JP2008138493A - 木造建築物の耐震補強金具 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震の横揺れに対する耐震強度を向上させることができ、併せて通し柱あるいは中通し柱の欠損への補強効果も得ることができる木造建築物の耐震補強金具を提供する。
【解決手段】木造建築物の構築材同士の接合部に取付固定される耐震補強金具が、一対の取付片11,12を直角状に隣接させた形状の本体部10と、その本体部10の内側に配置される三角形状の面状連結部13とを備え、その本体部10と面状連結部13が一体状に形成された構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、木造建築物の軸組を構成する梁、桁、土台等(これらを水平状の構築材と称する)および通し柱、中通し柱、支柱等(これらを垂直状の構築材と称する)の構築材同士の接合部に設置され、特に横揺れに対する建築物の耐震強度を向上させるようにした耐震補強金具に関するものである。
木造建築物における土台と柱、柱と梁、桁と梁などの構築材は、ホゾとホゾ穴との組合せや軸接続構造等で接合して軸組みされているが、旧来よりその接合部に様々な形状の金具が取付けられて耐震補強されていた。しかしながら、それらの金具では、通し柱あるいは中通し柱の欠損に対する補強効果が得られず、また大地震に対する十分な強度も発揮できなかった。そこで以下のような各種の耐震補強金具が新たに提案されている。
すなわち、略L字型に形成した金属製金具本体の二つの取付片にそれぞれ弾性材製鞘管を套嵌した構成の金具(例えば、特許文献1参照。)、断面L字形に形成した本体金具の土台と当接する片に断面L字形の連結脚金具を取付け、その土台と当接する片に筋交いと本体金具を連結するための補助連結金具を取付ける構成の金具(例えば、特許文献2参照。)、垂直な固定板の上下端に帯状の固定片を突設し、また係止片を突設した載置板を固定板の下端に取付けるとともに、左右両端に連結板を設けた構成の金具(例えば、特許文献3参照。)等である。
特開2004−11141号公報 特開2001−107458号公報 特開平9−32125号公報
上記した特許文献1の耐震補強金具は、例えば柱と土台、柱と桁などのような2者の構築材の接合部に取付けるものであり、その接合部に筋交いや火打ち梁などが施工されることは開示されておらず、また特許文献2の耐震補強金具は、構築材同士の接合部に筋交いが施工される場合も想定されているが、本体金具とは別体に設けられた補助連結金具や連結板を用いて、別工程で筋交いと連結するように構成されているので、大地震で大きな横揺れに見舞われた場合には、その補助連結金具や連結板が本体金具から脱落し易いという不具合があった。したがって両特許文献の耐震補強金具は、特に地震の横揺れへの対応が不十分であるという欠点がある。
上記した特許文献3の連結金具は、柱と土台と筋交いを1個の連結金具で一体状に連結するようになっているので、水平状の構築材と垂直状の構築材の接合部における耐震強度は向上しているが、構造が複雑でコスト高という欠点があり、また取付位置が固定された2枚の連結板で筋交いを挟むように形成されているので、筋交いとして使用する板材が、その連結板間に過不足なく挟着可能な厚さのものに限定されるという問題点があった。
さらに上記した各特許文献の金具は、いずれも火打ち梁が施工される場合については想定されていないので、水平状の軸組み部分における耐震強度が大きな弱点となっている。
そこで本発明は、地震の横揺れに対する耐震強度を、簡単な構造の金具を用いて飛躍的に向上させることができ、併せて旧来型の耐震補強金具の欠点である通し柱あるいは中通し柱の欠損をカバーすることもできる木造建築物の耐震補強金具の提供を目的とするものである。
上記の目的を達成するために請求項1に記載の本発明は、木造建築物の構築材同士の接合部に取付固定される耐震補強金具であって、略直角状に隣接して設けた一対の取付片から成る本体部と、三角形の平板状に形成された面状連結部とを備え、その本体部と面状連結部が一体状に形成された構成とするものである。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の木造建築物の耐震補強金具において、本体部を水平状の構築材同士の接合角部に取付け、且つ面状連結部を介して火打ち梁を連結すべく、一対の取付片のそれぞれを幅広な方形状に形成するとともに、本体部内側の所定位置に、面状連結部を棚状に配設した構成とするものである。
