JP6249044B2 - 二軸延伸ポリプロピレンフィルム - Google Patents

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本発明は、密着・剥離性に優れ、貼り合せた際の異物汚染やボイド、エアーボイドを低減した二軸延伸ポリプロピレンフィルムに関するものである。特に、電子部品、電子基板の製造工程、繊維強化プラスチック等の熱硬化性樹脂部材の製造工程、感光性フィルムの製造工程等に使用される保護フィルムや離型材料に関するものであり、さらに詳しくは、剥離フィルムや剥離ライナー、材料製造時のキャリアーや保護材やそのセパレーターフィルムなどに特に有用な剥離性に優れた二軸延伸ポリプロピレンフィルムに関する。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、軽量性、熱的安定性、機械特性に優れているので、包装用をはじめ工業用材料フィルムとして広く用いられている。特に近年は、ポリプロピレンフィルムの低い表面エネルギーを利用して、非シリコーン系の離型材料として、電子部品、電子基板の製造工程、繊維強化プラスチック等の熱硬化性樹脂部材の製造工程等に使用される保護材、離型材に広く使用されている。
ポリプロピレンフィルムの熱安定性・機械特性を維持しながら、離型性能を高める技術としては、例えば、低熱収縮率ポリプロピレンフィルムにシリコーン系離型剤を塗布した技術が一般的に広く知られている(例えば、特許文献1)。ポリプロピレンフィルムの熱安定性を高める技術としては、例えばポリプロピレンフィルムの結晶性を高めたり(特許文献2)、特定の分子量・立体規則性を持った結晶性ポリプロピレンを用いたフィルムとする(特許文献3)ことなどが開示されている。しかしながら、シリコーン系離型剤を塗布したフィルムでは、電子機器等の保護フィルムの離型材(セパレーターフィルム)として用いると、シリコーンの転移が発生するので電子部品にとって好ましくない。そこで、近年は、電子部品、電子基板の製造工程等に使用される保護フィルムのセパレーターとして、非シリコーン(塗布)系のフィルムが、強く求められている。
電子部品、電子基板や感光性材料の製造工程等に使用される保護フィルムとしては、貼り合せた際の異物汚染やボイド、エアーボイドが少ないことも必要である。
熱安定性に優れたフィッシュアイ(微小異物)が少ないポリプロピレン保護フィルムとして、例えば、ポリプロピレン系樹脂にα−オレフィン共重合体エラストマーを含有し、特定の物性値を有している無延伸フィルムが提案されている(特許文献4)。また、特開2002−40667号公報(特許文献5)では、特定の表面を有するフォトレジスト用カバーフィルムが開示されており、さらには、特開2003−62954号公報(特許文献6)には、特定の範囲の表面を有しているオーバーラミネート用マットフィルムが開示されている。
これらの技術によるフィルムは、実質的に滑剤を含まず、フィルム中の灰分も少ないので、微小異物(フィッシュアイ)も従来レベルより少なくなっており、保護フィルムとしては利用可能である。しかしながら、近年の電子部品、感光性材料等の市場においては、より一層異物レベルが少ない保護フィルムが求められており、市場の要求レベルを満足したとは言えないレベルにある。また、剥離性、フィルムの巻取り性においても必ずしも市場の要求に応えていない。非シリコーン系のフィルムの剥離性には、フィルムの表面粗化性が大きく影響を及ぼす。前述の特許文献5および6に開示の表面粗化フィルムは、表面の突起高さが十分に高いので、高い剥離性が得られる上、巻きズレ等の発生もない。しかしながら、過粗面となり易く、そのため、保護フィルム、剥離フィルムとして保護体に貼り合せた際に、エアー等を挟み込みやすく、(エアー)ボイドを形成し易いという難点を有する。
一方、感光性フィルムおよび感光性エレメントの技術分野において、特定の表面性を形成し、フィッシュアイを少なくした保護フィルムの技術が開発されている(特許文献7および8)。しかしながら、これらの技術をもってしても、市場が十分満足できるような、貼り合せた際の異物汚染やボイド、エアーボイドを低減しつつ、密着性・剥離性に優れた二軸延伸ポリプロピレンフィルムは未だ得られてはいない。
特開平10−226781号公報(特許請求の範囲) 特開平11−279497号公報(特許請求の範囲、[0006]〜[0007]) 特開2001−146536号公報(特許請求の範囲、[0007]〜[0010]) 特開2010−184990号公報(特許請求の範囲) 特開2002−40667号公報(特許請求の範囲) 特開2003−62954号公報(特許請求の範囲) 特開2000−330291号公報(特許請求の範囲、[0041]〜[0045]) 特開2002−229200号公報(特許請求の範囲、[0036]〜[0038])
本発明の目的は、保護フィルムおよび/あるいはその非シリコーン系セパレーターフィルムなどとして有用な剥離性に優れた二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供することにある。
本発明は、以下に記載の態様を含む。
(1)メルトフローレートが1.5g/10min以上6.0g/10min以下のポリプロピレン樹脂から形成された、
少なくとも一方の面の表面粗さが、
(a)中心線粗さ(Ra)で0.03〜0.10μm、
(b)最大高さ(Rmax)で0.3μm〜1.0μm、
