JP6230549B2 - アルドキシムデヒドラターゼを使用するテルペンオキシムからのテルペンニトリルの製造方法 - Google Patents

アルドキシムデヒドラターゼを使用するテルペンオキシムからのテルペンニトリルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、オキシムデヒドラターゼを使用してオキシムからニトリルを生物触媒的に製造するための新規製造方法、およびオキシムデヒドラターゼ活性を有する新規突然変異体、およびニトリルの生物触媒的製造方法における、例えば特に、シトラールオキシム、ネラールオキシム、ゲラニアールオキシムまたはシトロネラールオキシムからのシトラールニトリル、ネラールニトリル、ゲラニアールニトリルまたはシトロネリルニトリルの製造方法における、その使用、それらに使用可能なオキシムデヒドラターゼ、そのヌクレオチド配列、ならびにそれを含む発現構築物または微生物に関する。
テルペンは、イソプレン骨格から誘導される有機化合物であり、特に、生物に存在する二次物質として、特に、植物における二次物質として天然に存在する。テルペンは、しばしば、芳香性または香味性物質であり、例えば、植物由来精油から得られうる。したがって、テルペンおよびテルペン誘導体は、化粧品、ボディケアの分野における製品または洗浄用製品の成分、例えば、香料中の芳香性物質または芳香の混合物、ボディローション、シャワージェル、石鹸、洗剤または洗浄剤の成分として使用される。使用される化合物に応じて、種々の芳香物質、例えば、香料性の、新鮮な、柑橘類のような又は花のような、対応製品の芳香物質が製造されうる。
対応する出発製品は、対応製品への混合のために化学工業により提供され、しばしば、テルペンまたはテルペン誘導体のニトリルである。具体例としては、強い新鮮な、柑橘類のような芳香を有するゲラニルニトリル、またはバラのような芳香を有するシトロネリルニトリルが挙げられる。
対応ニトリルは天然物として単離され、あるいは適当な前駆体から化学合成される。例えば、本出願人のWO 2006/106141は前駆体としての不飽和ニトリルからの飽和ニトリルの製造を記載している。EP 0 491 127は、ヘキセノール上に不飽和ニトリルを付加して修飾ニトリルを得ることを記載している。どちらの場合も、ニトリル基を既に含む出発化合物が使用される。したがって、ニトリル以外の前駆体が使用可能な方法が望ましい。DE 3139358はオキシムから対応ニトリルへの化学反応によるニオイ物質の製造方法を記載している。この方法の場合、必要な脱水は極端な反応条件、特に、苛性脱水剤および沸騰温度を要する。
したがって、オキシムからニトリルを製造するための代替的製造方法、特に、より穏和な反応条件下で行われる製造方法が必要とされている。更に、そのような製造方法を行うための適当な試薬が必要とされている。
WO 2006/106141 EP 0 491 127 DE 3139358
発明の概括
前記の第1の課題は、一般式I
Figure 0006230549
(式中、
Rは、直鎖状または単一もしくは多分枝状の、飽和または単一もしくは多重不飽和の、所望により単一または多重に置換されていてもよい、4〜19個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素残基を示し、
nは1または2を示す)のニトリルの生物触媒的製造方法により解決される。該製造方法においては、
a)一般式II
Figure 0006230549
(式中、Rおよびnは前記と同意義を有し、式IIの化合物は立体異性的に純粋な形態で、または立体異性体の混合物として存在する)のオキシムを、脂肪族アルドキシムデヒドラターゼ(4.99.1.5)、フェニルアセトアルドキシムデヒドラターゼ(PAOx)(EC 4.99.1.7)またはインドールアセトアルドキシムデヒドラターゼ(4.99.1.6)の存在下、式Iの化合物(ここで、式Iの化合物は立体異性的に純粋な形態で、または立体異性体の混合物として存在する)へと反応させ、
b)所望により、ついで反応生成物を更に精製する。
前記の第2の課題は、本発明の方法において使用されうるタンパク質をコードする、本明細書中に定められている核酸配列を提供することにより解決された。
図1は、シトロネラールオキシムからシトロネリルニトリルへの変換を図示する。 図2A:PAOxでの生物触媒的反応の前のE/Z-シトロネラールオキシムのGCクロマトグラム(RT: 7.816 & 8.018分)。 図2B:PAOxでの生物触媒的反応中のE/Z-シトロネラールオキシムのGCクロマトグラム(RT: 18時間)。シトロネリルニトリルは反応生成物として検出可能である(RT: 6.765分)。 図2C:PAOxでの生物触媒的反応中に生成したシトロネリルニトリルのGCクロマトグラム(時間: 90時間)。E/Z-シトロネラールオキシムは該ニトリルへと完全に変換された。
発明の詳細な説明
A.一般的定義
本発明の意義における「アルドキシムデヒドラターゼ」は、一般に、一般式R1R2C=N-OH(式中、R1はいずれかの有機残基を示し、R2は水素を示す)のオキシムからの水の脱離を触媒する酵素または酵素突然変異体である。アルドキシムデヒドラターゼなる語は、他の、より厳密に特定されたアルドキシムデヒドラターゼ、例えば脂肪族アルドキシムデヒドラターゼ(“Nomenclature Committee of the International Union of BiochemistryおよびMolecular Biology”のEC命名法に従えばEC 4.99.1.5)、フェニルアセトアルドキシムデヒドラターゼ(PAOx)(EC 4.99.1.7)またはインドールアセトアルドキシムデヒドラターゼ(EC 4.99.1.6)を含む。
酵素反応の可逆性のため、本発明は、両方の反応方向における、本明細書に記載されている酵素反応に関する。
アルドキシムデヒドラターゼの「機能的突然変異体」は後記の酵素の「機能的等価体」を含む。
「生物触媒的(製造)方法」なる語は、本発明による「アルドキシムデヒドラターゼ」の、または「アルドキシムデヒドラターゼ活性」を有する酵素の触媒活性の存在下で行われるいずれかの方法、すなわち、原料の又は精製された、溶解された、分散された若しくは固定化された酵素の存在下あるいは該酵素活性を有する又は発現する全微生物細胞の存在下の方法を意味する。したがって、生物触媒的方法は酵素的および微生物的方法を含む。
「立体異性的に純粋」なる語は、少なくとも1つの不斉中心を有する本発明において記載されている化合物の、幾つかの可能な立体異性の1つが、高い「エナンチオマー過剰率」、または高い「エナンチオマー純度」、例えば、少なくとも90%ee、特に、少なくとも95%ee、または少なくとも98%ee、または少なくとも99%eeで存在することを意味する。該ee%値は以下の式から計算される。
ee% = [XA-XB]/[XA+XB]*100
(式中、XAおよびXBは、それぞれ、エナンチオマーAおよびBのモル分率を示す)。
「標準条件下の基準基質」を使用して決定された「アルドキシムデヒドラターゼ活性」は、例えば、オキシム基質からのニトリル生成物の生成を示す酵素活性を意味する。標準条件は、例えば、10mM〜0.2M、特に15〜100mM、例えば約20〜25mMの基質濃度、4〜8のpH、および例えば15〜30または20〜25℃の温度である。該決定は、組換えアルドキシムデヒドラターゼ発現細胞、細胞溶解アルドキシムデヒドラターゼ発現細胞、その画分または富化もしくは精製アルドキシムデヒドラターゼ酵素を使用して行われうる。特に、該基準基質は式(II)のオキシム、特にシトロネラールオキシム、またはシトロネラールオキシムのラセミ化合物であり、これは実施例にも更に詳細に記載されている。アルドキシムデヒドラターゼ活性を検出するための具体的な標準的アッセイは、例えば、Kato, Y.ら, Biochemistry 2000, 39, 800-809に記載されている。これによれば、標準的な調製物は50μmol リン酸カリウムバッファー(pH 7.0)、125 nmol FMN、2.5 μmol 酵素を含有する。10分後、500 μLの0.5 M H3PO4を加えることにより、該反応を停止させ、ついで、遠心分離(18 000 g、10分間)により得られた上清を、生じた生成物に関して分析する。
「テルペン」は、イソプレン単位(C5単位)から構成される炭化水素、特に、5で割り切れる炭素数を有する非環状テルペン、例えばスクアレンである。
「テルペノイド」は、例えば、炭素原子および/またはヘテロ原子の付加的挿入により、テルペン、特に非環状テルペンから誘導される物質、例えばシトロネラールである。
本発明の意義における「テルペン様」化合物は、特に、後記の一般構造式(IV)で表される化合物を含む。
一般に、本発明においては、本明細書に記載されている全ての異性体、例えば、構造異性体、および特に立体異性体およびそれらの混合物、例えば光学異性体または幾何異性体、例えばEおよびZ異性体、ならびにそれらの組合せが含まれる。分子内に幾つかの不斉中心が存在する場合には、本発明は、これらの不斉中心の種々のコンホメーションの全組合せ、例えばエナンチオマーのペアを含む。
特に示されていない限り、本明細書においては以下の一般的な化学的定義が適用される。
脂肪族炭化水素残基は、芳香族化合物を除く、非環状または環状飽和または不飽和炭素化合物から誘導される残基を含む。脂肪族炭化水素残基は、特に、直鎖状または分枝状アルキル残基、および直鎖状または分枝状アルケニル残基を含む。非限定的な例を以下に挙げる。
アルキルおよびそれから誘導される全てのアルキル部分、例えばヒドロキシアルキル:1〜4、1〜6、1〜8、1〜10または4〜10個の炭素原子を有する飽和直鎖状または単一もしくは多(例えば、1、2、3または4)分枝状炭化水素残基、例えば、
・C1-C10-アルキルまたはC1-C6-アルキルまたはC4-C10-アルキル:例えば、C1-C4-アルキルの典型的代表例としてのメチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、および1,1-ジメチルエチル;ならびにペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピルおよび1-エチル-2-メチルプロピル、例えば、特に、表4に記載されているRを意味するもの、例えば、ヘキシル。
・ヒドロキシ-C1-C10-アルキル、例えば、ヒドロキシ-C1-C6-アルキル、またはヒドロキシ-C1-C4-アルキル、またはヒドロキシ-C4-C10-アルキル:例えば、ヒドロキシメチル、1-または2-ヒドロキシエチル、1-, 2-または3-ヒドロキシプロピル、1-ヒドロキシメチルエチル、1-, 2-, 3-または4-ヒドロキシブチル、1-ヒドロキシメチルプロピルおよび2-ヒドロキシメチルプロピル;または前記アルキル残基の他のヒドロキシ-置換類似体、例えば、特に、表4に記載されているRを意味するもの、例えば、6-ヒドロキシ-6-メチルヘプタ-1-イル。
・アルケニルは、2〜4、2〜6、2〜8、2〜10、4〜10、2〜20または4〜20個の炭素原子およびいずれかの位置における二重結合または2個の非累積共役または特に非共役二重結合を有する単一または多重、特に単一または二重不飽和直鎖状または単一もしくは多(例えば、1、2、3または4)分枝状炭化水素残基、例えば、C2-C6-アルケニル、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチルエテニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-メチル-1-ブテニル、2-メチル-1-ブテニル、3-メチル-1-ブテニル、1-メチル-2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-メチル-3-ブテニル、2-メチル-3-ブテニル、3-メチル-3-ブテニル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、1,2-ジメチル-1-プロペニル、1,2-ジメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-プロペニル、1-エチル-2-プロペニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-メチル-1-ペンテニル、2-メチル-1-ペンテニル、3-メチル-1-ペンテニル、4-メチル-1-ペンテニル、1-メチル-2-ペンテニル、2-メチル-2-ペンテニル、3-メチル-2-ペンテニル、4-メチル-2-ペンテニル、1-メチル-3-ペンテニル、2-メチル-3-ペンテニル、3-メチル-3-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-メチル-4-ペンテニル、2-メチル-4-ペンテニル、3-メチル-4-ペンテニル、4-メチル-4-ペンテニル、1,1-ジメチル-2-ブテニル、1,1-ジメチル-3-ブテニル、1,2-ジメチル-1-ブテニル、1,2-ジメチル-2-ブテニル、1,2-ジメチル-3-ブテニル、1,3-ジメチル-1-ブテニル、1,3-ジメチル-2-ブテニル、1,3-ジメチル-3-ブテニル、2,2-ジメチル-3-ブテニル、2,3-ジメチル-1-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-3-ブテニル、3,3-ジメチル-1-ブテニル、3,3-ジメチル-2-ブテニル、1-エチル-1-ブテニル、1-エチル-2-ブテニル、1-エチル-3-ブテニル、2-エチル-1-ブテニル、2-エチル-2-ブテニル、2-エチル-3-ブテニル、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-メチル-2-プロペニル、1-エチル-2-メチル-1-プロペニルおよび1-エチル-2-メチル-2-プロペニル、例えば、特に、表4に記載されているRを意味するもの、例えば、2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエン-1-イル、2,6-ジメチルヘプタ-5-エン-1-イル、2,6-ジメチルオクタ-1,5-ジエン-1-イル、オクタ-1,5-ジエン-1-イル、1,5-ジメチルヘキサ-4-エン-1-イル、1,5,9-トリメチルノナ-8-エン-1-イル。
