以下に、本発明に係る車両用操作システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係る車両用操作システムの実施形態の1つを図1から図5に基づいて説明する。
本実施形態の車両用操作システムとは、操作者(運転者)がステアリングホイールから手を離さずとも、車両に搭載されている車載装置の操作が行えるように構成されたものである。図1及び図2の符号1は、かかる構成の車両用操作システムを示す。
本実施形態の車両用操作システム1は、車室内のステアリングコラム101{つまりステアリングホイール102の裏側(ステアリングホイール102に対して車両前側)}に配置される。車両用操作システム1は、車載装置200を操作するための主操作装置10及び副操作装置20と、制御装置(制御部)30と、を備える。この車両用操作システム1においては、ステアリングコラム101における車幅方向の左端と右端の内の少なくとも一方に、その主操作装置10と副操作装置20の組み合わせを少なくとも1組設ける。図1及び図2の例示では、ステアリングコラム101の左端に主操作装置10Lと副操作装置20Lの組み合わせを1組設け、ステアリングコラム101の右端に主操作装置10Rと副操作装置20Rの組み合わせを1組設けている。
ここで、車載装置200とは、操作者による車両用操作システム1の操作に伴い作動する機能(作動形態)を少なくとも1つ有するもののことである。例えば、この車載装置200としては、車両の灯火機器(前照灯や尾灯)、方向指示器及びワイパーなどが該当する。また、車室内に搭載されているものの場合には、オーディオ類やラジオ等の音響機器、空気調和機(いわゆるエアーコンディショナー)などが車載装置200に該当する。また、この車載装置200としては、車両そのものに搭載されているものではないが、車室内への持ち込みによって車両に搭載されることになった機器(例えば携帯電話や携帯音楽プレーヤーなど)についても該当する。
以下においては、特に言及しない限り、ステアリングホイール102の回転軸に沿う方向を軸線方向といい、その回転軸回りの方向を周方向という。また、その回転軸に直交する方向を径方向という。
主操作装置10は、図3等に示すように、レバー操作部11を備える。このレバー操作部11は、ステアリングコラム101から突出させ且つ延在させた長手部材12を有している。主操作装置10は、その長手部材12の操作方向に割り当てられた車載装置200(図1等参照)を操作するための所謂レバースイッチである。
長手部材12は、図4及び図5に示すように、例えば円筒状の主体部分を有しており、この主体部分をステアリングコラム101から所定方向に突出させている。所定方向とは、例えば、径方向、車両右方で且つ車両上方に向けた右斜め上方向、車両右方で且つ車両下方に向けた右斜め下方向、車両左方で且つ車両上方に向けた左斜め上方向、車両左方で且つ車両下方に向けた左斜め下方向、これらの各方向において更にステアリングコラム101側の端部を支点にして車両後側に傾けた方向等のことである。また、長手部材12の主体部分は、ストレート形状に成形されたものでもよく、経路の途中に曲げ部を設けたものでもよい。この長手部材12は、ステアリングホイール102の車幅方向における左端部若しくは左端部の近傍又は右端部若しくは右端部の近傍を握っている操作者が自らの手指(例えば、中指や人差し指)で触れる位置まで、突出方向(延在方向)における端部を延在させる。これにより、操作者は、ステアリングホイール102を握ったままで、長手部材12の突出方向における先端を自らの手指で触ることができる。
この長手部材12は、図3等に示すように、ステアリングコラム101の内部に固定された支持部13によって傾倒自在に支持される。支持部13は、長手部材12のステアリングコラム101側の端部を支点にした傾倒動作が自在に行えるように構成する。レバー操作部11においては、その長手部材12の傾倒動作における傾倒方向が、この長手部材12に対する操作者の操作方向となる。この例示の長手部材12は、中立位置を基点にして、車両前側に向けた傾倒動作と、車両後側に向けた傾倒動作と、一方の周方向に向けた時計回りの傾倒動作と、他方の周方向に向けた反時計回りの傾倒動作と、を行うことができる。この長手部材12のそれぞれの操作方向には、少なくとも1つの車載装置200と共に、この車載装置200における少なくとも1つの機能が割り当てられている。
