JP2009299126A - 溶銑の脱硫方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 機械攪拌式脱硫装置を用いて溶銑を脱硫処理するにあたり、脱硫剤の添加に伴う溶銑温度の低下を抑制し、脱硫剤の凝集を防止するとともに、脱硫剤の溶銑中における分散を促進させて、短時間で効率的に脱硫処理する。
【解決手段】 本発明の脱硫方法は、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑3の脱硫方法において、攪拌羽根4によって攪拌されている溶銑の浴面上に、バーナーの火炎で加熱した脱硫剤12を上吹きランス5から上吹き添加する。この場合に、上吹きランス先端の中心部に設けた中心孔から搬送用ガスとともに脱硫剤を上吹き添加し、前記中心孔の周囲に設けた周囲孔から、酸素含有ガスと、炭化水素系のガス燃料、炭化水素系の液体燃料、炭素系の固体燃料のうちの何れか1種以上と、を供給して上吹きランス先端に火炎を形成し、該火炎によって前記脱硫剤を加熱することが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の脱硫方法は、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑3の脱硫方法において、攪拌羽根4によって攪拌されている溶銑の浴面上に、バーナーの火炎で加熱した脱硫剤12を上吹きランス5から上吹き添加する。この場合に、上吹きランス先端の中心部に設けた中心孔から搬送用ガスとともに脱硫剤を上吹き添加し、前記中心孔の周囲に設けた周囲孔から、酸素含有ガスと、炭化水素系のガス燃料、炭化水素系の液体燃料、炭素系の固体燃料のうちの何れか1種以上と、を供給して上吹きランス先端に火炎を形成し、該火炎によって前記脱硫剤を加熱することが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法に関するものである。
近年、鋼の高純度化に対する要求が従来にも増して強くなり、これに伴って鋼中の不純物を除去する技術開発が盛んに行われている。今日の製鋼精錬プロセスにおいては、転炉での脱炭精錬に先立って溶銑に含有される燐及び硫黄を除去する方法、即ち、溶銑の予備処理が一般的に行われている。このうち、溶銑の脱硫処理においては、水平断面がほぼ円形を有する精錬容器内で溶銑を保持し、溶銑上に脱硫剤を添加し、撹拌羽根(「インペラ」とも呼ばれる)と称する、羽根を有する回転子を溶銑内に浸漬して回転させ、溶銑及び脱硫剤を攪拌して脱硫する方法(「機械攪拌式脱硫法」という)が広く行われている。この脱硫装置を「機械攪拌式脱硫装置」と呼んでいる。
この時の脱硫剤としては、石灰(以下、「CaO」と記す)粉を主成分とする脱硫剤や、カルシウムカーバイド(CaC2)粉などが挙げられるが、安価なCaO粉を主成分とする脱硫剤が広く用いられている。このCaOによる脱硫反応は、下記の(1)式に示される反応式に基づいて進行する。但し、(1)式において、[S]は溶銑中の硫黄、(CaS)はスラグ中のCaS、[O]は溶銑中の酸素を表している。
CaOは、融点が約2500℃であり、溶銑の脱硫処理時の温度範囲である1250〜1450℃の範囲では溶融せず、溶銑との固液反応となり、脱硫反応速度は極めて小さい。そこで、上記(1)式の反応を進める方法のひとつとして、CaOと反応して低融点化合物を形成する物質を添加し、CaOの滓化を促進させることが行われている。例えば、アルミナ(Al2O3)やフッ化カルシウム(CaF2)を混合したCaO系脱硫剤が使用されている。しかし、アルミナは1400℃程度の比較的高温の溶銑では滓化促進効果があるが、1300℃程度の溶銑では滓化促進効果が少なく、従って、1300℃程度の低温の溶銑でも滓化性の良好な、フッ化カルシウムを3〜5質量%配合した脱硫剤が広く用いられている。但し、近年、フッ素の環境への影響が問題視されており、フッ素を低減した脱硫剤やフッ素を使用しない脱硫剤の開発が望まれている。
