JP6246617B2 - 表面電極を備えている半導体チップ - Google Patents
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Description
SiCの温度と真性キャリア密度の関係を調べると、素子温度が1500K(あるいは1200℃)程度を超えると真性キャリア密度が増大して熱暴走し始める反面、1400K(あるいは1100℃)程度以下の温度であれば熱暴走を防止できることがわかる。SiCを半導体基板に用いると、素子温度が1400K程度の高温になっても熱暴走しない半導体チップを実現できることがわかる。電極に多用されるAlの融点は660℃であり、上記のSiCを半導体基板に用いると、電極が融点に達しても半導体基板は熱暴走しない関係が得られることがわかる。逆に、1500K以上の融点を持つ材料で電極を形成すると、半導体基板に熱暴走が生じても電極は機能を失わない関係を実現できることがわかる。
しかしながら、実際には、前記の熱応力が作用する結果、個々の材料の耐熱温度、すなわち電極自体が持っている使用可能な上限温度、あるいは、半導体基板自体が持っている使用可能な上限温度よりも低い温度で、半導体基板が熱破壊してしまう。現状の技術では、個々の材料が持っている耐熱温度より低い温度で、半導体基板が熱破壊されてしまう。
本明細書で開示する半導体チップは、絶縁膜で覆われていない範囲の半導体基板の表面上から絶縁膜の表面上に亘る範囲に形成されている表面電極を備えている。表面電極の内部には、絶縁膜の表面に接する空洞が形成されている。
(第1特徴)表面電極は伝熱部材を兼用している。
(第2特徴)表面電極の厚みは、(D×t)の平方根よりも厚い。ここで、Dは表面電極の熱拡散係数であり、tは半導体チップに異常大電流が流れ始めた瞬間から、異常大電流に対する処理が実施されるまでに要する時間である。表面電極が(D×t)の平方根よりも厚ければ、異常大電流の通電開始時に生じた異常大熱量が表面電極の表面に伝熱されるまでの間に、異常大電流に対する処理が実施される。
(第3特徴)表面電極の厚みが減じられた部分は、発熱しない絶縁膜の形成範囲にあり、厚みを減じることによって表面電極への伝熱特性が低下することがない。
(第4特徴)厚みが減じられた位置における表面電極の厚みは、(D×t)の平方根よりも薄い。
図1において、参照番号2は裏面電極であり、本実施例の場合はドレイン電極である。参照番号18は、半導体基板であり、本実施例では、Siの単結晶基板を利用している。半導体基板18の裏面側には、n型不純物が高濃度に注入されたドレイン領域4が形成されており、ドレイン領域4はドレイン電極2にオーミック接触する。ドレイン領域4の上部には、半導体基板18が未加工のまま残されている。加工前の半導体基板18は、n型不純物を低濃度に含んでおり、ドリフト領域6として動作する。
個々のトレンチゲート電極10は、図1の紙面に対して垂直方向に延びている。それに対応して、図2に示すように、ソース領域14、コンタクト領域16、絶縁膜20も、図1の紙面に対して垂直方向に延びている。
トレンチ群22aが形成されていると表面電極22の抵抗が増大することが懸念される。しかしながら、トレンチ群22aは、絶縁膜群20の形成範囲に形成されている。トレンチ群22aが形成されていても、電気的接続ポイントとソース領域14の間の抵抗、あるいは電気的接続ポイントとコンタクト領域16の間の抵抗が増大することはない。
トレンチは、図4に示すように、絶縁膜20の表面に達していなくてもよい。トレンチ22cのように、表面電極22の表面から中間深さまで達するものであってもよい。トレンチ22cの形成部分では、表面電極22の厚みが減じられる。表面電極22の厚みが減じられると、膨張率の相違に起因して半導体基板18に生じる熱応力が、厚みが減少した範囲の表面電極22によって緩和される。半導体基板18に生じる熱応力を緩和するためには、表面電極22の厚みが減少した範囲が存在すればよく、トレンチが絶縁膜20の表面にまで達している必要は必ずしもない。
