JP6214681B2 - 塔におけるケイ素ハロゲン化合物のエステル化方法、およびそのために好適な装置 - Google Patents

塔におけるケイ素ハロゲン化合物のエステル化方法、およびそのために好適な装置 Download PDF

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Description

本発明は、単一の反応蒸留塔ならびにそれに好適な塔において、(オルガノ)シランエステルもしくはケイ酸エステルを連続的に製造するための改善された方法に関する。
EP0107765A2からは、反応器とそれに接続する塔との組み合わせにおいて、クロロシランとアルコールとを反応させてアルコキシシランにする方法が公知である。
EP0924215A2は、反応抽出を用いる、オルガノハロゲン化シランとアルコールとの反応によるアルコキシシランの製造方法を記載している。そのために、オルガノハロゲン化シランをアルコールが混和不可能な液体中に溶解させて、前記2種の液体を互いに接触させる。
EP0650968A1には、アルカリアルキルシリコネート水溶液の連続的な製造方法が記載されている。そのために、第一段階で、オルガノトリクロロシランとアルコールとを反応器内で反応させる。第二段階では、第一段階の反応混合物を、塔内でさらなるアルコールと向流でさらに反応させ、第三段階では、第二段階のエステル化生成物を、混合反応器内でアルカリ液と反応させて最終生成物にする。
DE3000782A1から、SiOC基を有するポリシロキサンの連続的な製造方法が公知である。この方法は、還流冷却器を備える塔において、高められた温度でクロロシランとアルコールとを反応させることを含む。そのために、第一反応器、例えば、撹拌槽または管型反応器が前接続されており、ここで、液体の反応混合物が反応物から生成される。この混合物は、塔頂で導入される。さらに、塔の下端部では、クロロシランとの反応を完全にするために、気体状のアルコールが導入される。この反応生成物は、塔の下端部で抜き取られる。
EP1205505A2は、オルガノアルコキシシランの連続的な製造方法を記載している。この方法は、2つの方法段階で実施される。第一方法段階が、撹拌槽または反応塔で実施される一方、第2方法段階は、塔底温度50〜200℃で運転される反応蒸留塔で実施される。第一方法段階でのオルガノクロロシランとアルコールおよび水との反応は、0〜150℃の温度で行われる。生じる塩化水素は、前記系から除去されて、生じる粗生成物は、0.5〜180分の平均滞留時間の後、第二方法段階に移される。
EP1686132A1は、SIOCを含む化合物、例えば、アルコキシシランまたはアルコキシが豊富なシリコン樹脂の連続的な製造を記載している。この方法は、塔からなる2つの反応装置で実施される。ここで、第一の塔の前に、予備反応器が設けられており、ここで、クロロシランとアルコール、場合により水とを反応させて反応混合物にして、第一反応装置に導入する。
ハロゲン化シランとアルコールとのエステル化では、現在、通常、2塔式法が適用されており、ここで、反応塔および前留出塔(Vorlaufkolonne)が使用される。前記反応塔では、クロロシランとアルコールが中央に供給される。これらの化合物の反応で生じる塩化水素は、塔頂を介して抜き取られる。前記反応で得られる粗生成物は、前記反応塔の底部から、冷却剤およびポンプを使用して取り出され、前記前留出塔に供給される。そこで、前記粗生成物は、再び加熱され、さらに新たにアルコールが供給されて、完全に反応した粗生成物が、前記前留出塔の底部から取り出される。
塔においてオルガノハロゲン化シランとアルコールとを完全に反応させることもすでに公知である。DE2061189Aには、アルコキシ(ポリ)シランの連続的な製造方法が記載されている。この方法は、還流冷却器が備えられた、高められた温度に保たれた塔における、クロロシランとアルコール、場合により水との反応を含む。ここで、クロロシランは、塔頂で供給され、蒸発したアルコールは、前記塔の下部3分の1に供給される。前記反応生成物は、アルコールの導入の下側で前記塔から抜き取られる。前記塔の内部の温度は、前記反応の間、常に、沸騰する過剰のアルコールが塔頂に存在しているように調整される。つまり、前記塔は、一般に、高められた温度で運転される。つまり、このすでに公知の方法は、当該アルコールの沸点を上回って運転される。
