以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲における「上」、「下」等の方向を示す語は、本発明による装置を水平面上に適正に設置した状態に基づいた語である。
図1および図2に示されるように、液体噴霧装置100は、動力噴霧機2と、動力噴霧機2に適用されたホース巻き取り装置1とを備える。動力噴霧機2は、農薬等の薬液を噴霧するためのものである。なお、本発明のホース巻き取り装置1は、動力噴霧機2に適用される場合に限られず、あらゆる種類の液体噴射装置に適用可能である。ここで、「噴射」とは噴霧、散布、噴出等の様々な液体流出の態様を含む意である。液体は、薬液に限られず、水であってもよい。
液体噴霧装置100は、エンジン3の駆動により走行可能になっている。動力噴霧機2の本体部を構成するフレーム4の下部の前後には、それぞれ左右一対の走行車輪6,7が取り付けられており、前側の走行車輪6が駆動輪として機能する。図3に示されるように、走行車輪6への駆動力は、フレーム4に固定されたエンジン3の出力軸3aから中間軸9を介して伝えられる。エンジン3と中間軸9との間には走行クラッチ8が設けられている。走行車輪6のクラッチ操作は、フレーム4の手押し部分に取り付けられた走行クラッチレバー10により手動で行われる。また、走行車輪6には走行ブレーキ15が設けられている。走行車輪6のブレーキ操作は、フレーム4の手押し部分に取り付けられた走行ブレーキレバー11により手動で行われる。
動力噴霧機2におけるフレーム4には、別途用意される薬液タンクから薬液を吸引しホース18に圧送するポンプ12が固定されている。ポンプ12に対する駆動力は、エンジン3の出力軸3aからポンプ12の回転軸12aへと伝えられる。エンジン3とポンプ12との間にはポンプクラッチ14が設けられている。ポンプ12のクラッチ操作は、エンジン3とポンプ12との間から斜め前方に突出するポンプクラッチレバー16により手動で行われる。
ホース巻き取り装置1において、ホース18は、フレーム4に回転自在に取り付けられたホースリール20に巻き付けられており、ホース18を引っ張ることで、必要長さのホース18をホースリール20から引き出すことが可能になっている。ホースリール20の回転軸21には、エンジン3の駆動力がポンプ12の回転軸12a、ベルト24、トランスミッション22の出力軸22aおよびチェーン25を介して伝達され、ホース18の巻き取り方向にホースリール20が回転駆動されるようになっている。図3に示されるように、トランスミッション22の出力軸22aには電磁クラッチ26が介設されており、この電磁クラッチ26をオン・オフ制御することで、エンジン3からの駆動力の伝達の断接を制御することができる。また、回転軸21には、チェーン25を介して電磁ブレーキ27が設けられている。この電磁ブレーキ27を制御することで、回転自在となっているホースリール20を静止状態とすることが可能になっている。電磁ブレーキ27及び電磁クラッチ26は、フレーム4に取り付けられた制御装置28(図9参照)によって制御される。制御装置28は、遠隔操作を可能とするために、送信機29からの制御信号を受信する受信機30を有している。
このような動力噴霧機2に適用されたホース巻き取り装置1は、ホースリール20からホース18を引き出す際、その引き出しに要する力を軽減すべくホース18に送り出し力を付与するホース送り出し機構40を備えている。
ホース送り出し機構40は、図2および図3に示されるように、ホースリール20よりも上方の位置で、ホースリール20の水平な回転軸21と平行となるようにフレーム4に回転可能に取り付けられた送り出し軸41を有している。送り出し軸41は、トランスミッション22の回転軸23に、チェーン42により連結されている。回転軸23と、チェーン42が掛けられるスプロケット43との間には電磁クラッチ44が介設されており、この電磁クラッチ44をオン・オフ制御することで、エンジン3から送り出し軸41への駆動力の伝達の断接を制御することが可能となっている。電磁クラッチ44のオン・オフ制御は制御装置28により行われる。