「オキソ」は、例えば、それが結合している炭素原子と一緒になってケト基(C=O)を形成している残基を意味する。したがって、例えば、前記炭化水素残基の誘導残基としては、1以上のケト基を含有するものが挙げられる。
「メチレン」(=CH2)は、例えば、それが結合している炭素原子と一緒になってビニル残基(-CH=CH2)を形成している残基を意味する。
B.本発明の特定の実施形態
本発明は、特に、以下の特定の実施形態に関する。
1.一般式I
Figure 0006230549
(式中、Rは、直鎖状または単一もしくは多分枝状の、飽和または単一もしくは多重不飽和の、所望により単一または多重に置換されていてもよい、4〜19個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素残基、例えば、特に、直鎖状もしくは分枝状C1-C10-アルキル、または直鎖状もしくは分枝状ヒドロキシ-C1-C10-アルキル、または直鎖状もしくは分枝状C2-C10-アルケニル、または直鎖状もしくは分枝状二重不飽和C4-C10-アルケニルを示し、nは1または2、特に1を示す)のニトリルの生物触媒的製造方法。該製造方法においては、一般式II
Figure 0006230549
(式中、Rおよびnは前記と同意義を有し、式IIの化合物は立体異性的に純粋な形態で、または立体異性体の混合物として存在する)のオキシムを、脂肪族アルドキシムデヒドラターゼ(4.99.1.5)、フェニルアセトアルドキシムデヒドラターゼ(PAOx)(EC 4.99.1.7)またはインドールアセトアルドキシムデヒドラターゼ(4.99.1.6)、例えば、配列番号1および4〜28から選択されるアミノ酸配列を含む、またはこれらの配列の1つに対して少なくとも60%、例えば少なくとも65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98もしくは99%まで同一であるアミノ酸配列を有する酵素、特に、フェニルアセトアルドキシムデヒドラターゼ(PAOx)(EC 4.99.1.7)、特に、配列番号1を含む、またはこれに対して少なくとも60%、例えば少なくとも65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98もしくは99%まで同一であるアミノ酸配列を有する酵素の存在下、式Iの化合物(ここで、式Iの化合物は立体異性的に純粋な形態で、または立体異性体の混合物として存在する)へと反応させ、b)所望により、ついで反応生成物を更に精製する。
2.PAOxがロドコッカス種(Rhodococcus sp.)、ジベレラ・ゼエ(Gibberella zeae)または特にバシラス種(Bacillus sp.)からの酵素である、実施形態1記載の製造方法。
3.PAOxが配列番号1のアミノ酸配列、またはこれに対して少なくとも60%、例えば少なくとも65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98もしくは99%まで同一であるアミノ酸配列を有する、あるいは該アミノ酸残基の25%まで、例えば20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1%までが、付加、欠失、挿入、置換、逆位またはそれらの組合せにより、配列番号1と比較して変化しており、配列番号1の酵素活性の少なくとも50%、例えば少なくとも60、65、70、75、80、85、90または95%を尚も有する、前記実施形態のいずれか1項記載の製造方法。
4.残基Rが、それが結合している炭素原子と一緒になって、(特に部分的または完全水素化により)ヘミテルペン(C5)、モノテルペン(C10)、セスキテルペン(C15)、ジテルペン(C20)、セステルテルペン(C25)、トリテルペン(C30)もしくはテトラテルペン(C40)残基から選択される非環状テルペン残基から誘導される、または1〜3個の炭素原子だけ短い対応テルペン残基から誘導される式IIのオキシムを反応させる、前記実施形態のいずれか1項記載の製造方法。
5.nが1を示し、残基Rが前記意義の1つを有する式IIのオキシムを反応させる、前記実施形態のいずれか1項記載の製造方法。
6.シトラールオキシム、ネラールオキシム、ゲラニアールオキシム、シトロネラールオキシムおよびそれらの部分的または完全水素化類似体、例えば6,7-ジヒドロシトロネリルオキシムから選択される式IIの化合物を対応ニトリルに変換する、前記実施形態のいずれか1項記載の製造方法。
7.式IIa
Figure 0006230549
のシトロネラールオキシムを式Ia
Figure 0006230549
のシトロネリルニトリルへ変換し、ここで、式IIaの化合物を立体異性的に純粋な形態で、または立体異性体の混合物として、特にR/Sおよび/またはE/Z混合物として、特にR/SおよびE/Z混合物として使用する、実施形態6記載の製造方法。
8.PAOx、PAOx含有タンパク質混合物の存在下、またはPAOxを機能的に発現する組換え微生物、それに由来するPAOx含有細胞ホモジネートもしくはそのPAOx含有画分の存在下、酵素的に該反応を行う、前記実施形態のいずれか1項記載の製造方法。
9.PAOxまたはPAOxを機能的に発現する微生物が遊離形態または固定化形態で反応混合物中に存在する、前記実施形態のいずれか1項記載の製造方法。
10.該組換え微生物が、PAOxを機能的に発現する細菌株、特に、大腸菌(E.coli)の株である、実施形態8または9のいずれか1項記載の製造方法。
11.該組換え微生物が、所望により該微生物のコドン使用頻度に適合化されていてもよい、PAOxをコードするヌクレオチド配列を有する発現構築物を含有する、実施形態10記載の製造方法。
12.該微生物が、PAOxの機能的発現(特に、適切なフォールディング)を支持する少なくとも1つのシャペロンを更に発現する、実施形態8〜11のいずれか1項記載の製造方法。
13.該組換え微生物が、PAOxに加えて、GroELおよびGroESから選択される1以上のシャペロンを発現する細菌株である、実施形態12記載の製造方法。
14.該反応を、特に、純粋な基質において行い、すなわち、反応媒体としての水またはバッファーのような通常の添加剤を更に添加することなく行い、ここで、特に、該デヒドラターゼ酵素を発現する全細胞を使用する、前記実施形態のいずれか1項記載の製造方法。
15.PAOxをコードする配列番号2または3に記載されているヌクレオチド配列であって、該ヌクレオチド配列が、微生物大腸菌(Escherichia coli)のコドン使用頻度に適合化されている、ヌクレオチド配列。
16.実施形態11〜14のいずれか1項における定義による、または実施形態15記載のヌクレオチド配列を含む発現構築物。
17.前記実施形態8〜14のいずれか1項における定義による、または実施形態15記載のヌクレオチド配列もしくは実施形態16記載の発現構築物を含む組換え微生物。
C.本発明の他の実施形態
1.本発明のタンパク質/酵素突然変異体
本発明は、本明細書に具体的に開示されているアルドキシムデヒドラターゼ活性を有する酵素には限定されず、それらの機能的等価体をも含む。
そのような具体的に開示されている酵素および酵素突然変異体の「機能的等価体」または類似体としては、本発明の文脈においては、所望の生物活性、例えばアルドキシムデヒドラターゼ活性を更に有するそれらの種々のポリペプチドが挙げられる。
したがって、例えば、「機能的等価体」は、本発明の場合に(すなわち、標準条件下で基準基質を使用して)用いられる「アルドキシムデヒドラターゼ活性」に関するアッセイにおいて、少なくとも1%、特に少なくとも約5〜10%、例えば少なくとも10%または少なくとも20%、例えば少なくとも50%または75%または90%高い又は低い、本明細書中に具体的に定められているアミノ酸配列を含む酵素の活性を有する酵素および突然変異体(例えば、配列番号1から誘導された、または配列番号4〜28の配列の1つから誘導された突然変異体)を意味する。
機能的等価体の活性に関するデータは、本明細書においては、特に示されていない限り、本明細書中で定められているとおりに標準条件下で基準基質を用いて得られた活性決定値を意味する。
本発明の意義における「アルドキシムデヒドラターゼ活性」は、種々の公知アッセイを用いて検出されうる。前記のとおり(Katoら, Biochemistry, 2000, 39, 800-809を参照されたい; PAOxに関して記載されている; 他のアルドキシムデヒドラターゼにも同様に適用可能または適合化可能である)、そして実験の節において説明されているとおり、基準基質、例えば、シトロネラールオキシムまたはシトロネラールオキシムラセミ化合物を用いるアッセイが挙げられうるが、これに限定されるものではない。
機能的等価体は更に、例えば、pH 4〜11で安定であり、有利には、pH 5〜10の範囲内、例えば、特に6.5〜9.5、または7〜8、または約7.5の最適pH、および15℃〜80℃、または20℃〜70℃の範囲内、例えば約30〜60℃、または約35〜45℃、例えば40℃の最適温度を有する。
「機能的等価体」は、1以上、例えば1〜50、2〜30、2〜15、4〜12または5〜10個の「追加的突然変異」、例えばアミノ酸の付加、置換、欠失および/または逆位により入手可能な突然変異体を含み、ここで、記載されている変化は、それらが、本発明の特性プロファイルを有する突然変異体を与える限り、任意の配列位置において生じうる。機能的等価体は、特に、突然変異体と未改変ポリペプチドとの間の反応性のパターンが定性的に合致する場合、すなわち、例えば、異なる速度で同一基質が変換される場合にも成立する。
この種の「追加的突然変異」は、どのようなものであれ、それぞれのアミノ酸配列の任意の位置において生じうる。
適当なアミノ酸置換の非限定的な例を以下の表に示す。
Figure 0006230549
また、前記の意味での「機能的等価体」としては、記載されているポリペプチドの「前駆体」ならびに該ポリペプチドの「機能的誘導体」および「塩」も挙げられる。
「前駆体」は、所望の生物活性を有する又は有さない該ポリペプチドの天然および合成前駆体である。
「塩」なる語は本発明のタンパク質分子のカルボキシル基の塩およびアミノ基の酸付加塩の両方を意味する。カルボキシル基の塩は、自体公知の方法で製造することが可能であり、例えばナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄および亜鉛塩のような無機塩、ならびに例えばトリエタノールアミン、アルギニン、リシン、ピペリジンなどのアミンのような有機塩基との塩を含みうる。酸付加塩、例えば、塩酸または硫酸のような無機酸との塩ならびに酢酸およびシュウ酸のような有機酸との塩も本発明に含まれる。
本発明のポリペプチドの「機能的誘導体」はまた、アミノ酸側鎖官能基またはそのNもしくはC末端において、公知技術により製造されうる。そのような誘導体は、例えば、カルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニアまたは第一級もしくは第二級アミンとの反応により入手可能なカルボキシル基のアミド、アシル基との反応により製造される遊離アミノ基のN-アシル誘導体、あるいはアシル基との反応により製造される遊離ヒドロキシル基のO-アシル誘導体を含む。
また、「機能的等価体」は、もちろん、他の生物から入手可能なポリペプチドおよび天然に存在する変異体を含む。例えば、配列比較により相同配列領域が決定可能であり、本発明の具体的な要件に基づき、等価な酵素が決定されうる。
「機能的等価体」はまた、例えば所望の生物学的機能を有する、本発明のポリペプチドの断片、好ましくは、個々のドメインまたは配列モチーフを含む。
さらに、「機能的等価体」としては、前記ポリペプチド配列またはそれに由来する機能的等価体の1つと、それとは機能的に異なる少なくとも1つの他の異種配列とを、機能的N末端またはC末端連結で(すなわち、該融合タンパク質部分の互いの実質的な機能欠損を伴うことなく)有する融合タンパク質が挙げられる。この種の異種配列の非限定的な例としては、例えば、シグナルペプチド、ヒスチジンアンカーまたは酵素が挙げられる。
本発明に含まれる「機能的等価体」としては、具体的に開示されているタンパク質のホモログが挙げられる。これらは、PearsonおよびLipman, Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85(8), 1988, 2444-2448のアルゴリズムによる計算で、具体的に開示されているアミノ酸配列の1つに対して少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも85%、例えば90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%の相同性(または同一性)を有する。本発明の相同ポリペプチドの相同性または同一性(%)は、特に、本明細書に具体的に記載されているアミノ酸配列の1つの全長に対するアミノ酸残基の同一性(%)を意味する。
該同一性値(%)はまた、BLASTアライメント、blastpアルゴリズム(タンパク質-タンパク質BLAST)に基づいて、または後記のClustal設定を用いて決定されうる。
タンパク質のグリコシル化が可能である場合には、本発明の「機能的等価体」は、前記タイプのタンパク質の脱グリコシル化またはグリコシル化形態、およびグリコシル化パターンの改変により入手可能な修飾形態を含む。
本発明のタンパク質またはポリペプチドのホモログは、突然変異誘発、例えば点突然変異、該タンパク質の延長化または短縮化により製造されうる。
