JP6248168B1 - 既設管を活用した排水配管 - Google Patents

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Abstract

【課題】異種金属接触腐食の防止により、延命が達成される既設管を活用した排水配管の提供付箋を提供する。【解決手段】ステンレス製スリーブ2の上端フランジ部20と、鋳鉄製可撓継手4の下向き受け口40の奥端に設けた突き合わせ面41と、の間に、環状の第1絶縁パッキン50を介装して、フランジ部20の上面と突き合わせ面41との接触を避けることで、異種金属接触腐食による鋳鉄製可撓継手4の損傷を防止する。また、フランジ部20の外周を被覆する環状の第2絶縁パッキン51を設けて、フランジ部20の外周面と下向き受け口40の内周面との接触を避けることで、異種金属接触腐食による鋳鉄製可撓継手4の損傷を防止する。さらに、締結機構45に異種金属間を絶縁する第3絶縁パッキン53を介装して、異種金属接触腐食による締結機構45および鋳鉄製可撓継手4の損傷を防止する。【選択図】図1

Description

本発明は既設管を活用した排水配管に係り、特に、異種金属接触腐食の防止を可能にした既設管を活用した排水配管に関する。
多層集合住宅(高層住宅)では、既設排水配管が屋上から各階の居住区を縦貫して、例えば、地上の排水溝にまで延びている。この既設排水配管の経年劣化に伴ってなされる更新に際して、工期を短縮し、施工費を低く抑えるために、既設排水配管から残した鋼管の切断残存部を再利用してなる既設管を活用した排水配管が提供されている(例えば、特許文献1参照)。この排水配管を図4〜図8に示す。
図4は既設排水配管の基本構造を示す説明図であり、この図において、各階の居住区を縦貫し、かつ、スラブSを貫通している既設排水配管100を、破線bl1,bl2で示した箇所で切断して、破線bl2より上側の鋼管101と既設継手102および破線bl1より下側の鋼管101と既設継手102とを撤去して、上端部をスラブS上側の居住区に臨ませ、下端部をスラブS下側の居住区に臨ませた既設鋼管の切断残存部材からなる短管1を確保する。なお、短管1の管壁内面に付着している水垢その他の異物は管内清掃により除去する。
図5に示すステンレス製で円筒状のスリーブ2は、第1の環状隙間3(図6参照)を有して短管1に上側から挿通される。このスリーブ2は、その上端部に短管1の外径と略等径に拡径されたフランジ部20が備わっており、このフランジ部20の直下に連続して、はめあいで短管1に挿入されるストレート部21と、ストレート部21の直下に連続する上向き拡径のテーパからなるガイド部22およびガイド部22の直下に連続し、かつ、短管1の内面とで前記第1の環状隙間3を形成する長寸の主部23とを有し、フランジ部20が合成ゴム製で環状の保持パッキン24を介して短管1の上端に懸垂保持されるとともに、主部23の下端部とその上側近傍が短管1よりも下方に延出部23aとして突出している。
各短管1の上側では、図6に示すように、スリーブ2のフランジ部20および環状の保持パッキン24を含む短管1の上端部が、鋳鉄製可撓継手4の下向き受け口40に第2の環状隙間5を有して挿入され、かつ、下向き受け口40の奥端に設けた突き合わせ面41にスリーブ2のフランジ部20上面を当接させた状態で各短管1に可撓継手4が接続されている。
各短管1の下側では、図7に示すように、前記鋳鉄製可撓継手4と同じ鋳鉄製可撓継手4Aが用いられ、短管1の下端部が可撓継手4Aの上向き受け口40Aに第3の環状隙間5Aを有して挿入され、かつ、上向き受け口40Aの奥端に設けた突き合わせ面41Aに短管1の下端を当接させて、各短管1に可撓継手4Aが接続されている。
図8のように、各短管1の上側では、可撓継手4の上向き受け口40A(図6参照)に、新設の立管7の下端部が挿入接続されているとともに、各短管1の下側では、可撓継手4Aの下向き受け口40(図7参照)に、新設の立管7の上端部が挿入接続される。すなわち、各階の居住区内でスリーブ2,2が挿入された天井側の短管1と床側の短管1とを可撓継手4,4Aを介して新設の立管7に接続することにより、各スリーブ2,2が連通接続されて、既設管を活用した排水配管10が構成される。なお、この排水配管10に、浴場や洗面所などの排水源からの排水を導く配水管の図示は省略する。
