JP6215099B2 - メサ型半導体装置の製造方法及びメサ型半導体装置 - Google Patents

メサ型半導体装置の製造方法及びメサ型半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、メサ型半導体装置の製造方法及びメサ型半導体装置に関する。
図14は、メサ型半導体装置800を説明するために示す図である。メサ型半導体装置800は、図14に示すように、n++型シリコン基板(第1半導体層)812と、n型エピタキシャル層(第2半導体層)814と、p型アノード層(第3半導体層)816とを有し、これらがこの順序で積層された半導体基体810と、メサ領域828を囲む領域に、p型アノード層816からpn接合(n型エピタキシャル層814とp型アノード層816との境界面842)を超える深さ位置に至る領域に形成された外周テーパー領域830とを備える。そして、メサ型半導体装置800においては、外周テーパー領域830には、pn接合を保護するためのガラス層832が形成されている。なお、図14中、符号838はカソード電極層を示し、符号840はアノード電極層を示す。
メサ型半導体装置800は、外周テーパー領域830にpn接合を保護するためのガラス層832が形成されていることから、高信頼性の半導体装置となる。
なお、上記のようなメサ型半導体装置800には、n型シリコン基板の本体(第2半導体層)と、n型シリコン基板の第2主面側に形成されたn型カソード層(第1半導体層)と、n型シリコン基板の第1主面側に形成されたp型アノード層(第3半導体層)とを有し、n型カソード層、n型シリコン基板本体及びp型アノード層がこの順序で積層された半導体基体を備えるものもある(例えば、特許文献1参照。)。本明細書において、p型アノード層を形成する側の主面を第1主面とし、当該第1主面とは反対側の主面を第2主面とする。
ところで、このようなメサ型半導体装置800のスイッチング特性を向上させるために、半導体基体の内部に重金属を拡散させることが考えられる。このようにして半導体基体の内部に重金属が拡散されたメサ型半導体装置を、この明細書では、従来のメサ型半導体装置と呼ぶこととする。図15は、従来のメサ型半導体装置900を説明するために示す図である。
従来のメサ型半導体装置900は、図15に示すように、n++型シリコン基板(第1半導体層)912と、n型エピタキシャル層(第2半導体層)914と、p型アノード層(第3半導体層)916とを有し、これらがこの順序で積層された半導体基体910と、メサ領域928を囲む領域に、p型アノード層916からpn接合(n型エピタキシャル層914とp型アノード層916との境界面942)を超える深さ位置に至る領域に形成された外周テーパー領域930とを備え、当該外周テーパー領域930には、pn接合を保護するためのガラス層932が形成されている。そして、従来のメサ型半導体装置900においては、半導体基体910の内部に、重金属(例えばPt)922が拡散されている。すなわち、従来のメサ型半導体装置は、メサ型のファストリカバリダイオードである。なお、図15中、符号938はカソード電極層を示し、符号940はアノード電極層を示す。
従来のメサ型半導体装置900は、半導体基体910の内部に重金属922が拡散されていることから、半導体基体910の内部にキャリアの再結合中心が形成される結果、逆回復時間trrが短くスイッチング特性に優れたメサ型半導体装置となるものと考えられる。
従来のメサ型半導体装置900は、例えば特許文献2に記載の重金属拡散技術を適用して製造することができる。このように特許文献2に記載の重金属拡散技術を適用してメサ型半導体装置900を製造する方法を、この明細書では、従来のメサ型半導体装置の製造方法と呼ぶこととする。図16及び図17は、従来のメサ型半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図16(a)は半導体基体準備工程を示し、図16(b)は重金属含有ペースト層形成工程を示し、図16(c)は重金属拡散工程を示し、図16(d)は溝形成工程を示し、図17(a)はガラス層形成工程を示し、図17(b)は酸化膜除去工程を示し、図17(c)は電極形成工程を示し、図17(d)は半導体基体切断工程を示す。
従来のメサ型半導体装置の製造方法は、図16〜図17に示すように、半導体基体準備工程と、重金属含有ペースト層形成工程と、重金属拡散工程と、溝形成工程と、ガラス層形成工程と、酸化膜除去工程と、電極形成工程と、半導体基体切断工程とをこの順序で実施する。以下、工程に沿って従来のメサ型半導体装置の製造方法を詳細に説明する。
(1)半導体基体準備工程
まず、n++型シリコン基板(第1半導体層)912上にn型エピタキシャル層(第2半導体層)914を形成した後、当該n型エピタキシャル層914の表面からのp型不純物の拡散によりp型アノード層(第3半導体層)916を形成して、n++型シリコン基板912と、n型エピタキシャル層914と、p型アノード層916とを有し、これらがこの順序で積層された半導体基体910を形成する(図16(a)参照。)。
(2)重金属含有ペースト層形成工程
次に、半導体基体910の第1主面側の表面に、シリコン酸化膜のマスク920を形成した後、半導体基体910の第2主面側の表面に、重金属(例えばPt)922を含有する重金属含有ペーストを塗布して、半導体基体910の第2主面側の表面に、重金属拡散源となる重金属含有ペースト層918を形成する(図16(b)参照。)。
(3)重金属拡散工程
次に、半導体基体910に熱処理を施すことにより、重金属含有ペースト層918から半導体基体910の内部に重金属922を拡散させる。これにより、半導体基体910のほぼ全体に重金属922が拡散された状態となる(図16(c)参照。)。熱処理の条件としては、例えば、950℃、30分とする。
(4)溝形成工程
次に、フッ酸系エッチング液により、半導体基体910における第1主面側の表面のマスク920及び第2主面側の表面の重金属含有ペースト層918の酸化変質層を除去した後、熱酸化によりn++型シリコン基板912及びp型アノード層916の表面に酸化膜924を形成する。その後、フォトエッチング法によって第1主面側の酸化膜924の所定部位に所定の開口部を形成した後、半導体基体910のエッチングを行い、半導体基体910の第1主面側の表面からpn接合(n型エピタキシャル層914とp型アノード層916の境界面942)を超える深さの溝(メサ領域形成用の溝)926を形成するとともに、当該溝926に囲まれた領域にメサ領域928を形成する(図16(d)参照。)。
(5)ガラス層形成工程
次に、電気泳動法により溝926の内面及びその近傍の半導体基体910の第1主面側の表面に半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成するとともに、当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を焼成することにより、パッシベーション用のガラス層932を形成する(図17(a)参照。)。
