JP2010116612A - 溶銑の脱硫方法 - Google Patents

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【課題】 機械攪拌式脱硫装置を用いて溶銑を脱硫処理する際に、比較的簡便な設備を使用して、反応性に優れる細粒の脱硫剤を効率良く溶銑中へ添加し、脱硫剤の溶銑中での分散を促進させて、溶銑を効率良く脱硫する。
【解決手段】 機械攪拌式脱硫装置のインペラー4により、その浴面に渦を形成して攪拌されている、処理容器2内の溶銑3の浴面に向けて、上吹きランス5を介して搬送用ガスとともに脱硫剤7を鉛直方向から上吹き添加して溶銑を脱硫するにあたり、渦を形成する溶銑浴面のうちで、水平面に対する傾斜角度が10°〜35°となる位置に、前記脱硫剤を上吹きする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法に関するものである。
高炉から出銑された溶銑中には、鋼の品質に悪影響を及ぼす燐(元素記号P)、硫黄(元素記号S)が高濃度に含有されており、これらを除去する技術が開発されている。今日の精錬プロセスにおいては、転炉での脱炭精錬に先立って、溶銑に含有される燐及び硫黄を除去する方法、所謂、溶銑の予備処理が一般的に行われている。このうち、溶銑の脱硫処理においては、断面がほぼ円形を有する精錬容器内に溶銑を保持し、脱硫剤を溶銑上に添加し、インペラー(「攪拌羽根」、「攪拌翼」とも呼ぶ)と称する、羽根を有する回転子を溶銑内に浸漬して回転させ、溶銑及び脱硫剤を攪拌して脱硫する方法(以下、「機械攪拌式脱硫法」という)が広く行われている。
溶銑の脱硫反応速度を高めるには、溶銑/脱硫剤間の反応界面積を増加させることが良いことが分かっており、この観点から、脱硫剤の粒径は細かいことが望ましい。しかし、実機の機械撹拌式脱硫装置では、溶銑を保持した容器の上方から投入シュートにより脱硫剤を添加する方法が採られており、細粒の脱硫剤を添加した場合、飛散により、溶銑に到達する脱硫剤の量が低下し、脱硫剤の添加歩留りが低下してしまう。この理由により、反応効率が低下するといった問題が生じる。更に、脱硫剤の主成分であるCaO粉体と溶鉄との界面張力は1.75N/mであり、CaO粉体は、溶銑とは濡れ難い性質を有する。このために、溶銑に添加されたCaO粉体は互いに凝集してしまい、凝集内部のCaO粉体は未反応のままであるために反応効率が低下するといった問題が生じる。その上、飛散した脱硫剤はダストとして蓄積されるため、生産量増大時はダスト処理量も増大するという問題も発生する。
これらの事象から、溶銑の脱硫反応を促進させるには、粉体として添加するCaOの添加歩留りを向上させるとともに、溶銑内におけるCaO粉の凝集を抑制して、溶銑浴内での分散を促進させることが有効であることが分かる。
これを実現させる技術として、特許文献1には、精錬容器の側壁に側壁から突出した整流体を設け、回転攪拌した溶銑を整流体に衝突させて下降流を発生させ、この下降流に脱硫剤を巻き込ませる方法が提案されている。また、特許文献2には、回転するインペラーの軸下から脱硫剤を溶銑中に吹き込みながら脱硫する方法が提案されている。また更に、特許文献3には、インペラーによって攪拌されている溶銑の浴面上に、溶銑トン当たり1.6kg/min以下の脱硫剤の供給速度で、上吹きランスを介して搬送用ガスとともに脱硫剤を上吹き添加して脱硫することが提案されている。
特開昭51−112416号公報 特開2005−68506号公報 特開2007−247045号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
即ち、特許文献1に開示されるような整流体を設置する場合、インペラーによる回転撹拌力が非常に強いため、その整流体は非常に強化な形状及び材質としなければならない。そのために、整流体の製作及びメンテナンスに多くの労力や費用を費やしてしまうという問題点がある。
特許文献2に開示されたインペラー軸下からの粉体吹き込みの場合、脱硫剤粉体は搬送用ガスとともに溶銑中に供給される。このようにして添加した場合、脱硫剤粉体はガス気泡中に補足された状態のまま、浮上するガス気泡とともに浴面上に上昇してしまい、その結果、脱硫剤を浴面上方に添加した場合と同等となり、脱硫反応効率は向上しない可能性がある。更に、インペラー軸下からの粉体吹込みを行うためには、ガス及び粉体を回転軸内へ供給するための装置(例えばロータリージョイントなど)が必要であり、設備費用が増大するという問題点も生じる。