ところが、既設管を活用した排水配管10では、図6に示すように、ステンレス製スリーブ2上端のフランジ部20の上面が鋳鉄製可撓継手4における下向き受け口40の奥端に設けた突き合わせ面41に当接しているので、異種金属接触腐食により鋳鉄製可撓継手4が損傷する。また、地震や経年劣化などによりスリーブ2を含む短管1の軸線と可撓継手4の軸線とに微小な相対偏心が生じたり、撓みにより前記各軸線に相対傾斜が生じると、スリーブ2上端のフランジ部20の外周面が鋳鉄製可撓継手4の下向き受け口40の内面に接触し、異種金属接触腐食により鋳鉄製可撓継手4が損傷する。さらに、既設管を活用した排水配管10内を流下する排水(汚水)が、図7に示す第4の環状隙間3Aと第1の環状隙間3を通って、はめあい構造を呈している短管1の内周とスリーブ2におけるストレート部21外周の間に達すると、短管1とストレート部21とが電解質中 (排水中)で接触することとなり、異種金属接触腐食が促進されて短管1の上端部が損傷する。
一方、従来より周知の既設管を活用した排水配管として、図9〜図12に示す既設管を活用した排水配管10が存在する。この排水配管10の説明を、前記特許文献1の既設管を活用した排水配管10と同一または相当部分に、同一符号を付して行う。
図9に示す既設管を活用した排水配管10は、住宅の居住区を各階毎に仕切る各スラブSを貫通し上下両端部を各スラブSの近くに位置決めして設けた既設鋼管の切断残存部材からなる短管1と、図10,図11に示すように、短管1の外径と略等径に拡径されて上端部に備わるフランジ部20が、外径を短管1およびフランジ部20よりも少し小さくした合成ゴム製で環状の保持パッキン24を介して各短管1の上端に懸垂保持され、かつ、第1の環状隙間3を有して各短管1に上側から挿通されるとともに、各短管1の下方に延出部23aを延在させてなるステンレス製のスリーブ2と、を有している。このスリーブ2は、前記特許文献1のスリーブ2と同様に、フランジ部20の直下に連続して、はめあい構造で短管1に挿入されるストレート部21と、ストレート部21の直下に連続する上向き拡径のテーパからなるガイド部22およびガイド部22の直下に連続し、かつ、短管1の内面とで第1の環状隙間3を形成する長寸の主部23とを有している。
各短管1の上側では、スリーブ2のフランジ部20および環状の保持パッキン24を含む短管1の上端部が、鋳鉄製可撓継手4の下向き受け口40に第2の環状隙間5を有して挿入され、かつ、この下向き受け口40の奥端に設けた突き合わせ面41にスリーブ2のフランジ部20の上面を当接させて各短管1に可撓継手4が接続されている。この接続状態は、短管1の上端部近傍に外嵌されている合成ゴム製で環状のロックパッキン6を、可撓継手4側に設けた締結機構45の締結により弾性変形させて短管1の外周に強く圧接させることで保持される。
詳しくは、前記締結機構45が、下向き受け口40の下端部で径外方向に張り出す下側フランジ部42と、軸方向の移動を自在に短管1に外嵌されて下側フランジ部42に下側で互いに対向するルーズフランジ43およびこれら下側フランジ部42とルーズフランジ43の双方を連繋する鋼製またはステンレス製のボルト・ナットからなる締め付け部材44とで構成されている。よって、締め付け部材44の締結によりロックパッキン6を軸方向に圧縮して、その内周を短管1の外周に強く弾性圧接させることで、下向き受け口40と短管1との軸方向の相対移動を不能とし、かつ、スリーブ2を含む短管1の軸線と可撓継手4の軸線との微小な相対偏心や微小な相対傾斜を許容し得る状態で、各短管1の上端部に可撓継手4が接続される。
各短管1の下側では、図10,図12に示すように、新設立管7の上端部は、第4の環状隙間3Aを有してスリーブ2の延出部23aを挿入しており、短管1の下端と立管7の上端とが互いの近接対向状態で鋳鉄製ユニオン継手9に挿入接続されている。これにより、第1の環状隙間3と第4の環状隙間3Aは互いに連通する。新設立管7は、内面に樹脂ライニング層7aを形成した鋼管7bとからなる。なお、短管1の外径と新設立管7の外径は等しく設定され、新設立管7の肉厚は短管1の肉厚よりもごく僅かに大きく設定されている。