ここで、支持部13は、長手部材12を中立位置から或る操作方向に傾倒させた後でバネ力等によって中立位置へと復帰するように構成したものであってもよく、長手部材12を中立位置から或る操作方向に傾倒させた後、操作者自らの手で長手部材12を中立位置まで復帰させるように構成したものであってもよい。後者の場合、支持部13は、少なくとも1段階の長手部材12の傾倒動作が行えるように構成する。
主操作装置10には、長手部材12の傾倒動作における傾倒方向を検出するレバー操作検出部14が設けられている。このレバー操作検出部14は、長手部材12の傾倒方向に応じた出力信号を制御装置30に送信する。制御装置30は、その出力信号に基づいて、操作者の行った長手部材12の操作方向を検出することができる。
制御装置30は、そのレバー操作検出部14の出力信号に基づいて、車載装置200に対する指令(駆動指令又は停止指令)を送り、操作者の長手部材12に対する操作に応じた車載装置200の機能を駆動又は停止させる。ここで、車載装置200に対する指令は、車載装置200を直接駆動又は停止させる指令であってもよく、車載装置200の制御装置に対する指令であってもよい。車載装置200の制御装置は、指令を制御装置30から受信した場合、その指令内容に基づいて、車載装置200の機能を駆動又は停止させる。
副操作装置20は、主操作装置10の操作対象と同じ車載装置200における別の機能や、主操作装置10の操作対象とは異なる別の車載装置200を操作するためのスイッチである。この副操作装置20には、その車載装置200を操作するための操作形態が少なくとも1つ設定されている。その操作形態は、操作者が車載装置200に対する操作意思を表すためのものである。この操作形態には、少なくとも1つの車載装置200と共に、この車載装置200における少なくとも1つの機能が割り当てられている。
この副操作装置20は、長手部材12の突出方向における先端に動作検出部21を備える。動作検出部21は、副操作装置20に設定されている操作形態を検出するものである。この動作検出部21は、長手部材12の先端にて、操作者の車載装置200に対する操作意思に応じた操作形態を検出する。
具体的に、本実施形態の動作検出部21には、操作者に接触操作される接触操作領域(先端面)22が少なくとも1つ設けられている。接触操作領域22は、長手部材12の先端に配置された接触操作部材23に形成される。接触操作部材23は、操作者が触れることのできる露出部分を有しており、この露出部分に接触操作領域22を形成する。例えば、動作検出部21は、接触操作領域22が1つの場合、1つの接触操作部材23を有している。一方、接触操作領域22が複数の場合、それぞれの接触操作領域22は、1つの接触操作部材23に形成してもよく、接触操作領域22毎に設けた接触操作部材23に形成してもよい。
また、この動作検出部21は、その接触操作領域22に接触している物体及び当該物体の移動方向の検出が可能な接触式センサ24を有する。この接触式センサ24は、例えば、静電容量センサ等の所謂タッチセンサである。この接触式センサ24は、接触操作部材23の露出部分における表面又は裏面に配置する。この例示の接触式センサ24は、その露出部分の裏面に配置され、この接触操作部材23の接触操作領域22に対する操作者の操作形態(以下「接触操作形態」という。)を検出する。接触式センサ24は、接触操作領域22毎に1つずつ設けられる形態のものであってもよく、複数の接触操作領域22に対して1つ設けられる形態のものであってもよい。
制御装置30は、その動作検出部21の接触式センサ24の出力信号に基づいて、車載装置200に対する指令(駆動指令又は停止指令)を送り、操作者の接触操作領域22に対する接触操作に応じた車載装置200の機能を駆動又は停止させる。その車載装置200に対する指令とは、先に例示したものと同じである。