また、特許文献3に開示された方法は、粉体状脱硫剤を歩留り良く添加する方法として優れているが、インペラーによって容器内で渦を巻くように攪拌されている溶銑の湯面は、中心部ほど傾斜角度が大きくなるように、中心部の凹んだ凹面形状であり、本発明者らは、脱硫剤の添加歩留りは、脱硫剤の上吹き添加位置が前記凹面形状の何処の部位であるかによって大きく変化することを知見している。つまり、容器の中心位置から上吹き添加位置までの距離に応じて、脱硫剤の添加歩留りが大幅に変化することを知見している。この点に関して特許文献3は何ら開示しておらず、安定して添加歩留りを高めることができないという問題点がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、機械攪拌式脱硫装置を用いて溶銑を脱硫処理する際に、比較的簡便な設備を使用して、反応性に優れる細粒の脱硫剤を歩留り良く溶銑中へ添加し、脱硫剤の溶銑中での分散を促進させて、溶銑を効率良く脱硫する方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の脱硫方法は、機械攪拌式脱硫装置のインペラーにより、その浴面に渦を形成して攪拌されている、処理容器内の溶銑の浴面に向けて、上吹きランスを介して搬送用ガスとともに脱硫剤を鉛直方向から上吹き添加して溶銑を脱硫するにあたり、渦を形成する溶銑浴面のうちで、水平面に対する傾斜角度が10°〜35°となる位置に、前記脱硫剤を上吹きすることを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の脱硫方法は、第1の発明において、前記溶銑浴面の形状及び水平面に対する傾斜角度を下記の(1)式〜(10)式によって求めることを特徴とするものである。但し、これらの式において、H0は渦中心の凹み深さ(m)、rは処理容器中心から任意の位置までの距離(m)、Nはインペラーの回転数(回/分)、Dは処理容器の内径(m)、θはインペラーの羽根の傾斜角(rad)、bはインペラーの羽根の高さ(m)、dはインペラーの回転直径(m)、nPはインペラーの羽根枚数、gは重力加速度(=9.8m/秒2)、Reはレイノズル数(−)、ρは溶銑の密度(kg/m3)、μは溶銑の粘度(Pa・秒)、Hは処理容器中心からrだけ離れた位置における浴面高さ(m)、Lは処理容器中心からrだけ離れた位置における溶銑浴面の接線角度即ち水平面に対する傾斜角度(deg)である。
Figure 2010116612
第3の発明に係る溶銑の脱硫方法は、第1または第2の発明において、前記インペラーの回転数が80回/分〜140回/分であることを特徴とするものである。
本発明によれば、機械攪拌式脱硫装置を用いて溶銑を攪拌しつつ、上吹きランスから脱硫剤を吹き付けて溶銑の脱硫処理を行うに当たり、使用する処理容器のサイズ、インペラーの形状及び回転数、溶銑の物性値がどのようであっても、これらの要因に応じた最適な脱硫剤の上吹き添加位置で脱硫剤を上吹き添加するので、脱硫剤の添加歩留りが高位に維持され、少ない脱硫剤で所望する脱硫処理が実施可能となる。その結果、脱硫剤原単位の削減、これに基づく発生スラグ量の削減などが達成され、工業上有益な効果がもたらされる。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者らは、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫処理において、反応性に優れる細粒の脱硫剤を歩留り良く溶銑中へ添加して浸入させ、脱硫剤の溶銑中での分散を促進させて、溶銑を効率良く脱硫する手段を種々検討した。その結果、特許文献3に開示された脱硫剤を鉛直方向から上吹き添加する方法が、従来の投入シュートを用いた方法に比較して格段に細粒脱硫剤の添加歩留りが向上することから、最適であることが確認された。