本発明のタンパク質のホモログは、突然変異体(例えば、短縮化突然変異体)の組合せバンクをスクリーニングすることにより特定されうる。例えば、核酸レベルでの組合せ突然変異誘発により、例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物の酵素的連結により、タンパク質変異体の多様化(variegated)バンクが作製されうる。縮重オリゴヌクレオチド配列から潜在的ホモログのバンクを作製するためには、多数の方法が用いられうる。縮重遺伝子配列の化学合成をDNA合成装置において行うことが可能であり、ついで該合成遺伝子を適当な発現ベクター内に連結することが可能である。遺伝子の縮重セットの使用は、所望のセットの潜在的タンパク質配列をコードする全配列を1つの混合物において得ることを可能にする。縮重オリゴヌクレオチドの合成方法は当業者に公知である(例えば、Narang, S.A. (1983) Tetrahedron 39:3; Itakuraら (1984) Annu. Rev. Biochem. 53:323; Itakuraら, (1984) Science 198:1056; Ikeら (1983) Nucleic Acids Res. 11:477)。
点突然変異または短縮化により作製された組合せバンクの遺伝子産物をスクリーニングするための、および選択された特性を有する遺伝子産物に関してcDNAバンクをスクリーニングするための幾つかの技術が、先行技術において公知である。これらの技術は、本発明のホモログの組合せ突然変異誘発により作製された遺伝子バンクの高速スクリーニングに応用されうる。ハイスループット分析の基礎を形成する大きな遺伝子バンクをスクリーニングするために最も頻繁に用いられる技術は、複製可能な発現ベクター内への遺伝子バンクのクローニング、得られたベクターバンクでの適当な細胞の形質転換、および該組合せ遺伝子の発現(これは、所望の活性の検出が、検出産物の遺伝子をコードするベクターの単離を促進する条件下で行われる)を含む。該バンク中の機能的突然変異体の度数を増加させる技術である反復アンサンブル突然変異誘発(recursive ensemble mutagenesis)(REM)を、ホモログを特定するためのスクリーニング試験と組合せて用いることが可能である(ArkinおよびYourvan (1992) PNAS 89:7811-7815; Delgraveら (1993) Protein Engineering 6(3):327-331)。
2.核酸および構築物
2.1 核酸
本発明はまた、前記の酵素またはアルドキシムデヒドラターゼ活性を有する前記のその突然変異体をコードする核酸配列に関する。
本発明はまた、本明細書に記載されている具体的な配列に対して、特定された同一性の度合を有する核酸に関する。
2つの核酸の間の「同一性」は、各場合の全核酸長にわたるヌクレオチドの同一性、特に、以下のパラメータを設定した後でClustal技術(Higgins DG, Sharp PM. Fast and sensitive multiple sequence alignments on a microcomputer. Comput Appl. Biosci. 1989 Apr; 5(2):151-1)を用いるInformax社 (USA)のVector NTI Suite 7.1による比較により計算される同一性を意味する。
多重アライメントパラメータ:
ギャップ・オープニング・ペナルティ:10
ギャップ伸長ペナルティ:10
ギャップ分離ペナルティ範囲:8
ギャップ分離ペナルティ:off
アライメント遅延に関する同一性(%):40
残基特異的ギャップ:off
親水性残基ギャップ:off
トランジション加重:0
ペアワイズアライメントパラメータ:
FASTアルゴリズム:on
K-テュープルサイズ:1
ギャップ・ペナルティ:3
ウィンドウ・サイズ:5
最良ダイアゴナル数:5
代替手段として、同一性は、インターネットアドレス: http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/index.html#による、Chenna, Ramu, Sugawara, Hideaki, Koike, Tadashi, Lopez, Rodrigo, Gibson, Toby J, Higgins, Desmond G, Thompson, Julie D. Multiple sequence alignment with the Clustal series of programs. (2003) Nucleic Acids Res 31 (13):3497-500、および以下のパラメータによっても決定されうる。
DNAギャップ・オープン・ペナルティ:15.0
DNAギャップ伸長ペナルティ:6.66
DNAマトリックス:同一性
タンパク質ギャップ・オープン・ペナルティ:10.0
タンパク質ギャップ伸長ペナルティ:0.2
タンパク質マトリックス:Gonnet
タンパク質/DNA ENDGAP:-1
タンパク質/DNA GAPDIST:4
本明細書に記載されている核酸配列の全て(一本鎖および二本鎖のDNAおよびRNA配列、例えばcDNAおよびmRNA)は、化学合成による自体公知の方法で、例えば、二本鎖の個々の重複相補的核酸ビルディングブロックの断片縮合により、ヌクレオチドビルディングブロックから製造されうる。オリゴヌクレオチドの化学合成は、例えばホスホルアミジット法(Voet, Voet, 2nd edition, Wiley Press New York, pages 896-897)により、公知方法で行われうる。合成オリゴヌクレオチドの付加、およびDNAポリメラーゼのクレノウフラグメントを使用するギャップの埋め合わせ、ならびに連結反応および一般的なクローニング方法は、Sambrookら (1989), Molecular Cloning: A laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。
本発明はまた、前記ポリペプチドおよびそれらの機能的等価体(例えば、人工ヌクレオチド類似体を使用して入手可能なもの)の1つをコードする核酸配列(一本鎖および二本鎖のDNAおよびRNA配列、例えばcDNAおよびmRNA)に関する。
本発明は、本発明のポリペプチドもしくはタンパク質をコードする単離された核酸分子または生物学的に活性なその断片、および例えば、本発明のコード核酸を特定または増幅するためのハイブリダイゼーションプローブまたはプライマーとして使用されうる核酸断片の両方に関する。
本発明の核酸分子は更に、該コード遺伝子領域の3'および/または5'末端からの非翻訳配列を含有しうる。
本発明は更に、具体的に記載されているヌクレオチド配列に相補的な核酸分子またはその断片を含む。
本発明のヌクレオチド配列は、他の細胞型または生物における相同配列の特定および/またはクローニングに使用されうるプローブおよびプライマーの作製を可能にする。該プローブまたはプライマーは通常、本発明の核酸配列のセンス鎖または対応アンチセンス鎖の少なくとも約12、好ましくは少なくとも約25、例えば約40、50または75個の連続したヌクレオチドに対して「ストリンジェント」な条件(後記を参照されたい)下でハイブリダイズするヌクレオチド配列領域を含む。
「単離された」核酸分子は、該核酸の天然源に存在する他の核酸分子から分離されたものであり、更に、それが組換え技術により製造された場合には、他の細胞物質または培地を実質的に含有しないもの、あるいはそれが化学合成された場合には、化学前駆体または他の化学物質を含有しないものでありうる。
本発明の核酸分子は、分子生物学の標準的な技術と本発明により提供される配列情報とを用いて単離されうる。例えば、具体的に開示されている完全配列の1つ又はその断片をハイブリダイゼーションプローブとして使用し、標準的なハイブリダイゼーション技術(例えば、Sambrook, J., Fritsch, E.F.およびManiatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd edition., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載されているもの)を用いて、適当なcDNAバンクからcDNAを単離することが可能である。更に、開示されている配列の1つ又はその断片を含む核酸分子は、この配列に基づいて作製されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応により単離されうる。このようにして増幅された核酸を適当なベクター内にクローニングし、DNA配列分析により特徴づけることが可能である。更に、本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば自動DNA合成装置を使用する標準的な合成方法によっても製造されうる。
本発明の核酸配列またはその誘導体、これらの配列のホモログまたは一部は、例えば、通常のハイブリダイゼーション技術またはPCR技術を用いて、例えばゲノムバンクまたはcDNAバンクにより、他の細菌から単離されうる。これらのDNA配列は、標準的な条件下で本発明の配列にハイブリダイズする。
「ハイブリダイズ」は、ほぼ相補的な配列にはポリ-またはオリゴヌクレオチドが標準的な条件下で結合しうるが、非相補的パートナー間の非特異的結合はこれらの条件下では生じないことを意味する。このためには、配列は90〜100%まで相補的でありうる。互いに特異的に結合可能であるという相補的配列の特性は、例えば、ノーザンもしくはサザンブロット法において、またはPCRもしくはRT-PCRにおけるプライマー結合中に利用される。
有利には、保存領域の、短いオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションに使用される。しかし、本発明の核酸の、より長い断片、または完全配列も、ハイブリダイゼーションに使用されうる。これらの標準的な条件は、使用される核酸(オリゴヌクレオチド、より長い断片または完全配列)に応じて、またはハイブリダイゼーションに使用される核酸、DNAもしくはRNAのタイプに応じて様々である。例えば、DNA:DNAハイブリッドの融解温度は、同じ長さのDNA:RNAハイブリッドの融解温度より約10℃低い。
標準的な条件は、例えば、核酸に応じて、0.1〜5×SSC(1×SSC = 0.15 M NaCl、15mM クエン酸ナトリウム、pH 7.2)の濃度の水性バッファー溶液中の42〜58℃の温度、または更には、50% ホルムアミドの存在を伴うもの、例えば、5×SSC、50% ホルムアミド中、42℃を意味する。有利には、DNA:DNAハイブリッドに関するハイブリダイゼーション条件は0.1×SSCおよび約20℃〜45℃、好ましくは約30℃〜45℃である。DNA:RNAハイブリッドに関するハイブリダイゼーション条件は、有利には0.1×SSCおよび約30℃〜55℃、好ましくは約45℃〜55℃の温度である。示されているこれらのハイブリダイゼーション温度は、例えば、ホルムアミドの非存在下の約100ヌクレオチドの長さおよび50%のG+C含量を有する核酸に関する融解温度の計算値である。DNAハイブリダイゼーションのための実験的条件は、関連する遺伝学のテキスト、例えばSambrookら, “Molecular Cloning”, Cold Spring Harbor Laboratory, 1989に記載されており、当業者に公知の式を使用して、例えば、核酸の長さ、ハイブリッドのタイプまたはG+C含量に応じて計算されうる。当業者はハイブリダイゼーションに関する更なる情報を以下のテキストから得ることが可能である:Ausubelら (編), 1985, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York; HamesおよびHiggins (編), 1985, Nucleic Acids Hybridization: A Practical Approach, IRL Press at Oxford University Press, Oxford; Brown (編), 1991, Essential Molecular Biology: A Practical Approach, IRL Press at Oxford University Press, Oxford。
「ハイブリダイゼーション」は、特に、ストリンジェントな条件下で生じうる。該ハイブリダイゼーション条件は、例えば、Sambrook, J., Fritsch, E.F., Maniatis, T.によりMolecular Cloning (A Laboratory Manual), 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989, p. 9.31-9.57またはCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6に記載されている。
「ストリンジェント」なハイブリダイゼーション条件は、特に、50% ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH 7.6)、5×デンハルト液、10%デキストラン硫酸および20g/ml変性せん断サケ精子DNAからなる溶液中の42℃で一晩のインキュベーション、ならびにそれに続く、0.1×SSCでの65℃でのフィルター洗浄工程を意味する。
本発明はまた、具体的に開示されている又は誘導可能な核酸配列の誘導体に関する。
したがって、アルドキシムデヒドラターゼをコードする本発明の他の核酸配列が配列番号2または配列番号3から誘導可能であり、単一または幾つかのヌクレオチドの付加、置換、挿入または欠失によりそれらと異なっているが、所望の特性プロファイルを有するポリペプチドを更にコードしている。
本発明はまた、いわゆるサイレント突然変異を含む、あるいは具体的に記載されている配列と比較して特定の起源生物または宿主生物のコドン使用頻度に対応して変化している核酸配列(例えば、配列番号2から出発して大腸菌(E.coli)のコドン使用頻度に関して最適化されている配列番号3)、および天然に存在するそれらの変異体、例えばスプライス変異体または対立遺伝子変異体をも含む。
