JP4276007B2 - 木質強化構造材及び建築物の強化構造体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅やビル等の建造物に用いられる木材に予め所定の圧縮力を付与することで剛性や耐性を補強する技術であって、特に、梁や桁等の水平材を垂直荷重に対して強化し、かつ、建築物全体を水平荷重及び鉛直荷重に強くして耐震性を向上させるのに好適な木質強化構造材および建築物の強化構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の建築物の耐力補強方法は、梁背を高くしたり、梁桁間隔を狭くしたり、厚物構造用合板を使用する方法等があるが、いずれもコストが高く、また、一度完成した建築物では補強不可能な場合が多い。あるいは、従来の梁や柱等の接合部は仕口加工、継手加工、金物工法などは、部材同士の接合効果のみであり、主材である木質構造材のスパン間の耐力増大に使用されることはない。さらに、接合部の配置は、建築物の周辺に集中しており、外力に対して構造上弱点となり、衝撃の分散及び吸収構造となっていないため、構造耐力が低い。
【0003】
一方、梁や桁等の水平に支持される水平材は、垂直上方から大きな荷重を受ける。したがって、特に大きな荷重がかかる箇所には、予め断面積が大きい木材を配置したり、強度の大きい木材を配置している。例えば、特開2001−254476号公報には、強度の小さい軽軟木材の強度性能を高めることを目的とする金属複合木質梁が記載されている(特許文献1)。この金属複合木質梁は、軽軟木材を繊維方向に重ねて圧着した積層材の層間に金属線条を挿通するとともに、その梁の木口両端に支圧板を当接させて緊張固定することを特徴としている。そして、この支圧板をボルトで締め上げることにより金属線条を緊張固定し、軽軟木材の強度性能を高めるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−254476号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、断面積が大きい木材は重量も大きくなるため運搬や建築に不便であるし、コストも高くなるという問題がある。また、前述した特開2001−254476号公報に記載の金属複合木質梁は、金属線条を積層材の層間に挿通するようになっているため、既に完成した建築物に用いることができず、建築後の補強には使用できないという問題がある。また、支圧板やこれを締めるボルト、ナットが木口の両端に取り付けられる構造になっているため、柱や他の水平材との仕口加工や継手加工を施すことができないという問題があった。
【0006】
一方、耐震補強のニーズが高まる中、特に木材住宅が多く存在する我が国においては住宅を建て替えずに垂直方向の荷重や水平方向の揺れに強く、耐震性の高い構造へと補強するニーズは極めて高い。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、主材である木質構造材の耐力、剛性及び建築物全体の構造耐力を増大することを主目的とし、しかも建築後であっても既存構造を容易かつ安価に補強することができる木質強化構造材および建築物の強化構造体を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る木質強化構造材の特徴は、梁や桁等の建造物の水平材として使用される木質構造材と、 この木質構造材の両端から仕口加工部位の距離以上を隔てた位置の下面に固定される1対の下面固定プレート、これらの各下面固定プレートから前記水平材の軸線方向と直角に垂下された対向面を形成するとともに、その略中央位置に貫通孔が形成された圧縮プレート、及びこの圧縮プレートと前記下面固定プレートとを繋ぐ補強プレートを備えた定着金物と、 対向する前記圧縮プレートの貫通孔に貫通されて2つの定着金物を連結する連結棒、及びこの連結棒をねじ締めして1対の圧縮プレートを中央側に引っ張る締結部材を有する圧縮付与体とから構成される点にある。
【0009】
また、本発明では、複数の短い木材を連結して耐震性の優れた長尺状の木質強化構造材を構成するために、接合する2本の木質構造材の接合部を包囲して連結する包囲連結部、この包囲連結部の下面から前記木質構造材の軸線方向と直角に垂下され、その略中央位置に貫通孔が形成された2枚の継手圧縮プレート、及びこれらの継手圧縮プレートを繋ぐ継手補強プレートを備えた継手金物を使用し、この継手金物と両端部側に固定した定着金物とを連結して圧縮付与体によって圧縮力を付与するようになっている。
【0010】
さらに、本発明では、継手金物をコストが安く効果的に耐力を上げる構造にするため、前記継手金物は、各木質構造材の接合部の側面に当接するプレートの形状をその側面に沿って下方から上方に拡幅されるように形成し、そのプレートの上端部近傍で固定部材により木質構造材に締結するようになっていることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る建築物を強化する強化構造体の特徴は、木質構造材により建築される建築物を強化する強化構造体であって、柱に梁及び桁等からなる複数の水平材を接合してなる構造体を強化する場合、1の水平材の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートの柱側端部から前記水平材の軸線方向と直角に垂下された柱固定プレートと、前記下面固定プレートの中央側端部から前記水平材の軸線方向と直角に垂下されその略中央位置に貫通孔が形成された圧縮プレートと、この圧縮プレートおよび前記下面固定プレートを繋ぐ補強プレートと、前記柱固定プレートの側端部から前記水平材の側面に沿って上方に延出され前記1の水平材に直交する他の水平材の側面に固定される直交側面固定プレートとを有する仕口定着金物を前記仕口の各構造材に固定し、 前記1の水平材の両端部に対向して固定された1対の圧縮プレートに連結棒を連結し、この連結棒をねじ締めして対向する圧縮プレートを中央側に引っ張り、この水平材の下部に圧縮力を付与するようになっている。
【0012】
本発明では、1階の柱、2階の柱、梁、および桁を1つの金具により接合するようにして2階柱の引き抜けを防止するために、仕口定着金物は、さらに、直交側面固定プレートの背面側に水平に延出され直交側の水平材の下面に固定される直交下面固定プレートと、この直交下面固定プレートに直交側の水平材を貫通して連結される羽子板ボルトとを備えていることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る建築物の強化構造体は、柱に梁及び桁等の複数の水平材を接合してなる構造体を強化する場合、その接合部で交差する各水平材の下面に固定される複数の下面固定プレートと、これらの各下面固定プレートの柱側端部から前記水平材の軸線方向と直角に垂下された複数の柱固定プレートと、前記下面固定プレートの中央側端部から前記水平材の軸線方向と直角に垂下されその略中央位置に貫通孔が形成された複数の圧縮プレートと、各圧縮プレートと対応する各下面固定プレートとを繋ぐ補強プレートとを有しており、隣接する前記柱固定プレートの端部同士をそれぞれ接合してなる仕口定着金物を前記接合部に固定し、 各水平材の両端部に対向して固定された1対の圧縮プレートに連結棒を連結し、各連結棒をねじ締めして対向する圧縮プレートを中央側に引っ張り、各水平材の下部に圧縮力を付与するようになっている。
【0014】
また、本発明では、水平荷重や揺れに対応するために、仕口定着金物には、圧縮プレート間に水平面内の筋交い方向に面した筋交いプレートが形成され、この水平面内で対向する2つの筋交いプレートを筋交い棒によって連結し、締結部材により緊締することが好ましい。
【0015】