送り出し軸41には、送り出し軸41と一体的に回転してホース18に送り出し力を付与する送出し送り出しローラ46が取り付けられている。本実施形態では、送り出しローラ46は送り出し軸41と一体的に回転するが、送り出し軸41の軸線方向(水平方向)には摺動可能となるように、送り出し軸41に対していわゆるスプライン結合されている。また、送り出しローラ46は、左右一対のベースプレート47に回転自在に挟持されている。これらのベースプレート47は、送り出し軸41に遊嵌され送り出し軸41に沿って移動自在となっている。
ホース18はベースプレート47間に通され、送り出しローラ46の周面に沿って上方に延ばされており、送り出しローラ46の回転駆動力がホース18に伝えられるようになっている。送り出しローラ46の周面には丸溝やV溝等の溝が形成され、ホース18がその溝に嵌合されており、これによって確実な動力伝達が可能になっている。さらに、ベースプレート47間には、ホース18を送り出しローラ46に押し付けるための押圧ローラ49が配置されている。押圧ローラ49は、ばね50によって送り出しローラ46側に弾性的に付勢されている。
送り出しローラ46は、ホースリール20に整列して巻回されたホース18の巻取り位置に正対する位置となるように、送り出し軸41に沿って左右に移動されるよう構成されている。これは、ホース18をホースリール20に巻き取る際にホース18をホースリール20に整列させるための整列巻取機構を利用したものである。整列巻取機構は、送り出し軸41及びホースリール20と平行となるようにフレーム4に回転自在に取り付けられた整列巻取軸51を有している。整列巻取軸51は、ホースリール20の回転軸21にチェーン52により連結されており、ホースリール20の回転に伴って回転する。整列巻取軸51には螺旋溝が切られており、整列巻取軸51に嵌合されたスライダ53が螺旋溝に係合されている。スライダ53はベースプレート47間で固定されている。ベースプレート47は、送り出し軸41に遊嵌され回転不可能となっているため、整列巻取軸51を回転させると、ベースプレート47に固定されたスライダ53は螺旋溝に案内されて左右に横移動する。整列巻取軸51の螺旋溝は、ホースリール20が1回転した場合に、スライダ53をホース18の外径よりも大きな距離で横移動させることができ、ホースリール20の各端部でホース18が巻き取られる状態になった場合には逆方向に移動させることができる。これによって、ホースリール20をホース巻き取り方向に回転させると、整列巻取軸51も回転し、スライダ53、ひいてはホース18を支持している送り出しローラ46が左右に往復移動され、ホース18は整列した状態でホースリール20に巻き付けられていく。一方、ホース18を引き出す場合には、ホースリール20及び整列巻取軸51は逆方向に回転し、ホース18の巻き取りとは逆に送り出しローラ46が左右に往復移動するが、この場合も、送り出しローラ46は、ホースリール20に巻回されたホース18の巻取り位置に正対する位置に常にあるので、ホース18を確実に且つ安定的に送り出しローラ46に導くことができる。
フレーム4には、ホース送り出し機構40を上方から覆う2枚のカバー61,62が取り付けられている。前側のカバー61は、トランスミッション22の上方に位置しており、その前端において水平に延びる回転軸線A1を中心に回転可能になっている。後側のカバー62は、ホースリール20の上方に位置すると共に送り出し軸41および整列巻取軸51を覆うように配置されており、その後端において水平に延びる回転軸線A2を中心に回転可能になっている。これらの回転軸線A1,A2は、ホースリール20の回転軸21、ホース送り出し機構40の送り出し軸41および整列巻取軸51と平行である。カバー61の後端と、カバー62の前端とのそれぞれには、左右一対のノブボルト63が取り付けられており、これらのノブボルト63によって、カバー61,62がフレーム4に対して固定されている。これらのノブボルト63を取り外すことによって、カバー61および/またはカバー62を開くことができ、ホース送り出し機構40や整列巻取機構等を上方に露出させることができる。このような構造によって、ホース送り出し機構40や整列巻取機構等のメンテナンス性が良好になっている。
