JP4155783B2 - 粉末含有エアゾール製品用バルブおよび該バルブを用いた粉末含有エアゾール製品 - Google Patents

粉末含有エアゾール製品用バルブおよび該バルブを用いた粉末含有エアゾール製品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアゾール容器内の圧力によって容器内の内容物(エアゾール組成物)を噴射するいわゆるエアゾール製品に用いられる、噴射の開始および停止を選択するためのバルブに関する。とくに本発明は、内容物中に粉末状の物質を含有してなる粉末含有エアゾール製品および粉末含有エアゾール製品に好適なバルブに関する。
【0002】
【従来の技術】
容器内に内容物として薬剤(有効成分を配合した原液)および噴射剤を封入し、この噴射剤の圧力を利用して内容物を噴射するエアゾール製品において、内容物の噴射開始/噴射停止を選択するために、たとえば図7および図8に示す構造のバルブが使用されている。
【0003】
この構造のバルブでは、ステム1に非貫通の導通孔8が設けられ、連通孔(ステム孔)2によってステム1の外表面へと接続されている。そして、図7に示した噴射停止状態においては、この連通孔2が、エアゾール容器の容器本体の開口部に固着されるマウンティングカップ3とハウジング4とのあいだに固定されたステムラバー5によってシールされている。つまり、容器内部から導通孔8へと到る通路が、連通孔2とステムラバー5の共働によって遮断され、内容物が出てくることはない。
【0004】
エアゾール製品を使用する場合、噴射ボタンなどの噴射部材を操作してステム1を下方向に押し下げる。図8に示すとおり、ステム1の表面の段差1gによってステムラバー5が撓み、シールされていた連通孔2が開かれる。容器内の内容物が、ディップチューブ9、ハウジング4、連通孔2および導通孔8を通って噴射される。その後、ステム1の押し下げを解除すると、容器内部の圧力およびスプリング6の働きによりステム1が図7の状態に復帰し、噴射が停止する。
【0005】
ところで、エアゾール製品のなかには、薬剤の効果の向上や使用感の改良のため内容物に粉末を配合させたものも多くある。このようなエアゾール製品においては、粉末によって連通孔の閉塞が生じたり、粉末の噛み込みによってシール不良が発生したりする場合がある。
【0006】
たとえば、前記のバルブにおいては、図8に示したとおり、噴射時にステムラバー5を大きく撓ませるため、ステムラバー5とステム1とのあいだに狭い空間7が形成される。このような行き止まりの狭い空間には粉末が付着、堆積しやすい。したがって、エアゾール製品を使用しているあいだに空間7に粉末が堆積し、ステムラバー5の撓みを阻害してステム1の押し下げを困難にしたり、堆積した粉末が剥離して連通孔2を閉塞したり、堆積が大きく成長して連通孔2への流れを阻害したりするという問題があった。
【0007】
また、連通孔2を通過する際に内容物の流れの方向および流路断面積が大きく変化するため、連通孔2の周辺にも粉末が付着し、堆積を生じやすい。このため、付着、堆積した粉末によって連通孔2の閉塞が生じたり、粉末がステムラバー5とステム1とのあいだのシール面に進入してシールが不充分になり、内容物が漏出するなどといった問題があった。
【0008】
そこで、粉末含有エアゾール製品用のバルブとして、たとえば特許文献1に開示のバルブが使用される。このバルブでは、ステムにステムラバー押し下げ用の段差は設けられておらず、ステムを押し下げた噴射状態において、ステムラバーが大きく撓むことはない。このため、ステムラバーとステムとのあいだに狭い空間が生じることはなく、粉末の付着、堆積が生じにくくなっている。また、ステムラバーが大きく撓むことがなく、ステムラバー内周のシール面が常にステムと摺動状態にあるため、シール面への粉末の進入が生じにくくなっている。
【0009】
しかし、この特許文献1に開示のバルブでは、内容物のシールおよび噴射停止状態におけるステムの係止の目的で、連通孔の直下に円板状のフランジ(特許文献1では「鍔」と呼んでいる)が設けられており、噴射停止時にステムラバーと気密に当接するようになっている。このため、連通孔の周辺に付着した粉末がフランジ上に堆積し、連通孔の閉塞を引き起こしやすい。また、フランジ上に堆積した粉末により、フランジとステムラバーとの当接が妨害されシール性能が悪化する、ステムが正しい位置まで戻らないなどといったトラブルも考えられる。
【0010】
一方、特許文献2には、図9に示す構造のバルブが提案されている。このバルブも、やはりステム1にステムラバー押し下げ用の段差が設けられておらず、ステム1を押し下げた噴射状態(図10)において、ステムラバー5はステム1との摩擦によって若干撓むものの、図8のバルブのようにステムラバー5が大きく撓むことはない。このため、ステムラバー5とステム1とのあいだに狭い空間が生じることはなく、粉末の付着、堆積が生じにくくなっている。また、ステムラバー5が大きく撓むことがなく、ステムラバー5内周のシール面が常にステム1と摺動状態にあるため、シール面への粉末の進入が生じにくくなっている。
【0011】
さらに、このバルブでは、連通孔2の下方においてステム1が末広がりの円錐形とされているため、連通孔2周辺における粉末の付着および堆積も生じにくい。すなわち、連通孔2の周辺に粉末が付着した場合でも、内容物の流れや外部からの衝撃、温度変化やステムラバーとの摺動などによって、付着した粉末がすぐにハウジング内へと落下する。したがって、連通孔2の閉塞、シール面への粉末の進入、堆積した粉末によるシール性能の悪化、ステムの戻り不良などといったトラブルが生じにくくなっている。
