JP6222735B2 - 冷却用エアゾール製品 - Google Patents
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Description
従って、広範囲に十分な冷却効果を発揮できる冷却用エアゾール製品は得られていないのが現状である。
本発明に係る冷却用エアゾール製品(100)は、容器本体(A)と、噴出装置(B)と、容器本体(A)の中に収容された内容物とを必須の構成成分として構成される。
容器本体(A)の中には、内容物が収容されている。上記内容物は、特に限定されないが、噴射剤のみ、又は、原液と噴射剤とから構成される。なおかつ、上記内容物は、液化ガスを少なくとも含有する。上記内容物が原液と噴射剤とから構成される場合、上記原液中に上記噴射剤の一部が溶け込み完全に相溶し均一になっていてもよいし、上記噴射剤が上記原液に溶け込まず両者が不均一な状態で存在していてもよい。
噴出装置(B)は、図1及び図2に示す如く、アクチュエーター(1)、エアゾール容器用バルブ(2)(以下、単にバルブ(2)と称すこともある)、マウンテンカップ(4)、ディップチューブ(3)等から構成され、バルブ(2)は、ハウジング(21)、ステム(22)、等からなる。
具体的には、容器本体(A)の頭頂部に備えられたマウンテンカップ(4)のボス部(41)にバルブ(2)のハウジング(21)等が嵌着され、バルブ(2)上端部にアクチュエーター(1)が装着されている。また、バルブ(2)の下端部からはディップチューブ(3)が下方に延設されており、ディップチューブ(3)の下部は容器本体(A)の液相(C)内に浸漬されている。
なお、付勢手段(23)としてはコイルバネ等を用いることができる。
図2において、左半分は不使用時(噴出時以外のとき)の状態を示し、右半分は使用時(噴出時)の状態を示している。
不使用時、ステム(22)は付勢手段(23)により上方向へと付勢されている(図2の左半分参照)。これにより、ステム(22)下部とハウジング(21)上部とがシールラバー(24)を介して密接した状態、即ちバルブ(2)が閉鎖した状態となっている。
そして、内容物を噴出する際は、付勢手段(23)の上方向の付勢力に抗してステム(22)を下動させることにより、バルブ(2)を開放する(図2の右半分参照)。具体的には、ステム(22)上に備えられたアクチュエーター(1)を押圧することによりステム(22)を押し下げる。ステム(22)を押し下げると、シールラバー(24)が下方へ撓みステムオリフィス孔(221)が開放される。そして、容器本体(A)内に充填された液相(C)の界面が気相(D)によって下方向に押され、内容物がディップチューブ(3)から吸い上げられる。ディップチューブ(3)から吸い上げられた内容物は、下方空間(212)、上方空間(211)、ステムオリフィス孔(221)、ステム(22)の内部流路(222)を順に通って、アクチュエーター(1)の噴口(111)から噴出される。
アクチュエーター(1)は、ステム(22)の上部に配置されている。アクチュエーター(1)は、内容物を外部に噴出するためのノズル(11)と、ステム(22)と接合するためのステム接合部(12)を備えている。ノズル(11)はノズル内部流路(112)と噴口(111)を備えており、下方からステム(22)の内部流路(222)を通ってきた内容物は、流路(13)、ノズル内部流路(112)を順に通り、噴口(111)から噴出される。
尚、本発明においては、アクチュエーター(1)は必ずしもステム(22)に常に接触するように接合している必要はない。アクチュエーター(1)は、押圧時にステム(22)を押し下げることができるように取り付けられていればよく、例えばアクチュエーター(1)が非押圧時にはステム(22)と非接触状態にあるが、押圧時にステム(22)に接触してステムを押し下げるように構成されていてもよい。