この種の動作検出部21においては、1つの接触操作領域22に対して、操作者の接触操作形態を少なくとも1つ割り当てる。この動作検出部21は、車載装置200の機能毎又は複数の車載装置200毎に、接触操作領域22に対する操作者の接触操作形態が割り当てられている。
図4及び図5に示す動作検出部21において、接触操作部材23は、一端が閉塞された円筒状に成形し、長手部材12の円筒状の主体部分における先端の開口を塞ぐように配置する。この場合には、接触操作領域22としては、後述する第1から第3の接触操作領域22a,22b,22cが設けられている。また、接触操作部材23の露出部分である円形の閉塞面が接触操作領域22となる。この動作検出部21においては、その接触操作領域22の裏面に配置された接触式センサ(図1等参照)24が設けられている。この場合、接触式センサ24(図3等参照)は、接触操作領域22の全面で接触操作を感知できるように配置して、細分化された領域毎の接触操作を検出できるように構成すればよい。
この例示の閉塞面は、その主体部分の先端部の軸線方向に対する直交平面である。この接触操作領域22に設定される接触操作形態としては、例えば、その閉塞面の径方向に沿うスライド操作、接触操作領域22に触れるタッチ操作等が考えられる。スライド操作は、例えば、車載装置200の複数の機能の中から所望のものを選択するための機能選択操作、或る機能が持つ複数の選択条件の中から所望のものを選択するための条件選択操作等に利用することができる。機能選択操作とは、例えば、車載装置200が音響機器の場合、メディア選択機能、音量選択機能、トラック選択機能等の中から所望の機能を選択する操作のことである。条件選択操作とは、例えば、音量選択機能が選択された場合に、所望の音量を選択する操作のことである。このスライド操作としては、少なくとも1方向の操作が設定される。また、タッチ操作とは、例えば、スライド操作によって選択された機能や選択条件を決定する際に行う操作等のことである。このタッチ操作としては、1回のタッチ操作や複数回の連打操作を設定することができる。
そして、スライド操作時の操作性を向上させるために、各接触操作領域22は、操作者の手指の自然な動きに対する直交方向に分割されるように形成することが望ましい。ここでは、接触操作領域22の平面に沿う方向で、且つ、操作者の手指の自然な動きに対する直交方向に分割されるように形成する。
その動作検出部21は、第1から第3の接触操作領域22a,22b,22cを有する。この例示では、その第1から第3の接触操作領域22a,22b,22cを1つの接触操作部材23に形成する。接触操作部材23は、長手部材12の先端に配置された円筒状の部材であり、露出部分となる第1から第3の接触操作領域22a,22b,22cで一方の開口を塞いでいる。この例示の第1から第3の接触操作領域22a,22b,22cは、操作者の手指の自然な動きに対する直交方向に沿って分割されたものであり、その動きに沿う平面を各々有している。この動作検出部21においては、その第1から第3の接触操作領域22a,22b,22cの裏面に配置された接触式センサ24が設けられている。
第1接触操作領域22aは、第2接触操作領域22bと第3接触操作領域22cとの間に介在させる。この第1接触操作領域22aは、長手部材12の先端部の軸線方向に対する直交平面であり、操作者の手指の自然な動き(ここでは屈伸方向)に沿って延在させている。この第1接触操作領域22aは、その手指の動きに沿う直線状の平行な2辺と、その手指の動きの両端側(伸び側と縮み側)で当該2辺を繋ぐ2辺と、で囲まれた領域である。その両端側の2辺は、接触操作部材23の円筒形状に合わせた曲率を有する。この第1接触操作領域22aには、接触操作形態として、その手指の動きに沿うスライド操作が少なくとも設定されている。この例示の第1接触操作領域22aでは、接触操作形態としてタッチ操作も設定されている。