さらに、本発明では、2本の柱と上下2本の水平材とを接合してなる構造部を強化する場合、上側の接合部には、水平材の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートの柱側端部から水平材の軸線方向に直角に垂下された柱固定プレートと、前記下面固定プレートの中央側端部から前記水平材の軸線方向と直角に垂下されその略中央位置に貫通孔が形成された圧縮プレートと、この圧縮プレートの下端部から鉛直面内の筋交い方向に面するように延出され、その略中央位置に貫通孔が形成された筋交いプレートとを有する上角部定着金物が取り付けられており、 下側の接合部には、水平材の上面に固定される上面固定プレートと、この上面固定プレートの柱側端部から水平材の軸線方向に直角上方に延出された柱固定プレートと、筋交い方向に面してその略中央位置に貫通孔が形成された筋交いプレートとを有する下角部定着金物が取り付けられており、 上側に配置された上角部定着金物の圧縮プレートの貫通孔に連結棒を通して連結し、この連結棒を締結部材によってねじ締めして前記水平材の下部に圧縮力を付与するとともに、筋交い方向で対向する上角部定着金物と下角部定着金物との筋交いプレートの貫通孔に筋交い棒を通して連結し、筋交い方向を緊締することが好ましい。
【0016】
また、本発明では、2本の筋交い棒が交差する交差部を工夫して、その外側面の各筋交い方向に貫通孔が形成された筋交い中継金物を配置し、その貫通孔にて各筋交い棒の一端部を締結するようにしてもよい。
【0017】
さらに、本発明の建築物の強化構造体は、柱に支持される長尺状の水平材に圧縮力を付与する場合、水平材の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートの柱側端部から前記水平材の軸線方向と直角に垂下された柱固定プレートと、前記下面固定プレートの中央側端部から前記水平材の軸線方向と直角に垂下されその略中央位置に貫通孔が形成された圧縮プレートと、この圧縮プレートおよび前記下面固定プレートを繋ぐ補強プレートとを少なくとも備えた仕口定着金物を、仕口の接合部に固定し、 前記水平材の下面に固定される中継下面固定プレートと、この中継下面固定プレートから前記水平材の軸線方向に直角に垂下され略中央位置に貫通孔が形成された1対の中継圧縮プレートと、これらの中継下面固定プレート及び中継圧縮プレートを繋ぐ中継補強プレートとを有する一軸中継金物を、前記水平材の長手方向の途中に取り付け、 前記仕口定着金物の圧縮プレートと前記一軸中継金物の中継圧縮プレートとを貫通孔を介して連結棒によって連結するとともに、締結部材によって締め付けて水平材下部に圧縮力を付与するようになっている。
【0018】
また、本発明では、軸線直交方向にも連結棒を緊締するようにするため、一軸中継金物は、さらに水平材の軸線方向に平行な1対の中継圧縮プレートを中継下面固定プレートから垂下させて二軸中継金物を構成し、これらの中継圧縮プレートにも軸線直交方向の連結棒を連結して締結部材により緊締すればよい。
【0019】
さらに、本発明では、木質貫通割れが発生した水平材を補強する場合、前記水平材の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートから鉛直上方に前記水平材の両側面に沿って延出され、その上下位置に前記水平材の両側面を締結するための締結穴が形成された側面狭持プレートと、前記下面固定プレートから前記水平材の軸線方向と直角に垂下され、略中央位置に貫通孔が形成された1枚若しくは2枚の圧縮プレートと、この圧縮プレートと前記下面固定プレートとを繋ぐ補強プレートとを有する貫通割れ補強金物を、水平材の長手方向に所定間隔を隔てて側面狭持プレートで締結し、 これら1対の貫通割れ補強金物の対向する圧縮プレートを貫通孔を介して連結棒により連結し、この連結棒を締結部材によってねじ締めすることにより前記圧縮プレートを中央側に引っ張って圧縮力を付与すればよい。
【0020】
また、本発明の強化構造体の特徴は、建築物の中心部に強化構造を設けて構造全体の耐震性を高めるため、建築物の略中心部に支持される水平材には、この水平材のほぼ中央位置の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートのほぼ中央位置から垂下され、前記水平材の軸線方向、この軸線に直交する方向及び筋交い方向に貫通孔が形成された円筒状または断面八角形状の接合筒体とから構成されるセンタ接合金物を固定し、 連結棒の一端を前記各貫通孔に連結し、他端を前記軸線方向、軸線直交方向及び筋交い方向に配置された接合金物に連結して、この連結棒を締結部材により締め付けることにより建築物の中心部にプレストレスを付与する点にある。
【0021】
また、本発明において、前記センタ接合金物として、水平材のほぼ中央位置の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートから前記水平材の軸線方向及びこの軸線に直交する方向に垂下され、貫通孔が形成された断面四角形状の接合筒体と、この接合筒体の下端部から直角外側に延出され、貫通孔が形成された筋交い用フランジ部とを備えたフック用センタ接合金物を使用してもよく、この場合、筋交い用フランジ部の各貫通孔には、フック付連結部の一端を引っ掛け、他端を筋交い方向に配置された接合金物に引っ掛けて締め付けることにより建築物の中心部にプレストレスを付与するようになる。
【0022】
また、本発明では、水平材の軸線方向及び軸線直交方向に配置された接合金物は、水平材の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートから水平材の軸線方向及びこの軸線に直交する方向に垂下され、貫通孔が形成された4枚の圧縮プレートと、これらの圧縮プレートと下面固定プレートとを繋ぐ補強プレートとから構成されていることが好ましい。
【0023】
さらに、本発明では、センタ接合金物の筋交い方向に配置された接合金物は、水平材の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートから水平材の軸線方向及びこの軸線に直交する方向に垂下され、貫通孔が形成された圧縮プレートと、この圧縮プレートと下面固定プレートとを繋ぐ補強プレートと、前記圧縮プレート間でセンタ接続金物の筋交い方向に面し貫通孔が形成された筋交いプレートとから構成されていることが望ましい。
【0024】
また、本発明の強化構造体の特徴は、柱に支持された水平面で平行な2本の水平材の構造部を強化する場合、水平材の両側面に固定される1対の側面固定プレートと、この側面固定プレートから前記水平材の下方に軸線方向及びこの軸線に直交する方向に垂下され、それぞれ貫通孔が形成された断面四角形状の接合筒体と、この接合筒体の下端部から直角外側に延出されて角部に貫通孔が形成された筋交い用フランジ部とを備えた多軸中継金物を2本の平行な水平材の対向位置にそれぞれ2つずつ取り付け、 相互に対向した接合筒体の貫通孔に連結棒を連結するとともに、水平な筋交い方向に対向した筋交い用フランジ部の貫通孔にフック付連結棒を連結して、それぞれ締結部材により緊締する構造を備えている点にある。
【0025】
さらに、本発明の強化構造体の特徴は、1本の柱と左右2本の水平材を接合してなる構造体を強化する場合、前記柱及び2本の水平材の各側面に渡って一体的に固定される仕口側面プレートと、この仕口側面プレートから直角に延出された1対の補強プレートと、これら両補強プレートの先端に跨って設けられ貫通孔が形成される圧縮プレートとを有する仕口定着金物を仕口の接合部に固定し、前記貫通孔と、これに対向する仕口に固定された他の金物の貫通孔に連結棒を連結し、締結部材により緊締する構造を備えている点にある。また、2階の柱も接合されている場合、仕口側面プレートは、柱の上に接合される他の柱の側面も固定するプレート部を有していることが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る木質強化構造材および建築物の強化構造体の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0027】
