JPH0643100Y2 - ホース巻取・送出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、薬液散布等に利用される動力噴霧機等のホ
ース巻取・送出装置に係り、詳しくはホースの送出及び
巻取を動力で行うことができるホース巻取・送出装置に
関するものである。

〔従来の技術〕

ホースリールへのホースの巻取と共に、ホースの送出を
動力で行い、これにより、作業者の労力の軽減を図るホ
ース巻取・送出装置は既に公知である。

ホースの巻取及び送出を、ホースを両側から挟むように
一対のローラを配設するとともに、両ローラでホースを
圧接し、少なくとも一方のローラを回転駆動するホース
巻取・送出装置（例：実公昭41-19979号公報）では、ホ
ースが軟性材料でできている場合とか、水で濡れている
場合には、ローラがスリップし、ホースの円滑な巻取及
び送出に支障が生じる。

これに対し、ホースが巻回されるホースリールを回転駆
動して、ホースの巻取及び送出を行うホース巻取・送出
装置（例：実開昭63-166573号公報）では、そのような
問題が克服される。このような従来のホース巻取・送出
装置は、巻取及び送出の制御のために電気的な操作スイ
ッチが設けられているか、操作レバーが巻取用及び送出
用に計２個設けられている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ホースリールの回転を電気的な操作スイッチの操作によ
り巻取回転及び送出回転するホース巻取・送出装置で
は、全体が機械素子と電気素子との複合となり、構造が
複雑になる。

ホースリールの回転を２個の操作レバーにより巻取回転
及び送出回転するホース巻取・送出装置では、２個の操
作レバーを配設するために、必要なスペースが増大し、
ホース巻取・送出装置が大型化するとともに、誤って、
２個の操作レバーを同時に操作したとき、ホースリール
が両方向へ駆動され、機器の破損等の恐れがある。

この考案の目的は、ホースリールの巻取回転及び送出回
転を切替えることにおいて、電気素子を一切使用せず、
かつ１個の操作レバーで足りるホース巻取・送出装置を
提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

この考案を、実施例に対応する図面の符号を使用して説
明する。

この考案のホース巻取・送出装置は次の（ａ）ないし
（ｇ）の構成要素を有してなる。

（ａ）回転自在に軸支されホース（26）が巻回されるホ
ースリール（22） （ｂ）駆動軸（18）の回転をホースリール（22）へ伝達
する巻取回転用ベルト（46） （ｃ）手動操作により揺動される操作レバー（50） （ｄ）この操作レバー（50）と一体的に揺動し中立位置
に対して互いに逆の第１の方向（Ａ）及び第２の方向
（Ｂ）へ振れ可能である支軸（66） （ｅ）この支軸（66）に回転自在に軸支され支軸（66）
が第１の方向（Ａ）へ振れたきは巻取回転用ベルト（4
6）を緊張状態にする巻取回転用テンションプーリ（6
8） （ｆ）支軸（66）に回転自在に軸支され支軸（66）が第
２の方向（Ｂ）へ振れたときはホースリール（22）に圧
接される送出回転用圧接回転体（70） （ｇ）駆動軸（18）の回転を送出回転用圧接回転体（7
0）へ伝達する送出回転用ベルト（76） 〔作用〕 この考案において、ホースリール（22）へホース（26）
を巻き取ったり、ホースリール（22）からホース（26）
を繰り出したりせず、ホースリール（22）からのホース
（26）の繰り出し長さを保持するときは、操作レバー
（50）を中立位置にする。これにより、支軸（66）も中
立位置となり、巻取回転用テンションプーリ（68）は巻
取回転用ベルト（46）を緊張状態にすることなく、ま
た、送出回転用圧接回転体（70）は、ホースリール（2
2）に圧接されることなく、ホースリール（22）から離
れている。したがって、巻取回転用ベルト（46）を介し
ての駆動軸（18）からホースリール（22）への回転動力
の伝達が断たれているとともに、送出回転用圧接回転体
（70）によるホースリール（22）の回転も行われず、ホ
ースリール（22）は回転停止状態になっている。

