以下、本発明に係るホース送出し装置の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るホース送出し装置の一実施の形態が搭載された液体散布装置としての動力噴霧装置の全体構成を概略的に示したものであり、図2は、図1に示す動力噴霧装置の内部構成を概略的に示したものであり、図3は、図1に示す動力噴霧装置の動力伝達系を概略的に説明したものであり、図4は、図1に示す動力噴霧装置の上部を拡大して示したものである。
図示する動力噴霧装置1は、例えば水や農薬等の薬液を噴霧するためのものであり、主に、本体部分を構成する枠状の機体フレーム6と、機体フレーム6の下部の前後にそれぞれ左右1対で取り付けられた前輪3及び後輪2(例えば、前輪3がタイヤ、後輪2がキャスター)と、機体フレーム6内に搭載されたエンジン4と、エンジン4によって駆動されるポンプ5と、機体フレーム6に対して回転自在に取り付けられたホースリール7と、該ホースリール7からホース10を所望の方向へ送出すためのホース送出し装置19と、を備えている。また、機体フレーム6には、ホース送出し装置19のホース送出し機構等を覆う機体カバー9が固定され、該機体カバー9には、ホース10の送出しや巻取り等を制御するホース送出し装置19の制御装置(制御部)11aが内蔵された操作盤11が配設されている。なお、本実施形態では、動力源としてエンジン4を採用したが、例えばモータやモータとエンジンを併用したハイブリッド型エンジンを動力源として採用してもよい。
エンジン4の駆動力は、図2及び図3に示すように、該エンジン4の出力軸22から動力伝達用のベルト24〜26、メイントランスミッション27、及び、走行用トランスミッション28を介して前輪3へ伝達され、前輪3が駆動輪として機能することで、動力噴霧装置1が走行自在となっている。なお、前輪3のクラッチ操作は、機体フレーム6の後側の手押し部分に取り付けられた走行クラッチレバー6aにより手動で行われる。
また、エンジン4の駆動力は、該エンジン4の出力軸22からベルト30を介してポンプ5へ伝達される。従って、エンジン4を動作させてポンプ5を駆動すると、ポンプ5は、エンジン4の駆動力により、別途用意された薬液タンクから薬液等を吸引してホース10に圧送し、前記薬液等がホース10を通ってその先端に取り付けられたノズル(不図示)から噴霧される。なお、ポンプ5には動噴電磁クラッチ53(図3参照)が設けられており、その動噴電磁クラッチ53が操作盤11に内蔵された制御装置11aを介してオン・オフ制御されることで、エンジン4からポンプ5への駆動力の伝達の接続もしくは遮断が制御され、ホース10からの液薬等の噴霧が制御される。
ホースリール7には、例えば外径が10〜25mm程度の散布用耐圧ホース10が巻き付けられている。また、ホースリール7の回転軸23には、ベルト24、25、29及びメイントランスミッション27を介してエンジン4の駆動力が伝達されるようになっており、当該エンジン4の駆動力によってホース10の巻取り方向にホースリール7が回転駆動される。
より詳細には、メイントランスミッション27の出力軸21には、図3に示すように、巻取り電磁クラッチ50が設けられ、この電磁クラッチ50がオン・オフ制御されることで、エンジン4からホースリール7への駆動力の伝達の接続もしくは遮断が制御される。また、出力軸21には、ホース10の巻取り時や送出し時以外における遊転を防止するべく、電磁ブレーキ52が設けられており、この電磁ブレーキ52が制御されることで、回転自在となっているホースリール7を静止させることができる。この電磁ブレーキ52及び電磁クラッチ50は、操作盤11に内蔵された制御装置11aにより制御され、これにより、エンジン4の駆動力によるホース10の巻取り方向へのホースリール7の回転駆動が制御される。なお、前記制御装置11aは、遠隔操作を可能とするために、携帯型の送信機(図4及び図5参照)からの制御信号を受信する受信機(不図示)を備えている。
ホース送出し装置19は、主に、ホースリール7からホース10を繰出す際にその繰出しに要する作業者等の労力を軽減すべくホース10に送出し力を付与する送出し機構と、送出されたホース10を所望の方向に案内するガイド機構と、上記したようにエンジン4の駆動力を利用して送出されたホース10をホースリール7へ巻取る巻取り機構と、その送出し機構と巻取り機構との動作状態を制御する制御装置11aとを、有している。
前記ホース送出し装置19の送出し機構は、主に、ホースリール7よりも上方で該ホースリール7の略水平な回転軸23と略平行となるように機体フレーム6に回転自在に取り付けられた送出し軸48と、該送出し軸48と一体的に回転してホース10に送出し力を付与する送出しローラ49とを有している。
