JP6211775B2 - 焼結体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、焼結体の製造方法に係り、特にリチウムイオン電池等の負極材料に用いるのに好適な、安価で長寿命のリチウムイオン電池を高能率で製造することが可能な焼結体の製造方法に関する。
携帯電子機器や電気自動車の普及により、リチウムイオン電池の需要が高まっている。現在、リチウムイオン電池の負極には炭素材料が用いられているが、エネルギー密度に制限がある。そこで、シリコン材料からなる負極(シリコン負極と称する)が注目されている。シリコン負極のエネルギー密度は炭素負極の5倍以上であり、電池の高容量化が可能である。
一般に、シリコン負極は、銅基板にシリコン薄膜を化学気相蒸着(CVD)や物理蒸着(PVD)するシリコン薄膜技術によって製造されている。このように形成されたシリコン薄膜の膜厚は500nm以下であるが、シリコンの理論容量を十分に発揮して十分な導電性を得るためには、少なくとも厚さ5μm以上の膜厚が必要である。この導電性の問題を解決するために、金や銅等の異種金属との積層蒸着膜を作成すれば、金属が融解してシリコン蒸着膜内等に拡散し、電極特性が大幅に向上することが明らかになっている(非特許文献1)。一方で、異種金属を挟むことにより、膜厚が大きくなるにつれて膜に応力が生じ、集電体からの剥離が懸念されている。
また、容量の増加に伴う体積膨張の対策に多孔質シリコンを用いる技術として、多孔質のシリコン粉末を用いた高容量のシリコン負極が開発されている(非特許文献2)。この手法は、シリコンウエハをエッチングして多孔質化し、スポンジ状のシリコン膜を作成する方法であり、多孔質化によって表面積を大きくすることで、膨張を吸収する隙間を多く持たせている。多孔質シリコンの製造方法は、特許文献1に、シリコンの表面に形成した酸化膜をフッ化水素酸により除去する技術が記載されている。
また、シリコンナノワイヤーを用いた技術として、非特許文献3には、酸化珪素の薄膜をシリコンナノチューブにコーティングすることによって、ナノチューブの外壁が膨張から保護され、ダメージを受けないようにすることが記載されている。シリコンは内側の中空部に向かって膨らむため、膨張による負極への影響がなく、又、内側の中空部は十分小さいため、電解質の分子が内部に入り込んでくることもない。
また、高速噴射成形成膜技術として、特許文献2には、固体微粒子を気体の噴流に乗せてノズルから噴射し、音速未満の速度で基材に衝突させて付着させ、常温且つ常圧の環境下で基材上に固体材料の膜を形成する成膜方法が記載されている。同様の技術は、特許文献3にも記載されている。
特開2013−8487号公報 特開2010−95790号公報 特開2009−43667号公報
鈴木 幹久 他「シリコン−異種金属二元系蒸着膜のリチウム吸蔵・放出特性」第44回電池討論会講演要旨集 (2003年11月4日)446-447ページ Madhuri Thakur 他"Inexpensive method for producing macroporous silicon particulates (MPSPs) with pyrolyzed polyacrylonitrile for lithium ion batteries", Sci. Rep 2, (2012), P795 Hui Wu 他"Stable cycling of double-walled silicon nanotube battery anodes through solid-electrolyte interphase control", Nature Nanotechnology. Vol.7 May 2012, pp310-315
しかしながら、現在のシリコン系リチウムイオン電池の製造工程では、シリコンナノ粒子やナノワイヤが大量に必要になり、生産コストが高く、生産能率が低いという問題点を有する。また、シリコン負極の場合は、炭素電極に比べて電気伝導性が低いだけでなく、リチウムイオン吸蔵量の増加に伴い体積がおよそ3〜4倍(炭素電極はおよそ1.1倍)に膨張し、充放電の繰り返しにより粒子脱落やクラックが発生しやすいため、寿命が短くなるという問題点も有する。
