JP4402117B2 - オルガノアルコキシジアルキルシランの製造方法 - Google Patents

オルガノアルコキシジアルキルシランの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルカノールの存在下でω−ハロアルキル−ジアルキルハロシランに対して実施される改良型方法によるオルガノアルコキシジアルキルシランの製造方法に関する。
より特定的には、本発明は、プロピルジアルキルクロロシランからのプロピルエトキシジアルキルシランの製造に関する。この合成のための既知の方法は一般的に、プロピルアルキルジクロロシラン及びプロピルトリクロロプロピルシランを反応成分として用いる。本発明に従う方法は、3−クロロプロピルジメチルクロロシランを反応成分として用いて3−クロロプロピルエトキシジメチルシランを非常に高収率で得ることを可能にする。その化学反応は、次の通りである。
Figure 0004402117
3−クロロプロピルジメチルクロロシランのエトキシ化は、塩基の存在下において定量的に且つ選択的に実施することができる。例えば、(トリエチルアミンを含めた)第3アミンタイプの有機塩基を使用することによって、生成する酸を化学量論的に中和することが可能になる。しかしながら、塩基を使用すること、並びにその使用及びその最終的な除去に関連してプロセスの時間が延び、複雑になることは、明らかに不利益となる。しかしながら、塩基の不在下ではこの反応は、3−クロロプロピルジメチルクロロシラン原料にエタノールを注入するというこのタイプの反応に通常用いられる条件下においては、満足できる成果をもたらさない。バッチ式反応器中でのプロセスで優れた結果(転化度(TT)=100モル%、選択率(RT)>95モル%)が得られるのは、原料が3−クロロプロピルメチルジクロロシラン又は3−クロロプロピルトリクロロシランである場合のみであるということが問題である。
実際、例えばメチルジクロロシリル基やトリクロロシリル基と比較した時のジメチルクロロシリル基の特異性は、エタノールに対して低い反応性をもたらす。実際、この反応は平衡状態にあり、3−クロロプロピルジメチルクロロシランを用いた場合にその平衡をエトキシジメチルシリル基が生成する方向にシフトさせることはより一層困難である。国際公開WO03/048169号パンフレットに示されたように、95%超の転化度を達成するためには、モル過剰のエタノールを用い、この化学反応と比較して過剰分のエタノールを蒸留することによってハロゲン化酸の放出を保証することによって、平衡を高転化度の方向にシフトさせることが必要である。このハロゲン化酸の放出なしでは、化学平衡は、エタノールのモル数対3−クロロプロピルジメチルクロロシランのモル数の比として5以上に相当するモル過剰のエタノールを用いても、TTを80%超にすることができない。この問題点は、エタノール−塩酸2成分系の熱力学的特性から由来するものであり、この系は非常に強い親和性を示す。エタノール中のHClの溶解度は20〜60℃の範囲の温度についてそれぞれ50〜20重量%の範囲である(参考文献)。上に挙げたように、無水塩基を用いればこの問題点が解消されるが、しかし濾過工程及び塩基再生工程が必要となり、プロセスが複雑になる。大過剰のエタノール(数百ppmの水を含有する)を用いると副生成物の生成が増加することに留意することが大切である。これらの副生成物は本質的にシラン官能基のオリゴマー化(反応の後に起こる反応)の結果として生じるものである:
Figure 0004402117
国際公開WO03/048169号パンフレット
上述の先行技術において得られる成果を、塩基の不在下で実施されるアルコーリシス反応において、特に溶媒を適宜選択し且つアルコールの導入量及び導入態様を調節することによって、さらに改善することが可能であることがここに見出され、これは本発明の主題を構成する。
従って本発明は、より正確には、次式:
Figure 0004402117
のオルガノアルコキシジアルキルシランの製造方法に関し、この方法は、
次式:
Figure 0004402117
のアルコールを次式:
Figure 0004402117
のシランと接触させることによる次の平衡反応:
Figure 0004402117
に従う前記シランのアルコーリシス反応:
{ここで、記号Halは塩素、臭素及びヨウ素原子から選択されるハロゲン原子を表わし、塩素原子が好ましく、
記号R1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ1〜15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基及び2〜8個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルコキシアルキル基から選択される一価の炭化水素基を表わし;
記号R2及びR3は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基及びフェニル基から選択される一価の炭化水素基を表わし;
「A」は塩素、臭素及びヨウ素原子からのハロゲン原子Hal(塩素原子が好ましい);又はp−R0−C64−SO2−O−基(ここで、R0は直鎖状若しくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基である)(トシレート基p−CH3−C64−SO2−O−が好ましい);又はR0−SO2−O−基(ここで、R0は上で定義した通りである)(メシレート基CH3−SO2−O−が好ましい);又はR0−CO−O−(ここで、R0は上で定義した通りである)(アセテート基CH3−CO−O−が好ましい)から選択される脱離可能な基(本明細書においてはこれを単に脱離基と称する)を表わし、最も好ましい基Aは塩素原子である}
を、
・蒸留塔及び還流ができる凝縮器を備えた撹拌式反応器中で大気圧下又は大気圧とは異なる圧力下において操作し;
・一方で式(I)のアルコールを式(II)のシラン+有機溶媒(群)相(以下においては複数の溶媒を含む可能性がある場合も単に溶媒相と称する)の混合物中に注ぐことによって前記接触を実施し(前記溶媒相はもしも必要ならば−部分的に−式(I)のアルコールと混合して用いてもよい)、他方で生成した式H−Halのハロゲン化酸を前記有機溶媒相による連行によって除去し;そして
・反応器中で生成した式(III)のオルガノアルコキシジアルキルシランを当業者に周知の任意の好適な方法によって回収する:
ことによって実施することを含み、
前記方法は、次の点を特徴とする:
・式(II)のシラン+有機溶媒相の混合物を、この方法を実施する際の圧力条件におけるその沸点に相当する温度に加熱し、反応器上に取り付けられた凝縮器が充填されて定常状態の還流状況(後に「初期還流状況」という表現で規定する)で運転されている時にアルコールの導入を開始する;
・前記溶媒相が次の2つの機能:生成したハロゲン化酸を連行及び前記酸に対する前記相の親和性が非常に低いことによる気体の塩析によって除去する機能;式(I)のアルコール+有機溶媒相の混合物中の式(I)のアルコールの濃度を5〜30重量%の範囲にするアルコールとの気液平衡を示す機能:を満足することができるように選択される1種又はそれより多くの有機溶媒を含む;
・式(I)のアルコールの導入態様が、式(II)のシランのアルコーリシス反応の間中常に式H−Halのハロゲン化酸が式(I)のアルコール中に溶解することによって反応器中に蓄積するのを防止するために、式(II)のシランのアルコーリシス反応の間中常に溶媒相に連行されるハロゲン化酸の量が生成したハロゲン化酸の90重量%超を占めるように設計された操作手順に従う;
・導入される式(I)のアルコールの総量が、式(I)のアルコール対式(II)のシランのモル比が1〜3より低い値の範囲になるような量である;