送出し軸48は、図2及び図3に示すように、ベルト31によりメイントランスミッション27の出力軸20に連結され、その出力軸20には送出し電磁クラッチ51が介設されている。前記制御装置11aによりこの送出し電磁クラッチ51をオン・オフ制御することによって、エンジン4から送出し軸48への駆動力の伝達の接続もしくは遮断が制御される。
送出しローラ49は、エンジン4からの駆動力によって回動する送出し軸48と一体的に回転するものの、送出し軸48の軸線方向(水平方向)には摺動自在となるように、送出し軸48に対してスプライン結合されている。この送出しローラ49は、主に天板と一対の側板とからなる配列巻装置8内に回転自在に配置されており、この配列巻装置8が、送出し軸48に遊嵌されて送出し軸48に沿って移動自在となっている。
具体的には、前記配列巻装置8は、主にホース10をホースリール7に巻取る際に該ホース10をホースリール7に整列させるためのものであり、送出し軸48及びホースリール7の回転軸23と平行となるように機体フレーム6に回転自在に取り付けられた整列巻取り軸47と、配列巻装置8を支持するべく送出し軸48及び整列巻取り軸47の前後に送出し軸48及びホースリール7の回転軸23と平行となるように機体フレーム6に固定された前方支持軸44及び後方支持軸45と、を有している。この整列巻取り軸47は、ベルト32によりホースリール7の回転軸23に連結されており、ホースリール7の回転に応じて回転される。また、整列巻取り軸47には螺旋溝が形成されており、この螺旋溝に、配列巻装置8に固定されたスライダ46(図3参照)が係合されている。また、配列巻装置8は、上記したように送出し軸48に回転不能に遊嵌されており、かつ、前方支持軸44及び後方支持軸45に軸線方向(水平方向)に摺動自在に支持されている。ホースリール7の回転に応じて整列巻取り軸47が回転すると、整列巻取り軸47に係合するスライダ46が整列巻取り軸47の螺旋溝に案内されて水平方向に移動し、配列巻装置8が、スライダ46の移動に伴って前方支持軸44及び後方支持軸45により支持されながら水平方向に移動する。ここで、整列巻取り軸47の螺旋溝は、ホースリール7が1回転した際に、スライダ46をホース10の外径よりも大きな距離で移動させることができ、ホースリール7の両端部でホース10が巻取られる状態になった際には逆方向に移動されるように設定されている。これにより、ホースリール7をホース巻取り方向に回転させると、それに応じて整列巻取り軸47も回転し、ホース10を支持する送出しローラ49が水平方向に往復移動し、ホース10は整列した状態でホースリール7に巻取られる。一方で、ホース10を繰出す際には、ホースリール7及び整列巻取り軸47が逆方向に回転され、ホース10の巻取り時とは逆向きにスライダ46及び送出しローラ49が水平方向に往復移動するが、この場合にも、送出しローラ49は、ホースリール7に整列して巻回されたホース10の巻解き位置に正対する位置に常時配置されるため、ホース10は安定的に送出しローラ49に導かれる。
ホース10は、ホースリール7から略鉛直上方に引き出され、配列巻装置8の下側開口を通り、送出しローラ49の周面に沿って略鉛直上方に延設され、送出しローラ49の回転駆動力が伝達されて繰出されるようになっている。なお、この動力伝達を確実にし、かつ送出しローラ49からのホース10の脱落を防止するために、例えば送出しローラ49の周面には丸溝やV溝等の溝が形成されている。また、配列巻装置8には、ホース10を送出しローラ49に押し付けるための押圧ローラ43が配設されている。この押圧ローラ43は、配列巻装置8内で揺動自在に取り付けられたリンクプレート42の自由端部側に設けられ、例えばばね等の付勢部材(不図示)によってホース10を送出しローラ49側に付勢している。なお、配列巻装置8の天板には、送出しローラ49の上方位置に略円形状の貫通孔が形成され、その貫通孔に鉛直方向に延びる略円筒状の筒状部材が固定されており、送出しローラ49の周面に沿って延設されたホース10は、その筒状部材の内部を通って繰出される。
また、上記したホース送出し機構よりも上方には、送出しローラ49の周面に沿って延設されたホース10を所定方向に案内するガイド機構が設けられている。このガイド機構は、主に、配列巻装置8に略鉛直軸周りで回転自在に取り付けられたガイドベース60と、ガイドベース60に対して傾動自在に取り付けられたホースガイド70とを有している。