(6)酸化膜除去工程
次に、ガラス層932の表面を覆うようにガラス層保護膜(例えばフォトレジスト)934を形成した後、当該ガラス層保護膜934をマスクとして酸化膜924のエッチングを行い、電極形成領域936における酸化膜924及び半導体基体910の第2主面側の表面に形成されていた酸化膜924を除去する(図17(b)参照。)。その後、ガラス層保護膜934を除去する。
(7)電極形成工程
次に、半導体基体910にNiめっきを施し、半導体基体910の第2主面側の表面にカソード電極層938を形成するとともに、半導体基体910の第1主面側の表面における電極形成領域936にアノード電極層940を形成する(図17(c)参照。)。なお、Niめっきに代えて蒸着、スパッタ等の気相法によりカソード電極層938及びアノード電極層940を形成してもよい。
(8)半導体基体切断工程
次に、ダイシング等により、ガラス層932の中央部において半導体基体910を切断して半導体基体をチップ化して、メサ型半導体装置900を作製する(図17(d)参照。)。
以上の工程を実施することにより、従来のメサ型半導体装置(pnダイオード)900を製造することができる。
特開2004−87955号公報 特開2005−79233号公報
しかしながら、従来のメサ型半導体装置の製造方法においては、半導体材料(シリコン)中では重金属(例えばPt)が侵入型の不純物となることから拡散が極めて速く、そのため、半導体基体910の全領域に重金属(例えばPt)が拡散されることとなる。その結果、半導体基体910の全領域にわたって深い準位が生成されて特性劣化(例えば、逆方向漏れ電流IRの増加、順方向電圧降下VFの増加。)を招いてしまうという問題がある。
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、半導体基体の全領域にわたって深い準位が生成されて特性劣化を招いてしまうということのない、メサ型半導体装置の製造方法及びメサ型半導体装置を提供することを目的とする。
[1]本発明のメサ型半導体装置の製造方法は、高濃度のn型不純物又は高濃度のp型不純物を含有する第1半導体層と、低濃度のn型不純物を含有する第2半導体層とを少なくとも有し、前記第1半導体層と前記第2半導体層とが第2主面側から第1主面側に向けてこの順序で積層された半導体基体を準備する半導体基体準備工程と、メサ領域を囲む領域に、前記半導体基体の前記第1主面側の表面から少なくとも前記第2半導体層に達する深さのメサ領域形成用の溝を形成する溝形成工程と、前記溝の内面に重金属含有ペースト層を形成する重金属含有ペースト層形成工程と、前記半導体基体の主面に立てた法線に対して所定の傾斜角をもって、かつ、前記溝の全周にわたって、前記溝の表面から前記半導体基体の内部に向けてレーザ光を照射して当該半導体基体の内部を加熱することにより前記半導体基体の内部に重金属を拡散して重金属拡散領域を形成する重金属拡散工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
[2]本発明のメサ型半導体装置の製造方法において、前記重金属拡散工程においては、前記溝の全周を走査しながら前記レーザ光を照射することが好ましい。
[3]本発明のメサ型半導体装置の製造方法において、前記重金属拡散工程においては、前記溝の表面から前記半導体基体の内部に至る重金属拡散領域が、平面的に見て前記半導体基体の中央部で重畳するような条件で前記レーザ光を照射することが好ましい。
[4]本発明のメサ型半導体装置の製造方法においては、前記所定の傾斜角は、45°〜75°の角度であることが好ましい。
[5]本発明のメサ型半導体装置の製造方法において、前記重金属拡散工程においては、グリーンレーザを用いて前記レーザ光を照射することが好ましい。
[6]本発明のメサ型半導体装置の製造方法においては、前記半導体基体は、高濃度のp型不純物を含有する第3半導体層をさらに有し、前記第1半導体層、前記第2半導体層及び前記第3半導体層とが前記第2主面側から前記第1主面側に向けてこの順序で積層された半導体基体であり、前記溝形成工程においては、前記第3半導体層の表面から前記第1半導体層に達する深さの溝を形成し、前記重金属拡散工程においては、溝に露出している前記第1半導体層と前記第2半導体層との境界近傍から前記第1半導体層の内部に向けてレーザ光を照射することが好ましい。
[7]本発明のメサ型半導体装置の製造方法においては、前記半導体基体は、高濃度のp型不純物を含有する第3半導体層をさらに有し、前記第1半導体層、前記第2半導体層及び前記第3半導体層とが前記第2主面側から前記第1主面側に向けてこの順序で積層された半導体基体であり、前記溝形成工程においては、前記第3半導体層の表面から前記第1半導体層に達しない深さの溝を形成し、前記重金属拡散工程においては、溝に露出している前記第2半導体層の表面から前記第2半導体層の内部に向けてレーザ光を照射することが好ましい。
[8]本発明のメサ型半導体装置の製造方法において、前記溝形成工程においては、前記第2半導体層の表面から前記第1半導体層に達しない深さの溝を形成し、前記重金属拡散工程においては、溝に露出している前記第2半導体層の表面から前記第2半導体層の内部に向けてレーザ光を照射することが好ましい。
[9]本発明のメサ型半導体装置の製造方法において、前記重金属拡散工程においては、前記レーザ光として、平面的に見て前記溝に対する入射角度の異なる2以上のレーザ光を重畳して照射することが好ましい。
[10]本発明のメサ型半導体装置の製造方法において、前記重金属拡散工程においては、補助熱源を用いて前記半導体基体を加熱しながらレーザ光を照射することが好ましい。
[11]本発明のメサ型半導体装置の製造方法において、前記重金属含有ペースト層形成工程においては、前記溝の内面に重金属含有ペースト層を形成するのに加えて、前記半導体基体における前記第2主面側の表面にも重金属含有ペースト層を形成し、前記重金属拡散工程においては、前記溝の表面から前記半導体基体の内部に向けて前記レーザ光を照射するのに加えて、前記半導体基体における前記第2主面側の表面からも前記半導体基体の内部に向けてレーザ光を照射して当該半導体基体の内部を加熱することにより、平面的に見て少なくとも前記半導体基体の中央部においては、前記半導体基体における前記第2主面側の表面からも前記重金属拡散領域に達するように、重金属を拡散させることが好ましい。
[12]本発明のメサ型半導体装置は、高濃度のn型不純物又は高濃度のp型不純物を含有する第1半導体層と、低濃度のn型不純物を含有する第2半導体層とを有し、前記第1半導体層と前記第2半導体層とが第2主面側から第1主面側に向けてこの順序で積層された半導体基体と、メサ領域を囲む領域に、前記半導体基体の前記第1主面側の表面から少なくとも前記第2半導体層に達する深さ位置まで形成された外周テーパ領域と、前記外周テーパ領域から、前記半導体基体の主面に立てた法線に対して所定の傾斜角をもって、かつ、前記外周テーパ領域の全周にわたって、前記外周テーパ領域の表面から前記半導体基体の内部に向けて重金属が拡散された重金属拡散領域とを備えることを特徴とする。