本発明において、ノズル(11)は6以上の噴口(111)を有している。本発明における噴口の数は、内容物を広範囲に均一に噴霧して広範囲を均一に冷却する観点から、6以上であり、好ましくは6〜28、さらに好ましくは12〜20である。噴口の数が5以下の場合には、広範囲を均一に冷却することが困難となる。少ない噴口数で、広範囲を冷却するために噴射量を増やす場合には、噴射方向の中心部が局所的に冷却され過ぎる、内容物の舞い散りが強くなる、噴射音が大きくなるなどの問題が生じる。なお、図4は、噴口(111)が6穴の場合を示しているが、例えば、図8の(b)、(c)の如く、12穴、28穴であってもよく、その他の穴数であってもよい。
ステムオリフィス孔(221)は、1つであってもよく複数形成されていてもよい。
各噴口(111)の開口面積(即ち、噴口1つあたりの開口面積)は、特に限定されないが、各噴口から大きな液滴を広範囲に均一に噴霧し、広範囲を冷却する効果をより一層向上する観点から、それぞれ、0.05〜1.0mm2であることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.6mm2である。0.05mm2未満である場合、液滴が小さくなり過ぎ内容物が舞い散ってしまうので、冷却力が十分に発揮されない場合がある。1.0mm2を超える場合は、その噴口から内容物が多量に噴出され、他の穴からの噴出を妨げる場合がある。
しかし、本発明に係る冷却用エアゾール製品の、第2実施形態のノズルの側面断面図である図5に示すように、ボス(113)は無くても構わない。
ステム(22)を通ってきた内容物は、ノズル内部流路(112)を通り、次いでノズル内部流路(112)及び各噴口(111)と連通する案内部(116)を通って、各噴口(111)から噴出される。
各噴口(111)の間隔は適宜決定することができる。
このノズル(11)は、第1凸部(114)と第2凸部(115)を有しており、第2凸部(115)に対し第1凸部(114)が高く形成されている。噴口(111)は、その中心付近が第1凸部(114)及び第2凸部(115)の円周上に形成されている。これにより、ノズル内部流路(112)、案内部(116)を通ってきた内容物の一部は噴口(111)の内壁に衝突し、半径方向外側に噴出されるので、より広範囲に内容物を噴出させることができる。
図2におけるハウジング(21)は、側面に気相取込開口(VT)(213)と底面に液相取込開口(UT)(214)とを備えている。気相取込開口(VT)(213)から内容物の気相(D)を上方空間(211)に導入し、液相取込開口(UT)(214)から内容物の液相(C)を下方空間(212)に導入する。導入されたこの気相(D)と液相(C)は、ステム(22)の側面に設けられたステムオリフィス孔(221)から内部流路(222)に導入され、アクチュエーター(1)に吸い上げられる。なお、本発明においては、ハウジングは気相取込開口(VT)を備えていなくてもよい。
気相取込開口(VT)(213)の総開口面積と液相取込開口(UT)(214)の総開口面積の比率(VT/UT)は0.5以下(即ち、0〜0.5)であることが好ましく、より好ましくは0〜0.3である。この範囲とすることにより、噴出される霧における気相と液相の比率をより一層適正化することができ、より一層冷却力が向上するため好ましい。上記比率(VT/UT)が0.5を超えると、噴出される霧の気体比率が高過ぎるため冷却力が低下する場合がある。
本発明に係る冷却用エアゾール製品の噴射量は、特に限定されないが、0.3〜3.0g/秒が好ましく、より好ましくは0.5〜2.0g/秒である。
本発明に係る冷却用エアゾール製品は、内容物を噴霧することにより、冷却する及び/又は冷感を与えるエアゾールスプレー製品である。本発明に係る冷却用エアゾール製品は、特に限定されないが、人に対して用いる人用の冷却用エアゾール製品であることが好ましい。本発明に係る冷却用エアゾール製品の適用部位は、特に限定されないが、例えば、腕部、足部、胸部、背部、頭部、脇部、脚部、腹部などが挙げられる。また、本発明に係る冷却用エアゾール製品は、人体が触れる衣類やタオル、ソファーなどに対して用いてもよい。