・式(II)のシランと共に反応器中に存在させる溶媒相の量がこの相の性状に依存し、導入の間、式(I)のアルコール+有機溶媒相の混合物中の式(I)のアルコールの濃度を上記の5〜30重量%の範囲に制限できるように決定される。
実施に当たっては、好適な溶媒相を構成する有機溶媒(群)は、特にトルエン、キシレン、クロロベンゼン、エチルベンゼン、オクタン、オクテン、ヘキサン、シクロヘキセン、ペンタン、ペンタジエン、シクロペンタジエン、ヘプタン、シクロヘプタン及びシクロヘキサンを含む群から選択されるものである。
以下に与える説明によって限定されるものではないが、溶媒相の役割は、反応混合物中のアルコール濃度を化学平衡をシフトさせるのに不充分になってしまうほどには下げることなく、反応混合物中のアルコール含有率を制限して、反応を妨害するハロゲン化酸の溶解量を最小限にするのを可能にすることでもあると考えられる。
本発明の第1の好ましい具体例(DP1)に従えば、前記溶媒相は、この方法を実施する際の圧力条件下におけるその沸点が式(I)のアルコールの沸点に近い溶媒(群)を含む。ここで言う「近い」とは、所定圧力におけるアルコールの沸点と溶媒の沸点との差が絶対値において約30〜35℃の値を超えないことを意味するものとする。
この第1の具体例DP1の範囲内で、式(I)においてR1がメチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピル基から選択されるアルカノールを用いてこの方法を実施する場合における非常に好適な(DP1+)溶媒又は溶媒群は、単独で又は互いに混合して及び/又はペンタンと混合して用いられるヘキサン、ヘプタン及びシクロヘキサンから選択される。
式(I)のアルコールの導入態様に関しては、このアルコールは、バッチ態様で(注入期間及び続いての全還流下に保つ期間に)導入することもでき、また、ハロゲン化酸放出速度と化学反応との間の適切な調節を保証する流量で連続的に実施することもでき、この流量は、反応時間の関数として低減し、かくして反応が進行するにつれて、そして平衡のシフトしにくさが増大すると共に、少なくする。
本発明の第2の好ましい具体例(DP2)に従えば、式(I)のアルコールの導入態様の第1の態様(VA1)はバッチ操作態様(DP2−VA1)を採用するものであり、これは以下を含む:
・アルコールを2つの画分に分け、少なくとも二度装填する。アルコールの第1画分は、少なくとも96モル%の式(II)のシランの転化度(TT)に達するために、用いるアルコールの合計モル量に対して60〜90モル%の割合に相当する;
・少なくとも二度の装填なし還流期間を、それぞれの装填なし還流期間がそれぞれのアルコール装填の後に行われるように、設ける(「装填なし還流期間」とは、アルコール装填終了後の期間であって、少なくとも初期還流状況を維持することを可能にする温度において反応混合物を撹拌し続ける期間を意味する);
・それぞれのアルコール画分の流量及び装填時間並びにそれぞれの装填なし還流期間を、装填されるそれぞれのアルコール画分がその装填後の装填なし還流期間の間に消費されるように調節する。
式(I)のアルコールの導入態様の第2の態様(VA2)は、連続操作手順(DP2−VA2)を採用するものであり、これは、単一の連続的なアルコール装填を実施することを含み、しかし式(II)のシランのアルコーリシスの反応の進行の度合いと共に低減する流量を採用して、アルコールの導入速度がその消費速度に従う(即ち常に前記消費速度に概ね等しくなる)ようにし、そしてこの単一の装填工程は、反応を終了させるために可変的な期間の装填なし還流期間によって延長することができる。
第2の具体例DP2の範囲内で、非常に好適なアルコール導入態様の第1態様(DP2−VA1+)は、以下を含む:
(1)1回目のアルコール装填(アルコールの第1画分の装填):この1回目の装填は、用いるアルコールの合計モル量に対して70〜80モル%を占める割合に相当し、この1回目の装填は、式(II)のシラン1kg当たりアルコール0.03〜0.3モル/分の範囲のアルコール流量で、前記反応式に従って導入するアルコールが全量消費されるのに必要な全期間の15〜25%を占める期間実施する。この全期間は、適切な化学反応速度の研究に基づいて当業者が容易に決定することができる。この期間は、例えばエタノールと3−クロロプロピルジメチルクロロシランとの反応を大気圧下で75〜95℃の範囲の温度において実施する場合には250〜400分程度である;
(2)1回目の装填なし還流期間:これは、上に定義したような、必要な全期間の25〜35%を占める期間実施する;
(3)2回目のアルコール装填(アルコールの第2画分の装填):この2回目の装填は、用いるアルコールの合計モル量に対して30〜20モル%を占める割合に相当し、この2回目の装填は、シラン1kg当たりアルコール0.001〜0.01モル/分の範囲のアルコール流量で、必要な全期間の10〜20%を占める期間実施する;並びに
(4)2回目の装填なし還流期間:これは、必要な全期間の30〜50%を占める期間実施する。
第2の具体例DP2の範囲内で、非常に好適なアルコール導入態様の第2態様(DP2−VA2+)は、単一の装填を連続的に流量を減らしながら実施することを含み、以下に示すような少なくとも1つの工程に従って実施する:
・導入したアルコールが全量消費するのに必要な時間全体を通じてシラン1kg当たりアルコール0.2モル/分(初期流量)から0モル/分までプログラムされて流量が低減する単一の工程;
・例えば以下のように実施される複数の工程:
・・導入したアルコールが全量消費するのに必要な全時間の15〜25%を占める期間、シラン1kg当たりアルコール0.2モル/分(初期流量)から0.03モル/分(最終流量)までプログラムされて流量が低減する第1工程;
・・必要な全時間の25〜35%を占める時間の間、シラン1kg当たりアルコール0.03モル/分(初期流量)から0.01モル/分(最終流量)までプログラムされて流量が低減する第2工程;及び
・・必要な全時間の40〜60%を占める時間の間、シラン1kg当たりアルコール0.01モル/分(初期流量)から0モル/分(最終流量)までプログラムされて流量が低減する第3工程;
(場合により、前記第3工程の終わりに、必要な全時間のせいぜい20%を占める時間の間、装填なし還流期間を実施する)。
本発明の第3の好ましい具体例(DP3)に従えば、水含有率が1000ppm未満である無水アルコールを用い、[例えば(VA1についての)複数回の装填の終了時又は(VA2についての)単一の装填の終了時までの]式(I)のアルコールの合計導入量は、式(I)のアルコール対式(II)のシランのモル比が1.05〜2.5の範囲となる量である。
本発明の第4の好ましい具体例(DP4)に従えば、溶媒相の使用量は、式(I)のアルコール+溶媒相の混合物中の式(I)のアルコールの濃度が10〜30重量%の範囲になるように決定される。
この第4の具体例DP4の範囲内で、非常に好適な(DP4+)溶媒相の量は、その他の成分の量との組合せにおいて、重量%に関する上記の要件を満たすことを可能にし、さらには溶媒の量が溶媒+式(II)のシランの混合物の重量に対して45〜55%を占めることを保証する量である。
本発明の第5の好ましい具体例(DP5)に従えば、この方法は、式(I)及び(II)において
・記号Halが塩素、臭素及びヨウ素原子から選択されるハロゲン原子を表わし;
・記号R1がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、CH3OCH2−、CH3OCH2CH2−及びCH3OCH(CH3)CH2−基から選択され;
・記号R2及びR3がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル及びフェニル基から選択される:
反応成分を用いて実施される。
この第5の具体例DP5の範囲内で、非常に好適な方法(DP5+)は、式(I)及び(II)において
・記号Halが塩素原子を表わし;