本発明のメサ型半導体装置においては、前記半導体基体は、高濃度のp型不純物を含有する第3半導体層をさらに有し、前記第1半導体層、前記第2半導体層及び前記第3半導体層とが前記第2主面側から前記第1主面側に向けてこの順序で積層された半導体基体であり、前記外周テーパ領域は、メサ領域を囲む領域に、前記第3半導体層の表面から前記第1半導体層に達する深さ位置まで形成されてなるものであってもよい。
本発明のメサ型半導体装置においては、前記半導体基体は、高濃度のp型不純物を含有する第3半導体層をさらに有し、前記第1半導体層、前記第2半導体層及び前記第3半導体層とが前記第2主面側から前記第1主面側に向けてこの順序で積層された半導体基体であり、前記外周テーパ領域は、メサ領域を囲む領域に、前記第3半導体層の表面から前記第1半導体層に達しない深さ位置まで形成されてなるものであってもよい。
本発明のメサ型半導体装置においては、前記外周テーパ領域は、メサ領域を囲む領域に、前記第2半導体層の表面から前記第1半導体層に達しない深さ位置まで形成されてなるものであってもよい。
本発明のメサ型半導体装置の製造方法によれば、溝の内面に重金属含有ペースト層を形成する重金属含有ペースト層形成工程と、溝の表面から半導体基体の内部に向けてレーザ光を照射して当該半導体基体の内部を加熱することにより半導体基体の内部に重金属を拡散して重金属拡散領域を形成する重金属拡散工程とを実施することによって半導体基体の内部に重金属を拡散することとしていることから、従来のメサ型半導体装置の製造方法の場合とは違って、半導体基体の内部に、平面的に見れば全面ではあるが、断面的に見れば部分的に重金属拡散領域を形成することが可能となり、その結果、半導体基体の全領域にわたって深い準位が生成されて特性劣化を招いてしまうという問題がなくなる。
本発明のメサ型半導体装置によれば、外周テーパ領域の表面から半導体基体の内部に向けて重金属が拡散された重金属拡散領域を備えることから、従来のメサ型半導体装置の場合とは違って、半導体基体の内部に、平面的に見れば全面ではあるが、断面的に見れば部分的に重金属拡散領域が形成され、その結果、半導体基体の全領域にわたって深い準位が生成されて特性劣化を招いてしまうという問題がなくなる。
実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態1において半導体基体の内部に向けてレーザ光を照射する様子を示す図である。 実施形態1の変形例において半導体基体の内部に向けてレーザ光を照射する様子を示す図である。 実施形態2に係るメサ型半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態2に係るメサ型半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態3に係るメサ型半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態3に係るメサ型半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態4に係るメサ型半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態4に係るメサ型半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 変形例1に係るメサ型半導体装置400の断面図である。 変形例2に係るメサ型半導体装置500の断面図である。 変形例3に係るメサ型半導体装置600を説明するために示す図である。 メサ型半導体装置800を説明するために示す図である。 従来のメサ型半導体装置900を説明するために示す図である。 従来のメサ型半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。 従来のメサ型半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
以下、本発明のメサ型半導体装置の製造方法及びメサ型半導体装置を、図に示す実施形態を参照しながら詳細に説明する。
[実施形態1]
図1及び図2は、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図1(a)は半導体基体準備工程を示し、図1(b)は溝形成工程を示し、図1(c)は重金属含有ペースト層形成工程を示し、図1(d)は重金属拡散工程を示し、図2(a)はガラス層形成工程を示し、図2(b)は酸化膜除去工程を示し、図2(c)は電極形成工程を示し、図2(d)は半導体基体切断工程を示す。
図3は、実施形態1において半導体基体の内部に向けてレーザ光を照射する様子を示す図である。図4は、実施形態1の変形例において半導体基体の内部に向けてレーザ光を照射する様子を示す図である。図3(a)及び図4(a)はレーザ光を照射する様子を示す斜視図であり、図3(b)及び図4(b)はレーザ光を照射する様子を示す平面図である。
実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法は、図1及び図2に示すように、半導体基体準備工程と、溝形成工程と、重金属含有ペースト層形成工程と、重金属拡散工程と、ガラス層形成工程と、酸化膜除去工程と、電極形成工程と、半導体基体切断工程とをこの順序で実施する。以下、工程に沿って、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法を詳細に説明する。
(1)半導体基体準備工程
まず、n++型シリコン基板(第1半導体層)112上に、当該n++型シリコン基板112の不純物濃度より低濃度のn型エピタキシャル層(第2半導体層)114を形成した後、当該n型エピタキシャル層114の表面からのp型不純物の拡散によりp型アノード層(第3半導体層)116を形成して、n++型シリコン基板112と、n型エピタキシャル層114と、p型アノード層116とを有し、これらがこの順序で積層された半導体基体110を形成する(図1(a)参照。)。
(2)溝形成工程
次に、熱酸化によりn++型シリコン基板112及びp型アノード層116の表面に酸化膜124を形成する。その後、フォトエッチング法によって第1主面側の酸化膜124の所定部位に所定の開口部を形成した後、半導体基体110のエッチングを行い、半導体基体110の第1主面側の表面から「n++型シリコン基板112とn型エピタキシャル層114の境界面144」を超える深さの溝(メサ領域形成用の溝)126を形成するとともに、当該溝126に囲まれた領域にメサ領域128を形成する(図1(b)参照。)。
(3)重金属含有ペースト層形成工程
次に、溝126の内面に、重金属(例えばPt)を含有する重金属含有ペーストを塗布して、溝126の内面に重金属拡散源となる重金属含有ペースト層118を形成する(図1(c)参照。)。
(4)重金属拡散工程