であって、大きさ(長径)が50μm 以上のフィッシュアイの数が100個/m 以下である層を有しており、厚さが5μm以上60μm以下であることを特徴とする、二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
(2)前記メルトフローレートが1.5g/10min以上6.0g/10min以下のポリプロピレン樹脂が、アイソタクチックメソペンタッド分率が93%以上のアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーよりなることを特徴とする、上記(1)項に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
(3)前記メルトフローレートが1.5g/10min以上6.0g/10min以下のポリプロピレン樹脂を、ろ過精度が10μm以下の焼結金属不織布フィルターを通過させて成形したキャスト原反シートから二軸延伸されてなることを特徴とする、上記(1)項又は(2)項に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
(4)前記メルトフローレートが1.5g/10min以上6.0g/10min以下のポリプロピレン樹脂の灰分含有量が200ppm以下であることを特徴とする、上記(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
(5)前記メルトフローレートが1.5g/10min以上6.0g/10min以下のポリプロピレン樹脂層からなる両表層(スキン層)と、該両表層間に樹脂成分がポリプロピレン樹脂であるコア層を有する3層構成の二軸延伸フィルムよりなることを、上記(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
(6)前記樹脂成分がポリプロピレン樹脂であるコア層が、表層と同一のポリプロピレン樹脂を含有することを特徴とする、上記(5)項に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
(7)前記樹脂成分がポリプロピレン樹脂であるコア層が、前記表層のメルトフローレートが1.5g/10min以上6.0g/10min以下のポリプロピレン樹脂と、メルトフローレートが該表層のポリプロピレン樹脂と異なるポリプロピレン樹脂とを樹脂成分として含有する層である、上記(5)項又は(6)項に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
(8)前記コア層が無機物質の微粒子を含有する層である、上記(5)項〜(7)項のいずれか1項に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
(9)前記無機物質の微粒子が、タルク、炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の微粒子である、上記(8)項に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
本発明による二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、フィッシュアイ(微小異物)が少なく、かつ、離型性に非常に優れているので、電子部品、電子基板の製造工程、繊維強化プラスチック等の熱硬化性樹脂部材の製造工程、感光性フィルムの製造工程等に使用される保護フィルム、および/あるいは、その非シリコーン系セパレーターフィルムなどとして好適である。
フィッシュアイ(微小異物)の大きさの分布(発生頻度)の一例を示す図。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、メルトフローレートが1.5g/10min以上6.0g/10min以下のポリプロピレン樹脂から形成され、少なくとも一方の面の表面粗さが、
(a)中心線粗さ(Ra)で0.03〜0.10μm、
(b)最大高さ(Rmax)で0.3μm〜1.0μm、
であって、大きさ(長径)が50μm 以上のフィッシュアイの数が100個/m 以下である層を有しており、厚さが5μm以上60μm以下であることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの少なくとも片方の一面における、その表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)で0.03μm以上0.10μm以下であり、かつ、最大高さ(Rmax)で0.3μm以上1.0μm以下に微細粗面化されていることが好ましい。
RaやRmaxがある程度大きい値であると、巻き取り、巻き戻しなどの加工の際に、フィルム間に適度な空隙が生じるためフィルムが適度にすべり、ラミネートの際や、巻取りの際にシワが入りにくく、かつ横ズレも起こしにくくなる上、剥離性が良好となり好ましい。しかし、それらの値が大きすぎると、保護フィルム、剥離フィルムとして貼り合わせた場合、保護体との間に凹凸が転写されたり、大きな空隙が生じるため、ボイド、エアーボイドの発生原因となり好ましくない。逆に、表面粗さが低い値になりすぎると、フィルムが滑りにくく、ラミネートの際や、巻き加工の際にシワが発生しやすくなり、また、剥離もしにくくなるので、実用上不適といえる。
RaおよびRmaxの測定は、例えばJIS−B0601等に定められている方法によって、一般的に広く使用されている触針式あるいは非接触式表面粗さ計などを用いて測定される。使用できる装置のメーカーや型式には何ら制限はない。
