JP6209923B2 - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents
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Description
項1. 少なくとも、基材層と、接着層と、プライマー層と、金属薄膜層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記接着層が、塩素系樹脂を含み、
プライマー層が、シランカップリング剤を含む樹脂組成物により形成されている、加飾シート。
項2. 塩素系樹脂が、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化プロピレン、及び塩素化ポリプロピレンからなる群から選択された少なくとも1種である、項1に記載の加飾シート。
項3. プライマー層が、塩化ビニル系樹脂を実質的に含まない、項1または2に記載の加飾シート。
項4. 金属薄膜層が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金からなる群から選択された少なくとも1種の金属により形成されている、項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. シランカップリング剤が、メルカプト系シランカップリング剤及びビニル系シランカップリング剤の少なくとも一方である、項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 金属薄膜層の上に表面保護層がさらに積層されている、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 金属薄膜層の上に透明フィルム層がさらに積層されている、項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
項8. プライマー層が、着色剤をさらに含む、項1〜7のいずれかに記載の加飾シート。
項9. 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、接着層と、プライマー層と、金属薄膜層とがこの順に積層された積層体からなり、
プライマー層が、シランカップリング剤を含む樹脂組成物により形成されている、加飾樹脂成形品。
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層1と、接着層2と、プライマー層3と、金属薄膜層4とがこの順に積層された積層体からなり、接着層2が塩素系樹脂を含み、プライマー層3が、シランカップリング剤を含む樹脂組成物により形成されていることを特徴とする。以下、図1〜4を参照しながら、本発明の加飾シート、当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品、及びこれらの製造方法について詳述する。
加飾シートの積層構造
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層1と、接着層2と、プライマー層3と、金属薄膜層4とを有する積層構造を有する。本発明の加飾シートにおいて、金属薄膜層4の上には、加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高めることなどを目的として、必要に応じて、表面保護層5を設けてもよい。また、表面保護層5の下には、表面保護層5とその下に形成される層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、第2のプライマー層6を設けてもよい。金属薄膜層4の上には、金属薄膜層4の金属調にさらに光沢性を付与すること等を目的として、必要に応じて、カラークリア層7を設けてもよい。カラークリア層7を設ける場合には、必要に応じて、金属薄膜層5とカラークリア層7との間に第3のプライマー層8を設けてもよい。また、金属薄膜層4の上には、加飾シートの成形性を高めることなどを目的として、必要に応じて、透明フィルム層9などを設けてもよい。さらに、基材層1の下に、第2の接着層10などを設けてもよい。
加飾シートを形成する各層の組成
[基材層1]
基材層1は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす樹脂フィルムにより形成されている。基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や成形樹脂層との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。基材層1を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層1は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。
[接着層2]
接着層2は、基材層1と後述の金属薄膜層4との密着性を向上させるため、後述のプライマー層3と共に、基材層1と金属薄膜層4との間に設けられる層である。具体的には、接着層2は、基材層1とプライマー層3との間に設けられ、基材層1とプライマー層3とを接着している。また、プライマー層3は、接着層2と金属薄膜層4との間に設けられ、接着層2と金属薄膜層4とを接着している。
[プライマー層3]
プライマー層3は、基材層1と後述の金属薄膜層4との密着性を高めつつ、金属薄膜層4の退色を抑制することなどを目的として、上述の接着層2と共に、基材層1と金属薄膜層4との間に設けられる層である。具体的には、上述の通り、基材層1とプライマー層3との間に設けられた接着層2が、基材層1とプライマー層3とを接着しており、接着層2と金属薄膜層4との間に設けられたプライマー層3が、接着層2と金属薄膜層4とを接着している。本発明においては、接着層2と金属薄膜層4とが直に接しないようにしてプライマー層3が配置されているため、接着層2と金属薄膜層4とが接触することによって生じる金属薄膜層4の退色を効果的に防ぐことができる。