次に、半導体基体110の主面に立てた法線に対して所定の傾斜角θをもって、かつ、溝126の全周にわたって、溝126の表面から半導体基体110の内部に向けてレーザ光L1を照射して半導体基体110の内部を加熱することにより半導体基体110の内部に重金属を拡散して重金属拡散領域122を形成する(図1(d)参照。)。このとき、溝に露出している、n++型シリコン基板112とn型エピタキシャル層114の境界近傍からn++型シリコン基板112の内部に向けてレーザ光を照射する。
このように、半導体基体110の内部に向けてレーザ光L1を照射することによって、レーザ光L1が照射された領域(溝の表面から半導体基体の内部に至る領域)が加熱され(例えば770℃以上)、この領域に沿って重金属が拡散し、重金属拡散領域122となる。
所定の傾斜角は、45°〜75°の角度である。傾斜角を45°〜75°としたのは、傾斜角が45°よりも小さい場合には、角度が急すぎてレーザ光L1が半導体基体(チップ)の中央部まで到達しないうちにレーザ光L1が半導体基体110の裏面から射出してしまうため好ましくないからであり、傾斜角が75°よりも大きい場合には、レーザ光を半導体基体の溝の内面から半導体基体110に入射させるのが困難となるため好ましくないからである。
重金属拡散工程においては、溝126の全周を走査しながらレーザ光L1を照射する。この場合、例えば、図3に示すように、ウェーハ単位で縦横にレーザ光L1を走査するのが効率的である。
なお、重金属拡散工程においては、図4に示すように、レーザ光として、平面的に見て溝126に対する入射角度の異なる2以上のレーザ光L1,L2を重畳して照射することとしてもよい。このようにすれば、出力が高くなることから、白金が効率よく拡散するようになる。また、レーザ光が重畳して照射される領域には白金が拡散し、レーザ光が重畳して照射されない領域には白金が拡散しないようにすることができ、必要な部分だけに白金を拡散することが容易となる。
重金属拡散工程においては、図1(d)に示すように、溝126の表面から半導体基体110の内部に至る重金属拡散領域122が、平面的に見て半導体基体110の中央部で重畳するような条件でレーザ光L1を照射する。言い換えれば、メサ型半導体装置100の使用時にアノード電極層140とカソード電極層138との間に流れる電流が必ず重金属拡散領域122を通過するような位置に重金属拡散領域122が形成されるような条件でレーザ光L1を照射する。なお、図1(d)中、符号122aは重金属拡散領域122が重畳している部分を示す。
重金属拡散工程においては、グリーンレーザを用いてレーザ光を照射する。グリーンレーザを用いるのは、半導体基体(シリコン)に対する吸収性のよい緑色のレーザ光を照射することができるからである。グリーンレーザとしては、例えば、ビーム径が80μm、走査速度が500mm/s、パワー(加工点出力)が400〜1000mW、パルスレーザ周波数が8〜15kHz、波長が532nmのグリーンレーザ(1064nmの赤外線レーザを第2次高調波発生装置SHGで波長変換した波長532nmのグリーンレーザ)を用いる。そして、グリーンレーザを、アッテネータ、エキスパンダ、アパーチャを介してウェハに照射する。レーザ光のパワーは、シリコン表面が溶融せず、かつ、シリコンへの重金属の拡散が起こる範囲のパワーとする。
(5)ガラス層形成工程
次に、電気泳動法により溝126の内面及びその近傍の半導体基体110の第1主面側の表面に半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成するとともに、当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を焼成することにより、パッシベーション用のガラス層132を形成する(図2(a)参照。)。
(6)酸化膜除去工程
次に、ガラス層132の表面を覆うようにガラス層保護膜(例えばフォトレジスト)134を形成した後、当該ガラス層保護膜134をマスクとして酸化膜124のエッチングを行い、電極形成領域136における酸化膜124及び半導体基体110の第2主面側の表面に形成されていた酸化膜124を除去する(図2(b)参照。)。
(7)電極形成工程
次に、半導体基体110にNiめっきを施し、半導体基体110の第2主面側の表面にカソード電極層138を形成するとともに、半導体基体110の第1主面側の表面における電極形成領域136にアノード電極層140を形成する(図2(c)参照。)。なお、Niめっきに代えて蒸着、スパッタ等の気相法によりカソード電極層138及びアノード電極層140を形成してもよい。
(8)半導体基体切断工程
次に、ダイシング等により、ガラス層132の中央部において半導体基体110を切断して半導体基体をチップ化して、メサ型半導体装置100を作製する(図2(d)参照。)。
以上の工程を実施することにより、実施形態1に係るメサ型半導体装置(ファストリカバリダイオード)100、すなわち、n++型シリコン基板(第1半導体層)112と、n型エピタキシャル層(第2半導体層)114と、p型アノード層(第3半導体層)116とを有し、n++型シリコン基板112と、n型エピタキシャル層114と、p型アノード層116とがこの順序で積層された半導体基体110と、メサ領域128を囲む領域に、p型アノード層116の表面からn型エピタキシャル層114とp型アノード層116との境界面を少なくとも超える深さ位置に至る領域に形成された外周テーパ領域130と、外周テーパ領域130から、半導体基体110の主面に立てた法線に対して所定の傾斜角をもって、かつ、外周テーパ領域130の全周にわたって、外周テーパ領域130の表面から半導体基体110の内部に向けて重金属が拡散された重金属拡散領域122とを備えるメサ型半導体装置、を製造することができる。
実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法によれば、溝の内面に重金属含有ペースト層を形成する重金属含有ペースト層形成工程と、溝の表面から半導体基体の内部に向けてレーザ光を照射して当該半導体基体の内部を加熱することにより半導体基体の内部に重金属を拡散して重金属拡散領域を形成する重金属拡散工程とを実施することによって半導体基体の内部に重金属を拡散することとしていることから、従来のメサ型半導体装置の製造方法の場合とは違って、半導体基体の内部に、平面的に見れば全面ではあるが、断面的に見れば部分的に重金属拡散領域を形成する(具体的には第1主面と第2主面との間を横切るように層状に選択的に重金属拡散領域を形成する)ことが可能となり、その結果、半導体基体の全領域にわたって深い準位が生成されて特性劣化を招いてしまうという問題がなくなる。
実施形態1に係るメサ型半導体装置によれば、外周テーパ領域の表面から半導体基体の内部に向けて重金属が拡散された重金属拡散領域を備えることから、従来のメサ型半導体装置の場合とは違って、半導体基体の内部に、平面的に見れば全面ではあるが、断面的に見れば部分的に(具体的には第1主面と第2主面との間を横切るように層状に選択的に)重金属拡散領域が形成され、その結果、半導体基体の全領域にわたって深い準位が生成されて特性劣化を招いてしまうという問題がなくなる。