【0012】
しかし、図9に示したこのバルブでは、ステム1の末広がりの傾斜部とステムラバー5との当接によってステム1を係止し、噴射停止状態におけるステム1の位置を規制するとともに、この部分にも内容物のシールの機能を持たせているため、傾斜部の傾斜を大きくできないという問題があった。
【0013】
すなわち、粉末の付着および堆積を防止する観点から傾斜を大きく(円錐の頂角を小さく)した場合には、ステム1の傾斜部分がステムラバー5を圧縮しつつ図中上方へと移動し、ステムラバー5の変形などによりシールの機能が低下してしまう。また、製造時の公差や使用にともなう変形などによりステムラバー5の内径が所定の寸法から外れた場合、ステムの係止位置が大きくばらつき、見た目のばらつきによって製品の品質感を損ねたり、噴射までの押し下げ量が所定の値から外れ適当な操作感が得られなくなったりするといった問題がある。
【0014】
逆に、シールおよび係止の機能を重視して傾斜を小さく(円錐の頂角を大きく)した場合には、粉末のハウジング内への落下が妨げられ、連通孔2近傍に付着した粉末が除かれにくく、粉末の堆積による連通孔の閉塞や粉末の噛み込みによるシール不良、ステムの戻り不良などといったトラブルが発生しやすくなってしまう。
【0015】
これらのバルブのほか、さらに特許文献3には、図11に示す構造のバルブが開示されている。この特許文献3のバルブでは、ステムラバー5の直下にシール部材12が配置されており、図11に示す噴射停止状態において、ステム1の末広がりの肩部とシール部材12とが当接し、ここで気密シールとステムの係止とを行なっている。このため、やはり図9に示した特許文献2のバルブと同様、肩部の傾斜を大きくするとシールおよびステム係止の機能が不充分になり、傾斜を小さくすると粉末の落下が妨げられ、連通孔の閉塞やシール面への噛み込みが生じやすくなるという問題がある。
【0016】
また、このバルブでは、ステムの肩部をシール部材12に当接させるため、シール部材12の内径を大きくすることができない。このため、図12に示す噴射状態において、連通孔2の近傍でステム1とシール部材12とのあいだに行き止まりの狭い空間17が生じてしまい、ここに粉末が付着、堆積しやすくなる。該バルブは、ステムの円筒状の部分に付着、堆積した粉末は、ステムが上昇する際にステムラバーによって掻き落とされるが、肩部はシール部材と当接しているだけであり、肩部や、肩部と円筒状の部分の境界付近に付着・堆積している粉末を掻き落とすことができない。しかも、円筒状の部分で掻き落とされた粉末は前記境界部分で堆積しやすくなるため、連通孔の閉塞や粉末の噛み込みによるシール不良、ステムの戻り不良などといったトラブルを引き起こしがちである。
【0017】
【特許文献1】
特公昭54−28605号公報
【特許文献2】
特開平6−86815号公報
【特許文献3】
特開2001−348077号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、粉末の付着や堆積によるステム孔の閉塞やシールへの噛み込みを防止でき、かつステムを確実に係止して見た目のばらつきや操作感の悪化、シール機能の低下を防ぐことのできる粉末含有エアゾール製品用のバルブおよび該バルブを用いた粉末含有エアゾール製品を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の粉末含有エアゾール製品用バルブは、エアゾール容器の内外境界に位置するステムラバーと、前記ステムラバーの内径面と気密に摺動移動するステムと、前記ステムのエアゾール容器軸線上方向への移動を規制するストッパとを備えており、前記ステムが、ステムラバー内径面と摺動する摺動部および該摺動部に設けられた連通孔を有するステム本体と、該ステム本体下部に連続する傾斜部とを備えており、前記連通孔がエアゾール容器内部と遮断される位置にあるとき、前記ステムの摺動部および傾斜部の少なくとも一部がステムラバー内径面と密に接していることを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明の粉末含有エアゾール製品用バルブは、前記傾斜部の傾斜角が20〜80°であることを特徴とする。なお、傾斜部の傾斜角とは、添付の図面における角度θをいう。
【0021】
また、本発明の粉末含有エアゾール製品用バルブは、前記ストッパが、ステムとステムラバーとが摺動する部分から離れた位置に設けられていることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の粉末含有エアゾール製品用バルブは、前記ストッパが、エアゾール容器の内側に設けられていることを特徴とする。たとえば、前記ストッパが、ステムに設けられステムラバーに当接する突起である。あるいは、前記ストッパが、ステムに設けられた突起とエアゾール容器内に設けられこの突起と当接する係止リングとからなる。
【0023】
または、前記ストッパが、エアゾール容器の外側に設けられていてもよい。たとえば、前記ストッパが、ステムに設けられた突起およびエアゾール容器に取り付けられ該突起と当接する係止部材からなる。
【0024】
さらに本発明は、前記のバルブを備えたエアゾール容器に、粉末を含有したエアゾール組成物を充填したエアゾール製品に関する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施の形態をいくつか説明するが、本発明は、以下に示す実施の形態に限定されるものではない。
【0026】
実施の形態1
