JP6244240B2 - 鞍乗型車両 - Google Patents
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Description
本発明が解決しようとする課題は、フレームとエンジンとを締結する際の作業性を良くして生産性を上げることができる鞍乗型車両を提供することである。
ヘッドパイプと、その後方に延びるメインフレームと、メインフレームの後方に位置し、シートを支えるシートレールと、を備える鞍乗型車両であって、
前記メインフレームは、車幅方向外側から内側に向けて設けられた締結部材によってエンジンに締結され、
当該締結部材の少なくとも1箇所の近傍の位置で、前記メインフレームとエンジンとの間に、ノックピンが設けられ、
前記ノックピンとして、車幅方向と直交方向に設けられる第一ノックピン、および/または車幅方向に設けられる第二ノックピンが設けられ、
前記第一ノックピンは、メインフレーム下部の前後左右4箇所に設けられた締結部材の内、前側2箇所、または後側2箇所において、それぞれの締結部材の下方に設けられることを特徴とする。
この鞍乗型車両によれば、メインフレームは車幅方向外側から内側に向けて設けられた締結部材によってエンジンに締結されるため、フレームとエンジンとを締結する際の作業方向が車幅方向となり、作業性が良くなって、生産性が向上する。
ここで、ただ単に車幅方向に締結部材を設けると、発進・停車といった動作時に生じる前後方向の荷重を、締結部材の軸方向と垂直方向の部分(腹部)で受けることとなり、締結部材そのものに強度が求められ、コスト高になるおそれがある。
これに対し、本発明の鞍乗型車両によれば、前記締結部材の少なくとも1箇所の近傍の位置で、メインフレームとエンジンとの間に、ノックピンが設けられているので、発進・停車といった動作時に生じる前後方向の荷重をノックピンで受けることが可能となる。そして、ノックピンの取付作業は、締結部材による締結作業に比べて容易である。
以上のように、本発明の鞍乗型車両によれば、作業性を良くして生産性を向上させることができると同時に、締結部材そのものの強度を抑えながらも、発進・停車といった動作時に生じる前後方向の荷重に対応することが可能になる。
また、前記ノックピンとして、車幅方向と直交方向に設けられる第一ノックピン、および/または車幅方向に設けられる第二ノックピンが設けられるので、第一、第二のノックピンを適切に設けることで、前後左右方向の荷重に対応することができ、締結座面のスリップを防止(少なくとも著しく抑制)することができる。
また、前記第一ノックピンは、メインフレーム下部の前後左右4箇所に設けられた締結部材の内、前側2箇所、または後側2箇所において、それぞれの締結部材の下方に設けられるので、路面反力入力時の締結座面のスリップをできるだけコストを抑えながら防ぐことが可能となる。
仮に、全4箇所に第一ノックピンを設けようとした場合には、部品間の精度が高く求められるため、コストがあがってしまう。
これに対し、前方もしくは後方2箇所に第一ノックピンを配置することで、路面反力入力時の締結座面のスリップをできるだけコストを抑えながら防ぐことが可能となる。
前記メインフレームとシートレールとは別体であって、前記締結部材はメインフレームのみに設けられ、かつ、メインフレーム下部の前後左右4箇所に設けられる構成とすることができる。
このように構成すると、メインフレームに作用する外力の影響がシートレールに及ぶことを、逆にシートレールに作用する外力の影響がメインフレームに及ぶことを、それぞれ緩和することができる。したがって、発進・停車といった動作時に生じる前後方向の荷重への対応がより良好となる。
前記第二ノックピンは、メインフレーム下部の前後左右4箇所に設けられた締結部材それぞれの下方に設けられ、各第二ノックピンは、前記メインフレームに設けられた雌ネジ部とネジ結合される雄ねじ部と、当該雄ねじ部より先端側にあって、エンジンに設けられた嵌合部と嵌合する嵌合部とを有している構成とすることができる。
このように構成すると、各第二ノックピンとエンジンとの嵌合によって、締結部材を中心としてメインフレームが回転しようとする力を更に抑えることができる。
また、前後左右4箇所に第二ノックピンを設けているにもかかわらず、その方向は車幅方向であるので、作業性は損なわれず、また、メインフレームにおける雌ネジ部とエンジンにおける嵌合部は同方向に設けられるため、容易に高精度に作製することが可能であり、コストアップにはつながりにくい。
車両前後方向において、前記第一ノックピンは、前記締結部材と第二ノックピンとの間に位置する構成とすることができる。