ホース巻き取り装置1は、ホース送り出し機構40よりも上方に配置されたホースガイド70を備えている。ホースガイド70は、引き出される又は巻き取られるホース18を案内するためのものである。図4および図6に示されるように、ホースガイド70は、ホース送り出し機構40のベースプレート47間に取り付けられて鉛直上方に延びる筒状の支持部材71と、この支持部材71の上端部に取り付けられたガイドベース72とを有している。ガイドベース72は、支持部材71に回転自在に嵌合される筒状部72aを有している。送り出しローラ46と押圧ローラ49との間を上下方向に延びるホース18は、ガイドベース72の筒状部72aを通って上方に導かれるようになっている。上記したカバー61の後端とカバー62の前端とは前後方向に離間しており、カバー61とカバー62との間には、左右に延びる開口部66(図1参照)が形成されている。この開口部66に、ガイドベース72の筒状部72aが配置されている。
ガイドベース72の上面には、筒状部72aの開口の両側において、一対のガイドプレート73が互いに平行に立設されている。これらのガイドプレート73間には、ホース18が通される。ガイドプレート73は、上方に向かうにつれて僅かに拡幅された矩形状(台形状)を成している。一対のガイドプレート73間には、元側ローラ74と先端ローラ76とが設けられている。より詳細には、ガイドプレート73の基端部73a(下部)には、筒状部72aの直上においてホース18を案内するための元側ローラ74が設けられている。ガイドプレート73の上部寄りの先端部73bには、ホースガイド70内に配置されたホース18の引き出し側の端部を案内するための先端ローラ76が設けられている。言い換えれば、元側ローラ74は、先端ローラ76の下方に配置されている。これらの元側ローラ74および先端ローラ76には、ホース18の脱落を防止するために、周面にホース18を受ける溝が形成されている。
図4〜図6に示されるように、ガイドプレート73の基端部73aには、対向する一対の丸孔73eが形成されており、元側ローラ74は、これらの丸孔73eに挿通された支持軸74aを介して、ガイドプレート73に対して回転自在に支持されている。丸孔73eおよび支持軸74aはガイドプレート73の厚さ方向に直交する回転軸線L1に沿って配置されており、元側ローラ74は、この回転軸線L1を中心に回転自在である。ガイドプレート73の先端部73bには、対向する一対の丸孔73fが形成されており、先端ローラ76は、これらの丸孔73fに挿通された支持軸76aを介して、ガイドプレート73に対して回転自在に支持されている。丸孔73fおよび支持軸76aはガイドプレート73の厚さ方向に直交する回転軸線L2に沿って配置されており、先端ローラ76は、この回転軸線L2を中心に回転自在である。図7に示されるように、先端ローラ76の直径は元側ローラ74の直径よりも大きい。作業者によって引き出され、元側ローラ74および先端ローラ76によって案内されるホース18は、ホースガイド70の上端部において、略鉛直方向から略水平方向に向きを変えて延びる。