『第1実施形態:木質強化構造材1A』
図1は、本発明の第1実施形態である木質強化構造材1Aを示す図であり、図2は強化に使用される木材補強具を示す図である。本第1実施形態における木質強化構造材1Aは、住宅の梁や桁等として使用されるものであり、木質構造材3の両端部から仕口加工部位だけ離れた位置に1対の定着金物4が固定され、この定着金物4を中央側に引っ張って前記木質構造材3の下部に圧縮力を付与する。
【0028】
この定着金物4は、木質構造材3の下面に固定される下面固定プレート4aと、この下面固定プレート4aから前記木材の軸線方向と直角に垂下された圧縮プレート4bと、この圧縮プレート4bと前記下面固定プレート4aとを両側面で繋ぐ正面三角形状の補強プレート4cとから構成される。前記圧縮プレート4bには、略中央位置に鋼棒5aを連結するための貫通孔hが形成されている。また、下面固定プレート4aには、木質構造材3に固定するためにラグスクリューやボルト等を貫通させる複数の固定穴kが形成されている。また、補強プレート4cは、締め付けや荷重によって圧縮プレート4bが破損するのを防止する役割を果たすものであるが、ナット5bの締め付けスペースを確保するように、下方を開放して定着金物4の両側面に沿うように形成されている。
【0029】
また、圧縮付与体5は、定着金物4の圧縮プレート4bの貫通孔hに端部を連結するPC鋼棒や一般鋼棒から構成される連結棒5aと、この連結棒5aの両端部に形成されたねじ部で1対の圧縮プレート4bを締め付けるナット等から構成される締結部材5bとを備えている。なお、圧縮付与体5は、両端部がフック状に形成されたターンバックルにより構成してもよい。
【0030】
このような本第1実施形態における木質強化構造材1Aの作用は、両端部から仕口加工部位だけ隔てた下面にそれぞれ定着金物4を取り付け、ねじ式ナット付きの鋼棒5aの両端部を貫通孔hに貫通させて連結し、両端のナット5bをトルクレンチにより適宜なトルクで締め付ける。これにより、木材の断面下部に予め圧縮力、つまり、プレストレスを付与するようになっている。このときナット5bを締め付けるトルクの大きさは、50N/m以上が好ましい。このようなトルクによりプレストレスを与えれば、木材補強具を取り付けない木質構造材3に比較すると、曲げ強度が1.5〜2.0倍、ヤング率が1.1〜1.3倍となり、耐震性に極めて優れた構造体を構成することができる。
【0031】
また、本第1実施形態では、定着金物4の取り付け位置は、両端から仕口加工部位だけ離隔した位置に設定しているが、梁等に最も大きな応力が係る部分を効率的に補強するために、通常最も多く使用される構造材の最大長さ3.6mを考慮し、中心位置から左右に0.9m隔てた位置に定着金物4を固定するようにしてもよい。このように1.8mの間隔をあけて定着金物4を固定すれば、隣に支持される梁の間隔が1.8mおきにかけられるため、その隣接された梁間の定着金物4を鋼棒4aによって連結し、直角方向への補強がバランス良くできるからである。
【0032】
ここで、本第1実施形態の木質強化構造材1Aの補強効果に関する実験結果を示す。表1は、補強試験結果を示すものである。各試験材は、唐松の集成材を使用し、その形状は15.5×8.3×364cmとした。試験材1〜5のうち、最も曲げヤング率の小さい試験材1について、破断させずに前述した金具を取り付けてトルクを与え、木材下部に圧縮力を付与した。この結果、弾性率及び曲げヤング率が1.28倍へと大きくなり、曲げ強さは、4.9kN/cm2となって試験材中で最大となった。
【0033】
【表1】
【0034】
以上より第1実施形態によれば、プレストレス効果と鋼棒5a自体の強度とによって垂直荷重に対して耐力を増強でき、弱い材料であっても著しく曲げ強度を改善することができる。そして、木質強化構造材1Aの端部には、補強具が突出していないため、通常の仕口加工を施すことができて便利である。また、第1実施形態における木材補強具は、木質構造材3の下面に取り付けるため、作業性がよく、建築後の既存建物に後から取り付けて補強することもできる。
【0035】
『第2実施形態:木質強化構造材1B』
つぎに、本発明の第2実施形態について図3を参照しつつ説明する。なお、本第2実施形態の構成のうち第1実施形態の構成と同一又は相当する構成については同一の符号を付し再度の説明を省略する。本第2実施形態の木質強化構造材1Bは、水平材に使用される2本の木質構造材3を端面で軸方向に連結するとともに断面下部に圧縮力を与える継手金物6と、この継手金物6によって連結された木質構造材3の両端部から仕口加工部位だけ離れた位置に固定された1対の定着金物4と、これら継手金物6と各定着金物4とを連結して中央側に締め付けて木材下部に圧縮力を付与する圧縮力付与体とから構成されている。
【0036】
このうち継手金物6は、2本の木質構造材3の端面接合部を包囲するように包囲連結部6aが固定されている。この包囲連結部6aは、図3に示すように、その両側面部を正面から見て下から上に拡幅された略逆三角形状に形成されている。そして、その上縁近傍に複数の締結穴mが形成されておりボルト6dとナット6eにより木材側面に締結される。この締結力によって接合部を狭持するようになっている。このような包囲連結部6aの形状及びボルト6dの締結位置は、上方からの荷重に効率的に耐え得る工夫がなされている。
【0037】
また、継手金物6は、前記包囲連結部6aの下面から水平材Sの軸線方向と直角に垂下され、その略中央位置に貫通孔hが形成された2枚の継手圧縮プレート6bと、前記包囲連結部6aの下面から軸線方向に沿って垂下され、2つの継手圧縮プレート6bを繋ぐ継手補強プレート6cとを備えている。つまり、包囲連結部6aの下面から断面略四角形状の筒体が垂下され、軸線方向に垂直な面に貫通孔hが形成されている。一方、定着金物4及び圧縮付与体5は、第1実施形態と同様の構成を有している。
【0038】
このような本第2実施形態によれば、継手金物6によって端部接合部を強固に接合し、木質構造材3の下面に垂下された継手金物6の継手圧縮プレート6bと、定着金物4の圧縮プレート4bとをPC鋼棒5aによって連結し、ナット5bにより締め付けることで木材下部に圧縮力を付与し、プレストレスをかける。
【0039】
これにより、短い木材を連結して高い強度の長尺木材を構成するので、長尺状木材が不足している現状の問題を解消できるだけでなく、一本の長い木材よりも強度が高められるという効果がある。また、木材補強具の取り付けが簡単で精密度も要求されないため、職人技術を必要としない。このため、補強ミスを防止できるし、コスト低減にも寄与する。
【0040】
なお、前述した第2実施形態では、2本の木材を継手金物6により接合しているが、これに限らず、2本以上の木材を継手金物6により接合し、この接合した木質構造材3の両端部に定着金物4を取り付けて一本の木質強化構造材1Bを構成するようにしてもよい。
【0041】
『第3実施形態:建築物の強化構造体2A』
つぎに、本発明の第3実施形態について図4乃至図6を参照しつつ説明する。本第3実施形態の特徴は、柱Tと複数の水平材S1,S2…とを接合してなる強化構造体2Aであり、接合部が一体的な仕口定着金物7によって補強されている。通常、建築用の構造材には3.6m以下という制限があるため、建築の際には長手方向に仕口等の継手部分が設けられる。しかし、如何にプレカット等により精度の高い加工を施しても、継手部分のない木材強度に比べて強度が落ちる。このため、本第3実施形態では、この仕口の接合部を補強するようになっている。
【0042】