・記号R1がメチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピル基から選択され(例えばR1がエチルである場合には、用いるアルコールはエタノールを含むアルカノールである);
・記号R2及びR3がそれぞれ同じメチル基を表わす(R1、R2及びR3がメチルであり且つHalがClである場合には、出発シランは3−クロロプロピルジメチルクロロシランである):
反応成分を用いて実施するものである。
本発明の特に好適な具体例に従えば、この方法は、上に定義した好ましい具体例DP1、DP2−VA1又はDP2−VA2、DP3、DP4及びDP5のすべてを用いて実施される。
本発明の特に好適な具体例に従えば、この方法は、上に定義した具体例DP1、DP2−VA1、DP3、DP4及びDP5を用いて実施される。
本発明のさらに特に好適な具体例に従えば、この方法は、上に定義した具体例DP1+、DP2−VA1+、DP3、DP4+及びDP5+を用いて実施される。
アルコーリシス反応が終了したら、未消費のアルコール及び溶媒相を除去するために、反応媒体の蒸留を実施する。
必要ならばこの最終蒸留工程の前に、アンモニア又はトリエチルアミンのような塩基を最終反応混合物中に導入することによって、残留酸性度の痕跡を除去して式(II)のシランの転化度(TT)を改善するための仕上げ工程を実施するのが有利なことがある(この仕上げの結果としてTTの増分は2%又はそれ以上に達することがある)ということに留意すべきである。
前記蒸留の終了時に採集される未消費の式(I)のアルコール及び溶媒相を含む留出物は、新たなアルコーリシス反応に難なく再利用することができる。これに関しては、例えば次の一連の操作を用いることができる:
・前の操作から得られたアルコール及び溶媒をベースとする留出物を、式(II)のシランの新たな装填物を含有させた反応器中に導入し、その際に必要ならば式(I)のアルコール+有機溶媒相の混合物中の式(I)のアルコールの濃度が上記の5〜30重量%の範囲内になるように新たなアルコール及び/又は追加の溶媒相を添加する;
・次いで、この混合物を加熱してその温度をこの方法を実施する際の圧力条件におけるその沸点に相当する値に上昇させ且つ定常状態の全還流の状況を確立する;
・次いで、上で説明した条件で反応混合物中に存在するアルコールの化学的消費のために必要な時間の間、アルコールの装填なし還流期間を実施する(この消費はハロゲン化酸の生成量を調べることによって監視することができる);
・次いで、バッチ式態様又は連続式態様のいずれかにおいて、式(I)のアルコール対式(II)のシランのモル比に関して上で説明した要件を満たすのに必要な補充量のアルコールを装填する;
・次いで、少なくとも96モル%の式(II)のシランの転化度(TT)に到達するために2回目の装填なし還流期間を実施することによって、上で説明したように反応を完了させる。
本発明に従う方法は、連続的に、半連続的に又はバッチ態様で運転される反応器中でアルコーリシス反応を実施することによって実施することができる。以下が達成される:出発物質の式(II)のシランの転化度(TT):少なくとも96モル%、及び式(III)のオルガノアルコキシジアルキルシランについての選択性(RT):少なくとも95モル%。本発明により、水によるシラン官能基のオリゴマー化の副反応が大幅に減少する。
こうして得られる式(III)のオルガノアルコキシジアルキルシランは、より特定的には、次の平均一般式(IV)に相当する硫黄含有有機ケイ素化合物の製造用の出発物質として用いることができる:
Figure 0004402117
(ここで、xは1.5±0.1〜5±0.1の範囲の整数又は小数であり、
記号R1、R2及びR3は上で定義した通りである)。
上記式(IV)において好ましい基R1は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル及びn−ブチル基から選択され、より一層好ましくは基R1はメチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピルから選択される。
好ましい基R2及びR3は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル及びフェニル基から選択され、より一層好ましくはR2及びR3はメチル基に相当する。
数xは整数であっても小数であってもよく、3±0.1〜5±0.1の範囲であるのが好ましく、3.5±0.1〜4.5±0.1の範囲であるのがより一層好ましい。
式(IV)に相当するポリスルフィド化モノオルガノオキシシランとして、本発明は特に、次式のものに関する:
Figure 0004402117
Figure 0004402117
Figure 0004402117
(ここで、記号xは1.5±0.1〜5±0.1、好ましくは3±0.1〜5±0.1、より一層好ましくは3.5±0.1〜4.5±0.1の範囲の整数又は小数である)。
本明細書において、式(IV)及び式(IV-1)〜(IV-3)中の記号xは、式(IV)の分子中に存在する硫黄原子の数を表わす整数又は分数を特に意味する。
実際、この数は、選択した合成経路が異なる硫黄原子数を有するポリスルフィド生成物の混合物をもたらす限りにおいて、当該化合物1分子当たりの硫黄原子の数の平均である。合成されたポリスルフィド化モノオルガノオキシシランは実際、モノスルフィドからもっと重質のポリスルフィド(例えばS≧5)までにわたり、上に挙げた一般的範囲(1.5±0.1〜5±0.1の範囲のx)、好ましい範囲(3±0.1〜5±0.1の範囲のx)及びより一層好ましい範囲(3.5±0.1〜4.5±0.1の範囲のx)中にある平均モル値(記号xの値)を中心とする、ポリスルフィドの分布を含む。
式(IV)の物質は、下記の一連の工程(a)、(b)及び(c)として実施される方法によって調製することができる。それらの定義において、脱離基Aはハロゲン原子を表わす記号Halに相当し、塩素原子である。
・工程(a):これは、次の式に従って行われるプロセスに相当する。
Figure 0004402117
(ここで、記号Halは塩素原子を表わし、
記号A、R2及びR3は上で定義した通りである。)
この反応は、−10℃〜200℃の範囲の温度において、1モルの式(V)のジオルガノハロシランと化学量論的又は非化学量論的モル量の式(VI)のアリル誘導体とを、均質又は不均質媒体中で、
・(i)Co、Ru、Rh、Pd、Ir及びPtを含む群から選択される少なくとも1種の遷移金属若しくは該金属の誘導体を含有する少なくとも1種の触媒;並びに(2i)随意としての少なくとも1種のヒドロシリル化反応促進剤若しくは助剤:を含む触媒活性剤;又は
・光化学活性剤(特に好適な紫外線又は好適な電離放射線を含むもの):
を含む開始剤の存在下で操作して反応させ、そして随意に生成した式(VII)のジオルガノハロシリルプロピル誘導体を単離することによって実施される。
・工程(b):これは前記(段落0006〜0027)の方法に相当する。
・工程(c):これは次の反応を用いるプロセスに相当する。
Figure 0004402117
(ここで、記号R1、R2、R3、A及びxは上で定義した通りであり、
記号Mはアルカリ金属を表わす。)
この反応は、工程(b)の終わりに得られた反応混合物又は該反応混合物から分離した後の単独の式(IX)のモノオルガノオキシジオルガノシリルプロピル誘導体と無水状態の式(X)の金属ポリスルフィドとを、20℃〜120℃の範囲の温度において、式(IX)の反応成分1モル当たり式(X)の金属ポリスルフィド0.5モル±15%を用い、随意に不活性極性(又は非極性)有機溶媒の存在下で操作して反応させ、生成した式(IV)のビス(モノオルガノオキシシリルプロピル)ポリスルフィドを単離することによって実施される。