ガイドベース60は、図4に示すように、主に、配列巻装置8の筒状部材に摺動するように該筒状部材に回転自在に内挿された略円筒状のガイドパイプ62と、配列巻装置8の筒状部材から突出した前記ガイドパイプ62の上端部に取り付けられた略円板状のベースプレート61と、ホースガイド70を傾動自在に支持するべくガイドパイプ62の開口を挟むようにベースプレート61の上面に略平行に取り付けられた左右一対の支持プレート63、64とを有している。また、ガイドパイプ62には、ベースプレート61と配列巻装置8の天板との間に略円板状の回転防止プレート65が固着され、該回転防止プレート65の外周面の所定位置には、ストッパとして機能する複数の突起が形成されている。配列巻装置8の筒状部材は、その上端部が該配列巻装置8の天板から僅かに突出しており、前記回転防止プレート65が前記筒状部材の上端部により回転自在に支持され、これにより、ガイドベース60が配列巻装置8に対して略鉛直軸周りで回転自在となっている。なお、配列巻装置8には、回転防止プレート65の外周面に形成された複数の突起の間に介在するように鉛直上方に向かってストッパ(不図示)が取り付けられ、ガイドベース60の回転に応じて回転防止プレート65が回転した際に、該回転防止プレート65の突起が配列巻装置8のストッパと衝接することで、ガイドベース60が所定角度以上回転しない(言い換えれば、所定角度の範囲内で回転する)ようになっている。
ホースガイド70は、所定箇所で固定された略平行な一対の支持プレート73、74を有している。このホースガイド70の支持プレート73、74は、斜め上方に延びるようにガイドベース60の各支持プレート63、64に取り付けられている。詳細には、ホースガイド70は、その基端部の前側が略水平方向に延びるヒンジ軸71を介してガイドベース60に取り付けられ、基端部の後側が左右一対のコイルバネ75、76を介してガイドベース60に取り付けられている。各コイルバネ75、76は、その上端部が各支持プレート73、74の基端部の側部に固着された耳部83の係合穴に係合され、その下端部がガイドベース60の各支持プレート63、64の後部に設けられた係合爪84に係合されている。通常時(ホース10に所定の引張り力が付与されていない状態)では、コイルバネ75、76の付勢力(引張り力)によりガイドベース60に対して所定の角度が維持されるようになっている。
ホースガイド70の内部、すなわち各支持プレート73、74との間には、その基端部に下方から順に第1〜第4ガイドローラ77〜80が配設され、その先端部に基端部側から順に第5、第6ガイドローラ81、82が配設されている。これらのガイドローラ77〜82は、ホース10の脱落を防止するために、その周面にホース10を受ける丸溝やV溝等の溝が形成されている。
送出しローラ49と押圧ローラ43との間を通って略鉛直上方に延びるホース10は、配列巻装置8の筒状部材に内挿されたガイドパイプ62の内部、ベースプレート61の上面に取り付けられた支持プレート63、64の間、ホースガイド70の支持プレート73、74の間であって各ガイドローラ77〜82の間を通ってホースガイド70の先端部に導かれることで、作業者等の所望の方向にホース10が引き出される。
また、図2及び図4に示すように、ガイドベース60の支持プレート63の外面にはリミットスイッチ(検知部)66が取り付けられている。一方、ホースガイド70の支持プレート73の基端部の側面には、リミットスイッチ66のスイッチレバーを押し下げる押圧棒72が取り付けられている。
上記したように、通常時では、コイルバネ75、76の付勢力(引張り力)によりホースガイド70がガイドベース60に対して所定の角度を維持するようになっており、押圧棒72がリミットスイッチ66のスイッチレバーを押し下げて、リミットスイッチ66はオフ状態となっている。
一方で、例えばホース10を引き出そうとしてホース10に引張り力が作用した場合、ホースガイド70がコイルバネ75、76の付勢力に抗してヒンジ軸71を回転中心として傾動する。ホースガイド70がガイドベース60に対して所定の角度以上傾動すると、リミットスイッチ66のスイッチレバーに対する押圧棒72の押し下げ力が低下し、リミットスイッチ66はオン状態となる。このように、リミットスイッチ66によって、ホース10に引張り力が付与されて張力が作用しているか否かを検知することができる。リミットスイッチ66からの出力信号(オン・オフ信号)は、操作盤11に内蔵された制御装置11aに送信されるようになっている。
また、機体カバー9に配設された操作盤11には、図5(a)に示すように、主電源スイッチ12と始動スイッチ13と動作モード切換えスイッチ(動作モード切換え部)14と動噴切換えスイッチ15とホース送出し・巻取りスイッチ16とが設けられている。作業者等は、主電源スイッチ12を押圧し、始動スイッチ13を回動(図中、時計周り方向)させることにより、エンジン4を始動させて各種の作業を行うことができる。