しかしながら、実機における試験結果から、脱硫剤を上吹き添加しても、インペラーの回転数や脱硫剤の添加位置に応じて脱硫剤の添加歩留りが変化することを知見した。そこで、この原因を種々追求し、その結果、上吹き添加時のインペラーによる攪拌時の溶銑浴面の形状に着目した。つまり、溶銑は、回転するインペラーによって、処理容器内で渦を巻くように、且つ、中心部ほど水平面に対する傾斜角度が大きくなるように攪拌されており、しかも、この溶銑浴面の凹みの形状は、溶銑の処理量、インペラーの回転数、インペラーの形状、処理容器のサイズなどにより異なることから、添加歩留りはこの溶銑浴面の凹み形状に左右されるとの考えに至った。
そこで、機械攪拌式脱硫装置の水モデル実験装置を用いて、機械攪拌時の浴面形状を定量的に求めることを検討した。図1に、機械攪拌式脱硫装置で攪拌して渦を形成させたときの概要を示す。図1において、符号2は処理容器である溶銑鍋、3は溶銑、4はインペラー、9は溶銑の静止湯面であり、内径がDである溶銑鍋2に収容された溶銑3に、回転直径がd、高さがb、羽根の傾斜角がθであるインペラー4を浸漬させて溶銑3を攪拌する様子を示している。但し、溶銑の静止湯面9はインペラー4を浸漬させた時の湯面レベルである。溶銑3にはインペラー4の回転軸を中心とする渦が形成され、インペラー4の中心から距離rだけ離れた位置における溶銑浴面の接線角度即ち水平面に対する傾斜角度をLとして、湯面形状を解析している。尚、この渦中心の凹み深さ(H0)は静止湯面9からの距離として、また、インペラーの浸漬深さ(h)は静止湯面9からの距離として解析している。
種々の攪拌条件において、インペラー4の中心から任意の距離rだけ離れた位置(以下、「位置r」とも記す)における浴面曲線の接線角度Lを測定した結果、任意の位置rにおける浴面曲線の接線角度Lは、下記の(1)式〜(10)式を用いることで算出できることを見出した。
Figure 2010116612
但し、これらの式において、H0は渦中心の凹み深さ(m)、rは処理容器中心から任意の位置までの距離(m)、Nはインペラーの回転数(回/分)、Dは処理容器の内径(m)、θはインペラーの羽根の傾斜角(rad)、bはインペラーの羽根の高さ(m)、dはインペラーの回転直径(m)、nPはインペラーの羽根枚数、gは重力加速度(=9.8m/秒2)、Reはレイノズル数(−)、ρは溶銑の密度(kg/m3)、μは溶銑の粘度(Pa・秒)、Hは処理容器中心からrだけ離れた位置における浴面高さ(m)、Lは処理容器中心からrだけ離れた位置における溶銑浴面の接線角度即ち水平面に対する傾斜角度(deg)である。
水モデル実験において、(1)式〜(10)式を用いて計算される浴面曲線の接線角度Lと、浴面曲線の接線角度Lの実測値とを比較した結果、両者は良く一致しており、インペラーを用いた溶銑の攪拌において、実測しなくとも上記の式を用いて任意の位置rにおける浴面曲線の接線角度Lが推定可能であることを確認した。
また、これにより、(10)式から得られる浴面曲線の接線角度Lから、上吹きランスから添加される脱硫剤の浴面に対する侵入角度が、算出可能であることが分かった。
また、実機において、これらの式を用いて算出される、上吹きランスと溶銑浴面との角度を変化させて溶銑の脱硫試験を実施し、これらの位置関係と、添加する脱硫剤の飛散量即ち脱硫剤の添加歩留りとは、大きな相関があることを見出した。これは、上吹きランスと浴面との角度が、添加する脱硫剤の浴中への侵入に大きな影響を与えるためである。
実機試験では、上吹ランス位置以外の条件を一定とし、インペラー中心から上吹きランス中心までの距離を変更して、つまり上吹きランスを種々の位置rに設定して、上吹きランス位置と接線角度Lとが変化したときの脱硫剤の飛散状況及び脱硫率を調査した。ここで脱硫率とは、処理前後の溶銑中硫黄濃度の差分を処理前の溶銑中硫黄濃度に対して百分率で表示したものである。
上吹きランスが処理容器の外側即ち浴面の接線角度Lの小さい範囲に設置される場合には、添加した脱硫剤の飛散が大きく、脱硫剤の添加歩留りが低下した。また、上吹きランスが処理容器の中心側即ち浴面の接線角度Lの大きい範囲に設置される場合にも、添加した脱硫剤の飛散が大きく、脱硫剤の添加歩留りが低下した。
これに対して、浴面曲線の接線角度Lが10°〜35°の範囲の位置に上吹きランスを設置した場合には、添加した脱硫剤の飛散が抑制され、脱硫率も92%と非常に高くなることが確認できた。
上吹きランスと溶銑浴面との角度は、(1)式〜(10)式に示すように、処理容器のサイズ、インペラーの形状及び回転数、溶銑の物性値によって決定されるので、それによって求められる接線角度Lの適切な位置で上吹き添加することで、最適条件で脱硫処理が可能となる。