[実施形態2]
図5及び図6は、実施形態2に係るメサ型半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図5(a)は重金属含有ペースト層形成工程を示し、図5(b)は重金属拡散工程を示し、図5(c)は第2の重金属含有ペースト層形成工程を示し、図5(d)は第2の重金属拡散工程を示し、図6(a)はガラス層形成工程を示し、図6(b)は酸化膜除去工程を示し、図6(c)は電極形成工程を示し、図6(d)は半導体基体切断工程を示す。
実施形態2に係るメサ型半導体装置の製造方法は、図5及び図6に示すように、基本的には実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法と同様の工程を含むが、図5(a)〜図5(d)に示すように、溝形成工程及び重金属拡散工程の内容が実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合とは異なる。以下、溝形成工程及び重金属拡散工程を中心として、実施形態2に係るメサ型半導体装置の製造方法を説明する。
(1)まず、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合と同様にして、「半導体基体準備工程」及び「溝形成工程」を実施する。
(2)重金属含有ペースト層形成工程(第1の重金属含有ペースト層形成工程)
次に、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合と同様にして、溝126の内面に重金属拡散源となる重金属含有ペースト層118を形成する(図5(a)参照。)。
(3)重金属拡散工程(第1の重金属拡散工程)
次に、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合と同様にして、半導体基体110の内部に重金属を拡散して重金属拡散領域122を形成する(図5(b)参照。)。
(4)第2の重金属含有ペースト層形成工程
次に、半導体基体110における第2主面側の表面に形成されていた酸化膜124を除去した後、半導体基体110における第2主面側の表面に重金属含有ペースト層148を形成する(図5(c)参照。)。
(5)第2の重金属拡散工程
次に、半導体基体110における第2主面側の表面から半導体基体110の内部に向けてレーザ光L2を照射して当該半導体基体110の内部を加熱することにより、平面的に見て少なくとも半導体基体110の中央部においては、半導体基体110における第2主面側の表面からも重金属拡散領域122に達するように重金属を拡散させて第2の重金属拡散領域150を形成する(図5(d)参照。)。第2の重金属拡散領域150は半導体基体110の中央部において、重金属拡散領域122と重畳している。
(6)次に、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合と同様にして、「ガラス層形成工程(図6(a)参照。)」、「酸化膜除去工程(図6(b)参照。)」、「電極形成工程(図6(c)参照。)」及び「半導体基体切断工程(図6(d)参照。)」を実施する。
以上の工程を実施することにより、実施形態2に係るメサ型半導体装置(ファストリカバリダイオード)102を製造することができる。
このように、実施形態2に係るメサ型半導体装置の製造方法は、重金属含有ペースト層形成工程及び重金属拡散工程の内容が実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合とは異なるが、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合と同様に、溝の内面に重金属含有ペースト層を形成する重金属含有ペースト層形成工程と、溝の表面から半導体基体の内部に向けてレーザ光を照射して当該半導体基体の内部を加熱することにより半導体基体の内部に重金属を拡散して重金属拡散領域を形成する重金属拡散工程とを実施することによって半導体基体の内部に重金属を拡散することとしていることから、従来のメサ型半導体装置の製造方法の場合とは違って、半導体基体の内部に、平面的に見れば全面ではあるが、断面的に見れば部分的に重金属拡散領域を形成する(具体的には第1主面と第2主面との間を横切るように層状に選択的に重金属拡散領域を形成する)ことが可能となり、その結果、半導体基体の全領域にわたって深い準位が生成されて特性劣化を招いてしまうという問題がなくなる。
また、実施形態2に係るメサ型半導体装置の製造方法によれば、重金属含有ペースト層形成工程及び重金属拡散工程に加えて、上記した第2の重金属含有ペースト層形成工程と第2の重金属拡散工程とを実施することによって半導体基体の内部に重金属を拡散することとしていることから、半導体基体中央部においても確実に重金属拡散領域を形成することができるという効果がある。従って、比較的大きなチップサイズのメサ型半導体装置を製造する場合において、重金属拡散領域122の重畳領域122aの形成が困難な場合に特に効果を発揮する。
なお、実施形態2に係るメサ型半導体装置の製造方法は、重金属含有ペースト層形成工程及び重金属拡散工程以外の内容については実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合と同様の工程を含むため、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法が有する効果のうち同様の効果を有する。
[実施形態3]
図7及び図8は、実施形態3に係るメサ型半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図7(a)は半導体基体準備工程を示し、図7(b)は溝形成工程を示し、図7(c)は重金属含有ペースト層形成工程を示し、図7(d)は重金属拡散工程を示し、図8(a)はガラス層形成工程を示し、図8(b)は酸化膜除去工程を示し、図8(c)は電極形成工程を示し、図8(d)は半導体基体切断工程を示す。
実施形態3に係るメサ型半導体装置の製造方法は、図7及び図8に示すように、基本的には実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法と同様の工程を含むが、図7(b)〜図7(d)に示すように、溝形成工程及び重金属拡散工程の内容が実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合とは異なる。以下、溝形成工程及び重金属拡散工程を中心として、実施形態3に係るメサ型半導体装置の製造方法を説明する。
(1)まず、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合と同様にして、「半導体基体準備工程」を実施する(図7(a)参照。)。
(2)溝形成工程