このように構成すると、締結座面をスリップさせようとする力が作用した際、締結座面同士の間隔が開きにくい位置に第一ノックピンが設けられることとなるため、第一ノックピンによる締結座面のスリップ防止作用か向上する。
前記エンジンは、シリンダが側面視V字形のVバンク形状であって、フロントバンクの後部およびリアバンクの前部が前記締結部材で締結され、前記Vバンク形状の中心線から前後方向外方に向かって、締結部材、第一ノックピン、第二ノックピンの順に設けられている構成とすることができる。
このように構成すると、Vバンク形状の中心線に関してシンメトリーな外観性が得られるとともに、組み付け性も向上する。
前記第一ノックピンを収容するメインフレームとエンジンとの合わせ面を、前後左右4箇所に備え、
当該合わせ面と前記Vバンク形状の中心線とが、側面視において直交する構成とすることができる。
このように構成すると、Vバンク形状の中心線に関してシンメトリーな外観性が得られるとともに、組み付け性も向上する。
前記側面視V字形のシリンダの間には、吸気ファンネルが設けられ、当該吸気ファンネルは、前記メインフレーム内に形成されたエアクリーナケースに開口され、当該エアクリーナケースにおけるダーティーサイドには、当該ダーティーサイドに溜まろうとする水を逃がす水抜き穴が設けられている構成とすることができる。
このように構成すると、メインフレームの効率的利用が可能となる。
車体フレーム10は、ヘッドパイプ11と、その後方に延びるメインフレーム20と、メインフレーム20の後方に位置し、シート2を支えるシートレール30と、シートレール30に連結されたピボットプレート40とを備えている。
メインフレーム20の上部には燃料タンク4が取り付けられる。
ピボットプレート40には、ピボット41で該ピボット41を中心として揺動するスイングアーム5が取り付けられ、該スイングアーム5の後端に後輪WRが回転可能に取り付けられる。
50は後輪WRを駆動するエンジン、60は路面の振動を抑制するためのクッションである。
締結部材70の近傍の位置において、メインフレーム20とエンジン50との間には、ノックピン(81および/または81’)が設けられている。このノックピンは、締結部材70の少なくとも1箇所の近傍の位置に設ける構成とすることもできるが、後述するように、メインフレーム20の前後左右、計4箇所に設けることが望ましい。
第一ノックピン81は、図5(b)に示すように、メインフレーム20に設けられた嵌合穴20hと、エンジン50に設けられた嵌合穴50h1とに嵌合する。
水抜き穴22は、フィルターエレメント21fの濾紙又はスポンジよりも下方に設ける。これによって、フィルターエレメント21fの濾紙又はスポンジの水没を防止することができる。また、図7にも示すように、水抜き穴22は、サイドスタンド駐車時に、ダーティーサイド21dの下端部となる位置に設ける。図7において、dは水抜き穴22から排出される水滴を示している。
図8(a)(b)に示すように、シートレール30は、左右のシートレール30(L,R)を、フロントクロスプレート33f、リヤクロスプレート33r、後端結合ボルト33b、および後述するクロス部材100で結合して構成される。
リヤクロスプレート33rは、左右のシートレール30(L,R)の上部後部同士間を締結ボルト34rで結合する。
後端結合ボルト33bは、左右のシートレール30(L,R)の後端締結部35r同士を結合する。
メインフレーム20とシートレール30とは、第一締結部材71によって上下方向から締結される第一締結部91を備えている。
ピボットプレート40とシートレール30とは、第二締結部材72によって車幅方向から締結される第二締結部92を備えている。
クロス部材100は、シートレール30と別体であって、図11に示すように、左右のシートレール30(L,R)それぞれの内側において相対向して設けられた凹部35によって両端101が支持され、かつ、クロス部材締結部材73によってシートレール30に締結される。
クロス部材締結部材73は、その先端部分73sにおいてのみシートレール30の上部に設けたネジ受部37とネジ結合し、他の部分および頭部73hは、クロス部材100に設けた貫通孔107およびシートレール30の下部と嵌合する。
クッション結合部材74の軸線方向の延長線上において、シートレール30(この実施の形態では左のシートレール30(L))には、図2(b)および図8(b)に示すように、工具通し穴36が設けられている。