最後に、DE3431839A1からは、アルキルトリハロゲン化シランとアルコールとの反応によるトリアルコキシシランの製造方法が公知であり、ここで、アルコールは、沸点に保たれた、または沸点以上に保たれたトリアルコキシシランに添加され、ここで、遅くても前記反応の終わりに、この反応混合物は、塔蒸留の条件下に保たれ、ここで、生じる塩化水素は留去され、続いてアルキルトリアルコキシシランが単離される。前記反応は、反応器と後続される塔とを組合せて実施されてよいが、単一塔で実施されてもよい。
単一塔式エステル化法(Einkolonnenveresterung)は、反応器と塔との組合せと比べて非常に有利である。反応塔と前留出塔との間のポンプが省かれ、ポンプの前の生成物冷却器(Produktkuehler)も省かれる。さらに、エネルギーが節約される、それというのは、単一塔式エステル化法の場合、粗生成物を続いて再び加熱するために、中間冷却する必要がないからである。さらに、設備費用も、二塔式エステル化法もしくは反応器・塔式エステル化法の場合よりも当然少ない。
しかし、従来公知の単一塔式エステル化法は、改善の余地がまだある。例えば、蒸気状のアルコールによるエステル化は、理論的に可能な変換収率の低下をもたらすことが示されている。試験によって、アルコールの供給場所および量が、反応の選択性に影響を及ぼすことも判明した。ここで、前記反応を1つの塔において高い選択性で実施することができるエステル化法が見いだされた。
本発明は、一般式Iのハロゲン化シランと一般式IIのアルコールとを、単一塔(1)において、連続的にエステル化して一般式IIIのシランエステルにするための方法であって、
前記I、II、IIIが、
Figure 0006214681
[式中、R1は、水素または一価の有機基を意味し、ここで、1つの分子中の複数のR1基は、前記定義の範囲において異なっていてよく、
Halは、ハロゲン原子を意味し、1つの分子中の複数のHal原子は、前記定義の範囲において異なっていてよく、
2は、一価の有機基であり、
aおよびbは、0〜4の整数を意味し、かつaとbの合計は、4である]である、前記方法に関する。
本発明による方法は、以下の措置工程を含む:
i)前記反応に必要な一般式Iのハロゲン化シランの総量を、液体の形態で、導管(6)を通して塔(1)の上部3分の1に供給する工程、
ii)前記反応に必要な一般式IIのアルコールの少なくとも60質量%を、液体の形態で、導管(7)を通して塔(1)の上部3分の1に供給する工程、
iii)前記反応に必要な一般式IIのアルコールの残量を、液体の形態で、導管(8)を通して塔(1)の下部3分の1に供給する工程、
iv)一般式Iのハロゲン化シランと一般式IIのアルコールとを塔(1)の内部で反応させて一般式IIIのシランエステルにする工程、ここで、塔(1)の内部の温度は、導管(7)と導管(8)との間で、一般式IIのアルコールの沸点を下回る、
v)前記反応で形成される塩化水素を、塔(1)の頂部を介して排出する工程、および
vi)前記反応で形成される一般式IIIのエステル化生成物を、塔(1)の底部から排出する工程。
本発明による方法の場合、ハロゲン化シランおよびアルコールは、どちらも液体で前記塔に供給される。前記塔の上部では、クロロシランおよびアルコールは、同じ高さではあるが、互いに別個に導入される。前記塔の下部では、生成物品質を調整するために、同じく液体の形態で存在しているアルコールの2回目の供給が行われる。前記上部でのアルコールの量は、一般的に70〜95質量%であり、下部では、一般的に5〜30質量%である。
本発明による方法において、ハロゲン化シランおよびアルコールは、実質的に化学量論的に必要な量で供給される。前記塔の頂部では、一般的に、塩化水素だけが分離され、この塩化水素は、一般に、わずかな量のアルコールエアロゾルが混じっている。すでに公知の単一塔式法と比べて、本発明による方法の場合の塔内の温度曲線は、明らかに異なる。前記塔の底部では、本発明による方法の場合、高温から前記生成物の沸点までが一般的である一方、ハロゲン化シランおよびアルコールの供給場所の高さでは、温度は、アルコールの沸点を下回るため、アルコールは、少なくともアルコールの供給場所の間では、部分的に液体の形態で存在している。前記塔の頂部までに温度は再び上昇して、最大で、使用するアルコールの沸点を有していてよい。