次に、熱酸化によりn++型シリコン基板212及びp型アノード層216の表面に酸化膜224を形成する。その後、フォトエッチング法によって第1主面側の酸化膜224の所定部位に所定の開口部を形成した後、半導体基体210のエッチングを行い、半導体基体210の第1主面側の表面から「n型エピタキシャル層214とp型アノード層216の境界面242」を超える深さの溝(メサ領域形成用の溝)226を形成するとともに、当該溝226に囲まれた領域にメサ領域228を形成する(図7(b)参照。)。
(3)次に、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合と同様にして、「重金属含有ペースト層形成工程」を実施する(図7(c)参照。)。
(4)重金属拡散工程
次に、半導体基体210の主面に立てた法線に対して所定の傾斜角をもって、かつ、溝226の全周にわたって、溝226の表面から半導体基体210の内部に向けてレーザ光L1を照射して半導体基体210の内部を加熱することにより半導体基体210の内部に重金属を拡散して重金属拡散領域222を形成する(図7(d)参照。)。このとき、溝に露出している、n型エピタキシャル層214の表面からn型エピタキシャル層214の内部に向けてレーザ光を照射する。
(5)次に、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合と同様にして、「ガラス層形成工程(図8(a)参照。)」、「酸化膜除去工程(図8(b)参照。)」、「電極形成工程(図8(c)参照。)」及び「半導体基体切断工程(図8(d)参照。)」を実施する。
以上の工程を実施することにより、実施形態3に係るメサ型半導体装置(ファストリカバリダイオード)200を製造することができる。
このように、実施形態3に係るメサ型半導体装置の製造方法は、溝形成工程及び重金属拡散工程の内容が実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合とは異なるが、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合と同様に、溝の内面に重金属含有ペースト層を形成する重金属含有ペースト層形成工程と、溝の表面から半導体基体の内部に向けてレーザ光を照射して当該半導体基体の内部を加熱することにより半導体基体の内部に重金属を拡散して重金属拡散領域を形成する重金属拡散工程とを実施することによって半導体基体の内部に重金属を拡散することとしていることから、従来のメサ型半導体装置の製造方法の場合とは違って、半導体基体の内部に、平面的に見れば全面ではあるが、断面的に見れば部分的に重金属拡散領域を形成する(具体的には第1主面と第2主面との間を横切るように層状に選択的に重金属拡散領域を形成する)ことが可能となり、その結果、半導体基体の全領域にわたって深い準位が生成されて特性劣化を招いてしまうという問題がなくなる。
なお、実施形態3に係るメサ型半導体装置の製造方法は、溝形成工程及び重金属拡散工程以外の内容については実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合と同様の工程を含むため、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法が有する効果のうち同様の効果を有する。
[実施形態4]
図9及び図10は、実施形態4に係るメサ型半導体装置(片阻止サイリスタ)の製造方法を説明するために示す図である。図9(a)は半導体基体準備工程を示し、図9(b)は溝形成工程を示し、図9(c)は重金属含有ペースト層形成工程を示し、図9(d)は重金属拡散工程を示し、図10(a)はガラス層形成工程を示し、図10(b)は酸化膜除去工程を示し、図10(c)は電極形成工程を示し、図10(d)は半導体基体切断工程を示す。
実施形態4に係るメサ型半導体装置の製造方法は、図9及び図10に示すように、基本的には実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法と同様の工程を含むが、図9及び図10に示すように、製造するメサ型半導体装置の種類が実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合とは異なる。すなわち、実施形態4に係るメサ型半導体装置の製造方法は、メサ型半導体装置としてメサ型のサイリスタを製造するためのものである。以下、実施形態4に係るメサ型半導体装置の製造方法を説明する。
(1)半導体基体準備工程
まず、p++型シリコン基板(第1半導体層)312上にn型エピタキシャル層(第2半導体層)314を形成した後、当該n型エピタキシャル層314の表面からのp型不純物の拡散によりp型ゲート層(第3半導体層)316を形成し、さらにはp型ゲート層(第3半導体層)316の表面からの選択的なn型不純物の拡散によりn型カソード層317を形成し、p++型シリコン基板312と、n型エピタキシャル層314と、p型ゲート層316と、n型カソード層317を有する半導体基体310を形成する(図9(a)参照。)。
(2)溝形成工程
次に、熱酸化によりp++型シリコン基板312及びp型ゲート層316の表面に酸化膜324を形成する。その後、フォトエッチング法によって第1主面側の酸化膜324の所定部位及び第2主面側の酸化膜324に所定の開口部を形成した後、半導体基体310のエッチングを行い、半導体基体310の第1主面側の表面から「n型エピタキシャル層314とp型ゲート層316の境界面342」を超える深さの溝(メサ領域形成用の溝)326を形成し、半導体基体310の第2主面側の表面から「p++型シリコン基板312とn型エピタキシャル層314との境界面343」を超える深さの溝(メサ領域形成用の溝)327を形成するとともに、当該溝326,327に囲まれた領域にメサ領域328,325を形成する(図9(b)参照。)。
(3)重金属含有ペースト層形成工程
次に、溝326,327のうち溝326の内面に、重金属(例えばPt)を含有する重金属含有ペーストを塗布して、溝326の内面に重金属拡散源となる重金属含有ペースト層318を形成する(図9(c)参照。)。
(4)重金属拡散工程
次に、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合と同様に、半導体基体310の主面に立てた法線に対して所定の傾斜角をもって、かつ、溝326の全周にわたって、溝326の表面から半導体基体310の内部に向けてレーザ光L1を照射して半導体基体310の内部を加熱することにより半導体基体310の内部に重金属を拡散して重金属拡散領域322を形成する(図9(d)参照。)。このとき、p++型シリコン基板312とn型エピタキシャル層314との境界面に形成されるpn接合にかからないように重金属拡散領域322を形成する。
(5)ガラス層形成工程
次に、電気泳動法により溝326,327の内面及びその近傍の半導体基体310における第1主面側の表面及び第2主面側の表面に半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成するとともに、当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を焼成することにより、パッシベーション用のガラス層332,333を形成する(図10(a)参照。)。