ホースリール（22）へホース（26）を巻き取るときは、
操作レバー（50）を中立位置から一方の方向へ揺動させ
る。これにより、支軸（66）は中立位置に対して第１の
方向（Ａ）へ振れ、巻取回転用テンションプーリ（68）
は巻取回転用ベルト（46）を緊張状態にする。こうし
て、巻取回転用ベルト（46）を介しての駆動軸（18）か
らホースリール（22）への回転動力が伝達され、ホース
リール（22）は巻取方向へ回転し、ホース（26）はホー
スリール（22）へ巻き取られていく。

ホースリール（22）からホース（26）を送出するとき
は、操作レバー（50）を中立位置から他方の方向へ揺動
させる。これにより、支軸（66）は中立位置に対して第
２の方向（Ｂ）へ振れ、送出回転用圧接回転体（70）は
ホースリール（22）に圧接状態になる。こうして、駆動
軸（18）の回転動力は、送出回転用ベルト（76）を介し
て送出回転用圧接回転体（70）へ伝達されるとともに、
ホースリール（22）における送出回転用圧接回転体（7
0）の摩擦回転によりホースリール（22）へ伝達され、
ホースリール（22）は送出方向へ回転し、ホース（26）
はホースリール（22）から送出されていく。

〔実施例〕

以下、この考案を図面の実施例について説明する。

第１図、第２図及び第３図はそれぞれホースリール22の
回転停止状態、巻取回転状態及び送出回転状態で動力噴
霧機10の構造を示す側面図である。第１図〜第３図にお
いて、動力噴霧機10は、保護及び運搬時の把持部として
の役目をもつフレーム12を備える。フレーム12には、エ
ンジン14及び往復ポンプ16が載設、固定され、エンジン
14の回転動力は、図示していないベルトを介して往復ポ
ンプ16のクランク軸18へ伝達される。駆動プーリ20は、
エンジン14からの回転動力入力側の端部とは反対側のク
ランク軸18の端部に一体回転的に取付けられている。ホ
ースリール22は、一体的に回転する回転軸24を中心に有
し、散布ホース26が巻回されるようになっている。回転
軸24は、軸受28を介して回転自在にフレーム12に軸支さ
れ、被駆動プーリ30及びスプロケット32を一体回転的に
端部に取付けられている。ホース整列巻取装置34は、ホ
ースリール22の上方においてフレーム12に固定され、入
力軸36を備えている。ホース案内部38は、散布ホース26
を直角に曲げて案内する案内ローラ40を回転自在に取付
けられ、入力軸36の回転に同期してホースリール22の回
転軸24の軸方向へ往復動する。スプロケット42は入力軸
36に一体回転的に取付けられ、チェーン44は、スプロケ
ット32,42に装架されて、スプロケット32からスプロケ
ット42へ回転動力を伝達する。巻取回転用ベルト46は、
駆動プーリ20と被駆動プーリ30とに装架され、緊張時に
は駆動プーリ20から被駆動プーリ30へ回転動力を伝達す
る。案内プレート48は、フレーム12の鉛直辺部の上端部
付近に固定され、操作レバー50を案内する。

第４図は案内プレート48の正面図である。案内プレート
48は、一方の側縁部をフレーム12の鉛直辺部の上端部付
近に固定され、操作レバー50の先端部を挿通される案内
溝52を有している。案内溝52は、案内プレート48の中間
高さにおいてつながっている２個の鉛直部分を有し、上
側の鉛直部分の上下の端はそれぞれ操作レバー50の送出
位置Ｆ（forward）及び中立位置（Ｎ）（neutral）とな
っており、下側の鉛直部分の下端は操作レバー50の巻取
位置Ｂ（back）となっている。