図5に示すように、本第3実施形態で使用する仕口定着金物7は、梁S1の下面に固定される下面固定プレート7aと、この下面固定プレート7aの中央側端部から前記梁S1の軸線方向と直角に垂下された圧縮プレート7bと、前記下面固定プレート7aの柱側端部から前記梁S1の軸線方向と直角に垂下された柱固定プレート7cと、前記圧縮プレート7bおよび前記下面固定プレート7aを繋ぐ補強プレート7dと、前記柱固定プレート7cの両側端部から前記梁S1の側面に沿って上方に延出され、桁S2の両側面に固定される直交側面固定プレートである桁側面固定プレート7eとから構成されている。
【0043】
下面固定プレート7a、柱固定プレート7cおよび桁側面固定プレート7eには、それぞれ固定ボルトやラグスクリューで材に固定するための複数の固定穴kが形成されている。また、圧縮プレート7bには、連結棒5aを連結する貫通孔hが形成されており、桁側面固定プレート7eには、柱Tと桁S2との間の筋交い方向に筋交い棒5cを連結するための貫通孔hが形成されている。さらに、桁側面固定プレート7eにおける柱Tと桁S2との接合隅部に対応する三角形状部分は、筋交いプレート7hの機能も併せ持っており、水平荷重に対抗するようになっている。
【0044】
そして、梁S1の両端部に固定した仕口定着金物7の圧縮プレート7bにナット付きの鋼棒5aを連結し、このナット5bを締め付けることにより梁S1の下部にプレストレスを発生させる。また、筋交い棒5cを締め付けることにより、筋交い方向にもより強いプレストレスを発生させる。
【0045】
このような本第3実施形態によれば、従来であれば如何に精度良く仕口加工を施しても接合部が弱体化してしまうが、本実施形態の一体化された仕口定着金物7を使用すれば特別な技量が無くても簡単に補強でき、同時に梁S1に圧縮力を付与したり、筋交い補強ができるため建築物全体を耐震構造に増強できる。もちろん、この補強は既存建築物に対しても可能である。
【0046】
なお、本第3実施形態における仕口定着金物7の桁側面固定プレート7eは、左右に形成されているが、これは、左右方向に2本の桁S2が支持されているからであり、もし片方の桁だけが支持されている場合には、いずれか片方の桁側面固定プレート7eのみを形成した仕口定着金物7を使用すればよい。
【0047】
また、第3実施形態において、図7及び図8に示すように、羽子板ボルト7gを一体的に構成した仕口定着金物7Aを使用してもよい。これは、1階の柱T1だけでなく、2階の柱T2を1つの金物で接合するものである。すなわち、仕口定着金物7Aは、さらに、桁下面固定プレート7fと羽子板ボルト7gとを備えている。桁下面固定プレート7fは、両側2つの桁側面固定プレート7eのうち、いずれか一方の背面側に水平に延出されており、固定穴kが形成され、桁S2の下面に固定されるようになっている。また、羽子板ボルト7gは、公知のボルトであり、桁S2を上下に貫通し、前記桁下面固定プレート7fにナットで固定される。
【0048】
このような仕口定着金物7Aを用いた第3実施形態によれば、1階柱、2階柱、梁、桁の全てが1つの金具により接合されるので、2階柱の引き抜けも併せて防止できる。
【0049】
『第4実施形態:建築物の強化構造体2B』
つぎに、本発明の第4実施形態について図9から図11を参照しつつ説明する。本第4実施形態は、複数の柱Tと複数の直交する水平材Sを接合してなる構造部を強化する建築物の強化構造体2Bである。
【0050】
図9に示すように、本第4実施形態の強化構造体2Bは、他の仕口定着金物7Bを使用するものであり、各水平材Sの下面に固定される複数の圧縮プレート7bを備えた仕口定着金物7Bを固定し、その圧縮プレート7bを連結棒5aにより締め付けて水平材Sの下部に圧縮力を付与することを特徴とする構造である。
【0051】
仕口定着金物7Bは、仕口の接合部で交差する各水平材Sの下面に固定される複数の下面固定プレート7aと、これらの各下面固定プレート7aの柱側端部から前記水平材Sの軸線方向と直角に垂下された複数の柱固定プレート7cと、前記下面固定プレート7aの中央側端部から前記水平材Sの軸線方向と直角に垂下された複数の圧縮プレート7bと、各圧縮プレート7bと各下面固定プレート7aとを繋ぐ補強プレート7dとから構成される。前記圧縮プレート7bには、ほぼ中央位置に貫通孔hが形成されている。また、直交するように隣接する柱固定プレート7cの端部は、それぞれ接合されており、補強されている。
【0052】
そして、各水平材Sの両端部において対向位置にある圧縮プレート7bに貫通孔hを介してナット付きの鋼棒5aを連結し、このナット5bを締め付けることにより対向する圧縮プレート7bを中央側に引っ張り、各水平材Sの下部にプレストレスを発生させる。
【0053】
このような本第4実施形態によれば、梁S1および桁S2の各下部に圧縮力を付与してプレストレスを発生させられるため、建築物全体の構造がより強化されて耐震構造化できる。もちろん、建築後の既存建築物を簡単に補強することができる。
【0054】
なお、本第4実施形態の強化構造体2Bでは、図12に示すように、仕口定着金物7Bの圧縮プレート7b間に水平面内の筋交い方向に面した筋交いプレート7hを形成し、この水平面内で対向する2つの筋交いプレート7hをPC鋼棒等から構成される筋交い棒5cによって連結し、ナット5bにより締め付けるようにしてもよい。これにより、建築物の水平方向の揺れや荷重に対して補強することができる。
【0055】
また、図13及び図14に示すように、2本の筋交い棒5cが交差する交差部を直交タイプに代えて、リング状あるいは断面四角形状の筋交い中継金物5eを配置し、その外側面の各筋交い方向に貫通孔hを形成して、この貫通孔hに各筋交い棒5cの一端部を締結するようにしてもよい。
【0056】
『第5実施形態:建築物の強化構造体2C』
つぎに、本発明の第5実施形態について図15を参照しつつ説明する。図15に示すように、本第5実施形態の建築物の強化構造体2Cは、土台または桁上に2本の柱Tを接合し、それらの柱Tの上に桁を支持してなる構造部を強化するものである。
【0057】
本第5実施形態は、上側の2つの接合部には、上側の水平材Sに圧縮力を付与する上角部定着金物8Aを取り付け、下側の2つの接合部には、筋交いをかけるための下角部定着金物8Bを取り付けている。
【0058】
上角部定着金物8Aは、前述した接合部における水平材Sの下面に固定される下面固定プレート8aと、この下面固定プレート8aの柱側端部から水平材Sの軸線方向に直角に垂下された柱固定プレート8cと、前記下面固定プレート8aの中央側端部から前記水平材Sの軸線方向と直角に垂下された圧縮プレート8bと、この圧縮プレート8bの下端部から鉛直面内の筋交い方向に面するように延出された筋交いプレート8eと、圧縮プレート8bおよび筋交いプレート8eを下面固定プレート8aに繋げた補強プレート8dとから構成されている。
【0059】
また、下角部定着金物8Bは、水平材Sの上面に固定される上面固定プレート8fと、この上面固定プレート8fの柱側端部から水平材Sの軸線方向に直交する上方に延出された柱固定プレート8cと、筋交い方向に面してその略中央位置に貫通孔hが形成された筋交いプレート8eと、この筋交いプレート8eをと上面固定プレート8fとを繋ぐ補強プレート8dとから構成されている。
【0060】
そして、水平材S上で対向する上角部定着金物8Aの圧縮プレート8bの貫通孔hにPC鋼棒等の連結棒5aを通して連結し、この連結棒5aをナット等の締結部材5bによって締め付けることにより水平材Sの下部に圧縮力を付与する。さらに、筋交い方向で対向する上角部定着金物8Aと下角部定着金物8Bとの筋交いプレート8eの貫通孔hにPC鋼棒等の筋交い棒5cを通して連結し、ナット5bを締め付けて筋交い方向を緊締する。
【0061】
このような第5実施形態によれば、壁面等の柱と桁にかかる横荷重に対抗する構造を強化することができる。なお、本第5実施形態における2本の筋交い棒5cの交差部に図13及び図14で示した筋交い中継金物5eを使用するようにしてもよい。