(6)酸化膜除去工程
次に、ガラス層332,333の表面を覆うようにガラス層保護膜(例えばフォトレジスト)334,335を形成した後、当該ガラス層保護膜334,335をマスクとして酸化膜324のエッチングを行い、電極形成領域における酸化膜324を除去する(図10(b)参照。)。
(7)電極形成工程
次に、半導体基体310にNiめっきを施し、半導体基体310の第2主面側の表面にアノード電極層338を形成するとともに、半導体基体310の第1主面側の表面における電極形成領域にゲート電極層340及びカソード電極層341を形成する(図10(c)参照。)。なお、Niめっきに代えて蒸着、スパッタ等の気相法によりアノード電極層338、ゲート電極層340及びカソード電極層341を形成してもよい。
(8)半導体基体切断工程
次に、ダイシング等により、ガラス層332,333の中央部において半導体基体310を切断して半導体基体をチップ化して、メサ型半導体装置300を作製する(図10(d)参照。)。
以上の工程を実施することにより、実施形態4に係るメサ型半導体装置(片阻止サイリスタ)300を製造することができる。
このように、実施形態4に係るメサ型半導体装置の製造方法は、製造するメサ型半導体装置の種類が実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合とは異なるが、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合と同様に、溝の内面に重金属含有ペースト層を形成する重金属含有ペースト層形成工程と、溝の表面から半導体基体の内部に向けてレーザ光を照射して当該半導体基体の内部を加熱することにより半導体基体の内部に重金属を拡散して重金属拡散領域を形成する重金属拡散工程とを実施することによって半導体基体の内部に重金属を拡散することとしていることから、従来のメサ型半導体装置の製造方法の場合とは違って、半導体基体の内部に、平面的に見れば全面ではあるが、断面的に見れば部分的に重金属拡散領域を形成する(具体的には第1主面と第2主面との間を横切るように層状に選択的に重金属拡散領域を形成する)ことが可能となり、その結果、半導体基体の全領域にわたって深い準位が生成されて特性劣化を招いてしまうという問題がなくなる。
なお、実施形態4に係るメサ型半導体装置の製造方法は、メサ型半導体装置の種類以外の内容については実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法の場合と同様の工程を含むため、実施形態1に係るメサ型半導体装置の製造方法が有する効果のうち同様の効果を有する。
以上、本発明のメサ型半導体装置の製造方法及びメサ型半導体装置を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記した各実施形態においては、ファストリカバリダイオード及び片阻止サイリスタを用いて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図11は、変形例1に係るメサ型半導体装置(片導通サイリスタ)400の断面図である。図12は、変形例2に係るメサ型半導体装置(バイポーラトランジスタ)500の断面図である。図13は、変形例3に係るメサ型半導体装置(IGBT)600を説明するために示す図である。図13(a)はメサ型半導体装置600の断面図であり、図13(b)はメサ型半導体装置600のMOS構造の部分を拡大して示す図である。
なお、図11において、符号410は半導体基体を示し、符号412はp++型シリコン基板を示し、符号414はn型エピタキシャル層を示し、符号416はp型ゲート層を示し、符号417はn型カソード層を示し、符号422は重金属拡散領域を示し、符号422aは重金属拡散領域が重畳した部分を示し、符号428はメサ領域を示し、符号430は外周テーパ領域を示し、符号432はガラス層を示し、符号438はアノード電極層を示し、符号440はゲート電極層を示し、符号441はカソード電極層を示す。
また、図12において、符号510は半導体基体を示し、符号512はn++型シリコン基板を示し、符号514はn型エピタキシャル層を示し、符号516はp型べース層を示し、符号517はn型エミッタ層を示し、符号522は重金属拡散領域を示し、符号522aは重金属拡散領域が重畳した部分を示し、符号528はメサ領域を示し、符号530は外周テーパ領域を示し、符号532はガラス層を示し、符号538はコレクタ電極層を示し、符号540はベース電極層を示し、符号541はエミッタ電極層を示す。
また、図13において、符号610は半導体基体を示し、符号612はp++型シリコン基板を示し、符号613はn型フィールドストップ層を示し、符号614はn型エピタキシャル層を示し、符号622は重金属拡散領域を示し、符号622aは重金属拡散領域が重畳した部分を示し、符号628はメサ領域を示し、符号630は外周テーパ領域を示し、符号632はガラス層を示し、符号638はコレクタ電極層を示し、符号646はMOS構造を示し、符号648はp型チャネル形成領域を示し、符号650はp型コンタクト領域を示し、符号652はn型エミッタ領域を示し、符号654はゲート絶縁膜を示し、符号656はゲート電極層を示し、符号658は層間絶縁膜を示し、符号660はエミッタ電極層を示す。
図11〜図13に示すように、本発明は、片導通サイリスタ、バイポーラトランジスタ、IGBTその他のメサ型半導体装置に適用することもできる。
(2)各実施形態においては、重金属拡散工程において、レーザ光を照射して半導体基体の内部を加熱することにより半導体基体の内部に重金属を拡散したが、本発明はこれに限定されるものではない。重金属拡散工程において、補助熱源を用いて半導体基体を加熱しながらレーザ光を照射して半導体基体の内部を加熱することにより半導体基体の内部に重金属を拡散してもよい。補助熱源としては、赤外線加熱炉、ランプアニール炉、RTA炉などを用いることができる。
(3)上記した各実施形態においては、重金属としてPt(白金)を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、Au(金)を用いることもできる。
(4)上記した各実施形態においては、ガラス層保護膜としてフォトレジストを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ピッチ系ワックス類からなるガラス層保護膜を用いることもできる。
(5)上記した各実施形態においては、半導体基体として、n++型シリコン基板又はp++型シリコン基板(第1半導体層)と、n型エピタキシャル層(第2半導体層)と、p型拡散層(第3半導体層)とを有する半導体基体を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、n型シリコン基板の本体(第2半導体層)と、n型シリコン基板の第2主面側に形成されたn型拡散層又はp型拡散層(第1半導体層)と、n型シリコン基板の第1主面側に形成されたp型拡散層(第3半導体層)とを有する半導体基体を用いることもできる。