動作モード切換えスイッチ(動作モード切換え部)14は、ホース10の送出し・巻取り動作(すなわち、上記したホース送出し装置19の送出し機構と巻取り機構との動作状態)を複数の動作モードで切換えるためのものである。この動作モード切換えスイッチ14には、(上段から)セミアシストモードとアシストオフモードとフルアシストモードとが設定されており、作業者等は動作モード切換えスイッチ14を適宜の位置に切換えると、その切換えに関する制御信号が制御装置11aに送信される。制御装置11aは、その制御信号に基づいて上記したホース送出し装置19の送出し機構と巻取り機構との動作状態を制御することで、作業者等は所望の動作モードでホース10の送出しや巻取りを行うことができる。なお、この動作モード切換えスイッチ14に設定された各動作モードについては以下で詳述する。
動噴切換えスイッチ15は、ポンプ5によるホース10への薬液等の圧送を切換えるためのものである。作業者等は、この動噴切換えスイッチ15を上方に倒すと、ポンプ5に介設された動噴電磁クラッチ53を制御するための制御信号が制御装置11aに送信される。制御装置11aは、その制御信号に基づいて動噴電磁クラッチ53をオン・オフ制御することで、エンジン4からポンプ5への駆動力の伝達の接続もしくは遮断が制御され、ポンプ5によるホース10への薬液等の圧送が切換えられ、作業者等はホース10からの液薬等の噴霧を開始したり停止することができる。
また、ホース送出し・巻取りスイッチ16は、ホース10の送出し・巻取りに関するホース送出し信号やホース巻取り信号を制御装置11aに送信するためのものである。作業者等は、このホース送出し・巻取りスイッチ16を送出し側(上方)に倒すと、ホースリール7からホース10を送出すためのホース送出し信号が前記制御装置11aに送信される。制御装置11aは、そのホース送出し信号に基づいて送出し機構を駆動することによって、ホース10がホースリール7から繰出される。一方で、作業者等は、このホース送出し・巻取りスイッチ16を巻取り側(下方)に倒すと、ホースリール7へホース10を巻取るためのホース巻取り信号が前記制御装置11aに送信される。制御装置11aは、そのホース巻取り信号に基づいて上記した巻取り機構を駆動することによって、ホース10がホースリール7へ巻取られる。
また、このような動力噴霧装置1を使用する際、作業者等は当該動力噴霧装置1の本機から離れた位置にいることが多い。そのため、動力噴霧装置1には、遠隔操作を可能とするための携帯型の送信機11Aが設けられている。この送信機11Aは、図5(b)に示すように、主電源ボタン12Aと始動ボタン13aAと停止ボタン13bAと動噴切換えボタン15Aとホース送出しボタン16aAとホース巻取りボタン16bAとが設けられている。作業者等は、送信機11Aに設けられた各ボタンを押圧することによって、各ボタンに応じた制御信号が操作盤11に内蔵された制御装置11aへ送信される。制御装置11aは、送信機11Aから送信された各制御信号に基づいて各機器を制御することで、作業者等は、上記した操作盤11による操作と同様の操作を行うことができる。
なお、上記した操作盤11の各スイッチや送信機11Aの各ボタンは、作業者等の所望に応じて適宜に設定できる。例えば、図6に示すように、操作盤11'からホース送出し・巻取りスイッチを省略してもよいし、携帯型の送信機11A'に、エンジンの始動と共に回転数を制御するボタン(高速ボタン13aaA'や低速ボタン13abA')やポンプを加圧するための加圧ボタン17A'等を送信機に追加してもよい。
また、図5及び図6に示す送信機11A、11A'には、動力噴霧装置1の本機の操作盤11に設けられたスイッチのうち、主電源スイッチ12や始動スイッチ13、動噴切換えスイッチ15、ホース送出し・巻取りスイッチ16等に対応する各種ボタンが設けられているが、例えば、ホース10の送出し・巻取り動作を複数の動作モードで切換えるための動作モード切換えスイッチ(動作モード切換え部)14に対応するスイッチもしくはボタン等を携帯型の送信機11A、11A'に設けてもよい。さらに、送信機11A、11A'に例えば液晶画面等からなる表示部を配設し、その表示部に動作モード切換えスイッチ(動作モード切換え部)14に対応するボタン等を表示させ、使用者等が表示部上のボタン等を選択もしくは押圧することで、ホース10の送出し・巻取り動作を複数の動作モードで切換えてもよい。また、動作モード切換えスイッチ(動作モード切換え部)14に対応するスイッチもしくはボタン等を携帯型の送信機11A、11A'に新たに設ける代わりに、図5及び図6に示す送信機11A、11A'に設けられた各ボタンを適宜に組み合わせて押圧することで、ホース10の送出し・巻取り動作を複数の動作モードで切換えてもよい。例えば、図5に示す送信機11Aにおいて、主電源ボタン12Aと始動ボタン13aAとが同時に押圧された際にセミアシストモードに切換えられ、主電源ボタン12Aと停止ボタン13bAとが同時に押圧された際にアシストオフモードに切換えられ、主電源ボタン12Aとホース送出しボタン16aAとが同時に押圧された際にフルアシストモードに切換えられる等、携帯型の送信機に設けられたボタンのうち複数のボタンが同時に押圧された際に、ホース10の送出し・巻取り動作の動作モードが適宜の動作モードに切換えられるようにしてもよい。