【0062】
『第6実施形態:建築物の強化構造体2D』
つぎに、本発明の第6実施形態について図16及び図14を参照しつつ説明する。本第6実施形態は、柱Tに支持された水平材Sの接合構造を強化する強化構造体2Dであり、水平材Sと柱Tの接合角部に角部定着金物8を取り付け、柱間に支持された水平材Sの適宜な中間位置に一軸中継金物9を1つまたはそれ以上取り付け、それら一軸中継金物9あるいは一軸中継金物9と角部定着金物8とを連結棒5aにより連結して締結部材5bによって締め付けることで水平材S下部に圧縮力を付与するようになっている。
【0063】
角部定着金物8は、第5実施形態の上角部定着金物8A、あるいは第3実施形態や第4実施形態で示した仕口定着金物7,7A,7Bを使用してもよい。角部定着金物8は、水平材Sの下面に固定される下面固定プレート8aと、柱Tに固定される柱固定プレート8cと、前記下面固定プレート8aの中央側端部から垂下された圧縮プレート8bと、この圧縮プレート8b及び前記下面固定プレート8aを繋ぐ補強プレート8dとを少なくとも備えている。
【0064】
また、一軸中継金物9は、図17に示すように、水平材Sの下面に固定される中継下面固定プレート9aと、この中継下面固定プレート9aから水平材Sの軸線方向に直角に垂下され略中央位置に貫通孔hが形成された1対の中継圧縮プレート9bと、これらの中継下面固定プレート9a及び中継圧縮プレート9bを繋ぐ中継補強プレート9cとから構成されている。この中継補強プレート9cは、中継下面固定プレート9aの両側縁部から垂下されて略台形状に形成されている。また、中継下面固定プレート9aには、固定穴kが形成されている。
【0065】
このような本第6実施形態によれば、建築物における耐力不足の水平材Sを簡単に強化することができ、長尺状の水平材Sであれば、一軸中継金物9を複数取り付けて適宜プレストレスを付与することができる。
【0066】
なお、図18から図20に示すように、柱、梁、さらに桁方向の補強をすべく、一軸中継金物9の中継圧縮プレート9bに直角な面を備えた中継圧縮プレート9bを形成し、二軸中継金物9Aを構成するようにしてもよい。本第6実施形態では、中継補強プレート9cがその中継圧縮プレート9bに相当するため、これに貫通孔hを形成し、連結棒5aを連結して軸線直交方向の締め付けによって補強するようになっている。
【0067】
『第7実施形態:建築物の強化構造体2E』
つぎに、本発明の第7実施形態について図21及び図22を参照しつつ説明する。本第7実施形態は、木質貫通割れが発生して耐力が低下した水平材Sを補強する強化構造体2Dである。図21に示すように、水平材Sの長手方向に生じた貫通割れを1対の貫通割れ強化金物10により挟み、連結棒5aによって締め付けるようになっている。
【0068】
図22に示すように、貫通割れ強化金物10は、水平材Sの下面に固定される下面固定プレート10aと、この下面固定プレート10aから前記水平材Sの軸線方向と直角に垂下された2枚の圧縮プレート10bと、前記下面固定プレート10aから鉛直上方に前記水平材Sの両側面に沿って延出された側面狭持プレート10cと、前記圧縮プレート10bと前記下面固定プレート10aとを繋ぐために下面固定プレート10aの両側縁部から垂下された補強プレート10dとから構成される。側面狭持プレート10cは、その上下位置に前記水平材Sの両側面をボルトとナット等によって締結するための締結穴mが形成されている。また、圧縮プレート10bには、そのほぼ中央位置に貫通孔hが形成されている。
【0069】
そして、これら1対の貫通割れ補強金物10の対向する圧縮プレート10bを貫通孔hを介して連結棒5aにより連結し、この連結棒5aを締結部材5bによってねじ締めすることにより前記圧縮プレート10bを中央側に引っ張って圧縮力を付与する。
【0070】
なお、図21に示すように、本第7実施形態では、貫通割れの補強とともに、水平材S自体の耐力を増加させるために、柱Tと水平材Sとの接合部に仕口定着金物7,7A,7Bや角部定着金物8を取り付け、これらの圧縮プレート7bと、各貫通割れ補強金物10のもう一つの圧縮プレート10bとを連結棒5aで連結して圧縮力を付与するようになっている。
【0071】
このような第7実施形態によれば、水平材Sに生じた貫通割れに対し、側面狭持プレート10cを上下位置でボルト等により締結しているため、貫通割れによる強度低下を抑制することができる。また、同時に水平材Sの下部にプレストレスを発生させることで水平材全体の強度を増大させられる。実験結果によれば、ホワイトウッドを2/5程度長手方向に貫通割れを発生させた後、貫通割れ補強金物10を取り付けて連結棒5aに35N/mのトルクを付与した。この木質強化構造材の曲げヤング率は、931kN/cm2であり、曲げ強さは4.5kN/cm2であり、いずれも高強度で補強できた。
【0072】
『第8実施形態:建築物の強化構造体2F』
つぎに、本発明の第8実施形態について図23から図29を参照しつつ説明する。本第8実施形態は、建築物の中心部にプレストレスを付与し、核となる変位抵抗構造部が全方向からの水平荷重に抵抗する強化構造体2Fである。図23及び図24に示すように、建築物の略中心部に支持される水平材Sにセンタ接合金物11Aを取り付け、このセンタ接合金物11Aから軸線方向、軸線直交方向および筋交い方向へ連結棒5aを延ばして各方向に設置した接合金物12と連結し、緊締するようになっている。
【0073】
センタ接合金物11Aは、図25若しくは図26に示すように、水平材Sのほぼ中央位置の下面に固定される下面固定プレート11aと、この下面固定プレート11aのほぼ中央位置から垂下された円筒状または断面八角形状の接合筒体11bとから構成されている。この接合筒体11bには、水平材Sの軸線方向、この軸線に直交する方向及び筋交い方向に貫通孔hが形成されている。
【0074】
また、図23及び図27に示すように、水平材Sの軸線方向及び軸線直交方向に配置された接合金物12は、水平材Sの下面に固定される平面十字形状の下面固定プレート12aを備えている。この下面固定プレート12aのすべての外側縁部からプレートが垂下されており、このうち、水平材Sの軸線方向及びこの軸線に直交する方向に垂下された4枚のプレートは、圧縮プレート12bであり、それぞれ貫通孔hが形成されている。また、これらの圧縮プレート12bの両側に垂下されたプレートは補強プレート12cである。
【0075】
このような接合金物12の構成に加え、センタ接合金物11Aの筋交い方向に配置された接合金物12には、図25に示すように、前記圧縮プレート12b間のセンタ接合金物11Aの筋交い方向に面する筋交いプレート12dが形成されている。
【0076】
このような第8実施形態では、例えば、図23に示すように、建築物の中心部に3本の平行な水平材Sを支持し、そのうち真ん中の水平材Sにセンタ接合金物11Aを固定し、このセンタ接合金物11Aに対して軸線方向の水平材Sの下面、軸線直交方向の水平材Sの下面、筋交い方向の水平材Sの下面に、それぞれ接合金物12を固定する。そして、センタ接合金物11Aの接合筒体11bに鋼棒5aの一端を連結するとともに、他端を各接合金物12に連結し、ナット5bによって締め付ける。これにより、水平材Sの下部に圧縮力を付与して鉛直荷重に対応し、軸線直交方向および筋交い方向の緊締力によって水平荷重に対応する補強ができる。
【0077】
このような第8実施形態によれば、建築物の中心部に核となる変位抵抗構造部を構成できるため、全方向からの水平荷重に抵抗し、建築物全体が地震による震動がもたらす変位を抑制することができる。
【0078】
なお、図23に示すように、センタ接合金物11Aの周囲に配置された接合金物12から軸線方向や軸線直交方向に連結棒5aを連結して締め付けることにより一層強度を高めることができる。
【0079】