工程(a)は、式(V)のジオルガノハロシランと式(VI)のアリル誘導体とを選択した開始剤の存在下で反応させることを含む。用いる開始剤は、上記のタイプに相当するものであって官能基≡SiHとエチレン性不飽和との間の反応を活性化するのに有効なすべての開始剤を含む。
開始剤に関する好ましい具体例に従えば、開始剤は、触媒活性剤から選択される。これらの触媒活性剤は、
・触媒(群)(i)として:
(i-1)少なくとも1種の微粉砕元素状遷移金属;並びに/又は
(i-2)少なくとも1種の遷移金属のコロイド;並びに/又は
(i-3)少なくとも1種の遷移金属の酸化物;並びに/又は
(i-4)少なくとも1種の遷移金属及び無機酸若しくはカルボン酸から誘導される塩;並びに/又は
(i-5)1個若しくはそれより多くのヘテロ原子を有することができる有機リガンド(群)及び/若しくは有機ケイ素リガンド(群)を備えた少なくとも1種の遷移金属の錯体;並びに/又は
(i-6)前記の塩であって金属部分がこれもまた前記のリガンド(群)を備えたもの;並びに/又は
(i-7)前記の種(元素状の遷移金属、遷移金属の酸化物、塩、錯体、錯塩)から選択される金属種であって、この場合には遷移金属がHandbook of Chemistry and Physics、第65版(1984-1985年、CRC Press社)に発表された元素周期表の第1b、2b、3a、3b、4a、4b、5a、5b、6b、7b及び8族の元素の群(Co、Ru、Rh、Pd、Ir及びPtを除く)から選択される少なくとも1種の別の金属と組み合わされたもの(この別の金属はその元素の形又は分子の形で用いられ、前記組合せは二金属又は多金属種をもたらすことができる);並びに/又は
(i-8)前記の種(元素状の遷移金属、遷移金属と別の金属との組合せ物、遷移金属又は遷移金属と別の金属との組合せ物をベースとする酸化物、塩、錯体及び錯塩)から選択される金属種がアルミナ、シリカ、カーボンブラック、クレー、二酸化チタン、アルミノケイ酸塩、アルミニウムとジルコニウムとの混合酸化物、ポリマー樹脂のような不活性固体状担体上に担持されたもの;
並びに
・随意としての促進剤又は助剤(群)(2i)として:例えばリガンド又はイオン性化合物の形にあることができ、特に有機ペルオキシド;カルボン酸;カルボン酸の塩;第3級ホスフィン;アミン;アミド;直鎖状又は環状ケトン;トリアルキルヒドロジェンシラン;ベンゾトリアゾール;フェノチアジン;三価金属−(C65)3(ここで、金属はAs、Sb又はPである)タイプの化合物;アミン又はシクロヘキサノンと1個又はそれより多くの≡Si−H基を含有する有機ケイ素化合物との混合物;ラクトン;シクロヘキサノンとトリフェニルホスフィンとの混合物;イオン性化合物、例えばアルカリ金属又はイミダゾリニウム硝酸塩又はホウ酸塩、ハロゲン化ホスホニウム、ハロゲン化第4級アンモニウム、ハロゲン化スズ(II)を含む群から選択される化合物:
を含む。
開始剤に関するより一層好ましい具体例に従えば、開始剤は、遷移金属がIr及びPtに属する前記金属種(i-1)〜(i-8)のいずれか1種又は2種以上を触媒(群)(i)として含有する前記の好ましい触媒活性剤から選択される。
開始剤に関するさらにより一層好ましい具体例に従えば、開始剤は、遷移金属がIrである前記金属種(i-1)〜(i-8)のいずれか1種又は2種以上を触媒(群)(i)として含有する前記の好ましい触媒活性剤から選択される。このさらにより一層好ましい具体例の範囲内で、Irをベースとする好適な触媒は、特に次のものである。
[IrCl(CO)(PPh3)2]
[Ir(CO)H(PPh3)3]
[Ir(C812)(C55N)P(C611)3]PF6
[IrCl3]・nH2
2[IrCl6]・nH2
(NH4)2IrCl6
Na2IrCl6
2IrCl6
KIr(NO)Cl5
[Ir(C812)2]+BF4 -
[IrCl(CO)3]n
2IrCl6
Ir4(CO)12
Ir(CO)2(CH3COCHCOCH3)
Ir(CH3COCHCOCH3)
IrBr3
IrCl3
IrCl4
IrO2
(C67)(C812)Ir。
上記のさらにより一層好ましい具体例の範囲内で、さらにより一層好適なその他のIrベース触媒は、次式のイリジウム錯体の群から選択される。
Figure 0004402117
{ここで、記号R4は単座リガンドL(この場合にはy=2である)又は二座リガンド(L)2(この場合にはy=1である)を表わし、
記号R5は上で定義した通りのHal(この場合はz=2である)又はLXタイプのリガンド(この場合はz=1である)を表わす。}
上記の定義において
・R4が少なくとも1個のC=C二重結合及び/又は少なくとも1個のC≡C三重結合を含有するリガンドであり、これらの不飽和結合が共役又は非共役であることができ、該リガンドが直鎖状又は環状(単環若しくは多環)であり、4〜30個の炭素原子を有し、1〜8個のエチレン性及び/又はアセチレン性不飽和を有し、且つ随意に1個又はそれより多くのヘテロ原子を含有し;
・R5がHalに加えてリガンドLX、例えば、特にアセチルアセトン、β−ケトエステル、マロン酸エステル、アリル化合物から誘導されるリガンドを表わすこともできる:
という触媒が非常に好適である。
式(XI)において記号R5がHalを表わし且つzが2である触媒が非常に好適である。
式(XI)のイリジウム錯体を用いる場合には、
(i)ケトン類、
(ii)エーテル類、
(iii)キノン類、
(iv)酸無水物類、
(v)芳香族特性を有し且つ/又は少なくとも1個のC=C二重結合及び/若しくは少なくとも1個のC≡C三重結合を含有する不飽和炭化水素(UHC){ここで、これら不飽和結合は共役又は非共役であることができ、このUHCは直鎖状又は環状(単環若しくは多環)であり、4〜30個の炭素原子を有し、1〜8個のエチレン性及び/又はアセチレン性不飽和を有し、且つ随意に1個又はそれより多くのヘテロ原子を含有する};並びに
(vi)それらの混合物
を含む化合物の群から選択される遊離状態又は担持された状態の少なくとも1種の助剤(2i)を反応混合物に添加するのが非常に有利である。但し、前記助剤が前記の通りのUHCを1種又はそれより多く含む場合には、この/これらのUHCは、UHCとは異なる少なくとも1種の別の助剤と混合されるものとする。
本発明に従えば、助剤化合物の(vi)の「混合物」とは、以下のものを意味する。
(vi.1)化合物(i)及び/又は(ii)及び/又は(iii)及び/又は(iv)及び/又は(v)の任意の混合物;
(vi.2)化合物(i)〜(v)の特徴であるケトン、エーテル、酸無水物、キノン、C=C及びC≡C官能基を含む群から選択される少なくとも2つの異なる化学官能基を分子中に含有する任意の化合物;
(vi.3)化合物(vi.2)の任意の混合物;並びに
(vi.4)化合物(i)〜(v)の内の少なくとも1種及び化合物(vi.2)の少なくとも1種をベースとする任意の混合物。
この又はこれらの助剤(i)〜(vi)は、液体又は固体の形で用いることができる。液体である場合、それらはヒドロシリル化促進剤としての役割に加えて反応溶媒の役割も果たすような量で反応混合物中に導入することができる。液体の形で用いることができるという事実は、本発明の方法にとって非常に有意の作業上の利点となる。助剤の随意としての溶媒機能はまた、特に重質溶媒(即ち大気圧における沸点が式(VII)の化合物の沸点より高い溶媒、例えばポリエーテル)の場合に、反応混合物の安定性を改善し、従ってプロセスの安全性を改善することも可能にすることができる。さらに、これは触媒の簡単な回収の可能性及び従って触媒の再利用の可能性を提供する。
(i)〜(vi)のタイプの助剤が遊離の状態にある場合、これは式(XI)の錯体のイリジウム金属に対して少なくとも0.2、好ましくは少なくとも1のモル比で反応混合物に導入することができる。リガンドの性状に応じて、10より大きいモル比、さらには100より大きいモル比を選択するのがより一層好ましい場合もある。