一方のガイドプレート73の中央部73cの外面には、元側ローラ74と先端ローラ76との間の位置に、マイクロスイッチである送り出しスイッチ77が取り付けられている。送り出しスイッチ77は、たとえば常開(オフ)型であり、スイッチレバー77aが押されることで、オンとなる。また、ガイドプレート73間にはローラ75が配置されており(図7参照)、このローラ75は、元側ローラ74と先端ローラ76との間に掛け渡されている部分のホース18の前面部分に接している。ローラ75の軸部78は、ガイドプレート73の中央部73cに形成された長孔73hに挿通されて、送り出しスイッチ77のスイッチレバー77aの先端部後面側に位置している。ホース18は、ホース18に引張り力が加えられていない状態では、ホース18の持つ弾性によって元側ローラ74と先端ローラ76との間で後方にやや突出した湾曲形状となる。この状態では、ローラ75は後方位置に置かれ、送り出しスイッチ77はオフ状態となる。一方、ホース18を引き出そうとした場合、ホース18に張力が作用し、ホース18は元側ローラ74と先端ローラ76との間で直線形状に近い状態となる。この状態ではローラ75は前方に押し出され、所定の張力がホース18に作用した場合には送り出しスイッチ77のスイッチレバー77aが押されて、送り出しスイッチ77はオン状態となる。このように、送り出しスイッチ77は、ホース18に引張り力が加えられ張力が作用しているか否かを検知するための張力検知手段として機能する。送り出しスイッチ77からの出力信号は制御装置28に入力されるようになっている。なお、ローラ75を常にホース18に接触させるため、ガイドプレート73の中央部73cに固定された係止片79と軸部78との間に、引張りコイルばね80が設けられている。
ホース巻き取り装置1では、上記したように、送信機29等を用いて電磁クラッチ26(図3参照)をオン・オフ制御することにより、ホースリール20を巻き取り方向に回転駆動させたり停止させたりすることができる。ここで、ホース巻き取り装置1には、たとえば巻き取りの停止操作が遅れた場合等において、ホース18が過剰に巻き取られるのを防止するための過剰巻き取り防止機構が備えられている。以下、この過剰巻き取り防止機構について説明する。
一対のガイドプレート73間には、先端ローラ76に対応する位置に巻き取りストッパ81が設けられている。図4および図6に示されるように、巻き取りストッパ81は、先端ローラ76とガイドプレート73との間に配置された逆三角形状で互いに平行な一対の側板81bと、側板81bの上端同士を連結する天板81cと、側板81bの後端から後方に延びるアーム板81d(図7参照)とを有する。巻き取りストッパ81は、このような形状により、前方に向けられた矩形状の開口部81aを有しており、前方および下方に開放された開口部81aの一部に、先端ローラ76が配置されている。天板81cと先端ローラ76の上端との間には、ホース18を通すための空間が設けられている。巻き取りストッパ81は、側板81bに挿通された先端ローラ76の支持軸76aを介して、ガイドプレート73に対して回転自在に支持されている。すなわち、巻き取りストッパ81は、先端ローラ76と同軸に支持されており、先端ローラ76の回転軸線L2を中心に回転自在である。
先端ローラ76の位置から後方に延びたアーム板81dの後部には、ホースガイド70の外方に向けて水平に突出する軸部(突出部)83が設けられている。言い換えれば、軸部83は、ガイドプレート73の厚さ方向に突出している。一方、ガイドプレート73の先端部73bと後部73dとの中央には、上下方向に沿って延びる長孔73gが形成されており、巻き取りストッパ81のアーム板81dに設けられた軸部83が、この長孔73gに挿通されている。長孔73gは、回転軸線L2を中心とする円弧状に形成されてもよいし、軸部83の円弧状の移動を許容できる程度に、軸部83の直径よりも大きい幅を有する直線状に形成されてもよい。長孔73gの上方に固定された係止片84と軸部83との間には、引張りコイルばね(付勢手段)86が設けられており、通常の使用状態では軸部83は引き上げられて、長孔73gの上端部に配置される。このように、引張りコイルばね86は、ガイドプレート73と巻き取りストッパ81との間に取り付けられて、ホース18の引き出し方向(図6および図7に示す時計回り方向)へ、巻き取りストッパ81を付勢している。この長孔73gに軸部83が挿通され、軸部83の移動範囲が長孔73g内に限定されることにより、巻き取りストッパ81の回転範囲が規制されている。