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の木造建築物の耐震補強金具において、本体部を水平状の構築材と垂直状の構築材の接合角部に取付け、且つ面状連結部を介して筋交いを連結すべく、一対の取付片のそれぞれを細長帯状に形成するとともに、本体部の左右いずれかの一側面に面状連結部を配設した構成とするものである。
本発明に成る木造建築物の耐震補強金具において、例えば桁と梁のような水平状の構築材同士の接合角部に、実施例1の耐震補強金具を取付け、その部位に火打ち梁を施工した場合には、桁と梁と火打ち梁の3者が一体状且つ強固に固定され、また例えば土台と柱のような水平状の構築材と垂直状の構築材同士の接合角部に、実施例2の耐震補強金具を取付け、その部位に筋交いを施工した場合には、土台と柱と筋交いの3者が一体状且つ強固に固定されるので、特に地震時における横揺れに対する耐震強度を大幅に向上することができるとともに、通し柱あるいは中通し柱の欠損をカバーして補強効果を増大することができるという特筆すべき効果を奏するものである。また本発明は構造が簡単で容易に施工することができるので、非常に作業効率が高く、しかも複数種類の金具を複雑に組み合わせる必要がないので、大幅なコスト削減にも寄与することができるという長所がある。さらに本発明品は、単純な形状で適応範囲が広いという特長があり、また橋や櫓などのような家屋以外の木造建築物にも汎用することができるという利点もある。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基いて説明するが、本発明は、木造建築物の構築材同士の接合部に取付固定される金属製の耐震補強金具に係るもので、図1〜図3に示す実施例1は、水平状の構築材同士の接合角部に取付固定され、その部位に火打ち梁を施工する場合に使用する金具(本発明ではこれを梁金具と称する)であり、図4,図5に示す実施例2は、水平状の構築材と垂直状の構築材の接合角部に取付固定され、その部位に筋交いを施工する場合に使用する金具(本発明ではこれを柱金具と称する)である。これらの各耐震補強金具は、略直角状に隣接して設けた一対の取付片11,12(または21,22)から成る本体部10(または20)と、三角形の平板状に形成された面状連結部13(または23)から構成され、且つその本体部と面状連結部は、金型による成型等の公知の手段で、製造段階から一体状に形成されたものである。
上述のように、本発明における第1の実施例は梁金具を使用する場合である。この梁金具の構造および使用形態について、梁金具を桁2と梁3の接合角部に取付固定し、さらにその接合角部に火打ち梁4を連結する場合を例として説明する。なお、図1は本実施例の金具を示す斜視図であり、図2はその金具の使用状態を示す一部切欠斜視図であり、図3は一部切欠側面図である。
この梁金具における本体部10は、図1に示すように、横状に並べた形態の同形状の取付片11,12と、各取付片11,12を構築材に取付けるための取付孔14を備えたものである。該取付片11,12は、その縦方向の長さが、桁2や梁3を構築する木材の厚さと大略同寸法で、その横方向は火打ち梁4の先端を本体部10の内側に収容可能な長さとなっているので、後述する柱金具の場合よりも幅広な方形状に設けられている。この両取付片11,12は、例えば金属製の平板を直角状に折り曲げたような形状であり、またその上部と下部に各2個ずつ設けられた取付孔14においても、図示のように、縦状の中央部15を基点として左右対称状に配置されている。
また面状連結部13は、二等辺三角形状に形成されたもので、そのほぼ中心部に、火打ち梁4を連結固定するための取付孔14が形成されている。この面状連結部13は、図1に示すように、その前端が一対の取付片11,12の内側面に密着した形状の水平な棚状に設けられているが、その上面に火打ち梁4を載せた場合のバランスを考慮して、図1および図3に示すように、本体部10の内側におけるやや下方位置に配設されている。
以上のように構成された本実施例の梁金具を使用する場合は、図2および図3に示すように、固定ボルト16と固定ナット17を介して、一方の取付片11を梁3に取付固定するとともに、他方の取付片12を桁2に取付固定した後、火打ち梁4の先端を面状連結部13の上面に載置し、その面状連結部13の下方から固定ボルト16を通して固定ナット17で締付固定するものである。