助剤が単独で又は互いの混合物として用いられるUHC(v)の群から選択される少なくとも1種の化合物を含む場合、式(XI)の触媒の濃度は、モルで表わしたイリジウム/式(V)のシランのモル比が400×10-6又はそれ未満、好ましくは200×10-6又はそれ未満、さらにより一層好ましくは50×10-6又はそれ未満となるような濃度とする。
好適なケトン(i)の例としては、米国特許第3798252号明細書、ポーランド国特許第176036号、同第174810号及び同第145670号明細書、並びに特公昭50−024947号公報に規定されたものを参照することができる。
好適なエーテル(ii)の例としては、米国特許第4820674号明細書及び特開昭52−093718号公報に規定されたものを参照することができる。
タイプ(i)〜(vi)の助剤は、特にシクロヘキサノン、2−シクロヘキセン−1−オン、イソホロン、2−ベンジリデンシクロヘキサノン、3−メチレン−2−ノルボルナノン、4−ヘキセン−3−オン、2−アリルシクロヘキサノン、2−オキソ−1−シクロヘキサンプロピオニトリル、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、モノグリム、エチレングリコールビニルエーテル、エチルエーテル、ベンゾキノン、フェニルベンゾキノン、無水マレイン酸、アリルコハク酸無水物、3−ベンジリデン−2,4−ペンタジオン、フェノチアジン、(メチルビニル)シクロテトラシロキサン(ビニル−D4)、4−フェニル−3−ブチン−2−オン、1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン(COD)、1,5,9−シクロドデカトリエン、ジビニルテトラメチルシロキサン(DVTMS)、ノルボルナジエン及びそれらの混合物を含む群から選択されるのが有利である。
本発明の好ましい具体例に従えば、助剤は、少なくとも1種のUHC(v)(好ましくはCOD)及び少なくとも1種のケトン(i)(好ましくはシクロヘキサノン)及び/又は少なくとも1種のエーテル(ii)及び/又は少なくとも1種のキノン(iii)を含有する混合物(vi)である。本発明に従う方法のこの好ましい具体例において、式(XI)の触媒の濃度は、モルで表わしたイリジウム/式(V)のシランのモル比が100×10-6又はそれ未満、好ましくは60×10-6又はそれ未満、さらにより一層好ましくは40×10-6〜1×10-6の範囲となるような濃度とする。
特に好適な式(XI)のイリジウム錯体の例としては、この式において記号R4が1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン(COD)、1,5,9−シクロドデカトリエン、ジビニルテトラメチルシロキサン及びノルボルナジエンから選択されるリガンドであるさらにより一層好ましい具体例に相当するものを挙げることができる。
さらにより一層好適な式(XI)のイリジウム錯体の特定的な例としては、次の触媒を挙げることができる。
ジ−μ−クロロビス(η−1,5−ヘキサジエン)ジイリジウム、
ジ−μ−ブロモビス(η−1,5−ヘキサジエン)ジイリジウム、
ジ−μ−ヨードビス(η−1,5−ヘキサジエン)ジイリジウム、
ジ−μ−クロロビス(η−1,5−シクロオクタジエン)ジイリジウム、
ジ−μ−ブロモビス(η−1,5−シクロオクタジエン)ジイリジウム、
ジ−μ−ヨードビス(η−1,5−シクロオクタジエン)ジイリジウム、
ジ−μ−クロロビス(η−2,5−ノルボルナジエン)ジイリジウム、
ジ−μ−ブロモビス(η−2,5−ノルボルナジエン)ジイリジウム、
ジ−μ−ヨードビス(η−2,5−ノルボルナジエン)ジイリジウム。
前記触媒は、特許2938731号公報に記載されたように均質媒体中で用いることができ、これが別の好ましい具体例を構成する。この関係において、この反応は、連続的、半連続的又はバッチ態様のいずれかで実施することができる。操作が終わったら、反応混合物を蒸留することによって反応生成物を分離して採集する。前の操作からの生成物の蒸留工程から得られた触媒含有蒸留残渣に対して新たな反応成分の装填を実施することによって、触媒を再利用することができ、その際、随意にさらに新たな触媒を添加してもよい。錯体を用いる場合、少量のリガンドをも添加することによって触媒の再利用性を改善することができる。
また、不均質媒体中で触媒を用いることもできる。この操作態様は特に、上で定義したもののような不活性固体状担体上に担持された触媒を用いることを必要とする。この操作態様では、連続的、半連続的又はバッチ態様で操作される固定床反応器中で再循環を行いながら反応を実施することができる。また、連続的、半連続的又はバッチ態様で操作される標準的な撹拌式反応器中で反応を実施することもできる。
その他の反応条件に関しては、この反応は、広い温度範囲(好ましくは−10℃〜100℃の範囲)にわたり、大気圧下又は大気圧より高い圧力(これは20×105Pa又はそれ以上に達することさえできる)において操作して実施される。
式(VI)のアリル誘導体の使用量は、有機ケイ素化合物1モル当たり1〜2モルであるのが好ましい。Co、Ru、Rh、Pd、Ir及びPtを含む群から選択される遷移金属の重量で表わした触媒(群)(i)の量については、式(V)の有機ケイ素化合物の重量を基準として一般的に1〜10000ppmの範囲、好ましくは10〜2000ppmの範囲、より一層好ましくは50〜1000ppmの範囲とする。1種又はそれより多く用いる場合の促進剤(群)(2i)の量は、Co、Ru、Rh、Pd、Ir及びPtを含む群から選択される遷移金属1グラム原子当たりの促進剤のモル数で表わして、一般的に0.1〜1000の範囲、好ましくは0.2〜500の範囲、より一層好ましくは1〜300の範囲とする。式(VII)のジオルガノハロシリルプロピル誘導体は、式(V)の出発有機ケイ素化合物を基準として少なくとも80%に等しいモル収率で得られる。
工程(c)に関して、そして好ましい具体例に従えば、式(X)の無水金属ポリスルフィドは、次式
2S (XII)
{ここで、記号Mは上で与えた意味(アルカリ金属)を有する}
のアルカリ金属硫化物(随意に結晶水を含有するもの)と元素状硫黄とを、60℃〜300℃の範囲の温度において、随意に加圧下で、そして随意に無水有機溶媒の存在下で、反応させることによって調製される。
有利なことに、用いられるアルカリ金属硫化物M2Sは、工業的に入手できる化合物であって、一般的に水和硫化物の形にあるものである。このタイプの非常に好適なアルカリ金属硫化物は、商品として入手できる硫化物Na2Sであり、これはNa2Sを55〜65重量%含有する水和硫化物である。
工程(c)のより一層好ましい実施態様に従えば、式(X)の無水金属ポリスルフィドは、水和硫化物の形のアルカリ金属硫化物M2Sから出発して、次の一連の工程(1)及び(2)を含む方法によって前もって調製される。
工程(1):水和アルカリ金属硫化物の脱水を、脱水工程を通じてアルカリ金属硫化物を固体状態に保ちながら、結晶水を除去することができる好適な方法を実施することによって、行う;
工程(2):得られた脱水されたアルカリ金属硫化物1モルを次いで、20℃〜120℃の範囲の温度において、随意に加圧下で、そして随意に無水有機溶媒の存在下で、元素状硫黄n(x−1)モルと接触させる(ここで、係数nは0.8〜1.2の範囲であり、記号xは上で定義した通りである)。
工程(1)に関して、非常に好適な脱水操作としては、1.33×102Pa〜40×102Paの範囲の部分真空下において、乾燥させるべき化合物を、乾燥開始時に70℃〜85℃の範囲の温度にし、次いで、最初の1時間〜6時間の範囲の期間の終了時における1回目の温度上昇が+10〜+15℃となり、第2の1時間〜4時間の範囲の期間の終了時における2回目の温度上昇が+20℃〜+50℃となるプログラムに従って、乾燥期間中に70〜85℃の範囲から125℃〜135℃の範囲に達するまで温度を上昇させることによる、水和アルカリ金属硫化物の乾燥を特に挙げることができる。
