JP6241203B2 - ビスβ−ジケトン誘導体及びピラゾール誘導体の製造方法 - Google Patents

ビスβ−ジケトン誘導体及びピラゾール誘導体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6241203B2
JP6241203B2 JP2013226145A JP2013226145A JP6241203B2 JP 6241203 B2 JP6241203 B2 JP 6241203B2 JP 2013226145 A JP2013226145 A JP 2013226145A JP 2013226145 A JP2013226145 A JP 2013226145A JP 6241203 B2 JP6241203 B2 JP 6241203B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
derivative
bis
reaction
general formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013226145A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015086170A (ja
Inventor
一成 中原
一成 中原
福坂 潔
潔 福坂
鈴木 隆嗣
隆嗣 鈴木
岩本 良平
良平 岩本
大福 幸司
幸司 大福
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2013226145A priority Critical patent/JP6241203B2/ja
Publication of JP2015086170A publication Critical patent/JP2015086170A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6241203B2 publication Critical patent/JP6241203B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Pyridine Compounds (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、ビスβ−ジケトン誘導体及びピラゾール誘導体の製造方法に関する。より詳しくは、ビスβ−ジケトン誘導体及びそれを前駆体として用いたピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体の製造方法に関する。
β−ジケトン誘導体は、医薬品、機能性材料等に用いられるピラゾール化合物の前駆体や、金属錯体、イオン性液体、超分子等の中間体として有用であることから、その簡便な製造方法が求められている。特に医薬品、電子材料、光学関連の添加剤として用いられるピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体は高い純度が求められ、前駆体であるビスβ−ジケトン誘導体に関しても高い純度が求められる。
従来の製造方法としては、テトラヒドロフラン(THF)やエチレングリコールジメチルエーテル中でケトンとカルボン酸エステルを塩基存在下で反応して製造する方法が知られている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照。)。しかしながら、ビスβ−ジケトンを合成する場合は、塩基によりビスβ−ジケトンのα水素が引き抜かれ、原料や中間体と反応して3〜4量体を生成してしまう。これら多量体の溶解性はビスβ−ジケトンに近く、精製で取り除く場合は再結晶や懸濁精製を数回繰り返す必要があるため、高純度なビスβ−ジケトン誘導体を得る際には生産性が極めて低くなるという問題があった。
また、このような多量体を含んだままピラゾール誘導体を合成しても同様に精製が困難であるため、高純度のピラゾール誘導体を生産性高く得ることができない。そのためβ−ジケトンの多量体生成を抑制し、高純度のビスβ−ジケトン誘導体を高い反応収率で製造する技術が望まれていた。
米国特許第5191121号明細書
Spectrochimica Acta,Part A:Molecular and Biomolecular Spectroscopy;vol.70;(2008);p.1203−1207
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、作業負荷が少なく、生産性が高いビスβ−ジケトン誘導体の製造方法を提供することである。また、当該製造方法で製造されたビスβ−ジケトン誘導体を前駆体として用いたピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、ドナー性のある溶媒を用いて塩基によるα水素の引き抜き及び求核反応を促進し、多量体の生成を抑制することが可能であると考えた。そのような思想の元に鋭意検討した結果、ビスβ−ジケトン誘導体の製造過程において、ドナー数が特定数の範囲内の特定溶媒を用いて反応させることで多量体の生成を抑制し、高い反応収率でビスβ−ジケトン誘導体が生成することを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.ケトンとカルボン酸誘導体とを塩基の存在下で反応させて、下記一般式(1)で表される構造を有するビスβ−ジケトン誘導体を製造する製造方法であって、当該反応、ドナー数が25.0〜35.0の範囲内の溶媒である、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを用いて、反応の開始から終了までを−10〜20℃の範囲内の一定温度で行うことを特徴とするビスβ−ジケトン誘導体の製造方法。
Figure 0006241203
(式中、A及びAは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。Bはフェニレン基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、置換基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、スルホニル基、シアノ基又はアルキル基を表す。n及びmは0〜5の整数を表す。AとR及びAとRは、それぞれ独立に、環を形成しても良い。)
2.前記塩基の水中で25℃におけるpKaが、15〜38の範囲内であることを特徴とする第1項に記載のビスβ−ジケトン誘導体の製造方法。
.前記塩基がナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムアミド又は水素化ナトリウムであることを特徴とする第1項又は第2項に記載のビスβ−ジケトン誘導体の製造方法。