第５図は操作レバー50の基端部の支持構造を示してい
る。ブラケット54はフレーム12に固定され、軸56は、ブ
ラケット54に固定されて、ブラケット54から突出してい
る。円筒カラー58は、軸56に回転自在に嵌合し、操作レ
バー50の基端部及びステー60の上端部を固定され、操作
レバー50及びステー60と一体的に回転する。

第１図〜第３図に戻って、ブラケット62はステー60の中
間部付近においてフレーム12に固定され、引張コイルば
ね64は、両端をステー60の中間部及びブラケット62の端
部に係止され、ステー60を介して操作レバー50を下方へ
付勢している。

第６図はステー60の下端部を含む範囲の構造図である。
支軸66は、水平方向に延び、ステー60の下端部を固定さ
れている。巻取回転用テンションプーリ68及び送出回転
用圧接プーリ70は、支軸66の両端部にそれぞれ軸受72,7
4を介して回転自在に支持されている。

第７図はクランク軸18とホースリール22との間の回転動
力の伝達構造を示している。送出回転用ベルト76は、駆
動プーリ20と送出回転用圧接プーリ70とに装架され、緊
張時では駆動プーリ20から送出回転用圧接プーリ70へ回
転動力を伝達する。巻取回転用テンションプーリ68は、
巻取回転用ベルト46の緊張及び弛緩を制御し、巻取回転
用ベルト46を介してのホースリール22から被駆動プーリ
30への回転動力の伝達を制御する。送出回転用圧接プー
リ70は、ホースリール22の一方の端板78に圧接自在であ
るとともに、送出回転用ベルト76の緊張及び弛緩を制御
し、クランク軸18からホースリール22への回転動力の伝
達を制御する。ベルトストッパ80は、駆動プーリ20の周
囲を部分的に囲うように、往復ポンプ16に固定され、巻
取回転用ベルト46及び送出回転用ベルト76が弛緩時に駆
動プーリ20から脱落するのを防止する。

実施例の作用について説明する。

操作レバー50は軸56の軸線の周りに揺動自在であり、操
作レバー50の揺動に伴って、ステー60は、軸56の軸線の
周りに第１の方向Ａ（第２図）及び第２の方向Ｂ（第３
図）へ揺動し、支軸66は中立位置に対して第１の方向Ａ
及び第２の方向Ｂへ振れる。

ホースリール22へ散布ホース26を巻き取ったり、ホース
リール22から散布ホース26を繰り出したりせず、ホース
リール22からの散布ホース26の繰り出し長さを保持する
とき（第１図）は、操作レバー50を案内プレート48の案
内溝52において中立位置Ｎにする。これにより、支軸66
は中立位置Ｎとなり、巻取回転用テンションプーリ68は
巻取回転用ベルト46を緊張状態にすることなく、また、
送出回転用圧接プーリ70は、送出回転用ベルト76を緊張
状態にしないとともに、ホースリール22の端板78から離
れている。この結果、巻取回転用ベルト46を介してのク
ランク軸18からホースリール22への回転動力の伝達が断
たれているとともに、送出回転用圧接プーリ70によるホ
ースリール22の回転も行われず、ホースリール22は回転
停止状態になっている。なお、引張コイルばね64は、ス
テー60を介して操作レバー50を下方へ付勢し、操作レバ
ー50を案内溝52の上側の鉛直部分の下端に圧接させ、操
作レバー50から簡単に中立位置Ｎから外れるのを防止す
る。

ホースリール22へ散布ホース26を巻き取るとき（第２
図）は、操作レバー50を案内プレート48において下方へ
変位させ、巻取位置Ｂにする。これにより、支軸66は中
立位置に対して第１の方向Ａへ振れ、巻取回転用テンシ
ョンプーリ68は、支軸66と一体的に変位し、巻取回転用
ベルト46を緊張状態にする。こうして、巻取回転用ベル
ト46を介してのクランク軸18からホースリール22への回
転動力が伝達され、ホースリール22は巻取方向へ回転
し、散布ホース26はホースリール22へ巻き取られてい
く。