工程(2)に関しては、非常に好適な硫化手順として、無水有機溶媒の存在下でこの反応を実施することを挙げることができる。好適な溶媒は特に、無水C1〜C4低級脂肪族アルコール、例えば無水メタノール又はエタノールである。金属ポリスルフィドM2x中の元素状硫黄原子Sxの数は、S対M2Sのモル比の関数である;例えば、M2S1モル当たり3モルのSを使用(n=1、x−1=3)すると、式(X)においてxが4であるアルカリ金属四硫化物が得られる。
工程(c)の実施に話を戻すと、工程(c)は、広い温度範囲(好ましくは50℃〜90℃の範囲)にわたり、好ましくは有機溶媒の存在下で実施され、これに関しては、工程(2)の実施に関して上記したアルコールを用いるのが有利であろう。
反応の際に生成する物質M−A及び特にハロゲン化物M−Halは一般的に、この工程の終了時に例えば濾過によって除去される。
生成する式(I)のビス−(モノオルガノオキシジオルガノシリルプロピル)ポリスルフィドは、式(IX)の出発モノオルガノオキシジオルガノシリルプロピル誘導体を基準として少なくとも80%のモル収率で得られる。
以下、実施例によって本発明を例示するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
例1:
この例において用いた装置は、完全撹拌式反応器の頂部に蒸留塔が備えられ、該塔の頂部に凝縮器が備えられたものであり、前記塔中における還流の流量を調節するためのタイマーが備えられている。ポンプ及びプランジ管によって反応器に無水エタノール(水含有率1000ppm未満)を供給する。凝縮器の後ろに配置させたソーダトラップ中にハロゲン化酸が回収される。
最初に前記反応器に3−クロロプロピルジメチルクロロシランとシクロヘキサンとの等重量混合物、即ち3−クロロプロピルジメチルクロロシラン300g(1.75モル)及びシクロヘキサン300gを装填する。この混合物をその沸点、即ち大気圧において94℃に加熱する。塔頂部の温度は、大気圧におけるシクロヘキサンの沸点の80.6℃とする。全体蒸気流は凝縮され、反応器に戻される。
プロセスが定常状態(塔内の安定温度)になったら、反応器へのエタノールの供給を開始する。アルコール導入態様は、バッチ式操作態様VA1に基づき、以下を含む。
(1)1回目のアルコール(第1画分)装填(88.8g又は1.93モル、これは用いるアルコールの合計モル量に対して73.4モル%を占める割合に相当する):この1回目の装填は、シラン1kg当たりアルコール0.16モル/分のアルコール流量で40分間(導入したアルコール全量の消費を達成するのに必要な全時間の18%を占める)実施する;
(2)1回目の装填なし還流期間:これは、1時間(上で定義した通りの必要な全時間の27%を占める)実施する;
(3)2回目のアルコール(第2画分)装填(32.2g又は0.70モル、これは、用いるアルコールの合計モル量に対して26.6モル%を占める割合に相当する):この2回目の装填は、シラン1kg当たりアルコール0.08モル/分のアルコール流量で30分間(必要な全時間の14%を占める)実施する;及び
(4)2回目の装填なし還流期間:これは、90分間(必要な全時間の40%を占める)実施する。
それぞれの装填及び還流期間の間を通じて、全還流の状況を維持する。凝縮しない塩酸だけが系から去り、ソーダトラップ中に回収される。塔内の温度は65℃とする。これはシクロヘキサン−エタノールの共沸温度である。反応全体を通じてソーダトラップを単純に計量して排気された塩酸の量を測定することによって、反応の進行を直接監視することができる。
1時間の1回目の装填なし全還流期間の間に、ソーダトラップの重量増加が観察され、これは塩酸の排気を示す。この期間の間に、出発シランのTTが70から88%に増加した。1時間後にはトラップの重量の変化はもはやなく、エタノールの供給を再開した。2回目のアルコール装填の終了時における3−クロロプロピルジメチルクロロシランのTTは92%だった。2回目の装填なし還流期間の終了時に、98.5%のTTに達した。導入したエタノールの総量/3−クロロプロピルジメチルクロロシランのモル比は1.5だった。2回目の装填なし還流期間終了時までにトラップ中に回収された塩酸の総量は、アルコーリシス反応によって生成した量の93重量%を占めていた。
仕上げ:
次いで、100%のTTに達するために反応器に気体状アンモニアを供給した(アンモニア0.5g;この量は反応の化学量論に対して20%の過剰分を含む)。
こうして得られた反応混合物を次いで、シクロヘキサン及び残留エタノールを除去するために蒸留した。こうして回収された留出物は、シクロヘキサン300g及び残留エタノール40gを含有していた。3−クロロプロピルエトキシジメチルシランを含有する蒸留残渣は、アンモニアと残留塩酸との間の反応によって生成した塩化アンモニウムを除去するために濾過した。
この方法により、3−クロロプロピルジメチルクロロシランの最終的な転化度は100%となり、3−クロロプロピルエトキシメチルシランについての選択性は97%より高かった。水の導入量が非常に少なかったので、副生成物の二量体についての選択性は2%未満にとどまった。
例2:
用いた装置は例1におけるものと同じである。3−クロロプロピルジメチルクロロシラン及びシクロヘキサンの初期量は例1におけるものと同じである。それに反して、アルコール(161g又は3.5モル)の導入態様は、連続式の単一の装填手順VA2に基づき、これは次の3つの工程を実行することを含む:
・第1工程:導入した全量のアルコールが消費されるのに必要な全時間の20%を占める時間(この場合は320分)の間に、シラン1kg当たりアルコール0.2モル/分(初期流量)から0.03モル/分(最終流量)に流量が低減するようにプログラムされた工程;
・第2工程:必要な全時間の30%を占める時間の間に、シラン1kg当たりアルコール0.03モル/分(初期流量)から0.01モル/分(最終流量)に流量が低減するようにプログラムされた工程;及び
・第3工程:必要な全時間の50%を占める時間の間に、シラン1kg当たりアルコール0.01モル/分(初期流量)から0モル/分(最終流量)に流量が低減するようにプログラムされた工程。
導入した全量のエタノール/3−クロロプロピルジメチルクロロシランのモル比は2だった。第3工程の終わりまでにトラップ中に回収された塩酸の総量は、アルコーリシス反応によって生成した量の94重量%を占めていた。
これらの条件下において、反応終了時における出発シランのTTは99.2モル%だった。
例3:
この例においては、前の操作の終わりに回収されたエタノール及びシクロヘキサンを再利用する新たなアルコーリシス反応を記載する。
装置は、例1に記載したものと同じである。反応器に3−クロロプロピルジメチルクロロシランの新たなバッチ300gを装填し、次いで例1の仕上げ工程の終わりに回収されたシクロヘキサン300g及びエタノール40gを含有する留出物を装填する。
次に、以下の一連の操作を実施する:
・大気圧において混合物を加熱して、その温度をその沸点に相当する値に上昇させ且つ定常状態の全還流の状況を確立する;
・次いで、アルコールを供給せずに1時間40分間還流期間を実行する;
・次いで、シラン1kg当たりアルコール0.08モル/分の流量で60分間エタノール64.4g(1.4モル)の装填を実施する(エタノールの総量/3−クロロプロピルジメチルクロロシランのモル比は1.3とする);
・次いで、2回目の装填なし還流期間を60分間実行することによって、反応を完了させる。
これらの条件において、98.5モル%のシランの転化度(TT)が達成された。

Claims (16)

  1. 次式:
    Figure 0004402117
    のアルコールを次式:
    Figure 0004402117
    のシランと接触させることによる次の平衡反応:
    Figure 0004402117