本発明における第2の実施例は柱金具を使用する場合である。この柱金具の構造および使用形態について、柱金具を柱1と土台5の接合角部に取付固定し、さらにその接合角部に筋交い7を連結する場合を例として説明する。なお、図4は本実施例の金具を示す斜視図であり、図5はその金具の使用状態を示す一部切欠側面図である。
この柱金具における本体部20は、図4に示すように、同形状に設けられた立設状の取付片21および倒設状の取付片22と、各取付片を構築材に取付固定するための取付孔24とを備えたものである。また一方の取付片における長手方向の長さは、図5に示すように、連結時の筋交い7の先端とほぼ同じ長さとなっており、また短手方向は、柱1や土台5を構築する木材の厚さのほぼ半分程度の長さとなっていて、全体的に細長い帯状の外観を呈している。この両取付片21,22の場合も、金属製の細長い平板を直角状に折り曲げたような形状となっており、また各取付片に2個ずつ設けられた取付孔24も、図示のように、横状の中央部25を基点として対称状に配置されている。
さらに本実施例における面状連結部23も、二等辺三角形状に形成されたもので、筋交い7を連結固定した際の中心位置と想定される部位に取付孔24が形成されている。またこの面状連結部23は、筋交い7を右側に連結するように、本体部の右側面に配設されている。なお筋交い7を本体部の左側に連結する場合は、本体部の左側面に配設されるものとする。
以上のように構成された本実施例の柱金具を使用する場合は、図5に示すように、固定ボルト26と固定ナット27を介して、立設状の取付片21を柱1に取付固定するとともに、アンカーボルト26を介して、倒設状の取付片22をコンクリート基礎6の上方に構築された土台5に取付固定する。続いて、筋交い7の先端を面状連結部23の外面に密着し、手前方向から固定ボルト26を通した後に、図示しない固定ナット27で締付固定するものである。
本発明は、木造建築物の水平方向を強化する火打ち梁と垂直方向を強化する筋交いを、梁金具および柱金具を用いて他の構築材と一体状に連結固定するようになっているので、大地震が発生した場合の横揺れに対する耐震強度を飛躍的に向上させることができるとともに、通し柱や中通し柱の欠損に対する補強効果も得ることができるものである。
なお本実施例で示した梁金具および柱金具は、火打ち梁や筋交いを施工しない箇所に使用しても差し支えなく、また上記した2種類の金具は非常にシンプルな構造となっているので、例えば柱金具の2個を1組として梁金具に代用し、水平状の構築材同士の接合角部に取付固定するというように、各実施例で示した使用形態以外の様々な形態で実施することも可能である。
実施例1の耐震補強金具の斜視図である。 図1の耐震補強金具の使用状態を示す一部切欠斜視図である。 図1の耐震補強金具の使用状態を示す一部切欠側面図である。 実施例2の耐震補強金具の斜視図である。 図4の耐震補強金具の使用状態を示す一部切欠側面図である。
符号の説明
1 柱
2 桁
3 梁
4 火打ち梁
5 土台
6 コンクリート基礎
7 筋交い
10,20 本体部
11,12 一対の取付片
21,22 一対の取付片
13,23 面状連結部
14,24 取付孔

Claims (3)

  1. 木造建築物の構築材同士の接合部に取付固定される耐震補強金具において、略直角状に隣接して設けた一対の取付片から成る本体部と、三角形の平板状に形成された面状連結部とを備え、その本体部と面状連結部が一体状に形成されたことを特徴とする木造建築物の耐震補強金具。
  2. 上記した本体部を水平状の構築材同士の接合角部に取付け、且つ上記した面状連結部を介して火打ち梁を連結すべく、一対の取付片のそれぞれを幅広な方形状に形成するとともに、本体部内側の所定位置に、面状連結部を棚状に配設したことを特徴とする請求項1に記載の木造建築物の耐震補強金具。
  3. 上記した本体部を水平状の構築材と垂直状の構築材の接合角部に取付け、且つ上記した面状連結部を介して筋交いを連結すべく、一対の取付片のそれぞれを細長帯状に形成するとともに、本体部の左右いずれかの一側面に面状連結部を配設したことを特徴とする請求項1に記載の木造建築物の耐震補強金具。
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