なお、このように送信機側でホース10の送出し・巻取り動作を複数の動作モードで切換えられるようにした場合には、使用者等が使用時におけるホース10の送出し・巻取り動作の動作モードを認識し得るように、例えば表示ランプや表示画面等といった動作モードを表示するための表示部を携帯型の送信機に設けることが好ましく、特に、上記したようにその表示部に動作モード切換えスイッチ(動作モード切換え部)14に対応するボタン等を表示させてホース10の送出し・巻取り動作を複数の動作モードで切換えられるようにすることが望ましい。
以下では、制御装置11aによる送出し機構と巻取り機構とを用いたホース10の巻取り・送出し動作を図3を参照しながらより詳細に説明する。
[ホース送出し動作:操作式送出し機構]
まず、作業者等がエンジン4を始動した際(初期状態)には、ホース10はホースリール7に整列状態で巻取られている。また、リミットスイッチ66はオフ状態となっている。また、この初期状態では、メイントランスミッション27の出力軸20、21における巻取り電磁クラッチ50や送出し電磁クラッチ51はオフ状態(空転状態)となっており、エンジン4の駆動力はホースリール7や送出しローラ49には伝達されない。また、電磁ブレーキ52がオン状態となっており、ホースリール7は静止状態に維持される。なお、この初期状態では、エンジン4の駆動力はメイントランスミッション27を介してタイヤへ伝達され、機体フレーム6の走行クラッチレバー6aを操作することによって、作業者等は動力噴霧装置1を所望の位置に走行させて移動させることができる。また、動噴切換えスイッチ15がオン状態となっている場合には、エンジン4の駆動力がポンプ5に伝達され、作業者等は、ホース10の先端に取り付けられたノズル(不図示)から薬液等を噴霧することができる。
ホースリール7からホース10を引き出すべく、作業者等が、操作盤11に設けられたホース送出し・巻取りスイッチ(操作部)16を送出し側(上方)に倒したり、送信機11Aに設けられたホース送出しボタン(操作部)16aAを押圧すると、ホース10の送出しに関するホース送出し信号が制御装置11aに送信される。制御装置11aは、ホース送出し信号を受信すると、メイントランスミッション27の出力軸21における電磁ブレーキ52をオフ状態(空転状態)とし、出力軸20における送出し電磁クラッチ51をオン状態(接続状態)とし、エンジン4の駆動力が送出し軸48に伝達される。これにより、送出し軸48、ひいては送出しローラ49がホース送出し方向に回転駆動され、送出しローラ49からホース10に送出し力が付与されてホース10がホースリール7から繰出される。このようなホースの送出し機構を、本明細書では操作式送出し機構という。
なお、作業者等によるホース送出し・巻取りスイッチ16やホース送出しボタン16aAの操作が終了し、制御装置11aへのホース送出し信号の送信が停止すると、制御装置11aは、メイントランスミッション27の出力軸20における送出し電磁クラッチ51をオフ状態(空転状態)とし、電磁ブレーキ52をオン状態としてホースリール7を静止状態とする。
この操作式送出し機構は、以下で説明するように、ホース10の送出し・巻取り動作の全ての動作モード(アシストオフモード、フルアシストモード、セミアシストモード)で機能し得るようになっている。
[ホース送出し動作:検知式送出し機構]
また、ホースリール7からホース10を引き出すべく、作業者等がホース10を引張ると、その引張力によってホース10が収容されたホースガイド70がコイルバネ75、76の付勢力(引張り力)に抗してガイドベース60に対して傾動する。ホースガイド70がガイドベース60に対して所定の角度以上傾動すると、リミットスイッチ66のスイッチレバーに対する押圧棒72の押し下げ力が低下し、リミットスイッチ(検知部)66はオン状態となり、そのオン信号が制御装置11aに送信される。制御装置11aは、リミットスイッチ66のオン信号を受信する(すなわち、検知部によってホースに引張力が付与されたことを検知する)と、メイントランスミッション27の出力軸21における巻取り電磁クラッチ50及び電磁ブレーキ52を所定時間(数秒程度)だけオフ状態(空転状態)とすると共に、出力軸20における送出し電磁クラッチ51を所定時間だけオン状態(接続状態)とする。これにより、エンジン4の駆動力が所定時間だけ送出し軸48に伝達され、送出し軸48、ひいては送出しローラ49がホース送出し方向に回転駆動され、送出しローラ49からホース10に送出し力が付与されてホース10がホースリール7から所定時間(所定量)だけ繰出される。このようなホースの送出し機構を、本明細書では検知式送出し機構という。