各短管1の上側では、新設立管7の下端部は図10に示すように、可撓継手4の上向き受け口40Aに第3の環状隙間5Aを有して挿入され、かつ、上向き受け口40Aの奥端に設けた突き合わせ面41Aに立管7の下端を当接させて、各立管7に可撓継手4が接続されている。この接続状態は、立管7の下端部近傍に外嵌されている合成ゴム製で環状のロックパッキン6を、可撓継手4側に設けた締結機構45Aの締結により弾性変形させて立管7の外周に強く圧接させることで保持される。締結機構45Aは、上向き受け口40Aの上端部で径外方向に張り出す上側フランジ部42Aと、軸方向の移動を自在に立管7に外嵌されて上側フランジ部42Aに上側で互いに対向するルーズフランジ43Aおよびこれら上側フランジ部42Aルーズフランジ43Aの双方を連繋する鋼製またはステンレス製のボルト・ナットからなる締め付け部材44Aとで構成されている。よって、締め付け部材44Aの締結によりロックパッキン6を軸方向に圧縮して、その内周を立管7の外周に強く弾性圧接させることで、上向き受け口40Aと立管7との軸方向の相対移動を不能とし、かつ、立管7の軸線と可撓継手4の軸線との微小な相対偏心や微小な相対傾斜を許容し得る状態で、各立管7の上端部に可撓継手4が接続される。
図10,図12に示すように、鋳鉄製ユニオン継手9は、円筒状本体部90と、この円筒状本体部90の上下両端部(軸方向の両端部)外周側に設けた締結機構92,93と、締結機構92,93の締結により弾性変形して縮径し、かつ、締結機構92,93の締結解除により自然状態に弾性復帰して拡径する合成ゴム製で環状のロックパッキン94,95と、を備えている。
円筒状本体部90は、短管1および立管7の外径よりも僅かに大きい一様な内径で上下に貫通する差込み通路91を備え、締結機構92は、円筒状本体部90の上端部で径外方向に張り出す上側フランジ部92aと、上側フランジ部92aの上側で互いに対向するルーズフランジ92bおよびこれら上側フランジ部92aとルーズフランジ92bの双方を連繋する鋼製またはステンレス製のボルト・ナットからなる締め付け部材92cとで構成されており、締結機構93は、円筒状本体部90の下端部で径外方向に張り出す下側フランジ部93aと、下側フランジ部93aの下側で互いに対向するルーズフランジ93bおよびこれら下側フランジ部93aとルーズフランジ93bの双方を連繋する鋼製またはステンレス製のボルト・ナットからなる締め付け部材93cとで構成されている。
環状のロックパッキン94は、円筒状本体部90における差込み通路91の上端開口部に形成した上向き拡径のテーパ面と、ルーズフランジ92bの下面との間に介装された状態で短管1に外嵌され、環状のロックパッキン95は、円筒状本体部90における差込み通路91の下端開口部に形成した下向き拡径のテーパ面と、ルーズフランジ93bの下面との間に介装された状態で立管7に外嵌されており、ロックパッキン94,95の内径は、締結機構92,93の締結解除時における自然状態で短管1および立管7の外周面に緩接触して軸方向の進退を可能にする大きさに設定されている。
したがって、各階の居住区内では、まず、ユニオン継手9の差込み通路91に短管1の下端部および立管7の上端部をそれぞれ挿入して、短管1の下端と立管7の上端とを互いに近接対向させる。
ここで、締結機構92における締め付け部材92cの締結によりロックパッキン94を軸方向に圧縮して、その内周を短管1の外周に強く弾性圧接させることで、ユニオン継手9と短管1との軸方向の相対移動を不能とし、かつ、短管1の軸線とユニオン継手9の軸線との微小な相対偏心や微小な相対傾斜を許容し得る状態で、各短管1の下端部にユニオン継手9を接続する。同時に、締結機構93における締め付け部材93cの締結によりロックパッキン95を軸方向に圧縮して、その内周を立管7の外周に強く弾性圧接させることで、ユニオン継手9と立管7との軸方向の相対移動を不能とし、かつ、立管7の軸線とユニオン継手9の軸線との微小な相対偏心や微小な相対傾斜を許容し得る状態で、各立管7の上端部にユニオン継手9を接続する。
