JP2007191339A - 六方晶窒化ホウ素焼結体およびその製造方法 - Google Patents

六方晶窒化ホウ素焼結体およびその製造方法 Download PDF

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Mitsuyuki Oyanagi
満之 大柳
Takeshi Yamamoto
武志 山本
Naoaki Ishibashi
直明 石橋
Yasuhiro Kodera
康博 小寺
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Abstract

【課題】本発明は、焼結助剤を用いることなく製造された六方晶窒化ホウ素(h−BN)の焼結体であって、その相対密度が90%以上と高密度であり、かつ、曲げ強度が100MPa以上と高い力学的強度を有する焼結体、およびその製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明にかかるh−BN焼結体の製造方法は、窒素または不活性ガス雰囲気下で、六方晶窒化ホウ素および不可避不純物のみからなる原料粒子を粉砕して無秩序構造を含む粉体を調製する工程;窒素または不活性ガス雰囲気下で、上記粉体を焼結型内に充填する工程;および上記焼結型内の粉体を、減圧雰囲気下で、10〜300℃/分の昇温速度で所望の焼結温度まで昇温して加圧焼結する工程を含む。本発明にかかるh−BNのc軸は、加圧焼結時の圧力方向と垂直に配向しており、h−BNのa軸が加圧焼結時の圧力方向と平行に配向している。
【選択図】なし

Description

本発明は、六方晶窒化ホウ素(以下、「h−BN」という)の焼結体に関し、無秩序構造を有した原料を用いて得ることができる新規な焼結体とその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、焼結助剤を用いることなく製造されたh−BNの焼結体であって、その相対密度が90%以上と高密度であり、かつ、曲げ強度が100MPa以上と高い力学的強度を有する焼結体、およびその製造方法に関する。
h−BNは、融点が3300〜3400℃(高圧窒素下)と化学的に非常に安定であるために、h−BN粉体間での結合を形成することが難しく、純h−BNを原料粉体として用いた場合において、2000℃以下での高密度焼結体の製造は困難である。そのため一般的にh−BNの焼結体(以下、「h−BN焼結体」という)は、h−BN粉体の粒子同士の結合させるための酸化ホウ素、イットリア、アルミナ等の焼結助剤を添加し、ホットプレス装置を用いた加圧焼結法で製造されている。しかし、焼結助剤を添加しても実用的に十分な力学的強度を有するh−BN焼結体の作製は難しく、さらに、焼結助剤の過剰な添加は、h−BNN焼結体が本来備える耐酸化性や高温安定性が損なわれてしまう場合があるという問題があった。
h−BN焼結体およびその製造法については、例えば特許文献1〜3に開示されている。特許文献1には、総量が100%となるようにh−BNが75〜96.5質量%と、ホウ素が3〜20質量%と、炭素が0.5〜5質量%とを有する粉体混合物、または総量が75〜97質量%とホウ素が3〜25質量%とを有する粉体混合物を、窒素雰囲気中、またはアルゴン、クリプトンおよびキセノンからなる群の中から選ばれた1種の不活性ガスの雰囲気中で加圧焼結することによって、h−BN焼結体を製造することが記載されている。上記特許文献1に記載された方法では、窒素雰囲気中、またはアルゴン、クリプトンおよびキセノンからなる群から選択された1種の不活性ガス雰囲気中で、粉体混合物を加圧焼結する過程で、焼結助剤として添加したホウ素が主に窒化ホウ素または炭化ホウ素に変化してh−BN中に元来存在する窒化ホウ素と結合することによって、h−BNの粉体同士を結合させてh−BN焼結体を製造している。上記方法によって、焼結温度1900℃および総焼結時間4.3時間で、相対密度80.5〜93.0%、曲げ強度50〜1002MPaを有したh−BN焼結体を製造している。
しかし、特許文献1に記載された製造法により得られるh−BN焼結体は焼結助剤を用いて製造されるものであり、焼結助剤を耐酸化性、高温安定性、熱伝導性の面で、焼結助剤無しのものに比べて劣る場合がある。
また特許文献2には、比表面積30m/g以上10m/g未満のh−BN粉末:比表面積3m/g以下のh−BN粉末の重量比が5:95〜80:20である混合h−BN粉末60〜99.9重量%と、六ホウ化金属化合物粉末40〜0.1重量%とを含む配合物を、窒素を含む非酸化性雰囲気下、常圧焼結またはホットプレス焼結することによって、窒化ホウ素質焼結体を製造することが記載されている。上記方法によって、焼結温度1900℃および総焼結時間6.4時間で、相対密度84.0〜88.5%、曲げ強度46〜69MPaを有した窒化ホウ素質焼結体を製造している。
しかし、特許文献2に記載された製造法により得られる窒化ホウ素質焼結体は焼結助剤である六ホウ化金属化合物を用いて製造されるものであり、焼結助剤を耐酸化性、高温安定性、熱伝導性の面で、焼結助剤無しのものに比べて劣る場合がある。また上記窒化ホウ素質焼結体の相対密度および曲げ強度はともに低く、十分な物性を有するものではない。