本発明はまた、保存的ヌクレオチド置換(すなわち、関心のあるアミノ酸が、同じ電荷、サイズ、極性および/または溶解度のアミノ酸により置換される)により入手可能な配列に関する。
本発明はまた、具体的に開示されている核酸から配列多型により誘導された分子に関する。これらの遺伝的多型は自然変異により集団内の個体間で生じうる。これらの自然変異は通常、遺伝子のヌクレオチド配列における1〜5%の分散を与える。
配列番号3の配列から又は配列番号1のコード配列の1つから誘導されたアルドキシムデヒドラターゼをコードする、本発明の核酸配列の誘導体は、例えば、全配列領域に対して、演繹されたアミノ酸レベルで少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%の相同性、非常に好ましくは少なくとも90%の相同性を有する対立遺伝子変異体を意味する(アミノ酸レベルでの相同性に関しては、ポリペプチドに関する前記説明が参照されるべきである)。該配列の部分領域においては、該相同性は、有利には、より高くなりうる。
更に、誘導体は、本発明の核酸配列のホモログ、特に真菌または細菌ホモログ、コードまたは非コードDNA配列の短縮化配列、一本鎖DNAまたはRNAとしても理解されるべきである。
更に、誘導体は、例えば、プロモーターとの融合体を意味する。記載されているヌクレオチド配列に連結されるプロモーターは、該プロモーターの機能性または有効性を損なうことなく、少なくとも1つのヌクレオチド置換、少なくとも1つの挿入、逆位および/または欠失により改変されうる。更に、該プロモーターは、その配列を改変することにより、有効性において増強されることが可能であり、あるいは、より有効なプロモーター(異種生物のものであってもよい)で完全に置換されることが可能である。
2.2 機能的突然変異体の作製
更に、本発明の酵素の機能的突然変異体の製造方法は当業者に公知である。
用いられる技術に応じて、当業者は完全にランダムな又はより標的化された突然変異を遺伝子内に又は非コード化核酸領域(これは、例えば、発現の調節に重要である)内にも導入し、ついで遺伝子バンクを調製することが可能である。分子生物学の、要求される方法は、当業者に公知であり、例えば、SambrookおよびRussell, Molecular Cloning. 3rd edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press 2001に記載されている。
遺伝子を改変し、したがって、それによりコードされるタンパク質を改変するための方法は、例えば以下のものが、長い間、当業者によく知られている。
・部位特異的突然変異誘発。これにおいては、遺伝子の個々または幾つかのヌクレオチドが意図的に交換される(Trower MK (編) 1996; In vitro mutagenesis protocols. Humana Press, New Jersey)。
・飽和突然変異誘発。これにおいては、いずれかの所望のアミノ酸のコドンが、遺伝子の、いずれかの所望の部位において、交換または付加されうる(Kegler-Ebo DM, Docktor CM, DiMaio D (1994) Nucleic Acids Res 22:1593; Barettino D, Feigenbutz M, Valcarel R, Stunnenberg HG (1994) Nucleic Acids Res 22:541; Barik S (1995) Mol Biotechnol 3:1)。
・エラー頻発型ポリメラーゼ連鎖反応(エラー頻発型PCR)。これにおいては、欠損を生じるようにDNAポリメラーゼを作用させることにより、ヌクレオチド配列が突然変異する(Eckert KA, Kunkel TA (1990) Nucleic Acids Res 18:3739)。
・SeSaM法(配列飽和法)。これにおいては、好ましい交換がポリメラーゼにより妨げられる(Schenkら, Biospektrum, Vol. 3, 2006, 277-279)。
・ミューテーター株における遺伝子の継代。これにおいては、欠損したDNA修復メカニズムにより、ヌクレオチド配列の突然変異率の増加が認められる(Greener A, Callahan M, Jerpseth B (1996) An efficient random mutagenesis technique using an E. coli mutator strain. In: Trower MK (編) In vitro mutagenesis protocols. Humana Press, New Jersey)。
・DNAシャッフリング。これにおいては、密接に関連した遺伝子のプールが形成され、消化され、その断片がポリメラーゼ連鎖反応のための鋳型として用いられ、ここで、繰返される鎖分離および再集合により、最終的に、完全長のモザイク遺伝子が生じる(Stemmer WPC (1994) Nature 370:389; Stemmer WPC (1994) Proc Natl Acad Sci USA 91:10747)。
いわゆる定方向進化(指向的進化)(とりわけ、Reetz MTおよびJaeger K-E (1999), Topics Curr Chem 200:31; Zhao H, Moore JC, Volkov AA, Arnold FH (1999), Methods for optimizing industrial enzymes by directed evolution, In: Demain AL, Davies JE (ed.) Manual of industrial microbiology and biotechnology. American Society for Microbiologyに記載されている)を用いて、当業者は、定方向的に且つ大規模で、機能的突然変異体を作製することも可能である。これにおいては、第1工程において、まず、例えば前記の方法を用いて、それぞれのタンパク質の遺伝子バンクを作製する。該遺伝子バンクは、適当な方法で、例えば、細菌により、またはファージ提示系により発現される。
所望の特性に大部分が対応した特性を有する機能的突然変異体を発現する、宿主生物の関連遺伝子は、もう1つのラウンドの突然変異に付されうる。存在する機能的突然変異体が十分な度合の所望の特性を示すまで、突然変異の工程および選択またはスクリーニングの工程が反復的に繰返されうる。この反復的手法により、限られた数の突然変異、例えば1、2、3、4または5個の突然変異が段階的に生成されることが可能であり、問題の酵素特性に対するそれらの影響に関して評価され、選択されうる。ついで、選択された突然変異体は、同じ方法で、もう1つの突然変異工程に付されうる。これは、調べるべき個々の突然変異体の数を有意に減少させうる。
本発明による結果はまた、関連酵素の構造および配列に関する重要な情報を提供し、これは、所望の修飾特性を有する他の酵素の定方向的(特異的)作製に必要である。特に、いわゆる「ホットスポット」、すなわち、定方向突然変異の導入により酵素特性を修飾するのに潜在的に適している配列セグメントが定められうる。
酵素活性におそらくほとんど影響を及ぼさず、潜在的「サイレント突然変異」と称されうる突然変異が施されうる領域におけるアミノ酸配列位置に関する情報も導き出されうる。
2.3 構築物
本発明は更に、特に、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列を調節核酸配列の遺伝的制御下で含有する組換え発現構築物、そして特に、これらの発現構築物の少なくとも1つを含む組換えベクターに関する。
「発現単位」は、本発明においては、本明細書中で定義されているプロモーターを含む、発現活性を有する核酸であって、発現されるべき核酸または遺伝子との機能的連結の後、この核酸またはこの遺伝子の発現、すなわち、転写および翻訳を調節する核酸を意味する。したがって、この文脈においては、それは「調節核酸配列」とも称される。プロモーターに加えて、他の調節要素、例えばエンハンサーも含有されうる。
「発現カセット」または「発現構築物」は、本発明においては、発現されるべき核酸または発現されるべき遺伝子に機能的に連結された発現単位を意味する。したがって、発現単位とは対照的に、発現カセットは、転写および翻訳を調節する核酸配列だけでなく、転写および翻訳の結果としてタンパク質として発現されるべき核酸配列をも含む。
「発現」または「過剰発現」なる語は、本発明の文脈においては、対応するDNAによりコードされる、微生物における1以上の酵素の細胞内活性の生成または増加を示す。このためには、例えば、生物内に遺伝子を導入し、既存遺伝子を別の遺伝子で置換し、遺伝子のコピー数を増加させ、強力なプロモーターを使用し、または高い活性を有する対応酵素をコードする遺伝子を使用することが可能であり、これらの手段は、所望により、組合されうる。
好ましくは、本発明のこれらの構築物はそれぞれのコード配列の5'上流におけるプロモーターおよび3'下流におけるターミネーター配列、および所望により更に通常の調節要素を含み、各場合において、それらはコード配列に機能的に連結される。
「プロモーター」、「プロモーター活性を有する核酸」または「プロモーター配列」は、本発明においては、転写されるべき核酸に機能的に連結された場合にこの核酸の転写を調節する核酸を意味する。
「機能的」または「作動的」結合は、この文脈においては、例えば、プロモーター活性を有する核酸の1つ、および転写されるべき核酸配列、および場合によっては他の調節要素、例えば、核酸の転写を保証する核酸配列、例えばターミネーターが、該調節要素のそれぞれが該核酸配列の転写中にその機能を果たしうるように連続的に配置されていることを意味する。これは化学的な意味での直接的な結合を必ずしも必要としない。遺伝的制御配列、例えばエンハンサー配列は、より遠い位置からであっても、または他のDNA分子からであっても、標的配列に対してそれらの機能を果たしうる。転写されるべき核酸配列がプロモーター配列の後方(すなわち、3'末端)に位置していて、それらの2つの配列が互いに共有結合している配置が好ましい。更に、プロモーター配列とトランスジェニック的に発現されるべき核酸配列との間の距離は200塩基対より小さい、または100塩基対より小さい、または50塩基対より小さいことが可能である。
プロモーターおよびターミネーターに加えて、他の調節要素の例として、標的化配列、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、選択マーカー、増幅シグナル、複製起点などが挙げられうる。適当な調節配列は、例えば、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。
本発明の核酸構築物は、特に、アルドキシムデヒドラターゼ突然変異体、特に、配列番号1および大腸菌(E.coli)配列番号3のコドン使用頻度に従いPAOxをコードする核酸配列から誘導されたものをコードする配列、またはそれらの誘導体もしくはホモログ、およびそれらから誘導可能な核酸配列を含み、それらは、有利には遺伝子発現を制御(例えば、増強)するための1以上の調節シグナルに作動的または機能的に結合している。
これらの調節配列に加えて、これらの配列の天然調節が実際の構造遺伝子の前に尚も存在することが可能であり、所望により、該天然調節のスイッチが切られ、該遺伝子の発現が増強されるように、該天然調節は遺伝的に改変されうる。しかし、該核酸構築物は、より単純な構造のもの、すなわち、コード配列の前にいずれの追加的な調節シグナルも挿入されておらず、その調節を行う天然プロモーターが除去されていないものでありうる。それよりむしろ、調節がもはや生じず、遺伝子発現が増強されるように、天然調節配列は突然変異される。
好ましい核酸構築物は、有利には、プロモーターに機能的に連結された既に記載されている「エンハンサー」配列の1以上をも含有し、これらは核酸配列の発現の増強を可能にする。追加的な有利な配列、例えば、他の調節要素またはターミネーターもDNA配列の3'末端に挿入されうる。本発明の核酸は該構築物中に1以上のコピーとして含有されうる。該構築物は、更に他のマーカー、例えば、場合によっては該構築物に関する選択のための、抗生物質耐性または栄養要求体相補性遺伝子を含有しうる。
適当な調節配列の例は、例えば、cos、tac、trp、tet、trp-tet、lpp、lac、lpp-lac、lacIq-、T7、T5、T3、gal、trc、ara、rhaP(rhaPBAD)SP6、ラムダ-PRまたはラムダ-PLプロモーター(これらはグラム陰性菌において有利に使用される)のようなプロモーター中に含まれる。他の有利な調節配列は、例えば、グラム陽性プロモーターamyおよびSPO2、酵母または真菌プロモーターADC1、MFアルファ、AC、P-60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28、ADH中に含まれる。人工的プロモーターも調節に使用されうる。
宿主生物における発現のためには、有利には、該核酸構築物は、宿主内での該遺伝子の最適発現を可能にする例えばプラスミドまたはファージのようなベクター内に挿入される。ベクターは、プラスミドおよびファージに加えて、当業者に公知の全ての他のベクター、例えばウイルス、例えばSV40、CMV、バキュロウイルスおよびアデノウイルス、トランスポゾン、IS要素、ファスミド、コスミド、および直鎖状または環状DNAとしても理解されるべきである。これらのベクターは宿主生物内で自律的に、または染色体内で複製されうる。これらのベクターは本発明のもう1つの実施形態を構成する。