本発明における検討では、東京精密社製、表面粗さ・輪郭形状測定器 サーフコム 1400D型を用い、JIS−B0601・1982に定められている方法に準拠してRaおよびRmaxを求めた。
接触法(ダイヤモンド針等による触針式)、非接触法(レーザー光等による非接触検出)のどちらでも測定可能であるが、本発明における検討では、接触法により測定荷重750μNにて測定した。
フィルム表面に微細な凹凸を与える方法としては、エンボス法、エッチング法など、公知の各種粗面化方法を採用することが出来るが、その中でも、不純物の混入などのおそれがない、β晶を用いた粗面化法が好ましい。β晶の生成割合は、一般的には、キャスト温度やキャストスピードによってコントロールすることができる。また、縦延伸工程のロール温度ではβ晶の融解/転移割合を制御することができ、これらβ晶生成とその融解/転移の二つのパラメーターについて最適な製造条件を選択することで微細な粗表面性を得ることが出来る。β晶を制御するキャスト温度は、一般的には、30〜120℃であり、本発明の表面性の範囲とするためには、30℃〜90℃の範囲が好ましく、30℃〜80℃の範囲に調整するのがさらに好ましい。
大きさ(長径)が50μm 以上のフィッシュアイの数が100個/m以下であり、フィッシュアイと呼ばれる微小異物あるいは不溶物は、大きさ(長径)が50μm 以上のものが100個/m以下とするのがよい。好ましくは80個/m以下であり、より好ましくは70個/m以下である。
さらに、大きさ(長径)が150μm 以上のフィッシュアイ(微小異物)の数は、全体に対する比率として5%以下とするのが好ましい。
ここでいうフィッシュアイ(微小異物)とは、材料樹脂を熱溶融し、押出成形、延伸を施し、フィルムを作製する際の材料中の異物、未溶融物、酸化劣化物等が、フィルム製品中に取り込まれたもののことである。
フィッシュアイの数が多いと、電子部品、電子基板や感光性材料の製造工程等に使用される保護フィルムとして貼り合せた際の異物汚染やボイド、エアーボイドの原因となるため、実用上不適といえる。
フィッシュアイ(微小異物)を低減する手段としては、材料であるポリプロピレン樹脂中に含まれる重合触媒残渣等に起因する灰分を少なくするのがよい。樹脂の灰分は200ppm以下が好ましく、より好ましくは、100ppm以下である。
さらに、フィッシュアイ(微小異物)を低減する手段のもう一つとしては、押出機とTダイとの間に設置される、いわゆるポリマーフィルターに、高いろ過精度を有するフィルターを用いるのがよい。
ろ過精度としては、10μm(98%カットサイズ)以下と小さくするのが良く、好ましくは、5μm以下とするのがよい。精度を高く(サイズを小さく)し過ぎる(例えば、1μm以下)と、フィッシュアイ(微小異物)の除去率は高くなるが、ポリマーフィルターの入出の樹脂差圧が大きくなり過ぎて、押出成形(キャスト原反作製)の際の生産(樹脂吐出)が不安定となりやすく、実用上、好ましくない。一方、ろ過精度を、10μmより大きくする(精度を低くする)と、フィルターの目が大きくなるため、フィッシュアイ(微小異物)の除去率が悪くなり、本発明の目的とするフィッシュアイ(微小異物)の低減を図ることが出来ず、好ましくない。
ポリマーフィルターの使用ろ材としては、一般に公知のろ材を制限なく利用可能である。そのようなろ材としては、例えば、焼結金属不織布(ファイバー焼結体)や、積層焼結金網、パウダー焼結体などを挙げることができる。
また、フィルタータイプとしては、リーフディスクフィルター、キャンドルフィルター、パックフィルターなどを制限なく利用可能である。
中でも、本発明係るフィッシュアイ(微小異物)を低減したポリプロピレン樹脂の成形には、焼結金属不織布(ファイバー焼結体)を用いたリーフディスクタイプのフィルターが、差圧(圧力損失)も大きくならず、安定した吐出が得られる上、使用寿命も長いので、好ましく採用できる。
前記樹脂の灰分の低減とポリマーフィルターの高ろ過精度化のどちらを用いてもよいが、両方を実施すると、より効果的にフィッシュアイ(微小異物)の低減を図ることができるので好ましい。
フィッシュアイ(微小異物)の個数は、目視あるいは、デジタルマイクロスコープ等の産業用光学顕微鏡により、カウンター等を使用して計測できる。もちろん、精度よく計測できるのであれば、一般に公知の技術を制限なく採用することができる。
フィッシュアイ(微小異物)の大きさを計測する方法についても、一般に公知の技術を制限なく採用できるが、デジタルマイクロスコープ等の産業用光学顕微鏡を用い、画像をコンピューター等により解析する方法や、レーザー光を用いた非接触式表面形状測定機(レーザー顕微鏡)、あるいは、光干渉方式による非接触表面・層断面形状計測機、走査型電子顕微鏡等を用いて計測する方法などが好ましく採用できる。
フィッシュアイ(微小異物)の大きさは、長軸径(最大直径)を計測する。
本発明のフィルムの厚みは5μm以上60μm以下であることが好ましく、より好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは20〜50μmである。フィルムの厚みが5μm未満であると、保護フィルムや剥離材等の用途に適さず好ましくない。また、フィルムの厚みが60μmを超えると、均一に延伸することができず、実用に耐えないフィルムとなる場合がある。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いられるポリプロピレン樹脂は、結晶性のアイソタクチックポリプロピレン樹脂であり、プロピレンの単独重合体である。