一方のガイドプレート73の後部73dの外面には、先端ローラ76の後方の位置に、マイクロスイッチである巻き取り停止スイッチ82が取り付けられている。巻き取り停止スイッチ82は、たとえば常閉(オン)型であり、スイッチレバー82aが押されることで、オフとなる。上記した巻き取りストッパ81の軸部83は、ガイドプレート73の長孔73gに挿通されて、巻き取り停止スイッチ82のスイッチレバー82aの先端部上面側に位置している。一方、図1および図6に示されるように、ホース18の先端部付近には、ホース18の外周に固定されてホース18の径方向に膨出するホースストッパ(係止部)90が取り付けられている。このホースストッパ90の直径は、巻き取りストッパ81の開口部81a(図4参照)の幅よりも大きいため、ホースストッパ90は巻き取りストッパ81と先端ローラ76との間を通過不能である。よって、ホース18が巻き取られるのに伴って、ホースストッパ90は、巻き取りストッパ81の前端に係止可能になっている。
以上の構成を有する過剰巻き取り防止機構では、巻き取りストッパ81がホースストッパ90に係止されて回転軸線L2を中心にホース18の巻き取り方向(図6および図7に示す反時計回り方向)に回転したとき、回転する巻き取りストッパ81の一部分である軸部83が引張りコイルばね86の付勢力に抗して長孔73gの下側に移動し、巻き取り停止スイッチ82のスイッチレバー82aが押し下げられる(図8参照)。これにより、巻き取り停止スイッチ82がオフ状態となる。巻き取り停止スイッチ82からの出力信号は制御装置28に入力されるようになっている。
この過剰巻き取り防止機構では、先端ローラ76と元側ローラ74との間に送り出しスイッチ77が配置され、先端ローラ76と元側ローラ74との間で上下方向に掛け渡されたホース18に張力が加えられたとき、このホース18よって、送り出しスイッチ77が押される。一方、巻き取り停止スイッチ82を押す巻き取りストッパ81の軸部83は、先端ローラ76の位置から後方に延びたアーム板81dの後部に設けられている。よって、図7に示されるように、軸部83および巻き取り停止スイッチ82は、先端ローラ76の回転軸線L2と元側ローラ74の回転軸線L1とを含む仮想平面Pよりもホース18の引き込み側(図示左側)に配置されている。また、巻き取りストッパ81のうち、ホース18のホースストッパ90に当接する部分(上部)以外の部分(下部)は、ガイドプレート73間に収納されている。このような配置により、ホースガイド70のコンパクト化(特に、ホース18の延在方向におけるコンパクト化)が実現されている。
次に、上述した液体噴霧装置100におけるホース巻き取り装置1の作用について説明する。まず、エンジン3を起動するとともに、制御装置28の電源95をオンにする。この初期状態では、ホース18はホースリール20に整列状態で巻き取られている。また、送り出しスイッチ77はオフ状態であり、巻き取り停止スイッチ82はオン状態である。
図9から理解されるように、この時点では、常閉(オン)型であるブレーキ制御リレー99はオン状態となっており、電磁ブレーキ27に通電され、ホースリール20は静止状態に維持されている。トランスミッション22の回転軸23における送り出し用の電磁クラッチ44と、出力軸22aにおける巻き取り用の電磁クラッチ26とに関しては、非通電状態となっており、エンジン3の駆動力は送り出しローラ46やホースリール20には伝えられない。
この状態において、フレーム4の走行クラッチレバー10を操作することで、エンジン3からの駆動力は中間軸9を介して走行車輪6へと伝えられ、液体噴霧装置100を走行させ、所望の位置に移動させることが可能となる。また、ポンプクラッチレバー16を操作することで、ポンプ12にもエンジン3からの駆動力が伝えられるため、ホース18の先端のノズル(図示しない)を操作することで、薬液を噴霧することが可能となる。この液体噴霧装置100の走行及び薬液噴霧は、エンジン3が停止されるまでいつでも可能である。