適当なプラスミドとしては、例えば、大腸菌(E. coli)においてはpLG338、pACYC184、pBR322、pUC18、pUC19、pKC30、pRep4、pHS1、pKK223-3、pDHE19.2、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pUR290、pIN-III113-B1、λgt11またはpBdCI、ストレプトマイセス(Streptomyces)においてはpIJ101、pIJ364、pIJ702またはpIJ361、バシラス(Bacillus)においてはpUB110、pC194またはpBD214、コリネバクテリウム(Corynebacterium)においてはpSA77またはpAJ667、真菌においてはpALS1、pIL2またはpBB116、酵母においては2alphaM、pAG-1、YEp6、YEp13またはpEMBLYe23、あるいは植物においてはpLGV23、pGHlac+、pBIN19、pAK2004またはpDH51が挙げられる。記載されているプラスミドは、可能なプラスミドの一例に過ぎない。他のプラスミドは当業者によく知られており、例えば、書籍Cloning Vectors(Pouwels P. H.ら編, Elsevier, Amsterdam-New York-Oxford, 1985, ISBN 0 444 904018)において見出されうる。
該ベクターのもう1つの実施形態においては、本発明の核酸構築物または本発明の核酸を含有するベクターを、有利には、直鎖状DNAの形態で微生物内に導入し、非相同または相同組換えにより宿主生物のゲノム内に組込むことが可能である。この直鎖状DNAは、線状化ベクター、例えばプラスミドよりなることが可能であり、あるいは本発明の核酸構築物または核酸のみからなることが可能である。
生物内での異種遺伝子の最適発現のためには、該生物において用いられる特定のコドン使用頻度に従い核酸配列を改変することが有利である。「コドン使用頻度」は、関心のある生物の他の公知遺伝子のコンピューター評価に基づいて、容易に決定されうる。
本発明の発現カセットは、適当なプロモーターを適当なコード化ヌクレオチド配列および終結シグナルまたはポリアデニル化シグナルに融合させることにより製造される。このためには、一般的な組換え及びクローニング技術、例えば、T. Maniatis, E.F. FritschおよびJ. Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989)ならびにT.J. Silhavy, M.L. BermanおよびL.W. Enquist, Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1984)ならびにAusubel, F.M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience (1987)に記載されているものが用いられる。
適当な宿主生物における発現のためには、該組換え核酸構築物または遺伝子構築物は、該宿主内での該遺伝子の最適発現を可能にする宿主特異的ベクター内に有利に挿入される。ベクターは当業者によく知られており、例えば、“Cloning Vectors”(Pouwels P. H.ら編, Elsevier, Amsterdam-New York-Oxford, 1985)において見出されうる。
3.微生物
文脈に応じて、「微生物」なる語は野生型微生物または遺伝的に修飾された組換え微生物または両方を意味しうる。
本発明のベクターを使用して、例えば本発明の少なくとも1つのベクターで形質転換された組換え微生物が製造されることが可能であり、本発明のポリペプチドを製造するために使用されうる。有利には、前記の本発明の組換え構築物は適当な宿主系内に導入され、発現される。記載されている核酸をそれぞれの発現系において発現させるためには、当業者によく知られたクローニングおよびトランスフェクション法、例えば、共沈、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、レトロウイルストランスフェクションなどが用いられる。適当な系は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, F. Ausubelら編, Wiley Interscience, New York 1997またはSambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載されている。
原則として、本発明の核酸または核酸構築物のための組換え宿主生物としては、全ての原核または真核生物が考慮されうる。有利には、微生物、例えば細菌、真菌または酵母が宿主生物として使用される。有利には、グラム陽性またはグラム陰性細菌、好ましくは、Enterobacteriaceae、Pseudomonadaceae、Rhizobiaceae、StreptomycetaceaeおよびNocardiaceae科、特に好ましくは、Escherichia、Pseudomonas、Streptomyces、Nocardia、Burkholderia、Salmonella、Agrobacterium、ClostridiumまたはRhodococcus属の細菌が使用される。大腸菌(Escherichia coli)の属および種が非常に好ましい。また、他の有利な細菌は、アルファ-プロテオバクテリア、ベータ-プロテオバクテリアまたはガンマ-プロテオバクテリアの群において更に見出されうる。
本発明の宿主生物は、好ましくは、フェニルエタノールデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードし本明細書に記載されている核酸配列、核酸構築物またはベクターの少なくとも1つを含有する。
本発明の方法において使用される生物は、宿主生物に応じて、当業者に公知の方法により成長または培養される。通常、微生物を、通常は糖の形態の炭素源、通常は有機窒素源(例えば、酵母エキス)または塩(例えば、硫酸アンモニウム)の形態の窒素源、微量元素、例えば鉄、マンガン、マグネシウムの塩、および場合によってはビタミンを含む液体培地中、酸素を通過させながら、0℃〜100℃、好ましくは10℃〜60℃の温度で増殖させる。その間、該栄養液のpHは一定値に維持されうる(すなわち、培養中に調節されても調節されなくてもよい)。培養はバッチ法、半バッチ法または連続的方法により行われうる。栄養素は発酵の開始時に供給され、または半連続的もしくは連続的に供給されうる。
4.本発明の酵素の組換え製造
本発明は更に、本発明のポリペプチドまたはその機能的な生物学的に活性な断片の組換え製造方法に関する。これにおいては、ポリペプチドを産生する微生物を培養し、場合によっては、該ポリペプチドの発現を誘導し、これらを培養から単離する。該ポリペプチドは、所望により、工業的規模でも、このようにして製造されうる。
本発明により生産される微生物は、バッチ方式またはフェッド・バッチまたは反復フェッド・バッチ法により、連続的または不連続的に培養されうる。公知培養技術の概説はChmielのテキスト(Bioprocess Technology 1. Introduction to bioprocess engineering(Gustav Fischer Verlag, Stuttgart, 1991))またはStorhasによるテキスト(Bioreactors and Peripheral Equipment(Vieweg Verlag, Braunschweig/Wiesbaden, 1994))に見出されうる。
使用される培地は、それぞれの株の要件を適当な様態で満たすものでなければならない。種々の微生物のための培地の説明はAmerican Society for Bacteriology(Washington D. C., USA, 1981)の“Manual of Methods for General Bacteriology”に記載されている。
本発明による使用のためのこれらの培地は、通常、1以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミンおよび/または微量元素を含む。
好ましい炭素源としては、糖、例えば単糖、二糖または多糖が挙げられる。非常に優れた炭素源としては、例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプンまたはセルロースが挙げられる。糖は、糖蜜または糖精製の他の副産物のような複合化合物としても培地に添加されうる。また、種々の炭素源の混合物を添加することも有利であろう。他の可能な炭素源としては、油脂、例えばダイズ油、ヒマワリ油、ラッカセイ油およびヤシ油、脂肪酸、例えばパルミチン酸、ステアリン酸またはリノール酸、アルコール、例えばグリセロール、メタノールまたはエタノール、および有機酸、例えば酢酸または乳酸が挙げられる。
窒素源は、通常、有機もしくは無機窒素化合物、またはこれらの化合物を含有する物質である。窒素源の例には、アンモニアガスまたはアンモニウム塩、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムもしくは硝酸アンモニウム、硝酸塩(ニトラート)、尿素、アミノ酸または複合窒素源、例えばコーンスティープリカー、ダイズ粕、ダイズタンパク質、酵母エキス、肉エキスなどが含まれる。窒素源は単独で又は混合物として使用されうる。
培地内に含有されうる無機塩化合物には、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、カリウム、マンガン、亜鉛、銅および鉄の塩化物、リンまたは硫酸塩が含まれる。
使用される硫黄源は、無機硫黄含有化合物、例えば硫酸塩、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、四チオン酸塩、チオ硫酸塩、スルフィド、そしてまた、有機硫黄化合物、例えばメルカプタンおよびチオールでありうる。
リン源としては、リン酸、リン酸二水素カリウムもしくはリン酸水素二カリウムまたは対応ナトリウム含有塩が使用されうる。
金属イオンを溶解状態で維持するために、キレート化剤が培地に加えられうる。特に適したキレート化剤には、ジヒドロキシフェノール、例えばカテコールもしくはプロトカテクアート、または有機酸、例えばクエン酸が含まれる。
本発明に従い使用される発酵培地は、通常、他の増殖因子、例えばビタミン、または増殖促進物質、例えばビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテナートおよびピリドキシンなどをも含有する。増殖因子および塩は、しばしば、複合培地成分、例えば酵母エキス、糖蜜、コーンスティープリカーなどに由来する。更に、適当な前駆体が培地に加えられうる。培地内の化合物の厳密な組成は個々の実験に大きく左右され、各場合ごとに個別に決定される。培地の最適化に関する情報は、テキスト“Applied Microbiol. Physiology, A Practical Approach”(P.M. Rhodes, P.F. Stanbury編, IRL Press (1997) p. 53-73, ISBN 0 19 963577 3)に見出されうる。増殖培地は商業的供給業者から、例えばStandard 1(Merck)またはBHI(ブレーンハートインフュージョン, DIFCO)などから得られうる。
培地の全成分は、加熱(1.5barおよび121℃で20分間)または濾過滅菌により滅菌される。該成分は一緒に又は必要に応じて別々に滅菌されうる。培地の全成分は培養開始時に存在することが可能であり、あるいは、所望により、連続的に又はバッチ方式で加えられうる。
培養温度は、通常、15℃〜45℃、好ましくは25℃〜40℃であり、実験中に一定に維持され、または変化されうる。培地のpHは5〜8.5の範囲、好ましくは約7.0であるべきである。培養pHは、塩基性化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアもしくはアンモニア水、または酸性化合物、例えばリン酸もしくは硫酸の添加により、培養中に制御されうる。消泡剤、例えば脂肪酸ポリグリコールエステルが、泡生成を抑制するために使用されうる。プラスミドの安定性を維持するために、選択的作用を有する適当な物質、例えば抗生物質が培地に加えられうる。好気的条件を維持を維持するために、酸素または酸素含有ガス混合物、例えば空気が培養内に供給される。培養温度は、通常、20℃〜45℃である。培養は、所望の産物の生成が最大になるまで継続される。この目的は、通常、10時間〜160時間以内に達成される。
ついで該発酵ブロスは更に加工されうる。要件に応じて、分離技術、例えば遠心分離、濾過、デカントまたはこれらの方法の組合せにより、バイオマスは完全または部分的に発酵ブロスから除去されることが可能であり、あるいはその中に完全に残されうる。
該ポリペプチドが培地内に分泌されない場合には、細胞を細胞溶解することも可能であり、タンパク質単離のための公知方法によりライセートから産物を得ることが可能である。該細胞は、所望により、高周波超音波により、高圧(例えば、フレンチプレスセルにおけるもの)により、浸透圧分解(osmolysis)により、界面活性剤、細胞溶解酵素もしくは有機溶媒の作用により、ホモジナイザーにより又は記載されている方法の幾つかを組合せることにより細胞溶解されうる。
該ポリペプチドは、分子ふるいクロマトグラフィー(ゲル濾過)、例えばQ-セファロースクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性クロマトグラフィーのような公知クロマトグラフィー技術、ならびに限外濾過、結晶化、塩析、透析および自然ゲル電気泳動のような他の通常の方法により精製されうる。適当な方法は、例えばCooper, T. G., Biochemical Procedures, Verlag Walter de Gruyter, Berlin, New YorkまたはScopes, R., Protein Purification, Springer Verlag, New York, Heidelberg, Berlinに記載されている。