本発明のフィルムは、高温核磁気共鳴(NMR)測定によって求められる立体規則性度であるメソペンタッド分率([mmmm])が93%以上であり、さらに好ましくは、93%以上97%以下である分子特性を有することを特徴とするコンデンサー用途に適した二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。
メソペンタッド分率[mmmm]=93%以上であると、高い立体規則性成分により、樹脂の結晶性が向上し、高い熱安定性、機械特性が奏される。アイソタクチックメソペンタッド分率[mmmm]=93%未満であると、熱安定性、機械的耐熱性が劣る傾向にある。一方、メソペンタッド分率[mmmm]が高過ぎると、キャスト原反シート成形の際の固化(結晶化)の速さが早くなり過ぎ、シート成形用の金属ドラムからの剥離が発生し易くなったり、延伸性が低下する。
前記メソペンタッド分率([mmmm])を測定するための高温NMR装置には、特に制限はなく、ポリオレフィン類の立体規則性度が測定可能な一般に市販されている高温型核磁気共鳴(NMR)装置、例えば、日本電子株式会社製、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)、JNM−ECP500が利用可能である。観測核は、13C(125MHz)であり、測定温度は、135℃、溶媒には、オルト−ジクロロベンゼン(ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(混合比=4/1))が用いられる。高温NMRによる方法は、公知の方法、例えば、「日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、新版 高分子分析ハンドブック、紀伊国屋書店、1995年、610頁」に記載の方法により行うことができる。
測定モードは、シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は、9.1μsec(45°パルス)、パルス間隔5.5sec、積算回数4500回、シフト基準は、CH(mmmm)=21.7ppmとされる。
立体規則性度を表すペンタッド分率は、同方向並びの連子「メソ(m)」と異方向の並びの連子「ラセモ(r)」の5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmmやmrrmなど)に由来する各シグナルの強度積分値より百分率で算出される。mmmmやmrrmなどに由来する各シグナルの帰属に関し、例えば、「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」などのスペクトルの記載が参照される。
前記メソペンタッド分率([mmmm])は、ポリプロピレン樹脂の重合条件や触媒の種類、触媒量など、適宜調整することによって、コントロールすることができる。
本発明に係るアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーの230℃におけるメルトフローレートは、1.5g/10min以上6.0g/10min以下である。好ましくは、2.0g/10min以上4.0g/10min以下である。メルトフローレートが1.5g/10minより低い場合、樹脂流動性が著しく低下し、キャスト原反シートの厚さの制御が困難となり、延伸フィルムを幅方向に精度良く作製することができなくなるため、実用上好ましくない。また、メルトフローレートが6.0g/10minより高い場合、押し出し成形性には富むが、出来たシートの力学特性の低下とともに延伸性が著しく低下し、二軸延伸成形ができなくなるという製造上の難点を生じるため、好ましくない。
本発明において使用されるポリプロピレン樹脂中に含まれる重合触媒残渣等に起因する灰分は、微小異物(フィッシュアイ)を低減するためには少ない方が好ましく、200ppm以下が良く、好ましくは、100ppm以下である。200ppm以下とすることにより、微小異物が顕著に低減され、電子部品用途に用いた際の汚染を低減できるため好ましい。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂を単層ダイから押し出し成形し、二軸延伸を施したフィルムであってもよいが、多層ダイを用いて、表層(スキン層:層A)とコア層(層B)からなる、層A/層B/層Aの3層の層構成としても構わない。
3層構成の場合、層Aと層Bの樹脂組成を変えてもよく、例えば、層Bのコア層を層Aのポリプロピレン樹脂に無機物質の微粒子のような核材を添加した(層Aより増量した)樹脂層とすることや、造核等の目的で、層Aのポリプロピレン樹脂に、メルトフローレートが層Aの樹脂と異なる樹脂を造核剤としてブレンドした樹脂層としてもよい。
コア層(層B)に、核材や造核剤等を添加することにより、ポリプロピレンフィルムの熱的安定性、および/あるいは機械的特性を、向上あるいは維持することが可能であり、好ましい。
核材としての無機物質の微粒子としては、タルク、炭酸カルシウム等が使用可能である。また、造核剤としての樹脂成分としては、長鎖分岐ポリマーや超高分子量ポリプロピレン樹脂等が使用できるが、表層Aのポリプロピレン樹脂とメルトフローレートが異なるポリプロピレン樹脂が好ましい。