また、溶銑の脱硫反応速度を高めるには、溶銑/脱硫剤間の反応界面積を増加させることが効果的であり、この観点からは、添加する脱硫剤の粒径は細かいほど好ましい。しかし、実機の機械撹拌式脱硫装置では、一般的に、溶銑を保持した精錬容器の上方から投入シュートを介して脱硫剤を添加する方法が採られており、細粒の脱硫剤を添加した場合、飛散により、溶銑上に到達する脱硫剤の量が低下し、脱硫剤の添加歩留が低下してしまう。そのために、反応効率が低下するといった問題が生じる。更に、CaOと溶銑との界面張力は1.75N/mであり、CaOは溶銑とは濡れ難い性質を有するため、溶銑に添加されたCaOは互いに凝集してしまい、凝集内部のCaOは未反応のままであるために反応効率が低下するといった問題も生じる。
これらのことから、溶銑の脱硫反応を促進させるには、CaOのサイズを小さくするとともに、粉体として添加するCaOの凝集を抑制し、溶銑浴内への脱硫剤の浸入を向上させ、溶銑浴内での分散を促進させることが有効であり、これを実現させる技術として、特許文献1には、回転軸の下端部に開口する脱硫剤の噴出口を備えた攪拌羽根を用い、この攪拌羽根を回転させて溶銑を攪拌しながら、前記噴出口から脱硫剤粉末を搬送用ガスとともに溶銑中に吹き込んで脱硫する方法が提案され、また、特許文献2には、攪拌羽根によって攪拌されている溶銑の浴面上に、上吹きランスを介して脱硫剤粉末を搬送用ガスとともに上吹き添加して脱硫する方法が提案されている。
特開2005−68506号公報
特開2005−179690号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2においても、以下の問題点がある。即ち、脱硫剤を添加することにより、溶銑の顕熱が脱硫剤に奪われ、溶銑温度が低下して脱硫反応に不利な条件となり、また、添加した脱硫剤が十分に滓化せず、溶銑中での分散が不十分になるという問題である。還元反応である脱硫反応は、高温になるほど有利である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、機械攪拌式脱硫装置を用いて溶銑を脱硫処理するにあたり、脱硫剤の添加に伴う溶銑温度の低下を抑制し、脱硫剤の凝集を防止するとともに、溶銑中における脱硫剤の分散を促進させて、短時間で効率的に脱硫処理することのできる、溶銑の脱硫方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の脱硫方法は、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法において、攪拌羽根によって攪拌されている溶銑の浴面上に、バーナーの火炎で加熱した脱硫剤を上吹き添加することを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の脱硫方法は、第1の発明において、上吹きランス先端の中心部に設けた中心孔から搬送用ガスとともに脱硫剤を上吹き添加し、前記中心孔の周囲に設けた周囲孔から、酸素含有ガスと、炭化水素系のガス燃料、炭化水素系の液体燃料、炭素系の固体燃料のうちの何れか1種以上と、を供給して上吹きランス先端に火炎を形成し、該火炎によって前記脱硫剤を加熱することを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の脱硫方法は、第1または第2の発明において、前記脱硫剤は、CaOを主成分とする脱硫剤であることを特徴とするものである。