.前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のビスβ−ジケトン誘導体の製造方法。
Figure 0006241203
(式中、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ前記一般式(1)におけるR、R、R及びRと同義である。n2及びm2は、0〜5の整数を表す。)
.前記ケトンが芳香族ケトンであり、前記カルボン酸誘導体が、カルボン酸ジエステルであることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のビスβ−ジケトン誘導体の製造方法。
6.ピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体の製造方法であって、ケトンとカルボン酸誘導体との反応を塩基の存在下、ドナー数が25.0〜35.0の範囲内の溶媒である、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを用いて、反応の開始から終了までを−10〜20℃の範囲内の一定温度で行うことにより下記一般式(1)で表される構造を有するビスβ−ジケトン誘導体を製造したのち、当該ビスβ−ジケトン誘導体とヒドラジンとを反応させる工程を経て製造することを特徴とするピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体の製造方法。
Figure 0006241203
(式中、A 及びA は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。Bは、フェニレン基を表す。R 及びR は、それぞれ独立に、置換基を表す。R 及びR は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、スルホニル基、シアノ基、又はアルキル基を表す。n及びmは0〜5の整数を表す。A とR 及びA とR は、それぞれ独立に、環を形成しても良い。)
本発明の上記手段により、作業負荷が少なく、生産性が高いビスβ−ジケトン誘導体の製造方法を提供することができる。また、当該製造方法で製造されたビスβ−ジケトン誘導体を前駆体として用いたピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
ケトンとカルボン酸エステル誘導体の反応において、ドナー数が25.0〜35.0である特定溶媒を用いて、塩基によるα水素の引き抜き及び求核反応を促進することにより、系中に存在する反応中間体であるβ−ジケトン誘導体の濃度を低下させることができ、このため多量体の生成を抑制し、生産性を高く、すなわち高い反応収率で高純度のビスβ−ジケトン誘導体を生成することが可能となると考えられる。
反応溶媒のドナー数と、ビスβ−ジケトン誘導体の反応収率及び純度の関係を示すグラフの一例。 塩基のpKaと、ビスβ−ジケトン誘導体の反応収率及び純度の関係を示すグラフの一例。
本発明のビスβ−ジケトン誘導体の製造方法は、ケトンとカルボン酸誘導体とを塩基の存在下で反応させて、前記一般式(1)で表される構造を有するビスβ−ジケトン誘導体を製造する製造方法であって、当該反応、ドナー数が25.0〜35.0の範囲内の溶媒である、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを用いて、反応の開始から終了までを−10〜20℃の範囲内の一定温度で行うことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の反応性の観点から、前記塩基の水中で25℃におけるpKaが、15〜38の範囲内であることが好ましい。また、前記反応の反応温度が、生産性の観点から−10〜20℃の範囲内である。
さらに、本発明においては、前記ドナー数が25.0〜35.0の範囲内の溶媒が、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである。これにより、求核反応を促進し、副反応を抑制する効果が得られる。
また、前記塩基がナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムアミド又は水素化ナトリウムであることが好ましい。
さらに、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物であること本発明の効果発現の観点から好ましい。
また、前記ケトンが芳香族ケトンであり、前記カルボン酸誘導体が、カルボン酸ジエステルであることが好ましい。
本発明の製造方法で製造されたビスβ−ジケトン誘導体とヒドラジンとを反応させることにより、ピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体を、高収率、高純度で製造することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<本発明のビスβ−ジケトン誘導体の製造方法の概要>
本発明のビスβ−ジケトン誘導体の製造方法は、ケトンとカルボン酸誘導体とを塩基の存在下で反応させて、前記一般式(1)で表される構造を有するビスβ−ジケトン誘導体を製造する製造方法であって、当該反応、ドナー数が25.0〜35.0の範囲内の溶媒である、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを用いて、反応の開始から終了までを−10〜20℃の範囲内の一定温度で行うことを特徴とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、ドナー性のある溶媒を用いて塩基によるα水素の引き抜き及び求核反応を促進し、多量体の生成を抑制することが可能であると考えた。そのような思想の元に鋭意検討した結果、ビスβ−ジケトン誘導体の製造過程において、ドナー数が25.0〜35.0の範囲内の溶媒を用いて反応させることで多量体の生成を抑制し、高い反応収率でビスβ−ジケトン誘導体が生成することを見出し本発明に至った。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。ケトンとカルボン酸エステル誘導体の反応において、ドナー数が25.0〜35.0である溶媒を用いて、塩基によるα水素の引き抜き及び求核反応を促進することにより、系中に存在する反応中間体であるβ−ジケトン誘導体の濃度を低下させることができ、このため多量体の生成を抑制し、生産性を高く、すなわち高い反応収率で高純度のビスβ−ジケトン誘導体を生成することが可能となると考えられる。
以下、当該製造方法の詳細について説明する前に、一般式(1)で表される構造を有する化合物について説明する。
<一般式(1)で表される構造を有する化合物>
本発明において、ケトンとカルボン酸誘導体を原料として、下記一般式(1)で表される構造を有するビスβ−ジケトン誘導体を製造することができる。
Figure 0006241203