また、図29に示すように、前述したセンタ接合金物11Aに代えて、例えば、下面固定プレート12aから断面四角形状の接合筒体11Bbを前記水平材Sの軸線方向及びこの軸線に直交する方向に垂下させ、この接合筒体11Bbの下端部から直角外側に筋交い用フランジ部11cを演出させたフック用センタ接合金物11Bに用いるようにしても良い。この場合、連結棒5aとしては両端にフックが付いたターンバックルを使用し、一端を筋交い用フランジ部11cの各貫通孔hに引っ掛け、他端を筋交い方向に配置された接合金物12に引っ掛けて締め付けるようになる。
【0080】
『第9実施形態:建築物の強化構造体2G』
つぎに、本発明の第9実施形態について図30から図32を参照しつつ説明する。本第9実施形態は、前述した第8実施形態と同様に、建築物の中心部にプレストレスを付与するとともに、変位抵抗構造を構成して全方向からの水平荷重に抵抗する強化構造体2Gである。図30及び図31に示すように、水平面で支持された平行な2本の水平材Sにおいて対向する位置に多軸中継金物13を取り付け、相互に対向した多軸中継金物13同士で連結棒5aにより緊締する構成である。
【0081】
図32に示すように、多軸中継金物13は、水平材Sの両側面に固定される1対の側面固定プレート13aと、この側面固定プレート13aから前記水平材Sの下方に軸線方向及びこの軸線に直交する方向に垂下された断面四角形状の接合筒体13bと、この接合筒体13bの下端部から直角外側に延出された筋交い用フランジ部13cとから構成されている。接合筒体13bの各面には、貫通孔hが形成されており、また、筋交い用フランジ部13cの角部には、フック用の貫通孔hが形成されている。
【0082】
そして、図31に示すように、相互に対向した接合筒体13bの貫通孔hにナット付きの鋼棒等から構成される連結棒5aを連結するとともに、水平な筋交い方向に対向した筋交い用フランジ部13cの貫通孔hにターンバックル等から構成されるフック付連結棒5dを連結して、それぞれ締結部材5bにより緊締する。
【0083】
このような第9実施形態によれば、水平材Sの軸線方向において水平材Sの下部に圧縮力を付与することができるとともに、その軸線と直交する方向及び筋交い方向において緊締力を付与することができる。これにより、垂直荷重に対抗できるのはもとより、建築物の中心部に核となる変位抵抗構造部を構成できるため、全方向からの水平荷重に抵抗し、建築物全体が地震による震動がもたらす変位を抑制することができる。
【0084】
以上の各実施形態によれば、特に主材である木質構造材の耐力、剛性を増大することができるし、さらに建築物全体の構造耐力を増大できる。また、補強に使用する鋼棒等は一般汎用品を使用できるため、さほど精密度を必要とせず、取り付けも専門職を必要としない。さらに、鋼材で補強するため、木質材の弱点である貫通割れ等による強度の低下が発生した構造材の耐力や剛性を長期的に持続させられる。
【0085】
なお、本実施形態の各構成は前述したものに限るものではなく、適宜変更することができる。
【0086】
例えば、図33及び図34に示すように、柱用接合金物14を使用するようにしてもよい。この柱用接合金物14は、柱に固定する柱固定プレート14aと、この柱固定プレート14aから直角に延出された1対の左右締結プレート14bと、これら左右締結プレート14bから約45度の角度で内側に延出された1対の筋交い用プレート14cと、これら筋交い用プレート14cを繋いで前記柱固定プレート14aに平行に形成された正面締結プレート14dとから構成されている。そして、各プレートのほぼ中央位置には貫通孔hが形成されており、PC鋼棒等が連結されるようになっている。
【0087】
また、例えば、第8実施形態で示した図23中のGで示す部位に、図35に示すような接合金物15Aを使用してもよい。この接合金物15Aは、1階平屋建ての仕口部の補強に適用する場合であり、1本の柱Tの側面及び左右2本の水平材Sの側面に跨って一体的に固定される仕口側面プレート15aと、この仕口側面プレート15aから直角に延出された一対の補強プレート15cと、この両補強プレート15cの先端に仕口側面プレート15aと平行に設けられる圧縮プレート15bとから構成されている。仕口側面プレート15aには、柱Tおよび左右2本の水平材Sに固定するための固定穴kが形成されているとともに、柱Tと水平材Sとの接合隅部に筋交い用の貫通孔hが形成されている。また、圧縮プレート15bには、貫通孔hが形成されている。これらの貫通孔hには、筋交い棒5cおよび連結棒5aがそれぞれ連結されて、プレストレスを発生させるようになっている。
【0088】
さらに、図23中のGで示す部位には、図36に示すような接合金物15Bを用いてもよい。この接合金物15Bは、例えば、2階建ての仕口部の補強に適合し、1階柱T1の上に2階柱T2が接合されている場合に好適な補強具である。接合金物15Bは、前述した接合金物15Aの仕口側面プレート15aにおいて、2階柱T2の側面にまで延出された上柱固定プレート15dを有している。この上柱固定プレート15dにも固定穴kが形成されており、2階柱に固定されるようになっている。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、主材である木質構造材の耐力、剛性及び建築物全体の構造耐力を増大することができ、従来の構造材に比べて部分断面積を低減できるし、さほど精密度を必要とせず、専門技術がなくても簡単に取り付けられるため安価に製作できる。しかも建築後であっても既存構造材に耐力補強が容易にできる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る木質強化構造材の第1実施形態を示す(a)正面図、(b)側面図である。
【図2】 本第1実施形態において使用される定着金物及び圧縮力付与体を示す(a)正面図、(b)平面図である。
【図3】 本発明に係る木質強化構造材の第2実施形態を示す(a)正面図、(b)A−A断面図である。
【図4】 本発明に係る建築物の強化構造体の第3実施形態を示す正面図である。
【図5】 図4の仕口部位の拡大斜視図である。
【図6】 本第3実施形態で使用される仕口定着金物を示す斜視図である。
【図7】 本第3実施形態で使用される他の仕口定着金物を示す斜視図である。
【図8】 図7の仕口定着金物を使用した仕口部位を示す斜視図である。
【図9】 本発明に係る建築物の強化構造体の第4実施形態を示す正面図である。
【図10】 図9のB−B断面図である。
【図11】 本第4実施形態において使用される仕口定着金物及び圧縮力付与体を示す平面図である。
【図12】 本第4実施形態における筋交いプレートを備えた仕口定着金物を使用した強化構造体を示す平面図である。
【図13】 本第4実施形態における筋交い中継金物の一例を示す平面図
【図14】 本第4実施形態における筋交い中継金物の一例を示す平面図
【図15】 本発明に係る建築物の強化構造体の第5実施形態を示す正面図である。
【図16】 本発明に係る建築物の強化構造体の第6実施形態を示す正面図である。
【図17】 本第6実施形態において使用される一軸中継金物及び圧縮力付与対を示す(a)正面図、(b)平面図である。
【図18】 本第6実施形態をさらに桁方向に強化した構造を示す正面図である。
【図19】 図18の平面図である。
【図20】 図18で使用されている二軸中継金物及び圧縮力付与対を示す(a)正面図、(b)平面図である。
【図21】 本発明に係る建築物の強化構造体の第7実施形態を示す正面図である。
【図22】 本第7実施形態で使用される貫通割れ補強金物を示す(a)正面図、(b)側面図である。
【図23】 本発明に係る建築物の強化構造体の第8実施形態を示す平面図である。
【図24】 図23におけるD−D断面図である。
【図25】 本第8実施形態で使用されるセンタ接合金物の一例を示す(a)正面図、(b)平面図である。
【図26】 本第8実施形態で使用されるセンタ接合金物の一例を示す(a)正面図、(b)平面図である。