図1および図2に本発明のバルブの一実施の形態を示す。図1および図2はエアゾール製品のバルブ近傍を示した断面図であり、図1は使用していない(噴射停止の)状態、図2は使用中(噴射中)の状態をそれぞれ示している。
【0027】
図1に示すとおり、本実施の形態のバルブは、容器本体の開口部に固着(クリンプあるいはクリンチ)されるマウンティングカップ3と、該マウンティングカップ3中央に保持されるハウジング4と、該ハウジング4内に上下動自在に収容されるステム1と、該ステム1の連通孔2を開閉するステムラバー5と、ステム1を常時上向きに付勢するスプリング6と、ハウジング4の下端から容器底部に伸びているディップチューブ9とからなる。
【0028】
ステム1は、たとえば金属や合成樹脂などからなる軸状の部材であり、後述するステムラバー内径面と摺動する摺動部と該摺動部に設けられた連通孔2とを備えた円筒形のステム本体1a、ステム本体1aに連続する傾斜部1b、および傾斜部1bに連続する円筒形のステム基部1cからなり、傾斜部1bの傾斜角θは20〜80°とされている(ステム1の斜視図および断面図である図3を参照)。なお、図から明らかなように、傾斜部の傾斜とステムの長手軸とのなす角は「θ÷2」であり、10〜40°である。また、傾斜部1bの下方あるいはステム基部1cに突起1dが設けられ、ステム1の長手軸と平行に突出している。
【0029】
一方、ステムラバー5は弾性材料から作られた板状の部材であり、中央に貫通穴が設けられている。ステムラバー5の材料としては、たとえばニトリルゴムやブチルゴム、クロロプレンゴムなどの合成ゴム、あるいは天然ゴムがあげられるが、ステム1との摺動が円滑であり内容物による膨潤が小さい点でニトリルゴムが好ましく、とくにアクリロニトリルを30重量%以上含有する、たとえば中高ニトリル、高ニトリル、極高ニトリルなどのニトリルゴムがとくに好ましい。
【0030】
本実施の形態のバルブでは、このステムラバー5が、ハウジング4と容器本体開口部に固着されるマウンティングカップ3とに挟まれる形でエアゾール容器内外の境界に固定され、ステム1が、傾斜部1b側が容器内、ステム本体1a側が容器外となるようにステムラバー5の内径面に気密にかつ摺動可能に挿入されている。そして、図1に示した噴射停止状態(ステムの連通孔がエアゾール容器内部と遮断されている状態)においては、ステムの摺動部の一部(連通孔の下部)と傾斜部の一部とがステムラバー内径面と密に接しており、さらに突起1dがステムラバー5に当接し、ステム1の容器本体軸線上方向への移動を規制するストッパとして作用している。該ストッパーにより、ステムが押し下げられた後にスプリングの付勢力により元の位置に戻るとき、ステムの上昇位置を固定することができる。従来、ステムの作動毎にステムとステムラバーとの位置関係にバラツキが生じ、漏洩の原因の一つになっていたが、該ストッパーによりステムとステムラバーとの位置関係(シール関係)が固定されるため、ステムとステムラバーとの間のシール性が高くなる。このとき、さらにステム1の傾斜部1bがステムラバー5に当接しているため、ステムラバー5とステム1とのあいだの気密がより強化され好ましい。
【0031】
ところで、ステム本体1aの摺動部には連通孔2が形成されており、連通孔2の一端は非貫通の導通孔8を介してエアゾール容器外へとつながっている。また、連通孔2のもう一端はステム本体1aの円筒面表面に露出し、図1に示した噴射停止状態においてはエアゾール容器の外に位置している。したがって、この状態では連通孔2および導通孔8はエアゾール容器内部と遮断されている。
【0032】
この図1の状態から、噴射ボタンなどを操作してステム1を容器内方向に押し込むと、連通孔2がエアゾール容器内部と連通する(図2参照)。このとき、ディップチューブ9、ハウジング4、連通孔2および導通孔8を経由する経路が形成され、内容物がこの経路を通って噴射される。その後、ステム1の押し下げを解除すると、エアゾール容器内の圧力およびスプリング6の働きによりステム1が図1の状態に復帰し、噴射が停止する。
【0033】
このとき、噴射により連通孔2の付近に付着していた粉末は、自然にあるいはステム上昇時にステムラバー5によって掻き落とされて落下する。本実施の形態のバルブにおいては、ステムの摺動部に連通孔が設けられ、かつ摺動部および傾斜部の一部がステムラバー内径面と密に接する構成であるため、ステムが上昇する際に、摺動部や傾斜部に付着している粉末を確実に掻き落とすことができる。さらに連通孔2の下方において、ステム1が傾斜角θ=20〜80°で円錐状に広がり傾斜が大(傾斜角が小)であるため、掻き落とされた粉末がスムースにハウジング内へと落下し、堆積を生じることがない。なお、傾斜角θが80°よりも大である場合、粉末がスムースに落下しなくなる傾向がある。一方、傾斜角θが20°よりも小さい場合、傾斜部1bとステムラバー5との当たりが弱くなり、シール機能が低下する可能性がある。したがって、傾斜部1bの傾斜角θは20〜80°が好ましく、さらには30〜70°が好ましい。また、突起1bをステムの全周にわたって設けた場合、粉末の落下を妨げる可能性がある。そこで、図3に示したとおり、複数の突起1bを離間して設けるとよい。
【0034】
なお、ステムとステムラバーとのあいだの気密の確保と円滑な摺動とを両立させるため、ステムラバー5の貫通穴の径をステム本体1aの径の0.6〜0.9倍、さらに好ましくは0.7〜0.85倍としておくとよい。貫通穴の径がステム本体の径の0.6倍よりも小さい場合、摺動がきつくなり操作感の悪化を招く。一方、貫通穴の径がステム本体の径の0.9倍よりも大きい場合、内容物によりステムとステムラバーの弾力性や硬度、大きさ(膨張や収縮)などに変化が生じた場合などで、シール性が悪化し気密を保てなくなる可能性がある。