また特許文献3には、厚み方向における熱伝導率が150W/m・K以上、密度が1.8g/cm3以上であり、入射X線と回折X線が板平面の法線に対称となるようにX線を入射させてなるX線回折測定において、(002)回折線と(100)回折線とのピーク強度比I(002)/I(100)が4.0以下であることを特徴とする六方晶窒化ホウ素板、当該六方晶窒化ホウ素板からなる半導体用基板、および当該六方晶窒化ホウ素板の製造方法が開示されている。特許文献3において、焼結助剤を用いることなく製造された六方晶窒化ホウ素板(総焼結時間は2時間以上)の密度は2.0g/cm3(相対密度87.7%、相対密度への換算は出願人による)であった。よって、特許文献3に記載された六方晶窒化ホウ素板(焼結助剤無し)は、相対密度90%以上の高密度h−BN焼結体ではない。また、特許文献3に記載された発明では、入射X線と回折X線が六方晶窒化ホウ素板平面の法線に対称となるようにX線を入射させてなるX線回折測定の(002)回折線と(100)回折線とのピーク強度比I(002)/I(100)を指標として、六方晶窒化ホウ素板における六方晶窒化ホウ素の結晶配向を制御しているが、これは六方晶窒化ホウ素板の高熱伝導性を実現するためにするために行なっており、高い力学的強度を実現するためのものではない。なお上記のごとく、一方向からのX線回析の結果のみでは結晶の配向を正確に把握することはできない。よって当業者であれば結晶の配向を把握するための指標として、「The Index of Orientation Performance(I.O.P.;非特許文献1参照)」を一般的に用いる。
ところで、本発明者らは、黒鉛焼結材と匹敵する物理的特性を有する、新規な焼結体およびその製造方法を得ることを目指し鋭意研究を重ね、低温短時間で、黒鉛焼結体と匹敵する、またはそれ以上の特性を有するC−SiC焼結体を得ることに成功している(特許文献4参照)。特許文献4には、メカニカルアロイングを用いた精密混合により、炭素粒子とケイ素含有粒子から、微細構造の炭素粒子およびSiC粉末を製造し、当該造粒物を用いて、放電プラズマ焼結法によりC−SiC焼結体を製造する方法、および当該方法により得られ、黒鉛焼結体に匹敵する電気抵抗を有し、かつ黒鉛焼結体より優れた性能(耐高熱性、耐食性、耐圧性、耐磨耗性、機械的強度)を有するC−SiC焼結体が開示されている。
また、本発明者らは、アルミナ(Al)、イットリア(Y)、ボロン(B)等の焼結助剤を含まない、ナノ構造を有するSiC焼結体の製造について鋭意研究を重ねた結果、炭化珪素(以下SiC)の粉末粒子の平均粒径が0.1ミクロン(100nm)以下のナノ粒子からなり、そのナノ粒子の粒成長を抑制させた状態で放電プラズマ焼結法に代表されるパルス通電加圧焼結法(放電プラズマ焼結法、プラズマ活性化焼結法あるいは放電焼結法等を総称してこのように呼ぶ)を用いて焼結することによって、比較的低温で焼結時の粒成長を抑制して超微細な粒子結晶構造を保持した焼結体(ナノSiC焼結体)を得ることが可能であることを見出した(特許文献5参照)。上記ナノSiC焼結体は、高耐熱性、耐食性および耐摩耗性を有し、さらに高弾性率で高い強度を有し、かつ良好な熱伝導性を有するものであった。
特許文献4および5に記載された焼結体の製造方法は、微粒子化した原料粒子をパルス通電プラズマ焼結法等の放電プラズマ焼結法を用いて焼結することによって、比較的低いの焼結温度で、高強度等の優れた性質を有する焼結体を得るというものである。
特開2001−323368号公報(公開日:平成13(2001)年11月27日) 特開平8−2968号公報(公開日:平成8(1996)年1月9日) 特開2002−114575号公報(公開日:平成14(2002)年4月16日) 特開2004−339048号公報(公開日:平成16(2004)年12月2日) 特開2004−35327号公報(公開日:平成16(2004)年2月5日) Milan Hubacek, et al. Effect of the Orientation of Boron Nitride Grains on the Physical Properties of Hot-Pressed Ceramics., J.Am.Ceram. Coc. 82〔1〕156-160(1999)
h−BNは、融点が3300〜3400℃(高圧窒素下)と化学的に非常に安定であるために、h−BN粉体間での結合を形成することが難しく、h−BNのみからなる純h-BNでは2000℃以下での高密度焼結体の製造は困難である。上記の理由から、一般的にh−BN焼結体の製造には、h−BN粉体の粒子同士の結合させるための酸化ホウ素、イットリア、アルミナ等の焼結助剤を添加し、ホットプレス装置を用いた加圧焼結法で焼結されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかし、焼結助剤を添加しても実用的に十分な力学的強度を有するh−BN焼結体の作製は難しく、さらに、焼結助剤の過剰な添加は、h−BN焼結体が本来備える耐酸化性や高温安定性が損なわれてしまう場合があるという問題があった。
そこで本発明は、焼結助剤を用いることなく製造されたh−BNの焼結体であって、その相対密度が90%以上と高密度であり、かつ、曲げ強度が100MPa以上と高い力学的強度を有する焼結体、およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは上記課題を解決するために、特許文献4および5に記載された焼結体の製造方法をh−BNに適用して高密度かつ高強度を有するh−BN焼結体の取得を試みた。しかし、上記方法では焼結型の破裂が起こり、h−BN焼結体を製造することができなかった。よって、焼結助剤を添加することなく高密度かつ高強度を有するh−BN焼結体を得ることは極めて困難であるということが、当業者における通説であった。