本発明によれば、反応性に優れる細粒の脱硫剤をバーナーの火炎で加熱した状態で上吹き添加するので、添加時の飛散が少なくなって脱硫剤の添加歩留まりが向上し、且つ、細粒の脱硫剤は反応界面積が大きく、しかも、脱硫剤を加熱した状態で添加するので、脱硫剤の添加に伴う溶銑の温度低下が抑制されて、脱硫剤の凝集が防止されるとともに、脱硫剤の溶銑中での分散が促進され、その結果、脱硫反応が促進され、脱硫率が著しく向上し、脱硫処理時間の短縮や脱硫剤原単位の削減などが達成される。更に、脱硫反応が促進されることから、CaF2などの滓化促進剤を使用することなく、CaOを主成分とする脱硫剤のみで効率良く脱硫することも可能となる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明による脱硫処理の実施形態の1例を示す側面概略図であり、図2は、図1に示す上吹きランスの概略拡大断面図である。
高炉から出銑された溶銑3をトーピードカーまたは台車1に搭載された溶銑鍋2で受銑し、受銑した溶銑3を機械攪拌式脱硫装置に搬送する。トーピードカーで受銑した場合には、脱硫処理に先立ち、溶銑鍋2などの取鍋型の処理容器に移し替えることとする。図1は、処理容器として溶銑鍋2を使用した例を示している。本発明による脱硫処理の対象となる溶銑3は、どのような成分であっても構わず、例えば、予め脱珪処理や脱燐処理が施されていてもよい。脱珪処理とは、脱燐処理を効率良く行うために脱燐処理に先立ち、溶銑3に酸素ガスや鉄鉱石などの酸素源を添加して主に溶銑中の珪素を除去する処理であり、脱燐処理とは、溶銑3に酸素ガスや鉄鉱石などの酸素源と、CaO系の媒溶剤を添加して主に溶銑中の燐を除去する処理である。
機械攪拌式脱硫装置は、溶銑鍋2に収容された溶銑3に浸漬・埋没し、旋回して溶銑3を攪拌するための耐火物製の攪拌羽根4を備えており、この攪拌羽根4は、昇降装置(図示せず)によってほぼ鉛直方向に昇降し、且つ、回転装置(図示せず)によって軸4aを回転軸として旋回するようになっている。
また、機械攪拌式脱硫装置には、上吹きランス5及びホッパー10が設けられ、上吹きランス5とホッパー10とは、脱硫剤供給管6によって連結されており、ホッパー10に収容された粉体状の脱硫剤12が、Arガス、窒素ガスなどの非酸化性ガスを搬送用ガスとして、脱硫剤供給管6を介して搬送用ガスとともに上吹きランス5に供給され、上吹きランス5の先端から溶銑鍋2に収容された溶銑3に向けて吹き付けられるようになっている。ホッパー10にはロータリーフィーダー11が配置されており、脱硫剤12の供給量がロータリーフィーダー11によって制御されている。脱硫剤供給管6には搬送用ガスの流量を調節するための流量調節弁(図示せず)が設置されている。
また、上吹きランス5には、プロパンガスや天然ガスなどの炭化水素系のガス燃料、重油や灯油などの炭化水素系の液体燃料、コークスや石炭などの炭素系の固体燃料のうちの少なくとも1種を供給するための燃料供給管7と、酸素ガス、酸素富化空気、空気などの酸素含有ガスを供給するための酸素含有ガス供給管8と、上吹きランス5を冷却するための冷却水を供給・排出するための冷却水給排水管9とが連結されている。燃料供給管7及び酸素含有ガス供給管8には、それぞれの流量を調節するための流量調節弁(図示せず)がそれぞれ設置されている。
上吹きランス5は、図2に示すように、円筒状のランス本体13と、このランス本体13の下端に溶接などにより接続された銅製のランスチップ14とで構成されており、ランス本体13は、最外管15、外管16、中管17、内管18、最内管19の同心円状の5種の鋼管、即ち五重管で構成されている。脱硫剤供給管6は最内管19に連通し、燃料供給管7は内管18と最内管19との間隙に連通し、酸素含有ガス供給管8は中間17と内管18との間隙に連通し、冷却水給排水管9は最外管15と外管16との間隙、及び、外管16と中間17との間隙に連通している。つまり、脱硫剤12が搬送用ガスとともに最内管19の内部を通り、燃料が内管18と最内管19との間隙を通り、酸素含有ガスが中管17と内管18との間隙を通り、最外管15と外管16との間隙及び外管16と中管17との間隙は、冷却水の給排水流路となっている。