【0035】
さらに、本実施の形態のバルブは、ステムを係止するためのストッパを、ステムラバー内径面と摺動する摺動部および傾斜部から離れた位置に設けており、ステム本体1aとステムラバー5内径面とのあいだの摺動部、およびステムの傾斜部1bとステムラバー5内径面とのあいだの当接部と別の箇所において、ステムの突起1dとステムラバー5とを当接させストッパとしている。
【0036】
これにより、粉末の付着や堆積によって連通孔の閉塞やシール不良が生じかねない摺動部および当接部の近傍において、ステムの係止機能を考慮することなくステム形状を選択することができ粉末の付着および堆積を確実に防止することが可能になる一方、別途設けるストッパにおいて噴射停止時のステム位置を確実に規定できるため、ステムの係止位置がばらつくこともない。
【0037】
実施の形態2
図4に本発明のバルブのほかの実施の形態を示す。図4はエアゾール製品のバルブ近傍を示した断面図であり、使用していない(噴射停止の)状態を示している。
【0038】
図1〜3に示した実施の形態1では、ステムの傾斜部とステムの基部との間に、ステムの軸方向と平行に突出する突起1dを設け、該突起1dがステムラバーと当接してステムの容器軸線上方向への移動を規制するストッパーとして作用していたが、図4に示すバルブは、ステム基部1cに、ステム基部1cの表面から半径方向に突き出している複数の突起1eが設けられているステムを用いている。ステムの他の構成は、前記実施の形態と同様である(図5参照)。
【0039】
さらに、本実施の形態では、ステムラバー5とハウジング4とのあいだに円環状の係止リング10が挟まれ、固定されている。そして、図4に示した噴射停止状態においては、突起1eが係止リング10に当接し、ステム1の容器軸線上方向への移動を規制するストッパとして作用している。
【0040】
本実施の形態のバルブにおいても、連通孔2の付近に粉末が付着しても、自然にあるいはステムラバー5によって確実に掻き落とされて落下する。また連通孔2の下方において、ステム1が傾斜角θ=20〜80°で円錐状に広がり傾斜が大(傾斜角が小)であるため、粉末がスムースにハウジング内へと落下し、堆積を生じることがない。さらに、複数の突起1eを離間して設けているため、粉末は、突起によって妨げられることなく、突起と突起のあいだを通ってスムースにハウジング内に落下する。
【0041】
本実施の形態のバルブにおいても、ステムを係止するためのストッパを、ステムラバー内径面と摺動する摺動部および傾斜部から離れた位置に設けている。すなわち、ステムの突起1eと係止リングとを当接させてステム係止のストッパとし、ステムとステムラバーとのあいだの摺動部にはステム係止の機能を持たせていない。したがって、粉末の付着や堆積によって連通孔の閉塞やシール不良が生じかねないステムの摺動部の近傍において、ステムの係止機能を考慮することなくステム形状を選択することができ粉末の付着および堆積を確実に防止することが可能になる一方、別途設けるストッパにおいて噴射停止時のステム位置を確実に規定できるため、ステムの係止位置がばらつくこともない。
【0042】
なお、本実施の形態においては、ステムラバー5と係止リング10を別個の部品としているが、これらを一体に形成してももちろんよい。
【0043】
さらに、本実施の形態のバルブは、ハウジング側面に、エアゾール容器内部の気相部(ベーパー)をハウジング内部に導入するベーパータップ孔を設けていない。ベーパータップ孔を設けることで、噴射物中に気体を混合させることができるため、噴射の勢いが強くなり逆火を短くすることができるが液化ガスの消費量が多くなるため、液化ガスを多く配合する必要がある。該実施の形態のバルブは、エアゾール組成物中の液化ガス量を少なくし、ソフトに噴射したい場合に好適に用いられる。
【0044】
実施の形態3
図6に本発明のバルブの別の実施の形態を示す。図6はエアゾール製品のバルブ近傍を示した断面図であり、使用していない(噴射停止の)状態を示している。
【0045】
前記実施の形態1、2は共に、ステムのハウジング内部に収納される部分(傾斜部、ステム基部)に突起を設けていたが、図6に示すバルブは、ステム本体の表面に突起1fが設けられているステムを用いている。他の構成は前記実施の形態1、2と同様である。
【0046】
さらに、本実施の形態では、マウンティングカップ3に係止部材11が取り付けられており、図6に示した噴射停止状態において、突起1fが係止部材11に当接し、ステム1の容器軸線上方向への移動を規制するストッパとして作用している。すなわち、エアゾール容器の外部にステムの容器軸線上方向への移動を規制するストッパ機能を設けている。
【0047】
本実施の形態のバルブにおいても、前記実施の形態1、2と同様の効果が得られ、連通孔2の付近に粉末が付着しても、自然にあるいはステムラバー5によって確実に掻き落とされて落下する。また、連通孔2の下方において、ステム1が傾斜角20〜80°で円錐状に広がり傾斜が大(傾斜角が小)であるため、粉末がスムースにハウジング内へと落下し、堆積を生じることがない。
【0048】
また、本実施の形態のバルブにおいても、ステムを係止するためのストッパを、ステムとステムラバーとのあいだの摺動部から離れた位置に設けている。すなわち、ステムと係止部材とを当接させてステム係止のストッパとし、ステムとステムラバーとのあいだの摺動部にはステム係止の機能を持たせていない。したがって、粉末の付着や堆積によって連通孔の閉塞やシール不良が生じかねない摺動部の近傍において、ステムの係止機能を考慮することなくステム形状を選択することができ粉末の付着および堆積を確実に防止することが可能になる一方、別途設けるストッパにおいて噴射停止時のステム位置を確実に規定できるため、ステムの係止位置がばらつくこともない。