前記層B(コア層)において、造核等を目的として表層Aの樹脂にブレンドされる異なる樹脂の含有量は1質量%以上30質量%未満である。好ましくは1〜10質量%である。より好ましくは1〜5質量%である。含有量が1質量%未満であると、造核等の所望の効果が得られない。また、含有量が30質量%を超えるとスキン層とコア層が剥がれる層間剥離等が発生する可能性があるため、好ましくない。
一方、層Aは、アイソタクチックポリプロピレン樹脂単体で構成されるスキン層である。層Aに使用されるポリプロピレン樹脂は、微小異物(フィッシュアイ)を低減するために、また、アイソタクチックポリプロピレンが本来有する高い熱・機械的安定性を維持しつつ、本発明に係る所望の表面性を得るため、本発明に係る前出の分子特性を有するアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーであることが好ましい。
多層とする場合の層構成に特に制期限はないが、層構成を層A/層B/層Aの構成の場合、フイルムの熱カール等の問題が無く、平面性に優れたフイルムとなるので好ましい。また、スキン層の厚さ(層A×1/2)は、コア層の厚さに対し、2%〜20%であることが好ましく、より好ましくは2%〜10%である。
本発明フィルムには、ポリプロピレン樹脂およびポリプロピレン樹脂組成物の化学的な安定性を付与する目的で、熱安定剤、酸化防止剤を添加してもよい。具体的には、フェノール系、ヒンダードアミン系、フォスファイト系、ラクトン系、トコフェロール系の熱安定剤や酸化防止剤が例示される。さらに具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株):“Irganox(登録商標)1010”)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシ)ベンゼン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株):“Irganox(登録商標)1330”)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株):“Irgafos(登録商標)168”)が挙げられる。この中で、フェノール系酸化防止剤系から選ばれた少なくとも1種あるいはそれらの組み合わせ、あるいはフェノール系とフォスファイト系との組み合わせ、及び、フェノール系とラクトン系、フェノール系とフォスファイト系とラクトン系の組み合わせが、ポリプロピレン樹脂の化学的な安定性を付与する観点から好ましい。
本発明フィルムには、本発明の目的に反しない範囲で、有機および/あるいは無機のすべり剤、塩素捕獲剤、帯電防止剤を含有させてもよい。すべり剤としては、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等脂肪族アミド、ラウリル酸ジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン、脂肪族モノグリセライド、脂肪族ジグリセライド、シリカ、アルミナ、シリコーン架橋ポリマー等が例示される。塩素捕獲剤としては、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト等が例示される。また、帯電防止剤としては、アルキルメチルジベタイン、アルキルアミンジエタノール及び/又はアルキルアミンエタノールエステル及び/又はアルキルアミンジエタノールジエステル等が例示される。
ポリプロピレン樹脂は公知の方法で得ることができる。製造方法としては、例えばチタン、アルミニウム化合物からなるチーグラー触媒系を用い、炭化水素溶媒中プロピレンを重合する方法、液状プロピレン中で重合する方法(バルク重合)、気相で重合する方法が挙げられる。
ポリプロピレンと添加ポリマー(例えば造核用ポリプロピレン樹脂)からなる層Bの組成物を得るための樹脂を混合する方法としては、特に制限はないが、重合粉あるいはペレットを、ミキサー等を用いてドライブレンドする方法や、ポリプロピレン樹脂と添加ポリマー(例えば造核用ポリプロピレン樹脂)の重合粉あるいはペレットを、混練機に供給し、溶融混練してブレンド樹脂を得る方法などがあるが、いずれでも構わない。
ミキサーや混練機にも特に制限は無く、また、混練機も、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプあるいは、それ以上の多軸スクリュータイプのいずれでもよく、さらに、2軸以上のスクリュータイプの場合、同方向回転、異方向回転のどちらの混練タイプでも構わない。
溶融混練によるブレンドの場合は、良好な混練さえ得られれば、混練温度にも特に制限はないが、一般的には、200℃から300℃の範囲であり、230℃から270℃が好ましい。あまり高い混練温度は、樹脂の劣化を招くので好ましくない。樹脂の混練混合の際の劣化を抑制するため、混練機に窒素などの不活性ガスをパージしても構わない。
溶融混練された樹脂は、一般的に公知の造粒機を用いて、適当な大きさにペレタイズすることによって、混合ポリプロピレン樹脂組成物を得ることができる。
本発明のフィルムを得るための二軸延伸法としては、厚み斑・平面性が良好であるテンター法が好ましい。テンター法でも更に同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法とがあるが、どちらの方法をとってもよい。以下、逐次二軸延伸法により本発明フイルムを得る方法を説明するが、これに限定されるものではない。