該組換えタンパク質を単離するためには、一定のヌクレオチド配列によりcDNAを伸長させ、したがって例えば精製の単純化に役立つ改変ポリペプチドまたは融合タンパク質をコードするベクター系またはオリゴヌクレオチドを使用することが有利でありうる。この種の適当な修飾体としては、例えば、ヘキサヒスチジンアンカーとして公知の修飾体のようなアンカーとして作用する、いわゆる「タグ」、または抗体により抗原として認識されうるエピトープ(例えば、Harlow, E.およびLane, D., 1988, Antibodies: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor (N.Y.) Pressに記載されている)が挙げられる。これらのアンカーは、例えばクロマトグラフィーカラム内に充填されうる高分子マトリックスのような固相支持体に該タンパク質を結合させるのに役立つことが可能であり、あるいはマイクロタイタープレートまたは何らかの他の担体上で使用されうる。
同時に、これらのアンカーは、該タンパク質の認識のためにも使用されうる。該タンパク質の認識のためには、通常のマーカー、例えば蛍光色素、酵素マーカー(これは、基質との反応の後、検出可能な反応産物を生成する)または放射能マーカーを、該タンパク質の誘導体化のために該アンカーと組合せて又は単独で使用することが更に可能である。
5.酵素固定化
本発明の酵素は、本明細書に記載されている方法において、遊離状態で、または固定化されて使用されうる。固定化酵素は、不活性担体に固定された酵素として理解されるべきである。適当な担体物質およびそれに固定化される酵素はEP-A-1149849、EP-A-1 069 183およびDE-OS 100193773ならびにそれらにおいて引用されている文献から公知である。これらの文書の関連開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする。適当な担体物質には、例えば、粘土、粘土鉱物、酸化アルミニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、セルロース粉末、アニオン交換物質、合成重合体、例えばポリスチレン、アクリル酸樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタンおよびポリオレフィン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンが含まれる。支持された酵素の製造のためには、通常、微細化粒子形態の担体物質が使用され、多孔性形態のものが好ましい。担体物質の粒径は、通常、5mm以下、特に、2mm以下である(粒径分布曲線)。同様に、デヒドロゲナーゼを全細胞触媒として使用する場合には、遊離または固定化形態が選択されうる。担体物質は、例えば、アルギン酸Caおよびカラギーナンである。酵素および細胞はまた、グルタルアルデヒドで直接的に架橋されうる(CLEAに対する架橋)。対応する及び更なる固定化技術は、例えば、J. LalondeおよびA. Margolin “Immobilization of enzymes”, K. DrauzおよびH. Waldmann, Enzyme Catalysis in Organic Synthesis 2002, Vol.III, 991-1032, Wiley-VCH, Weinheimに記載されている。本発明の方法を行うための生物変換およびバイオリアクターに関する更なる情報は、例えば、Rehmら(編) Biotechnology, 2nd Edn, Vol 3, Chapter 17, VCH, Weinheimにも記載されている。
6.ニトリルの生物触媒的製造
対応するオキシムからニトリルを製造するための本発明の生物触媒的製造方法は、アルドキシムデヒドラターゼ、特に、脂肪族アルドキシムデヒドラターゼ(4.99.1.5)、フェニルアセトアルドキシムデヒドラターゼ(PAOx)(EC 4.99.1.7)またはインドールアセトアルドキシムデヒドラターゼ(4.99.1.6)の存在下で行われる。該酵素の例は、配列番号1または4〜28の少なくとも1つのアミノ酸配列、あるいは少なくとも60%、例えば少なくとも65, 70, 75, 80, 85, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98,または99%までこれと同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、アミノ酸残基の25%まで、例えば20, 15, 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2または1%までは、付加、欠失、挿入、置換、逆位またはそれらの組合せにより、配列番号1または4〜28の配列の1つと比較して変化しており、配列番号1の酵素活性の少なくとも50%、例えば少なくとも60, 65, 70, 75, 80, 85, 90または95%を尚も有する。
特に、本発明の製造方法は酵素の存在下で行われ、ここで、該酵素は配列番号1のタンパク質配列を有する。特に、該酵素は配列番号2の核酸配列またはその機能的等価体、特に配列番号3の機能的等価体によりコードされ、これは、大腸菌(E.coli)微生物における発現に関してコドンが最適化された核酸配列を表す。更に、該核酸配列は、特に、遺伝子構築物またはベクターの構成成分である。これらの遺伝子構築物またはベクターは、国際出願PCT/EP2010/057696, p. 16-20(これを参照により本明細書に明示的に組み入れることとする)に詳細に記載されている。
所望の活性を有する酵素をコードする核酸配列を含有する遺伝子構築物またはベクターを含有する宿主細胞はトランスジェニック生物とも称される。該トランスジェニック生物の生産は原理的には公知であり、例えば、国際出願PCT/EP2010/057696, p. 20(これを参照により本明細書に明示的に組み入れることとする)において考察されている。
細菌、シアノバクテリア、真菌および酵母からなる群から選択される細胞がトランスジェニック生物として好ましい。好ましくは、該細胞は、Pichia属の真菌またはEscherichia、Corynebacterium、Ralstonia、Clostridium、Pseudomonas、Bacillus、Zymomonas、Rhodobacter、Streptomyces、Burkholderia、LactobacillusまたはLactococcus属の細菌から選択される。特に好ましくは、該細胞は、Escherichia coli、Pseudomonas putida、Burkholderia glumae、Streptomyces lividans、Streptomyces coelicolorまたはZymomonas mobilis種の細菌から選択される。
アルドキシムデヒドラターゼ、特に、脂肪族アルドキシムデヒドラターゼ(4.99.1.5)、フェニルアセトアルドキシムデヒドラターゼ(本明細書においてはPAOxとも称される)(EC 4.99.1.7)またはインドールアセトアルドキシムデヒドラターゼ(4.99.1.6)の活性を有する酵素が、Zymomonas mobilis, Methylococcus capsulatus, Rhodopseudomonas palustris, Bradyrhizobium japonicum, Frankia spec, Streptomyces coelicolor, Acetobacter pasteurianusおよびAbsidia sp., 例えば A.corymbifera; Agrobacterium sp., 例えばA.radiobacter; Alcaligenes sp., 例えばA.faecalis; Arthrobacter sp., 例えばA.crystallopoietesまたはA. ramosus; Aspergillus sp., 例えばA. amstelodami, A.celluosae; A.candidusまたはA.pulverulentus; Aureobacterium sp., 例えばA.testaceum; Aureobasidium sp., 例えばA.pullulans; Bacillus sp., 例えばB. coagulans, B. megaterium, B. sp. OxB-1またはB.subtilis; Botryotinia sp., 例えばBotryotinia fuckeliana; Brevibacterium sp., 例えばB.butanicum; Cellulomonas sp., 例えばC.fimi; Coprinus sp., 例えばC.phlyctidosporus; Corynebacterium sp, 例えばC.paurometabolumまたはC.rathavi; Cunninghamella sp., 例えばC.echinulata var. Elegans; Flammulina sp., 例えばF.sp. strain TPU 4675またはF.velutipes; Flavobact
erium sp., 例えばF.aquatile, F.lutescens, F.rigenseまたはF. suaveolens; Fusarium sp., 例えばF.culmorum, F.oxysporum f. sp. NicotianaeまたはF. solani var. martii; Gibberella sp., 例えばGibberella fujikuoriまたはGibberella zeae; Keratinomyces sp., 例えばK.ajelloi; Klebsiella sp., 例えばK.pneumoniae; Leptosphaeria sp., 例えばLeptosphaeria maculans; Micrococcus sp.; 例えばM.luteusまたはM.ureae; Mortierella sp., 例えばM.isabellina; M. ramanniana var. AngulisporaまたはM.sp. TPU 4801; Mucor sp., 例えばM.fragilis; Neosartorya sp. 例えばN.fisheri; Nocardia sp., 例えばN.asteroides; Phycomyces sp., 例えばP.nitens; Proteus sp., 例えばP.vulgaris; Pseudomonas sp., 例えばPseudomonas chloraphisまたはP.fluorescens; Pycnoporos sp., 例えばP.coccineus; Rhizoctonia sp., 例えばRhizoctonia solani; Rhizopus, 例えばR.nigricansまたはR.oryzae; Rhodococcus sp., 例えばR.erythropolisまたはR.rhodochrous; Schizophyllum sp., 例えばS. communeまたはS. sp.株 TPU 4435; Sclerotinia sp., 例えばSclerotinia sclerotiorum; Talaromyces sp., 例えばT. flavus; Serratia sp., 例えばS. marcescens; Stenotrophomonas sp., 例えばS. maltophilia; Xanthomonas sp., 例えばX. flavusから選択される微生物から単離された遺伝子によりコードされることを特徴とする本発明の製造方法が好ましい。該関連遺伝子、特に、Rhodococcus sp., Gibberella zeaeまたは特にBacillus sp.から単離されたPAOxの遺伝子が特に好ましい。
本発明の製造方法の場合の使用に適した、または配列が機能的等価体の製造のための出発点として適している脂肪族アセトアルドキシムデヒドラターゼの例を以下の表1に示す。アクセス番号は専門データベースREFSEQおよびUNIPROTのものであり、この場合、当業者は、インターネットに基づくサービスおよびGeneBankまたはSwissProtのような他のデータベースにより、アクセス番号により特定される配列エントリーに容易にアクセスすることが可能である。
Figure 0006230549
本発明の製造方法の場合の使用に適した、または配列が機能的等価体の製造のための出発点として適しているフェニルアセトアルドキシムデヒドラターゼの例を以下の表2に示す。
Figure 0006230549
Figure 0006230549
本発明の製造方法の場合の使用に適した、または配列が機能的等価体の製造のための出発点として適しているインドールアセトアルドキシムデヒドラターゼの例を以下の表3に示す。
Figure 0006230549
もう1つの実施形態においては、該酵素は、出発配列としての表1〜3に記載されているアルドキシムデヒドラターゼの1つから誘導されるアミノ酸配列を有し、該関連出発配列と比較して、少なくとも60%、例えば少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する。該製造方法の特に好ましい実施形態は、酵素として、配列番号1のPAOx(Kato, Y.ら, Biochemistry (2000), 39, 800-809およびXie, S-X.ら, Biosci. Biotechnol. Biochem. (2001), 65(12), 2666-2672)、または少なくとも60%、例えば少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%まで配列番号1と同一であるアミノ酸配列を有するPAOxを想定している。
本発明の製造方法の1つの実施形態においては、残基Rが、それが結合している炭素原子と一緒になって、(特に部分的または完全水素化により)ヘミテルペン(C5)、モノテルペン(C10)、セスキテルペン(C15)、ジテルペン(C20)、セステルテルペン(C25)、トリテルペン(C30)もしくはテトラテルペン(C40)残基から選択される非環状テルペン残基から誘導される、または1〜3個の炭素原子だけ短い対応テルペン残基から誘導される式IIのオキシムを反応させる。