本発明に係る冷却用エアゾール製品は、例えば、噴口を冷却したい部位の方向に向けて、アクチュエーターを押すことにより使用する。
表1〜3に記載する噴口数、噴口径、噴口面積、ステムオリフィス孔径、ステムオリフィス孔面積を有する本発明に係るエアゾール容器に内容物を充填し、エアゾール製品を製造した。
内容物としては、エタノール100質量%からなる原液と、液化石油ガス(LPG)100質量%からなる噴射剤を、原液:LPG(質量比)が5:95で混合したもの(内容量:100g)を用いた。
そして、内容物を噴出させたときの噴出状態を、下記評価基準に従って評価し、表1〜3に示した。表中の「比」は(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)の値である。
<評価基準>
◎:優れた噴出状態
○:使用可能な噴出状態
×:不良な噴出状態
表4〜7に記載する噴口数、噴口径、噴口面積、ステムオリフィス孔径、ステムオリフィス孔面積を有するエアゾール容器(容量:294mL)に内容物(質量:100g)を充填し、エアゾール製品を製造した。なお、上記エアゾール容器におけるハウジングは気相取込開口(VT)を備えておらず、液相取込開口(UT)(個数1つ)の開口面積は3.80mm2であった。
内容物としては、表4〜7に示したものを用いた。なお、エタノール、水、LPG、DMEとしては、それぞれ以下のものを用いた。
エタノール: 99度合成無変性アルコール、信和アルコール産業株式会社製
水 : 精製水
LPG : ブタン99質量%、プロパン1質量%、小池化学株式会社製、20℃における蒸気圧0.15MPa
DME : 小池化学株式会社製、20℃における蒸気圧0.41MPa
実施例及び比較例で得られた各エアゾール製品について、以下の評価を行った。評価結果は表に記載した。評価はいずれも20℃±1℃の条件下で行った。
20cmと30cmのそれぞれの噴射距離で、露出した上腕部に対して、0.5秒間、各エアゾール製品の噴射を行い、以下の評価基準で評価した。なお、点数は10人の官能評価パネルの平均点とした。
<評価基準>
1:冷却感をなにも感じない
2:わずかに冷却感を感じる
3:はっきりと冷却感を感じる
4:少し強い冷却感を感じる
5:強い冷却感を感じる
縦380cm×横330cmのワイピングクロス(日本製紙クレシア株式会社製、商品名「キムタオル(品番:61000)」を地面に対して垂直に吊るし、20cm離れた位置から、各エアゾール製品を0.5秒間噴射した。噴射中心部、噴射中心部から1cm離れた位置、噴射中心部から2cm離れた位置における、噴射3秒後の上記ワイピングクロスの温度を、サーモグラフィ(メーカー名:NEC Avio赤外線テクノロジー株式会社製、商品名:TVS−500EX)を用いて測定した。
なお、噴射は正立状態で行い、噴射中心部とは、ワイピングクロスにおいて、エアゾール製品のノズルとの距離が最も近い部分(即ち、ノズルとの距離が20cmである部分)を意味する。
各エアゾール製品を5秒間噴射し、噴射前後での質量変化から算出した。
各エアゾール製品を噴射した際の、噴出状態(勢い、霧の細かさ)を観察した。
縦380cm×横330cmのワイピングクロス(日本製紙クレシア株式会社製、商品名「キムタオル(品番:61000)」を地面に対して垂直に吊るし、30cm離れた位置から、実施例3の冷却用エアゾール製品を、を0.5秒間噴射した。噴射中心部、噴射中心部から1、2、3、4cm離れた位置における、噴射3秒後の上記ワイピングクロスの温度を、サーモグラフィ(メーカー名:NEC Avio赤外線テクノロジー株式会社製、商品名:TVS−500EX)を用いて測定した。
その結果、噴射中心部の温度は−24.3℃;噴射中心部から1cm離れた位置の温度は−24.9℃;噴射中心部から2cm離れた位置の温度は−23.7℃;噴射中心部から3cm離れた位置の温度は−24.0℃;噴射中心部から4cm離れた位置の温度は−20.6℃であった。