この検知式送出し機構では、たとえばホース10が送り出されている間にホースガイド70がコイルバネ75、76の付勢力によって元の位置に戻っても、リミットスイッチ66はオフ状態となるが、ホース10はホースリール7から予め設定された所定時間(所定量)だけ連続的に繰出される。
前記所定時間が経過すると、制御装置11aは、メイントランスミッション27の出力軸20における送出し電磁クラッチ51をオフ状態(空転状態)とし、電磁ブレーキ52をオン状態とし、ホース10の送出し動作を停止してホースリール7を静止状態とする。
なお、前記検知式送出し機構でホース10を繰出す所定時間は、制御装置11aに設けられたタイマによって設定されると共に、作業者等は当該所定時間を所望に設定することができるようになっている。また、タイマによって設定される所定時間を携帯型の送信機11Aを介して設定し得るようにすることで、その利便性を高めることができる。
この検知式送出し機構は、以下で説明するように、ホース10の送出し・巻取り動作の動作モードの一部(アシストオフモードとセミアシストモードのホース巻取り動作終了後のある一定の期間)では機能しないようになっている。
また、ホース10をホースリール7から繰出している際に、ホース10がその終端近傍までホースリール7から送り出された場合には、前記制御装置11aは、送出し電磁クラッチ51をオフ状態(空転状態)とし、電磁ブレーキ52をオン状態とし、ホース10の送出し動作を停止してホースリール7を静止状態とするようになっている。
[ホース巻取り動作:操作式巻取り機構]
ホースリール7からホース10を繰出した後、ホースリール7へホース10を巻取るべく、作業者等が、操作盤11に設けられたホース送出し・巻取りスイッチ(操作部)16を巻取り側(下方)に倒したり、送信機11Aに設けられたホース巻取りボタン(操作部)16bAを押圧すると、ホース10の巻取りに関するホース巻取り信号が制御装置11aに送信される。通常、ホース10を巻取る場合には、作業者等は動力噴霧装置1の本機から離れた位置にいるため、送信機11Aのホース巻取りボタン16bAの操作によってホース巻取り信号を前記制御装置11aに送信する。
前記制御装置11aは、ホース巻取り信号を受信すると、メイントランスミッション27の出力軸20、21における送出し電磁クラッチ51及び電磁ブレーキ52をオフ状態(空転状態)とし、出力軸21における巻取り電磁クラッチ50をオン状態(接続状態)とし、エンジン4の駆動力がホースリール7の回転軸23に伝達される。これにより、ホースリール7がホース巻取り方向に回転駆動され、ホース10がホースリール7に巻取られる。このようなホースの巻取り機構を、本明細書では操作式巻取り機構という。
なお、作業者等によるホース送出し・巻取りスイッチ16やホース巻取りボタン16bAの操作が終了して、制御装置11aへのホース巻取り信号の送信が停止すると、制御装置11aは、メイントランスミッション27の出力軸21における巻取り電磁クラッチ50をオフ状態(空転状態)とし、電磁ブレーキ52をオン状態としてホースリール7を静止状態に維持する。
また、上記した送出し機構(操作式送出し機構や検知式送出し機構)によってホース10が繰出されている際に、送信機11A等から制御装置11aへホース巻取り信号が送信された場合には、ホース10の巻取りが優先される。そのため、制御装置11aは、出力軸20における送出し電磁クラッチ51をオフ状態としてホース10の送出しを強制的に終了し、出力軸21における巻取り電磁クラッチ50をオン状態としてホース10の巻取りを行う。
なお、当該動力噴霧装置1は、通常、広い農場で使用されるため、操作式巻取り機構を用いてホース10の巻取りを行うと、巻取り終了直後に、ホース10の重みや巻取り終了時の反動等によってホースガイド70がコイルバネ75、76の付勢力に抗してガイドベース60に対して傾動することがある。検知式送出し機構が機能し得る状況下(例えばフルアシストモード)でホースガイド70がガイドベース60に対して所定の角度以上傾動すると、リミットスイッチ66がオン状態となり、上記した検知式送出し機構によってホース10がホースリール7から送出され、余分に送り出されたホース10が動力噴霧装置1の近傍で溜まり、絡んだり捩れたりすることがある。
このような問題に鑑みて、当該動力噴霧装置1の操作盤11には、ホース10の送出し・巻取り動作(すなわち、上記したホース送出し装置19の送出し機構と巻取り機構との動作状態)を作業者の所望の動作モードで切換えるための動作モード切換えスイッチ14が設けられている。以下では、実際に作業者等が動力噴霧装置1を用いて農作物に薬液を噴霧する際に使用する動作モード切換えスイッチ14に設けられた各動作モード(アシストオフモード、フルアシストモード、セミアシストモード)について詳細に説明する。