一方、可撓継手4の締め付け部材44Aをねじ戻し除去するとともに、ルーズフランジ43Aおよびロックパッキン6を立管7の下端部近傍にそれぞれ外嵌した状態で、当該可撓継手4の上向き受け口40Aを開放しておく、この状態で、立管7を適宜弾性撓曲させながら下端部を可撓継手4の上向き受け口40Aに挿入して、その下端を突き合わせ面41Aに当接させる。ついで、ロックパッキン6およびルーズフランジ43Aを下降し、かつ、締め付け部材44Aを組み付けて締結機構45Aを復活させ、締め付け部材44Aを締結することにより、図9に示す既設管を活用した排水配管10が構成される。また、各階の居住区内では、可撓継手4に設けた排水流入ポート46に、浴場や洗面所などの排水源(図示省略)からの排水を導く配水管Pの下流端部が接続される。
ところが、この既設管を活用した排水配管10でも、図11に示すように、ステンレス製スリーブ2上端のフランジ部20の上面が鋳鉄製可撓継手4における下向き受け口40の奥端に設けた突き合わせ面41に当接しているので、異種金属接触腐食により鋳鉄製可撓継手4が損傷する。また、地震や経年劣化などによりスリーブ2を含む短管1の軸線と可撓継手4の軸線とに微小な相対偏心が生じたり、撓みにより前記各軸線に相対傾斜が生じると、スリーブ2上端のフランジ部20の外周面が鋳鉄製可撓継手4の下向き受け口40の内面に接触し、異種金属接触腐食により鋳鉄製可撓継手4が損傷する。さらに、排水配管10内を流下する排水(汚水)が、図12に示す第4の環状隙間3Aと第1の環状隙間3を通って、図11に示すはめあい構造を呈している短管1の内周とスリーブ2におけるストレート部21外周の間に達すると、短管1とストレート部21とが電解質中(排水中)で接触することとなり、異種金属接触腐食が促進されて短管1の上端部が損傷する。
さらに、図11におけるルーズフランジ43の内周面と短管1の外周面との間には、ルーズフランジ43本来の軸方向進退の自在性を許容する第5の環状隙間5Bが形成されている。しかし、地震や経年劣化などにより短管1の軸線と可撓継手4の軸線とに微小な相対偏心が生じたり、撓みにより前記各軸線に相対傾斜が生じると、短管1の外周面がルーズフランジ43の内面に接触する。これにより、電解質(排水)→可撓性継手4→下向き受け口40→下側フランジ部42→締め付け部材44→ルーズフランジ43→短管1→スリーブ2→電解質(排水)の経路であって、締結機構45を経路に含む電気的閉回路が形成され、電流は可撓性継手4からスリーブ2に流れ、電子は可撓性継手4→下向き受け口40→下側フランジ部42→締め付け部材44→ルーズフランジ43→短管1→スリーブ2の順路で流れる。その結果、可撓性継手4はイオン化され、電解質(排水)中に溶解して腐食が促進される状態が起こる。つまり、スリーブ2と可撓性継手4との間で異種金属接触腐食が発生する。
特許第3677481号公報
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたもので、異種金属接触腐食の防止により、延命を達成する既設管を活用した排水配管の提供を目的としている。
前記目的を達成するために、本発明に係る既設管を活用した排水配管は、住宅の居住区を各階毎に仕切る各スラブを貫通して、上下両端部を各スラブの近くに位置決めして設けた既設鋼管の切断残存部からなる短管と、第1の環状隙間を有して各短管に上側から挿通されるとともに、上端部に備わるフランジ部が環状の保持パッキンを介して前記各短管の上端に懸垂保持されるステンレス製のスリーブと、を有し、
各短管の上側では、スリーブのフランジ部および環状の保持パッキンを含む短管の上端部がスリーブと異種の金属からなる可撓継手の下向き受け口に第2の環状隙間を有して挿入され、かつ、この下向き受け口の奥端に設けた突き合わせ面にフランジ部を当接させて締結機構により各短管に可撓継手が締結接続されており、
各短管の下側では、短管の下端と新設立管の上端とが互いの対向状態でユニオン継手に挿入接続されていて、
前記立管の下端部は、前記可撓継手の上向き受け口に挿入接続されてなる既設管を活用した排水配管において、
前記スリーブのフランジ部と、前記可撓継手の下向き受け口の奥端に設けた突き合わせ面と、の間に、異種金属間を絶縁する環状の第1絶縁パッキンが介装されていることを特徴としている。
前記構成の既設管を活用した排水配管によれば、環状の第1絶縁パッキンにより、ステンレス製スリーブにおける上端フランジ部の上面と、鋳鉄製可撓継手における下向き受け口奥端の突き合わせ面との接触が避けられるので、異種金属接触腐食による鋳鉄製可撓継手の損傷を防止して、既設管を活用した排水配管の延命を達成することが可能となる。