クッション結合部材74はボルトであり、左のシートレール30(L)に設けられた工具通し穴36からクロス部材100へ向けて挿入され、クロス部材100の挿通穴105、クッション60の上端61の穴61h、およびクロス部材100の貫通穴106を通って、先端のネジ部74sがナット74nとネジ結合される。
図10において、200は工具、108は工具200を通すために、クロス部材100に設けられた工具通し用凹部である。
大きい肉抜き穴103Rのリブ104Rの厚さt2は、小さい肉抜き穴103Lのリブ104Lの厚さt1より厚くなっている。
(1)メインフレーム20は車幅方向外側から内側に向けて設けられた締結部材70によってエンジン50に締結されるため、フレームとエンジン50とを締結する際の作業方向が車幅方向となり、作業性が良くなって、生産性が向上する。
ここで、ただ単に車幅方向に締結部材70を設けると、発進・停車といった動作時に生じる前後方向の荷重を、締結部材70の軸方向と垂直方向の部分(腹部)で受けることとなり、締結部材70そのものに強度が求められ、コスト高になるおそれがある。
これに対し、この実施の形態の鞍乗型車両によれば、前記締結部材70の少なくとも1箇所の近傍の位置で、メインフレーム20とエンジン50との間に、ノックピン(81および/または81’および/または82)が設けられているので、発進・停車といった動作時に生じる前後方向の荷重をノックピンで受けることが可能となる。そして、ノックピンの取付作業は、締結部材70による締結作業に比べて容易である。
以上のように、この実施の形態の鞍乗型車両によれば、作業性を良くして生産性を向上させることができると同時に、締結部材70そのものの強度を抑えながらも、発進・停車といった動作時に生じる前後方向の荷重に対応することが可能になる。
仮に、全4箇所に第一ノックピン81を設けようとした場合には、部品間の精度が高く求められるため、コストがあがってしまう。
これに対し、前方もしくは後方2箇所に第一ノックピン81を配置することで、路面反力入力時の締結座面F1のスリップをできるだけコストを抑えながら防ぐことが可能となる。
また、前後左右4箇所に第二ノックピン82を設けているにもかかわらず、その方向は車幅方向であるので、作業性は損なわれず、また、メインフレーム20における雌ネジ部20sとエンジン50における嵌合部50hは同方向に設けられるため、容易に高精度に作製することが可能であり、コストアップにはつながりにくい。
(10)この鞍乗型車両によれば、ピボットプレート40とシートレール30とが別体となっているので、重量面およびレイアウト面での制約を小さくすることができる。したがって、スリム、軽量化が可能となる。
このように、ピボットプレート40とシートレール30とを別体にした場合において、例えばシートレール30でクッション60の上端61を支持する構造としたときには、クッション60からの大きな荷重がシートレール30に入力された際、シートレール30とメインフレーム20並びにピボットプレート40との締結構造によっては、締結部における座面が相対的にスリップし、ディメンションや締結剛性が変化してしまうことも考えられる。
これに対し、この鞍乗型車両によれば、シートレール30は、前側の一端31がメインフレーム20に、前側の他端32がピボットプレート40に取り付けられ、メインフレーム20とシートレール30とは、第一締結部材71によって上下方向から締結される第一締結部91を備え、ピボットプレート40とシートレール30とは、第二締結部材72によって車幅方向から締結される第二締結部92を備えているので、シートレール30は、上下方向と車幅方向という異なる方向から締結される第一、第二締結部91,92を有することとなり、それによって、大きな荷重が入力された場合でも、締結部における座面F2,F3(図2(c)(d)参照)が相対的にスリップしにくくなり、ディメンションや締結剛性が変化しにくくなるという効果が得られる。
側面視において、車両前方から第一締結部91、第二締結部92、上端結合部93の順に並んでいるので、シートレール30にクッション60の荷重が入力された際、車幅方向に締結された第二締結部92を中心としてシートレール30を回動させるような力の作用を上下方向に締結された第一締結部91で良好に受け止めることが可能となる。
しかも、クッション60の上端結合部93は、左右のシートレール30の間に位置するクロス部材100に設けられ、当該クロス部材100は、シートレール30と別体であって、左右のシートレール30それぞれの内側において相対向して設けられた凹部35によって両端101が支持され、かつ、クロス部材締結部材73によってシートレール30に締結されているので、クッション60の荷重が直接作用するクロス部材100の材質をシートレール30の材質とは異なる材質とすることが可能となる。そのため、クロス部材100のみの剛性を上げることによって、車両の全体的な軽量化を図ることができるとともに、生産性も向上させることができる。