【0049】
本発明のエアゾール製品は、容器本体に本発明のバルブを固着してなるエアゾール容器中に、粉末を含有したエアゾール組成物を充填してなる。
【0050】
前記容器本体は、たとえばアルミニウムやブリキなどの金属やポリエチレンテレフタレートなどの樹脂、耐圧ガラスなどを有底筒状に成型し、その口部にバルブ装着部を形成してなる。そして、該バルブ装着部に本発明のバルブ、たとえば前記実施の形態1、2または3のバルブが取り付けられている。
【0051】
前記エアゾール容器中に充填する粉末含有エアゾール組成物にとくに制限はないが、たとえば粉末、有効成分、油成分、アルコール類、液化ガス、加圧剤などを含有するエアゾール組成物が好適に使用可能である。
【0052】
前記粉末は、粉末自体が有効成分として作用したり、有効成分をわきの下や背中、首、腕、脚などの噴射対称面で付着しやすくするなどの目的で用いられる。前記粉末としては、アルミニウムクロロハイドレート、アラントインアルミニウムクロロハイドレート、硫酸アルミニウムカリウム、酸化亜鉛等の制汗剤、タルク、カオリン、シリカ、ウンデシレン酸亜鉛、無水珪酸、珪酸マグネシウム、マイカ、雲母チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の無機粉末、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の有機粉末をあげることができる。これらの粉末は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。
【0053】
前記粉末の平均粒子径は、10〜100μm、さらには15〜50μmであることが好ましい。前記粉末の平均粒子径が10μm未満の場合は、長期間静置したときなどの場合に粉末が容器底部で固くケーキングし易くなり、再分散性が悪く均一な組成物を噴射し難くなる。さらに皮膚などの噴射対称面で飛散しやすくなり、付着性が悪く、粉末の効果が充分発揮できない。一方100μmを越えるとバルブや噴射ボタンの通路や孔部で詰まりやすく、またステムとステムラバーとの間に挟まった場合に漏洩量が多くなる。さらに噴射の途中で粉末が沈降しやすくなり、均一な組成物を噴射し難くなる。
【0054】
前記粉末の配合量は、粉末含有エアゾール組成物中0.1〜20重量%であることが好ましく、0.5〜15重量%であることが好ましく、さらには1〜10重量%であることが好ましい。粉末の配合量が0.1重量%未満の場合は、粉末の効果が得られにくく、所望の効果を得るためには多量に噴射する必要がある。一方20.0重量%を越えるとバルブや噴射ボタンの通路や孔部で堆積したり詰まりやすくなり、またステムとステムラバーとの間に挟まりやすくなり漏洩量が多くなる。特に、バルブとして定量噴射型バルブを用いる場合は、定量室内の粉末量が多くなるため粉末が定量室内でケーキングしやすく、またバルブの作動性が悪くなり定量性が悪くなりやすい。
【0055】
前記有効成分としては、プロピレングリコール、グリセリン、1、3−ブチレングリコール、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾール、銀などの殺菌(抗菌)・防腐剤、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチルなどの消臭・防臭剤、l−メントール、カンフルなどの清涼剤、酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチルなどの紫外線吸収剤、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸、レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ビタミンD2、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類、エラストラジオール、エチニルエストラジオールなどのホルモン類、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの各種抽出液、サリチル酸メチル、カンフル、ジフェンヒドラミン、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク、ケトプロフェン、クロタミトンなどの消炎鎮痛剤、アラントイン、グリチルレチン酸、アズレンなどの抗炎症剤、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸リドカインなどの局所麻酔剤、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェミラミンなどの抗ヒスタミン剤、N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、カプリル酸ジエチルアミド、ジメチルフタレートなどの害虫忌避剤などがあげられる。なお前記有効成分は、シリカやゼオライトなどの多孔性粉末に担持させて配合しても良い。
【0056】
前記有効成分の配合量は、粉末含有エアゾール組成物中0.01〜20重量%であることが好ましく、さらには0.1〜10重量%であることが好ましい。
【0057】
前記有効成分の配合量が0.01重量%未満の場合は、有効成分の効果が得られにくく、所望の効果を得るためには多量に噴射する必要がある。一方20重量%を超えると有効成分によっては濃度が高くなりすぎ、人体に悪影響をおよぼす場合がある。