該製造方法のもう1つの好ましい実施形態においては、nが1を示し、残基Rが直鎖状または単一もしくは多分枝状の飽和または単一もしくは多不飽和の、所望により単一もしくは多置換された、4〜19個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素残基を示す、式IIのオキシムを反応させる。
本発明の製造方法の特定の実施形態においては、nが1を示し、オキシム基に結合している残基Rの相違により異なっている以下の表4に示されている化合物からオキシムが選択される、一般式IIのオキシム、すなわち、アルドキシムが使用される。
Figure 0006230549
Figure 0006230549
残基Rは更に、表4における化合物1〜6、9および10の類似体から選択されることが可能であり、ここで、残基Rは水素化されている。特定の実施形態においては、該オキシムは、化合物1(シトラールオキシム)、化合物2(ネラールオキシム)、化合物3(ゲラニアールオキシム)および化合物10(シトロネラールオキシム)ならびに部分的または完全に水素化されたそれらの類似体から選択される。水素化された残基Rを有する化合物の一例は水素化形態の化合物10(シトロネラールオキシム)である(すなわち、本発明の製造方法の場合には、6,7-ジヒドロシトロネリルニトリルへの反応に付される6,7-ジヒドロシトロネリルオキシム)。
本発明の製造方法においては、各場合において異なる残基Rおよび/または異なる記号nを有する式IIの2以上のオキシムが同時に存在することが可能であり、その結果、式Iの対応ニトリルの生成物混合物が形成される。しかし、好ましくは、対応する式IIの厳密に1つのオキシムが使用される。
本発明の製造方法の特定の実施形態においては、式IIa
Figure 0006230549
のシトロネラールオキシムを式Ia
Figure 0006230549
のシトロネリルニトリルへと反応させ、ここで、式IIaを立体異性的に純粋な形態で、または立体異性体の混合物として、例えば特にR/S-E/Z混合物として使用する。
オキシムデヒドラターゼ、特に脂肪族アルドキシムデヒドラターゼ(4.99.1.5)、フェニルアセトアルドキシムデヒドラターゼ(PAOx)(EC 4.99.1.7)またはインドールアセトアルドキシムデヒドラターゼ(4.99.1.6)の存在下の本発明の反応は以下のとおりに行われうる:
a)アルドキシムデヒドラターゼの存在下の反応、
b)アルドキシムデヒドラターゼを含有するタンパク質混合物の存在下の反応、
c)アルドキシムデヒドラターゼを発現する機能的に発現する組換え微生物、それに由来するアルドキシムデヒドラターゼ含有細胞ホモジネートまたはそのアルドキシムデヒドラターゼ含有画分の存在下の反応。
好ましくは、該アルドキシムデヒドラターゼは、所望により他のアルドキシムデヒドラターゼと一緒になっていてもよい、PAOxである。組換え微生物における発現に際して、驚くべきことに、使用される基質に対して高い収率、例えば、70%を超える収率、そして実質的に定量的な収率が達成される。該反応は、とりわけ、低温、例えば15℃〜60℃、好ましくは25℃〜45℃、例えば約30℃の温度においても生じうる。
アルドキシムデヒドラターゼの存在下の反応は、例えば、
i.遊離状態の、所望により精製もしくは部分精製されたポリペプチド、
ii.固定化ポリペプチド、および/または
iii.細胞から単離されたポリペプチドに関するものでありうる。
アルドキシムデヒドラターゼを機能的に発現する微生物の存在下の前記選択肢c)の反応においては、それらは全細胞であり、これは、例えば休眠または成長中の任意の段階の細胞培養であることが可能であり、少なくとも1つのアルドキシムデヒドラターゼポリペプチドを含有しうる。
好ましい実施形態においては、該アルドキシムデヒドラターゼはPAOxであり、あるいは、アルドキシムデヒドラターゼの混合物は、他のアルドキシムデヒドラターゼのほかに、PAOxを含む。
本発明の製造方法の場合には、アルドキシムデヒドラターゼ活性を有する酵素は、特に、該酵素を過剰産生する微生物により産生されうる。該微生物は、特に、Leptosphaeria属、例えばLeptosphaeria maculans; Rhizoctonia、例えばRhizoctonia solani; Sclerotinia、例えばSclerotinia sclerotiorum; Botryotinia、例えばBotryotinia fuckeliana; Pseudomonas、例えばPseudomonas chloraphis; Rhodococcus; Gibberella、例えばGibberella fujikuroiまたはGibberella zeae; Escherichia, Pichia, Aspergillus, TrichodermaまたはBacillus、例えばEscherichia coliまたはPichia pastoris;およびSaccharomyces、例えばSaccharomyces cerevisiaeからなる微生物の群から選択されうる。表6は更なる適当な微生物の一覧を含み、そこに示されている種の根本となる属が、適当な例を代表する。あるいは、アルドキシムデヒドラターゼは過剰発現生物としての植物からも単離されることが可能であり、本発明の製造方法の場合の前記の選択肢i)またはii)の意味において使用されうる。例えば、Musa(特にM. acuminata banana)およびArabidopsis(特にA. thaliana)は過剰発現植物として考慮されうる。過剰発現微生物または植物は、過剰発現代表体に関するスクリーニングによる先行技術において公知の方法で当業者により決定されうる。あるいは、アルドキシムデヒドラターゼを発現する微生物または植物において天然に存在する遺伝子の発現の、遺伝的に操作された強化により、例えば、転写を増強するために、より強力なプロモータを挿入することにより、過剰発現が誘導されうる。
特定の実施形態においては、式IIのオキシムの反応は微生物の存在下で行われ、ここで、該微生物は、アルドキシムデヒドラターゼ、好ましくはPAOxを機能的に発現する細菌株である。該細菌株は、例えば、Escherichia coli、Pseudomonas putida、Burkholderia glumae、Corynebacterium glutamicum、Bacillus subtilisまたはZymomonas mobilisから選択されうる。特定の実施形態においては、該細菌株は大腸菌(E.coli)株である。該微生物は、特に、オキシムデヒドラターゼの異種遺伝子、特にPAOxの遺伝子が挿入されている組換え微生物である。
もう1つの特定の実施形態においては、該微生物は、アルドキシムデヒドラターゼをコードする核酸配列を有する発現構築物を含有する。該核酸配列は該微生物のコドン使用頻度に部分的または完全に適合化されうる。最適コドンが既に存在しない限り、想定微生物において最適な翻訳が生じるように全アミノ酸の全コドンが改変された場合、適合化は完全である。全てのアミノ酸ではなく、選択されたアミノ酸のコドンのみが最適化されている場合、または各場合において該核酸配列内に存在する1つのアミノ酸のコドンの全てが適合化されているわけではない場合、適合化は部分的と考えられる。
本発明の製造方法のもう1つの好ましい実施形態においては、該微生物は、少なくとも1つのシャペロンを発現し、これはアルドキシムデヒドラターゼ(これは特にPAOxでありうる)の機能的発現を支持する。機能的発現は、特に、発現されるオキシムデヒドラターゼの、特に翻訳中または翻訳後の、適切なフォールディングを支持するシャペロンにより支持されうる。シャペロンの発現にょり、有利には、該微生物における機能的アルドキシムデヒドラターゼの比率が増加することが可能であり、オキシムからニトリルへの変換が増強されうる。
本発明の製造方法の場合、該微生物が、GroELおよびGroESから選択される1以上のシャペロンを発現することが特に想定される。5つの広範なファミリー、すなわち、Hsp100/Clpファミリー、Hsp90ファミリー、Hsp70ファミリー(例えば、E.coliにおける代表体としてのDnaK, DNAJ, Hsc62, Hsc56およびGrpEを伴う)、Hsp60/GroELファミリー(既に記載されているGroELを伴う)および小さな熱ショックタンパク質(Hsp20)のファミリーに分けられる他のシャペロンが当業者に公知である。シャペロンはこれらのタンパク質ファミリーからも選択されうる。例えば、Dank/DnaJ/GrpE複合体、GroEL/ES複合体および誘発因子(Trigger Factor)(例えば、O'DonnellおよびLis, MIT 7.88 Research Paper, 2006に記載されているもの)からの組合せも生じうる。シャペロンは、使用される微生物において内因的に発現されることが可能であり、あるいは該微生物内に追加的に導入された核酸配列により部分的または完全に発現されうる。これらの核酸配列は、該微生物のゲノム内に、例えば、細菌染色体内に導入されることが可能であり、あるいは、発現構築物上に、染色体外に存在することが可能である。例えば、異種オキシムデヒドラターゼ遺伝子が微生物において発現されるため、または染色体遺伝子の発現が染色体外アルドキシムデヒドラターゼ遺伝子の追加的発現により補足されるため、アルドキシムデヒドラターゼが染色体外発現構築物により発現される場合には、該アルドキシムデヒドラターゼ遺伝子および該シャペロン遺伝子は共通の発現構築物または別々の発現構築物上に存在しうる。
本発明の製造方法の好ましい実施形態は少なくとも以下の工程a)、b)およびd)を含む。
a)天然源からアルドキシムデヒドラターゼを有する酵素を産生する、または組換え技術によりそれを産生する微生物を単離し、
b)該微生物を増殖させ、
c)所望により、アルドキシムデヒドラターゼ活性を有する酵素を該微生物から単離し、またはこの酵素を含有するタンパク質画分を調製し、
d)工程b)により微生物または工程c)による酵素を、一般式(II)のオキシムを含有する培地に移す。
本発明の製造方法においては、基質、例えばシトロネラールオキシムを、培地内で、アルドキシムデヒドラターゼの活性を有する酵素と接触させ、および/または、該酵素の存在下、例えばシトロネラールオキシムからシトロネラールニトリルへの、該基質の反応が生じるように、インキュベートする。好ましくは、該培地は水性反応培地である。
本発明の製造方法が好ましくは行われる水性反応培地のpHは、有利には、pH 4〜12、好ましくはpH 4.5〜9、特に好ましくはpH 5〜8に維持される。
該水性反応培地は、好ましくは、緩衝化溶液であり、これは、一般に、好ましくは5〜8のpHを有する。使用されるバッファーは、シトラート、ホスファート、TRIS(トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン)またはMES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)バッファーでありうる。更に、該反応培地は、他の添加剤、例えば界面活性剤(例えばタウロデオキシコラート)、FMN、イオン、例えば金属イオン(例えばFe2+およびSn2+)またはアニオン、例えばSO3 2-、およびアジ化ナトリウムを含有しうる。また、適当な反応混合物の詳細な組成は以下の文献に記載されている(Kato, Y.ら, Biochemistry (2000), 39, 800-809およびXie, S.-X.ら, Biosci. Biotechnol. Biochem. (2001), 65(12), 2666-2672)。
基質、例えばシトロネラールオキシムは、該酵素反応において、好ましくは2〜200mM、特に好ましくは5〜25mMの濃度で使用され、連続的または不連続的に補足されうる。しかし、該反応は、酵素を発現する、例えばPAOxを発現する宿主生物(例えば、大腸菌(E.coli))の存在下、純粋なアルドキシム(例えば、シトロネラールオキシム)を使用して行われうる(実施例2に記載されているとおり)。
オキシムからニトリルへの酵素反応は、一般に、使用される酵素の非活性化温度より低く且つ-10℃より高い反応温度で行われる。好ましくは、本発明の製造方法は、0℃〜95℃の温度、特に好ましくは15℃〜60℃、特に20℃〜40℃、例えば25℃〜30℃の温度で行われる。
20〜40℃の範囲の温度および/または4〜10の範囲のpH、好ましくはpH 8でオキシムからニトリルへの反応を行う本発明の製造方法が特に好ましい。
これらの単相水性系に加えて、本発明のもう1つの変法においては、2相系も使用される。水相に加えて、有機非水混和性反応媒体が第2相として使用される。結果として、反応産物は有機層中に蓄積する。該反応後、有機相中の産物、例えばシトラールニトリル、ネラールニトリル、ゲラニアールニトリルまたはシトロネラールニトリルは、該生物触媒を含有する水相から容易に分離されうる。
ニトリル、特にシトラールニトリル、ネラールニトリル、ゲラニアールニトリルまたはシトロネラールニトリルの製造が単相水性系または2相系内で行われることを特徴とする本発明の製造方法が好ましい。
該反応産物、例えばシトラールニトリル、ネラールニトリル、ゲラニアールニトリルまたはシトロネラールニトリルは有機溶媒で抽出されることが可能であり、所望により、精製のために蒸留されうる。