最内管19はランスチップ14のほぼ中心位置に配置された中心孔20と連結し、内管18は、中心孔20の周囲に設けられた周囲孔21に連結し、中管17は、周囲孔21の近傍に並んで配置された周囲孔22に連結している。周囲孔21及び周囲孔22は複数個且つ同数配置されている。中心孔20は脱硫剤12を吹き込むためのノズルであり、一方、周囲孔21は燃料を吹き込むためのノズル、周囲孔22は酸素含有ガスを吹き込むためのノズルであり、1つの周囲孔21と1つの周囲孔22とで1つのバーナーを形成するように構成されている。つまり、周囲孔21から供給される燃料が周囲孔22から供給される酸素含有ガスによって燃焼し、上吹きランス5の先端部に火炎が形成されるように構成されている。尚、図2に示すように、中心孔20は、その断面が縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体で構成された、所謂ラバールノズルの形状を採っているが、ストレート形状であってもよい。また、燃料の流路と酸素含有ガスの流路とを取り替えてもよい。また更に、図2では、周囲孔21と周囲孔22とがランスチップ14の先端部まで別々の流路となっているが、ランスチップ14の途中で混合させるようにしてもよい。
また更に、機械攪拌式脱硫装置には、塊状或いは粉体状の脱酸剤などの副原料を溶銑3の浴面上に上置き添加するための投入シュート(図示せず)が設置され、更に、溶銑鍋2の上方位置には、集塵機(図示せず)に接続する排気ダクト口(図示せず)が備えられ、脱硫処理中に発生するガスやダストが排出されるようになっている。溶銑3の脱硫反応は還元反応であり、金属Alなどの脱酸剤を添加することで、酸素ポテンシャルが低下して脱硫反応が促進される。
脱硫剤12としては、CaO系の脱硫剤のみならず、カルシウムカーバイド系の脱硫剤、ソーダ系の脱硫剤など種々の脱硫剤を用いることができるが、安価であることから、CaO系の脱硫剤を使用することが好ましい。しかも、環境対策や発生するスラグの再利用が容易であることから、蛍石などのフッ素源を併用せずに、CaO系の脱硫剤のみを使用することが好ましい。CaO系の脱硫剤としては、生石灰(CaO)、ドロマイト(MgCO3・CaCO3)、消石灰(Ca(OH)2)、石灰石(CaCO3)などを使用することができる。本発明では、後述するように、脱硫剤12を加熱しながら上吹き添加するので、フッ素源を使用しなくても、十分に脱硫することができる。
上吹きするCaO系の脱硫剤のサイズは、用いる上吹きランス5や溶銑鍋2の寸法などに応じて最適な粒度を選択することができるが、反応界面積を増加させるためにも、細粒の脱硫剤を用いた方がよく、例えば、500μm以下のものが好ましく、更に100μm以下のものが望ましい。
攪拌羽根4の位置が溶銑鍋2のほぼ中心になるように、溶銑鍋2を搭載した台車1の位置を調整し、次いで、攪拌羽根4を下降させて溶銑3に浸漬させる。攪拌羽根4が溶銑3に浸漬したならば、攪拌羽根4の旋回を開始し、所定の回転数まで昇速する。攪拌羽根4の回転数が所定の回転数に達したならば、ロータリーフィーダー11を起動させて、ホッパー10に収容された脱硫剤12を、搬送用ガスとともに溶銑3の浴面に向けて吹き付けて添加する。溶銑3の表面に吹き付ける速度が速いほど、脱硫反応が促進されるので、溶銑3の浴面に衝突する搬送用ガスの流速が10m/秒以上となるように、搬送用ガスの流量を調整することが好ましい。