前記のように準備された樹脂および/あるいは樹脂と樹脂組成物を230〜270℃で押出機にて溶融して、前述のポリマーフィルターにより微小異物等を除去した後、Tダイよりシート状に溶融押出しする。
層A/層B/層Aのフィルムを得るためには、層A、層Bのそれぞれの樹脂を押出機内にて溶融混練して、前述のポリマーフィルターにより微小異物等を除去した後に樹脂の合流装置を用いて層Aと層Bとからなる3層の樹脂層を構成する。該合流装置としては、樹脂を口金前のポリマー管内で合流する方法、口金の樹脂導入部に設けられた積層ユニットで合流するフィードブロック法、口金内で拡幅後に両樹脂を積層するマニホールド積層法等が例示されるが特に限定されるものではない。マニホールド法が積層厚み精度の点では優れているが経済性も考慮の上で適宜選択することができる。
以上のようにして得られた単層ないしは、層A/層B/層Aからなる積層シートは、30〜90℃にコントロールした少なくとも1個以上の金属ドラム上にエアーナイフにより密着させシート状に成形させ、キャスト原反シートとなる。
延伸は、縦及び横に二軸に配向せしめる二軸延伸がよい。逐次二軸延伸方法としては、まずキャスト原反シートを100〜160℃の温度に保ち、速度差を設けたロール間に通して流れ方向に4〜5倍に延伸し、直ちに室温に冷却する。引き続き、当該延伸フィルムをテンターに導いて160℃以上の温度で幅方向に8〜10倍に延伸した後、緩和、熱固定を施し巻き取る。巻き取られたフィルムは、20〜45℃程度の雰囲気中でエージング処理を施された後、所望の製品幅に断裁することができる。このような延伸工程によって、機械的強度、剛性に優れた延伸フィルムとなる。
こうして得られたフィルムは、フィッシュアイ(微小異物)が少ないうえ、密着性・離型性に非常に優れているので、保護材フィルム、および/あるいは、その非シリコーン系セパレーターフィルムなどとして好適である。
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、もちろん、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。また、特に断らない限り、例中の部及び%はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
また、実施例における特性値の測定方法及び効果の評価方法は以下の通りである。
〔特性値の測定方法ならびに効果の評価方法〕
(1)ポリプロピレン樹脂の230℃におけるメルトフローレート(MFR)
JIS K−7210(1999)により、ポリプロピレン樹脂の230℃におけるMFRを求めた。
(2)アイソタクチックメソペンタッド分率([mmmm])測定
ポリプロピレン樹脂を溶媒に溶解し、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)を用いて、以下の条件で、アイソタクチックメソペンタッド分率([mmmm])を求めた。
測定機:日本電子株式会社製、高温FT−NMR JNM−ECP500
観測核:13C(125MHz)
測定温度:135℃
溶媒:オルト−ジクロロベンゼン〔ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(4/1)〕
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:9.1μsec(45°パルス)
パルス間隔:5.5sec
積算回数:4500回
シフト基準:CH(mmmm)=21.7ppm
5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmmやmrrmなど)に由来する各シグナルの強度積分値より、百分率(%)で算出した。mmmmやmrrmなどに由来する各シグナルの帰属に関し、例えば、「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」などのスペクトルの記載を参考とした。
(3)表面粗さの測定
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの中心線平均粗さ(Ra)、および、最大高さ(Rmax)の測定は、東京精密社製、表面粗さ・輪郭形状測定器 サーフコム 1400D型を用い、JIS−B0601・1982に定められている方法に準拠して求めた。測定回数は3回行い、その平均値を評価に用いた。本評価では、接触法により測定し、測定荷重は750μNにて測定した。
(4)フィッシュアイ(微小異物)の評価
フィッシュアイ(微小異物)の個数は、目視により、カウンターを使用して計測した。大きさは、キーエンス社製、デジタルマイクロスコープVHX− 200/100F型を用い、目視で確認したフィッシュアイに対して、各々について適切な倍率で観察(反射光)し、計測ツールを用いて、フィッシュアイ(微小異物)の長軸径(最大直径)を計測した。
(5)フィルム厚の評価
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚さは、マイクロメーター(JIS−B7502)を用いて、JIS−C2151に準拠して測定した。
(6)機械特性
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの引張強さは、JIS−C2151に準拠して測定した。なお、測定方向は、MD(流れ方向)、およびTD(幅方向)とした。
(7)加熱収縮率