[アシストオフモード]
作業者等が動作モード切換えスイッチ14を中段のアシストオフモードにセットすると、制御装置11aは、そのアシストオフモードで上記した操作式送出し機構、検知式送出し機構、操作式巻取り機構の動作状態を制御する。
具体的には、制御装置11aは、作業者等によりアシストオフモードが選択されると、常時、検知式送出し機構を不能状態とし、送出し機構のうち操作式送出し機構のみによってホースリース7からホース10を送出し、操作式巻取り機構によってホースリース7へホース10を巻取る。すなわち、このアシストオフモードでは、たとえば作業者等がホース10を引張り、ホースガイド70がコイルバネ75、76の付勢力に抗してガイドベース60に対して所定の角度以上傾動し、リミットスイッチ66がオン状態となっても、制御装置11aから送出し電磁クラッチ51等へ制御信号が送信されず、送出し機構は動作されない。そのため、作業者等は、操作盤11のホース送出し・巻取りスイッチ16や送信機11Aのホース送出しボタン16aAやホース巻取りボタン16bAの操作を介してのみホース10の巻取りや送出しを行うことができる。
[フルアシストモード]
作業者等が動作モード切換えスイッチ14を下段のフルアシストモードにセットすると、制御装置11aは、そのフルアシストモードで上記した操作式送出し機構、検知式送出し機構、操作式巻取り機構の動作状態を制御する。
具体的には、制御装置11aは、作業者等によりフルアシストモードが選択されると、常時、操作式送出し機構と検知式送出し機構と操作式巻取り機構が機能する状態とし、操作式送出し機構と検知式送出し機構のいずれかによってホースリース7からホース10を送出し、操作式巻取り機構によってホースリース7へホース10を巻取る。すなわち、このフルアシストモードでは、たとえば作業者等が操作盤11のホース送出し・巻取りスイッチ16や送信機11Aのホース送出しボタン16aAやホース巻取りボタン16bAの操作を行うと、制御装置11aは、それらの操作部から送信されるホース送出し信号やホース巻取り信号に基づいて操作式送出し機構や操作式巻取り機構を動作させてホース10の巻取りや送出しを行う。また、たとえば作業者等がホース10を引張り、ホースガイド70がコイルバネ75、76の付勢力に抗してガイドベース60に対して所定の角度以上傾動し、リミットスイッチ66がオン状態となると、制御装置11aはそのオン信号に基づいて送出し電磁クラッチ51等へ制御信号を送信し、検知式送出し機構を動作させてホース10の送出しを行う。そのため、作業者等は、簡便な操作でもって容易に所定量のホース10の送出しを行うことができる。
[セミアシストモード]
作業者等が動作モード切換えスイッチ14を上段のセミアシストモードにセットすると、制御装置11aは、そのセミアシストモードで上記した操作式送出し機構、検知式送出し機構、操作式巻取り機構の動作状態を制御する。
具体的には、制御装置11aは、作業者等によりセミアシストモードが選択されると、基本的には、操作式送出し機構と検知式送出し機構と操作式巻取り機構が機能する状態とし、操作式送出し機構と検知式送出し機構のいずれかによってホースリース7からホース10を送出し、操作式巻取り機構によってホースリース7へホース10を巻取る。
しかしながら、上記したように、検知式送出し機構が機能し得る状況下(例えばフルアシストモード)で操作式巻取り機構によってホースリース7へホース10を巻取り、巻取り終了直後に、ホース10の重み等によってホースガイド70がガイドベース60に対して所定の角度以上傾動すると、リミットスイッチ66がオン状態となり、検知式送出し機構によってホース10が自動的にホースリール7から送出されることがある。
そこで、制御装置11aは、セミアシストモードが選択された場合には、操作盤11や送信機11Aから送信されるホース巻取り信号を受信してからホース送出し信号を受信するまでの間、検知式送出し機構を不能状態とする。
図7は、図1に示すホース送出し装置1の制御装置11aによるセミアシストモードでの制御フローの一部を説明したものあり、ホースリール7から繰出したホース10を巻取った後に再び繰出す際の制御装置11aによるセミアシストモードでの制御フローを説明したものである。
図示するように、S1では、メイントランスミッション27の出力軸20、21における巻取り電磁クラッチ50や送出し電磁クラッチ51はオフ状態(空転状態)、電磁ブレーキ52がオン状態となっており、ホースリール7は静止状態に維持されている。なお、この段階では、操作式送出し機構と検知式送出し機構とが機能し得る状態であるとする。
