JP6247057B2 - 柱脚部固定構造 - Google Patents
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Description
柱は、建築物の重量及び荷重を支持するものであるが、地震時、強風時等においては引き抜こうとする方向の力つまり上揚力が作用することがある。特に隣り合う柱間に筋交い又は構造用面材を固定した耐力壁を構成する柱では、柱に大きな上揚力が作用することがある。このため、柱にはいわゆるホールダウン部材を取り付けて、柱が引き抜かれるように上方へ変位するのを抑止する構造が採用される。
図1は、木造建築物に設けられた耐力壁の部分を示す側面図及び断面図であり、この耐力壁を構成する2つの柱に本発明の一実施形態である柱脚部固定構造が適用されている。
この耐力壁は、コンクリートの基礎1上に壁面の方向に沿って配置された土台2と、この土台の上に立設された2つのの柱3a,3bと、この柱3の上に支持された横架材4と、2つの柱3a,3b間に水平方向に架け渡された複数の胴つなぎ材5と、2つの柱3a,3bと土台2と横架材4とで囲まれた範囲の全域に壁面を形成するように取り付けられた合板6とによって主要部が構成されている。そして、上記柱3a,3bの脚部がホールダウン部材9によって基礎と連結されている。
なお、上記基礎1は、耐力壁の壁面に沿った向に連続するように立ち上げられた壁状部を有する布基礎となっている。
図2は、上記柱の脚部固定構造を示す側面図であり、図3は断面図である。また、図4及び図5は、この柱脚部固定構造の分解斜視図である。
この柱脚部固定構造は、鋼板材によって形成されて柱3の側面に固定される2つの柱接合部21,22と、鋼からなる板状の部材であって上記柱3の立設位置における土台2の下側に水平方向に配置される連結部材23と、この連結部材23に係止され、下部がコンクリートの基礎1に埋め込まれているアンカーボルト24とで主要部が構成されている。
また、土台2の柱3が立設される位置には、ほぞ穴2bが設けられ、その周辺部には柱支持部材を挿入することができる鉛直方向の貫通孔2cが設けられている。
この柱支持板11のほぼ中央部には矩形の開口11aが設けられており、柱の下端面から突き出すように設けられた「ほぞ」3cが挿通され、この「ほぞ」3cが土台2に設けられたほぞ穴2bに嵌め入れられる。
水平力によって横架材4と土台2との間に水平方向の相対的な変位が生じ、柱2は傾斜して横架材4又は土台2との角度が変化しようとする。これらの水平方向の変位及び角度変化が、2つの柱3a,3bと横架材4と土台2とで形成される枠体に取り付けられた面材である合板6によって拘束され、これにともなって柱3の一方には上方へ引き抜こうとする力が作用する。そして、他方の柱には土台2及び基礎1に強く押し付けるように鉛直下方への力が作用する。また、基礎1と土台2との間及び土台2と柱3との間には水平方向に位置のずれを生じさせようとするせん断力が生じる。
図6はこの柱脚部固定構造を示す側面図であり、図7は同じ柱脚部固定構造の断面図である。また、図8は概略斜視図である。
この構造では、ホールダウン部材の柱接合部31が、柱3の2つの側面にそれぞれ取り付けられた取り付け金具32と、これらの取り付け金具32に係止された連結ボルト33とを有するものとなっている。また、連結ボルト33の下端部を互いに連結する下端連結部は、基礎の上部に埋め込まれた鋼からなる連結部材34によって構成されている。そして、この連結部材34がアンカーボルト35によって基礎1に固定される。
連結ボルト33は両端部に雄ねじが形成されたものであり、上端部に設けられた雄ねじにはナット37が螺合され、このナット37が取り付け金具32の係止部32bに係止される。連結ボルト33の下端部に形成された雄ねじは、連結部材34に設けられたボルト穴にねじ込んで連結されるものとなっている。
なお、壁面を形成する内装材39又は外装材40は、上記取り付け金具32及び連結ボルト33を覆うように設けることができる。
また、基礎1は壁面と直角方向の寸法が、図8に示すように土台2の幅より大きく設定され、連結部材34の壁面と直角方向の寸法とほぼ同じとなっているが、連結部材34の寸法より大きいもの又は小さいものであってもよい。
柱支持部材38は、鋼からなる棒状部38aとその下端に水平方向に取り付けられた鋼板38bとを有するものであり、土台2に設けられた貫通孔に下側から棒状部38aが挿入されている。鋼板38bは土台2の下面に形成された切り欠き内に嵌め入れられ、下面が土台2の下面とほぼ同じ高さとなっている。このとき棒状部38aの上端面は土台2の上面とほぼ同じ高さとなるように棒状部38aの長さが設定されている。
また、基礎1と土台2との間及び土台2と柱3との間に生じる水平方向の力に対しては、図1に示す耐力壁と同様に土台2が複数のアンカーボルトによって基礎上に固定され、柱3は「ほぞ」を土台2のほぞ穴に嵌め入れることによって水平方向の変位が拘束される。
図9は、この柱脚部固定構造を示す側面図であり、図10は断面図である。
この構造では、ホールダウン部材51が、柱3の2つの側面にそれぞれ取り付けられた取り付け金具52と、これらの取り付け金具52に係止された連結ボルト53と、この連結ボルト53の下端に接続される連結プレート54と、基礎1のコンクリート内に埋め込まれ、コンクリートから露出した両端部に連結プレート53が接合される連結部材55とで主要部が構成されている。
