出される粒子速度を石灰系脱硫剤6の溶銑浴面への衝突時の粒子速度と決める。
所定量の石灰系脱硫剤6の上置き添加及び上吹き添加が完了し、そして、所定時間の攪拌が行われたなら、インペラー4の回転数を減少させ停止させる。インペラー4の旋回が停止したなら、インペラー4を上昇させ、溶銑鍋2の上方に待機させる。生成したスラグ(「脱硫スラグ」と呼ぶ)が浮上して溶銑表面を覆い、静止した状態で溶銑3の脱硫処理が終了する。脱硫処理後、生成した脱硫スラグを溶銑鍋2から排出し、次の精錬工程に溶銑鍋2を搬送する。脱硫スラグは回収し、次回以降の脱硫処理において、投入シュート10から投入する石灰系脱硫剤6として活用する。
上吹き添加する石灰系脱硫剤6としては、生石灰(CaO)、ドロマイト(MgCO3・CaCO3)、消石灰(Ca(OH)2)、石灰石(CaCO3)などを使用することができる。また、これらに、CaOの滓化促進剤として機能するアルミナ(Al23)や蛍石(CaF2)などを混合したものも使用可能である。勿論、これらを上置き添加する石灰系脱硫剤6として使用することも可能である。
上置き添加する石灰系脱硫剤6は、その脱硫処理で添加する全石灰系脱硫剤の80質量%以下であることが好ましい。これは、上置き添加する石灰系脱硫剤6が全石灰系脱硫剤の80質量%を超えると、上吹き添加の脱硫剤が少なくなり、脱硫剤を上吹き添加する効果が少なくなるからである。
以上説明したように、本発明によれば、機械攪拌式脱硫装置を用い、石灰系脱硫剤6の上置き添加と上吹き添加とを併用して溶銑3を脱硫処理するにあたり、上置き添加される石灰系脱硫剤の添加量に応じた最適な速度で上吹き添加される石灰系脱硫剤6を溶銑浴面に衝突させるので、上吹き添加された脱硫剤の溶銑浴への侵入・分散が安定して起こり、脱硫反応が促進され、少ない脱硫剤で所望する脱硫処理が実施可能となる。
図3に示す機械攪拌式脱硫装置を用い、上吹き脱硫剤として生石灰粉、上置き脱硫剤として脱硫スラグを使用し、上吹きランスから噴射する脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度を変更して合計9チャージの溶銑の脱硫処理試験を実施した。
上吹き添加する脱硫剤の搬送用ガスとしては窒素ガスを使用し、インペラーは4枚の羽根を有し、羽根に傾斜のないものを使用した。用いた溶銑の化学成分は、C:3.5〜5.0質量%、Si:0.1〜0.3質量%、P:0.02〜0.15質量%、S:0.020〜0.039質量%で、溶銑温度は1200〜1350℃の範囲であった。脱硫処理は200〜500トンの溶銑の処理が可能な溶銑鍋を処理容器として用い、約300トンの溶銑を脱硫した。また、脱硫処理時間は脱硫剤の上置き添加開始から15分間の一定とした。上置き添加の脱硫スラグは、1チャージあたり0kg、1190kg、4000kgの3水準とし、上吹き添加の生石灰は1チャージあたり1000kgの一定とした。
脱硫処理前後の溶銑から試料を採取し、脱硫率を調査した。ここで、脱硫率は下記の(9)式で定義される値である。
Figure 2012062571
表1に、各脱硫処理試験の操業条件及び脱硫率を示す。尚、表1に示す粒子速度は溶銑浴面に衝突するときの速度であり、粒子速度=0とは、脱硫剤を上吹きランスから自然落下させた条件である。また、表1の備考欄には、本発明の範囲の試験には「本発明例」と表示し、それ以外には「比較例」と表示している。
Figure 2012062571
表1に示すように、上吹き脱硫剤の衝突時の粒子速度の上昇に伴って脱硫率が高くなることが確認できた。この脱硫率と上吹き脱硫剤の衝突時の粒子速度との関係を、上置き脱硫剤の添加量別に図4、5、6に示す。図4〜6に示すように、上吹き脱硫剤の衝突時の粒子速度が速くなると脱硫率は高くなるが、上吹き脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度が或る値以上になると、脱硫率が飽和し、それ以上に衝突時の粒子速度を高めても脱硫率は余り向上しないことが確認できた。前述したように、本発明では、脱硫率が飽和するときの衝突時の粒子速度を臨界粒子速度と定義した。
図4に示すように、上置き添加される脱硫剤の溶銑浴面での単位浴面積あたりの添加量(R)が0kg/m2のときには臨界粒子速度(C)は17m/secとなり、図5に示すように、添加量(R)が74kg/m2のときには臨界粒子速度(C)は20m/secとなり、図6に示すように、添加量(R)が250kg/m2のときには臨界粒子速度(C)は23m/secとなることが分かった。
図4〜6によって得られた、上置き添加される脱硫剤の溶銑浴面での単位浴面積あたりの添加量(R)と臨界粒子速度(C)との関係を図7に示す。図7に基づいて添加量(R)と臨界粒子速度(C)との関係を回帰式により求めると、前述した(1)式が定まる。
従って、上吹き添加する脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度を、上置き添加される脱硫剤の溶銑浴面での単位浴面積あたりの添加量(R)に応じて求められる臨界粒子速度(C)以上とすることで、安定して高い脱硫率を得ることができる。
尚、図4〜6に示すように、脱硫剤の衝突時の粒子速度が50m/sec程度では脱硫率は高位であるが、過剰に速くすると、上置き添加される脱硫剤が吹き飛ばされて脱硫率が低下する恐れがあるので、過剰に速くする必要はない。過剰に速くすることはエネルギー消費の観点からも好ましくはない。
1 台車
2 溶銑鍋
3 溶銑
4 インペラー
5 上吹きランス
6 石灰系脱硫剤
7 ディスペンサー
8 切り出し装置
9 集塵フード
10 投入シュート
11 ホッパー
12 ロータリーフィーダー
13 ノズル
14 ガス噴流
15 ポテンシャルコア
16 乱流領域

Claims (4)

  1. インペラーによって攪拌されている溶銑の浴面上に、上吹きランスを介して搬送用ガスとともに溶銑を脱硫するに必要な石灰系脱硫剤の一部を上吹き添加し、残りの石灰系脱硫剤を前記溶銑の浴面上に上置き添加して脱硫処理する、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法において、上吹きランスから上吹き添加する石灰系脱硫剤の溶銑浴面への衝突時の粒子速度を、上置き添加される石灰系脱硫剤の添加量に応じて下記の(1)式で算出される臨界粒子速度以上に制御することを特徴とする、溶銑の脱硫方法。
    C=−0.000093×R2+0.047×R+17…(1)
    但し、(1)式において、Cは、臨界粒子速度(m/sec)、Rは、上置き添加される石灰系脱硫剤の溶銑浴面での単位浴面積あたりの添加量(kg/m2)である。
  2. 溶銑浴面へ上置き添加する石灰系脱硫剤として、製鉄工程で副次的に発生する石灰含有物質を使用することを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱硫方法。
  3. 溶銑浴面へ上置き添加する石灰系脱硫剤として、機械攪拌式脱硫装置にて石灰系脱硫剤を用いた溶銑の脱硫処理で発生した脱硫スラグを使用することを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱硫方法。
  4. 上置き添加する石灰系脱硫剤の割合が、添加する全石灰系脱硫剤の80質量%以下であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の溶銑の脱硫方法。
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