第2接触操作領域22bは、第1接触操作領域22aに対して車両上側に配置される。この第2接触操作領域22bは、第1接触操作領域22aに対して傾斜させ、且つ、操作者の手指の自然な動きに沿って延在させた平面である。この第2接触操作領域22bは、第1接触操作領域22aよりも車両上側に向かうに連れて、ステアリングコラム101側へと近づいていくように傾斜させる。つまり、この例示の第2接触操作領域22bは、円板の周縁の一部を面取りしたが如き傾斜面を有している。この第2接触操作領域22bは、その手指の動きに沿う第1接触操作領域22a側の直線状の1辺と、この1辺の両端を繋ぐ車両上側に膨出させた曲線辺と、で囲まれた領域である。その曲線辺は、接触操作部材23の円筒形状に合わせた曲率を有する。この第2接触操作領域22bには、接触操作形態として、少なくともタッチ操作が設定されている。この第2接触操作領域22bには、その手指の動きに沿うスライド操作が接触操作形態として設定されていてもよい。
第3接触操作領域22cは、第1接触操作領域22aに対して車両下側に配置される。この第3接触操作領域22cは、第1接触操作領域22aに対して傾斜させ、且つ、操作者の手指の自然な動きに沿って延在させた平面である。この第3接触操作領域22cは、第1接触操作領域22aよりも車両下側に向かうに連れて、ステアリングコラム101側へと近づいていくように傾斜させる。つまり、この例示の第3接触操作領域22cは、第2接触操作領域22bと同じように、円板の周縁の一部を面取りしたが如き傾斜面を有している。この第3接触操作領域22cは、その手指の動きに沿う第1接触操作領域22a側の直線状の1辺と、この1辺の両端を繋ぐ車両下側に膨出させた曲線辺と、で囲まれた領域である。その曲線辺は、接触操作部材23の円筒形状に合わせた曲率を有する。この第3接触操作領域22cには、接触操作形態として、少なくともタッチ操作が設定されている。この第3接触操作領域22cには、その手指の動きに沿うスライド操作が接触操作形態として設定されていてもよい。
ここで、第1接触操作領域22aは、第2接触操作領域22bと第3接触操作領域22cとに対して、ステアリングコラム101側に凹ませている。つまり、この接触操作部材23においては、第1接触操作領域22aと第2接触操作領域22bとの間及び第1接触操作領域22aと第3接触操作領域22cとの間に段差を設けている。このため、第1接触操作領域22aと第2接触操作領域22bとの間には、これらを繋ぐ連結面25aが形成されている。また、第1接触操作領域22aと第3接触操作領域22cとの間には、これらを繋ぐ連結面25bが形成されている。接触式センサ24は、その連結面25a,25bに対する物体の接触を検出できるものでもよく、そのような接触が検出できないものであってもよい。前者の場合、それぞれの連結面25a,25bは、例えば、第1接触操作領域22aの一部として利用してもよい。
この動作検出部21では、操作者の手指の太さ如何で、第1接触操作領域22aを接触操作しようとした場合でも、第2接触操作領域22bや第3接触操作領域22cも一緒に触れてしまう可能性がある。このため、制御装置30には、例えば、第1接触操作領域22aに関わる接触式センサ24の出力信号が受信され、この第1接触操作領域22aにおける出力信号の検出領域が所定領域以上の場合、第2接触操作領域22bや第3接触操作領域22cに関わる接触式センサ24の出力信号が受信されたとしても、第1接触操作領域22aに対する接触操作が行われたものとして判定させればよい。
この動作検出部21を備えた副操作装置20は、前述した副操作装置20L,20Rの内の少なくとも一方として用いることができる。
このように構成された車両用操作システム1は、回転機構40を有している。回転機構40は、動作検出部21を長手部材12の延在方向(先端部)において軸線回りに回転させるものである。回転機構40は、少なくとも接触操作部材23を長手部材12の先端部の軸線回りに回転させるものである。回転機構40は、主として、回転部41と伝達軸42とを有する。回転部41は、長手部材12のステアリングコラム101側に配設されている。回転部41は、例えば、長手部材12の外周面を覆うが如く配置された同心の環状に形成されている。伝達軸42は、長手部材12の内部に配設されている。伝達軸42は、回転部41と接触操作部材23とを接続する。伝達軸42は、回転部41の回転を接触操作部材23に伝達する。なお、回転機構40は、長手部材12が経路の途中に曲げ部を設けたものである場合、伝達軸42に例えば長手部材12の曲げ部に合わせたリンク機構などを設ける。