    に従う前記シランのアルコーリシス反応を、
    ・蒸留塔及び還流ができる凝縮器を備えた撹拌式反応器中で大気圧下又は大気圧とは異なる圧力下において操作し;
    ・一方で式(I)のアルコールを式(II)のシラン+有機溶媒相の混合物中に注ぐことによって前記接触を実施し(前記溶媒相はもしも必要ならば部分的に式(I)のアルコールと混合して用いてもよい)、他方で生成した式H−Halのハロゲン化酸を前記有機溶媒相による連行によって除去し;そして
    ・反応器中で生成した式(III)のオルガノアルコキシジアルキルシランを当業者に周知の任意の好適な方法によって回収する:
    ことによって実施することを含む、次式:
    Figure 0004402117
    のオルガノアルコキシジアルキルシランの製造方法
    {ここで、記号Halは塩素、臭素及びヨウ素原子から選択されるハロゲン原子を表わし、
    記号R1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ1〜15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基及び2〜8個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルコキシアルキル基から選択される一価の炭化水素基を表わし;
    記号R2及びR3は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基及びフェニル基から選択される一価の炭化水素基を表わし;
    「A」は塩素、臭素及びヨウ素原子からのハロゲン原子Hal;又はp−R0−C64−SO2−O−基(ここで、R0は直鎖状若しくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基である);又はR0−SO2−O−基(ここで、R0は上で定義した通りである);又はR0−CO−O−(ここで、R0は上で定義した通りである)から選択される脱離基を表わす}
    であって、
    ・式(II)のシラン+有機溶媒相の混合物を、この方法を実施する際の圧力条件におけるその沸点に相当する温度に加熱し、反応器上に取り付けられた凝縮器が充填されて定常状態の還流状況で運転されている時にアルコールの導入を開始すること;
    ・前記溶媒相が次の2つの機能:生成するハロゲン化酸を連行及び前記酸に対する前記相の親和性が非常に低いことによる気体の塩析によって除去する機能;式(I)のアルコール+有機溶媒相の混合物中の式(I)のアルコールの濃度を5〜30重量%の範囲にするアルコールとの気液平衡を示す機能:を満足することができるように選択される1種又はそれより多くの有機溶媒を含むこと;
    ・式(I)のアルコールの導入態様が、式(II)のシランのアルコーリシス反応の間中常に式H−Halのハロゲン化酸が式(I)のアルコール中に溶解することによって反応器中に蓄積するのを防止するために、式(II)のシランのアルコーリシス反応の間中常に溶媒相に連行されるハロゲン化酸の量が生成したハロゲン化酸の90重量%超を占めるように設計された操作手順に従う;
    ・導入される式(I)のアルコールの総量が、式(I)のアルコール対式(II)のシランのモル比が1〜3より低い値の範囲になるような量であること;
    ・式(II)のシランと共に反応器中に存在させる溶媒相の量がこの相の性状に依存し、導入の間、式(I)のアルコール+有機溶媒相の混合物中の式(I)のアルコールの濃度を上記の5〜30重量%の範囲に制限できるように決定されること:
    を特徴とする、前記方法。
  2. 前記溶媒相が、この方法を実施する際の圧力条件下におけるその沸点が式(I)のアルコールの沸点に近い溶媒を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 式(I)のアルコールの導入態様が
    ・アルコールを2つの画分に分け、少なくとも二度装填し、アルコールの第1画分が用いるアルコールの合計モル量に対して60〜90モル%の割合に相当すること;
    ・少なくとも二度の装填なし還流期間を、それぞれの装填なし還流期間をそれぞれのアルコール装填の後に、設けること;
    ・それぞれのアルコール画分の流量及び装填時間並びにそれぞれの装填なし還流期間を、装填されるそれぞれのアルコール画分がその装填後の装填なし還流期間の間に消費されるように調節すること:
    を含む操作手順VA1に基づくことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 式(I)のアルコールの導入態様が、単一の連続的なアルコール装填を実施することを含み、しかし式(II)のシランのアルコーリシスの反応の進行の度合いと共に低減する流量を採用して、アルコールの導入速度がその消費速度に従うようにし、そしてこの単一の装填工程を可変的な期間の装填なし還流期間によって延長することができることを含む操作手順VA2に基づくことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 水含有率が1000ppm未満である無水アルコールを用い、式(I)のアルコールの合計導入量が式(I)のアルコール/式(II)のシランのモル比が1.05〜2.5の範囲となる量であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 式(I)のアルコール+溶媒相の組合せ物中の式(I)のアルコールの濃度が10〜30重量%の範囲になるように決定される量の溶媒相を使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 式(I)及び(II)において
    ・記号Halが塩素、臭素及びヨウ素原子から選択されるハロゲン原子を表わし;
    ・記号R1がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、CH3OCH2−、CH3OCH2CH2−及びCH3OCH(CH3)CH2−基から選択され;
    ・記号R2及びR3がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル及びフェニル基から選択される:
    反応成分を用いて実施されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 式(I)においてR1がメチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピル基から選択されるアルカノールを用いて実施する場合に、溶媒又は溶媒群が単独で又は互いに混合して及び/又はペンタンと混合して用いられるヘキサン、ヘプタン及びシクロヘキサンから選択されることを特徴とする、請求項1,2及び7のいずれかに記載の方法。
  9. アルコーリシス反応が終了したら、反応媒体の蒸留を実施して未消費のアルコール及び溶媒相を除去して、新たなアルコーリシス反応に容易に再利用できるようにすることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 再利用する場合に、次の一連の操作:
    ・前の操作から得られたアルコール及び溶媒をベースとする留出物を、式(II)のシランの新たな装填物を含有させた反応器中に導入し、その際に必要ならば式(I)のアルコール+有機溶媒相の混合物中の式(I)のアルコールの濃度が上記の5〜30重量%の範囲内になるように新たなアルコール及び/又は追加の溶媒相を添加する;
    ・次いで、この混合物を加熱してその温度をこの方法を実施する際の圧力条件におけるその沸点に相当する値に上昇させ且つ定常状態の全還流の状況を確立する;
    ・次いで、反応混合物中に存在するアルコールの化学的消費のために必要な時間の間、アルコールの装填なし還流期間を実施する;