本発明者らの検討によって、上記焼結型の破裂は、窒素または不活性ガス雰囲気下で粉砕処理したh−BN粉体を大気中で焼結型に充填した際にh−BNの酸化等が起こり、加圧焼結時に当該酸化物のガス化により焼結型の破裂が起こったものであるということが確かめられた。そこで本発明者らはさらに鋭意検討を行なった結果、特定の条件下でh−BN焼結体を製造した際に、所望の物性を有するh−BN焼結体を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明にかかる焼結体は、上記課題を解決するために、六方晶窒化ホウ素および不可避不純物のみからなる粉体を加圧焼結してなる焼結体であって、
相対密度が90%以上であり、かつ
上記加圧焼結時の圧力方向に平行方向から測定した面のX線回析の(002)回析線と(100)回析線との強度比、および上記加圧焼結時の圧力方向に垂直方向から測定した面のX線回析の(002)回析線と(100)回析線との強度比から、下式
I.O.P.=(I100/I002par./(I100/I002perp.
で算出されるI.O.P.が1〜100であることを特徴としている。
また上記本発明にかかる焼結体は、曲げ強度が100MPa以上であることが好ましい。
また上記本発明にかかる焼結体は、窒素または不活性ガス雰囲気下で、六方晶窒化ホウ素および不可避不純物のみからなる原料粒子を粉砕して無秩序構造を含む粉体を調製する工程;
窒素または不活性ガス雰囲気下で、上記粉体を焼結型内に充填する工程;および
上記焼結型内の粉体を、減圧雰囲気下で、10〜300℃/分の昇温速度で所望の焼結温度まで昇温して加圧焼結する工程を含む製造方法により製造され得る。
また上記無秩序構造を含む粉体は、当該粉体の(002)回析線の半価幅の値が0.5〜10.0であることが好ましい。
また上記加圧焼結する工程は、パルス通電焼結法を用いて行なうことが好ましい。
一方、本発明にかかる方法は、
相対密度が90%以上であり、かつ
加圧焼結時の圧力方向に平行方向から測定した面のX線回析の(002)回析線と(100)回析線との強度比、および上記加圧焼結時の圧力方向に垂直方向から測定した面のX線回析の(002)回析線と(100)回析線との強度比から、下式
I.O.P.=(I100/I002par./(I100/I002perp.
で算出されるI.O.P.が1〜100である、六方晶窒化ホウ素および不可避不純物のみからなる焼結体を製造する方法であって、
窒素または不活性ガス雰囲気下で、六方晶窒化ホウ素および不可避不純物のみからなる原料粒子を粉砕して無秩序構造を含む粉体を調製する工程;
窒素または不活性ガス雰囲気下で、上記粉体を焼結型内に充填する工程;および
上記焼結型内の粉体を、減圧雰囲気下で、10〜300℃/分の昇温速度で所望の焼結温度まで昇温して加圧焼結する工程を含む方法である。
ここで、上記無秩序構造を含む粉体は、当該粉体の(002)回析線の半価幅の値が0.5〜10.0であることが好ましい。
また上記加圧焼結する工程は、パルス通電焼結法を用いて行なうことが好ましい。
上記本発明によれば、焼結助剤を用いることなく製造されたh−BNの焼結体であって、その相対密度が90%以上と高密度であり、I.O.P.が1〜100であり、かつ、曲げ強度が100MPa以上と高い力学的強度を有する焼結体を簡便に製造することが可能となる。また本発明によれば、焼結助剤を含まないh−BN焼結体を比較的低い焼結温度で製造することができるため、高密度h−BN焼結体の製造における省エネルギーに寄与する。
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
<1.本発明にかかるh−BN焼結体>
本発明にかかるh−BN焼結体は、h−BNおよび不可避不純物のみからなる粉体を加圧焼結してなる焼結体である。換言すれば、本発明にかかるh−BN焼結体は、焼結助剤を用いることなく、h−BN(不可避不純物を含む)粉体のみを加圧焼結して得られる焼結体である。本発明にかかるh−BN焼結体の製造に使用するh−BN粉体には、不可避不純物が含まれていてもよいが、h−BN焼結体の力学的強度等の物性を向上させるためには、h−BN粉体はh−BNの純度が高い(純度99%重量以上、より好ましくは99.5重量%以上、さらに好ましくは99.9重量%以上)ことが好ましく、h−BNのみからなることが最も好ましい。
また本発明にかかるh−BN焼結体は、その相対密度が90%以上であり、好ましくは92%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。また本発明にかかるh−BN焼結体の一実施態様によれば、その相対密度は98%以下である。ここで「相対密度」とは、焼結体の密度(焼結体のかさ密度g/cm)と、この焼結体と同一組成の材料の理論密度との比(本明細書においては百分率)で表した比率を意味する。h−BNの理論密度は、2.28g/cm(JCPDS(粉末X線回析データベース)h−BN No.34−0421参照)である。
また本発明にかかるh−BN焼結体は、上記加圧焼結時の圧力方向に平行方向から測定した面のX線回析の(002)回析線と(100)回析線の強度比(下式において「(I100/I002par.」で示す)、および上記加圧焼結時の圧力方向に垂直方向から測定した面のX線回析の(002)回析線と(100)回析線の強度比(下式において「(I100/I002perp.」で示す)から、下式
I.O.P.=(I100/I002par./(I100/I002perp.