従来、ハロゲン化シランとアルコールとのエステル化での好ましい実施態様の1つは、2塔式エステル化系であった。第一の塔では、主変換が行われた一方、第二の塔では、変換は完結した。この方法は、高い変換度および優れた選択性(わずかな副生成物およびわずかな残留物)を提供するが、装置の複雑性ならびにエネルギー収支が最適ではない。さらなる多くの場合に使用されるエステル化系は、主変換のための前接続された撹拌槽反応器と、後反応器である後接続された塔との組合せである。この組合せは、確かに高い空時収量の利点を有するが、欠点として、生じる生成物の生成物品質が比較的悪いことが挙げられ、その結果、多くの場合、真空下に運転される第二の仕上げ塔が後接続される。
以下に、現行のエステル化装置の欠点をまとめる:
・装置によるエネルギー消費が高い
・エネルギー収支が悪い、それというのは、粗生成物が冷却されて、再加熱されるからである
・前記装置の配置において所要スペースが大きい
・装置の数が比較的多いため維持費用が高い
・残留物の割合が比較的高く、そのため、選択性が比較的低い。
驚くべきことに、選択性の高いエステル化反応は、ハロゲン化シランおよびアルコールの供給場所が最適である場合、単一塔でも実施できることが判明した。本発明による方法は、さらに、単一塔式エステル化法の公知の利点を利用する:
・明らかに低下した装置の複雑性:2塔式エステル化法と比べて、複数の塔の間を連結する配管、第一塔の底部排出部における生成物冷却器、第一塔の底部における粗生成物用ポンプ、第二塔の塔頂凝縮器、第二塔の循環蒸発器、第二塔それ自体、および第二塔の測定装置全体が省略される。
・改善されたエネルギー収支:循環蒸発器を使用して、必要なエネルギーすべてが導入される。熱損失は、1つの塔でしか起こらず、2つの塔では起こらない。第二塔における粗生成物の冷却および再加熱が省略される。単一塔式エステル化法では、生成物冷却器は、生成物をポンプおよび後接続された貯蔵容器の前で冷却するために底部で使用されるにすぎない。
・比較的少ない維持費用:使用する装置が比較的少ないため、維持費用は、明らかに減少する
・二塔式エステル化法と比べて、単一塔式エステル化法は、所要スペースが少ない
・単一塔式エステル化法では、制御ループが少ない
・単一塔式エステル化法では、冷却および再加熱の方法工程が省略されるため、残留物の形成が少ない。
本発明によるエステル化反応は、以下の通りに表すことができる:
Figure 0006214681
[式中、R1、R2およびHalは、上記定義を有しており、nは、0〜3の整数である]。
ハロゲン化シランは、アルコールによりエステル化されて、ここで、気体状の塩化水素(「HCL」)が遊離される。アルコール中および生成物中に充分に溶解するHClを分離するため、物質交換面を準備して、HClの脱着のための熱を導入する必要がある。
本発明によれば、この反応は、反応蒸留において実施される。ここで、化学反応およびHClの物質分離が同時に行われる。
特に好ましい本発明による反応は、ビニルトリクロロシランとメタノール、またはエタノールの、ビニルトリメトキシシランまたはビニルトリエトキシシランへの反応である。
1は、水素または一価の有機基であってよい。1つの分子中に複数のR1基が存在する場合、これらの基は、前記定義の範囲において異なっていてよい。
2は、一価の有機基である。
前記有機基は、線状または分岐鎖のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および/またはヘテロシクリルであってよい。これらは、場合により、例えば、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、またはニトロで置換されていてよい。アルキル基の場合、1個または複数の直接互いに隣接していない炭素原子は、酸素原子または硫黄原子で置換されているか、またはイミノ基で置換されていてよい。
アルキル基は、直鎖または分岐鎖であり、一般的に、1〜20個の炭素原子を有していてよい。C1〜C6アルキル基が好ましい。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシルである。メチルおよびエチルが好ましい。置換アルキル基は、特に、ヒドロキシアルキル基、例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、およびヒドロキシブチルであってよい。
さらに、R2の一価有機基として、メトキシエチル[CH3−O−(CH22−]、またはエトキシメチル[CH3−CH2―O−CH2−]ならびにアミノエチル[H2N−(CH22−]が好ましい。