図5に示すように、絶縁膜20の上方に空洞22dを形成することによって、絶縁膜20の形成範囲における表面電極22の厚みを減じてもよい。例えば、絶縁膜20の表面と、絶縁膜20で覆われていない半導体基板18の表面の全域に亘って、表面電極下層24を形成する。次いで、絶縁膜20の形成範囲において、表面電極下層24をエッチングしてトレンチ群を形成する。その後に表面電極上層26を堆積させる。この際に、表面電極上層26が表面電極下層24に形成されたトレンチを充填しきれず、空洞22dが形成されることがある。空洞22dが形成される条件で、表面電極上層26を堆積させることができる。図6に示すように、絶縁膜20の上方に空洞22dを形成すると、絶縁膜20の形成範囲では、表面電極22の厚みが減じられる。絶縁膜20の上方に空洞22dを残しながら表面電極22を形成することで、半導体基板18に大きな熱応力が発達するのを防止できる。
表面電極下層24と表面電極上層26は、同一材料で形成してもよいし、異種類材料で形成してもよい。例えば、表面電極下層24には、低膨張率で高融点な材料を用い、表面電極上層26には高熱伝導材料を用いることができる。
なお厚みのある電極内に空洞を形成する技術が、例えば特開2012−54307号公報に開示されている。同公報に記載に技術では、アスペクト比が高い溝が形成されている表面上にCVD法で成膜する。溝の入り口での成膜レートが高く、溝の底での成膜レートが低いことから、溝の内側に空洞が形成される。本実施例では、同種の手法を用いて空洞22dを形成する。
図7に示すように、中間深さに達するトレンチ群22cと、空洞22dの両者を併用して、絶縁膜20の形成範囲における表面電極22の厚みを減じてもよい。
例えば、ドレイン領域4に代えてコレクタ領域としたIGBTの表面電極に本技術を適用することができる。この場合は、ソース領域14がエミッタ領域となり、表面電極22がエミッタ電極となる。また、ダイオードのなかにも、半導体基板の表面の随所に絶縁膜が形成されているものがあり、その表面電極に本技術を適用することができる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
4:ドレイン領域
6:ドリフト領域
8:ゲート絶縁膜
10:トレンチゲート電極
12:ボディ領域
14:ソース領域
16:コンタクト領域
18:半導体基板
18a:半導体基板の表面
20:絶縁膜
22:表面電極(ソース電極)
22a,22b,22c:トレンチ
22d:空洞
24:表面電極下層
26:表面電極上層
Claims (7)
- 半導体基板の表面上に形成されており、前記表面の一部を覆って残部を覆わない絶縁膜と、
前記絶縁膜で覆われていない範囲の前記半導体基板の表面上から前記絶縁膜の表面上に亘る範囲に形成されている表面電極を備えており、
前記表面電極の内部に、前記絶縁膜の表面に接する空洞が形成されている半導体チップ。 - 前記絶縁膜が存在する位置において、前記表面電極の表面から中間深さに達する溝が形成されている請求項1の半導体チップ。
- 前記表面電極が、表面電極下層と表面電極上層で形成されている請求項1または2の半導体チップ。
- 前記絶縁膜が存在する位置において、前記表面電極下層を貫通するトレンチが形成されている請求項3の半導体チップ。
- 前記表面電極が、Ni,W,Ti,Ta,Ag,Pt,Au,Cuの群から選択された1種類の金属、前記群から選択された2種類以上の金属の合金、前記金属または前記合金のシリサイド、または前記金属・前記合金・前記シリサイドの積層膜または混合膜で形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかの1項に記載の半導体チップ。
- 半導体基板の表面に臨む範囲にエミッタ領域とトレンチゲート電極が形成されており、
半導体基板の表面上に、前記エミッタ領域の表面を覆わないで前記トレンチゲート電極の表面を覆う絶縁膜が形成されており、
前記エミッタ領域の表面上から前記絶縁膜の表面上に亘る範囲にエミッタ電極が形成されており、
前記エミッタ電極の内部に、前記絶縁膜の表面に接する空洞が形成されているトランジスタチップ。 - 半導体基板の表面に臨む範囲にソース領域とトレンチゲート電極が形成されており、
半導体基板の表面上に、前記ソース領域の表面を覆わないで前記トレンチゲート電極の表面を覆う絶縁膜が形成されており、
前記ソース領域の表面上から前記絶縁膜の表面上に亘る範囲にソース電極が形成されており、
前記ソース電極の内部に、前記絶縁膜の表面に接する空洞が形成されているトランジスタチップ。
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