この、脱硫剤12の上吹き添加の開始までに、予め、周囲孔21から、炭化水素系のガス燃料、炭化水素系の液体燃料、炭素系の固体燃料のうちの少なくとも1種を供給するとともに、周囲孔22から、酸素ガスや空気などの酸素含有ガスを供給し、必要に応じて周囲孔21の出口側で燃料を着火させ、上吹きランス5の先端部に火炎を形成する。この場合、中心孔20から噴出する、脱硫剤12を含む噴流の周囲に火炎が形成されるように、周囲孔21及び周囲孔22を配置することが好ましい。
上吹き添加される脱硫剤12は、上吹きランス5の先端部に形成される火炎により加熱され、加熱された状態で溶銑浴面に吹き付けられる。そして、攪拌羽根4によって攪拌されている溶銑3に巻き込まれ、溶銑3に含有される硫黄(S)は、前述した(1)式にしたがって脱硫剤12と反応し、溶銑3の脱硫が進行する。
尚、この脱硫剤12の上吹き添加と並行して、または、上吹き添加の前に、若しくは脱硫処理期間の全期間に、脱硫反応を促進させるために、金属Al或いはアルミドロスなど脱酸源を、投入シュート(図示せず)から溶銑3に上置き添加する、或いは、脱硫剤12に混合して上吹きランス5から上吹き添加することが好ましい。
所定量の脱硫剤12を添加完了し且つ所定時間の攪拌が行われたなら、攪拌羽根4の回転数を減少させて停止させる。周囲孔21からの燃料の供給及び周囲孔22からの酸素含有ガスの供給は、脱硫剤12の添加完了に合わせて終了する。攪拌羽根4の旋回が停止したなら、攪拌羽根4を上昇させ、溶銑鍋2の上方に待機させる。生成したスラグが浮上して溶銑表面を覆い、静止した状態で溶銑3の脱硫処理が終了する。脱硫処理後、生成したスラグを溶銑鍋2から排出し、次の精錬工程に溶銑鍋2を搬送する。
このようにして溶銑3に対して脱硫処理を施すことで、細粒の脱硫剤12であっても添加時の飛散が少なくなり、脱硫剤12の添加歩留まりが向上し、そして、細粒の脱硫剤12は、反応界面積が大きく、しかも、脱硫剤12を加熱した状態で添加するので、脱硫剤12の添加に伴う溶銑3の温度低下が抑制され、溶銑3の温度低下に伴う脱硫剤の凝集が防止されるとともに、溶銑中における脱硫剤の分散が促進され、且つ、溶銑3の温度が高くなることによる脱硫反応の促進効果も相俟って、脱硫反応が促進され、脱硫率が著しく向上し、脱硫処理時間の短縮や脱硫剤原単位の削減などが達成される。
尚、本発明は上記の説明範囲に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上吹きランス5の周囲に複数のバーナーを配置し、このバーナーを用いて上吹きランス5から吹き込まれる脱硫剤12を加熱するようにしてもよい。
前述した図1に示す機械攪拌式脱硫装置において、溶銑搬送用の溶銑鍋に収容された約300トンの溶銑に攪拌羽根を浸漬させて回転し、脱硫剤を加熱しながら溶銑トンあたり5kg上吹き添加し、攪拌羽根を140rpmの回転速度で回転させて溶銑と脱硫剤とを所定時間攪拌して脱硫処理(本発明例1〜3)した。バーナーの燃料としてはプロパンガスを使用し、助燃剤の酸素含有ガスとしては酸素ガスを使用した。溶銑の脱硫反応は還元反応であるので、助燃剤である酸素ガスが溶銑浴面に直接供給されないように、酸素比(QA/QR)が所定値以下となるように酸素ガスの供給量を調整した。ここで、酸素比(QA/QR)とは、火炎形成時に使用する酸素ガスの質量(QA)とプロパンガスの理論燃焼分の酸素質量(QR)との比である。
また、比較のために、脱硫剤を加熱せずに常温の状態のままで、上置き添加或いは上吹き添加する脱硫処理(比較例1〜3)も実施した。表1に、本発明例1〜3及び比較例1〜3における共通の操業条件を示す。
本発明例1では、脱硫剤としてCaO粉単体を使用し、本発明例2では、脱硫剤としてCaO−5質量%CaF2粉を使用し、本発明例3では、脱硫剤としてCaO−5質量%Al2O3粉を使用した。