アルケニル基は、直鎖または分岐鎖であり、一般的に2〜20個の炭素原子を有していてよい。C2〜C3アルケニル基が好ましい。アルケニル基は、1つまたは複数の二重結合を有していてよい。複数の二重結合が存在する場合、これらは、少なくとも、一重結合により互いに分離されている。1つの二重結合のみが存在しているのが好ましい。この二重結合が、α位に存在しているのが特に好ましい。
アルケニル基の例は、ビニルおよびアリルである。ビニルが好ましい。
シクロアルキル基は、一般に、5〜8個の環炭素原子を有している。6個の環炭素原子を有するシクロアルキル基が好ましい。シクロアルキル基の例は、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルである。シクロヘキシルが好ましい。
アリール基は、単核または多核であってよい。複数の核は、一重結合または橋かけ基、例えば、−O−、−CO−または−CH2−基を介して互いに結合していてよい。アリール基の例は、フェニルまたはナフチルである。フェニルが好ましい。
アラルキル基は、アルキレン基と共有結合し、アルキレン基に分子の基への結合を有するアリール基を有する一価の有機基である。
アリール基の例は、上に記載されている。アルキレン基は、直鎖または分岐鎖であり、一般的に1〜20個の炭素原子を有していてよい。C1〜C6アルキレン基を有するアラルキル基が好ましい。アラルキル基の例は、ベンジルである。
ヘテロシクリル基は、ヘテロ原子、例えば、酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を環内に有する環状有機基である。ヘテロシクリル基は、一般に5〜8個の環原子を有し、そのうち、一般的に1〜3個の環原子がヘテロ原子である。特に好ましくは1〜2個の酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を有する、5または6個の環原子を有するヘテロシクリル基が好ましく、ここで、複数の酸素原子は、互いに隣接していない。
「Hal」とは、本記載の範囲では、ハロゲン原子と理解される、つまり、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素である。塩素および臭素が好ましく、塩素が殊に好ましい。好ましい方法では、一般式Iの化合物が使用され、前記式中、R1は、水素、および/またはC1〜C6アルキル、および/またはビニル、特に、水素、メチル、エチル、またはビニルを意味し、R2は、C1〜C6アルキル、特に、メチルまたはエチルを意味する。
さらなる好ましい方法では、導管(7)を通して供給される一般式IIのアルコールの量は、前記反応に必要な量の70〜95質量%であり、前記反応に必要な一般式IIのアルコールの残量は、液体の形態で導管(8)を通して塔(1)の下部3分の1に導入される。
一般式IおよびIIの化合物は、導管(6、7、8)を通して塔(1)の中央に導入されるのが特に好ましく、塔側端部には、90°の下向屈曲部がある。
導管(7、8)内の一般式IIのアルコールの温度が、10〜30℃であり、および/または導管(6)内の一般式Iのハロゲン化シランの温度が、10〜30℃である方法が好ましい。
一般式IおよびIIの化合物の反応が、不規則充填物または規則充填物を含む塔(1)で実施される方法が好ましい。一般式Iのハロゲン化シランおよび一般式IIのアルコールの一部の導入がそれぞれ、塔(1)の上部において、最上部の充填物(1a)の下側で行われる、ならびに/または一般式IIのアルコールの残部の導入が、塔(1)の下部において、最下部の充填物(1a)の上側で行われる方法が特に好ましい。
本発明による方法は、多種多様な圧力で実施されてよい。標準圧の他に、超過圧力での方法様式、または真空での方法様式も可能である。一般式IおよびIIの化合物の反応は、700hPa(絶対圧)〜1300hPa(絶対圧)の圧力範囲で実施されるのが好ましい。
塔(1)の加熱は、一般的に、循環蒸発器(3)によって行われ、この蒸発器は、塔(1)の下部3分の1に取り付けられており、塔(1)内に存在している底部生成物を加熱するものである。
本発明は、上記の一般式Iのハロゲン化シランと一般式IIのアルコールとを連続的にエステル化して、一般式IIIのシランエステルにするための塔(1)であって、以下のエレメントを有する塔にも関する:
A)塔(1)の上部3分の1に通じており、一般式Iのハロゲン化シランの供給に用いられる導管(6)、
B)塔(1)の上部3分の1に通じており、前記反応に必要な一般式IIのアルコールの一部の供給に用いられる導管(7)、