制御装置11aは、定期的にホース巻取り信号等が送信されたか否かを判断し、操作盤11や送信機11Aからホース巻取り信号が送信されたと判断すると(S2)、メイントランスミッション27の出力軸21における電磁ブレーキ52をオフ状態(空転状態)とし、出力軸21における巻取り電磁クラッチ50をオン状態(接続状態)とし、ホース10がホースリール7に巻取られる(S3)。それと同時に、制御装置11aは、検知式送出し機構を不能状態とする(S10)。これにより、ホース10に引張力が付与され、ホースガイド70がガイドベース60に対して所定の角度以上傾動し、リミットスイッチ66がオン状態となっても、エンジン4の駆動力が送出し軸48に伝達されずにホース10がホースリール7から繰出されなくなる。
制御装置11aは、定期的にホース巻取り信号等の送信が停止したか否かを判断し、操作盤11や送信機11Aからのホース巻取り信号の送信が停止したと判断すると(S4)、メイントランスミッション27の出力軸21における巻取り電磁クラッチ50をオフ状態(空転状態)とし、出力軸21における電磁ブレーキ52をオン状態としてホースリール7を静止状態とする(S5)。
制御装置11aは、定期的にホース送出し信号等が送信されたか否かを判断しており、操作盤11や送信機11Aからホース送出し信号が送信されたと判断すると(S6)、メイントランスミッション27の出力軸21における電磁ブレーキ52をオフ状態(空転状態)とし、出力軸20における送出し電磁クラッチ51をオン状態(接続状態)とし、ホース10がホースリール7から繰出される(S7)。それと同時に、制御装置11aは、検知式送出し機構の不能状態を解除して当該検知式送出し機構を機能状態とする(S11)。これにより、ホース10に引張力が付与され、ホースガイド70がガイドベース60に対して所定の角度以上傾動し、リミットスイッチ66がオン状態となると、エンジン4の駆動力が送出し軸48に伝達され、ホース10がホースリール7から繰出されるようになる。
すなわち、制御装置11aは、操作盤11や送信機11Aからホース巻取り信号を受信してからホース送出し信号を受信するまでは、作業者等にホース10を送出す意思がないと判断し、無駄なホース10の繰出しを防止するために、検知式送出し機構を不能状態として当該検知式送出し機構による自動的なホース10の繰出しを禁止する。また、操作盤11や送信機11Aからホース送出し信号を受信すると、作業者等にホース10を送出す意思があると判断し、検知式送出し機構を機構状態(不能状態を解除)として当該検知式送出し機構による自動的なホース10の繰出しを許可する。
なお、制御御装置11aは、定期的にホース送出し信号等の送信が停止したか否かを判断し、操作盤11や送信機11Aからのホース送出し信号の送信が停止したと判断すると(S8)、メイントランスミッション27の出力軸20における送出し電磁クラッチ51をオフ状態(空転状態)とし、出力軸21における電磁ブレーキ52をオン状態としてホースリール7を静止状態とする(S9)。
以下の表1は、上記した各動作モードでの制御装置11aによるホース送出し動作や巻取り動作で利用される送出し機構と巻取り機構をまとめたものである。
このように、本実施の形態のホース送出し装置19によれば、動作モード切換えスイッチ14を介して作業者等によりセミアシストモードが選択された場合に、操作盤11や送信機11Aからホース巻取り信号を受信してからホース送出し信号を受信するまで、言い換えれば操作式巻取り機構によるホース10の巻取り動作を開始し且つその巻取り動作を終了してから操作式送出し機構によるホース10の送出し動作を開始するまで検知式送出し機構によるホース10の送出しを禁止し、操作盤11や送信機11Aからホース送出し信号を受信すると、検知式送出し機構によるホース10の送出しを許可(禁止を解除)することにより、たとえばホース巻取り終了直後の無駄なホース送出しを回避し、動力噴霧装置1の周りでのホース10の絡み等を確実に抑止できると共に、作業者等の意図に応じたホース10の送出しを実現することができる。また、たとえばホース巻取り終了直後の無駄なホース送出しが回避されることで、電磁ブレーキ52等の無駄なオン・オフ切換えが抑制され、製品寿命が長くなるといった利点もある。
また、本実施の形態のホース送出し装置19によれば、作業者等は、操作盤11に設けられた動作モード切換えスイッチ14を介してセミアシストモードを含めた所望の動作モードを簡便に選択できる。そのため、作業者等は、たとえば使用環境や作業内容等に応じた所望の動作モードでホース10の送出し動作や巻取り動作を行うことができる。
なお、上記した実施の形態では、ホース10に引張力が付与されてホースガイド70がガイドベース60に対して所定の角度以上傾動したことを検知するための検知手段としてリミットスイッチ66を採用したが、たとえば光センサや加速度センサ等を採用してもよいことは勿論である。