一方、半導体デバイスや太陽電池に使用されるシリコンウエハの製造工程では、単結晶シリコンインゴットからウエハを切り出すときにウエハの体積とほぼ同量のシリコン切屑が発生する。シリコンウエハが薄くなり、ウエハの枚数が多くなるに伴い、シリコン切屑の発生量も増加する。このシリコン切屑には、ワイヤーソーの砥粒材料である高硬度の炭化珪素粉末やダイヤモンド粒子が混在しているので、溶融してシリコンインゴット生産へ再利用するにはこの炭化珪素やダイヤモンドを除去する必要がある。しかし、特に炭化珪素はシリコンと性質が似ているので、シリコン切屑から炭化珪素を完全に除去するのは極めて困難とされている。このような状況において、シリコン切屑の再利用がほとんど行われておらず、産業廃棄物として処理されているのが現状である。一方、シリコンウエハの出荷数量は、日本が世界シェアの6割強を占めている。もし大量に発生するシリコン切屑を回収して有効に再利用することができれば、産業上の利点が非常に大きいと考えられる。
近年、シリコン切屑再利用のための濾過洗浄および不純物除去技術について多くの研究が行われているが、満足できる成果が得られていないのが現状である。一方、違う視点から考えて、シリコン切屑のインゴット生産への再利用ではなく、炭化珪素セラミックス生産への応用が注目されている。炭化珪素は従来から研磨材や耐火材として広く利用されており、近年は高純度化および高緻密化によってファインセラミックス原料として用途が広がっている。この炭化珪素の工業的に確立された製造方法としては、アチソン法とシリカの直接還元法が知られている。もし、シリコン切屑から炭化珪素セラミックスの効率的な生産が可能となれば、画期的な材料生産プロセスになると考えられる。最近、シリコン切屑に対してカーボン粉を当量以上混合し、この混合粉を非酸化性雰囲気下、1000℃〜1400℃で、6時間〜24時間加熱してシリコン切屑とカーボン粉を反応させてブロック状の炭化珪素を製造するプロセスが提案されている。しかし、必要な処理時間が長く、雰囲気制御の焼結装置も高価であるため、実用化が困難とされている。また、製作された高硬度の炭化珪素ブロックの機械加工も難関となっている。
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、シリコン負極に導電性を付与すると共に、機械的特性を向上した、安価で長寿命のリチウムイオン電池を高能率で製造することが可能な技術を提供することを課題とする。
本願の第1の発明は、シリコン粉末に銅粉末を混合し、プレス成形により加圧すると共に、シリコンを透過し銅に吸収される赤外線により銅粉末を加熱して、銅粉末を瞬間的に溶融し、その後、再凝固させることにより、シリコン粒子の周囲にポーラス構造を有する銅による導電性ネットワークを形成することを特徴とする焼結体の製造方法により、前記課題を解決したものである。
この第1の発明により製造される焼結体は、シリコン粒子と、その周囲のポーラス構造を有する銅からなり、前記銅が導電性ネットワークを形成していることを特徴とする焼結体となる。
ここで、前記銅はバインダーとして存在することができる。
本願の第2の発明は、シリコン粉末にカーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンフラーレン、グラファイト又は炭素系微粒子を混合し、レーザを照射することにより高速加熱しながら、シリコン粉末表面の瞬間的溶融・再凝固によってシリコンと炭素の複合膜を成膜し、気孔を持つポーラス構造の導電性ネットワークを形成することを特徴とする焼結体の製造方法により、前記課題を解決したものである。
この第2の発明により製造される焼結体は、シリコン粒子とその周囲の炭素系厚膜からなり、該炭素系厚膜が気孔を持つポーラス構造で導電性ネットワークを形成していることを特徴とする焼結体となる。
本発明によれば、産業廃棄物とされているシリコン粉末をリチウムイオン電池材料へ活用できる。また、第1の発明の場合は銅の含有率やプレス力、赤外線強度、第2の発明の場合はカーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンフラーレン又は炭素系微粒子の含有率やプレス力、レーザ出力等を変化させることによって、焼結体の密度やポーラス率、機械的特性ならびに導電性等を自由に制御することができるため、安価で長寿命のシリコン負極のリチウムイオン電池の製造が実現できる。特に、第1の発明で赤外線を用いた場合には、シリコン粒子を溶融することなく焼結するため、従来の焼結法より大幅なエネルギー削減が可能である。一方、第2の発明のレーザ焼結では、シリコン粒子の表面だけを溶融するため、最小限の焼結エネルギーにより成膜が可能であり、シリコン粒子の結晶性制御も可能である。