【図27】 本第8実施形態における軸線方向及び軸線直交方向に配置された接合金物の一例を示す(a)正面図、(b)平面図である。
【図28】 本第8実施形態における筋交い方向に配置された接合金物の一例を示す(a)正面図、(b)平面図である。
【図29】 本第8実施形態で使用されるフック用センタ接合金物の一例を示す(a)正面図、(b)平面図である。
【図30】 本発明に係る建築物の強化構造体の第9実施形態を示す正面図である。
【図31】 図30の平面図である。
【図32】 本第9実施形態で使用される多軸中継金物の一例を示す(a)正面図、(b)平面図である。
【図33】 本実施形態の建築物の強化構造体において柱用接合金物を使用する例を示す正面図である。
【図34】 図33で使用される柱用接合金物の一例を示す(a)正面図、(b)平面図である。
【図35】 本実施形態の建築物の強化構造体において使用される他の接合金物の一例を示す仕口部位の斜視図である。
【図36】 本実施形態の建築物の強化構造体において使用されるさらに他の接合金物の一例を示す仕口部位の斜視図である。
【符号の説明】
1A,1B, 木質強化構造材
2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G 建築物の強化構造体
3 木質構造材
4 定着金物
4a 下面固定プレート
4b 圧縮プレート
4c 補強プレート
5 圧縮付与体
5a 連結棒(鋼棒)
5b 締結部材(ナット)
5c 筋交い棒
5d フック付連結棒
5e 筋交い中継金物
6 継手金物
6a 包囲連結部
6b 継手圧縮プレート
6c 継手補強プレート
6d ボルト
6e ナット
7,7A 仕口定着金物
7a 下面固定プレート
7b 圧縮プレート
7c 柱固定プレート
7d 補強プレート
7e 桁側面固定プレート
7f 桁下面固定プレート
7g 羽子板ボルト
7h 筋交いプレート
7i 上面固定プレート
8A 上角部定着金物
8B 下角部定着金物
8a 下面固定プレート
8b 圧縮プレート
8c 柱固定プレート
8d 補強プレート
8e 筋交いプレート
8f 上面固定プレート
9 一軸中継金物
9A 二軸中継金物
9a 中継下面固定プレート
9b 中継圧縮プレート
9c 中継補強プレート
10 貫通割れ防止金物
10a 下面固定プレート
10b 圧縮プレート
10c 側面狭持プレート
10d 補強プレート
11A センタ接合金物
11B フック用センタ接合金物
11a 下面固定プレート
11b,11Bb 接合筒体
11c 筋交い用フランジ部
12 接合金物
12a 下面固定プレート
12b 圧縮プレート
12c 補強プレート
12d 筋交いプレート
13 多軸中継金物
13a 側面固定プレート
13b 接合筒体
13c 筋交い用フランジ部
14 柱用接合金物
14a 柱固定プレート
14b 左右締結プレート
14c 筋交い用プレート
14d 正面締結プレート
15A,15B 接合金物
15a 仕口側面プレート
15b 圧縮プレート
15c 補強プレート
15d 上柱固定プレート
h 貫通孔
k 固定穴
m 締結穴
S 水平材
S1 梁
S2 桁
T 柱
T1 1階柱
T2 2階柱
Claims (18)
- 軸線方向に連結される複数の木質構造材と、
接合する2本の木質構造材の接合部を包囲して連結する包囲連結部、この包囲連結部の下面から前記木質構造材の軸線方向と直角に垂下され、その略中央位置に貫通孔が形成された2枚の継手圧縮プレート、及びこれらの継手圧縮プレートを繋ぐ継手補強プレートを備えた継手金物と、
この継手金物によって接合された木質構造材の両端部から仕口加工部位の距離以上を隔てた位置の下面に固定される1対の下面固定プレート、これらの各下面固定プレートから前記木質構造材の軸線方向と直角に垂下されて前記継手圧縮プレートに対向するとともに、その略中央位置に貫通孔が形成された圧縮プレート、及びこの圧縮プレートと前記下面固定プレートとを繋ぐ補強プレートを備えた定着金物と、
対向する前記継手圧縮プレート及び前記圧縮プレートの各貫通孔に貫通されて前記継手金物と前記定着金物とを連結する連結棒、及びこの連結棒をねじ締めにより前記継手圧縮プレートと前記圧縮プレートとを互いに引っ張る締結部材を備えた圧縮付与体と
から構成されることを特徴とする木質強化構造材。 - 請求項1において、前記継手金物は、各木質構造材の接合部の側面に当接するプレートの形状をその側面に沿って下方から上方に拡幅されるように形成し、そのプレートの上端部近傍で固定部材により木質構造材に締結するようになっていることを特徴とする木質強化構造材。
- 木質構造材により建築される建築物を強化する強化構造体であって、柱に梁及び桁等からなる複数の水平材を接合してなる構造体を強化する場合、
1の水平材の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートの柱側端部から前記水平材の軸線方向と直角に垂下された柱固定プレートと、前記下面固定プレートの中央側端部から前記水平材の軸線方向と直角に垂下されその略中央位置に貫通孔が形成された圧縮プレートと、この圧縮プレートおよび前記下面固定プレートを繋ぐ補強プレートと、前記柱固定プレートの側端部から前記水平材の側面に沿って上方に延出され前記1の水平材に直交する他の水平材の側面に固定される直交側面固定プレートとを有する仕口定着金物を前記仕口の各構造材に固定し、
前記1の水平材の両端部に対向して固定された1対の圧縮プレートに連結棒を連結し、この連結棒をねじ締めして対向する圧縮プレートを中央側に引っ張り、この水平材の下部に圧縮力を付与するようになっていることを特徴とする建築物の強化構造体。 - 請求項3において、仕口定着金物は、さらに、直交側面固定プレートの背面側に水平に延出され直交側の水平材の下面に固定される直交下面固定プレートと、この直交下面固定プレートに直交側の水平材を上下に貫通して連結される羽子板ボルトとを備えていることを特徴とする建築物の強化構造体。
- 木質構造材により建築される建築物を強化する強化構造体であって、柱に梁及び桁等の複数の水平材を接合してなる構造体を強化する場合、
その接合部で交差する各水平材の下面に固定される複数の下面固定プレートと、これらの各下面固定プレートの柱側端部から前記水平材の軸線方向と直角に垂下された複数の柱固定プレートと、前記下面固定プレートの中央側端部から前記水平材の軸線方向と直角に垂下されその略中央位置に貫通孔が形成された複数の圧縮プレートと、各圧縮プレートと対応する各下面固定プレートとを繋ぐ補強プレートとを有しており、隣接する前記柱固定プレートの端部同士をそれぞれ接合してなる仕口定着金物を前記接合部に固定し、
各水平材の両端部に対向して固定された1対の圧縮プレートに連結棒を連結し、各連結棒をねじ締めして対向する圧縮プレートを中央側に引っ張り、各水平材の下部に圧縮力を付与するようになっていることを特徴とする建築物の強化構造体。 - 請求項5において、仕口定着金物には、圧縮プレート間に水平面内の筋交い方向に面した筋交いプレートが形成され、この水平面内で対向する2つの筋交いプレートを筋交い棒によって連結し、締結部材により緊締することを特徴とする建築物の強化構造体。
- 木質構造材により建築される建築物を強化する強化構造体であって、2本の柱と上下2本の水平材とを接合してなる構造部を強化する場合、
上側の接合部には、水平材の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートの柱側端部から水平材の軸線方向に直角に垂下された柱固定プレートと、前記下面固定プレートの中央側端部から前記水平材の軸線方向と直角に垂下されその略中央位置に貫通孔が形成された圧縮プレートと、この圧縮プレートの下端部から鉛直面内の筋交い方向に面するように延出され、その略中央位置に貫通孔が形成された筋交いプレートとを有する上角部定着金物が取り付けられており、