本発明に係る既設管を活用した排水配管は、前記スリーブのフランジ部の外周を被覆する環状の第2絶縁パッキンが備わっている。これによると、地震や経年劣化などによりスリーブを含む短管の軸線と鋳鉄製可撓継手の軸線とに微小な相対偏心が生じたり、撓みにより前記各軸線に相対傾斜が生じたとしても、環状の第2絶縁パッキンにより、ステンレス製スリーブにおける上端フランジ部の外周面と、鋳鉄製可撓継手における下向き受け口の内面との接触が避けられるので、異種金属接触腐食による鋳鉄製可撓継手の損傷を防止して、既設管を活用した排水配管の延命達成に寄与することが可能となる。
本発明に係る既設管を活用した排水配管は、締結機構に異種金属間を絶縁する第3絶縁パッキンが介装されている。これによると、締結機構を経路に含む電気的閉回路の形成が妨げられるので、電解質(排水)中でのステンレス製のスリーブと鋳鉄製可撓継手との異種金属接触腐食による鋳鉄製可撓継手の損傷を防止して、既設管を活用した排水配管の延命達成に寄与することが可能となる。
本発明に係る既設管を活用した排水配管は、締結機構と前記短管との間に異種金属間を絶縁する環状の第4絶縁パッキンが介装されている。これによっても、締結機構を経路に含む電気的閉回路の形成が妨げられるので、電解質(排水)中でのステンレス製のスリーブと鋳鉄製可撓継手との異種金属接触腐食による鋳鉄製可撓継手の損傷を防止して、既設管を活用した排水配管の延命達成に寄与することが可能となる。
本発明に係る既設管を活用した排水配管は、前記第1の環状隙間への排水の侵入を遮断する環状の遮断パッキンが前記ユニオン継手内で立管の上端と短管の下端とで挟着保持されている。これによれば、当該排水配管内を流下する排水(汚水)が第1の環状隙間に侵入するのを防止できる。よって、スリーブと短管とのはめあい部位の電解質中(排水中)での接触が避けられ、異種金属接触腐食による短管の損傷を防止して、既設管を活用した排水配管の延命達成に寄与することが可能となる。
本発明の既設管を活用した排水配管によれば、異種金属接触腐食を防止して、延命を達成することが可能となる。
本発明に係る既設管を活用した排水配管の一実施形態における主要部の縦断面図である。 第1絶縁パッキン、第2絶縁パッキン、第3絶縁パッキンおよび第3絶縁パッキンの介装構造の一実施形態を拡大して部分的に示す縦断面図である。 遮断パッキンとその介装構造の一実施形態を拡大して部分的に示す縦断面図である。 既設排水配管撤去の説明図である。 既設管として残存している短管にスリーブを挿通した状態の説明図である。 第1従来例における可撓継手とスリーブのフランジ部を含む短管の上端部および立管下端部との接続構造を示す拡大断面図である。 第1従来例における可撓継手と短管の下端部および立管上端部との接続構造を示す拡大断面図である。 第1従来例の既設管を活用した排水配管の説明図である。 第2従来例の既設管を活用した排水配管の説明図である。 第2従来例における主要部の縦断面図である。 第2従来例における図2相当部分の縦断面図である。 第2従来例における図3相当部分の縦断面図である。
以下、本発明に係る既設管を活用した排水配管の好ましい実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る既設管を活用した排水配管の一実施形態における主要部の縦断面図、図2は第1絶縁パッキン、第2絶縁パッキン、第3絶縁パッキンおよび第4絶縁パッキンの介装構造の一実施形態を拡大して部分的に示す縦断面図、図3は遮断パッキンとその介装構造の一実施形態を拡大して部分的に示す縦断面図である。
なお、前記図10〜図12で説明した第2従来例と同一部分には、同一符号を付して重複する構造および作用の説明は省略する。
図1および図2に示すように、本発明に係る既設管を活用した排水配管10は、ステンレス製スリーブ2のフランジ部20の上面と、鋳鉄製可撓継手4における下向き受け口40の奥端に設けた突き合わせ面41と、の間に、異種金属間を絶縁する合成ゴム製で環状の第1絶縁パッキン50が介装されているとともに、フランジ部20の外周と、環状の保持パッキン24の外周および短管1の上端部外周を被覆する合成ゴム製で環状の第2絶縁パッキン51が、第2の環状隙間5に垂下延在した形態で備わっている。