例えば、シートレール30はアルミダイカストとし、クロス部材100はアルミ展伸材とする。アルミ展伸材の材料強度は、アルミダイカストの3,4倍である。
クッション60の上端61を受けるクロス部材100とシートレール30とを別体とすると、クロス部材100とシートレール30とで型割の方向を変えることができる。
したがって、全体的に軽量化を図りながら必要強度を確保することが可能となる。
特に、シートレール30は車幅方向に型割をして製造し、クロス部材100は押し出し材で構成するか、または上下方向に型割をして製造すると、クロス部材100の押し出し方向または型割方向をクッション60荷重の受け方向と略一致させることができるため、クロス部材100の軽量化を図りながら必要強度を確保することができ、全体的にも、軽量化を図りながら必要強度を確保することが可能となる。
また、シートレール30については、車幅方向内側に突出形成される補強リブ38等を容易に製造できるようになり、クロス部材100については、リブ104(L,R)を容易に製造できるようになる。
Claims (7)
- ヘッドパイプ(11)と、その後方に延びるメインフレーム(20)と、メインフレーム(20)の後方に位置し、シート(2)を支えるシートレール(30)と、を備える鞍乗型車両であって、
前記メインフレーム(20)は、車幅方向外側から内側に向けて設けられた締結部材(70)によってエンジン(50)に締結され、
当該締結部材(70)の少なくとも1箇所の近傍の位置で、前記メインフレーム(20)とエンジン(50)との間に、ノックピン(81および/または82)が設けられ、
前記ノックピンとして、車幅方向と直交方向に設けられる第一ノックピン(81)、および/または車幅方向に設けられる第二ノックピン(82)が設けられ、
前記第一ノックピン(81)は、メインフレーム(20)下部の前後左右4箇所に設けられた締結部材(70)の内、前側2箇所、または後側2箇所において、それぞれの締結部材(70)の下方に設けられることを特徴とする鞍乗型車両。 - 請求項1において、
前記メインフレーム(20)とシートレール(30)とは別体であって、前記締結部材(70)はメインフレーム(20)のみに設けられ、かつ、メインフレーム(20)下部の前後左右4箇所に設けられることを特徴とする鞍乗型車両。 - 請求項1または2において、
前記第二ノックピン(82)は、メインフレーム(20)下部の前後左右4箇所に設けられた締結部材(70)それぞれの下方に設けられ、各第二ノックピン(82)は、前記メインフレーム(20)に設けられた雌ネジ部(20s)とネジ結合される雄ねじ部(82s)と、当該雄ねじ部(82s)より先端側にあって、エンジン(50)に設けられた嵌合部(50h)と嵌合する嵌合部(82p)とを有していることを特徴とする鞍乗型車両。 - 請求項1〜3のうちいずれか一項において、
車両前後方向において、前記第一ノックピン(81)は、前記締結部材(70)と第二ノックピン(82)との間に位置することを特徴とする鞍乗型車両。 - 請求項1〜4のうちいずれか一項において、
前記エンジン(50)は、シリンダが側面視V字形のVバンク形状であって、フロントバンク(51)の後部(51r)およびリアバンク(52)の前部(52f)が前記締結部材(70)で締結され、前記Vバンク形状の中心線(C1)から前後方向外方に向かって、締結部材(70)、第一ノックピン(81)、第二ノックピン(82)の順に設けられていることを特徴とする鞍乗型車両。 - 請求項5において、
前記第一ノックピン(81)を収容するメインフレーム(20)とエンジン(50)との合わせ面(F1)を、前後左右4箇所に備え、
当該合わせ面(F1)と前記Vバンク形状の中心線(C1)とが、側面視において直交することを特徴とする鞍乗型車両。 - 請求項5たは6において、
前記側面視V字形のシリンダ(51,52)の間には、吸気ファンネル(53)が設けられ、当該吸気ファンネル(53)は、前記メインフレーム(20)内に形成されたエアクリーナケース(21)に開口され、当該エアクリーナケース(21)におけるダーティーサイド(21d)には、当該ダーティーサイド(21d)に溜まろうとする水を逃がす水抜き穴(22)が設けられていることを特徴とする鞍乗型車両。
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