前記一般式(1)において、A及びAは、それぞれ独立に、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチヘキシル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、芳香族炭化水素環基(フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等)、芳香族複素環基(2−ピロール基、2−フリル基、2−チエニル基、ピロール基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、ピラゾリノン基、ピリジル基、ピリジノン基、2−ピリミジニル基等)を表す。
前記一般式(1)におけるA及びAとして、多量体抑制の観点からアルキル基、芳香族炭化水素環基が好ましく、芳香族炭化水素環基がさらに好ましく、フェニル基が特に好ましい。
前記一般式(1)におけるR及びRは、それぞれ独立に、置換基を表し、用途により適宜調整しても良い。該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基等)、シクロアルケニル基(2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等)、芳香族複素環基(2−ピロール基、2−フリル基、2−チエニル基、ピロール基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、ピラゾリノン基、ピリジル基、ピリジノン基、2−ピリミジニル基、トリアジン基、ピラゾール基、1,2,3−トリアゾール基、1,2,4−トリアゾール基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、1,2,4−オキサジアゾール基、1,3,4−オキサジアゾール基、チアゾール基、イソチアゾール基、1,2,4−チオジアゾール基、1,3,4−チアジアゾール基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アシルオキシ基(ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等)、アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等)、スルファモイル基(N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基等)、スルホ基、アシル基(アセチル基、ピバロイルベンゾイル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等)等の各基が挙げられる。
これらの中では、ハロゲン原子、アルキル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。
溶解性の観点から、アルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基がさらに好ましい。
前記一般式(1)において、Bは炭素を1〜7個有する2価の連結基であるフェニレン基を表す。炭素を1〜7個有する2価の連結基としては、2価のアルキル基(例えば、メチレン基、エチレン基、へキシレン等)、2価のアルケニル基(例えば、ビニレン基等)、2価のシクロアルキル基(例えば、シクロへキシレン基等)、2価の芳香族炭化水素環基(例えば、フェニレン基)、2価のヘテロ環基等が挙げられる。前記一般式(1)におけるBに置換できる置換基としては、前記R及びRで表される置換基と同様の基を挙げることができる。
前記一般式(1)におけるBに含まれる炭素が7個以下であればケトン誘導体又はカルボン酸誘導体のカルボニル基の電子密度を反応可能な程度に調整することが可能となり、反応性が向上する。また比較的親水的な構造となるため塩基との親和性も向上して反応性が向上する。
前記一般式(1)におけるBとしては、副生成物及び多量体抑制の観点からフェニレン基である。フェニレン基などの芳香族環の場合はα水素が無いため、副反応を抑えることが可能となる。
前記一般式(1)におけるBがフェニレン基である場合、前記一般式(1)におけるA及びAは溶解性の観点からメタ位又はオルト位で結合することが好ましく、メタ位であることがさらに好ましい。
前記一般式(1)におけるR及びRは用途により適宜調整しても良い。該置換基はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アシル基(アセチル基、ベンゾイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、アルキルオキシカルボニル基(メトキシカルボニル基等)、スルホニル基(メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基等)、シアノ基、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)を表す。前記一般式(1)におけるR及びRとしては、反応性の観点から水素原子、アシル基、アルキル基が好ましく、さらに好ましくは水素原子である。前記一般式(1)におけるR及びRは前記一般式(1)におけるA及びAとそれぞれ縮合して、それぞれ独立に、環を形成しても良い。
前記一般式(1)におけるn及びmは0〜5の整数を表し、0〜2が好ましい。n又はmが0のとき、それぞれ、A又はAの水素原子は置換基により置換されないことを示す。
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 0006241203
前記一般式(2)におけるR21、R22、R23及びR24は、前記一般式(1)におけるR、R、R及びRと同義である。
前記一般式(2)におけるn2及びm2は、0〜5で表される整数を表し、0〜2が好ましい。n2又はm2が0のとき、それぞれ、ベンゼン環の水素原子は置換基により置換されないことを示す。
以下に、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物と参考とされる化合物の具体例を示すが、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、以下の具体例によって何ら限定されることはない。なお、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は互変異性体であってもよく、水和物、溶媒和物又は塩を形成していてもよい。
Figure 0006241203
Figure 0006241203
Figure 0006241203
Figure 0006241203
Figure 0006241203
Figure 0006241203
Figure 0006241203
Figure 0006241203
Figure 0006241203
<一般式(1)で表される構造を有する化合物の製造方法>