C)塔(1)の下部3分の1に通じており、前記反応に必要なアルコールの残部の供給に用いられる導管(8)、
D)前記塔の下部3分の1に取り付けられており、塔(1)内に存在している底部生成物を加熱する循環蒸発器(3)、
E)前記反応で形成されるハロゲン化水素を、塔(1)の頂部を介して排出するための導管(9)、
F)前記反応で形成される一般式IIIのエステル化生成物を、塔(1)の底部から排出するための導管(10)。
本発明による塔(1)の好ましい別形では、塔(1)の頂部に凝縮器(2)が設けられている。
塔(1)のさらに好ましい別形では、塔(1)の下端部に、生成物冷却器(4)が設けられており、生成物冷却器(4)の後に、反応生成物を塔(1)から送り出すポンプ(5)が接続されているのが好ましい。
以下の例、および図1および図2には、2つの並列接続された塔もしくは1つの塔における、トリクロロシランとアルコールとのエステル化方法が図示されている。
2つの並列接続された塔における、トリクロロシランとアルコールとのエステル化法を示す図 1つの塔における、トリクロロシランとアルコールとのエステル化法を示す図

例1(比較例):
この例は、2つの並列接続された塔における、ビニルトリクロロシランとアルコール、例えば、メタノールまたはエタノールとの慣用のエステル化を記載する。装置の接続は、図1に示されている。
塔頂凝縮器(2)および循環蒸発器(3)が備えられている反応塔(1)では(図1参照)、別個の導管(6、7)を介してビニルトリクロロシランおよびアルコールが供給される。これらの導管は、内部に充填物(1a)を有する塔の上部3分の1に通じている。前記反応で生じる塩化水素は、頂部から導管(9)を通して排出される。ビニルトリクロロシランおよびアルコールは、反応塔(1)内で部分的に反応して、生成物を含む流は、塔(1)の内部で塔底の方向に動く。前留出塔(11)は、同じく、充填物(11a)、塔頂凝縮器(2)および循環蒸発器(3)が備えられている。前留出塔(11)からの還流の一部は、導管(14)を介して反応塔(1)に返送される。さらに、前留出塔(11)の下部3分の1では、導管(8)を通してさらなるアルコールが供給され、それによって、化学量論的に必要な量のアルコールが、反応塔(1)および前留出塔(11)の系全体に装入される。反応塔(1)の塔底物は、粗生成物冷却器(4a)内で冷却されて、ポンプ(5)により導管(12)を介して前留出塔(11)に送り出される。導管(12)は、前留出塔(11)の上部3分の1でこの前留出塔に通じている。前記反応の最終生成物は、前留出塔(11)の塔底から排出されて、生成物冷却器(4)内で冷却されて、ポンプ(5)によって導管(10)を介して前留出塔(11)から取り出される。循環蒸発器(3)は、前記2つの塔(1、11)を加熱するための熱エネルギーの供給に用いられる。
例2:
この例は、前留出塔を使用しない1つの反応塔における、ビニルトリクロロシランとアルコール、例えば、メタノールまたはエタノールとの本発明によるエステル化を記載する。装置の接続は、図2に示されている。
反応塔(1)の上部において(図2参照)、ビニルトリクロロシランおよび大部分のアルコールを、別個の導管(6、7)を介して同じ高さで(しかし、予混合せずに)供給する。前記2つの成分の供給場所は、最上部の充填物(1a)の下側である。前記塔の下部において、最下部の充填物(1a)の上側で、アルコールの残量を、導管(8)を通して導入する。反応塔(1)は、80hPaのわずかな超過圧力で運転される。底部温度は、168℃であり、頂部温度は、40℃である。4つの不規則充填床(サドル型充填物)を有する反応蒸留を使用し、反応塔(1)の内径は、300mmである。質量流量は、以下の表にまとめられている。
Figure 0006214681
反応塔(1)の底部で、ビニルトリエトキシシラン349.44kg/hを取り出す。この生成物を、生成物冷却器(4)によって冷却させて、ポンプ(5)によって導管(10)を介して反応塔(1)から排出する。循環蒸発器(3)にて、160kg/hの量の蒸気を供給する。循環蒸発器(3)によって加熱された生成物を、反応塔(1)に返送して、塔内容物の加熱に用いる。前記塔の頂部で、生成物流(Massestrom)を塔頂凝縮器(2)の内部で冷却させて、気体状のHCl 200.96kg/hを、導管(9)を介して取り出す。
底部生成物中の残留物の割合は、ビニルトリエトキシシランが、98.8%の選択性で形成されることを示している。図1に示されている2塔式エステル化法では、ビニルトリクロロシランとエタノールとのエステル化において、最良の場合、98.0%の選択性が達成される。