上記連結プレート54は、上端に袋ナット状の接続具56が溶接で固着された鋼の帯状の部材であり、下端部には連結部材55と接続するためのボルト孔が形成されている。上記連結ボルト53は上端部が取り付け金具52に係止されるとともに、下端部が上記袋ナット状の接続具56にねじり合わせて接続される。
これにより、連結部材55が基礎1のコンクリート中に埋め込んで固定されるともに、連結部材55、連結プレート54、連結ボルト53及び取り付け金具52を介して柱3に連結され、柱3に上揚力が作用したときにも、柱3が上方に引き上げられないように拘束するものとなっている。
上記基礎1の連結部材55が埋め込まれた位置の周辺部には、コンクリート中に配置される水平方向の鉄筋58及び鉛直方向の鉄筋59の他に、補強用の鉄筋(図示しない)を配置することもできる。
11:柱支持板, 12:押さえ金具,
21,22:柱接合部, 23:連結部材, 24:アンカーボルト, 25:ビス, 26:下端連結部, 27:ナット, 28:柱支持部材,
31:ホールダウン部材, 32:取り付け金具, 33:連結ボルト, 34:連結部材, 35:アンカーボルト, 36:固定ボルト, 37:ナット, 38:柱支持部材, 39:内装材, 40:外装材, 41:接続具,
51:ホールダウン部材, 52:取り付け金具, 53:連結ボルト, 54:連結プレート, 55:連結部材, 56:接続具, 57:ボルト, 58:水平方向の鉄筋, 59:鉛直方向の鉄筋, 60:柱支持部材, 61:柱支持板
Claims (6)
- 木造建築物の壁面の方向に沿って形成されたコンクリートの基礎上に固定支持された木材からなる土台と、
該土台上に立設された木材からなる柱と、
該柱に作用する上揚力を前記基礎に伝達して該柱が浮き上がるのを抑えるホールダウン部材と、を有する柱脚部固定構造であって、
前記ホールダウン部材は、前記柱の前記壁面とほぼ平行となった2つの側面にそれぞれ接合された2つの柱接合部と、該柱の下端面より下方で2つの前記柱接合部を互いに連結する下端連結部と、を有し、
2つの前記柱接合部と前記下端連結部と前記柱とが前記土台を囲むように連結されており、
該下端連結部が前記基礎に固定されていることを特徴とする柱脚部固定構造。 - 前記下端連結部は、前記土台の下側に設けられた鋼からなる連結部材を有し、
前記柱接合部が該連結部材に接合され、2つの前記柱接合部と前記連結部材と前記柱とが前記土台を囲むように連結されており、
前記連結部材に結合されたアンカー部材が前記基礎に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の柱脚部固定構造。 - 前記柱接合部は、鋼からなる板材によって形成され、
前記連結部材は、前記基礎上で水平方向に支持された鋼からなる板状の部材であり、
前記柱の下端は、前記土台上に載置された柱支持板を介して該土台上に支持されており、
前記土台を貫通し、上端が前記柱支持板の下面に当接され、下端が前記連結部材に当接
された柱支持部材を有することを特徴とする請求項2に記載の柱脚部固定構造。 - 木造建築物の壁面の方向に沿って形成されたコンクリートの基礎上に固定支持された木材からなる土台と、
該土台上に立設された木材からなる柱と、
該柱に作用する上揚力を前記基礎に伝達して該柱が浮き上がるのを抑えるホールダウン部材と、を有する柱脚部固定構造であって、
前記ホールダウン部材は、前記柱の前記壁面とほぼ平行となった2つの側面にそれぞれ接合された2つの柱接合部と、該柱の下端面より下方で2つの前記柱接合部を互いに連結する下端連結部と、を有し、
該下端連結部が前記基礎に固定されており、
該下端連結部は、前記基礎上に支持された連結部材又は前記基礎の上部に埋め込まれた連結部材を有し、
前記柱接合部の下端部に形成された雄ねじ部を、前記連結部材の壁面と直角方向の両端部に設けられたねじ穴に螺合することによって該連結部材と結合されていることを特徴とする柱脚部固定構造。 - 木造建築物の壁面の方向に沿って形成されたコンクリートの基礎上に固定支持された木材からなる土台と、
該土台上に立設された木材からなる柱と、
該柱に作用する上揚力を前記基礎に伝達して該柱が浮き上がるのを抑えるホールダウン部材と、を有する柱脚部固定構造であって、
前記ホールダウン部材は、前記柱の前記壁面とほぼ平行となった2つの側面にそれぞれ接合された2つの柱接合部と、該柱の下端面より下方で2つの前記柱接合部を互いに連結する下端連結部と、を有し、
該下端連結部が前記基礎に固定されており、
該下端連結部は、前記基礎の上面より下方において該基礎に埋め込まれ、前記壁面と直角方向の両端部が該基礎の鉛直面に露出した連結部材を有し、
前記柱接合部は、柱の側面及び前記基礎の鉛直面に沿って配置され、前記連結部材の前記基礎から露出した端部に結合されていることを特徴とする柱脚部固定構造。 - 前記柱の下端は、前記土台の上側に配置された柱支持板を介して支持され、
該柱支持板の下側には、前記土台を上下方向に貫通し、該柱支持板から基礎に上方からの力を伝達する柱支持部材を有することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の柱脚部固定構造。
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