で算出されるI.O.P.が1〜100であることを特徴としている。
h−BN焼結体においてI.O.P.が上記範囲のとき、h−BN粉体を一方向に加圧焼結して得られたh−BN焼結体は、h−BNの結晶学的な(002)面すなわちc軸が、加圧焼結時の圧力方向と垂直に配向していることを示しており、h−BNの(100)面すなわちa軸が加圧焼結時の圧力方向と平行に配向していることを示している。一方、I.O.P.が1より小さいとき、h−BN粉体を一方向に加圧焼結して得られたh−BN焼結体は、h−BNの結晶学的な(002)面すなわちc軸が、加圧焼結時の圧力方向と平行に配向していることを示しており、h−BNの(100)面すなわちa軸が加圧焼結時の圧力方向と垂直に配向していることを示している。
本発明にかかるh−BN焼結体のごとく、焼結体においてh−BNの(002)面すなわちc軸を、加圧焼結時の圧力方向と垂直に配向させ、h−BNの(100)面すなわちa軸が加圧焼結時の圧力方向と平行に配向させることによって、加圧による応力が緩和する方向に(002)が配列するために、当該h−BN焼結体を高密度かつ高強度にすることができる。また、h−BN焼結体において、h−BNを上記のごとく配向させることによって、高い熱伝導性を当該h−BN焼結体に期待することができる。
また本発明にかかるh−BN焼結体の曲げ強度は、100MPa以上、好ましくは120MPa以上、より好ましくは140MPa以上と、高い強度を示す。なお後述する実施例にかかるh−BN焼結体の曲げ強度の上限は100〜150MPaであった。なお上記「曲げ強度」は、3点曲げ強度(JIS SR1601参照)の測定により求められる。
<2.本発明にかかるh−BN焼結体の製造方法>
上記本発明にかかるh−BN焼結体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば以下に示す(a)、(b)および(c)工程を含む製造方法によって製造することが可能である。
(a)窒素または不活性ガス雰囲気下で、六方晶窒化ホウ素および不可避不純物のみからなる原料粒子を粉砕して無秩序構造を含む粉体を調製する工程。
上記「六方晶窒化ホウ素および不可避不純物のみからなる原料粒子」(「h−BN原料粒子」という)は、焼結助剤を含まない六方晶窒化ホウ素(不可避不純物を含む)からなる原料粒子のことを意味する。h−BN原料粒子には、不可避不純物が含まれていてもよいが、最終的に得られるh−BN焼結体の力学的強度等の物性を向上させるためには、h−BN粉体はh−BNの純度が高い(純度99%重量以上、より好ましくは99.5重量%以上、さらに好ましくは99.9重量%以上)ことが好ましく、h−BNのみからなることが最も好ましい。なおh−BN原料粒子は、市販の六方晶窒化ホウ素を適宜購入の上、利用すればよい。例えば六方晶窒化ホウ素は、電気化学工業株式会社、高純度化学研究所、ナカライテスク株式会社から入手可能である。またh−BN原料粒子の粒径、結晶性等は特に限定されるものではないが、最終的に得られるh−BN焼結体の強度が高くなるとの理由により、高結晶性の六方晶窒化ホウ素を用いることが好ましい。後述する実施例では、h−BN原料粒子として、平均粒径10μm、純度>99.0重量%のh−BN(高純度化学研究所製)を用いた。
本工程において、h−BN原料粒子の粉砕方法は、h−BN原料粒子を所望の無秩序構造を含む粉体にすることができる方法であれば特に限定されるものではない。上記粉砕方法としては、例えば、メカニカルグライディングにより行なうことが可能である。上記メカニカルグラインディングは、例えば公知の遊星型ボールミル(例えば、フリッチェ社製 型式P−5、またはP−6)、ローリングボールミル、アトライター、または振動ミルを用いて行われる。メカニカルグラインディングにおいて、ミルのポットやボールは被加工物に不純物を含有させる要因のひとつであり、ポットやボールの素材としてはこのような不純物の発生の少ないものを選択することが好ましい。上記素材としては、窒化珪素、ジルコニア、超硬が挙げられる。後述する実施例においては、フリッチェ社製遊星型ボールミル 型式P−6を使用した。この遊星型ボールミルは、ポットが窒化珪素製で250ccの容器を有し、ボールが同じく窒化珪素製で300gの重量(直径10mm)を有する構造のものである。