例3:
この例は、例2に記載の1つの反応塔(図2)における、テトラクロロシランとエタノールとの本発明によるエステル化を記載する。
反応塔(1)の上部において(図2参照)、テトラクロロシランおよび大部分のエタノールを、別個の導管(6、7)を介して同じ高さで(しかし、予混合せずに)供給する。前記2つの成分の供給場所は、最上部の充填物(1a)の下側である。前記塔の下部において、最下部の充填物(1a)の上側で、アルコールの残量を、導管(8)を通して導入する。反応塔(1)は、80hPaのわずかな超過圧力で運転される。底部温度は、176℃であり、頂部温度は、38℃である。4つの不規則充填床(サドル型充填物)を有する反応蒸留を使用し、反応塔(1)の内径は、300mmである。質量流量は、以下の表にまとめられている。
Figure 0006214681
反応塔(1)の底部で、テトラエトキシシラン365.65kg/hを取り出す。この生成物を、生成物冷却器(4)によって冷却させて、ポンプ(5)によって導管(10)を介して反応塔(1)から排出する。循環蒸発器(3)にて、160kg/hの量の蒸気を供給する。循環蒸発器(3)によって加熱された生成物を、反応塔(1)に返送して、塔内容物の加熱に用いる。前記塔の頂部で、生成物流を塔頂凝縮器(2)の内部で冷却させて、気体状のHCl 256.25kg/hを、導管(9)を介して取り出す。
底部生成物中の残留物の割合は、テトラエトキシシランが、99.4%の選択性で形成されることを示している。図1に示される二塔式エステル化法では、テトラクロロシランとエタノールとのエステル化において、最良の場合、98.7%の選択性が達成される。

Claims (18)

  1. 単一塔(1)において、一般式Iのハロゲン化シランと一般式IIのアルコールとを連続的にエステル化して一般式IIIのシランエステルにするための方法であって、
    前記I、II、IIIが、
    Figure 0006214681
    [式中、R1は、水素または一価の有機基を意味し、ここで、1つの分子中の複数のR1基は、前記定義の範囲において異なっていてよく、
    Halは、ハロゲン原子を意味し、1つの分子中の複数のHal原子は、前記定義の範囲において異なっていてよく、
    2は、一価の有機基であり、
    aは、0〜3の整数を意味し、bは、1〜4の整数を意味し、かつaとbの合計は、4である]である前記方法において、
    以下の措置工程:
    i)前記反応に必要な一般式Iのハロゲン化シランの総量を、液体の形態で、導管(6)を通して塔(1)の上部3分の1に供給する工程、
    ii)前記反応に必要な一般式IIのアルコールの少なくとも60質量%を、液体の形態で、導管(7)を通して塔(1)の上部3分の1に供給する工程、
    iii)前記反応に必要な一般式IIのアルコールの残量を、液体の形態で、導管(8)を通して塔(1)の下部3分の1に供給する工程、
    iv)一般式Iのハロゲン化シランと一般式IIのアルコールを塔(1)の内部で反応させて一般式IIIのシランエステルにする工程、ここで、塔(1)の内部の温度は、導管(7)と導管(8)との間で、一般式IIのアルコールの沸点を下回る、
    v)前記反応で形成される塩化水素を、塔(1)の頂部を介して排出する工程、および
    vi)前記反応で形成される一般式IIIのエステル化生成物を、塔(1)の底部から排出する工程
    を有し、その際、工程i)と工程ii)において、一般式Iのハロゲン化シランと一般式IIのアルコールを同じ高さで供給する、前記方法。
  2. 1および/またはR2が、場合により、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲンもしくはニトロで置換されている、線状または分岐鎖のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アラルキルおよび/もしくはヘテロシクリルから選択される有機基であるか、または、ここで、アルキル基中の1個または複数の互いに直接隣接していない炭素原子が、酸素原子もしくは硫黄原子、もしくはイミノ基で置換されているか、または、R1が、水素を意味することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 1が、水素および/またはC1〜C6アルキル、および/またはビニルを意味し、R2が、C1〜C6アルキルを意味することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 1が、水素、メチル、エチル、またはビニルを意味することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 2が、メチルまたはエチルを意味することを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