下側の接合部には、水平材の上面に固定される上面固定プレートと、この上面固定プレートの柱側端部から水平材の軸線方向に直角上方に延出された柱固定プレートと、筋交い方向に面してその略中央位置に貫通孔が形成された筋交いプレートとを有する下角部定着金物が取り付けられており、
上側に配置された上角部定着金物の圧縮プレートの貫通孔に連結棒を通して連結し、この連結棒を締結部材によってねじ締めして前記水平材の下部に圧縮力を付与するとともに、筋交い方向で対向する上角部定着金物と下角部定着金物との筋交いプレートの貫通孔に筋交い棒を通して連結し、筋交い方向を緊締することを特徴とする建築物の強化構造体。 - 請求項6または請求項7において、2本の筋交い棒が交差する交差部に、その外側面の各筋交い方向に貫通孔が形成された筋交い中継金物を配置し、その貫通孔にて各筋交い棒の一端部を締結するようになっていることを特徴とする木材補強具。
- 木質構造材により建築される建築物を強化する強化構造体であって、柱に支持される長尺状の水平材に圧縮力を付与する場合、
水平材の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートの柱側端部から前記水平材の軸線方向と直角に垂下された柱固定プレートと、前記下面固定プレートの中央側端部から前記水平材の軸線方向と直角に垂下されその略中央位置に貫通孔が形成された圧縮プレートと、この圧縮プレートおよび前記下面固定プレートを繋ぐ補強プレートとを少なくとも備えた仕口定着金物を、仕口の接合部に固定し、
前記水平材の下面に固定される中継下面固定プレートと、この中継下面固定プレートから前記水平材の軸線方向に直角に垂下され略中央位置に貫通孔が形成された1対の中継圧縮プレートと、これらの中継下面固定プレート及び中継圧縮プレートを繋ぐ中継補強プレートとを有する一軸中継金物を、前記水平材の長手方向の途中に取り付け、
前記仕口定着金物の圧縮プレートと前記一軸中継金物の中継圧縮プレートとを貫通孔を介して連結棒によって連結するとともに、締結部材によって締め付けて水平材下部に圧縮力を付与することを特徴とする建築物の強化構造体。 - 請求項9において、一軸中継金物は、さらに水平材の軸線方向に平行な1対の中継圧縮プレートを中継下面固定プレートから垂下させて二軸中継金物を構成し、これらの中継圧縮プレートにも軸線直交方向の連結棒を連結して締結部材により緊締することを特徴とする強化構造体。
- 木質構造材により建築される建築物を強化する強化構造体であって、木質貫通割れが発生した水平材を補強する場合、
前記水平材の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートから鉛直上方に前記水平材の両側面に沿って延出され、その上下位置に前記水平材の両側面を締結するための締結穴が形成された側面狭持プレートと、前記下面固定プレートから前記水平材の軸線方向と直角に垂下され、略中央位置に貫通孔が形成された1枚若しくは2枚の圧縮プレートと、この圧縮プレートと前記下面固定プレートとを繋ぐ補強プレートとを有する貫通割れ補強金物を、水平材の長手方向に所定間隔を隔てて側面狭持プレートで締結し、
これら1対の貫通割れ補強金物の対向する圧縮プレートを貫通孔を介して連結棒により連結し、この連結棒を締結部材によってねじ締めすることにより前記圧縮プレートを中央側に引っ張って圧縮力を付与することを特徴とする建築物の強化構造体。 - 木質構造材により建築される建築物を強化する強化構造体であって、
建築物の略中心部に支持される水平材には、この水平材のほぼ中央位置の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートのほぼ中央位置から垂下され、前記水平材の軸線方向、この軸線に直交する方向及び筋交い方向に貫通孔が形成された円筒状または断面八角形状の接合筒体とから構成されるセンタ接合金物を固定し、
連結棒の一端を前記各貫通孔に連結し、他端を前記軸線方向、軸線直交方向及び筋交い方向に配置された接合金物に連結して、この連結棒を締結部材により締め付けることにより建築物の中心部にプレストレスを付与することを特徴とする強化構造体。 - 木質構造材により建築される建築物を強化する強化構造体であって、
建築物の略中心部に支持される水平材には、この水平材のほぼ中央位置の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートから前記水平材の軸線方向及びこの軸線に直交する方向に垂下され、貫通孔が形成された断面四角形状の接合筒体と、この接合筒体の下端部から直角外側に延出され、貫通孔が形成された筋交い用フランジ部とを備えたフック用センタ接合金物を固定し、
前記接合筒体の各貫通孔には、連結棒の一端を連結するとともに、他端を前記軸線方向及び軸線直交方向に配置された接合金物に連結して締結部材により緊締し、前記筋交い用フランジ部の各貫通孔には、フック付連結部の一端を引っ掛け、他端を筋交い方向に配置された接合金物に引っ掛けて締め付けることにより建築物の中心部にプレストレスを付与することを特徴とする強化構造体。 - 請求項12または請求項13において、水平材の軸線方向及び軸線直交方向に配置された接合金物は、水平材の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートから水平材の軸線方向及びこの軸線に直交する方向に垂下され、貫通孔が形成された4枚の圧縮プレートと、これらの圧縮プレートと下面固定プレートとを繋ぐ補強プレートとから構成されていることを特徴とする建築物の強化構造体。
- 請求項12から請求項14のいずれかにおいて、センタ接合金物の筋交い方向に配置された接合金物は、水平材の下面に固定される下面固定プレートと、この下面固定プレートから水平材の軸線方向及びこの軸線に直交する方向に垂下され、貫通孔が形成された圧縮プレートと、この圧縮プレートと下面固定プレートとを繋ぐ補強プレートと、前記圧縮プレート間でセンタ接続金物の筋交い方向に面し貫通孔が形成された筋交いプレートとから構成されていることを特徴とする建築物の強化構造体。
- 木質構造材により建築される建築物を強化する強化構造体であって、柱に支持された水平面で平行な2本の水平材の構造部を強化する場合、
水平材の両側面に固定される1対の側面固定プレートと、この側面固定プレートから前記水平材の下方に軸線方向及びこの軸線に直交する方向に垂下され、それぞれ貫通孔が形成された断面四角形状の接合筒体と、この接合筒体の下端部から直角外側に延出されて角部に貫通孔が形成された筋交い用フランジ部とを備えた多軸中継金物を2本の平行な水平材の対向位置にそれぞれ2つずつ取り付け、
相互に対向した接合筒体の貫通孔に連結棒を連結するとともに、水平な筋交い方向に対向した筋交い用フランジ部の貫通孔にフック付連結棒を連結して、それぞれ締結部材により緊締する構造を備えていることを特徴とする建築物の強化構造体。 - 木質構造材により建築される建築物を強化する強化構造体であって、1本の柱と左右2本の水平材を接合してなる構造体を強化する場合、
前記柱及び2本の水平材の各側面に渡って一体的に固定される仕口側面プレートと、この仕口側面プレートから直角に延出された1対の補強プレートと、これら両補強プレートの先端に跨って設けられ貫通孔が形成される圧縮プレートとを有する仕口定着金物を仕口の接合部に固定し、
前記貫通孔と、これに対向する仕口に固定された他の金物の貫通孔に連結棒を連結し、締結部材により緊締する構造を備えていることを特徴とする建築物の強化構造体。 - 請求項17において、仕口側面プレートは、前記柱の上に接合される他の柱の側面も固定するプレート部を有していることを特徴とする強化構造体。
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