    ・次いで、バッチ式態様又は連続式態様のいずれかにおいて、式(I)の全アルコール対式(II)のシランのモル比が1〜3未満の値の範囲となるのに必要な補充量のアルコールを装填する;
    ・次いで、少なくとも96モル%の式(II)のシランの転化度(TT)に到達するために2回目の装填なし還流期間を実施することによって、反応を完了させる:
    を実施することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 次の平均一般式(IV):
    Figure 0004402117
    (ここで、xは1.5±0.1〜5±0.1の範囲の整数又は小数であり、
    記号R1、R2及びR3は上で定義した通りである)
    のポリスルフィドの製造方法であって、
    一連の工程(a)、(b)及び(c)として実施され、それらの定義において、脱離基Aがハロゲン原子を表わす記号Halに相当し、塩素原子であり;
    工程(a)が、次の式:
    Figure 0004402117
    (ここで、記号Halは塩素原子を表わし、
    記号A、R2及びR3は上で定義した通りである)
    に従って行われるプロセスに相当し、この反応が、−10℃〜200℃の範囲の温度において、1モルの式(V)のジオルガノハロシランと化学量論的又は非化学量論的モル量の式(VI)のアリル誘導体とを、均質又は不均質媒体中で、
    ・(i)Co、Ru、Rh、Pd、Ir及びPtを含む群から選択される少なくとも1種の遷移金属若しくは該金属の誘導体を含有する少なくとも1種の触媒;並びに(2i)随意としての少なくとも1種のヒドロシリル化反応促進剤若しくは助剤:を含む触媒活性剤の存在下で操作して;又は
    ・光化学活性化によって:
    応させ、そして随意に生成した式(VII)のジオルガノハロシリルプロピル誘導体を単離することによって実施され;
    工程(b)が、請求項1〜10のいずれかに記載の方法に相当し;
    工程(c)が、次の反応:
    Figure 0004402117
    (ここで、記号R1、R2、R3、A及びxは上で定義した通りであり、
    記号Mはアルカリ金属を表わす)
    を用いるプロセスに相当し、この反応が、工程(b)の終わりに得られた反応混合物又は該反応混合物から分離した後の単独の式(IX)のモノオルガノオキシジオルガノシリルプロピル誘導体と無水状態の式(X)の金属ポリスルフィドとを、20℃〜120℃の範囲の温度において、式(IX)の反応成分1モル当たり式(X)の金属ポリスルフィド0.5モル±15モル%を用い、随意に不活性極性(又は非極性)有機溶媒の存在下で操作して反応させ、生成した式(I)のビス(モノオルガノオキシシリルプロピル)ポリスルフィドを単離することによって実施される:
    ことを特徴とする、前記製造方法。
  12. 前記光化学活性化を紫外線又は電離放射線によって実施することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 工程(a)が次の金属種:
    (i-1)少なくとも1種の微粉砕元素状遷移金属;並びに/又は
    (i-2)少なくとも1種の遷移金属のコロイド;並びに/又は
    (i-3)少なくとも1種の遷移金属の酸化物;並びに/又は
    (i-4)少なくとも1種の遷移金属及び無機酸カルボン酸から誘導される塩;並びに/又は
    (i-5)1個若しくはそれより多くのヘテロ原子を有することができる有機リガンド(群)及び/若しくは有機ケイ素リガンド(群)を備えた少なくとも1種の遷移金属の錯体;並びに/又は
    (i-6)前記の塩であって金属部分がこれもまた前記のリガンド(群)を備えたもの;並びに/又は
    (i-7)前記の種(元素状の遷移金属、遷移金属の酸化物、塩、錯体、錯塩)から選択される金属種であって、この場合には遷移金属がHandbook of Chemistry and Physics、第65版(1984-1985年、CRC Press社)に発表された元素周期表の第1b、2b、3a、3b、4a、4b、5a、5b、6b、7b及び8族の元素の群(Co、Ru、Rh、Pd、Ir及びPtを除く)から選択される少なくとも1種の別の金属と組み合わされたもの(この別の金属はその元素の形又は分子の形で用いられ、前記組合せは二金属又は多金属種をもたらすことができる);並びに/又は
    (i-8)前記の種(元素状の遷移金属、遷移金属と別の金属との組合せ物、遷移金属又は遷移金属と別の金属との組合せ物をベースとする酸化物、塩、錯体及び錯塩)から選択される金属種が不活性固体状担体上に担持されたもの:
    のいずれか1種又は2種以上を触媒(群)(i)として含む活性剤の存在下で実施されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記不活性固体状担体がアルミナ、シリカ、カーボンブラック、クレー、二酸化チタン、アルミノケイ酸塩、アルミニウムとジルコニウムとの混合酸化物及びポリマー樹脂から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. 工程(a)を
    ・触媒(群)(i)としての次式:
    Figure 0004402117
    {ここで、記号R4は単座リガンドL(この場合にはy=2である)又は二座リガンド(L)2(この場合にはy=1である)を表わし、
    記号R5は上で定義した通りのHal(この場合はz=2である)又はアセチルアセトン、β−ケトエステル、マロン酸エステル若しくはアリル化合物から誘導されるLXタイプのリガンド(この場合はz=1である)を表わす}
    のイリジウム錯体に属する少なくとも1種の金属種;及び
    ・随意としての助剤(群)(2i)として、
    (i)ケトン類、
    (ii)エーテル類、
    (iii)キノン類、
    (iv)酸無水物類、
    (v)芳香族特性を有し且つ/又は少なくとも1個のC=C二重結合及び/若しくは少なくとも1個のC≡C三重結合を含有する不飽和炭化水素(UHC){ここで、これら不飽和結合は共役又は非共役であることができ、このUHCは直鎖状又は環状(単環若しくは多環)であり、4〜30個の炭素原子を有し、1〜8個のエチレン性及び/又はアセチレン性不飽和を有し、且つ随意に1個以上のヘテロ原子を含有する};並びに
    (vi)それらの混合物
    を含む化合物の群から選択される遊離状態又は担持された状態の少なくとも1種:
    を含む活性剤の存在下で実施することを特徴とし、但し、前記助剤が前記の通りのUHCを1種又はそれより多く含む場合にはこの/これらのUHCがUHCとは異なる少なくとも1種の別の助剤と混合される、請求項11〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 工程(c)を、水和硫化物の形のアルカリ金属硫化物M2Sから次の一連の工程(1)及び(2):
    工程(1):水和アルカリ金属硫化物の脱水を、脱水工程を通じてアルカリ金属硫化物を固体状態に保ちながら、結晶水を除去することができる好適な方法を実施することによって、行う;
    工程(2):得られた脱水されたアルカリ金属硫化物1モルを次いで、20℃〜120℃の範囲の温度において、随意に加圧下で、そして随意に無水有機溶媒の存在下で、元素状硫黄n(x−1)モルと接触させる(ここで、係数nは0.8〜1.2の範囲であり、記号xは上で定義した通りである):
    を伴う方法によって前もって調製された式(X)の無水金属ポリスルフィドを用いて実施することを特徴とする、請求項11〜15のいずれかに記載の方法。
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