また本工程において、h−BN原料粒子を粉砕する際には、窒素または不活性ガス雰囲気下で行なう必要がある。上記の通り窒素または不活性ガス雰囲気下でh−BN原料粒子を粉砕することによって、h−BN粉体を加圧焼結する際の焼結型の破裂を防止することができる。一方、酸化雰囲気下でh−BN原料粒子を粉砕すれば、h−BN粉体を加圧焼結する際に焼結型が破裂する恐れがある。なお上記不活性ガスとしては、希ガスであれば特に限定されるものではなく、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン等を適宜利用可能である。また本工程において上記不活性ガスおよび窒素は、単独で用いられても、複数のガスを混合して用いても良い。本工程における窒素または不活性ガス雰囲気は、グローブボックス等の密閉または半密閉容器内の空気を窒素または不活性ガスで置換して実現される。この時の窒素または不活性ガスの気圧は、特に限定されるものではないが、例えば1〜2気圧とすることが好ましい。なお後述する実施例では、グローブボックス内のアルゴンを1気圧とした。
本工程では、上記条件によってh−BN原料粒子を粉砕して無秩序構造を含む粉体を調製するが、h−BN原料粒子が「無秩序構造を含む粉体」となったか否かは、粉砕後のh−BN原料粒子をX線回析することにより判断することができる。より具体的には、粉砕後のh−BN原料粒子のサンプルをX線回析し、(002)回析線の解析処理(多重ピーク分離)によって、h−BN原料粒子の半価幅の値を求め、h−BN原料粒子の半価幅の値が0.5〜10.0になっていれば、サンプルが「無秩序構造を含む粉体」となっていると判断することができる。例えばメカニカルグラインディングの際の回転数および粉砕時間を調節することによって、粉砕後のh−BN原料粒子の半価幅の値を所望の範囲(0.5〜10.0)に制御することが可能である。後述する実施例において使用した粉砕前のh−BN原料粉末の半価幅の値は0.3であった。なお、「無秩序構造」とは、h−BN原料粒子が一軸方向あるいは、三軸方向に規則的な配列を失った状態を意味する(「T. Yamamoto.et. al., Am. Ceram. Soc., 87 [8] 1436-1441 (2004), “Consolidation of Nanostructured beta-SiC by Spark Plasma Sintering”」および「 M. Ohyanagi .et. al., Scripta Materialia, 50 (2004), 111-114,” Consolidation of nanostructured SiC with disorder-order transformation”」参照)。
上記のようにして調製された無秩序構造を含む粉体の回収は、窒素雰囲気または不活性ガス雰囲気中で行なうことが好ましい。また回収後の無秩序構造を含む粉体は、窒素雰囲気または不活性ガス雰囲気中で保存されることが好ましい。上記のごとく、無秩序構造を含む粉体を、窒素雰囲気、または不活性ガス雰囲気下で回収および保存することによって、無秩序構造を含む粉体の酸化等を防止することができ、記述の通り、無秩序構造を含む粉体を加圧焼結する際の焼結型の破裂を防止することができる。一方、大気中で無秩序構造を含む粉体を回収および焼結型に充填すれば、加圧焼結時に焼結型が破裂する恐れがある。
(b)窒素または不活性ガス雰囲気下で、上記粉体を焼結型内に充填する工程
上記工程により調製された無秩序構造を含む粉体は、窒素雰囲気または不活性ガス雰囲気中で焼結型内に充填されることが好ましい。上記のごとく、無秩序構造を含む粉体を、窒素雰囲気または不活性ガス雰囲気下で焼結型内に充填されることによって、無秩序構造を含む粉体の酸化等を防止することができ、記述の通り、無秩序構造を含む粉体を加圧焼結する際の焼結型の破裂を防止することができる。一方、大気中で無秩序構造を含む粉体を焼結型に充填すれば、加圧焼結時に焼結型が破裂する恐れがある。
(c)上記焼結型内の粉体を、減圧雰囲気下で、10〜300℃/分の昇温速度で所望の焼結温度まで昇温して加圧焼結する工程
本工程において、「減圧雰囲気下」とは、大気圧より低い気圧雰囲気下のことを意味し、特に1〜100Paの気圧雰囲気下であることが好ましい。特に加圧焼結時に、雰囲気中に酸素が実質的に存在しない状態(無酸素状態)であることが好ましい。上記減圧雰囲気下で加圧焼結することによって、無秩序構造を含む粉体の酸化等を防止することができ、記述の通り、無秩序構造を含む粉体を加圧焼結する際の焼結型の破裂を防止することができる。一方、大気中で無秩序構造を含む粉体を焼結型に充填すれば、加圧焼結時に焼結型が破裂する恐れがある。
また本工程においては加圧焼結を行なうが、加圧焼結の方法としては、公知のホットプレス焼結法、熱間等方加圧焼結法、パルス通電焼結法などが挙げられるが、パルス通電焼結法が高い昇温速度を得ることができ、本工程をより確実に実施し得るという理由から最も好ましい。また本工程において焼結型内の粉体にかける焼結圧力は20〜100MPaが好ましく、70〜100MPaがさらに好ましく、70〜90MPaが最も好ましい。上記好ましい範囲未満では未焼結となり、緻密度が上がらず粒子間の結合力も弱く、容易に崩れてしまい、多孔体としても緻密体としても実用に不適だからであり、上記好ましい範囲を超えると高密度焼結体は得られるが、加圧焼結に使用するグラファイト製焼結型の耐久性(圧縮・引張り強度)を超えてしまい焼結型の破壊を引き起こし、使用できなくなるからである。