  6. 導管(7)を通して供給される一般式IIのアルコールの量が、前記反応に必要な量の70〜95質量%であること、および前記反応に必要な一般式IIのアルコールの残量が、液体の形態で、導管(8)を通して塔(1)の下部3分の1に導入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  7. 一般式IおよびIIの化合物が、導管(6、7、8)を通して塔(1)に導入され、該導管の塔側端部に、90°の下向垂直屈曲部があることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  8. 導管(7、8)内の一般式IIのアルコールの温度が、10〜30℃であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  9. 導管(6)内の一般式Iのハロゲン化シランの温度が、10〜30℃であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  10. 一般式Iのハロゲン化シランおよび一般式IIのアルコールの一部の導入がそれぞれ、塔(1)の上部において、最上部の充填物(1a)の下側で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  11. 一般式IIのアルコールの残部の導入が、塔(1)の下部において、最下部の充填物(1a)の上側で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  12. 一般式IおよびIIの化合物の反応が、不規則充填物または規則充填物を含む塔(1)で実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  13. 一般式IおよびIIの化合物の反応が、700hPa(絶対圧)〜1300hPa(絶対圧)の圧力範囲で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  14. 塔(1)の加熱が、塔(1)の下部3分の1に取り付けられており、塔(1)内に存在する底部生成物を加熱する循環蒸発器(3)によって行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  15. 請求項1に記載の、一般式Iのハロゲン化シランと一般式IIのアルコールとを連続的にエステル化して、一般式IIIのシランエステルにするための塔(1)であって、以下のエレメント:
    A)塔(1)の上部3分の1に通じており、一般式Iのハロゲン化シランの供給に用いられる導管(6)、
    B)塔(1)の上部3分の1に通じており、前記反応に必要な一般式IIのアルコールの一部の供給に用いられる導管(7)、
    C)塔(1)の下部3分の1に通じており、前記反応に必要なアルコールの残部の供給に用いられる導管(8)、
    D)前記塔の下部3分の1に取り付けられており、塔(1)内に存在している底部生成物を加熱する循環蒸発器(3)、
    E)前記反応で形成されるハロゲン化水素を、塔(1)の頂部を介して排出するための導管(9)、および
    F)前記反応で形成される一般式IIIのエステル化生成物を、塔(1)の底部から排出するための導管(10)
    を有し、その際、導管(6)と(7)が同じ高さである、前記塔。
  16. 塔(1)の頂部に、凝縮器(2)が設けられていることを特徴とする、請求項15に記載の塔。
  17. 塔(1)の下端部に、生成物冷却器(4)が設けられていることを特徴とする、請求項15に記載の塔。
  18. 生成物冷却器(4)の後に、反応生成物を塔(1)から送り出すポンプ(5)が接続されていることを特徴とする、請求項17に記載の塔。
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