[金属薄膜層4]
金属薄膜層4は、プライマー層3の上に設けられ、加飾シートに金属表面と同様な金属調の意匠を付与する層である。
[表面保護層5]
表面保護層5は、加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高めることを目的として、必要に応じて、加飾シートの最表面に設けられる層である。表面保護層5を形成する素材は、特に限定されないが、通常は樹脂が用いられ、好ましくは電離放射線硬化性樹脂が用いられる。以下、表面保護層5が電離放射線硬化性樹脂により形成される場合について詳述する。
(電離放射線硬化性樹脂)
表面保護層5の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層5の形成において好適に使用される。
(他の添加成分)
表面保護層5を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物には、表面保護層5に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
(表面保護層5の厚さ)
表面保護層5の硬化後の厚さについては、特に制限されないが、例えば、1〜1000μm、好ましくは1〜50μm、更に好ましくは1〜30μmが挙げられる。このような範囲の厚さを満たすと、耐傷付き性、耐候性等の表面保護層としての十分な物性が得られると共に、電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。更に、表面保護層5の硬化後の厚さが前記範囲を充足することによって、加飾シートの三次元成形性が一層向上するため自動車内装用途等の複雑な三次元形状に対して高い追従性を得ることができる。このように、本発明の加飾シートは表面保護層5の厚さを従来のものより厚くしても、十分に高い三次元成形性が得られることから、特に表面保護層5に高い膜厚を要求される部材、例えば車両外装部品等の加飾シートとしても有用である。
(表面保護層5の形成)
表面保護層5の形成は、例えば、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、金属薄膜層4などの表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。
[第2のプライマー層6]
第2のプライマー層6は、表面保護層5とその下に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、表面保護層5の下に設けられる層である。第2のプライマー層6は、例えば、表面保護層5と金属薄膜層4との間、表面保護層5と後述のカラークリア層7との間、表面保護層5と後述の透明フィルム層9との間などに設けられる。第2のプライマー層6を形成する素材は、これらの層間の密着性を向上させ得るものであれば、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂が挙げられる。
[カラークリア層7]
カラークリア層7は、金属薄膜層4の金属調にさらに光沢などを持たせること等を目的として、必要に応じて、金属薄膜層4の上に設けられる層である。カラークリア層7を形成する素材としては、特に限定されないが、例えば、着色剤などにより着色された透明樹脂が挙げられる。着色剤としては、特に制限はないが、例えば、着色顔料、染料などが挙げられる。また、透明樹脂としては、特に制限はないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。カラークリア層7の厚さは、特に限定されないが、通常0.5〜4μm程度、好ましくは1〜3μm程度である。カラークリア層7の形成方法は、特に制限されないが、例えば、後述の第3のプライマー層8、後述の透明フィルム層9、金属薄膜層4などのうち、カラークリア層7の直下に位置する層の表面上や、第2のプライマー層6など、第2のカラークリア層7の直上に位置する層の表面上に上記の樹脂を塗布する方法などが挙げられる。
[第3のプライマー層8]
第3のプライマー層8は、カラークリア層7とその下に位置する層との密着性を高めること等を目的として、必要に応じて、カラークリア層7の下に設けられる層である。第3のプライマー層8は、例えば、カラークリア層7と金属薄膜層4との間や、カラークリア層7と後述の透明フィルム層9との間に設けられる。第3のプライマー層8を形成する素材は、これらの層間の密着性を向上させ得るものであれば、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂が挙げられる。
[透明フィルム層9]
透明フィルム層9は、本発明の加飾シートの耐傷付き性や耐候性を高めると共に、成形性を高める支持体としての役割を果たし、必要に応じて、金属薄膜層4の上に設けられる樹脂フィルムである。透明フィルム層9を備えることで成形性が高まり、加飾シートを三次元成形した際に金属薄膜層4にクラックが発生しにくくなるので、伸展性に富むスズ、インジウム、クロム以外の金属(例えばアルミニウムなど)を用いて金属薄膜層4を形成する場合には、透明フィルム層9を備えることが好ましい。透明フィルム層9を形成する樹脂フィルムとしては、加飾シートの成形性を高め、金属薄膜層4による金属調の意匠を隠蔽するものでなければ、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、またはアクリル樹脂などのフィルムが挙げられる。透明フィルム層9の厚さは、特に限定されないが、通常15〜200μm程度、好ましくは30〜150μm程度である。透明フィルム層9を形成する方法は、特に制限されないが、例えば、表面保護層5、第2のプライマー層6、カラークリア層7、第3のプライマー層8などのうち、透明フィルム層9の直上に位置する層の表面上や、金属薄膜層4などの第3のプライマー層8の直下に位置する層の表面上に上記の樹脂フィルムを積層する方法などが挙げられる。