本発明は、これらの検討結果に基づいてなされたものであり、処理容器内の溶銑の浴面に向けて、上吹きランスを介して搬送用ガスとともに脱硫剤を鉛直方向から上吹き添加して溶銑を脱硫するにあたり、渦を形成する溶銑浴面のうちで、溶銑浴面の接線角度つまり水平面に対する傾斜角度が10°〜35°となる位置に、前記脱硫剤を上吹きすることを特徴とする。
次に、本発明の具体的な実施の形態例について、図面を参照して説明する。図2は本発明を実施する際に用いた機械攪拌式脱硫装置の一例を示す概略断面図であり、図2は溶銑を収容する処理容器として取鍋型の溶銑鍋を用いた例を示している。尚、本発明では、形成される浴面高さ(H)を処理容器の内径(D)を用いて算出することから、使用する処理容器は、水平断面形状が円形または楕円形の容器であることが必要である。但し、楕円形容器の場合の内径は、長円方向の径と短円方向の径との平均値を内径Dとする。この点から、取鍋型の溶銑鍋は水平断面形状が円形であることから処理容器として最適である。
高炉から出銑された溶銑3を台車1に搭載された溶銑鍋2、或いは、トピードカーで受銑し、受銑した溶銑3を機械攪拌式脱硫装置に搬送する。トピードカーで受銑した場合には、脱硫処理に先立ち、取鍋型の処理容器に移し替えることが必要である。また、本発明による脱硫処理の対象となる溶銑3は、どのような成分であっても構わず、例えば予め脱珪処理や脱燐処理が施されていてもよい。
機械攪拌式脱硫装置には、図2に示すように、溶銑鍋2に収容された溶銑3に浸漬・埋没し、旋回して溶銑3を攪拌するための耐火物製のインペラー4が備えられており、このインペラー4は、昇降装置(図示せず)によってほぼ鉛直方向に昇降し、且つ、回転装置(図示せず)によって軸4aを回転軸として旋回するようになっている。
また、機械攪拌式脱硫装置には、粉体状脱硫剤7を溶銑鍋内の溶銑3に向けて、ほぼ鉛直方向から上吹き添加するための上吹きランス5と、粒状または塊状の脱硫剤及び脱酸剤を溶銑鍋2の溶銑3の浴面に上置き添加するための投入シュート8とが設置されている。更に、溶銑鍋2の上方位置には、集塵機(図示せず)に接続する排気ダクト口(図示せず)が備えられ、脱硫処理中に発生するガスやダストが排出されるようになっている。
上吹きランス5は、粉体状脱硫剤7を収容するディスペンサー6と接続しており、上吹きランス5から、搬送用ガスとともに粉体状脱硫剤7を任意のタイミングで上吹き添加できる構造になっている。また、上吹きランス5は、鉛直方向位置のみならず、水平方向位置も任意の位置に移動できる構造になっている。搬送用ガスとしてはArガスや窒素ガスなどの不活性ガスを使用し、粉体状脱硫剤7としては、CaO粉体またはCaOにAl23、CaF2、MgO、SiO2などの滓化促進剤を混合した粉体を使用する。
脱硫処理を開始する前に、処理容器である溶銑鍋2の内径(D)、インペラー4の羽根の傾斜角(θ)、インペラー4の高さ(b)、インペラー4の回転直径(d)、インペラー4の羽根枚数(nP)、重力加速度(g)、溶銑3の密度(ρ)、溶銑3の粘度(μ)と、予定するインペラー4の回転数(N)とを、前述した(1)〜(9)式に代入し、静止浴面を基準とする浴面高さ(H0)を算出し、(10)式により上吹ランスの位置(位置r)における浴面曲線の接線角度Lを算出する。
算出した浴面曲線の接線角度Lが10°以上35°以下となるような位置に上吹きランス5を移動させる、または、インペラー4の回転数(N)を変化させて、上吹きランス5の直下位置における浴面曲線の接線角度Lが10°以上35°以下となるようにインペラー4の回転数を設定する。
そして、攪拌条件が設定されたなら、インペラー4を下降させて溶銑3に浸漬させる。この場合、インペラー4の位置が溶銑鍋2のほぼ中心になるように、溶銑鍋2を搭載した台車1の位置を予め調整しておく。インペラー4が溶銑3に浸漬したならば、インペラー4の旋回を開始し、設定した所定の回転数まで昇速する。インペラー4の回転数が所定の回転数に達したならば、粉体状脱硫剤7を上吹きランス5を介して溶銑浴面に向けて吹き付け添加する。粉体状脱硫剤7の上吹き添加と並行して、または、上吹き添加の前後に、若しくは脱硫処理期間の全期間に、脱硫反応を促進させるために、アルミドロスなどの脱酸剤を、投入シュート8を介して溶銑鍋2の内部に供給することが好ましい。