このような構成の回転機構40により、接触操作部材23は、軸線回りに無段階に回転する。例えば、操作者は、ステアリングホイール102を握ったままで手指を車両前側と車両後側との間の往復前後方向に屈伸させるスライド操作を行いたい場合、図4の例示に示すように、第1接触操作領域22aが車両前側と車両後側とを結ぶ往復前後方向に沿って延在するように接触操作部材23を回転させる。また、操作者は、ステアリングホイール102を握ったままで手指を上下方向に指振りさせるスライド操作を行いたい場合、図5の例示に示すように、第1接触操作領域22aが車両の上下方向に沿って延在するように接触操作部材23を回転させる。なお、回転機構40は、接触操作部材23を軸線回りに、例えば所定角度ずつ段階的に回転させるものであってもよい。
このように、操作者は、ステアリングホイール102を握ったままで自らの手指を動かし易い方向に沿って第1接触操作領域22aが延在するように、接触操作部材23を軸線回りに回転させればよい。すなわち、車両用操作システム1は、何れの方向の手指の動作に基づいて車載装置200を操作するかを操作者毎に設定できる。また、車両の操作者が別の者に変わった場合、新たな操作者は、ステアリングホイール102を握ったままで自らの手指を動かし易い方向に沿って第1接触操作領域22aが延在するように、接触操作部材23を軸線回りに回転させればよい。このため、車両用操作システム1は、ステアリングホイール102の持ち位置等が異なる様々な操作者にとって、その者が望む手指の操作方向に合わせた第1接触操作領域22aの向きの変更を容易に行えるものとなっている。
以上示したように、本実施形態の車両用操作システム1は、操作性を向上することができる。
[変形例1]
本変形例の車両用操作システム2は、前述した実施形態の車両用操作システム1において、副操作装置20を図6に示す副操作装置60に置き換えたものである。その副操作装置60は、実施形態の副操作装置20と同じように、車載装置200を操作するための操作形態が複数設定されている。
この副操作装置60は、長手部材12の突出方向における先端に、実施形態の副操作装置20と同様の第1動作検出部61と、その副操作装置20とは異なる第2動作検出部67と、を備える。
本変形例の第1動作検出部61は、実施形態の動作検出部21と同様の接触操作領域(先端面)62を有する。ここでは、その接触操作領域62として、第1接触操作領域62aと第2接触操作領域62bとを設けている。その第1接触操作領域62aと第2接触操作領域62bは、接触操作部材63の露出部分に形成される。接触操作部材63は、実施形態の図4及び図5の接触操作部材23と同じ円筒状の部材であるが、露出部分となる円形の閉塞面の中央部分に矩形の貫通孔63aを設けている。その貫通孔63aは、実施形態で示した操作者の手指の自然な動きに沿う方向を長手方向とすることが望ましい。また、接触操作部材63の露出部分における表面又は裏面には、実施形態の接触式センサ24と同様の接触式センサ64を配置している。その接触式センサ64としては、第1接触操作領域62a用の接触式センサ64aと、第2接触操作領域62b用の接触式センサ64bと、が用意されている。
第1接触操作領域62aは、その貫通孔63aに対して車両上側に配置される。この第1接触操作領域62aは、貫通孔63a側における操作者の手指の自然な動きに沿う直線状の1辺と、この1辺の両端を繋ぐ車両上側に膨出させた曲線辺と、で囲まれた領域である。その曲線辺は、接触操作部材63の円筒形状に合わせた曲率を有する。この第1接触操作領域62aの裏面には、接触式センサ64aが配置される。この第1接触操作領域62aには、接触操作形態として、少なくともタッチ操作が設定されている。例えば、この第1接触操作領域62aのタッチ操作(1度触れる操作)は、決定ボタンの如く利用することができる。この第1接触操作領域62aには、操作者の手指の動きに沿うスライド操作が接触操作形態として設定されていてもよい。