ホース18をホースリール20から引き出すべく、作業者がホース18を引っ張ると、ホース18には張力が作用する。この時、ホースリール20は電磁ブレーキ27によって静止状態とされているため、僅かな引き量でホース18を引いた場合でも、ホース18を引き出そうとする意思を持って作業者がホース18を引っ張った場合には、ホース18は引張り力を受けてホースガイド70の元側ローラ74と先端ローラ76と間で直線状となろうとする。その結果、ローラ75(図7参照)が押し下げられて送り出しスイッチ77がオンとなる。送り出しスイッチ77が押されてオンとなると、受信機30が通電によってこの信号を受信し、受信機30によって、電磁ブレーキ27への通電が断たれ、送り出し用の電磁クラッチ44への通電が行われる。これにより、エンジン3からの駆動力が送り出し軸41に伝えられ、送り出しローラ46がホース送り出し方向に回転駆動される。その結果、ホース18が作業者の側に送り出される。
ホース18を巻き取る場合には、通常、作業者は液体噴霧装置100のフレーム4から離れた位置にあるため、送信機29を操作してホース巻き取りのための制御信号を発する。この信号を受信機30が受けると、受信機30によって、電磁ブレーキ27への通電は断たれ、ホースリール20は回転自在の状態となる。また、巻き取り用の電磁クラッチ26に通電されることで、エンジン3からの駆動力はホースリール20に伝えられ、ホースリール20は巻き取り方向に回転駆動される。これにより、ホース18はホースリール20に巻き取られていく。送信機29からのホース巻き取り信号の送信を停止すれば、電磁クラッチ26や電磁ブレーキ27等は初期状態に戻り、ホースリール20の回転が停止すると共に、電磁ブレーキ27がかかり、ホース18の巻き取りが完了する。なお、作業者は、液体噴霧装置100のフレーム4の近くにいる場合には、ホース18を巻き取るため、制御装置28の巻き取りスイッチ(図示しない)をオンにすることもできる。
作業者による巻き取りの停止操作が遅れた場合等においては、ホースリール20が巻き取り方向に回転駆動されたまま、ホース18に取り付けられたホースストッパ90がホースガイド70まで達することが考えられる。この場合、ホースストッパ90が巻き取りストッパ81に係止し、巻き取りストッパ81をホース18の巻き取り方向に回転させると、巻き取り停止スイッチ82が押される。巻き取り停止スイッチ82が押されると、巻き取り用の電磁クラッチ26の通電回路が断たれ、ホースリール20の回転が停止する。
以上説明した本実施形態のホース巻き取り装置1によれば、ホースガイド70のガイドプレート73には、先端ローラ76と巻き取りストッパ81とが支持され、取り付けられている。巻き取りストッパ81は、引張りコイルばね86によってホース18の引き出し方向に付勢されている。ホース18が巻き取られるのに伴ってホースストッパ90が巻き取りストッパ81に係止すると、巻き取りストッパ81は、引張りコイルばね86の付勢力に抗して、回転軸線L2を中心にホース18の巻き取り方向に回転する。そして、回転する巻き取りストッパ81の一部分によって、巻き取り停止スイッチ82が押される。このホース巻き取り装置1では、巻き取りストッパ81が先端ローラ76と同軸に取り付けられているため、ホースガイド70のコンパクト化が図られている。また、ホース18に取り付けられたホースストッパ90により巻き取りストッパ81を回転させ、その回転する巻き取りストッパ81自体が巻き取り停止スイッチ82を押す。このように、ホースストッパ90と巻き取り停止スイッチ82との間に設けられる部品点数が少なくなっており、ホースガイド70の構成の簡易化が図られている。その結果として、組立工数や材料費が低減される。
巻き取りストッパ81に軸部83が設けられ、ガイドプレート73に長孔73gが設けられ、この長孔73gによって、巻き取りストッパ81の回転範囲が規制されるため、巻き取りストッパ81の回転範囲を規制するための部材を別途設ける必要がなく、より簡易な構成で巻き取りストッパ81の回転範囲が規制されている。