次に、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物の合成方法について説明する。
本発明の製造方法は、具体的には、反応原料であるケトンとカルボン酸誘導体を反応させて前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を生成する反応工程と、生成された前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を反応溶液中から取り出す取出工程とを含む。
〈反応工程〉
反応工程では、前記一般式(1)で表される構造を有するビスβ−ジケトン誘導体を製造する際、ドナー数が25.0〜35.0の範囲内の溶媒である、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを用いて、反応の開始から終了までを−10〜20℃の範囲内の一定温度でケトンとカルボン酸誘導体とを塩基の存在下で反応させる。
ケトンの原材料としては、特に限定されないが、脂肪族ケトン、芳香族ケトンが好ましく、アセトフェノンが好ましい。カルボン酸誘導体としてはカルボン酸クロリドやカルボン酸エステルが好ましい。副生成物抑制の観点から原材料の組み合わせとしては、芳香族ケトンと、カルボン酸誘導体を反応させる方法が好ましい。さらに好ましくは、芳香族ケトンとカルボン酸エステルを反応させる方法が好ましく、芳香族ケトンとカルボン酸ジエステルを反応させることが特に好ましい。
カルボン酸誘導体とケトンを反応させる際に脱離する脱離基としては、特に制限は無いが、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が好ましく、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子がさらに好ましく、アルキルオキシ基が最も好ましい。このような脱離基を選択することで反応性が向上する。
(ドナー数が25.0〜35.0の溶媒)
前記一般式(1)で表される構造を有する合成に用いる溶媒は、前記ドナー数が25.0〜35.0の溶媒である。ここでドナー数について説明する。
ドナー数DNとはGutmannが提案したドナー性の尺度、すなわち溶媒のルイス塩基としての尺度である。1,2−ジクロロエタン中のSbClと溶媒とが反応する際のエンタルピー(−△HSbCl5)をkcalmol−1単位で求め、無名数として表した値である。
測定値として報告されていなくてもこれに準ずるドナー数を持つ有機溶媒は多数存在する。有機溶媒のドナー性はある程度推測することができる。例えばアルキル基が大きくなるにつれてドナー性は大きくなる傾向を持つ。DN(HOH)=18.0、DN(CHOH)=19.0、DN(COH)=20.0、DN(COH)=30.0となり、アルキル基の増加とともに順に大きくなる。アルキル基が大きいほうが電子供与性I効果(Inductive Effect)は大きく、ヒドロキシ基(−OH)のHの電子密度が高くなり電子供与性が強くなっているためであると考えることができる。このように、ドナー数が既知の物質と比較することにより、ドナー性を示す原子の電子密度の増減を考えるとその物質のドナー性の度合いを知ることができ、必ずしも文献値などの測定値は必要ない。
本発明においてはドナー数が25.0〜35.0の範囲内の溶媒を用いる。具体的な溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを用いる。溶媒のドナー数は、26.0〜30.0であることがさらに好ましい。
前記ドナー数が25.0以上の溶媒であれば、塩基によるα水素の引き抜き及び求核反応を促進し、反応中間体の濃度を低下させることが可能となり、多量体の生成を抑制することができる。また、前記ドナー数が35.0以下の溶媒を用いることで他の副反応を抑制することができ反応率が向上する。
溶媒の使用量は、特に制限はないが、使用するカルボン酸誘導体の質量に対して、0.5〜30倍量の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは、1.0〜25倍量であり、特に好ましくは、3.0〜20倍量の範囲内である。
(塩基)
ケトンとカルボン酸誘導体を反応させる場合、反応を加速させるために塩基を用いることが好ましい。塩基としては、無機塩基(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム、LDA等)及び有機塩基(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド、ジイソプロピルエチルアミン、N,N′−ジメチルアミノピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−メチルモルホリン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、ピリジン、リチウムジイソプロピルアミド等)のいずれを用いて良い。
前記塩基の水中、25℃におけるpKaとしては、反応性の観点から15〜38が好ましい。pKaが15以上であれば多くのケトン誘導体のα水素のpKaよりも大きいため反応性が高くなり、pKaが38以下であれば副反応を抑制することができるためである。上記塩基の中でも、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムブトキシドがさらに好ましい。無機塩基は、粉体のまま添加しても良く、溶媒に分散させた状態で添加しても良い。また、有機塩基は、溶媒に溶解した状態(例えば、ナトリウムメトキシドの28%DMF溶液等)で添加しても良い。
水中、25℃におけるpKaの値は、電気伝導度等から測定することができる。
塩基の使用量は、反応が進行する量であれば特に制限はないが、形成されるトリアゾール環に対して1.0〜5.0倍モルの範囲内が好ましく、更に1.05〜3.0倍モルの範囲内が好ましい。
反応に用いる原料、溶媒及び塩基の添加方法は、特に制限がなく、塩基を最後に添加しても良く、溶媒を最後に添加しても良い。また、ケトン誘導体又はカルボン酸誘導体を溶媒に分散若しくは溶解させ、塩基を添加する方法でも良い。作業安全性の観点から原料及び溶媒を分散もしくは溶解した後に塩基を少量ずつ添加する方法が好ましい。上記方法にすることで反応熱の急激な上昇を抑制することができ、反応率が向上する。
(反応温度他)
反応中の溶液温度は、生産性の観点から、反応の開始から終了までを−10〜20℃の範囲内の一定温度で行う
反応中は不活性雰囲気下で行うことが好ましく、窒素雰囲気下又は、アルゴン雰囲気下で反応を行うことが好ましい。不活性雰囲気下で行う際の不活性ガスの流速に関しては特に制限は無く、必要とされる反応設備に合わせて適宜に調整してもよい。