また加圧焼結時における所望の焼結温度までの昇温速度は、10〜300℃/分であることが好ましく、10〜200℃/分がさらに好ましく、10〜100℃/分が最も好ましい。特に600℃以上の加熱時における昇温速度は10〜200℃/分であることが好ましく、60〜200℃/分であることがさらに好ましい。上記好ましい範囲未満では、急速昇温効果による粒成長抑制や高速物質移動を促進する電界拡散効果などが減ぜられ、短時間焼結による強固な粒子間結合ができなくなるからである。パルス通電焼結法を採用した場合に上記好ましい範囲を超えると、印加した直流パルス電流が局所的に集中し、偏熱効果が助長され、焼結体の焼結状態のばらつきが大きくなるからである。また、高電流密度となるため、パルス通電装置の水冷流路を内蔵する通電パンチ電極本体、先端部構造体(冷却盤及び保護カバー)、グラファイト製焼結型への負荷が過大となり、装置の局部溶解、破損、装置劣化を生じせしめ、装置の寿命を損なうからである。
また最高到達焼結温度は、1500〜1900℃が好ましく、1600〜1900℃がさらに好ましく、1700〜1900℃が最も好ましい。焼結温度が上記好ましい範囲を超えると、省エネルギーの面で好ましくなく、また製造コストが高くなってしまうという問題点がある。さらに強固な粒子間結合ができなくなり高い強度を得られなくなる場合があるからである。ただし、本発明は1900℃を超える焼結温度においても実施可能である。一方、焼結温度が上記好ましい範囲未満であると、焼結温度不足による未焼結状態で緻密度が上がらず粒子間結合も十分に行なうことができず、所望の物性を有するh−BN焼結体を得ることが困難となる。本発明によれば、1500〜1900℃という比較的低温条件でh−BN焼結体を得ることができる。上記の通り比較的低温条件下でh−BN焼結体を取得することができるのは、h−BN粉体が有する無秩序構造の構造秩序化が起こった結果であると推察される。
なお、本工程において加圧焼結は、焼結型を最高到達焼結温度に至るまで徐々に昇温して行なわれてもよいし、最高到達焼結温度に既に達している炉内へ焼結型を所定時間保持して行なってもよい。また焼結型を所望の焼結温度(好ましくは1500〜1900℃)に至るまで徐々に昇温した後、一定時間当該焼結温度をキープした後、降温してもよい。なお上記焼結温度のキープ時間としては、例えば5〜10分間が好ましい。
ここで上記「焼結温度」とは、パルス通電焼結法で一般に常用されている焼結温度のことで、焼結型の表面温度を、例えば赤外線放射型温度計などの非接触測定法により測定した温度のことを意味する。
なお、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様および以下の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲内で変更して実施することができる。
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
原料粒子として、平均粒径10μm、純度>99.0%のh−BN粉末(高純度化学研究所製)を用いた。
上記h−BN粉末をメカニカルグライディング法により無秩序構造を有した粉砕h−BN粉末にした。具体的には、以下の通りに行なった。メカニカルグライディングを行なう装置としてフリッチェ社製の遊星型ボールミル(型式P−6)を使用した。この遊星型ボールミルは、ポットが窒化珪素製で250ccの容器を有し、ボールも同じく窒化珪素製で300gの重量(直径10mm)を有する構造のものである。この遊星型ボールミルに、アルゴン雰囲気(1気圧)のグローブボックス内で、上記のh−BN粉末7.5gを装填した。ボールに対するh−BN粉末の重量比は40:1である。このh−BN粉末を、遊星型ボールミルの回転体を560r.p.m.で回転させて3時間h−BN粉末の粉砕を行なった。これにより、粉砕h−BN粉末を製造した。製造した粉砕h−BN粉末をアルゴン雰囲気のグローブボックス内で回収した。なお、回収された粉砕h−BN粉末が無秩序構造を有するか否かは、粉砕h−BN粉末のX線回析パターンにより判定した。図1に示す粉砕h−BN粉末のX線回析パターン(図1中の下のチャート)から、(002)回析線の解析処理(多重ピーク分離)して半価幅の値を算出した。図1によればこの時の粉砕h−BN粉末の半価幅の値は、7.6であった。よって上記粉砕h−BN粉末の半価幅の値が0.5〜10.0に入るために、回収された粉砕h−BN粉末が無秩序構造を有するということが分かった。なお粉砕前のh−BN粉末の半価幅の値は0.3であった。