【0058】
前記油成分は、粉末の粉末含有エアゾール組成物中での分散性を向上させる分散剤として、また粉末を噴射対処面に付着しやすくするなどの目的で用いられる。
【0059】
前記油成分としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリ(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、デカなど)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などの界面活性剤、
ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコールなどの高級アルコール、
スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素、
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸、
メチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル、
ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジエトキシエチル、コハク酸ジエトキシエチルなどのエステル油、
ミツロウ、ラノリン、カンデリラロウ、パラフィンワックスなどのロウ(ワックス類)、
ツバキ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヤシ油などの油脂があげられる。
【0060】
前記油成分の配合量は、粉末含有エアゾール組成物中0.01〜20重量%が好ましく、さらには0.1〜10重量%であることが好ましい。前記油成分の配合量が0.01重量%未満の場合は、油成分を配合する分散効果や付着効果などが得られにくい。一方20重量%を越えるとべたつき感が強くなったり乾燥性が悪くなるなど、使用感が低下しやすい。
【0061】
前記アルコール類は、乾燥性や粉末の分散性を調整する、さらには前記液化ガスや炭化水素を溶解させてエアゾール容器内部の圧力を調整し噴射の勢いや付着性、冷却感などを調整するなどの目的で用いられ、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコールなどの低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコールなどがあげられる。
【0062】
前記アルコール類の配合量は、粉末含有エアゾール組成物中0.1〜50重量%であることが好ましく、さらには1〜40重量%であることが好ましい。前記アルコール類の配合量が0.1重量%未満の場合はアルコール類を配合する効果が得られにくい。一方、50重量%を超えると皮膚表面などで液垂れしやすくなり、付着性が悪くなる。
【0063】
前記液化ガスは、粉末含有エアゾール組成物の噴射剤として作用し、噴射した粉末含有エアゾール組成物の噴霧粒子径や噴射の勢いを調整して皮膚への付着性を向上させる、冷却感を調整するなどの目的で用いられる。前記液化ガスとしてはノルマルブタン(−0.5℃)、イソブタン(−11.7℃)、プロパン(−42.1℃)、ジメチルエーテル(−20℃)およびこれらの混合物などがあげられる。
【0064】
なお付着性や使用感などを考慮して、前記液化ガスにイソペンタンやノルマルペンタン、イソヘキサン、ノルマルヘキサンなどの炭素数が5〜6である炭化水素を配合してもよい。
【0065】
前記液化ガスの配合量は、粉末含有エアゾール組成物中10〜98重量%であることが好ましく、さらには20〜95重量%であることが好ましい。前記液化ガスの配合量が10重量%未満の場合は、充分な冷却感が得られにくく使用感が低下する。一方98重量%を越えると、噴射した皮膚表面などでの飛散が多く付着性がわるくなる。また、粉末や有効成分を配合できる量が少なくなる。
【0066】
前記加圧剤は、温度変化による圧力変化を小さくし、噴射状態を保つなどの目的で用いられ、炭酸ガス、窒素ガス、亜酸化窒素ガス、圧縮空気などの圧縮ガスがあげられる。
【0067】
なお、本発明のエアゾール製品に用いるエアゾール組成物の好ましい形態としては、前記液化ガスを10〜60重量%、さらには20〜50重量%とし、さらに沸点が20〜40℃である炭化水素を25〜70重量、さらには30〜65重量%配合することが好ましい。
【0068】
このような組成の粉末含有エアゾール組成物は、噴射直後(噴射対象物に付着するまでの間)は噴射した粉末含有エアゾール組成物の大部分が液滴の状態で存在するため、噴射の勢いが弱く皮膚への刺激が少なくなり、また皮膚への付着性に優れる。さらに皮膚に付着した粉末含有エアゾール組成物はゆっくりと気化するため、従来の制汗剤用エアゾール製品のような短時間での多量の液化ガスの気化による過冷却はなく、適度な冷却感が得られ、かつ持続する効果がある。
【0069】
前記沸点が20〜40℃である炭化水素としては、ノルマルペンタン(36.1℃)、イソペンタン(27.9℃)およびこれらの混合物などがあげられる。
【0070】
これらの中で、イソペンタンが、皮膚に付着した噴射物の気化する時間や冷却効果を調整しやすい点で、好ましい。
【0071】
前記炭化水素の沸点は20〜40℃、さらには25〜38℃であることが好ましい。前記沸点が20℃未満の場合は、噴射途中で気化する量が多くなり付着性が悪くなる。また皮膚上での気化する時間が短くなり冷却感が強くなりやすい。一方、40℃を越えると蒸発潜熱が小さくなり適度な冷却感が得られにくい。また気化する時間が長くなりすぎ使用感が悪くなる。