反応の終了は、反応原料として用いたケトン、カルボン酸誘導体又は反応中間体のピークの消失を、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いて確認することにより、判断することができる。
反応終了後、得られた前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を反応溶液中から取り出す。
〈取出工程〉
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物の取り出し方法としては、再結晶法、晶析、再沈殿、カラムクロマトグラフィー法等を用いることができる。なかでも、大量生産に好ましい取り出し方法としては、再結晶法、晶析、再沈殿が好ましい。
反応溶液の処理方法は、いかなる手段を用いても良いが、塩基を用いた場合は、反応溶液に酸を加えて中和する方法が好ましい。中和に用いる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸又は酢酸等が挙げられるが、特に好ましくは硫酸である。中和に使用する酸の量は、反応溶液のpHが1〜9になる範囲であれば特に制限はないが、使用する塩基に対して、0.1〜3倍モルが好ましく、特に好ましくは、0.2〜1.5倍モルの範囲内である。
反応溶液の処理方法として、適当な有機溶媒を用いて抽出する場合、抽出後に有機溶媒を水で洗浄した後、濃縮する方法が好ましい。ここでいう適当な有機溶媒とは、酢酸エチル、トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、又は、前記溶媒とテトラヒドロフラン又はアルコール系溶媒との混合溶媒のことであり、好ましくは酢酸エチル、テトラヒドロフランである。
一般式(1)で表される構造を有する化合物を晶析させる場合、特に制限はないが、中和した反応溶液に水を追加して晶析させる方法、若しくは、一般式(1)で表される構造を有する化合物が溶解した溶液を中和して晶析させる方法が好ましい。
収率向上のため、水を添加して結晶を析出させることも好ましい。
水の添加量としては特に制限は無いが、反応に用いた溶媒の質量に対して0.5〜1倍程度の質量が好ましく、より好ましくは0.6〜0.8倍程度である。
一般式(1)で表される構造を有する化合物の取り出し方法として最も好ましくは、反応溶液を0〜10℃程度まで冷却した後、反応に用いた塩基のモル数に対して1.0〜1.2倍モル程度の酸を投入して塩基を中和し、反応溶液を酸性〜中性付近に調整し、減圧留去や溶媒添加により濃度を調整して晶析させる方法である。この方法は、取り出し操作において、作業者が反応溶液又は晶析液と接触する可能性が高い状況下において、作業者の安全性を向上させることができる点で、有効な方法でもある。
反応液から一般式(1)で表される構造を有する化合物を取り出して得られた粗精製物は純度を向上するために精製しても良い。精製方法としては、再結晶、懸濁精製、カラムククロマトグラフィーによる精製が好ましく、生産性の観点から再結晶、懸濁精製が好ましい。
再結晶及び懸濁精製で用いることのできる溶媒としては、特に制限は無いが、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、アセトン、酢酸エチル、トルエン、へプタン、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒を適宜用いることができる。
例えば、例示化合物A−001は以下のスキームによって合成することができる。
Figure 0006241203
また、例示化合物A−001は下記のスキームでも同様に合成することができる。
Figure 0006241203
その他の化合物も同様の方法で合成することができる。
<一般式(1)で表される構造を有する化合物の使用方法>
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、種々の反応中間体として用いることができ、好ましくはピラゾール誘導体の前駆体、又は金属錯体の原料として用いることが好ましい。
<一般式(1)で表される構造を有する化合物とヒドラジンを用いたピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体の製造方法>
本発明においてピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体の製造方法は、本発明の製造方法で製造された前記一般式(1)で表される構造を有するビスβ−ジケトン誘導体とヒドラジンを反応させる工程を含む。一般式(1)で表される構造を有する化合物は上記工程を経た反応液のままヒドラジンと反応させても良く、上記工程の後に粗結として取り出した後にヒドラジンと反応させても良く、粗結を再結晶、懸濁精製などの手段により精製した後にヒドラジンと反応させても良い。用いるヒドラジンとしてはヒドラジンの濃度が40〜80%であることが好ましく、50〜60%であることがさらに好ましい。
本発明におけるピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体を製造する際に用いることのできる溶媒としては、特に制限はアルコール系溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールがさらに好ましく、イソプロパノールが特に好ましい。
溶媒の使用量は、特に制限はないが、使用する前記一般式(1)で表される構造を有する化合物に対して、0.5〜30倍量の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは、1.0〜25倍量であり、特に好ましくは、3.0〜20倍量の範囲内である。
ヒドラジドの使用量は、反応が進行する量であれば特に制限はないが、形成されるピラゾール環に対して1.0〜5.0倍モルの範囲内が好ましく、更に1.05〜3.0倍モルの範囲内が好ましい。
反応に用いる前記一般式(1)で表される構造を有するビスβ−ジケトン、溶媒及びヒドラジンの添加方法は、特に制限がなく、ヒドラジンを最後に添加しても良く、前記一般式(1)で表される構造を有するビスβ−ジケトンを最後に添加しても良い。また、前記一般式(1)で表される構造を有するビスβ−ジケトンを溶媒に分散若しくは溶解させ、ヒドラジンを添加する方法でも良い。好ましい方法としては、安全性の観点から前記一般式(1)で表される構造を有するビスβ−ジケトンを溶媒に分散若しくは溶解させ、水で希釈して濃度が40〜80%としたヒドラジンを少量ずつ添加する方法が好ましい。上記方法により急激な反応進行による温度上昇を抑制することができる。
反応中の溶液温度は、反応が進行する温度であればいかなる温度でも構わないが、好ましくは、20〜100℃の範囲内であり、更に好ましくは、40〜90℃の範囲内であり、特に好ましくは50〜80℃の範囲内である。
反応中は不活性雰囲気下で行うことが好ましく、窒素雰囲気下又は、アルゴン雰囲気下で反応を行うことが好ましい。