これに対して、比較例1では、常温のCaO−5質量%CaF2粉を脱硫剤として使用し、これを回転攪拌初期に一括して溶銑浴面上に上置き添加し、比較例2では、常温のCaO−5質量%CaF2粉を脱硫剤として使用し、これを上吹きランスから溶銑浴面上に上吹き添加し、比較例3では、常温のCaO−5質量%Al2O3粉を脱硫剤として使用し、これを上吹きランスから溶銑浴面上に上吹き添加した。脱硫剤の搬送用ガスとしては、本発明例1〜3及び比較例2,3ともに窒素ガスを使用し、脱硫剤の供給速度は、本発明例1〜3及び比較例2,3ともに1.0kg/min・tとした。
本発明例1〜3及び比較例1〜3ともに、処理前後の溶銑からサンプリングを行い、脱硫率を調査した。ここで、脱硫率は下記の(2)式で定義される値とした。
本発明例1〜3及び比較例1〜3の操業条件及び操業結果を表2に示す。
脱硫剤としてCaO−5質量%CaF2粉を使用した、本発明例2、比較例1及び比較例2を比べると、本発明例2の方が、脱硫率が向上した。また、脱硫剤がCaO−5質量%Al2O3粉である、本発明例3と比較例3とを比べても、同様に本発明例3の方が、脱硫率が向上した。これらの結果から、同一の脱硫剤を使用した場合には、本発明を適用することで、脱硫率が向上することが分かる。
また、脱硫剤がCaO−5質量%Al2O3粉である本発明例3では、脱硫剤がCaO−5質量%CaF2粉である、比較例1及び比較例2よりも脱硫率が向上し、また、脱硫剤がCaO粉単体の本発明例1についても、脱硫剤がCaO−5質量%CaF2粉である、比較例1及び比較例2の脱硫率と同等かそれ以上となった。これらの結果から、本発明の脱硫方法においては、脱硫剤にフッ素源を混合しなくても、フッ素源を混合した脱硫剤と同等か同等以上の脱硫率が得られることが分かる。
1 台車
2 溶銑鍋
3 溶銑
4 攪拌羽根
5 上吹きランス
6 脱硫剤供給管
7 燃料供給管
8 酸素含有ガス供給管
9 冷却水給排水管
10 ホッパー
11 ロータリーフィーダー
12 脱硫剤
13 ランス本体
14 ランスチップ
15 最外管
16 外管
17 中管
18 内管
19 最内管
20 中心孔
21 周囲孔
22 周囲孔
2 溶銑鍋
3 溶銑
4 攪拌羽根
5 上吹きランス
6 脱硫剤供給管
7 燃料供給管
8 酸素含有ガス供給管
9 冷却水給排水管
10 ホッパー
11 ロータリーフィーダー
12 脱硫剤
13 ランス本体
14 ランスチップ
15 最外管
16 外管
17 中管
18 内管
19 最内管
20 中心孔
21 周囲孔
22 周囲孔
Claims (3)
- 機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法において、攪拌羽根によって攪拌されている溶銑の浴面上に、バーナーの火炎で加熱した脱硫剤を上吹き添加することを特徴とする、溶銑の脱硫方法。
- 上吹きランス先端の中心部に設けた中心孔から搬送用ガスとともに脱硫剤を上吹き添加し、前記中心孔の周囲に設けた周囲孔から、酸素含有ガスと、炭化水素系のガス燃料、炭化水素系の液体燃料、炭素系の固体燃料のうちの何れか1種以上と、を供給して上吹きランス先端に火炎を形成し、該火炎によって前記脱硫剤を加熱することを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱硫方法。
- 前記脱硫剤は、CaOを主成分とする脱硫剤であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の溶銑の脱硫方法。
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