【0072】
前記沸点が20〜40℃である炭化水素の配合量は、粉末含有エアゾール組成物中25〜70重量%であることが好ましく、さらには30〜65重量%であることが好ましい。前記炭化水素の配合量が25重量%未満の場合は、皮膚表面での飛散が多く付着性が悪くなる。一方70重量%を越えると皮膚表面での乾燥が遅くなり、垂れ易くなる。また該炭化水素は引火点が低いため、燃焼性が高くなり火気に対する安全性が低下する。
【0073】
なお、前記沸点が20〜40℃の炭化水素は、噴射の勢いや冷却感などの使用感を調整するために、沸点が5℃以下の液化ガスと所定の配合比(重量比)にて配合することが好ましい。前記配合比は炭化水素/液化ガス=80/20〜25/75、さらには75/25〜30/70、特に70/30〜50/50であることが好ましい。前記配合比が80/20よりも大きい場合は、圧力が低くなりすぎ低温時噴射しがたくなる。また噴霧粒子が大きくなりすぎて皮膚表面に均一に付着させ難く、さらに垂れ落ちやすくなる。一方25/75よりも小さい場合は噴射の勢いが強く、また乾燥時間が短くなりすぎ冷却感が持続しないなど、使用感が低下する。なお、沸点が20〜40℃である炭化水素と液化ガスは、予め所定の配合比に調製した混合物を充填しても良く、個々に充填しても良い。
【0074】
本発明のバルブを備えたエアゾール容器中に、これら粉末含有エアゾール組成物を充填することにより、本発明の粉末含有エアゾール製品が得られる。
【0075】
実施例1(制汗剤)
下記に示すエアゾール組成物のうち、粉末と油成分とを容器本体に充填し、ついで液化ガスをアンダーカップ充填にて充填し、さらに図1に示すバルブを容器本体開口部に固着した。バルブのステムに噴射ボタンを装着することにより、制汗用粉末含有エアゾール製品を得た。
【0076】
なお、バルブはハウジング下孔がφ0.76mm、ペーパータップ孔がφ0.64mmであり、ステム孔がφ0.5mm、2ヵ所であるものを用い、噴射ボタンとしては噴孔径がφ0.9mmであり、噴孔の通路がストレート形状であるノズルを装着したものを用いた。
【0077】
<エアゾール組成物>
Figure 0004155783
【0078】
実施例2(ソフト制汗剤)
下記に示すエアゾール組成物のうち、粉末と油成分とを容器本体に充填し、ついで炭化水素と液化ガスの混合物をアンダーカップ充填にて充填し、さらに図4に示すバルブを容器本体開口部に固着した。バルブのステムに噴射ボタンを装着することにより、制汗用粉末含有エアゾール製品を得た。
【0079】
なお、バルブはハウジング下孔がφ0.3mm、ペーパータップ孔がなく、ステム孔がφ0.3mmであるものを用い、噴射ボタンとしては噴孔径がφ0.51mmであり、メカニカルブレークアップ機構付きのノズルを装着したものを用いた。
【0080】
<エアゾール組成物>
Figure 0004155783
【0081】
比較例1
バルブとして図7に示す形状のバルブ(ハウジング下孔がφ0.76mm、ペーパータップ孔がφ0.64mmであり、ステム孔がφ0.5mm、2ヵ所)を用いたほかは、実施例1と同じエアゾール組成物および噴射ボタンを用いた。
【0082】
比較例2
バルブとして図9に示す形状のバルブ(ハウジング下孔がφ0.76mm、ペーパータップ孔がφ0.64mmであり、ステム孔がφ0.5mm、2ヵ所)を用いたほかは、実施例1と同じエアゾール組成物および噴射ボタンを用いた。
【0083】
比較例3
バルブとして図7に示す形状のバルブ(ハウジング下孔がφ0.3mm、ペーパータップ孔がなく、ステム孔がφ0.3mm)を用いたほかは、実施例2と同じエアゾール組成物および噴射ボタンを用いた。
【0084】
比較例4
バルブとして図9に示す形状のバルブ(ハウジング下孔がφ0.3mm、ペーパータップ孔がなく、ステム孔がφ0.3mm)を用いたほかは、実施例2と同じエアゾール組成物および噴射ボタンを用いた。
【0085】
漏洩試験
下記の手順a)〜d)を繰り返し行ない、繰り返し使用したときの漏洩量を測定した。なお、a)〜d)の操作を1サイクルとし、10サイクルの試験を行なった。試験本数は10本で行なった。
【0086】
手順
a)エアゾール製品を噴射し、製品重量を測定(W1)。
b)45℃で5日間保存。
c)25℃で1日間保存し、製品重量を測定(W2)。
d)W1−W2より漏洩量を算出する。
【0087】
評価
○:すべてのエアゾール製品の漏洩量が0.1g以下である。
△:漏洩量が0.1〜0.3gであるエアゾール製品である。
×:漏洩量が0.3g以上であるエアゾール製品である。
【0088】
詰まり試験
下記の手順a)〜c)を繰り返し行ない、繰り返し使用したときの詰まりの有無を確認した。なお、a)〜c)の操作を1サイクルとし、10サイクル試験を行なった。
【0089】
手順
a)エアゾール製品を5℃で1日間保存し、噴射。
b)45℃で5日間保存。
c)エアゾール製品を再度5℃で1日間保存し、噴射。
【0090】
評価
○:すべてのエアゾール製品が問題なく噴射できた。
△:噴射できるが、噴射パターンに変化がある製品がある。
×:噴射できないエアゾール製品がある。
【0091】
試験結果
<漏洩試験>
【0092】
【表1】
Figure 0004155783
【0093】
<詰まり試験>
【0094】
【表2】
Figure 0004155783
【0095】
前記試験結果より、本発明のバルブを用いたエアゾール製品は、エアゾール組成物中に粉末を多く配合しているにもかかわず、繰り返し使用を想定した漏洩試験および詰まり試験共に優れた結果が得られた。