(原液)
エタノール 98.2質量%
L−メントール 0.9質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.3質量%
香料 0.5質量%
(噴射剤)
LPG(プロパン1質量%/ブタン99質量%、20℃における蒸気圧0.15MPa)
100質量%
原液/噴射剤(質量比)=10/90
(原液)
ミリスチン酸イソプロピル 59.7質量%
L−メントール 0.1質量%
トリクロサン 0.2質量%
クロルヒドロキシアルミニウム 10質量%
シリカ 30質量%
(噴射剤)
LPG(プロパン1質量%/ブタン99質量%、20℃における蒸気圧0.15MPa)
80質量%
イソペンタン(20℃における蒸気圧0.08MPa) 20質量%
原液/噴射剤(質量比)=7.5/92.5
エアゾール容器におけるハウジングの気相取込開口(VT)の開口面積:0.38mm2
エアゾール容器におけるハウジングの液相取込開口(UT)の開口面積:3.80mm2
(原液)
シクロペンタシロキサン 74.8質量%
酸化亜鉛 3質量%
酸化チタン 3質量%
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 5質量%
流動パラフィン 10質量%
オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンAL 4質量%
香料 0.2質量%
(噴射剤)
LPG(プロパン1質量%/ブタン99質量%、20℃における蒸気圧0.15MPa)
100質量%
原液/噴射剤(質量比)=30/70
(原液)
エタノール 93質量%
香料 5質量%
イソノナン酸イソノニル 2質量%
(噴射剤)
LPG(プロパン20質量%/ブタン80質量%、20℃における蒸気圧0.29MPa)
100質量%
原液/噴射剤(質量比)=15/85
11 ノズル
111 噴口
112 ノズル内部流路
113 ボス
114 第1凸部
115 第2凸部
116 案内部
12 ステム接合部
2 バルブ
21 ハウジング
211 上方空間
212 下方空間
213 気相取込開口(VT)
214 液相取込開口(UT)
22 ステム
221 ステムオリフィス孔
222 内部流路
23 付勢手段
24 シールラバー
3 ディップチューブ
4 マウンテンカップ
41 ボス部
100 冷却用エアゾール製品
A 容器本体
B 噴出装置
C 液相
D 気相
Claims (3)
- 内容物を収容する容器本体と、
前記容器本体の頭頂部に設けられ且つ前記容器本体に充填された前記内容物が流入孔から流入するハウジングと、前記ハウジング上部から突出して設けられ且つ付勢手段により上方向に付勢されたステムとを有するバルブと、
前記ステムの上部に配置されたアクチュエーターとを備え、前記アクチュエーターを押圧することにより前記内容物を噴出させ冷却する及び/又は冷感を与える冷却用エアゾール製品であって、
前記内容物は液化ガスを含有し、
前記アクチュエーターが、前記内容物を噴出させるための6以上の噴口を有し、
前記ステムが、該ステムの内部流路に前記内容物を導入するためのステムオリフィス孔を有し、
前記ハウジングが、液体取込開口を有し、該液体取込開口の総開口面積が0.75〜4.0mm 2 であり、
前記6以上の噴口の総開口面積と前記ステムオリフィス孔の総開口面積との比(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)が3〜45であることを特徴とする冷却用エアゾール製品。 - 前記液化ガスが前記内容物中に60〜100質量%含まれることを特徴とする請求項1記載の冷却用エアゾール製品。
- 上記噴口の開口面積が、それぞれ、0.05〜1.0mm2である請求項1又は2に記載の冷却用エアゾール製品。
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