第2接触操作領域62bは、その貫通孔63aに対して車両下側に配置される。この第2接触操作領域62bは、貫通孔63a側における操作者の手指の自然な動きに沿う直線状の1辺と、この1辺の両端を繋ぐ車両下側に膨出させた曲線辺と、で囲まれた領域である。その曲線辺は、接触操作部材63の円筒形状に合わせた曲率を有する。この第2接触操作領域62bの裏面には、接触式センサ64bが配置される。この第2接触操作領域62bには、接触操作形態として、少なくともタッチ操作が設定されている。例えば、この第2接触操作領域62bのタッチ操作(1度触れる操作)は、戻るボタンの如く利用することができる。この第2接触操作領域62bには、操作者の手指の動きに沿うスライド操作が接触操作形態として設定されていてもよい。
第2動作検出部67は、円板状のダイヤル操作部材(可動体)68と、このダイヤル操作部材68の動きを検出するダイヤル操作検出部69と、を備える。この第2動作検出部67は、所謂チルトホイールの如く構成されたもののことである。
ダイヤル操作部材68は、その外周面の一部を貫通孔63aから露出させた状態で、自らの軸線(回転軸)を長手部材12の先端部の軸線方向に対して直交させ、且つ、貫通孔63aの長手方向に沿って軸線回りに回転できるように配置する。このダイヤル操作部材68は、例えば接触操作部材63に対して回転自在に保持される。このダイヤル操作部材68においては、貫通孔63aからの露出部分が操作者による接触操作部位となる。このため、接触操作時の滑りを抑えるべく、外周面には、周方向に沿って凹部と凸部が交互に形成されている。更に、このダイヤル操作部材68は、長手部材12の先端部の軸線方向に沿って押下できるようにも構成されている。押下されたダイヤル操作部材68は、例えば回転軸又は回転軸の保持部に取り付けられた弾性部材(図示略)によって元の位置に戻ることができる。
このダイヤル操作部材68の軸線回りの回転操作は、実施形態の第1接触操作領域22aのスライド操作に相当するものとして用いることができる。また、このダイヤル操作部材68の押下操作は、例えば、選択した車載装置200の機能の決定操作として利用することができる。
ダイヤル操作検出部69は、ダイヤル操作部材68の回転操作量(例えば回転角度等)と、ダイヤル操作部材68の押下の有無と、を検出する。このダイヤル操作検出部69は、その回転操作量や押下の有無に関わる出力信号を制御装置30に送信する。
制御装置30は、接触式センサ64a,64bとダイヤル操作検出部69の出力信号に基づいて、車載装置200を制御する。
ここで、この副操作装置60は、実施形態で説明した副操作装置20L,20Rの内の少なくとも一方として用いることができる。この場合、この車両用操作システム2においては、実施形態で説明した駆動指令に対応する起動操作形態や停止指令に対応する停止操作形態として、例えば、ダイヤル操作部材68を所定時間押し続ける長押し操作を用いてもよく、第1接触操作領域62a又は第2接触操作領域62bに対する所定時間の継続接触操作を用いてもよい。また、この車両用操作システム2では、副操作装置20L,20Rの内の一方に副操作装置60を適用し、他方に実施形態における動作検出部21を備えた副操作装置20を適用してもよい。