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの加熱収縮率は、JIS−C2151に準拠して測定した。なお、測定方向は、MD(流れ方向)、およびTD(幅方向)とした。
(8)密着性・剥離性評価
二軸延伸ポリプロピレンフィルムに 日東電工(株)製ポリエステル粘着テープNO.31Bをローラーで貼付し、荷重:5g/mm、温度:100℃の条件で30分エージングする。それを25mm幅にカットしてサンプルを作製した。得られたサンプルについて、目視にて密着状態(エアを含んでいないか等)と、手で引き剥がしたときの剥離状態を定性的に評価した。
○:密着状態が良くかつ剥離も軽い
×:密着状態が悪いおよび/あるいは剥離が重い
(9)総合評価
熱安定性、機械特性を維持しつつ、フィッシュアイ(微小異物)の低減、密着性・剥離性の改善が実現できているかを総合的に判断した。
○:向上した
×:従来と変わらないか、劣っていた
〔実施例1〕
ポリプロピレン樹脂として、プライムポリマー社製 樹脂A(MFR=2.8g/10min、[mmmm]=93%、総灰分=25ppm)ペレットを準備した。
上記樹脂ペレットを、三菱重工社製 単軸押出機にホッパーから投入し、ろ過精度が10μmであり、ろ材が焼結金属不織布(ファイバー焼結体)の長瀬産業社製・ディスクフィルターを使用したポリマーフィルターを経由し、230℃にて単層ダイスからシートとして押出したのち、表面温度を60℃に調整した冷却ドラム上でエアナイフを用い空気圧で押しつけながら、冷却固化させて約2000μm厚のキャスト原反シートを得た。
続いて、該シートを金属ロールに接触させながら140℃に加熱後、周速差のあるロール間で曲がれ方向に約4.5倍延伸した。次いで、該一軸延伸フィルムをクリップに挟みながら熱風オーブン中に導入して、160℃に予熱した後に幅方向に約9倍延伸し、引き続き幅方向に5%の弛緩をしながら160℃で熱固定を行い、約50μm厚の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを連続的に得た。得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、端部をトリミングした後、巻き取った。
得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムのフィルム厚さ、表面粗さ、フィッシュアイ評価、引張強さ、加熱収縮率、密着・剥離性を評価した。フィルムと評価結果を表1に示す。
〔実施例2〕
ポリプロピレン樹脂として、プライムポリマー社製 樹脂B(MFR=4.0g/10min、[mmmm]=94%、総灰分=25ppm)ペレットを準備した。
キャスト原反シートの厚さを約400μmに調整した以外は、実施例1と同様にして、厚さ10μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムの評価結果を表1に示す。
〔実施例3〕
スキン層Aのポリプロピレン樹脂として、プライムポリマー社製 樹脂A(MFR=2.8g/10min、[mmmm]=93%、総灰分=25ppm)ペレットを準備した。
また、コア層Bの樹脂として、前記プライムポリマー社製 ポリプロピレン樹脂A(MFR=2.8g/10min、[mmmm]=93%、総灰分=25ppm)ペレットを、添加樹脂として、サンアロマー社製 ポリプロピレン樹脂C(MFR=7.5g/10min、[mmmm]=93%、核剤としてタルク1000ppm配合)を準備した。ポリプロピレン樹脂Aペレットに、添加樹脂Cペレットを3質量%添加し、ドライブレンドを行った。得られたブレンド樹脂の総灰分は、80ppmであった。
次いで、上記混合ペレットを、コア層Bとして三菱重工社製 単軸押出機Iにホッパーから投入し、一方、スキン層Aとして、ポリプロピレン樹脂Aのみを直列に用意された三菱重工社製の押出機IIに導き、ろ過精度が10μmであり、ろ材が焼結金属不織布(ファイバー焼結体)の長瀬産業社製・ディスクフィルターを使用したポリマーフィルターを経由し、230℃にてマルチマニホールドダイから2種3層(層A/層B/層Aの構成)シートとして押出したのち、表面温度を60℃に調整した冷却ドラム上でエアナイフを用い空気圧で押しつけながら、冷却固化させて約1200μm厚のキャスト原反シートを得た。
続いて、該シートを金属ロールに接触させながら140℃に加熱後、周速差のあるロール間で曲がれ方向に約4.5倍延伸した。次いで、該一軸延伸フィルムをクリップに挟みながら熱風オーブン中に導入して、160℃に予熱した後に幅方向に約9倍延伸し、引き続き幅方向に5%の弛緩をしながら160℃で熱固定を行い、約30μm厚の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを連続的に得た。得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、端部をトリミングした後、巻き取った。
得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムの評価結果を表1に示す。
〔比較例1〕
ろ過精度が20μmであり、ろ材が積層焼結金網の長瀬産業社製・ディスクフィルターを使用したポリマーフィルターを用い、キャスト原反シートの厚さを約1200μmに調整した以外は、実施例1と同様にして、厚さ30μmの二軸延伸ポリプロピレンフイルムを得た。
得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムの評価結果を表1に示す。