回収された粉砕h−BN粉末を、アルゴン雰囲気(1気圧)のグローブボックス内で外径50mm、内径20.4mm、軸方向長さ40mmを有するグラファイト製ダイスの焼結型、および外径20mm、軸方向長さ20mmを有するグラファイト製の上下パンチ内に充填した。セットした焼結型を、パルス通電焼結機(SPS−SYNTEX杜製のDr.SINTER Model 1050)に装填し、減圧雰囲気下(1Pa)で直流パルス電流を流して、下記の各焼結条件で加圧焼結を行なった。
〔実施例1〕
(焼結条件)
焼結電流:600A〜2200A
焼結電圧:2.5V〜5.0V
加圧焼結開始温度:600℃
加圧焼結開始温度から最高焼結温度到達に至るまでの昇温速度:60℃/分
最高焼結温度:1600℃
焼結圧力:40MPa
最高焼結温度における加圧保持時間:10分
〔実施例2〕
(焼結条件)
焼結電流:600A〜2200A
焼結電圧:2.5V〜5.0V
加圧焼結開始温度:600℃
加圧焼結開始温度から最高焼結温度到達に至るまでの昇温速度:60℃/分
最高焼結温度:1900℃
焼結圧力:40MPa
最高焼結温度における加圧保持時間:10分
〔比較例1〕
粉砕前の平均粒径10μm、純度>99.0%のh−BN粉末(高純度化学研究所製、)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして加圧焼結を行ない、h−BN焼結体を製造した。
実施例1、2および比較例で得られた各h−BN焼結体の物理的な性質は、下記の表1の実施例1、2および比較例の欄にそれぞれ示される通りである。なお表1に示す「相対密度」は、h−BN焼結体の密度(焼結体のかさ密度g/cm)を測定し、当該焼結体のかさ密度とh−BNの理論密度との比(百分率)で表した。h−BNの理論密度は、2.28g/cm(JCPDS(粉末X線回析データベース)h−BN No.34−0421参照)である。
Figure 2007191339
表1によれば、実施例1および2において、相対密度90%以上のh−BN焼結体が得られたことがわかる。これに対して比較例においては、相対密度90%未満のh−BN焼結体しか得ることができなかった。
更に、実施例1、2および比較例で得られた各h−BN焼結体に対して、三点曲げ試験を行ない、曲げ強度の測定を行なった。曲げ強度の測定には丸菱科学機械製作所製 引張圧縮試験機(PL−300)を用いた。荷重の測定には、スパン10mm、クロスヘッドスピード0.2mm/分の条件で測定した。
その結果実施例1および2で得られたh−BN焼結体の曲げ強度は、いずれも100〜150MPaであった。これに対して比較例で得られたh−BN焼結体は、非常に脆く、曲げ試料片を作製することが出来なかったため、当該h−BN焼結体の曲げ強度の測定を行なうことができなかった。よって、比較例で得られたh−BN焼結体は脆く、h−BN粒子間の接合がなされていないようなものであり、多孔体としての実用的利用に対して十分な強度を有していないものであった。
次に実施例および比較例で得られた焼結体におけるh−BN結晶の配向を検討するために、各h−BN焼結体についてX線回析を行なった。X線回析はリガク社製RINT2500X線回析装置を用い、試料平滑面に対してX線が垂直に入射する角度を90度とし、管球印加電流を40V、100mAの条件で行なった。またX線回析は、h−BN焼結体の加圧焼結時の圧力方向に平行方向から測定した面および垂直方向から測定した面に対して行なった。
X線回析の結果の一例として、実施例1で得られたh−BN焼結体の加圧焼結時の圧力方向から測定したX線回析パターンを図1に示した。その他のX線回析パターンの図示は省略する。なお実施例2で得られたh−BN焼結体のX線回析パターンと、実施例1で得られたh−BN焼結体のそれとは略同様の結果であった。
図1のうち、上のチャートが実施例1で得られたh−BN焼結体のX線回析パターンである。また図1のX線回析パターンにおけるピーク値は、左からh−BNの(002)面の回折線の強度、(100)面の回折線の強度、(101)面の回折線の強度、(102)面の回折線の強度、(004)面の回折線の強度を示している。
各h−BN焼結体のX線回析の結果を元に、各焼結体についてI.O.P.(非特許文献1参照)を求めた。各h−BN焼結体のI.O.P.は、上記加圧焼結時の圧力方向に平行方向から測定した面のX線回析の(002)回析線と(100)回析線の強度比(下式において「(I100/I002par.」で示す)、および上記加圧焼結時の圧力方向に垂直方向から測定した面のX線回析の(002)回析線と(100)回析線の強度比(下式において「(I100/I002perp.」で示す)から、下式
I.O.P.=(I100/I002par./(I100/I002perp.