このように構成された車両用操作システム2は、実施形態で説明した回転機構40を有している。回転機構40は、第1及び第2の動作検出部61,67を長手部材12の延在方向(先端部)において軸線回りに回転させるものである。回転機構40は、少なくとも接触操作部材63を長手部材12の先端部の軸線回りに回転させるものである。回転機構40は、主として、回転部41と伝達軸42とを有する。回転機構40により、接触操作部材63は、軸線回りに無段階に回転する。例えば、操作者は、ステアリングホイール102を握ったままで手指を車両前側と車両後側との間の往復前後方向に屈伸させることでダイヤル操作部材68を回転操作したい場合、図6の例示に示すように、ダイヤル操作部材68の回転方向が車両前側と車両後側とを結ぶ往復前後方向に沿うように接触操作部材63を回転させる。また、操作者は、ステアリングホイール102を握ったままで手指を上下方向に指振りしてダイヤル操作部材68を回転操作したい場合、図7の例示に示すように、ダイヤル操作部材68の回転方向が車両の上下方向に沿うように接触操作部材63を回転させる。このように、操作者は、ステアリングホイール102を握ったままで自らの手指を動かし易い方向にダイヤル操作部材68の回転方向が沿うように、接触操作部材63を軸線回りに回転させればよい。すなわち、車両用操作システム2は、何れの方向の手指の動作に基づいて車載装置200を操作するかを操作者毎に設定できる。また、車両用操作システム2は、車両の操作者が別の者に変わった場合でも、実施形態と同じように、その者の望む操作方向に設定することができる。
本変形例においても、この車両用操作システム2は、操作性を向上することができる。
[変形例2]
前述した実施形態,変形例1の車両用操作システム1,2において、副操作装置20,60は、操作者の操作形態として接触操作形態が採用されている。これに対して、本変形例の車両用操作システム3の副操作装置70には、操作者の操作形態として、非接触による操作形態を用いる。
本変形例の車両用操作システム3は、前述した実施形態の車両用操作システム1,2において、副操作装置20,60を図8及び図9に示す副操作装置70に置き換えたものである。その副操作装置70は、実施形態の副操作装置20,60と同じように、車載装置200を操作するための操作形態が複数設定されている。
この副操作装置70は、長手部材12の突出方向における先端に、操作者の操作形態を非接触で検出する動作検出部71を備える。この動作検出部71は、その先端を基点とした感知空間SPにて操作者の操作形態(非接触操作形態)を検出できるものである。その感知空間SPとは、例えば、少なくとも長手部材12の先端部の先端から当該先端部の軸線方向に沿って車両側部側に延在している空間のことである。この動作検出部71は、その感知空間SPに存在している物体及び当該感知空間SPにおける物体の移動方向の検出が可能な非接触式センサ72を有している。その非接触式センサ72には、例えば、近赤外線センサ等の赤外線センサを用いることができる。また、本実施形態における感知空間SPは、例えば、操作者がステアリングホイール102を握ったままで手指を屈伸させて動く範囲と同等の範囲に設定する。
この動作検出部71においては、車載装置200の機能毎又は複数の車載装置200毎に、感知空間SPにおける操作者の操作形態を割り当てる。その操作形態の割り当てに際しては、実施形態で説明した操作者の手指の自然な動きに沿ったものを適用することが望ましい。例えば、制御装置30は、手指の方向に沿った動きに関する出力信号を非接触式センサ72から受信した場合、その感知空間SPにおける手指の屈伸動作を実施形態の第1接触操作領域22aに対するスライド操作と同等のものとして認識することができる。また、制御装置30は、実施形態のタッチ操作の如く手指との距離が近づいていることを非接触式センサ72が検出した場合、その出力信号を非接触式センサ72から受信すると、その感知空間SPにおける手指の動きを実施形態のタッチ操作と同等のものとして認識することができる。
ここで、この副操作装置70は、実施形態で説明した副操作装置20L,20Rの内の少なくとも一方として用いることができる。また、この車両用操作システム3では、副操作装置20L,20Rの内の一方に副操作装置70を適用し、他方に実施形態又は変形例1における副操作装置20,60を適用してもよい。