反応溶液の処理方法は、いかなる手段を用いても良いが、生産性及び純度の観点から塩基性条件で結石、ろ過することが好ましい。反応溶液に酸を加えて中和する場合は、中和に用いる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸又は酢酸等が挙げられるが、特に好ましくは酢酸である。中和に使用する酸の量は、反応溶液のpHが1〜9になる範囲であれば特に制限はないが、使用する塩基に対して、0.1〜3倍モルが好ましく、特に好ましくは、0.2〜1.5倍モルの範囲内である。
反応溶液の処理方法として、適当な有機溶媒を用いて抽出する場合、抽出後に有機溶媒を水で洗浄した後、濃縮する方法が好ましい。ここでいう適当な有機溶媒とは、酢酸エチル、トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、又は、前記溶媒とテトラヒドロフラン又はアルコール系溶媒との混合溶媒のことであり、好ましくは酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフランである。
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を用いてピラゾール誘導体を合成すると、ピラゾール環の−NH−の位置が異なる構造異性体を生成する場合があるが本発明においては構造異性体を形成しても良く、構造異性体の混合物でも良い。
例えばピラゾール誘導体C−001は以下のスキームによって合成することができる。
Figure 0006241203
<一般式(1)で表される構造を有する化合物を前駆体として用いたピラゾール誘導体の使用方法>
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を前駆体として用いたピラゾール誘導体は、医薬品、電子材料、樹脂添加剤などに用いることができる。
好ましい使用方法としては、電子材料又は樹脂添加剤である。電子材料の使用方法としては化合物を蒸着又は塗布して使用しても、樹脂に添加して使用しても良い。
樹脂添加剤としては、適宜量を調整して樹脂組成物、光学フィルム等に含有され得る。添加量としては樹脂(例えば、セルロースエステル、アクリル樹脂、カーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマー等)に対して、1〜15質量%の範囲内で含むことが好ましく、特に2〜10質量%の範囲内で含むことが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
〔実施例1〕
<製造例1>
(例示化合物A−001の合成)
例示化合物A−001を以下のスキームによって合成した。
Figure 0006241203
窒素雰囲気下、N,N−ジメチルホルムアミド100mlに19.0gのアセトフェノンと12.0gのイソフタル酸ジメチルを溶解して−10℃まで冷却した。NaNH 8.0gを3時間かけて少しずつ添加し、添加終了後−10℃で15時間撹拌した。HPLCで反応の終点を確認した後、水70mlに濃硫酸11gを溶解した希硫酸を反応液に少しずつ添加した。析出した固体をろ過、温水150mlで洗浄した後に酢酸エチル50mlで洗浄した。ろ取した結晶を酢酸エチル30ml、水30mlで室温で4時間懸濁してろ過、酢酸エチルで洗浄して乾燥することで例示化合物A−001を14.3g得た(収率62.5%、HPLC単純面積比98.5%)
<製造例2〜製造例36>
表1に記載した溶媒、塩基、反応温度に変更し、当量を合わせた以外は製造例1と同様の方法で、各種ケトンと各種カルボン酸ジメチルを反応させ、表1に記載の例示化合物の製造例2〜43の製造を行った。
各製造例の製造条件と得られたビスβ−ジケトンの反応収率と純度の結果を表1に示す。
なお、比較化合物B−001及び比較化合物B−002の構造は以下に記載した。またHPLC単純面積比を純度として以下の表に示した。
Figure 0006241203
また、表中では以下の略号を用いた。
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
NMP:N−メチル−2−ピロリジノン
DMI:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
LDA:リチウムジイソプロピルアミド
Figure 0006241203
また、図1は反応溶媒のドナー数と、ビスβ−ジケトン誘導体の反応収率及び純度の関係を示すグラフであり、図2は、塩基のpKaと、ビスβ−ジケトン誘導体の反応収率及び純度の関係を示すグラフである。
図1は反応条件が一定で溶媒のドナー数のみ変更した製造例1〜製造例9及び製造例38〜製造例40の結果をもとに作成した。また、図2は反応条件が一定で塩基のpKaのみ変更した製造例1及び製造例10〜製造例15の結果をもとに作成した。
以上の結果から、本発明の製造方法によれば、収率及び純度の高い一般式(1)で表される構造を有する化合物の製造が可能であることが分かる。
一方、比較例によれば、溶媒のドナー性が25〜35を外れると著しく収率及び純度が低下することが分かる。また、前記一般式(1)で表される構造と異なるβ−ジケトン体の収率及び純度も低く、生産性に著しく劣ることは明らかである。
また、図2から、塩基のpKaは15〜38の範囲内が好ましいことが分かる。
[実施例2]
<ピラゾール誘導体の製造例P−1>
ピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体C−001を以下のスキームによって合成した。
Figure 0006241203
窒素雰囲気下、実施例1で製造した例示化合物A−001を100g、エタノール 500mlを加えて90℃で加熱した。反応液にヒドラジン1水和物を35.0gを2時間かけて滴下した後に4時間加熱、還流を行い、室温まで冷却した。析出した固体をろ過、エタノールで洗浄して乾燥することでピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体C−001を93.6g得た(収率93.8%(異性体を含む)、HPLC単純面積比99.0%)
<ピラゾール誘導体の製造例P−2〜製造例P−43>
表2に記載の、実施例1で製造した原料に変更し、当量を合わせた以外はピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体の製造例P−1と同様の方法で、各ピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体を合成した。
各製造例で得られたピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体の反応収率と純度の結果を表2に示す。
Figure 0006241203
ピラゾール誘導体の製造に関しても、本発明に係る反応工程を含む製造方法であれば高純度で収率高く製造可能であることが分かる。