本実施形態では、第1絶縁パッキン50と第2絶縁パッキン51とを一体成形した構造のものが使用されている。詳しくは、第1絶縁パッキン50は略角形断面の環状体からなり、その上面が突き合わせ面41に弾接し、かつ、下面がステンレス製スリーブ2におけるフランジ部20の上面に弾接しており、第2絶縁パッキン51は、第1絶縁パッキン50の外周縁部に下向きに連設されて第2の環状隙間5に垂下延在するスカート状のものからなり、その上端部でフランジ部20の外周を被覆し、上端部より下側の部位で環状の保持パッキン24の外周と、短管1の上端部およびその近傍とを被覆している。
前記構成の既設管を活用した排水配管10によれば、環状の第1絶縁パッキン50により、ステンレス製スリーブ2における上端フランジ部20の上面と、鋳鉄製可撓継手4における下向き受け口40奥端の突き合わせ面41との接触が避けられるので、異種金属接触腐食による鋳鉄製可撓継手4の損傷を防止して、既設管を活用した排水配管10の延命を達成することが可能となる。
また、地震や経年劣化などによりスリーブ2を含む短管1の軸線と鋳鉄製可撓継手4の軸線とに微小な相対偏心が生じたり、撓みにより前記各軸線に相対傾斜が生じても、環状の第2絶縁パッキン51により、少なくともステンレス製スリーブ2における上端フランジ部20の外周面と、鋳鉄製可撓継手4における下向き受け口40の内面との接触が避けられるので、異種金属接触腐食による鋳鉄製可撓継手4の損傷を防止して、既設管を活用した排水配管10の延命達成に寄与することが可能となる。
一方、本発明に係る既設管を活用した排水配管10は、締結機構45に異種金属間を絶縁する第3絶縁パッキン53が介装されている。本実施形態における第3絶縁パッキン53は、合成樹脂製の上側スリーブ53Aと下側スリーブ53Bとからなる。上側スリーブ53Aは、上向きに開口した大径部53a1と、大径部53a1の下側に連設されて鉛直下向きにのびる小径筒部53a2とを備え、下側スリーブ53Bは、フランジ部53b1と、フランジ部53b1上側に連設されて鉛直上向きにのびる小径筒部53b2とを備える。よって、まず、上側スリーブ53Aの小径筒部53a2を下側フランジ部42のボルト挿通孔に上側から挿通して、大径部53a1を下側フランジ部42の上面に着座させ、ついで、下側スリーブ53Bの小径筒部53b2をルーズフランジ43のボルト挿通孔に下側から挿通して、フランジ部53b1をルーズフランジ43の下面に着座させたのち、鋼製またはステンレス製のボルト、ナットからなる締め付け部材44により締め付ける。
このようにすると、地震や経年劣化などにより短管1の軸線と鋳鉄製可撓継手4の軸線とに微小な相対偏心が生じたり、撓みにより前記各軸線に相対傾斜が生じることで、短管1の外周面の一部がルーズフランジ43の径内面に接触したとしても、第3絶縁パッキン53の絶縁作用により、前述した締結機構45を経路に含む電気的閉回路の形成が妨げられるので、電解質(排水)中でのステンレス製のスリーブ2と鋳鉄製可撓継手4との異種金属接触腐食による鋳鉄製可撓継手4の損傷を防止して、既設管を活用した排水配管10の延命達成に寄与することが可能となる。
本発明に係る既設管を活用した排水配管10は、第5の環状隙間5Bに合成ゴム製で環状の第4絶縁パッキン54を介装しても、短管1の外周面の一部とルーズフランジ43の径内面との接触が避けられて、前述した締結機構45を経路に含む電気的閉回路の形成が妨げられるので、電解質(排水)中でのステンレス製のスリーブ2と鋳鉄製可撓継手4との異種金属接触腐食による鋳鉄製可撓継手4の損傷を防止して、既設管を活用した排水配管10の延命達成に寄与することが可能となる。
図3に示すように、合成ゴム製で環状の遮断パッキン52がユニオン継手9内で立管7の上端と短管1の下端とで挟着保持されている。環状の遮断パッキン52は、下向き凹状断面の環状被嵌部52aと、この環状被嵌部52aの内周壁に連設されて径内方向へ下向きに延びる環状舌片52bとを備え、環状被嵌部52aが立管7の上端部に被嵌された状態で環状舌片52bの内周縁部がスリーブ2における主部23の外周に弾接して、第1の環状隙間3と第4の環状隙間3Aとの連通を遮断している。