108…半導体ウェーハ、100,102,200,300,800,900…メサ型半導体装置、110,210,310,810,910…半導体基体、112,212,812,912…n++型シリコン基板、114,214,314,814,914…n型エピタキシャル層、116,216,816,916…p型アノード層、118,148,218,318,918…重金属含有ペースト層、120,220,320,920…酸化膜、122,150,222,322…重金属拡散領域、122a,222a,322a…重金属拡散領域が重畳した部分、124,224,324,924…酸化膜、126,226,326,327,926…溝、128,228,325,328,828,928…メサ領域、130,230,330,331,930…外周テーパ領域、132,232,332,333,832,932…ガラス層、134,234,334、932…ガラス層保護膜、136,236,336,936…電極形成領域、138,238,838,938…カソード電極層、140,240,340,840,940…アノード電極層、142,242,342,842,942…第2半導体層と第3半導体層との境界面、144,244,344…第1半導体層と第2半導体層との境界面、152…スクライブライン、154…レーザ光照射ライン、156,156a,156b…グリーンレーザ、312…p++型シリコン基板、316…p型ゲート層、317…n型カソード層、338…アノード電極層、340…ゲート電極層、341…カソード電極層、922…重金属、L,L1,L2…レーザ光

Claims (11)

  1. 高濃度のn型不純物又は高濃度のp型不純物を含有する第1半導体層と、低濃度のn型不純物を含有する第2半導体層とを少なくとも有し、前記第1半導体層と前記第2半導体層とが第2主面側から第1主面側に向けてこの順序で積層された半導体基体を準備する半導体基体準備工程と、
    メサ領域を囲む領域に、前記半導体基体の前記第1主面側の表面から少なくとも前記第2半導体層に達する深さのメサ領域形成用の溝を形成する溝形成工程と、
    前記溝の内面に重金属含有ペースト層を形成する重金属含有ペースト層形成工程と、
    前記半導体基体の主面に立てた法線に対して所定の傾斜角をもって、かつ、前記溝の全周にわたって、前記溝の表面から前記半導体基体の内部に向けてレーザ光を照射して当該半導体基体の内部を加熱することにより前記半導体基体の内部に重金属を拡散して重金属拡散領域を形成する重金属拡散工程とをこの順序で含むことを特徴とするメサ型半導体装置の製造方法。
  2. 前記重金属拡散工程においては、前記溝の全周を走査しながら前記レーザ光を照射することを特徴とする請求項1に記載のメサ型半導体装置の製造方法。
  3. 前記重金属拡散工程においては、前記溝の表面から前記半導体基体の内部に至る重金属拡散領域が、平面的に見て前記半導体基体の中央部で重畳するような条件で前記レーザ光を照射することを特徴とする請求項1又は2に記載のメサ型半導体装置の製造方法。
  4. 前記所定の傾斜角は、45°〜75°の角度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のメサ型半導体装置の製造方法。
  5. 前記重金属拡散工程においては、グリーンレーザを用いて前記レーザ光を照射することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメサ型半導体装置の製造方法。
  6. 前記半導体基体は、高濃度のp型不純物を含有する第3半導体層をさらに有し、前記第1半導体層、前記第2半導体層及び前記第3半導体層とが前記第2主面側から前記第1主面側に向けてこの順序で積層された半導体基体であり、
    前記溝形成工程においては、前記第3半導体層の表面から前記第1半導体層に達する深さの溝を形成し、
    前記重金属拡散工程においては、溝に露出している前記第1半導体層と前記第2半導体層との境界近傍から前記第1半導体層の内部に向けてレーザ光を照射することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のメサ型半導体装置の製造方法。
  7. 前記半導体基体は、高濃度のp型不純物を含有する第3半導体層をさらに有し、前記第1半導体層、前記第2半導体層及び前記第3半導体層とが前記第2主面側から前記第1主面側に向けてこの順序で積層された半導体基体であり、
    前記溝形成工程においては、前記第3半導体層の表面から前記第1半導体層に達しない深さの溝を形成し、
    前記重金属拡散工程においては、溝に露出している前記第2半導体層の表面から前記第2半導体層の内部に向けてレーザ光を照射することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のメサ型半導体装置の製造方法。
  8. 前記溝形成工程においては、前記第2半導体層の表面から前記第1半導体層に達しない深さの溝を形成し、
    前記重金属拡散工程においては、溝に露出している前記第2半導体層の表面から前記第2半導体層の内部に向けてレーザ光を照射することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のメサ型半導体装置の製造方法。
  9. 前記重金属拡散工程においては、前記レーザ光として、平面的に見て前記溝に対する入射角度の異なる2以上のレーザ光を重畳して照射することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のメサ型半導体装置の製造方法。
  10. 前記重金属拡散工程においては、補助熱源を用いて前記半導体基体を加熱しながらレーザ光を照射することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のメサ型半導体装置の製造方法。
  11. 前記重金属含有ペースト層形成工程においては、前記溝の内面に重金属含有ペースト層を形成するのに加えて、前記半導体基体における前記第2主面側の表面にも重金属含有ペースト層を形成し、
    前記重金属拡散工程においては、前記溝の表面から前記半導体基体の内部に向けて前記レーザ光を照射するのに加えて、前記半導体基体における前記第2主面側の表面からも前記半導体基体の内部に向けてレーザ光を照射して当該半導体基体の内部を加熱することにより、平面的に見て少なくとも前記半導体基体の中央部においては、前記半導体基体における前記第2主面側の表面からも前記重金属拡散領域に達するように、重金属を拡散させることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のメサ型半導体装置の製造方法。
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