また、短時間の赤外線照射又は極めて短時間のレーザ照射によって高速焼結が行われるため、材料の酸化や変質が抑制され、特殊雰囲気が不要であり、大気中での処理が可能である。
更に、様々な形状の複合材料厚膜を生成することが可能であり、機械要素や電子部品、センサ、MEMS等の多分野への波及効果が期待される。
第1の発明における複合粒子焼結による厚膜形成モデルを示す図 同じく加圧焼結実験の模式図 同じくSi粒子/Cu粒子の赤外線焼結の概念図 同じくSi/Cu複合膜のポーラス構造を示す図 同じく焼結における温度・圧力変化の一例を示す図 同じく断面SEM観察とEDXによる元素分布の顕微鏡写真を示す図 同じく圧力、保持時間の違いによる切断面の様子の顕微鏡写真を示す図 同じく断面SEM観察とEDXによる元素分布の顕微鏡写真を示す図 同じく圧痕位置と弾性率分布を示す図 同じく太陽電池廃材からリチウムイオン電池を製造する様子を示す概念図 第2の発明におけるシリコンとカーボンナノファイバー焼結時のモデルを示す図 同じく混合粉末のレーザ照射を模式的に示す図 同じくレーザ照射プロセスのFEM解析モデルを示す図 同じくSEMによる複合膜の観察画像の顕微鏡写真を示す図 同じくレーザプローブによる断面プロファイルの一例を示す図 同じくレーザ照射時の高速度カメラ画像を示す図 同じくプラズマによる膜形成のモデルを示す図 同じくシリコンとカーボンナノファイバーの結合形態とポーラス構造の形成の顕微鏡写真を示す図 同じくレーザ照射後のシリコンのラマンシフトの例を示す図 同じくレーザ平均出力と半値幅の関係の例を示す図 同じく表面深さと時刻に対する温度の変化の例を示す図
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
まず、第1の発明に係る第1実施形態について説明する。
本実施形態では、シリコン負極に強度と導電性を付加するために、バインダーとしてシリコン粉末に銅粉末を混合し、赤外線を照射することにより複合膜を焼結させる。
具体的には、図1(a)に示す如く、サブミクロン粒径の銅粒子12の粉末を所定の比率でシリコン粒子10の粉末に混合し、銅板(図示省略)上に塗布した後、図2に示す如く赤外線ランプ22により赤外線23を照射して高速加熱しながら、一体型のプレス機20により所定の圧力を加えながらプレスする。図2において、14は混合粉末、16はシリコンウエハ、24は温度測定用の熱電対である。
図3に示す如く、シリコンは赤外線をほぼ完全に透過するため、シリコン粒子10には熱的ダメージがほとんど発生しない。一方、銅は赤外線を効率よく吸収するので、銅粒子12のみを効率良く加熱することができる。その結果、銅粒子12が瞬間的に溶融し、その後、再凝固する。これにより、図1(c)に示す如く、シリコン粒子10の周囲に銅粒子12が融解されて銅バインダー13となる。また、焼結時にプレス圧力を制御することで、体積膨張緩和のための気孔15を持つポーラス構造の導電性ネットワークが形成される。なお、気孔15を残すため、焼結前に超音波振動プレス条件を制御することも可能である。
図4に示す如く、複合膜にSiC砥粒18やダイヤモンド粒子が混在しているが、極微量であるため、複合膜の電気的特性への影響はないと考えられる。
シリコン粉末(融点1400℃、密度2.33g/cm3、平均粒径3μm)と銅粉末(融点1083℃、密度8.96g/cm3、平均粒径0.2μm)を用いて、質量比で、1:3、1:1、1:3の割合の混合粉末を作製した。厚膜の形成を観察するため、図2に示したように、混合粉末14との反応性の少ないシリコンウエハ16(1cm角)で混合粉末14を挟んで焼結を行い、又、ウエハと粉末の間に銅基板を入れて実験することにより、負極の集電体である銅基板への成膜を行った。超精密プレス成形装置を用いて、温度780℃、圧力10〜100MPa、保持時間0.5〜17分間の範囲の条件で加圧焼結を行った。一例として、測定温度(実際の温度より低い)780℃、圧力50MPa、保持時間17分間で実験した温度・圧力変化を図5に示す。
焼結した厚膜(厚さ200〜500μm)を垂直に切断し、研磨した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。次に、断面の強度評価として、ナノインデンターを用いて、シリコンと銅の割合が異なる場所の境界付近を10μm間隔で圧痕をマッピングし、硬さと弾性の測定を行った。