これによると、既設管を活用した排水配管10内を流下する排水(汚水)が第4の環状隙間3Aを通って第1の環状隙間3に侵入するのを防止できる。これにより、図2に示すスリーブ2におけるストレート部21と短管1とのはめあい部位の電解質中(排水中)での接触が避けられ、異種金属接触腐食による短管1の損傷を防止して、既設管を活用した排水配管10の延命達成に寄与することが可能となる。また、予め、スリーブ2におけるストレート部21の外周に樹脂テープ(図示省略)を巻回した状態のはめあいで短管1に挿入しておけば、ストレート部21と短管1との接触が避けられるので、異種金属接触腐食の防止効果をより一層高めることができる。
なお、前記実施形態では、第1絶縁パッキン50と第2絶縁パッキン51とを一体成形した事例で説明しているが、第1絶縁パッキン50と第2絶縁パッキン51とを各別に成形してもよい。
本発明に係る既設管を活用した排水配管10は、前記実施形態のみに限定されるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲であれば、構造変形が可能である。
本発明の既設管を活用した排水配管は、多層集合住宅(高層住宅)の既設排水配管の経年劣化に伴う更新に際して、工期を短縮し、費用を低く抑えて排水配管を施工するのに有用である。
1 短管
2 スリーブ
20 フランジ部
21 ストレート部
23a 延出部
24 環状の保持パッキン
3 第1の環状隙間
4 可撓継手
40 下向き受け口
40A 上向き受け口
41 突き合わせ面
5 第2の環状隙間
7 立管(新設の立管)
9 ユニオン継手
10 既設管を活用した排水配管
50 環状の第1絶縁パッキン
51 環状の第2絶縁パッキン
52 環状の遮断パッキン
53 第3絶縁パッキン
54 環状第4絶縁パッキン

Claims (5)

  1. 住宅の居住区を各階毎に仕切る各スラブを貫通して、上下両端部を各スラブの近くに位置決めして設けた既設鋼管の切断残存部からなる短管と、第1の環状隙間を有して各短管に上側から挿通されるとともに、上端部に備わるフランジ部が環状の保持パッキンを介して前記各短管の上端に懸垂保持されるステンレス製のスリーブと、を有し、
    各短管の上側では、スリーブのフランジ部および環状の保持パッキンを含む短管の上端部がスリーブと異種の金属からなる可撓継手の下向き受け口に第2の環状隙間を有して挿入され、かつ、この下向き受け口の奥端に設けた突き合わせ面にフランジ部を当接させて締結機構により各短管に可撓継手が締結接続されており、
    各短管の下側では、短管の下端と新設立管の上端とが互いの対向状態でユニオン継手に挿入接続されていて、
    前記立管の下端部は、前記可撓継手の上向き受け口に挿入接続されてなる既設管を活用した排水配管において、
    前記スリーブのフランジ部と、前記可撓継手の下向き受け口の奥端に設けた突き合わせ面と、の間に、異種金属間を絶縁する環状の第1絶縁パッキンが介装されていることを特徴とする既設管を活用した排水配管。
  2. 請求項1に記載した既設管を活用した排水配管において、
    前記スリーブのフランジ部の外周を被覆する環状の第2絶縁パッキンが備わっている既設管を活用した排水配管。
  3. 請求項1または請求項2に記載した既設管を活用した排水配管において、
    前記締結機構に異種金属間を絶縁する第3絶縁パッキンが介装されている既設管を活用した排水配管。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載した既設管を活用した排水配管において、
    前記締結機構と前記短管との間に異種金属間を絶縁する環状の第4絶縁パッキンが介装されている既設管を活用した排水配管。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載した既設管を活用した排水配管において、
    前記第1の環状隙間への排水の侵入を遮断する環状の遮断パッキンが前記ユニオン継手内で立管の上端と短管の下端とで挟着保持されている既設管を活用した排水配管。
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