Claims (6)

  1. ケトンとカルボン酸誘導体とを塩基の存在下で反応させて、下記一般式(1)で表される構造を有するビスβ−ジケトン誘導体を製造する製造方法であって、当該反応、ドナー数が25.0〜35.0の範囲内の溶媒である、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを用いて、反応の開始から終了までを−10〜20℃の範囲内の一定温度で行うことを特徴とするビスβ−ジケトン誘導体の製造方法。
    Figure 0006241203
    (式中、A及びAは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。Bは、フェニレン基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、置換基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、スルホニル基、シアノ基、又はアルキル基を表す。n及びmは0〜5の整数を表す。AとR及びAとRは、それぞれ独立に、環を形成しても良い。)
  2. 前記塩基の水中で25℃におけるpKaが、15〜38の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のビスβ−ジケトン誘導体の製造方法。
  3. 前記塩基がナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムアミド又は水素化ナトリウムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のビスβ−ジケトン誘導体の製造方法。
  4. 前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のビスβ−ジケトン誘導体の製造方法。
    Figure 0006241203
    (式中、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ前記一般式(1)におけるR、R、R及びRと同義である。n2及びm2は、0〜5の整数を表す。)
  5. 前記ケトンが芳香族ケトンであり、前記カルボン酸誘導体が、カルボン酸ジエステルであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のビスβ−ジケトン誘導体の製造方法。
  6. ピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体の製造方法であって、ケトンとカルボン酸誘導体との反応を塩基の存在下、ドナー数が25.0〜35.0の範囲内の溶媒である、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを用いて、反応の開始から終了までを−10〜20℃の範囲内の一定温度で行うことにより下記一般式(1)で表される構造を有するビスβ−ジケトン誘導体を製造したのち、当該ビスβ−ジケトン誘導体とヒドラジンとを反応させる工程を経て製造することを特徴とするピラゾール母核を2個有するピラゾール誘導体の製造方法。
    Figure 0006241203
    (式中、A 及びA は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。Bは、フェニレン基を表す。R 及びR は、それぞれ独立に、置換基を表す。R 及びR は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、スルホニル基、シアノ基、又はアルキル基を表す。n及びmは0〜5の整数を表す。A とR 及びA とR は、それぞれ独立に、環を形成しても良い。)
JP2013226145A 2013-10-31 2013-10-31 ビスβ−ジケトン誘導体及びピラゾール誘導体の製造方法 Active JP6241203B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013226145A JP6241203B2 (ja) 2013-10-31 2013-10-31 ビスβ−ジケトン誘導体及びピラゾール誘導体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013226145A JP6241203B2 (ja) 2013-10-31 2013-10-31 ビスβ−ジケトン誘導体及びピラゾール誘導体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015086170A JP2015086170A (ja) 2015-05-07
JP6241203B2 true JP6241203B2 (ja) 2017-12-06