適当な有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、好ましくは5〜8個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、例えばペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはシクロオクタン、ハロゲン化脂肪族炭化水素、好ましくは1または2個の炭素原子を有するハロゲン化脂肪族炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンまたはテトラクロロエタン、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンまたはジクロロベンゼン、脂肪族非環状および環状エーテルまたはアルコール、例えば4〜8個の炭素原子を有するもの、例えばエタノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドルフランまたはエステル、例えば酢酸エチルまたは酢酸n-ブチル、あるいはケトン、例えばメチルイソブチルケトンまたはジオキサン、あるいはそれらの混合物が挙げられる。特に好ましくは、前記のヘプタン、メチルtert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチルが使用される。
本発明に従い使用されるアルドキシムデヒドラターゼは、前記で既に説明したとおり、遊離または固定化酵素として、本発明の製造方法において使用されうる。
本発明の製造方法のためには、アルドキシムデヒドラターゼをコードする核酸、核酸構築物またはベクターを含有する、休止または成長中の遊離または固定化細胞が使用されうる。細胞溶解された細胞、例えば細胞ライセートまたは細胞ホモジネートも使用されうる。細胞溶解された細胞は、例えば、例えば溶媒での処理により透過可能にされた細胞、または酵素処理、物理的処理(例えば、フレンチプレスまたは超音波)もしくは何らかの他の方法により破壊された細胞である。得られた粗抽出物は、有利には、本発明の製造方法に適している。精製または部分精製酵素も該製造方法に使用されうる。
本発明の製造方法に遊離生物または酵素が使用される場合、これらは、好ましくは、例えば濾過または遠心分離により、抽出前に分離される。
本発明の製造方法はバッチ法、半バッチ法により、または連続的に実施されうる。
(実施例)
実験の部
以下の実施例において特に情報が示されていない場合、以下の一般的情報が適用される。
A.一般的情報
使用される全ての材料および微生物は、商業的に入手可能な又はストック培養収集物から入手可能な製品である。
特に示されていない限り、組換えタンパク質のクローニングおよび発現は、例えばSambrook, J., Fritsch, E.F.およびManiatis, T., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載されているような標準的な方法により行われる。
a)細菌株、プラスミドおよび増殖条件
全ての実験は、大腸菌(E.coli)を使用して行った。ラムノースイソメラーゼを含有しないTG1誘導体である大腸菌(E.coli)TG10をPAOxの発現に使用した。
b)ガスクロマトグラフィー
測定装置:Agilent 6890 N
カラム:Optima 5 Accent、長さ = 30m、I.D. = 0.25 mm、O.D. = 0.4 mm、フィルム厚さ0.25μm
Macherey&Nagel # 725820.30から
流速:13.5 PSI(炉温度80℃)で1.0 ml/分
分割:1:50, 分割流動: 50 ml/分、セプタムパージ3 ml/分(炉温度80℃)
キャリヤガス:ヘリウム
インジェクタ:分割/非分割[スプリット・ライナー・シルテック(Split Liner siltec)非作動(Restec # 20713-214.5)による]
インジェクタ温度:280℃
注入体積:1μl
検出器:300ml/分の空気、30ml/分の水素および30ml/分の補完(make-up)ガス(ヘリウム)でのFID
検出器温度:320℃
温度設定:
開始:60℃
滞留時間1:0分
温度上昇1:15℃/分
最終温度1:320℃
滞留時間2:5分
全運転時間:22.3分
評価:面積-%によるEmpower-2-ソフトウェア。
B.実施例
実施例1:大腸菌(E.coli)におけるPAOxの発現
本実施例においては、Bacillus sp.株OxB-1からのフェニルアセトアルドキシムデヒドラターゼ(PAOx)の遺伝子のコドン使用頻度を大腸菌(E.coli)における発現に関して最適化した。その新たなDNA配列を合成し、ラムノース誘導性発現ベクターであるpDHE内にクローニングした。可溶性PAOxの産生に必要なGroEL/S-シャペロンをIPTG誘導性pAgroまたはpHSGベクター内にクローニングした。ラムノースイソメラーゼを含有しないTG1誘導体である大腸菌(E.coli)TG10においてPAOxの発現を行った。pAgroおよびpHSGを含有するTG10細胞(TG10+)をpDHE-PAOxで形質転換し、アンピシリン(pDHE)、スペクチノマイシン(pAgro)およびクロラムフェニコール(pHSG)の存在下、2xYT内で37℃で5時間培養した。5mlのこの培養を、100μM IPTGおよび0.5g/L ラムノースを含有する500mLの同じ培地に移した。30℃で約18時間にわたって誘導を行った。該細胞を遠心分離により集め、シトロネラールオキシムからシトロネリルニトリルへの変換における触媒として使用した。所望により、該細胞を、使用まで、-20℃で保存した。
実施例2:PAOxによるシトロネラールオキシムからシトロネリルニトリルへの変換
シトロネラールオキシムから対応ニトリルへの酵素的変換を以下のとおりに行った。50mLのラセミR/S-E/Zシトロネラールオキシムを、フェニルアセトアルドキシムデヒドラターゼ(PAOx)を発現する12.5gの大腸菌(E.coli)TG10と混合した。該反応混合物を、撹拌しながら30℃でインキュベートした。18時間後および90時間後に該反応混合物(0.1mL)のサンプルを採取し、0.5mLのn-ヘプタンと混合した。有機相をガスクロマトグラフィー(GC)により分析した。該GC分析は、Agilent 6890 N(カラム: Optima 5 Accent, Macherey & Nagel; 流速: 1 mL/分, 13.5 PSI, 注入温度280℃; 検出温度320℃; 検出器: FID; シトロネラールオキシム保持時間: 7.816分 & 8.018分; シトロネリルニトリル保持時間: 6.765分)において行った。90時間後、該ラセミR/S-E/Zシトロネラールオキシムは対応ニトリルへと定量的に変換されていた。生じた反応を図1に示す。変換の前、途中および後の対応ガスクロマトグラムを図2A、図2Bおよび図2Cに示す。該ガスクロマトグラムのピーク面積の割合で示される、反応の大雑把な時間経過を、表5に示す。
Figure 0006230549
Figure 0006230549
Figure 0006230549
以下は、表6による使用可能な配列の一覧であり、該配列は、本発明の製造方法に直接的に使用可能であるか、あるいは出発配列として使用可能であり、所望により、本発明の製造方法において後に使用可能である機能的等価体の製造に役立つコード核酸配列の形態でも使用可能である。アクセス番号は専門データベース、例えばNCBI(National Center for Biotechnology Information)、GeneBank,またはSwissProtに関するものである。
配列番号1; 登録番号: BAA90461; P82604 (UniProtKB/Swiss-Prot)
Figure 0006230549
配列番号2; 登録番号: AB028892 (NCBI)
Figure 0006230549
配列番号3;
Figure 0006230549
Figure 0006230549
配列番号4, 登録番号: NCBI: YP_947647.1, GenBank: ABM07831.1
Figure 0006230549
配列番号5; 登録番号: NCBI: YP_046290.1; GenBank: CAG68468.1
Figure 0006230549
配列番号6; 登録番号: F0QD95_ACIAP (UniProtKB/TrEMBL)
Figure 0006230549
配列番号7, 登録番号: YP_003097901.1 (NCBI)
Figure 0006230549
Figure 0006230549
配列番号8, 登録番号: YP_001240697 (NCBI)
Figure 0006230549
配列番号9, 登録番号: ZP_02891657 (NCBI)
Figure 0006230549
配列番号10; 登録番号: ACB68693 (GenBank), YP_001816246 (NCBI)
Figure 0006230549
配列番号11, 登録番号: YP_001776877 (NCBI)
Figure 0006230549
Figure 0006230549
配列番号12, 登録番号: YP_004119277 (NCBI)
Figure 0006230549
配列番号13, 登録番号: ZP_07774756 (NCBI)
Figure 0006230549
配列番号14:, 登録番号: ZP_07774757 (NCBI)
Figure 0006230549
配列番号15; 登録番号: YP_001268042 (NCBI)
Figure 0006230549
SEQ ID NO. 16, 登録番号: E4RFH2_PSEPB (UniProtKB/TrEMBL)
Figure 0006230549
Figure 0006230549
配列番号17, 登録番号: YP_001758607 (NCBI)
Figure 0006230549
配列番号18, 登録番号: YP_001261493 (NCBI)
Figure 0006230549
配列番号19, 登録番号: YP_004155682 (NCIB)
Figure 0006230549
配列番号20, 登録番号 YP_002942593 (NCBI)
Figure 0006230549
配列番号21, 登録番号: YP_002944432
Figure 0006230549
配列番号22, 登録番号: YP_001416464
Figure 0006230549
配列番号23; 登録番号: Q2WG72 (NCBI, SwissProt)
Figure 0006230549
配列番号24, 登録番号: Q7WSJ4 (NCBI, SwissProt)
Figure 0006230549
配列番号25, 登録番号: Q4W7T3 (NCBI, SwissProt)
Figure 0006230549
Figure 0006230549
配列番号26, 登録番号: Q76K71 (NCBI, SwissProt)
Figure 0006230549
配列番号27, 登録番号: Q76EV4 (NCBI, SwissProt)
Figure 0006230549
配列番号28, 登録番号: O49342 (NCBI, SwissProt)
Figure 0006230549
本明細書に挙げられている刊行物の開示を参照による本明細書に明示的に組み入れることとする。

Claims (11)

  1. ニトリルの生物触媒的製造方法であって、
    a) シトラールオキシム、ネラールオキシム、ゲラニアールオキシム、シトロネラールオキシムおよびそれらの部分的または完全水素化類似体から選択されるオキシム、ここで該オキシム化合物は立体異性的に純粋な形態で、または立体異性体の混合物として存在する、を、フェニルアセトアルドキシムデヒドラターゼ(PAOx)(EC 4.99.1.7)の存在下で、ニトリルに変換する、ここで該ニトリルは立体異性的に純粋な形態で、または立体異性体の混合物として存在する、ならびに
    b)所望により、ついで反応生成物を更に精製すること
    を含む、前記生物触媒的製造方法
    ここで前記フェニルアセトアルドキシムデヒドラターゼ(PAOx)が配列番号1のアミノ酸配列、またはこれに対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、前記製造方法
  2. PAOxがロドコッカス種(Rhodococcus sp.)、ジベレラ・ゼエ(Gibberella zeae)またはバシラス種(Bacillus sp.)からの酵素である、請求項1記載の製造方法。
  3. 式IIa
    Figure 0006230549
    のシトロネラールオキシムを式Ia
    Figure 0006230549
    のシトロネリルニトリルへ変換し、ここで、式IIaの化合物を立体異性的に純粋な形態で、または立体異性体の混合物として使用する、請求項1記載の製造方法。
  4. PAOx、PAOx含有タンパク質混合物の存在下、またはPAOxを機能的に発現する組換え微生物、それに由来するPAOx含有細胞ホモジネートもしくはそのPAOx含有画分の存在下、酵素的に該反応を行う、前記請求項1−3のいずれか1項記載の製造方法。
  5. PAOxまたはPAOxを機能的に発現する微生物が遊離形態または固定化形態で反応混合物中に存在する、前記請求項1−4のいずれか1項記載の製造方法。
  6. 該組換え微生物が、PAOxを機能的に発現する細菌株である、請求項4および5のいずれか1項記載の製造方法。
  7. 該組換え微生物が、PAOxをコードする核酸配列を有する発現構築物を含有する、請求項記載の製造方法。
  8. 該組換え微生物が、該微生物のコドン使用頻度に適合化されている、PAOxをコードする核酸配列を有する発現構築物を含有する、請求項記載の製造方法。
  9. 該微生物が、PAOxの機能的発現を支持する少なくとも1つのシャペロンを更に発現する、請求項4〜8のいずれか1項記載の製造方法。
  10. 該組換え微生物が、PAOxに加えて、GroELおよびGroESから選択される1以上のシャペロンを発現する細菌株である、請求項9記載の製造方法。
  11. 該反応を反応媒体としての基質中で行う、前記請求項1−10のいずれか1項記載の製造方法。
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