銅粒子が多いため、シリコンとの結合が見やすい、シリコン:銅=1:3の割合で図5の条件での焼結実験を行った時の、焼結体の断面のSEM写真とエネルギー分散型X線分析(EDX)によるシリコンと銅の分布を図6に示す。図6からシリコンと銅が均一に混合されている部分があり、図1のように緻密化し、焼結されている様子が見受けられた。しかし、体積膨張緩和のための気孔15の生成が見られないため、プレス力や保持時間が過剰であると考えられた。
以上の考察から、圧力を50MPa以下、保持時間1分以内で加圧焼結実験を行うと同時に銅板への成膜を行った結果を表1に示す。
この結果は、厚膜に触れた際に崩れた試料を×としたが、圧力又は保持時間を大きくするにつれて、銅板への付着度が増した。
図7に成膜が行われたと判断した(a)保持時間60秒、圧力30MPaと、(b)保持時間30秒、圧力50MPaの断面のSEM写真を示す。(a)と(b)を比べると、(a)の方がクラックの発生箇所が多く、銅板への成膜ができたが、厚膜としての強度が乏しいように思われる。更に、(b)の厚膜の拡大図を図8に示す。図8から焼結の様子が見られ、気孔も形成されていることがわかる。
図9に、シリコンと銅の割合の変化領域付近で左図の各格子点上に圧痕を形成し、圧痕のその場所毎の弾性率をグラフで示す。このグラフから全体としての弾性率の平均値が200kN/mm2であることが読み取れ、黄銅等の銅合金の縦弾性率が100kN/mm2程度であるので、約2倍の弾性率及び硬さを持つ焼結体が形成されることが確認できた。
このように、第1実施形態によれば、シリコンと銅の混合粉末から、銅合金の約2倍の弾性率及び硬さを持つ焼結体を生成することができた。また、圧力や保持時間によって、負極の集電体として用いられる銅板への成膜も可能であり、気孔の形成も確認できた。なお、加熱は赤外線に限定されない。
しかも、シリコン粒子として、シリコンウエハ生産時の廃棄物であるシリコン粉末を再利用できるので、リチウムイオン電池を低コストで生産することが可能となる。第1実施形態により、太陽電池廃材からリチウムイオン電池を製造する様子を図10に示す。
次に、第2の発明に係る第2実施形態について説明する。
第2の発明によるシリコンとカーボンナノファイバー焼結時のモデルを図11に示す。
本実施形態では、図12に示す如く、バインダーとしてカーボンナノファイバー(CNF)32をシリコン粒子10の粉末に混合し、レーザ42を照射することにより複合膜44を焼結させる。具体的には、直径1μm以下のCNF32を一定の比率でシリコン粒子10の粉末に混合し、銅基板34上に塗布した後、レーザ42の照射により高速加熱しながら成膜する。これによりシリコン粉末表面の瞬間的溶融・再凝固によって、CNF32との高強度結合が形成され、Si/C複合膜44が形成される。また、焼結時にプレス圧力を制御することによって、体積膨張緩和のために気孔を有するポーラス構造を形成させる。
実施例2では、高出力パルスレーザ40とリニアステージ50を用いた。シリコンとCNFの混合粉末をガラス、銅の基板上に塗布し、レーザ42を照射した。レーザ照射条件を表2に示す。
その後、形成された膜をSEM及びラマン分光装置により評価をした。また、有限要素法ベース汎用物理シミュレーションソフトを用いて、レーザ照射時のシリコン粉末及び基板での熱伝導について解析を行った。図13にFEM解析モデルを示す。熱源を与える際、表面から深さzでの放射強度I(z)として次式を用いた。
I(z)=I0exp(−αz) ・・・(1)
ここで、I0、αは、それぞれ材料表面での強度及び材料の吸収係数である。
図12のようにリニアステージ50を移動させ、レーザ42を連続で照射し、粉末飛散防止のためガラス板36と銅基板34により混合粉末38を挟んで成膜を試みた。混合粉末38の混合割合はSi:CNF=3:1(質量比)とした。ステージ移動速度1mm/秒で3mm四方にレーザ(周波数3kHz,平均出力約1.6W)を照射したところ、下部の銅基板34上に成膜が行われず、上部のガラス板36へ膜が形成された(図14(a))。この成膜方法は、レーザ光を透過するガラス板36等にしか適用できず、実際のリチウムイオン電池負極に集電体として用いられる銅等には適用できないため、粉末をガラス板でカバーせずに同様のレーザ出力条件で銅板への成膜を試みた。しかし、粉末自体の焼結は行われたものの、基板への付着は確認できなかった。そこで、平均出力を約3Wとし、ステージ移動速度を0.5mm/秒とし、成膜を試みたところ、図14(b)に示すように銅基板34への付着が確認された。また、膜厚をレーザプローブ形状測定装置により測定した結果を図15に示す。