Family

ID=53049347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013226145A Active JP6241203B2 (ja) 2013-10-31 2013-10-31 ビスβ−ジケトン誘導体及びピラゾール誘導体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6241203B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023118482A1 (en) 2021-12-24 2023-06-29 Sun Chemical Corporation Amine synergists with uv-a absorption

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020040149A1 (ja) * 2018-08-22 2020-02-27 国立大学法人北海道大学 窒化処理液、窒化処理金属酸化物の製造方法及び窒化処理酸化インジウム膜

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4379823A (en) * 1976-11-02 1983-04-12 A. B. Dick Company Composition for forming photoconductive coating containing a photoconductive donor and an acceptor-sensitizer
US4360584A (en) * 1981-03-18 1982-11-23 A. B. Dick Company Method of photopolymerization with complex metal chelate catalysts
JP4114400B2 (ja) * 2002-01-09 2008-07-09 昭和電工株式会社 β−ジケトン化合物、その金属錯体および金属化合物の製造方法
JP4744815B2 (ja) * 2003-06-10 2011-08-10 昭和電工株式会社 β−ジケトン化合物、その金属錯体および金属化合物の製造方法
CN100567295C (zh) * 2005-12-02 2009-12-09 西安瑞联近代电子材料有限责任公司 用于oled器件的红色掺杂材料bdcjt的合成方法
DE102009003783B4 (de) * 2009-04-15 2011-01-20 Karlsruher Institut für Technologie Alkylierte Bis-Pyrazolylpyridine zur selektiven Extraktion von Actiniden(III)
CN102225933B (zh) * 2011-04-26 2013-03-06 上海大学 2,6-二甲基-3,5-二[3-(5-三氟甲基)-1h-吡唑]吡啶及其合成方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023118482A1 (en) 2021-12-24 2023-06-29 Sun Chemical Corporation Amine synergists with uv-a absorption

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015086170A (ja) 2015-05-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
ES2604008T3 (es) 1-Cloro-3-yodo-5-(trifluorometil)benceno
JP5244369B2 (ja) 5−アミノピラゾール誘導体の製造方法、アゾ色素
BR112015004097B1 (pt) Procedimento para a descarboxilação de derivados do ácido 3,5-bis (haloalquil) -pirazol-4-carboxílico
JP2001512105A (ja) 2−(3−ピラゾリルオキシメチレン)ニトロベンゼンの製造法
JP6241203B2 (ja) ビスβ−ジケトン誘導体及びピラゾール誘導体の製造方法
JP5114901B2 (ja) 含窒素多環複素環化合物の製造方法
JP6528529B2 (ja) ビスピラゾール誘導体の製造方法
JP5789362B2 (ja) 5−アミノピラゾール誘導体又はその塩の製造方法
JP2011201794A (ja) 5−アミノピラゾール誘導体及びその塩の製造方法
TWI651306B (zh) 自α,α-二鹵胺類與酮亞胺類製備3,5-雙(鹵烷基)吡唑衍生物之方法
JP5763179B2 (ja) 1−アルキル−3−ジフルオロメチル−5−ヒドロキシピラゾール類の製造方法
JP4074771B2 (ja) ジシアノメチリデン化合物及びヘテロ環化合物の合成方法
JP4500509B2 (ja) アゾ化合物の製造方法
JP3407088B2 (ja) トリアゾール誘導体の製造方法およびその中間体
JP4778717B2 (ja) 複素環式化合物の製造方法
JP5264392B2 (ja) 5−アミノピラゾール誘導体の製造方法
JP4126944B2 (ja) 5−アミノ−4−ニトロソピラゾール化合物の製法
JP4273271B2 (ja) ピラゾール化合物及びその製造法
JP2010077066A (ja) 5−アミノピラゾール誘導体の製造方法
JP4771757B2 (ja) 高選択的な1,2−ジクロリド化合物の製造方法
JP4158536B2 (ja) 3−無置換−5−アミノ−4−ニトロソピラゾール化合物の製造法
JP2018087142A (ja) 3−ハロゲン化アルキルピラゾール誘導体の製造方法
JP2005289982A (ja) 1,2,4−チアジアジン−1,1−ジオキシド化合物の製造方法
JP4267943B2 (ja) 3−アミノ−4−置換−5−ピラゾロン類の製造方法
JP2011178706A (ja) アルコキシ置換トリアジン化合物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160624

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170328

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170704

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170830

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171010

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171023

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6241203

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150