そして、所定量の粉体状脱硫剤7の上吹き添加が完了した以降も、インペラー4を旋回させて脱硫処理を継続し、所定時間の攪拌を行ったなら、インペラー4の回転数を減少させて停止させる。インペラー4の旋回が停止したなら、インペラー4を上昇させ、溶銑鍋2の上方に待機させる。生成したスラグ(図示せず)が浮上して溶銑表面を覆い、静止した状態で溶銑3の脱硫処理が終了する。脱硫処理終了後、生成したスラグを溶銑鍋2から排出し、次の精錬工程に溶銑鍋2を搬送する。
このようにして溶銑3に対して脱硫処理を施すことで、使用する溶銑鍋2のサイズ、インペラー4の形状及び回転数、溶銑3の物性値がどのようであっても、溶銑鍋2のサイズ、インペラー4の形状及び回転数、溶銑3の物性値に応じて、最適な上吹き添加位置を求めることができ、従って、どのような場合においても粉体状脱硫剤7の最適な上吹き添加ができ、換言すれば、脱硫率を向上させることができ、脱硫剤使用量の削減、これによる発生スラグ量の削減などが達成される。
図2に示す機械攪拌式脱硫装置を用い、脱硫剤としてCaO粉を使用して溶銑の脱硫処理を行った結果を示す。使用したインペラーは、4枚の羽根を有し、羽根に傾斜のないものである。用いた溶銑の化学成分は、C:3.5〜5.0質量%、Si:0.1〜0.3質量%、S:0.02〜0.04質量%、P:0.05〜0.15質量%で、溶銑温度は1250〜1350℃の範囲であった。脱硫処理は200〜350トンの溶銑が処理可能な溶銑鍋を処理容器として用いた。
内径(D)が4.0mで、350トンの溶銑を収容することのできる溶銑鍋に、インペラーの回転数一定のもと、インペラーの中心から上吹きランスまでの距離(r)を変化させて、つまり、上吹きランス直下位置における溶銑湯面の接線角度Lを変化させて脱硫処理を行った。表1に、そのときの接線角度Lと脱硫率とを示す。表1に示す接線角度Lは、(1)式〜(10)式を用いて算出した計算値である。
Figure 2010116612
表1に示すように、上吹き添加位置が、浴面曲線の接線角度Lが10°未満の場合及び35°よりも大きい場合には、脱硫率は70〜80%程度であった。これに対して、上吹き添加位置が、浴面曲線の接線角度Lが10°以上35°以下の場合には、脱硫率は90%以上と高位であった。
機械攪拌式脱硫装置で攪拌して渦を形成させたときの概要を示す図である。 本発明を実施する際に用いた機械攪拌式脱硫装置の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 台車
2 溶銑鍋
3 溶銑
4 インペラー
5 上吹きランス
6 ディスペンサー
7 粉体状脱硫剤
8 投入シュート
9 静止湯面

Claims (3)

  1. 機械攪拌式脱硫装置のインペラーにより、その浴面に渦を形成して攪拌されている、処理容器内の溶銑の浴面に向けて、上吹きランスを介して搬送用ガスとともに脱硫剤を鉛直方向から上吹き添加して溶銑を脱硫するにあたり、渦を形成する溶銑浴面のうちで、水平面に対する傾斜角度が10°〜35°となる位置に、前記脱硫剤を上吹きすることを特徴とする、溶銑の脱硫方法。
  2. 前記溶銑浴面の形状及び水平面に対する傾斜角度を下記の(1)式〜(10)式によって求めることを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱硫方法。
    Figure 2010116612
    但し、これらの式において、H0は渦中心の凹み深さ(m)、rは処理容器中心から任意の位置までの距離(m)、Nはインペラーの回転数(回/分)、Dは処理容器の内径(m)、θはインペラーの羽根の傾斜角(rad)、bはインペラーの羽根の高さ(m)、dはインペラーの回転直径(m)、nPはインペラーの羽根枚数、gは重力加速度(=9.8m/秒2)、Reはレイノズル数(−)、ρは溶銑の密度(kg/m3)、μは溶銑の粘度(Pa・秒)、Hは処理容器中心からrだけ離れた位置における浴面高さ(m)、Lは処理容器中心からrだけ離れた位置における溶銑浴面の接線角度即ち水平面に対する傾斜角度(deg)である。
  3. 前記インペラーの回転数が80回/分〜140回/分であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の溶銑の脱硫方法。
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