高速度カメラによるレーザ照射時の画像を図16に示す。レーザ照射により火花放電が発生していることから、プラズマが発生している可能性が考えられる。即ち、上部ガラス板36への膜の形成は、図17のようにレーザを照射した部分が溶融し、気体もしくはプラズマ46となり、上部ガラス板36に膜として付着すると考えられる。一方、銅基板34への成膜は、レーザの平均出力及びステージ移動速度を予測したことにより、混合粉末と基板の境界付近までレーザのエネルギーによる熱が伝わり、粉末が溶融し焼結したと考えられる。
図18のSEM写真により、CNF32又はSiにより結合している部分やポーラス構造が見られた。CNF32が複雑に絡み合うことにより、リチウムイオン電池負極として導電性の向上が見込める他、ポーラス構造となることで、膨張・収縮が緩和され、電池耐久性の向上性も見込める。
異なる条件で焼結した試料をラマン分光装置で測定したところ、図19に示す如く、単結晶シリコンのラマンシフト520cm-1と比較してピーク位置が低波数側へシフトしている点と、ピークが広がっている点から、単結晶シリコンが多結晶化している可能性が見られた。リチウムイオン電池負極として充放電を繰り返すことで、シリコンが膨張・収縮するため耐久性が懸念されるが、シリコンを多結晶化することで、膨張・収縮の均一化により耐久性の向上が見込める。
また、レーザの各出力とピークの半値幅をプロットとしたものを図20に示す。図20から、レーザの出力と半値幅は概ね比例している傾向が見られた。このことから、レーザの出力等の条件を変えることによって結晶性の制御ができる可能性がある。
表面からの各深さにおける温度と時刻の関係を図21に示す。図21から、表面に近い部分の温度上昇が大きいことがわかる。これは、(1)式にあるように材料内部で光の強度あるいはエネルギーが指数関数的に減衰することによるものである。そして、表面付近の温度は9000K程度まで上昇しており、シリコンの溶融及び沸点以上の温度となっており、溶融もしくはプラズマとなるのに十分な温度となっていることがわかる。
以上のように、第2実施形態においても、(1)レーザの平均出力及びステージ移動速度を制御することで、レーザ焼結によるガラス基板や銅板上へのシリコン・CNF複合膜の成膜ができる。(2)焼結された複合膜において、シリコンとCNFの結合及びポーラス構造が形成され、リチウムイオン電池負極の性能の向上が可能である。(3)レーザ照射により単結晶シリコン粒子の微細化が見られることが確認できた。
この第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、シリコン粒子として、シリコンウエハ生産時の廃棄物であるシリコン粉末を再利用できるので、リチウムイオン電池を低コストで生産することが可能となる。
なお、第2実施形態においては、カーボンナノファイバーを用いていたが、代わりにカーボンナノチューブ、カーボンフラーレンやその誘導体、グラファイト又は炭素系微粒子を用いることも可能である。
10…シリコン粒子
12…銅粒子
13…銅バインダー
14、38…混合粉末
15…気孔
16…シリコンウエハ
20…プレス機
22…赤外線ランプ
23…赤外線
32…カーボンナノファイバー(CNF)
34…銅基板
36…ガラス板
40…高出力パルスレーザ
42…レーザ
44…複合膜
50…リニアステージ

Claims (2)

  1. シリコン粉末に銅粉末を混合し、プレス成形により加圧すると共に、シリコンを透過し銅に吸収される赤外線により銅粉末を加熱して、銅粉末を瞬間的に溶融し、その後、再凝固させることにより、シリコン粒子の周囲にポーラス構造を有する銅による導電性ネットワークを形成することを特徴とする焼結体の製造方法。
  2. シリコン粉末にカーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンフラーレン、グラファイト又は炭素系微粒子を混合し、レーザを照射することにより高速加熱しながら、シリコン粉末表面の瞬間的溶融・再凝固によってシリコンと炭素の複合膜を成膜し、気孔を持つポーラス構造の導電性ネットワーク形成することを特徴とする焼結体の製造方法。
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