回転機構40は、動作検出部71の先端面73を長手部材12の先端部の軸線回りに回転させるものである。回転機構40は、実施形態で説明したものと同じものが配設されている。回転機構40は、主として、回転部41と伝達軸42とを有する。回転機構40により、動作検出部71の先端面73は、軸線回りに無段階に回転する。このように、車両用操作システム3は、何れの方向の手指の動作に基づいて車載装置200を操作するかを操作者毎に設定できる。また、車両用操作システム3は、車両の操作者が別の者に変わった場合でも、実施形態と同じように、その者の望む操作方向に設定することができる。
以上示したように、本変形例においても、車両用操作システム3は、操作性を向上することができる。
ところで、前述した実施形態や変形例1,2では、副操作装置20,60,70を主操作装置10における傾倒動作の可能な長手部材12の先端に設けるものとして説明した。但し、その副操作装置20,70の動作検出部21,71や副操作装置60における第1及び第2の動作検出部61,67は、傾倒動作等の動きが禁止された不動の長手部材12の先端に設けてもよい。その不動の長手部材12は、ステアリングコラム101から突出させ且つ延在させた長尺物であり、一端がステアリングコラム101の内部に固定されている。このような不動の長手部材12と動作検出部21又は動作検出部71又は第1及び第2の動作検出部61,67との組み合わせは、ステアリングコラム101における車幅方向の左端と右端の内の少なくとも一方に少なくとも1組設ければよい。この組み合わせは、前述した主操作装置10と副操作装置20との組み合わせに替えて配置してもよく、この主操作装置10と副操作装置20の組み合わせと共に配置してもよい。
また、接触操作部材23,63や動作検出部71の先端面73を長手部材12の先端部における軸線回りに回転させる構成は、前述した回転部41と伝達軸42とを有する回転機構40に限定されない。例えば、伝達軸42を介さずに接触操作部材23,63や動作検出部71の先端面73そのものを長手部材12の先端部において軸線回りに回転させる構成でもよい。例えば、回転機構は、接触操作部材23の外周面の周方向に沿って半径方向の外側に凸状に形成された環状凸部と、長手部材12の主体部分における先端の開口の内周面に環状凸部を収容可能に形成されたガイド溝(周方向のガイド溝)とで構成してもよい。環状凸部は、ガイド溝に嵌合した状態で周方向に沿って回転自在に形成する。このような構成により、接触操作部材23は、長手部材12の先端部において軸線回りに回転させることができる。また、例えば、接触操作部材23,63や動作検出部71の先端面73は、長手部材12の先端部に対して着脱自在に配設された構成としてもよい。この場合、操作者は、接触操作部材23,63や動作検出部71の先端面73を長手部材12の先端部から取り外す。そして、操作者は、ステアリングホイール102を握ったままで自らの手指を動かし易い方向に沿って第1接触操作領域22a,62aや動作検出部71の先端面73における手指の動作方向が延在するように、接触操作部材23,63や動作検出部71の先端面73を長手部材12の先端部における軸線回りの角度を変えて長手部材12の先端部に取付ければよい。このような構成により、接触操作部材23,63や動作検出部71の先端面22,62,73は、回転機構40がなくても長手部材12の先端部における軸線回りの角度を変えることができる。
また、回転機構40は、意図せず接触操作部材23,63や動作検出部71の先端面22,62,73が軸線回りに回転することを抑制するため、ロック機構を有していてもよい。ロック機構がロック解除された状態においては、回転機構40によって接触操作部材23,63や動作検出部71の先端面22,62,73を軸線回りに回転することができる。また、ロック機構がロックされた状態では、接触操作部材23,63や動作検出部71の先端面22,62,73を軸線回りに回転することが規制される。
さらに、主操作装置10には、副操作装置20,60,70とは別の副操作装置(図示略)が更に設けられていてもよい。その別の副操作装置とは、例えば、長手部材12の外周面を覆うが如く配置された同心の環状部材を有し、この環状部材を軸線回りに回転させることによって車載装置200の機能の選択を行うものである。