[第2の接着層10]
第2の接着層10は、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることなどを目的として、基材層1の裏面に必要に応じて設けられる層である。第2の接着層10を形成する樹脂としては、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
2.加飾樹脂成形品
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートに成形樹脂を一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層と、基材層1と、接着層2と、プライマー層3と、金属薄膜層4とがこの順に積層された積層体であって、接着層2が塩素系樹脂を含み、プライマー層3が、シランカップリング剤を含む樹脂組成物により形成されていることを特徴とする。本発明の加飾樹脂成形品では、必要に応じて、加飾シートに上述の表面保護層5、第2のプライマー層6、カラークリア層7、第3のプライマー層8、透明フィルム層9、第2の接着層10などの少なくとも1層がさらに設けられていてもよい。
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び
成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより樹脂成形体を形成し、樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる一体化工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す取出工程。
これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(加飾シートの作製)
<実施例1〜8、11及び比較例1〜4>
剥離シートとしての2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシート(東洋紡績社製のA5101、厚さ25μm)の上に、アクリル−ウレタンブロック共重合樹脂を塗工して、厚さ2μmの透明な第2のプライマー層を形成した。次に、第2のプライマー層上に、着色剤を含むアクリル−ウレタンブロック共重合樹脂を塗工して、カラークリア層(厚さ3μm)及び第3のプライマー層(厚さ2μm)を順に形成した。次に、第3のプライマー層の表面上に表1に記載の金属を蒸着して光学濃度値(OD)が1.2の金属薄膜層を形成した。次に、金属薄膜層の上に、それぞれ、表1に記載の組成を有するプライマー層(厚さ2μm)を形成した。なお、実施例11においては、プライマー層の樹脂70質量部に対して、金属薄膜層と同系色を有する着色剤(酸化チタン、カーボンブラックを含む)を30質量部配合した。次に、プライマー層の上に、表1に記載の樹脂の塗布量となるように塗工して接着層を形成した。次に、接着層の上に厚さ400μmのABS樹脂からなるシートを接触させて基材層を形成し、剥離層/第2のプライマー層/金属薄膜層/プライマー層/接着層/基材層がこの順に積層された積層体を得た。次に、この積層体の基材層側に、算術平均粗さRaが4.0μm、十点平均粗さRzJISが16μmの梨地柄の入ったステンレス製の金属板を配置し、剥離層側に算術平均粗さRaが0.05μmのステンレス製の鏡面板を配置し、この金属板と鏡面板で積層体を熱プレス成形した。熱プレス成形の条件は、温度150℃、圧力0.5MPa、加熱・加圧時間を10分間とした。次に、積層体から剥離層を剥離し、第2のプライマー層の表面上に電離放射線硬化性樹脂を、硬化後の厚さが10μmとなるようにしてグラビアリバースにて塗布して未硬化の樹脂層を形成した。この未硬化の樹脂層に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、未硬化の樹脂層を硬化させて表面保護層を形成した。以上のようにして、表1に示されるような構成を有する、基材層/接着層/プライマー層/金属薄膜層/第3のプライマー層/カラークリア層/第2のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートを得た。なお、電離放射線硬化性樹脂としては、2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量10000)80質量部と、6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量6000)20質量部との混合物を用いた。比較例1では、プライマー層にシランカップリング剤を配合しなかった。比較例2及び3では、プライマー層を設けなかった。比較例4では、接着層を設けなかった。
<実施例9及び10>