【0096】
【発明の効果】
本発明のバルブにおいては、ステムがステムラバー内径面と摺動する摺動部と摺動部に連続する末広がりの傾斜部とを有し、噴射していない状態では摺動部と傾斜部とがステムラバー内径面と密に接するため、連通孔や摺動部などに付着している粉末を、ステムが上昇するときにステムラバーにより確実に掻き落とすことができる。さらに、この傾斜部の傾斜角θを小さくし急な傾斜としているため、連通孔や傾斜部などで粉末が付着したり堆積したりすることがない。したがって、粉末による連通孔の閉塞、シール不良といったトラブルを防止することができる。
【0097】
また、ステムを係止するためのストッパを、ステムとステムラバーとの摺動部および当接部と別個に設けたため、摺動部および当接部の形状を粉末の付着/堆積防止に適した形状とすることができ、かつステムの係止を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバルブの一実施の形態を示した断面図であり、噴射していない状態を示した図である。
【図2】本発明のバルブの一実施の形態を示した断面図であり、噴射している状態を示した図である。
【図3】図1および図2に示したバルブについて、ステムを拡大して示した斜視図(a)および断面図(b)である。
【図4】本発明のバルブのほかの実施の形態を示した断面図であり、噴射していない状態を示した図である。
【図5】図4に示したバルブについて、ステムを拡大して示した斜視図である。
【図6】本発明のバルブの別の実施の形態を示した断面図であり、噴射していない状態を示した図である。
【図7】従来技術のバルブを示した断面図であり、噴射していない状態を示した図である。
【図8】従来技術のバルブを示した断面図であり、噴射している状態を示した図である。
【図9】従来技術のバルブを示した断面図であり、噴射していない状態を示した図である。
【図10】従来技術のバルブを示した断面図であり、噴射している状態を示した図である。
【図11】従来技術のバルブを示した断面図であり、噴射していない状態を示した図である。
【図12】従来技術のバルブを示した断面図であり、噴射している状態を示した図である。
【符号の説明】
1 ステム
2 連通孔
3 マウンティングカップ
4 ハウジング
5 ステムラバー
6 スプリング
8 導通孔
9 ディップチューブ
10 係止リング
11 係止部材
12 シール部材

Claims (4)

  1. エアゾール容器の内外境界に位置するステムラバーと、
    前記ステムラバーの内径面と気密に摺動移動するステムと、
    前記ステムのエアゾール容器軸線上方向への移動を規制するストッパとを備えており、
    前記ストッパが、エアゾール容器の内側であって、ステムとステムラバーとが摺動する部分から離れた位置に設けられ、かつ、ステムに設けられステムラバーに当接する突起であり、
    ステムの周囲に複数の前記突起が離間されて設けられ、
    前記ステムが、ステムラバー内径面と摺動する摺動部および該摺動部に設けられた連通孔を有するステム本体と、該ステム本体下部に連続する傾斜部とを備えており、
    前記傾斜部の傾斜角が20〜80°であり、
    前記連通孔がエアゾール容器内部と遮断される位置にあるとき、前記ステムの摺動部および傾斜部の少なくとも一部がステムラバー内径面と密に接している粉末含有エアゾール製品用バルブ。
  2. エアゾール容器の内外境界に位置するステムラバーと、
    前記ステムラバーの内径面と気密に摺動移動するステムと、
    前記ステムのエアゾール容器軸線上方向への移動を規制するストッパとを備えており、
    前記ストッパが、エアゾール容器の内側であって、ステムとステムラバーとが摺動する部分から離れた位置に設けられ、かつ、ステムに設けられた突起とエアゾール容器内に設けられ該突起と当接する係止リングとからなり、
    ステムの周囲に複数の前記突起が離間されて設けられ、
    前記ステムが、ステムラバー内径面と摺動する摺動部および該摺動部に設けられた連通孔を有するステム本体と、該ステム本体下部に連続する傾斜部とを備えており、
    前記傾斜部の傾斜角が20〜80°であり、
    前記連通孔がエアゾール容器内部と遮断される位置にあるとき、前記ステムの摺動部および傾斜部の少なくとも一部がステムラバー内径面と密に接している粉末含有エアゾール製品用バルブ。
  3. エアゾール容器の内外境界に位置するステムラバーと、
    前記ステムラバーの内径面と気密に摺動移動するステムと、
    前記ステムのエアゾール容器軸線上方向への移動を規制するストッパとを備えており、
    前記ストッパが、エアゾール容器の外側であって、ステムとステムラバーとが摺動する部分から離れた位置に設けられ、かつ、ステムに設けられた突起およびエアゾール容器に取り付けられ該突起と当接する係止部材からなり、
    前記ステムが、ステムラバー内径面と摺動する摺動部および該摺動部に設けられた連通孔を有するステム本体と、該ステム本体下部に連続する傾斜部とを備えており、
    前記傾斜部の傾斜角が20〜80°であり、
    前記連通孔がエアゾール容器内部と遮断される位置にあるとき、前記ステムの摺動部および傾斜部の少なくとも一部がステムラバー内径面と密に接している粉末含有エアゾール製品用バルブ。
  4. 請求項1、2または記載のバルブを備えたエアゾール容器に、粉末および液化ガスを含有したエアゾール組成物を充填したエアゾール製品。
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