で算出した。
実施例1および2で得られたh−BN焼結体のI.O.Pの値は、それぞれ23および91であったのに対し、比較例で得られたh−BN焼結体の値は、0.3×10-3あった。上記I.O.Pの値の相違は、実施例1、2およびと比較例で得られたh−BN焼結体におけるh−BNの配向の違いを示し、実施例で得られた焼結体は、h−BNの結晶学的な(002)面すなわちc軸が、加圧焼結時の圧力方向と垂直に配向していることを示しており、h−BNの(100)面すなわちa軸が加圧焼結時の圧力方向と平行に配向していた。一方、比較例で得られたh−BN焼結体は、結晶学的な(002)面すなわちc軸が、加圧焼結時の圧力方向と平行に配向していることを示しており、(100)面すなわちa軸が加圧焼結時の圧力方向と垂直に配向していた。
次に上記最高焼結温度を種々かえて得られた焼結体の相対密度と焼結温度との関係を図2に示す。図2の結果から、本発明によれば1600℃という比較的低温の焼結温度で、かつ総焼結時間0.7時間と短時間で、相対密度90%以上の高密度h−BN焼結体が得られるということがわかった。よって、本発明によれば、高密度h−BN焼結体の製造における省エネルギー化に寄与することが大である。
以上説示したように、本発明によれば、焼結助剤を用いることなく製造されたh−BNの焼結体であって、その相対密度が90%以上と高密度であり、かつ、曲げ強度が100MPa以上と高い力学的強度を有する焼結体、およびその製造方法が提供される。h−BN焼結体は、電気絶縁材料、ノズル等の溶融金属用治具、耐熱・耐食材料、放熱材料、等広範な用途に利用されている。よって、本発明は上記h−BN焼結体を利用する産業において利用され得る。
実施例1で得られたh−BN焼結体の加圧焼結時の圧力方向から測定したX線回析パターン、および粉砕h−BN粉末のX線回析パターンを示す図である。 最高焼結温度を種々かえて得られた焼結体の相対密度と焼結温度との関係を示す折れ線図である。

Claims (8)

  1. 六方晶窒化ホウ素および不可避不純物のみからなる粉体を加圧焼結してなる焼結体であって、
    相対密度が90%以上であり、かつ
    上記加圧焼結時の圧力方向に平行方向から測定した面のX線回析の(002)回析線と(100)回析線との強度比、および上記加圧焼結時の圧力方向に垂直方向から測定した面のX線回析の(002)回析線と(100)回析線との強度比から、下式
    I.O.P.=(I100/I002par./(I100/I002perp.
    で算出されるI.O.P.が1〜100であることを特徴とする焼結体。
  2. 曲げ強度が100MPa以上である、請求項1に記載の焼結体。
  3. 窒素または不活性ガス雰囲気下で、六方晶窒化ホウ素および不可避不純物のみからなる原料粒子を粉砕して無秩序構造を含む粉体を調製する工程;
    窒素または不活性ガス雰囲気下で、上記粉体を焼結型内に充填する工程;および
    上記焼結型内の粉体を、減圧雰囲気下で、10〜300℃/分の昇温速度で所望の焼結温度まで昇温して加圧焼結する工程を含む製造方法により製造される、請求項1または2に記載の焼結体。
  4. 上記無秩序構造を含む粉体は、当該粉体の(002)回析線の半価幅の値が0.5〜10.0である、請求項3に記載の焼結体。
  5. 上記加圧焼結する工程は、パルス通電焼結法を用いて行なう、請求項3または4に記載の焼結体。
  6. 相対密度が90%以上であり、かつ
    加圧焼結時の圧力方向に平行方向から測定した面のX線回析の(002)回析線と(100)回析線との強度比、および上記加圧焼結時の圧力方向に垂直方向から測定した面のX線回析の(002)回析線と(100)回析線との強度比から、下式
    I.O.P.=(I100/I002par./(I100/I002perp.
    で算出されるI.O.P.が1〜100である、六方晶窒化ホウ素および不可避不純物のみからなる焼結体を製造する方法であって、
    窒素または不活性ガス雰囲気下で、六方晶窒化ホウ素および不可避不純物のみからなる原料粒子を粉砕して無秩序構造を含む粉体を調製する工程;
    窒素または不活性ガス雰囲気下で、上記粉体を焼結型内に充填する工程;および
    上記焼結型内の粉体を、減圧雰囲気下で、10〜300℃/分の昇温速度で所望の焼結温度まで昇温して加圧焼結する工程を含む方法。
  7. 上記無秩序構造を含む粉体は、当該粉体の(002)回析線の半価幅の値が0.5〜10.0である、請求項6に記載の方法。
  8. 上記加圧焼結する工程は、パルス通電焼結法を用いて行なう、請求項6または7に記載の方法。
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