ホースリール22から散布ホース26を送出するとき（第３
図）は、操作レバー50を案内プレート48において上方へ
変位させ、送出位置Ｆにする。これにより、支軸66は中
立位置Ｎに対して第２の方向Ｂへ振れ、巻取回転用テン
ションプーリ68は、支軸66と一体的に変位し、送出回転
用ベルト76を緊張状態にするとともに、ホースリール22
の端板78に圧接される。こうして、クランク軸18の回転
動力は、送出回転用ベルト76を介して送出回転用圧接プ
ーリ70へ伝達されるとともに、ホースリール22における
送出回転用圧接プーリ70の摩擦回転によりホースリール
22へ伝達され、ホースリール22は送出方向へ回転し、散
布ホース26はホースリール22から送出されていく。

操作レバー50を完全に送出位置Ｆ及び巻取位置Ｂにしな
いで、不完全な送出位置Ｆ及び巻取位置Ｂにし、これに
より、巻取回転用テンションプーリ68及び送出回転用圧
接プーリ70を半クラッチ状態にすると、巻取回転用ベル
ト46の速度及び端板78における送出回転用圧接プーリ70
のスリップ率が変化する。このような半クラッチを利用
すれば、散布ホース26の巻取速度及び送出速度を任意に
調整することができる。

〔考案の効果〕

この考案のホース巻取・送出装置は次の効果を同時に達
成することができる。

（ａ）ホースにローラを圧接して、ホースをホースリー
ルに巻き取ったり、ホースリールから繰り出したするの
ではなく、ホースリールの回転により巻取及び送出を行
うので、円滑な巻取及び送出を行うことができる。

（ｂ）ホースリールの巻取及び送出の回転の切替を、電
気素子を使用することなく、機械素子のみにより行うこ
とができるので、構造が簡単となる。

（ｃ）ホースリールの巻取及び送出の回転の切替を１個
の操作レバーの操作により行うので、ホースリールが誤
って巻取方向及び送出方向へ駆動されることがないとと
もに、操作レバーの配設スペースが小さく、ホース巻取
・送出装置の小型化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例に関し、第１図、第２図及び第
３図はそれぞれホースリールの回転停止状態、巻取回転
状態及び送出回転状態で動力噴霧機の構造を示す側面
図、第４図は案内プレートの正面図、第５図は操作レバ
ーの基端部の支持構造を示す図、第６図はステーの下端
部を含む範囲の構造図、第７図はクランク軸とホースリ
ールとの間の回転動力の伝達構造を示す図である。 18……クランク軸（駆動軸）、22……ホースリール、26
……散布ホース（ホース）、46……巻取回転用ベルト、
50……操作レバー、66……支軸、68……巻取回転用テン
ションプーリ、70……送出回転用圧接プーリ（送出回転
用圧接回転体）、76……送出回転用ベルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回転自在に軸支されホース（26）が巻回さ
   れるホースリール（22）と、駆動軸（18）の回転を前記
   ホースリール（22）へ伝達する巻取回転用ベルト（46）
   と、手動操作により揺動される操作レバー（50）と、こ
   の操作レバー（50）と一体的に揺動し中立位置に対して
   互いに逆の第１の方向（Ａ）及び第２の方向（Ｂ）へ振
   れ可能である支軸（66）と、この支軸（66）に回転自在
   に軸支され前記支軸（66）が第１の方向（Ａ）へ振れた
   ときは前記巻取回転用ベルト（46）を緊張状態にする巻
   取回転用テンションプーリ（68）と、前記支軸（66）に
   回転自在に軸支され前記支軸（66）が第２の方向（Ｂ）
   へ振れたときは前記ホースリール（22）に圧接される送
   出回転用圧接回転体（70）と、前記駆動軸（18）の回転
   を前記送出回転用圧接回転体（70）へ伝達する送出回転
   用ベルト（76）とを有してなることを特徴とするホース
   巻取・送出装置。