透明フィルム層としての2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)の一方の面に対し、表1に記載の金属を蒸着して光学濃度値(OD)が1.2の金属薄膜層を形成した。次に、金属薄膜層の上に、表1に記載の組成を有するプライマー層(厚さ2μm)と、表1に記載の樹脂の塗布量の接着層を塗工により順に形成した。次に、透明フィルム層の金属薄膜層を形成しなかった面に、アクリル−ウレタンブロック共重合樹脂を順次塗工して、透明な第3のプライマー層(厚さ2μm)、カラークリア層(厚さ3μm)及び第2のプライマー層(厚さ2μm)を形成した。次に、第2のプライマー層上に、電離放射線硬化性樹脂を硬化後の厚さが10μmとなるようにグラビアリバースにて塗工して未硬化の樹脂層を形成した。この未硬化の樹脂層に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、未硬化の樹脂層を硬化させて表面保護層を形成した。次いで、接着層の上に厚さ400μmのABS樹脂からなるシートを積層して基材層を形成することにより、表1に示されるような構成を有する、基材層/接着層/プライマー層/金属薄膜層/透明フィルム層/第3のプライマー層/カラークリア層/第2のプライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートを得た。なお、電離放射線硬化性樹脂としては実施例1〜8、11及び比較例1〜4と同様の混合物を用いた。
(成形性評価試験)
実施例1〜11及び比較例1〜4の加飾シートを、それぞれ赤外線ヒーターで160℃に加熱し、軟化させた。次に、真空成形用型を用い、最大延伸倍率が150%になる条件で真空成形し、真空成形用型の内部形状となるように加飾シートを成形した。次に、加飾シートを冷却後、真空成形用型から離型した。離型した加飾シートの表面保護層に割れや白化が全く見られず、真空成形用型の内部形状に良好に追従していたものを、成形性が良好(○)と評価した。成形性評価試験の結果、離型した加飾シートの三次元成形部や最大延伸部の一部に微細な割れや白化が認められたが実用上問題ないものを、成形性がやや良好(○△)と評価した。離型した加飾シートの表面保護層に割れや白化が見られ、真空成形用型の内部形状に追従できていなかったものを、成形性が悪い(×)と評価した。
(密着性評価試験)
実施例1〜11及び比較例1〜4の加飾シートを、上記の成形性評価試験と同様の方法で真空成形した。次に、離型した加飾シートの表面保護層の表面に、それぞれカッターナイフを用いて2mm間隔で縦10本、横10本の碁盤状の切れ込みを入れた。次に、切れ込みを入れた部分にニチバン製セロテープ(登録商標)を圧着し、急激剥離した。密着性評価試験の結果、加飾シートに剥離が全くなかったものを、密着性が良好(○)と評価した。加飾シートに切れ込みに沿って極軽微な切れ込みが見られたが実用上問題ないものを、密着性がやや良好(○△)と評価した。加飾シートに明らかな剥離がみられたものを、密着性が悪い(×)と評価した。
(耐退色性評価試験)
実施例1〜11及び比較例1〜4の加飾シートを、上記の成形性評価試験と同様の方法で真空成形した後、それぞれ60℃、湿度90%の環境下で168時間静置した。次に、分光測色計(コニカミノルタ社製のCM−3700d)を用いて、色差ΔE*ab(JIS Z8729−1994に規定された国際照明委員会(CIE)のL*a*b表色系に準拠している)を測定した。色差ΔE*abは下記式で表される。
ΔE*ab=√(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2
なお、色差の基準としては、それぞれ、耐退色性評価試験に供する前の実施例1〜11及び比較例1〜4の加飾シートを用いた。耐退色性評価試験の結果、色差ΔE*abが5以下の場合に、退色が小さい(○)と評価し、色差ΔE*abが5以上の場合に、退色が大きい(×)と評価した。
2…接着層
3…プライマー層
4…金属薄膜層
5…表面保護層
6…第2のプライマー層
7…カラークリア層
8…第3のプライマー層
9…透明フィルム層
Claims (8)
- 少なくとも、基材層と、接着層と、プライマー層と、金属薄膜層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記接着層が、塩素系樹脂を含み、
前記プライマー層が、シランカップリング剤を含む樹脂組成物により形成されており、
前記シランカップリング剤が、メルカプト系シランカップリング剤及びビニル系シランカップリング剤の少なくとも一方である、加飾シート。 - 前記塩素系樹脂が、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化プロピレン、及び塩素化ポリプロピレンからなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1に記載の加飾シート。
- 前記プライマー層が、塩素系樹脂を実質的に含まない、請求項1または2に記載の加飾シート。
- 前記金属薄膜層が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金からなる群から選択された少なくとも1種の金属により形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記金属薄膜層の上に表面保護層がさらに積層されている、請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記金属薄膜層の上に透明フィルム層がさらに積層されている、請求項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記プライマー層が、着色剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
- 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、接着層と、プライマー層と、金属薄膜層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記プライマー層が、シランカップリング剤を含む樹脂組成物により形成されており、
前記シランカップリング剤が、メルカプト系シランカップリング剤及びビニル系シランカップリング剤の少なくとも一方である、加飾樹脂成形品。
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