しかも、巻き取りストッパ81の回転範囲を規制するために設けられた軸部83が巻き取り停止スイッチ82を押すため、軸部83が複数の機能を兼ね備えることとなり、より一層、構成の簡易化が図られている。
先端ローラ76と元側ローラ74との間に掛け渡されたホース18に張力が加えられたときにホース18により送り出しスイッチ77が押される構成を採用しているため、作業者によってホース18が引っ張られた場合にホース18に送り出し力を付与することができる。一方、巻き取りストッパ81の軸部83は、先端ローラ76の回転軸線L2と元側ローラ74の回転軸線L1とを含む仮想平面Pよりもホース18の引き込み側に配置されているため、ホース18の送り出し機構40が備わる場合においても、その送り出しスイッチ77と、巻き取りストッパ81の回転範囲を規制するための機構(軸部83等)との干渉が防止される。上記実施形態では、軸部83が巻き取り停止スイッチ82を押す機能を兼ねているが、この場合でも、巻き取り停止スイッチ82と送り出しスイッチ77との干渉が防止されている。
図10および図11に示した参考例に係る液体噴霧装置200では、先端ローラ212の軸と元側ローラ213の軸とを結ぶ直線L4付近をマイクロスイッチ211の作動部(ステー210の先端)が移動する(図11(b)参照)。一方で、構造上、張力を検知するマイクロスイッチ207も先端ローラ212の軸と元側ローラ213の軸とを結ぶ直線L5付近に設ける必要がある。これらのマイクロスイッチ211とマイクロスイッチ207の干渉を避けるために、寸法が長い配置となっていた。この点、上記実施形態のホース巻き取り装置1では、軸部83および巻き取り停止スイッチ82が仮想平面Pから退避した位置に配置されており、そのような干渉が防止されている。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、巻き取りストッパ81に設けられる突出部は、軸部83の態様を採る場合に限られない。ガイドプレート73から突出して長孔73gに係止可能な形状であればよく、たとえば板状またはかぎ状(フック状)の突出部であってもよい。また、ホース18に取り付けられる係止部は、ホースストッパ90の態様に限られず、フランジ状またはかぎ状(フック状)の係止部であってもよい。
上記実施形態では、巻き取りストッパ81の軸部83が巻き取り停止スイッチ82を押す場合について説明したが、この態様に限られず、巻き取りストッパ81の他の一部分、たとえば側板81b、天板81c、またはアーム板81dの一部分が巻き取り停止スイッチ82を押してもよい。巻き取り停止スイッチ82は、ガイドプレート73の外面に取り付けられる場合に限られず、一対のガイドプレート73間に取り付けられてもよい。巻き取りストッパ81の回転範囲を規制するための軸部83と、巻き取り停止スイッチ82を押す部分とは、別個に設けられてもよい。
本発明のホース巻き取り装置は、ホース送り出し装置が設けられた液体噴霧装置に適用される場合に限られない。ホース送り出し装置が設けられず、作業者の手動によってホースが引き出される液体噴霧装置に適用されてもよい。
上記実施形態では、ホースの送り出しや巻戻しの制御は図に示す電気回路により行われる場合について説明したが、図示の回路構成に限られず、マイクロコンピュータを用いたプログラム制御によって制御が行われてもよい。
上記実施形態では、エンジン3の駆動力を送り出しローラ46を回転駆動させるためのローラ駆動手段として用い、しかもホース18の巻き取り力としても用いているため、モータを用いた場合に比して消費電力が少なくて済み、また、十分な力を得ることができるという利点があるが、モータを利用してもよい。
上記実施形態では、液体噴霧装置は地面に置かれ、走行可能となっているが、液体噴射装置は、トラックの荷台に載せて使用される固定型のものであってもよい。