〔比較例2〕
ポリプロピレン樹脂として、プライムポリマー社製 樹脂D(MFR=5.5g/10min、[mmmm]=97%、総灰分=25ppm)ペレットを準備した。
冷却ドラムの表面温度を80℃に調整し、キャスト原反シートの厚さを約1200μmに調整した以外は、実施例1と同様にして、厚さ30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムの評価結果を表1に示す。
〔比較例3〕
スキン層Aのポリプロピレン樹脂として、プライムポリマー社製 樹脂E(MFR=3.0g/10min、[mmmm]=92%、総灰分=25ppm)ペレットを準備した。
また、コア層Bの樹脂として、前記プライムポリマー社製、ポリプロピレン樹脂E(MFR=3.0g/10min、[mmmm]=92%、総灰分=25ppm)ペレットを、添加樹脂として、前記サンアロマー社製 ポリプロピレン樹脂C(MFR=7.5g/10min、[mmmm]=93%、核剤としてタルク1000ppm配合、)を準備した。ポリプロピレン樹脂Eペレットに、添加樹脂Cペレットを3質量%添加し、ドライブレンドを行った。得られたブレンド樹脂の総灰分は、80ppmであった。
ろ過精度が20μmであり、ろ材が積層焼結金網の長瀬産業社製・ディスクフィルターを使用したポリマーフィルターを用い、冷却ドラムの表面温度を30℃に調整した以外は、実施例3と同様にして、厚さ30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムと評価結果を表1に示す。
Figure 0006249044
実施例1、2および3で明らかな通り、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、本発明が目的とする適切な表面性を有しているので、密着性・剥離性に優れている上、フィッシュアイ(微小異物)が少なく、異物汚染の可能性が低減されており、電子部品、電子基板の製造工程や感光性フィルムの保護フィルムや、非シリコーンタイプの剥離フィルムや剥離ライナー、保護材のセパレーターフィルムとして、極めて好適なものであった。
しかしながら、ろ過精度が低いポリマーフィルターを使用した場合には、フィッシュアイ(微小異物)が低減できず(比較例1)、また、表面粗さが本発明に係る範囲より高い場合には、密着性に劣り実用に耐え得ないものであった(比較例2)。
さらに、その上、従来技術に基づく、ポリプロピレン樹脂のアイソタクチックメソペンタッド分率が低く、表面粗さも低いものの場合には、機械特性、熱安定性に劣る(高い加熱収縮率)上、剥離性能が悪いものであった。その上、ろ過精度が低いポリマーフィルターの使用のため、フィッシュアイ(微小異物)が低減できておらず、実用に耐え得るものではなかった(比較例3)。
図1に、実施例3および比較例1のフィッシュアイ(微小異物)の大きさの分布を示した。本発明にかかる二軸延伸ポリプロピレンフィルムのフィッシュアイ(微小異物)は、数が少なくなっているばかりではなく、大きさも小さくなっており、電子部品、電子基板の製造工程や感光性フィルムの保護フィルムや、非シリコーンタイプの剥離フィルムや剥離ライナー、保護材のセパレーターフィルムとして、好ましいことが分かる。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、剥離性に優れている上、貼り合せた際の異物汚染やボイド、エアーボイドが低減されているので、電子部品、電子基板の製造工程、繊維強化プラスチック等の熱硬化性樹脂部材の製造工程、感光性フィルムの製造工程等に使用される保護フィルムや離型材料、さらに詳しくは、剥離フィルムや剥離ライナー、材料製造時のキャリアーや、保護材、および/あるいは、その非シリコーン系セパレーターフィルムなどに利用可能である。

Claims (2)

  1. メルトフローレートが1.5g/10min以上6.0g/10min以下のポリプロピレン樹脂から形成された、少なくとも一方の面の表面粗さが、
    (a)中心線粗さ(Ra)で0.03〜0.10μm、
    (b)最大高さ(Rmax)で0.3μm〜1.0μm、
    であって、大きさ(長径)が50μm以上のフィッシュアイの数が100個/m以下であり
    厚さが20μm以上50μm以下である二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法であって、以下の工程1及び2:
    前記ポリプロピレン樹脂を含むポリプロピレン樹脂組成物を溶融する工程1、及び
    前記工程1で得られた溶融したポリプロピレン樹脂組成物を、ろ過精度が10μm以下のポリマーフィルターに通す工程2であり、前記ポリマーフィルターがリーフディスクフィルター、キャンドルフィルター、又はパックフィルターである、工程2、
    を順に含む
    ことを特徴とする、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法。
  2. 前記ポリマーフィルターのろ材が焼結金属不織布、積層焼結金網及びパウダー焼結体か
    らなる群から選ばれた少なくとも一種である、請求項1に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法。
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